58 / 107
宇宙に浮かぶ森
4
しおりを挟む
「変ね……」
操縦室の副操縦席から宙森の格納庫を見渡し、原型の少女がぽつりと呟いた。
隣の主操縦席でシルバーは少女を見た。少女は真剣な表情で窓の外を見つめている。
「何が変なのだ?」
「原型の人間が、一人もいないわ」
少女の言葉にシルバーは身を乗り出し、窓に顔を近づけた。
「そうだな……ここにいるのは〝種族〟の連中ばかりだ。原型は一人もいない」
なぜだろう、とシルバーは内心で首を捻っていた。宇宙船が立ち寄るありとあらゆる宇宙港には、かならず原型の人間の姿を見ることができる。例外はない。
宙森の宇宙港管制官の指示で停泊エリアにシルバーは《弾頭》を着陸させ、入港手続きを待っている。
モニターにボーラン人の管理官が映る。最近では、こういった役人仕事は何でもかんでもボーラン人ばかりだ。四角四面で、規則以外のことは一ミリだって、はみ出そうとしない性格が向いているのだろう。
ボーラン人はキチキチと聞こえる声で話し出した。
「そちらの船籍、および船名を確認した。船主はシルバー。それに、同乗する原型の人間がいるな。名前は?」
シルバーは思わず少女を見た。少女は傷つけられた表情になる。
「シルバーさん、あたしの名前を知らないの? 知らないで乗せたの?」
「すまん……」
シルバーは口許をへの字に曲げた。なんてこった! こんなところで、原型の少女と言い合う羽目になるとは……!
「いい、シルバーさん。あたしはアルニって言うのよ。さあ、あのボーラン人に、あたしの名前を教えてあげなさいよ」
唯々諾々とシルバーは従った。ともかくここは、入港許可を貰うことが先決である。
手続きが済み、シルバーはアルニと名乗った少女と一緒に格納庫に降り立った。
アルニは気分を害している表情だ。降り立つと、さよならも言わず、さっさとゲートに向かって歩き去った。
見送ったシルバーは肩を竦め、それきり少女のことは念頭から消え去った。瞬間、思考は切り替わる。
ともかく無事、入港手続きは済んだ。
次にすべきことは決まっている。《呑竜》を探すのだ!
何としてでも〝伝説の星〟の星図を手に入れる。キャシーが隠している場所は、もう見当がついている。
にやりと、シルバーは笑いを浮かべた。
操縦室の副操縦席から宙森の格納庫を見渡し、原型の少女がぽつりと呟いた。
隣の主操縦席でシルバーは少女を見た。少女は真剣な表情で窓の外を見つめている。
「何が変なのだ?」
「原型の人間が、一人もいないわ」
少女の言葉にシルバーは身を乗り出し、窓に顔を近づけた。
「そうだな……ここにいるのは〝種族〟の連中ばかりだ。原型は一人もいない」
なぜだろう、とシルバーは内心で首を捻っていた。宇宙船が立ち寄るありとあらゆる宇宙港には、かならず原型の人間の姿を見ることができる。例外はない。
宙森の宇宙港管制官の指示で停泊エリアにシルバーは《弾頭》を着陸させ、入港手続きを待っている。
モニターにボーラン人の管理官が映る。最近では、こういった役人仕事は何でもかんでもボーラン人ばかりだ。四角四面で、規則以外のことは一ミリだって、はみ出そうとしない性格が向いているのだろう。
ボーラン人はキチキチと聞こえる声で話し出した。
「そちらの船籍、および船名を確認した。船主はシルバー。それに、同乗する原型の人間がいるな。名前は?」
シルバーは思わず少女を見た。少女は傷つけられた表情になる。
「シルバーさん、あたしの名前を知らないの? 知らないで乗せたの?」
「すまん……」
シルバーは口許をへの字に曲げた。なんてこった! こんなところで、原型の少女と言い合う羽目になるとは……!
「いい、シルバーさん。あたしはアルニって言うのよ。さあ、あのボーラン人に、あたしの名前を教えてあげなさいよ」
唯々諾々とシルバーは従った。ともかくここは、入港許可を貰うことが先決である。
手続きが済み、シルバーはアルニと名乗った少女と一緒に格納庫に降り立った。
アルニは気分を害している表情だ。降り立つと、さよならも言わず、さっさとゲートに向かって歩き去った。
見送ったシルバーは肩を竦め、それきり少女のことは念頭から消え去った。瞬間、思考は切り替わる。
ともかく無事、入港手続きは済んだ。
次にすべきことは決まっている。《呑竜》を探すのだ!
何としてでも〝伝説の星〟の星図を手に入れる。キャシーが隠している場所は、もう見当がついている。
にやりと、シルバーは笑いを浮かべた。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あまりさんののっぴきならない事情
菱沼あゆ
キャラ文芸
強引に見合い結婚させられそうになって家出し、憧れのカフェでバイトを始めた、あまり。
充実した日々を送っていた彼女の前に、驚くような美形の客、犬塚海里《いぬづか かいり》が現れた。
「何故、こんなところに居る? 南条あまり」
「……嫌な人と結婚させられそうになって、家を出たからです」
「それ、俺だろ」
そーですね……。
カフェ店員となったお嬢様、あまりと常連客となった元見合い相手、海里の日常。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる