28 / 107
スイート・ホーム
3
しおりを挟む
シルバーが向かったのは《鉄槌》の艦橋だった。
艦橋は、それ自体、余裕で小型戦艦を納めることができるくらい広い。何層にも重なった操作卓には、様々な〝種族〟あるいは〝種族〟同士の雑種が各々の仕事を続けている。宇宙海賊らしからぬ整然とした仕事振りだ。
艦橋の中心の空間には、巨大な球体が浮かんでいる。立体三次元レーダーである。
艦長席に座ったシルバーに、飛び出るような巨大な両目をした〝種族〟が振り向き、報告した。
「艦長! 首都惑星から警察の宇宙艇が数隻、こっちへ向かってきます! 全速力です!」
シルバーは、にやりと笑って頷いた。
「よしよし、今頃やって来たって遅い! 超空間ジェネレーター用意! 無反動スラスター始動! 亜光速に移る」
シルバーの命令に原型の乗組員が超空間ジェネレーターの前に座った。
超空間ジェネレーターを始動できるのは遺伝子が小数点以下十一桁以上一致する原型の人間だけである。
理由は全然わからない。
ともかく、恒星間を飛び越える超空間ジャンプに必要な超空間ジェネレーターを始動できるのは原型の人間と決まっている。このため〝種族〟によって蔑まれ、軽蔑されている原型であるが、超空間ジェネレーターの始動係として、あらゆる宇宙船に搭乗している。その結果、原型の人間は銀河系のありとあらゆる星系に見られることになった。
超空間ジェネレーターが原型の人間にしか操作できない理由については、謎だった。
ジェネレーターのプログラムに原型の人間であることを識別する何かが仕込まれているのではないか、という疑いに、コンピューター・プログラムを得意とする〝種族〟によって徹底的に逆コンパイルされたが、そういったプログラム・コードは遂に発見できずに至っている。ジェネレーターの機構そのものにも、操作する人間の遺伝子を走査するメカニズムは存在せず、結局は宇宙の構造そのものが原型の人間による操作でしか超空間ジェネレーターを始動させられない何かがある、としか結論するしかなかった。
無反動スラスターが戦艦《鉄槌》を亜光速に加速させる。
光行差現象により船窓前方の宇宙空間に星が集まり、青方偏移で進行方向のスペクトルがX線領域までズレこんでいく。逆に後方の星は滲んで、赤方偏移を起こし、暗く固まった熾火のような光になった。
「光速度の九十九パーセントに達しました!」
部下の報告にシルバーは叫び返した。
「超空間ジェネレーター始動!」
原型の乗組員が超空間ジェネレーターのスイッチを入れた!
艦橋は、それ自体、余裕で小型戦艦を納めることができるくらい広い。何層にも重なった操作卓には、様々な〝種族〟あるいは〝種族〟同士の雑種が各々の仕事を続けている。宇宙海賊らしからぬ整然とした仕事振りだ。
艦橋の中心の空間には、巨大な球体が浮かんでいる。立体三次元レーダーである。
艦長席に座ったシルバーに、飛び出るような巨大な両目をした〝種族〟が振り向き、報告した。
「艦長! 首都惑星から警察の宇宙艇が数隻、こっちへ向かってきます! 全速力です!」
シルバーは、にやりと笑って頷いた。
「よしよし、今頃やって来たって遅い! 超空間ジェネレーター用意! 無反動スラスター始動! 亜光速に移る」
シルバーの命令に原型の乗組員が超空間ジェネレーターの前に座った。
超空間ジェネレーターを始動できるのは遺伝子が小数点以下十一桁以上一致する原型の人間だけである。
理由は全然わからない。
ともかく、恒星間を飛び越える超空間ジャンプに必要な超空間ジェネレーターを始動できるのは原型の人間と決まっている。このため〝種族〟によって蔑まれ、軽蔑されている原型であるが、超空間ジェネレーターの始動係として、あらゆる宇宙船に搭乗している。その結果、原型の人間は銀河系のありとあらゆる星系に見られることになった。
超空間ジェネレーターが原型の人間にしか操作できない理由については、謎だった。
ジェネレーターのプログラムに原型の人間であることを識別する何かが仕込まれているのではないか、という疑いに、コンピューター・プログラムを得意とする〝種族〟によって徹底的に逆コンパイルされたが、そういったプログラム・コードは遂に発見できずに至っている。ジェネレーターの機構そのものにも、操作する人間の遺伝子を走査するメカニズムは存在せず、結局は宇宙の構造そのものが原型の人間による操作でしか超空間ジェネレーターを始動させられない何かがある、としか結論するしかなかった。
無反動スラスターが戦艦《鉄槌》を亜光速に加速させる。
光行差現象により船窓前方の宇宙空間に星が集まり、青方偏移で進行方向のスペクトルがX線領域までズレこんでいく。逆に後方の星は滲んで、赤方偏移を起こし、暗く固まった熾火のような光になった。
「光速度の九十九パーセントに達しました!」
部下の報告にシルバーは叫び返した。
「超空間ジェネレーター始動!」
原型の乗組員が超空間ジェネレーターのスイッチを入れた!
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あまりさんののっぴきならない事情
菱沼あゆ
キャラ文芸
強引に見合い結婚させられそうになって家出し、憧れのカフェでバイトを始めた、あまり。
充実した日々を送っていた彼女の前に、驚くような美形の客、犬塚海里《いぬづか かいり》が現れた。
「何故、こんなところに居る? 南条あまり」
「……嫌な人と結婚させられそうになって、家を出たからです」
「それ、俺だろ」
そーですね……。
カフェ店員となったお嬢様、あまりと常連客となった元見合い相手、海里の日常。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる