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決戦! 宙森対《鉄槌》
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《弾頭》が宙森に接近していくと、ハブから温存されていた敵宇宙戦艦が迎撃態勢をとって、接近を許すまじと攻撃を加えてくる。
《鉄槌》からシルバーの護衛に駆けつけた戦艦がそれを迎え撃ち、激しい宇宙戦闘が開始された。
「こちら《弾頭》のシルバーだ! 本艦は、これから宙森のハブ格納庫に突入する。全艦、援護して突入を開始せよ!」
シルバーが艦長席からホロ・スクリーンに開いた各宇宙戦艦の艦長に命令すると、きびきびした答が返ってくる。
「了解! シルバー司令官の突入を援護します! 全砲列、敵宇宙戦艦に照準あわせ!」
「こちら揚陸強襲艦! 突入の準備よし!」
「上陸部隊、全員装備完了!」
宇宙空間にX線レーザー、反陽子・プラズマ・ビーム、更には、亜光速に加速され、質量を増した帯電した粒子を放つ加速粒子砲などの武器が宇宙塵を励起させ、ぞっとするような光束が瞬く。
ほとんどはこのために展開された防護バリアで中和されるが、それでも受け止められずバリアを破壊され、装甲を貫かれた宇宙船が火の玉となって大爆発を起こす。
細いビームで切断された船体から、真空中に乗員が投げ出され、不運にも宇宙服を身につける暇のない犠牲者がばたばたと藻掻いている光景を見て、ジムは「これが戦争なのか!」と、改めて戦慄を感じていた。
さっき自分が攻撃できないでいたことにガッカリしていたのが馬鹿みたいだ。もし、自分で砲を操作する羽目になっていたら、冷静になれたかどうか、怪しいものである。
激しい宙森からの攻撃を縫い、《弾頭》はじりじりとハブへと接近を続けていた。
《弾頭》は戦闘できる要員がいないことで、逆に防護バリアに全エネルギーを傾注できていて、宙森からの攻撃にびくともせず、悠然と近づいていく。味方の宇宙戦艦は《弾頭》の強化されたバリアを盾に、密集隊形を作って続いていた。
「格納庫入口は、防護バリアが張られているぜ! どうする?」
操縦席の表示を読み取り、ジムはシルバーに振り返って叫ぶ。シルバーは「ふん」と鼻を鳴らし、冷静な口調で返事する。
「構わん! このまま突っ込め! 防護バリアの役目は、本来ビーム攻撃を中和することにある。物質の突入には役立たん。バリアの境界を突破するとき、不快な気分になるが、気にしなくてもいい」
宙森の格納庫入口は、真っ黒な防護バリアが張り巡らされ、内部の様子は窺うことができない。「ままよ」とばかりにジムは姿勢制御噴射を効かせ、《弾頭》の楔形の船首を入口へと突っ込ませる。
隣席ではキャシーが刻々と接近している宙森の格納庫までの距離を読み上げている。
「距離一〇〇〇……八〇〇……六〇〇……」
艦内に衝突警報が鳴り響く。ディスプレイには艦のコースを変えるよう、コンピューターがしつこく報告を表示している。遂に人工音声が発せられた。
「本艦は前方の物体と衝突の危険があります。コースを変更することを忠告します。繰り返します本艦は前方の……」
「うるせえっ!」
シルバーが声の限りに怒鳴る。
ぴた、と警報音が停止した。
ジムはシルバーを見て「どういうこった? 黙らせちまったぜ!」と声を掛けた。
シルバーは肩を竦めた。《弾頭》はシルバーの所有物である。シルバーの命令にはすべて最優先権が与えられている。艦内のコンピューターは、シルバーの声紋を認識して、その命令に従っただけなのだ。
キャシーが目を見開き、接近してくる宙森の格納庫入口を睨み、宣告する。
「距離一〇〇!」
《弾頭》の楔形の船首が、宙森格納庫入口全体を覆っている、真っ黒な防護バリアに突っ込んでいく。船首が突き刺さる瞬間、防護バリア全体に漣のように青白い光が波打った。
バリアを通過する瞬間、ジムの全身に、言いようのない冷気が貫いた。
「わっ!」「ひっ!」とアルニとヘロヘロが小さな悲鳴を上げた。
ばちばちばちっ! と《弾頭》の船窓に火花が散る。見ると格納庫には手に手に武器を持った宙森の軍隊が待ち構えていた。
背後のモニターには、《鉄槌》上陸部隊の揚陸強襲艦が防護バリアを次々と突き抜け、格納庫に着地してくる。
着地した瞬間、大型のハッチが開き、中からバトル・スーツを装備した兵士が現れた。兵士たちはさっと武器を構え、宙森の軍隊に狙いをつける。双方でたちまち接近戦が開始される。
ジムは横噴射を利かせて《弾頭》を横滑りさせながら甲板に着地させ、艦体を盾にした。《鉄槌》側の戦闘員は、さっと《弾頭》の艦体ごしから攻撃を加える。
宙森の攻撃側は、じりじりと後退を始める。
ついに支えきれず、スポークへと追い込まれていく。大慌てで手近の木製の装備を引き剥がし、バリケードを築き上げる。
《鉄槌》の戦闘指揮官が、嗄れ声を張り上げた。
「突っ込めえええっ!」
「うおおおっ!」と雄叫びを上げて《鉄槌》戦闘員が格闘斧を手に走り出す。宙森側の木製のバリケードを、戦闘員の斧が叩き壊し、突入口を切り開く。
攻防は一進一退を繰り返した。が、《鉄槌》の攻撃が優勢で、宙森の戦闘員は遂に雪崩を打つように退いていく。
それを見て、シルバーが勢い良く立ち上がると猛然とエア・ロックへ向かった。
「行くぜ!」
ジムは叫んでシルバーの後を追ってエア・ロックから外へ飛び出した。キャシーとヘロヘロ、ガラスの管理人が続く。
と、ジムは立ち止まった。エア・ロックから艦内を覗き込むと、アルニが真っ青な顔で立ち竦んでいる。
「あ、あたし、行けない……!」
両手を組み合わせ、身を捩るようにして、いやいやをする。ジムは肩を竦めた。
すると、シルバーがさっと艦内に飛び込んだ。ぎろりと立ち竦んでいるアルニを睨みつけ、轟くような声で吠えた。
「どうした! 何を愚図愚図している?」
アルニの瞳に涙が溢れる。
「許して……!」
シルバーは「うむ」と頷いた。
「よし、お前はここで、おれたちを待て。そうだ、お前に任務を与える。ここへ座れ!」
いきなりシルバーはアルニの両脇に手を入れ、抱え上げると操縦席に無理矢理ぐいっと座らせる。
呆然とアルニは目の前のコンソールを見つめる。シルバーはコンソールの一角を指差した。
指先には一個のボタンがあった。てきぱきとシルバーはコンソールの装置を操作して、なにか調整している。その作業を続けながら、アルニに話し掛けた。
「これが見えるな? もしものときは、こいつを押せ! ただし、命の危険がありそうなときに限るぞ!」
アルニは青ざめた顔をシルバーに向けた。
「押すと、どうなるの?」
「自爆する。《弾頭》の核融合炉が崩壊し、一瞬で跡形も残らない。安心しろ、苦痛はない」
「自爆!」
シルバーの冷徹な口調に、アルニは卒倒しそうな顔つきであった。シルバーは片手をアルニの肩に置いた。
「頼んだぞ。いいな!」
アルニは目を一杯に見開き、がくがくと操り人形のように何度も頷く。シルバーの口許に微かに笑みが浮かぶ。ジムたちに顔を向け、怒鳴った。
「行くぞ! 思わぬ手間を取った」
ジムは「うん」と頷き、再び外へ飛び出した。飛び出す寸前、ちらりと艦内を覗き込むと、アルニは目の前のボタンを見つめ、彫像のように凍り付いている。
大股で歩くシルバーに追いつき、声を掛けた。
「さっきの自爆スイッチって、なんの冗談だい?」
シルバーは、ぐずりと笑いを零した。
「気がついていたのか? まあ、ああ言えば、あの娘は、余計なことを考えて悩まないだろうと思ってな」
「じゃあ、あのボタンは?」
シルバーは歩きながら《弾頭》を振り返る。釣られてジムも見上げると、船窓からアルニが心細そうな表情で見送っていた。
「まあ、本当にあの娘が生命の危険を感じたら……押すかどうか判らんが、もし押したら驚くこと請け合いだ!」
《鉄槌》からシルバーの護衛に駆けつけた戦艦がそれを迎え撃ち、激しい宇宙戦闘が開始された。
「こちら《弾頭》のシルバーだ! 本艦は、これから宙森のハブ格納庫に突入する。全艦、援護して突入を開始せよ!」
シルバーが艦長席からホロ・スクリーンに開いた各宇宙戦艦の艦長に命令すると、きびきびした答が返ってくる。
「了解! シルバー司令官の突入を援護します! 全砲列、敵宇宙戦艦に照準あわせ!」
「こちら揚陸強襲艦! 突入の準備よし!」
「上陸部隊、全員装備完了!」
宇宙空間にX線レーザー、反陽子・プラズマ・ビーム、更には、亜光速に加速され、質量を増した帯電した粒子を放つ加速粒子砲などの武器が宇宙塵を励起させ、ぞっとするような光束が瞬く。
ほとんどはこのために展開された防護バリアで中和されるが、それでも受け止められずバリアを破壊され、装甲を貫かれた宇宙船が火の玉となって大爆発を起こす。
細いビームで切断された船体から、真空中に乗員が投げ出され、不運にも宇宙服を身につける暇のない犠牲者がばたばたと藻掻いている光景を見て、ジムは「これが戦争なのか!」と、改めて戦慄を感じていた。
さっき自分が攻撃できないでいたことにガッカリしていたのが馬鹿みたいだ。もし、自分で砲を操作する羽目になっていたら、冷静になれたかどうか、怪しいものである。
激しい宙森からの攻撃を縫い、《弾頭》はじりじりとハブへと接近を続けていた。
《弾頭》は戦闘できる要員がいないことで、逆に防護バリアに全エネルギーを傾注できていて、宙森からの攻撃にびくともせず、悠然と近づいていく。味方の宇宙戦艦は《弾頭》の強化されたバリアを盾に、密集隊形を作って続いていた。
「格納庫入口は、防護バリアが張られているぜ! どうする?」
操縦席の表示を読み取り、ジムはシルバーに振り返って叫ぶ。シルバーは「ふん」と鼻を鳴らし、冷静な口調で返事する。
「構わん! このまま突っ込め! 防護バリアの役目は、本来ビーム攻撃を中和することにある。物質の突入には役立たん。バリアの境界を突破するとき、不快な気分になるが、気にしなくてもいい」
宙森の格納庫入口は、真っ黒な防護バリアが張り巡らされ、内部の様子は窺うことができない。「ままよ」とばかりにジムは姿勢制御噴射を効かせ、《弾頭》の楔形の船首を入口へと突っ込ませる。
隣席ではキャシーが刻々と接近している宙森の格納庫までの距離を読み上げている。
「距離一〇〇〇……八〇〇……六〇〇……」
艦内に衝突警報が鳴り響く。ディスプレイには艦のコースを変えるよう、コンピューターがしつこく報告を表示している。遂に人工音声が発せられた。
「本艦は前方の物体と衝突の危険があります。コースを変更することを忠告します。繰り返します本艦は前方の……」
「うるせえっ!」
シルバーが声の限りに怒鳴る。
ぴた、と警報音が停止した。
ジムはシルバーを見て「どういうこった? 黙らせちまったぜ!」と声を掛けた。
シルバーは肩を竦めた。《弾頭》はシルバーの所有物である。シルバーの命令にはすべて最優先権が与えられている。艦内のコンピューターは、シルバーの声紋を認識して、その命令に従っただけなのだ。
キャシーが目を見開き、接近してくる宙森の格納庫入口を睨み、宣告する。
「距離一〇〇!」
《弾頭》の楔形の船首が、宙森格納庫入口全体を覆っている、真っ黒な防護バリアに突っ込んでいく。船首が突き刺さる瞬間、防護バリア全体に漣のように青白い光が波打った。
バリアを通過する瞬間、ジムの全身に、言いようのない冷気が貫いた。
「わっ!」「ひっ!」とアルニとヘロヘロが小さな悲鳴を上げた。
ばちばちばちっ! と《弾頭》の船窓に火花が散る。見ると格納庫には手に手に武器を持った宙森の軍隊が待ち構えていた。
背後のモニターには、《鉄槌》上陸部隊の揚陸強襲艦が防護バリアを次々と突き抜け、格納庫に着地してくる。
着地した瞬間、大型のハッチが開き、中からバトル・スーツを装備した兵士が現れた。兵士たちはさっと武器を構え、宙森の軍隊に狙いをつける。双方でたちまち接近戦が開始される。
ジムは横噴射を利かせて《弾頭》を横滑りさせながら甲板に着地させ、艦体を盾にした。《鉄槌》側の戦闘員は、さっと《弾頭》の艦体ごしから攻撃を加える。
宙森の攻撃側は、じりじりと後退を始める。
ついに支えきれず、スポークへと追い込まれていく。大慌てで手近の木製の装備を引き剥がし、バリケードを築き上げる。
《鉄槌》の戦闘指揮官が、嗄れ声を張り上げた。
「突っ込めえええっ!」
「うおおおっ!」と雄叫びを上げて《鉄槌》戦闘員が格闘斧を手に走り出す。宙森側の木製のバリケードを、戦闘員の斧が叩き壊し、突入口を切り開く。
攻防は一進一退を繰り返した。が、《鉄槌》の攻撃が優勢で、宙森の戦闘員は遂に雪崩を打つように退いていく。
それを見て、シルバーが勢い良く立ち上がると猛然とエア・ロックへ向かった。
「行くぜ!」
ジムは叫んでシルバーの後を追ってエア・ロックから外へ飛び出した。キャシーとヘロヘロ、ガラスの管理人が続く。
と、ジムは立ち止まった。エア・ロックから艦内を覗き込むと、アルニが真っ青な顔で立ち竦んでいる。
「あ、あたし、行けない……!」
両手を組み合わせ、身を捩るようにして、いやいやをする。ジムは肩を竦めた。
すると、シルバーがさっと艦内に飛び込んだ。ぎろりと立ち竦んでいるアルニを睨みつけ、轟くような声で吠えた。
「どうした! 何を愚図愚図している?」
アルニの瞳に涙が溢れる。
「許して……!」
シルバーは「うむ」と頷いた。
「よし、お前はここで、おれたちを待て。そうだ、お前に任務を与える。ここへ座れ!」
いきなりシルバーはアルニの両脇に手を入れ、抱え上げると操縦席に無理矢理ぐいっと座らせる。
呆然とアルニは目の前のコンソールを見つめる。シルバーはコンソールの一角を指差した。
指先には一個のボタンがあった。てきぱきとシルバーはコンソールの装置を操作して、なにか調整している。その作業を続けながら、アルニに話し掛けた。
「これが見えるな? もしものときは、こいつを押せ! ただし、命の危険がありそうなときに限るぞ!」
アルニは青ざめた顔をシルバーに向けた。
「押すと、どうなるの?」
「自爆する。《弾頭》の核融合炉が崩壊し、一瞬で跡形も残らない。安心しろ、苦痛はない」
「自爆!」
シルバーの冷徹な口調に、アルニは卒倒しそうな顔つきであった。シルバーは片手をアルニの肩に置いた。
「頼んだぞ。いいな!」
アルニは目を一杯に見開き、がくがくと操り人形のように何度も頷く。シルバーの口許に微かに笑みが浮かぶ。ジムたちに顔を向け、怒鳴った。
「行くぞ! 思わぬ手間を取った」
ジムは「うん」と頷き、再び外へ飛び出した。飛び出す寸前、ちらりと艦内を覗き込むと、アルニは目の前のボタンを見つめ、彫像のように凍り付いている。
大股で歩くシルバーに追いつき、声を掛けた。
「さっきの自爆スイッチって、なんの冗談だい?」
シルバーは、ぐずりと笑いを零した。
「気がついていたのか? まあ、ああ言えば、あの娘は、余計なことを考えて悩まないだろうと思ってな」
「じゃあ、あのボタンは?」
シルバーは歩きながら《弾頭》を振り返る。釣られてジムも見上げると、船窓からアルニが心細そうな表情で見送っていた。
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