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第三章 初陣
六
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「槍を!」
誾千代が叫ぶと、小者が小走りに近づき、愛用の槍を差し出した。
手を伸ばし、ぐいっ、と受け取ると、誾千代は敵勢を睨み据え、馬腹を蹴って、前へと飛び出した。
「お供いたします!」
甚兵衛が声を掛け、隣に並んだ。甚兵衛の後ろからは、彌七郎の馬が続いた。馬上で彌七郎は、両目を一杯に見開き、瞬きもしないで、敵の動きを見守っていた。
馬の動きに合わせ、誾千代は敵の動きを観察した。
思ったより、誾千代は冷静でいられた。初めての戦場に、口の中はからからに乾いていた。だが、不思議と恐怖は覚えなかった。
背後に従う、彌七郎の想念を、誾千代は読み取り、出撃を決意した。彌七郎は、敵味方の位置を観察し、敵の秋月勢に中陣から突き入れば、大壊乱を引き起こすと、分析していた。
誾千代の観察では、彌七郎はそこまで分析していたが、自ら「秋月軍に弱点あり! 我に続け!」との命令は、出せそうになかった。あくまで彌七郎は空想上の戦いを、想念で繰り広げるのみだった。
それなら聟殿の作戦を、自分が実行するしかない、と誾千代は決心した。
彌七郎の心に、恐怖は存在しなかった。もしかすると、恐怖を感じる能力がない、とも言えた。どうも彌七郎の心には、ごく当たり前の、危険に対する予感、他人の心理に対する気配りが、奇妙なほど欠落しているようだった。
それら欠落した心理が、名将の条件の一つかもしれない、と誾千代は思った。多数の兵士を死地に赴かせる任務を負うためには、他人の痛みに鈍感──むしろ、無感覚でなければ、務まらない。
誾千代が先頭に、隊列は混乱した戦場を突っ切った。あちらこちらで、無数の兵士が揉み合い、圧し合いして戦っていた。
その真ん中を、まるで無人の野を行くように、誾千代は進んで行く。戦場に生まれる、一種の空隙だった。
それも、中州に辿り着くまでだった。
「戸次軍だ!」
誰かが叫び、誾千代の列に、敵兵の注目が集まった。この時点で、先頭の誾千代が女とは、見抜かれていなかった。誾千代が探った範囲では、男装の誾千代を、敵の若侍と思っているようだ。
わあっ、と喚声を上げ、敵の足軽たちが、一斉に襲い掛かってきた。戦場の心理で、全員、一種の狂気に陥っていた。
敵の兵士の心には、初陣らしき若侍、易々と血祭りに上げ、首級を上げれば、出世が見込めると、ぎらぎらした欲望に溢れていた。
誾千代は、抱えていた槍を、ぶるんっ、と横に薙ぎ払った。
槍の勢いに、足軽たちは怯んだ。
誾千代は刀は得意だが、槍も使える。この時代の武芸は、専門化は進んでおらず、刀、槍、弓、一通り扱えなければ、武門の恥とされた。それぞれ得手、不得手はあったが、誾千代は甚兵衛から、槍、弓、相撲の手なども、教授されていた。
「命が惜しければ、道を空けよ!」
凛然とした誾千代の声に、敵の足軽たちは、ぎょっとした表情になった。
「女じゃ!」
「あの若武者、女じゃぞ!」
一様に下卑た表情になり、そろそろと周囲に集まってきた。
誾千代は、敵足軽たちの心を読み取り、口惜しさに唇を噛み締めた。読み取った足軽たちの心理は、戦場での功名手柄を我が手にする、から、この場で誾千代を組み伏せ、肉欲を充足させるへ、変化していた。
おのれ、下郎ども、妾を女と見て、侮るか!
誾千代の胸に、むらむらと、怒りの焔が燃え上がった。
もはや、戦場での構えも忘れ、敵足軽たちは、欲望剥き出しの脂ぎった顔つきで、蝗の群れのように、誾千代に近づいた。武器を放り投げ、わらわらと我先に群がってくる。
ぶんっ!
