劇ではいつも『木』の役だったわたしの異世界転生後の職業が『木』だった件……それでも大好きな王子様のために庶民から頑張って成り上がるもん!

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第十九章 領主様は悪役令嬢!?

106本目

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 やる事が決まってからわたしは忙しかった。

 学院に行っている間にギルドへ依頼をして集めてもらった住民の情報。流石に前世の戸籍程の精度は無理だけど、名前、生年月日、家族構成、住所、職業など分かる限りの情報をまとめておいてもらった。そしてそれを元にとある『木』を利用して『加工』を使うとひとつのカードが出来上がった。

 これが住民一人一人に渡される身分証明書だ。このカードには色々仕掛けがあるんだけど、とりあえずアルダーク領の住民はこれを持つ事を義務とした。出来上がったカードを街の区画ごとに分けて置いて行く。ひたすらカードを作って置いて行く。

「ひぇぇっ、結構作ったけどちっとも減っていないよ」

 これはわたしがやらないといけない事で他の誰かに変わってもらうわけにはいかない。朝起きてお昼まではこの作業を延々とこなした。


「午後からは街の有権者がやって来ます」

 まずは街で力のある人達に新領主の顔を覚えてもらわないといけない。午後はひたすら来客との面会をこなした……もう笑顔が張り付いてしまいそうだよ。

 こんな生活が一週間ほど続く……カード作りは慣れてくるとスピードが上がり、有権者の面会も偉い人順で主な人物との挨拶は終わった。


「疲れたよ~もういやだよ~早く学院に帰ってまーくんに会いたいよ~」

「今帰ってもまだ学院は休み中で誰もいませんよ」

「分かってるよ! ちょっぴり弱音を吐いただけだもん」

 マリナが仕方ありませんねという顔でわたしをなだめる。とにかく学院の休みに入ってからは仕事仕事ばかりでストレスが溜まってこのままだと寿命がマッハで迫って来てしまうに違いない。

「そんなせめて美味しいものを食べて心労を和らげて下さい」

 そっとマリナがケーキの載ったお皿をわたしの前に置いてくれる。こ、これは!?

「チョコレートチーズケーキ!? って事はアルダーク領でもスィーツカフェを開く事が出来そうなのね?」

「ビーンさんにしごかれた新人菓子職人パティシエも育ってきたようです。あとはお嬢次第ですよ」

 ここアルダーク領で至高のスィーツが食べられるようになった事は大きい。これで出来る事も色々広がるよ。お菓子で何が出来るって? お菓子を侮っちゃ駄目だよ。よ~し、糖分を補給してもう一踏ん張り頑張ろう!


□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □


 一生懸命作った身分証が領都の住民に行き渡り、商人にも一時滞在の証明書を発行する準備も整い、同時に進めていた情報収集も順調だ。今はセーブさんが書類を手に現状報告にやって来ている。

「それにしてもアーリャ様が作られた身分証……よく考えましたね」

「ちゃんと偽造したら罪に問われると周知お願いしますね」

「あとアーリャ様の予想通りの行動を取っている者がいました。いかが致しましょう?」

「まだそのままで大丈夫です。そうと決まればこちらも準備をしましょう」

 以前から行っていた下水道などのインフラが整ってきたので、わたしの領主着任 (仮)のお披露目と完成式典を一緒に行おうと準備を進めている。街の有権者や住民の反応も良好なようだ。

 ……とは言え問題は街の外縁部の貧民街スラムだろう。王都から派遣されたセーヴさんが証言してくれればわたしの責任では無いと分かるだろうけど、これを切っ掛けにわたしの出世に影響が出る可能性は高いのいで、できれば早めに対処しておきたい。街の中が整ってきたら今度は外を整えないとね。

 そしてそれを邪魔する動きがあるのは分かっている。主に貧民街スラムを中心にわたしにたいしてのネガティブキャンペーンを行っている人間がいる。わたしが貧民街スラムをまとめるのを邪魔するつもりなのかはまだ分からない。
 もっともこの街のなので既に特定済み。今は泳がせて目的を探っている最中……このアーリャに隙など無いよ!!

「(お嬢、左右違う靴を履いてますよ! だから早めに準備しましょうと言ったではないですか!)」

「はっ!?」

「?」



 うわーん、連日の疲れでギリギリまで寝ていたかったから今日は自分で着替えたんだったよ!
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