劇ではいつも『木』の役だったわたしの異世界転生後の職業が『木』だった件……それでも大好きな王子様のために庶民から頑張って成り上がるもん!

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第十九章 領主様は悪役令嬢!?

110本目

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 わたしは急いで中庭を駆け抜ける……ひぃ~中庭広すぎるよ~。でもここで追いつかれるとマズいし何より格好悪いから頑張らないと。

「失礼しますアーリャ様」

 わわっ、高い、早い!! 見るに見かねてオーレスさんがわたしを抱っこして走ってくれた。そのお陰でわたしは予定していた定位置に到着する事が出来た。扇をパタパタ仰いで汗を引かせる。

 そして、私達を追うように入ってきた難民達……およそ150人くらいいるのかな? って事は席は十分足りているね。入ってきた難民達は中庭に並んでいるものを見て戸惑っている……沢山のテーブルに並んでいる見た事も無い達に。

「さぁ、よく来ましたね……それじゃあ遠慮無く食べなさい、あなた達には一生の縁が無かったかも知れない高級なお菓子よ」

 わたしの一声に難民達は大いにざわめいた。

 テーブルの皿の上には所狭しと様々な彩りのフルーツケーキやタルト。赤、黄、緑とその輝きはまるで宝石のよう……いや、宝石を見た事無い村娘であろうと、その輝きは女性であるならば本能で心引かれてしまう魅惑の存在だ。

 そして男達もテーブルの上の見た事も無い……それこそ食べ物とも分からない何かから目が離せない。砂糖菓子にチョコレートの甘い香りは彼等生まれてかた体感した事の無いものだろう……だが、その知らない香りであるにも拘わらずそれは嗅覚を通して味覚が刺激され、その喉をゴクリと鳴らしていく。

「だ、騙されるな!! 毒が入っているに違いない!!」

 一人の若者が皆を止めるように叫ぶ。わたしは扇を開くとフンと鼻で笑う。

「お菓子なだけに、おかしな事を言いますね、この量を……全てのお皿に毒を入れたとでも? そもそもこの会場のお菓子はわたしのお披露目パーティーのために用意したもので、本来はあなた達が食べる予定では無かった物ですよ」

「そ、それならちょっとだけ」「わ、私も……」「俺もう我慢出来ねぇ!!」

「お、おい!!」「まて!」「(ゴクリ)」

 誰か一人がそれを口にすればもう止められはしない。難民達は目の前にあるお皿に載っているスィーツを手に取って次々と口に運んだ。

「う、うめぇ!! なんだこれ!!」「甘い……こんなに甘いお菓子が世の中にあっただなんて」「美味しすぎる……もうずっとこれだけ食べていたい」

 わわ、初めて食べたスィーツを口にした難民達は、そのあまりにもの美味しさに感動して涙を流す人までいるよ。なんてったってこの世界で甘味は裕福層や貴族の物であり一般的な村に住む人間は稀に口に出来るハチミツを舐めた事があるくらいって聞くしね。
 そんな彼等が王都でも……いや、もしかしたら世界で一番の洗練されたスィーツを初めて口にしたらどうなってしまうんだろう? この様子では今後の人生で普通のスィーツを食べても満足出来ないかも知れない……それはそれで不幸な事だね。

「どう? これはわたしが考えて作ったお菓子よ……甘くて美味しい物を食べると幸せな気分になるでしょう?」

「あー幸せだ……こんな気分初めてだ」「もしかして私、今日このために生きてきたのかも」「こんな食べ物があっただなんて……」

「おい、食べている場合か……領主に思い知らせてやるんじゃ無かったのか!!」

 幸せそうにスィーツを食べる難民達を止めようとする人間が何人かいる……わたしは扇を持つ腕をスッと上げると、その途端にテーブルから飛び出した人影がを引き倒した。
 難民とそれ以外の人間がハッキリと分かる瞬間まで兵士達を隠れさせていたんだよ。

「ぐあっ!!」「何を!!」「止めろ!!」「離せ!!」

 正確には難民の中で村長などの指導者以外……難民を先導していた者達だ。さすがにその様子を見た難民達はスィーツを食べる手を止めて警戒した顔を見せる。

「安心して下さい、今捕らえた物は隣国の間諜スパイ……あなた達を騙してここに連れてくるように誘導した者達です」

「なに!?」「そうなの?」「隣の村じゃなくて隣の国だったのか?」

 「ちがう、俺は滅んだ村の人間だ」「そうだ、やはりこんな事をして俺達を殺すつもりだったんだな」「みんな、助けてくれ!!」

 取り押さえられて者達は助けを求めたりわたしに文句を言ったり様々な反応を見せる。



 ……まぁ、何も知らない難民達も戸惑っているようだし、そんな大層なものじゃ無いけど種明かしでもしようかな?
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