誾千代の抱えた槍が、空を切って一閃した。
「わあっ!」
「ひゃあっ!」
誾千代が払った穂先は、足軽たちの伸ばした指先、無防備に突き出した顔などを、一遍に切り裂いていた。足軽たちは、一斉に地面に腰を抜かし、誾千代に斬られた部分を押さえ、悶えていた。
「見たかっ! 女と見て、侮るでないっ!」
足軽たちの表情が、怒りに染まった。眉が狭まり、誾千代の見せた、見事な手並みに、沸騰した欲望が、たちまち水を掛けられたように、冷静に戻っていた。
「糞っ……!」
放り出された武器を拾い上げ、今度は慎重に、しかし手柄を立てる欲望はそのままに、誾千代の周囲を取り囲んだ。
「誾千代様っ! 御加勢いたす!」
取り囲んだ敵兵の外から、甚兵衛が大声で叫びながら、馬で突進してきた。
見るからに豪傑の風貌を持つ甚兵衛の参戦に、敵兵たちは怯みを見せた。誾千代は複雑な気持ちを抑え、甚兵衛の動きに合わせ、槍を握る手に、力を込めた。
今は敵陣を突っ切るだけに、集中すべき!
「懸かれ──っ! 敵は目の前ぞ!」
誾千代の命令に、付き従う足軽たちが、奮起した。
わあーっ、と一斉に鬨の声を上げ、誾千代を護って足軽たちは突進した。
坂道を駆け上がり、敵勢を蹴散らしながら、誾千代と足軽は進んだ。
急に、ぽかりと、目の前が開けた。開けた空の向こうに、一騎、いかにも大将と思しき武者が待ち構えていた。背後に秋月の唐花紋所の幟が旗めいていた。
ぐっと頭を下げ、誾千代は坂道を、馬を急き立て、突撃した。手にした槍を、真っ直ぐ敵武者に向けた。
「あはっ!」
敵武者は、いかにも馬鹿にしたように、誾千代に向かって、嘲笑った。
「見れば、女ではないか! ならば道雪の娘、誾千代姫とお見受けいたす。じゃが、女が戦に顔を出すとは、道雪も老いたか?」
「言うなっ! 妾の槍、受けて見よ!」
突進を続ける誾千代の姿に、武者の顔つきが真剣になった。さっと敵武者も槍を構え、誾千代に向かって、駆け下りてきた。
からっ! とお互いの穂先が、絡み合った。誾千代は下から巻き上げるように、敵武者の槍を捻り上げた。
誾千代の槍は、良く撓う。まるで柔らかな鞭が巻きつくように、誾千代の槍は、敵武者の槍を掬い上げ、撥ね上げた。
「うおっ?」
敵武者は、誾千代が見せた手練の技が意外だったのだろう。唇を窄め、槍を誾千代から奪われまいと、両脚を轡の上で踏ん張った。
それが間違いだった。
がくりっ、と片方に体重が乗せられ、敵武者の身体は鞍上で、斜めに傾いだ。
誾千代は馬を御し、馬の全体重を乗せ、敵武者にぶつかっていった。
どすん、と大きな音がして、誾千代の馬は、敵武者の馬の横にぶち当たった。激突の衝撃で、遂に武者は鞍から、転げ落ちてしまった。
武者は呻き声を上げ、何とか態勢を立て直そうと、見苦しく足掻いた。
誾千代は槍を振り被り、地面に仰向けになっている武者に向かって突き入れた。
武者は観念し、目を閉じた。
ぴたり、と誾千代の槍が、途中で止まった。槍先は、武者の胸寸前に留まっている。
死が訪れないので、武者はぱちりと、両目を見開いた。地面から誾千代を見上げ、ニッタリと笑い顔になった。
「どうした、娘! 儂をこの場で、殺すが良い! それとも、できぬか?」
はあはあと、誾千代は荒い息をついた。握り締める、槍先が、ぶるぶると震えている。
「そうか、できぬか? やはり、女じゃのう」
武者は、片腕を伸ばし、擬したままの、誾千代の槍をぐわしっ、と握り締めた。そのまま、ぐいっと引き寄せた。
出し抜けの動きに、誾千代は馬上で堪えきれず、どうっ、とばかりに武者の隣に落下した。
反射的に、誾千代は武者から距離をとった。武者は、すでに素早く立ち上がっていた。手には、槍を抱えている。
誾千代を見下ろす武者の顔は、冷厳で、さきほどまでの、からかう様子は微塵も感じなかった。
「可哀相だが、死んで貰う! 女の癖に、戦場にのこのこ、顔を出した己の迂闊さに、あの世で後悔するが良い!」
武者から、誾千代に向かって、激しい殺意が放射された。誾千代は、初めて体験する、本物の殺気に、戦慄する思いだった。武者は、本気で誾千代を殺す決意だった。
これが戦場なのだ!
