102 / 127
第十八章 悪役令嬢VS学院四天王
102本目
しおりを挟む
闘技場から音が消える。
誰もが言葉を忘れたかのように口を閉ざしている。
「魔道具を使うなんて卑怯だわ!! アーリャの反則負けよ!!」
「止すんだキャレル……これは私の負けだ」
最初に声を上げたのはキャレルさんだ。そう言いたくなる気持ちは分かるけどそのまま言い切られるわけにはいかない。
「普通の木で出来た木剣ですよ……決闘前に学院に確認してもらって承認の印もありますから……見て下さい」
「……た、確かに印はあるけど……でもおかしいじゃない、剣が伸びるなんて!! きっと何か卑怯な手を使ったんだわ!!」
わたしは再び扇を広げるとキャレルさんを冷たい目で見つめる。
「人聞きの悪い事を言わないでいただけませんか? 貴女の言動は気高い決闘の名誉を汚す発言です。いくら身分が関係ない学園とは言え相手を貶める言葉を好き放題言って良いわけではありませんよ」
「ううっ」
さすがにまずいと思ったのか黙るキャレルさん。まぁ、わたしの勝利をハッキリさせるためにそれっぽい理由で種明かししないとね。
「私のギフトジョブは『林業師』と言う事はご存じでしたよね」
「あぁ、その力で良質な木を育てて素晴らしい製品を生み出しているのだろう」
ルビィさんも当然わたしのジョブを知っていた。扇をしまい剣を掲げる……長くなったせいかバランスが悪くて重いよ。
「この世界に様々な変わった『木』がありますがこの跳躍樹もそのひとつです。成長する時はそれこそ飛ぶように一気に延びる木なのです」
それほど丈夫でも無いので使い道が無いうえに突然成長して日陰を作る困ったちゃんなので不人気な木です。
「『林業師』の力で成長する寸前を見極めて切り出して剣にしました。もちろん剣にしてしまったら本来なら成長などしないのですが、ここもジョブの力で一瞬だけ木をよみがえらせるとあら不思議……このように伸びるんです」
「試合の最中そのような技を使うとは……林業師の力が先頭に役に立つとは夢にも思わなかった」
感心しているルビィさんには申し訳無いですけど、実は嘘です……あ、嘘では無いんだけどわたしのジョブなら跳躍樹でなくとも、どんな木でも同じ事が出来るからね。
……とはいえ『林業師』の力という説得力を持たせるためにわざわざ用意したのでした。
「私達の試合まではジョブの力無しの勝負だった……しかし貴女はこのスキルを使うために私に本気を出すように言ってきたのですね?」
「はい試合前に互いがジョブの力を使う事を了承すれば決闘は成立しますしね」
もちろんルビィさんが違うスキルを使っていればわたしは負けていたと思う。結局は運が良かったんだよ。試合形式だからわたしの勝ちになったけど、ちゃんとした相手を倒す勝負だったらこんな真似は出来なかったしね。
「私の完敗だ……これもどこかで驕っていたのだろう。修行のやり直しだな」
「と言う事で、審判のキャレルさんはそろそろ役目を果たして貰えないかしら?」
「くっ……勝者……アーリャ」
「おめでとうアーリャ」「やりましたわ!!」「凄いですアーリャさん」「へへっ、中々やるな」
悔しそうなキャレルさんの声と共にみんなが私に駆け寄ってくる。わたしも改めて勝利を実感出来た。
「ベスさんにヘレナさんが仲間になってくれて、ドランが作戦を考えてくれて、マクシス様が訓練を手伝ってくれたから……みんなの力が無ければわたしは勝つ事が出来ませんでした。本当にありがとうございました」
「お友達として当然です」
「私もアーリャさんのお力になれて嬉しいです」
「まぁ、アーリャならやれると分かってたぜ」
「……アーリャ、君がルビィの元に行かなくて本当に良かった」
「……マクシス様」
まーくんが優しい目でわたしを見る……わたしも真っ直ぐにまーくんを見つめ返す。
「何良い雰囲気出しているのよ!! 決闘が終わったんだから報告しにいかないといけないんだからね!!」
せっかく良い雰囲気になっているのにキャレルさんが邪魔してきた。おのれ~。
でもいいの、確実にわたし達の間には積み重なっている何かを感じるもん。でも、わたしは欲張りになったから物足りないんだ。
……もっともっとまーくんと仲良くなりたいよ。
誰もが言葉を忘れたかのように口を閉ざしている。
「魔道具を使うなんて卑怯だわ!! アーリャの反則負けよ!!」
「止すんだキャレル……これは私の負けだ」
最初に声を上げたのはキャレルさんだ。そう言いたくなる気持ちは分かるけどそのまま言い切られるわけにはいかない。
「普通の木で出来た木剣ですよ……決闘前に学院に確認してもらって承認の印もありますから……見て下さい」
「……た、確かに印はあるけど……でもおかしいじゃない、剣が伸びるなんて!! きっと何か卑怯な手を使ったんだわ!!」
わたしは再び扇を広げるとキャレルさんを冷たい目で見つめる。
「人聞きの悪い事を言わないでいただけませんか? 貴女の言動は気高い決闘の名誉を汚す発言です。いくら身分が関係ない学園とは言え相手を貶める言葉を好き放題言って良いわけではありませんよ」
「ううっ」
さすがにまずいと思ったのか黙るキャレルさん。まぁ、わたしの勝利をハッキリさせるためにそれっぽい理由で種明かししないとね。
「私のギフトジョブは『林業師』と言う事はご存じでしたよね」
「あぁ、その力で良質な木を育てて素晴らしい製品を生み出しているのだろう」
ルビィさんも当然わたしのジョブを知っていた。扇をしまい剣を掲げる……長くなったせいかバランスが悪くて重いよ。
「この世界に様々な変わった『木』がありますがこの跳躍樹もそのひとつです。成長する時はそれこそ飛ぶように一気に延びる木なのです」
それほど丈夫でも無いので使い道が無いうえに突然成長して日陰を作る困ったちゃんなので不人気な木です。
「『林業師』の力で成長する寸前を見極めて切り出して剣にしました。もちろん剣にしてしまったら本来なら成長などしないのですが、ここもジョブの力で一瞬だけ木をよみがえらせるとあら不思議……このように伸びるんです」
「試合の最中そのような技を使うとは……林業師の力が先頭に役に立つとは夢にも思わなかった」
感心しているルビィさんには申し訳無いですけど、実は嘘です……あ、嘘では無いんだけどわたしのジョブなら跳躍樹でなくとも、どんな木でも同じ事が出来るからね。
……とはいえ『林業師』の力という説得力を持たせるためにわざわざ用意したのでした。
「私達の試合まではジョブの力無しの勝負だった……しかし貴女はこのスキルを使うために私に本気を出すように言ってきたのですね?」
「はい試合前に互いがジョブの力を使う事を了承すれば決闘は成立しますしね」
もちろんルビィさんが違うスキルを使っていればわたしは負けていたと思う。結局は運が良かったんだよ。試合形式だからわたしの勝ちになったけど、ちゃんとした相手を倒す勝負だったらこんな真似は出来なかったしね。
「私の完敗だ……これもどこかで驕っていたのだろう。修行のやり直しだな」
「と言う事で、審判のキャレルさんはそろそろ役目を果たして貰えないかしら?」
「くっ……勝者……アーリャ」
「おめでとうアーリャ」「やりましたわ!!」「凄いですアーリャさん」「へへっ、中々やるな」
悔しそうなキャレルさんの声と共にみんなが私に駆け寄ってくる。わたしも改めて勝利を実感出来た。
「ベスさんにヘレナさんが仲間になってくれて、ドランが作戦を考えてくれて、マクシス様が訓練を手伝ってくれたから……みんなの力が無ければわたしは勝つ事が出来ませんでした。本当にありがとうございました」
「お友達として当然です」
「私もアーリャさんのお力になれて嬉しいです」
「まぁ、アーリャならやれると分かってたぜ」
「……アーリャ、君がルビィの元に行かなくて本当に良かった」
「……マクシス様」
まーくんが優しい目でわたしを見る……わたしも真っ直ぐにまーくんを見つめ返す。
「何良い雰囲気出しているのよ!! 決闘が終わったんだから報告しにいかないといけないんだからね!!」
せっかく良い雰囲気になっているのにキャレルさんが邪魔してきた。おのれ~。
でもいいの、確実にわたし達の間には積み重なっている何かを感じるもん。でも、わたしは欲張りになったから物足りないんだ。
……もっともっとまーくんと仲良くなりたいよ。
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫(8/29書籍発売)
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます
山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。
でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。
それを証明すれば断罪回避できるはず。
幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。
チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。
処刑5秒前だから、今すぐに!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる