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第十二章 あなたを探して……
59本目
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「え? 真っ直ぐって、目の前は森ですよ!? ぶつかっちゃいますよ!!」
「大丈夫です!! このまま真っ直ぐです!!」
わたしは再びスキルを使うと、目の前の森の木々達が生き物のように動いて道を作っていった。
「んなっ!? 木が動いて道が!? いや、そうだった、このまま進みます。危ないので捕まっていて下さい!!」
オーレスさんは突然の出来事に驚きはしたもののそこは熟練冒険者、すぐに覚悟を決めて馬車の進路を真っ直ぐに進める。強引にショートカットだよ!! 今からまーくんに追いつくにはこの方法しか無いもん。
凄い勢いでWPが下って行くけれど、それこそ冗談みたいに貯めたポイントだよ、何時使うの、今でしょう!! ちょっと、誰、古いとか言った人、小さい頃のTVCMって何だか頭に残っちゃうでしょ?
って、さっきから何を言っているんだろう、ちょっと急激にWPが減ってきてハイになっちゃっているのかな?
その時馬車がガタンと大きく揺れるとわたしは体勢を崩す。
「おっと、危ない」
それをドランが受け止めてくれた。さすがの運動神経だよ。それを見かねてマリナが……
「お嬢、危ないから座ってて下さい」
……わたしの身を案じてくれるけど、そういうわけには行かない。
「だめ、わたしが道を見ていないと追い付けないから」
「ならば俺がしっかりと支えてやるぜ」
「僕も力を貸しましょう」
二人がわたしに寄り添って倒れないよう支えてくれた。うう、さすがの幼馴染み。わたしが引かない事をわかっているようだよ。
わたしは二人に支えられながら森の中に道を作り続けた。目標の反応はゆっくりと動き続けている……馬の並足の速度だ。
まさか自分達が全速力で追いかけられているなんて夢にも思っていないはず。
……こうして、わたし達は森を全速力で通り抜けてまーくんを追いかけていった。
□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □
それから数時間、とうとう相手の馬車に追い付ける位置に着いた。
「それじゃあ街道に出るように道を作ります」
「いいえ、アーリャさん、追跡に気付かれて逃げられるのも厄介です。いっその事追い越して道を塞いでしまいましょう」
なるほど、さすが熟練冒険者は冷静だよ。わたしは焦って後ろから追いかける事しか思いつかなかった。
「道が細くなって迂回出来ないような所で待ち伏せしましょう」
「わかりました」
わたしはオーレスさんのアドバイスにしたがって条件に合う位置まで馬車を先回りさせる事にした。
【共有】で両サイドが森になっていてかつカーブしながら幅が狭くなる長い道を見つけたので、そこに先回しして馬車を止める。
ジョブの能力で道の行く先も、両サイドの森へも簡単に抜けられないように塞いだ……これなら誰かを抱えて逃げる事も難しいはずだよ。
「お二人は馬車の中にいて下さい。ケニーは馬車の陰で援護。わたしが馬車の屋根へ。ドラン、お前は真っ正面になるが……いけるか?」
本来なら成人前の子供を前に出すなんてあり得ないけれど、長くドランの実力を見てきたオーレスさんは彼を正式な冒険者として扱っている。
「へっ、誰に聞いているんだよ、まかせておけよ!!」
「頼んだぞ」
「いつでもフォロー出来るようにしておきます。どんな怪我を負っても治しますからね」
みんなそれぞれ準備を整えて相手の馬車が到着するのを待つ。やがて遠くから馬車の走る音が聞こえる。
もうすぐ曲がり角の奥から目的の馬車がやって来るはずだ……とうとう誘拐犯とご対面だよ。
「大丈夫です!! このまま真っ直ぐです!!」
わたしは再びスキルを使うと、目の前の森の木々達が生き物のように動いて道を作っていった。
「んなっ!? 木が動いて道が!? いや、そうだった、このまま進みます。危ないので捕まっていて下さい!!」
オーレスさんは突然の出来事に驚きはしたもののそこは熟練冒険者、すぐに覚悟を決めて馬車の進路を真っ直ぐに進める。強引にショートカットだよ!! 今からまーくんに追いつくにはこの方法しか無いもん。
凄い勢いでWPが下って行くけれど、それこそ冗談みたいに貯めたポイントだよ、何時使うの、今でしょう!! ちょっと、誰、古いとか言った人、小さい頃のTVCMって何だか頭に残っちゃうでしょ?
って、さっきから何を言っているんだろう、ちょっと急激にWPが減ってきてハイになっちゃっているのかな?
その時馬車がガタンと大きく揺れるとわたしは体勢を崩す。
「おっと、危ない」
それをドランが受け止めてくれた。さすがの運動神経だよ。それを見かねてマリナが……
「お嬢、危ないから座ってて下さい」
……わたしの身を案じてくれるけど、そういうわけには行かない。
「だめ、わたしが道を見ていないと追い付けないから」
「ならば俺がしっかりと支えてやるぜ」
「僕も力を貸しましょう」
二人がわたしに寄り添って倒れないよう支えてくれた。うう、さすがの幼馴染み。わたしが引かない事をわかっているようだよ。
わたしは二人に支えられながら森の中に道を作り続けた。目標の反応はゆっくりと動き続けている……馬の並足の速度だ。
まさか自分達が全速力で追いかけられているなんて夢にも思っていないはず。
……こうして、わたし達は森を全速力で通り抜けてまーくんを追いかけていった。
□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □
それから数時間、とうとう相手の馬車に追い付ける位置に着いた。
「それじゃあ街道に出るように道を作ります」
「いいえ、アーリャさん、追跡に気付かれて逃げられるのも厄介です。いっその事追い越して道を塞いでしまいましょう」
なるほど、さすが熟練冒険者は冷静だよ。わたしは焦って後ろから追いかける事しか思いつかなかった。
「道が細くなって迂回出来ないような所で待ち伏せしましょう」
「わかりました」
わたしはオーレスさんのアドバイスにしたがって条件に合う位置まで馬車を先回りさせる事にした。
【共有】で両サイドが森になっていてかつカーブしながら幅が狭くなる長い道を見つけたので、そこに先回しして馬車を止める。
ジョブの能力で道の行く先も、両サイドの森へも簡単に抜けられないように塞いだ……これなら誰かを抱えて逃げる事も難しいはずだよ。
「お二人は馬車の中にいて下さい。ケニーは馬車の陰で援護。わたしが馬車の屋根へ。ドラン、お前は真っ正面になるが……いけるか?」
本来なら成人前の子供を前に出すなんてあり得ないけれど、長くドランの実力を見てきたオーレスさんは彼を正式な冒険者として扱っている。
「へっ、誰に聞いているんだよ、まかせておけよ!!」
「頼んだぞ」
「いつでもフォロー出来るようにしておきます。どんな怪我を負っても治しますからね」
みんなそれぞれ準備を整えて相手の馬車が到着するのを待つ。やがて遠くから馬車の走る音が聞こえる。
もうすぐ曲がり角の奥から目的の馬車がやって来るはずだ……とうとう誘拐犯とご対面だよ。
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