劇ではいつも『木』の役だったわたしの異世界転生後の職業が『木』だった件……それでも大好きな王子様のために庶民から頑張って成り上がるもん!

ハイフィールド

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第十六章 悪役令嬢の誕生!?

76本目

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 初日の授業が終わり、おそらく生徒達も寮へ帰ったであろう時間、わたしは学院の中庭に立っていた。授業が終わってからすぐだと人目がありそうなので少し時間をおいたのだ。日の光がオレンジ色に変化した頃に待ち人は現れた。

「来たわよ、一体何の用……って決まっているわね」

「よく来て下さいましたキャレルさん」

 転生者であるキャレルさんは少し警戒した様子でこちらにやって来た。

「言っておくけど私に何かあれば学院長が黙っていないわよ」

「人聞きの悪い事を言わないで下さい。わたしは誰かと違ってジョブの力でキャレルさんをどうこうしようなど思いませんから」

「っっ、嫌味な子ね」

「嫌味だと取れる自覚があって何よりです」

 とりあえず試合開始後の軽いジャブの応酬……ボクシングに例えたのは前世のまーくんから受け売り……それから本題に入る事にした。

「とりあえず聞きたい事はバロウさんから学院長に乗り換えた事の確認ですかね?」

「カマをかけようとしても分かるわよ……でもいいわ、教えて上げる。そうよ、ジョブの力で学院長が見つけた優秀な生徒の立場を手に入れたわ」

 やっぱりそうだったんだ。前の相棒である宿屋の次男坊だったバロウさんは行方不明になったキャレルさんを一生懸命に探していた。でも、相棒を乗り換えたのにどうしてキャレルさんを探すんだろう?

「長い間相棒になっていると、本当と嘘の区別が付かなくなって本当だと信じ込むみたいよ」

「そうなんですか、どうして教えてくれるんですか?」

「別に、もう会う事も無いでしょうからね……それとも学院にその事を言うつもり?」

「わたしは自分の目的を邪魔されない限り、キャレルさんが困る事をするつもりは無いですよ」

「それはよかったわ……でも、たとえあの男の事をバラされようと学院長は私を信じるから関係ないわ」

 どうやらジョブの能力をしっかり把握して自信があるみたいだ。わたしは別にキャレルさんが学院長を利用して成り上がる事自体に文句があるわけじゃない。自分も目的のためにジョブの力を沢山使っているから。

「でも、学院長をジョブの力を使って相棒にしているのはいいとして、第二王子マクシス様まで同じようにするつもりなの? マクシス様を相棒にしたら学院長は元に戻ってしまうんじゃ無いですか?」

「やっぱり気付いていたのね……私のジョブの能力が上がったからよ。今わたしの『相棒』はSeason2シーズンセカンドになったのよ」

「キャレルさん……あなたは一体何を言っているの?」

「う、うるさいわね、私だって意味分からないけど能力が上がった時に頭にそう浮かんだのよ!!」

 どうやらジョブの能力が上がった時の名称みたいな物みたい? わたし? わたしは普通にスキルレベルが上がったって頭に浮かぶよ。

「ふん、言い方はともかく、二人目の相棒を選べるようになったのよ。でも、二人目は長い時間はまだ無理みたいだわ」

「相変わらず無茶苦茶な能力ですね……じゃあ相棒Season21シーズントゥエンティワンとかになったら21人も相棒にできるんですか?」

「そこまで能力が上がるか分からないけど、そうなんじゃ無い? でもなんで21なの?」

「深い意味は無いです」

 21になって21人も相棒が作れたら、偉い人との出会いのチャンスがあって、上手い事立ち回れば国の掌握すらできちゃうんじゃない? この国大丈夫かな? でも、そんな便利能力だと便利すぎるから実は21でも5……いや4人しか増えないかも知れないし……ううん、何を考えているのわたし、今はそんな事はどうでも良いから肝心の話をしないと。

「わたしがキャレルさんを呼んだのはお願いがあるからです」

「あなたが私にお願い? 商人として成功してお貴族様にまでなられたアーリャさんが私にお願い?」

「わたしの事を調べたんですね」

「あなたを見習ってね」

 どうやら過去わたしにやり込められた経験で成長してしまったみたい。でもわたしも負けるわけにはいかない。

「わたしの事を調べたのなら知っているかも知れませんが、第二王子マクシス様を誘拐犯から救ったのはわたしです。わたしはマクシス様をお慕いしていますので彼を相棒にするのは止めて下さい」

「は? 後から来て人の狙っている男を奪おうって言うの」



 ……そうだよね、あっさりハイそうですって言わないよね? でもここは引けない所だから絶対にまーくんから手を引いてもらうよ!
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