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第二十一章 想い出をあなたに……
127本目
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「これは……一本のはずのサクラの木が三本?」
「はい、実はマクシス様に内緒で準備しました」
「そうだったのか……これは驚かされたな」
まーくんに内緒で許可を得てお城の林業師に準備した二本の桜の木を新たに植えてもらったのでした。
今日、まーくんが自分の部屋に戻った時に中庭を見たらバレちゃってたんだけど、どうやらまだお部屋に帰っていなかったみたい。
よかった、なんといっても今日は特別な日だからね。
「実は今日、マクシス様が五歳の時に行われたお披露目会と同じ日なんです。その時にわたしの実家が桜の木を用意したんですが……今日という日を祝して改めてわたしから贈らせてもらいました」
「そうだったのか……記憶が無いのは残念だがサクラの木自体はここにあるのを知っていた。アーリャが俺に贈ってくれた事もな……元々美しい木ではあったが、三本も並ぶとより際立つな……これはなんとも幻想的な景色だ」
わたしが五歳の時はたった一本の桜の木を用意するのが精一杯だったけれど、今はもっと沢山順位する事は出来る。でもわたしは敢えて二本を追加した。これは”わたし”と”まーくん”と”なーちゃん”の三人の桜のつもりなんだ。
昔はいつも一緒だった三人……わたし達二人がいなくなって、きっとなーちゃんを悲しませてしまった。会って謝りたいと何度も思った。
そしてそれを知っているのは今はわたしだけ……だからわたし達は三人だったってまーくんに思い出して欲しくてこんな事をしちゃった。
「何故だろうな……この桜を見ていると……何か熱いものが胸にこみあげてくる」
まーくんがまぶしそうに桜の木を見上げるように上を向いた……まーくんが何だか震えているように見える。
まーくん、記憶が無くなってしまったのに心の奥にもしかして……わたしの胸もきゅっと切なくなる。
この想いを打ち明けてしまいたい……でも、それはできない。だって怖いもん。わたしは生まれ変わっても根本的なところで変わっていないんだと思う。
だけど……
でも一度前世で死を覚悟して、まーくんと別れ別れになるかも知れないと思った時に……そして生まれ変わってまた”だいすきなあなた”に出会えた時に、もう後悔はしたくないと強く思った……この気持ちは前世では無かった気持ち。
今は激しく燃えてわたしを強くしてくれる気持ち。
わたしは意を決してまーくんの隣に寄り添うと……そっとその震える手に自分のその手を添えた。
「っ……」
一瞬、まーくんがビクッとしたが……その手は離れる事は無く……震えが移ったわたしの手をそっと握ってくれた。その時まるでわたしを祝福してくれているように風が吹くと花びらが沢山舞い散る。
わたし達がこの世界に来る直前の年もわたしたちは三人でこうやって空を見上げていた。そして遠く離れた別の世界で……長い時間をおいてわたしたちはまた空を見上げている……
「……綺麗ですね」
「……ああ」
……わたしたちはいつまでも……その青い空を泳ぐ、うすべに色の花びらを眺め続けた。
□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □
あれからどのくらい時間が経っただろう?
なんど桜の木が花を咲かせて散っていったのだろう?
