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決戦! 宙森対《鉄槌》
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《大校母》は緊急脱出用の小型艇に乗り込み、ここを先途と脱出を企ていた。
逃げなくてはならぬ!
折角の計画がシルバーによって目茶目茶にされたが、なんとか生き延びて、復活を目論むつもりであった。
脱出艇に乗り込む寸前、部下たちにはフェロモンをたっぷり浴びせ、死の恐怖にも打ち勝つほどの戦闘意欲を吹き込んでおいたが、シルバー相手にどれほど保つのやら……。
《大校母》は、自ら脱出艇の操縦桿を握りしめ、襲ってくる陣痛に耐えた。こんなときに出産などしている場合ではない。脱出艇には、宙森の〝種〟が積み込んである。これを適当な太陽系に運び、彗星の核へ植えれば、百年ほどで一丁前の宙森が育つのである。そこを根城に、もう一度じっくり計画をやり直す!
しかし、この脱出艇には超空間ジェネレーターが装備されていない。脱出を完全にするためには、ジェネレーターの装備されている宇宙船が必要なのだ。
狂おしく《大校母》は脱出艇の窓から、いくつも並んでいる宙森の格納庫入口を眺めた。
やはりどの格納庫にも、宇宙船は残っていない。シルバー相手の宇宙戦争により悉く失われて、何も残っていないのだ。
と、そこで《大校母》の目が、一つの格納庫に吸い寄せられた。
宇宙船が停泊している! しかもジェネレーターを完備した、大型の宇宙船だ!
あれは……シルバーの巡洋艦《弾頭》ではないか!
《大校母》はコンソールを操作して、《弾頭》の主コンピューターを呼び出した。《大校母》ら、宇宙海賊共通の暗号で、《弾頭》のコンピューターを遠隔操作して、船内の様子を表示させる。モニターに映し出された《弾頭》操舵室には、原型の娘がぽつねんと操縦席に座って、所在無げな様子である。娘は妙な格好をしていた。猫の形の耳の飾り物を頭に被り、クラシックなメイドの服装を身につけている。
もってこいだ! ジェネレーターを装備し、かつまた原型がいるというのは《大校母》に絶好のお膳立てである。腹立たしいことに、ジェネレーターは原型の人間のみしか、操作できないのだ。
格納庫には見張りすらいない。舌なめずりをして《大校母》は脱出艇の艇首を、その格納庫へ向けた。そろそろとにじり寄るように巡洋艦の近くに着地させる。〝種〟の入ったケースを抱え、巨体をずるり、べたりと動かしながらエア・ロックへ向かった。
ぼろぼろと巨体の後ろから赤ん坊を吐き出しながら、《大校母》はえっちらおっちらと重い身体を運んでいく。
エア・ロックから操舵室へ直行する船内エレベーターに潜り込む。エレベーターのコンピューターに「操舵室へ!」と叫ぶと、重力コントロールにより、エレベーターは動き出した。
漸く《弾頭》の操舵室へ侵入した。
のそりと《大校母》が這いこむと、原型の娘が気付き、弾かれたように立ち上がる。
「あんた、だれ?」
「あたしは宙森の《大校母》。この巡洋艦を頂くよ! さあ、操縦席に座りな!」
すっかり《大校母》の口調は、宇宙海賊の姐御のような、伝法なものに変わっていた。いや、お里に戻ったというべきか。手には剣呑な輝きを放つ銃を握っている。
おろおろと原型の娘は助けを呼ぶように、視線を目ま狂おしくさ迷わせる。しかし助けなど、来るはずもない!
「さあ! あたいの言うとおり、ジェネレーターの前に座るんだ!」
ぐい、と銃を振ると、原型の娘はよろよろと後じさり後ろ手で操縦席を探る。
と、娘の厚底のブーツがかくん、と横になった。まるで実用的でない、厚底のため、転んだのだ。
一声「きゃあっ!」と悲鳴を上げ、原型の娘は横倒しになりそうな体を支えるため、コンソールに手をついた。瞬間、指先が一つのボタンを押していた!
ぱぱぱぱぱっ! と、操縦室全体のコンソールに、いきなり灯が点る。ひゅうーん……と、エンジンに火が入り、巡洋艦は誰にも操縦されることなく、格納庫から浮き上がる。
「なんだいっ! 自動操縦なのかい?」
だしぬけの出来事に《大校母》はうろたえていた。巡洋艦は格納庫を脱け出、ぐんぐんと加速していく。航法モニターに、遠ざかる宙森が見えていた。
「どこへ向かっているんだ? 教えなっ!」
「し、知らないわ……てっきり、自爆ボタンだと思っていたのに……」
真っ青な顔で娘は答える。
「自爆ボタンだってえ?」
言い合いしている間にも、《弾頭》は加速を続け、遂に亜光速に達した。超空間が開く!
《弾頭》は超光速ジェネレーターを起動させていたのである。シルバーがセッティングしたとき、アルニの指がボタンを押すと同時に、超空間ジェネレーターを起動させるよう、回路を組み上げていたのだ。
こうして《弾頭》が向かったのは……。
逃げなくてはならぬ!
折角の計画がシルバーによって目茶目茶にされたが、なんとか生き延びて、復活を目論むつもりであった。
脱出艇に乗り込む寸前、部下たちにはフェロモンをたっぷり浴びせ、死の恐怖にも打ち勝つほどの戦闘意欲を吹き込んでおいたが、シルバー相手にどれほど保つのやら……。
《大校母》は、自ら脱出艇の操縦桿を握りしめ、襲ってくる陣痛に耐えた。こんなときに出産などしている場合ではない。脱出艇には、宙森の〝種〟が積み込んである。これを適当な太陽系に運び、彗星の核へ植えれば、百年ほどで一丁前の宙森が育つのである。そこを根城に、もう一度じっくり計画をやり直す!
しかし、この脱出艇には超空間ジェネレーターが装備されていない。脱出を完全にするためには、ジェネレーターの装備されている宇宙船が必要なのだ。
狂おしく《大校母》は脱出艇の窓から、いくつも並んでいる宙森の格納庫入口を眺めた。
やはりどの格納庫にも、宇宙船は残っていない。シルバー相手の宇宙戦争により悉く失われて、何も残っていないのだ。
と、そこで《大校母》の目が、一つの格納庫に吸い寄せられた。
宇宙船が停泊している! しかもジェネレーターを完備した、大型の宇宙船だ!
あれは……シルバーの巡洋艦《弾頭》ではないか!
《大校母》はコンソールを操作して、《弾頭》の主コンピューターを呼び出した。《大校母》ら、宇宙海賊共通の暗号で、《弾頭》のコンピューターを遠隔操作して、船内の様子を表示させる。モニターに映し出された《弾頭》操舵室には、原型の娘がぽつねんと操縦席に座って、所在無げな様子である。娘は妙な格好をしていた。猫の形の耳の飾り物を頭に被り、クラシックなメイドの服装を身につけている。
もってこいだ! ジェネレーターを装備し、かつまた原型がいるというのは《大校母》に絶好のお膳立てである。腹立たしいことに、ジェネレーターは原型の人間のみしか、操作できないのだ。
格納庫には見張りすらいない。舌なめずりをして《大校母》は脱出艇の艇首を、その格納庫へ向けた。そろそろとにじり寄るように巡洋艦の近くに着地させる。〝種〟の入ったケースを抱え、巨体をずるり、べたりと動かしながらエア・ロックへ向かった。
ぼろぼろと巨体の後ろから赤ん坊を吐き出しながら、《大校母》はえっちらおっちらと重い身体を運んでいく。
エア・ロックから操舵室へ直行する船内エレベーターに潜り込む。エレベーターのコンピューターに「操舵室へ!」と叫ぶと、重力コントロールにより、エレベーターは動き出した。
漸く《弾頭》の操舵室へ侵入した。
のそりと《大校母》が這いこむと、原型の娘が気付き、弾かれたように立ち上がる。
「あんた、だれ?」
「あたしは宙森の《大校母》。この巡洋艦を頂くよ! さあ、操縦席に座りな!」
すっかり《大校母》の口調は、宇宙海賊の姐御のような、伝法なものに変わっていた。いや、お里に戻ったというべきか。手には剣呑な輝きを放つ銃を握っている。
おろおろと原型の娘は助けを呼ぶように、視線を目ま狂おしくさ迷わせる。しかし助けなど、来るはずもない!
「さあ! あたいの言うとおり、ジェネレーターの前に座るんだ!」
ぐい、と銃を振ると、原型の娘はよろよろと後じさり後ろ手で操縦席を探る。
と、娘の厚底のブーツがかくん、と横になった。まるで実用的でない、厚底のため、転んだのだ。
一声「きゃあっ!」と悲鳴を上げ、原型の娘は横倒しになりそうな体を支えるため、コンソールに手をついた。瞬間、指先が一つのボタンを押していた!
ぱぱぱぱぱっ! と、操縦室全体のコンソールに、いきなり灯が点る。ひゅうーん……と、エンジンに火が入り、巡洋艦は誰にも操縦されることなく、格納庫から浮き上がる。
「なんだいっ! 自動操縦なのかい?」
だしぬけの出来事に《大校母》はうろたえていた。巡洋艦は格納庫を脱け出、ぐんぐんと加速していく。航法モニターに、遠ざかる宙森が見えていた。
「どこへ向かっているんだ? 教えなっ!」
「し、知らないわ……てっきり、自爆ボタンだと思っていたのに……」
真っ青な顔で娘は答える。
「自爆ボタンだってえ?」
言い合いしている間にも、《弾頭》は加速を続け、遂に亜光速に達した。超空間が開く!
《弾頭》は超光速ジェネレーターを起動させていたのである。シルバーがセッティングしたとき、アルニの指がボタンを押すと同時に、超空間ジェネレーターを起動させるよう、回路を組み上げていたのだ。
こうして《弾頭》が向かったのは……。
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