誾千代は静かに、自分の死を待ち受けた。
誾千代が叫ぶと、小者が小走りに近づき、愛用の槍を差し出した。
手を伸ばし、ぐいっ、と受け取ると、誾千代は敵勢を睨み据え、馬腹を蹴って、前へと飛び出した。
「お供いたします!」
甚兵衛が声を掛け、隣に並んだ。甚兵衛の後ろからは、彌七郎の馬が続いた。馬上で彌七郎は、両目を一杯に見開き、瞬きもしないで、敵の動きを見守っていた。
馬の動きに合わせ、誾千代は敵の動きを観察した。
思ったより、誾千代は冷静でいられた。初めての戦場に、口の中はからからに乾いていた。だが、不思議と恐怖は覚えなかった。
背後に従う、彌七郎の想念を、誾千代は読み取り、出撃を決意した。彌七郎は、敵味方の位置を観察し、敵の秋月勢に中陣から突き入れば、大壊乱を引き起こすと、分析していた。
誾千代の観察では、彌七郎はそこまで分析していたが、自ら「秋月軍に弱点あり! 我に続け!」との命令は、出せそうになかった。あくまで彌七郎は空想上の戦いを、想念で繰り広げるのみだった。
それなら聟殿の作戦を、自分が実行するしかない、と誾千代は決心した。
彌七郎の心に、恐怖は存在しなかった。もしかすると、恐怖を感じる能力がない、とも言えた。どうも彌七郎の心には、ごく当たり前の、危険に対する予感、他人の心理に対する気配りが、奇妙なほど欠落しているようだった。
それら欠落した心理が、名将の条件の一つかもしれない、と誾千代は思った。多数の兵士を死地に赴かせる任務を負うためには、他人の痛みに鈍感──むしろ、無感覚でなければ、務まらない。
誾千代が先頭に、隊列は混乱した戦場を突っ切った。あちらこちらで、無数の兵士が揉み合い、圧し合いして戦っていた。
その真ん中を、まるで無人の野を行くように、誾千代は進んで行く。戦場に生まれる、一種の空隙だった。
それも、中州に辿り着くまでだった。
「戸次軍だ!」
誰かが叫び、誾千代の列に、敵兵の注目が集まった。この時点で、先頭の誾千代が女とは、見抜かれていなかった。誾千代が探った範囲では、男装の誾千代を、敵の若侍と思っているようだ。
わあっ、と喚声を上げ、敵の足軽たちが、一斉に襲い掛かってきた。戦場の心理で、全員、一種の狂気に陥っていた。
敵の兵士の心には、初陣らしき若侍、易々と血祭りに上げ、首級を上げれば、出世が見込めると、ぎらぎらした欲望に溢れていた。
誾千代は、抱えていた槍を、ぶるんっ、と横に薙ぎ払った。
槍の勢いに、足軽たちは怯んだ。
誾千代は刀は得意だが、槍も使える。この時代の武芸は、専門化は進んでおらず、刀、槍、弓、一通り扱えなければ、武門の恥とされた。それぞれ得手、不得手はあったが、誾千代は甚兵衛から、槍、弓、相撲の手なども、教授されていた。
「命が惜しければ、道を空けよ!」
凛然とした誾千代の声に、敵の足軽たちは、ぎょっとした表情になった。
「女じゃ!」
「あの若武者、女じゃぞ!」
一様に下卑た表情になり、そろそろと周囲に集まってきた。
誾千代は、敵足軽たちの心を読み取り、口惜しさに唇を噛み締めた。読み取った足軽たちの心理は、戦場での功名手柄を我が手にする、から、この場で誾千代を組み伏せ、肉欲を充足させるへ、変化していた。
おのれ、下郎ども、妾を女と見て、侮るか!
誾千代の胸に、むらむらと、怒りの焔が燃え上がった。
もはや、戦場での構えも忘れ、敵足軽たちは、欲望剥き出しの脂ぎった顔つきで、蝗の群れのように、誾千代に近づいた。武器を放り投げ、わらわらと我先に群がってくる。
ぶんっ!
誾千代の抱えた槍が、空を切って一閃した。
「わあっ!」
「ひゃあっ!」
誾千代が払った穂先は、足軽たちの伸ばした指先、無防備に突き出した顔などを、一遍に切り裂いていた。足軽たちは、一斉に地面に腰を抜かし、誾千代に斬られた部分を押さえ、悶えていた。
「見たかっ! 女と見て、侮るでないっ!」
足軽たちの表情が、怒りに染まった。眉が狭まり、誾千代の見せた、見事な手並みに、沸騰した欲望が、たちまち水を掛けられたように、冷静に戻っていた。
「糞っ……!」
放り出された武器を拾い上げ、今度は慎重に、しかし手柄を立てる欲望はそのままに、誾千代の周囲を取り囲んだ。
「誾千代様っ! 御加勢いたす!」
取り囲んだ敵兵の外から、甚兵衛が大声で叫びながら、馬で突進してきた。
見るからに豪傑の風貌を持つ甚兵衛の参戦に、敵兵たちは怯みを見せた。誾千代は複雑な気持ちを抑え、甚兵衛の動きに合わせ、槍を握る手に、力を込めた。
今は敵陣を突っ切るだけに、集中すべき!
「懸かれ──っ! 敵は目の前ぞ!」
誾千代の命令に、付き従う足軽たちが、奮起した。
わあーっ、と一斉に鬨の声を上げ、誾千代を護って足軽たちは突進した。
坂道を駆け上がり、敵勢を蹴散らしながら、誾千代と足軽は進んだ。
急に、ぽかりと、目の前が開けた。開けた空の向こうに、一騎、いかにも大将と思しき武者が待ち構えていた。背後に秋月の唐花紋所の幟が旗めいていた。
ぐっと頭を下げ、誾千代は坂道を、馬を急き立て、突撃した。手にした槍を、真っ直ぐ敵武者に向けた。
「あはっ!」
敵武者は、いかにも馬鹿にしたように、誾千代に向かって、嘲笑った。
「見れば、女ではないか! ならば道雪の娘、誾千代姫とお見受けいたす。じゃが、女が戦に顔を出すとは、道雪も老いたか?」
「言うなっ! 妾の槍、受けて見よ!」
突進を続ける誾千代の姿に、武者の顔つきが真剣になった。さっと敵武者も槍を構え、誾千代に向かって、駆け下りてきた。
からっ! とお互いの穂先が、絡み合った。誾千代は下から巻き上げるように、敵武者の槍を捻り上げた。
誾千代の槍は、良く撓う。まるで柔らかな鞭が巻きつくように、誾千代の槍は、敵武者の槍を掬い上げ、撥ね上げた。
「うおっ?」
敵武者は、誾千代が見せた手練の技が意外だったのだろう。唇を窄め、槍を誾千代から奪われまいと、両脚を轡の上で踏ん張った。
それが間違いだった。
がくりっ、と片方に体重が乗せられ、敵武者の身体は鞍上で、斜めに傾いだ。
誾千代は馬を御し、馬の全体重を乗せ、敵武者にぶつかっていった。
どすん、と大きな音がして、誾千代の馬は、敵武者の馬の横にぶち当たった。激突の衝撃で、遂に武者は鞍から、転げ落ちてしまった。
武者は呻き声を上げ、何とか態勢を立て直そうと、見苦しく足掻いた。
誾千代は槍を振り被り、地面に仰向けになっている武者に向かって突き入れた。
武者は観念し、目を閉じた。
ぴたり、と誾千代の槍が、途中で止まった。槍先は、武者の胸寸前に留まっている。
死が訪れないので、武者はぱちりと、両目を見開いた。地面から誾千代を見上げ、ニッタリと笑い顔になった。
「どうした、娘! 儂をこの場で、殺すが良い! それとも、できぬか?」
はあはあと、誾千代は荒い息をついた。握り締める、槍先が、ぶるぶると震えている。
「そうか、できぬか? やはり、女じゃのう」
武者は、片腕を伸ばし、擬したままの、誾千代の槍をぐわしっ、と握り締めた。そのまま、ぐいっと引き寄せた。
出し抜けの動きに、誾千代は馬上で堪えきれず、どうっ、とばかりに武者の隣に落下した。
反射的に、誾千代は武者から距離をとった。武者は、すでに素早く立ち上がっていた。手には、槍を抱えている。
誾千代を見下ろす武者の顔は、冷厳で、さきほどまでの、からかう様子は微塵も感じなかった。
「可哀相だが、死んで貰う! 女の癖に、戦場にのこのこ、顔を出した己の迂闊さに、あの世で後悔するが良い!」
武者から、誾千代に向かって、激しい殺意が放射された。誾千代は、初めて体験する、本物の殺気に、戦慄する思いだった。武者は、本気で誾千代を殺す決意だった。
これが戦場なのだ!
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