腰まで伸びた髪に串が通され髪飾りをつけて整えられる。今日わたしはあの日のように王城に向かう。今日でわたしは成人となる……アルダーク領は正式にわたしの領地となり、そしてその身分はとうとう侯爵までとなる予定だ。
「そろそろ時間ですよ、お嬢」
「ええ、マリナ……行きましょう」
わたしは成人して正式に領地を得たら……身分が侯爵までに上り詰める事が出来たら……わたしは今までその為に努力をしてきた成果を……今日まで生きてきた全てをかけた勝負をする事になるのだ。
……アーリャ・アルダーク、一五歳、今日が……人生の全てが決まる日だよ。
_________________________________________________
第二部終了です。
第三部は全話ストック出来てから開始するのでしばらくお待ちください。
「はい、実はマクシス様に内緒で準備しました」
「そうだったのか……これは驚かされたな」
まーくんに内緒で許可を得てお城の林業師に準備した二本の桜の木を新たに植えてもらったのでした。
今日、まーくんが自分の部屋に戻った時に中庭を見たらバレちゃってたんだけど、どうやらまだお部屋に帰っていなかったみたい。
よかった、なんといっても今日は特別な日だからね。
「実は今日、マクシス様が五歳の時に行われたお披露目会と同じ日なんです。その時にわたしの実家が桜の木を用意したんですが……今日という日を祝して改めてわたしから贈らせてもらいました」
「そうだったのか……記憶が無いのは残念だがサクラの木自体はここにあるのを知っていた。アーリャが俺に贈ってくれた事もな……元々美しい木ではあったが、三本も並ぶとより際立つな……これはなんとも幻想的な景色だ」
わたしが五歳の時はたった一本の桜の木を用意するのが精一杯だったけれど、今はもっと沢山順位する事は出来る。でもわたしは敢えて二本を追加した。これは”わたし”と”まーくん”と”なーちゃん”の三人の桜のつもりなんだ。
昔はいつも一緒だった三人……わたし達二人がいなくなって、きっとなーちゃんを悲しませてしまった。会って謝りたいと何度も思った。
そしてそれを知っているのは今はわたしだけ……だからわたし達は三人だったってまーくんに思い出して欲しくてこんな事をしちゃった。
「何故だろうな……この桜を見ていると……何か熱いものが胸にこみあげてくる」
まーくんがまぶしそうに桜の木を見上げるように上を向いた……まーくんが何だか震えているように見える。
まーくん、記憶が無くなってしまったのに心の奥にもしかして……わたしの胸もきゅっと切なくなる。
この想いを打ち明けてしまいたい……でも、それはできない。だって怖いもん。わたしは生まれ変わっても根本的なところで変わっていないんだと思う。
だけど……
でも一度前世で死を覚悟して、まーくんと別れ別れになるかも知れないと思った時に……そして生まれ変わってまた”だいすきなあなた”に出会えた時に、もう後悔はしたくないと強く思った……この気持ちは前世では無かった気持ち。
今は激しく燃えてわたしを強くしてくれる気持ち。
わたしは意を決してまーくんの隣に寄り添うと……そっとその震える手に自分のその手を添えた。
「っ……」
一瞬、まーくんがビクッとしたが……その手は離れる事は無く……震えが移ったわたしの手をそっと握ってくれた。その時まるでわたしを祝福してくれているように風が吹くと花びらが沢山舞い散る。
わたし達がこの世界に来る直前の年もわたしたちは三人でこうやって空を見上げていた。そして遠く離れた別の世界で……長い時間をおいてわたしたちはまた空を見上げている……
「……綺麗ですね」
「……ああ」
……わたしたちはいつまでも……その青い空を泳ぐ、うすべに色の花びらを眺め続けた。
□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □
あれからどのくらい時間が経っただろう?
なんど桜の木が花を咲かせて散っていったのだろう?
腰まで伸びた髪に串が通され髪飾りをつけて整えられる。今日わたしはあの日のように王城に向かう。今日でわたしは成人となる……アルダーク領は正式にわたしの領地となり、そしてその身分はとうとう侯爵までとなる予定だ。
「そろそろ時間ですよ、お嬢」
「ええ、マリナ……行きましょう」
わたしは成人して正式に領地を得たら……身分が侯爵までに上り詰める事が出来たら……わたしは今までその為に努力をしてきた成果を……今日まで生きてきた全てをかけた勝負をする事になるのだ。
……アーリャ・アルダーク、一五歳、今日が……人生の全てが決まる日だよ。
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第二部終了です。
第三部は全話ストック出来てから開始するのでしばらくお待ちください。
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