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狸穴{まみあな}の巻
二
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やがて豆狸は、声を上げた。
「ここで御座います!」
立ち止まると、崖に階段が刻まれている。階段はくねくねと曲がりくねりながら、崖の上へと続いている。
「ここを登るのか?」
「さようで御座います。この上に、狸穴へと続く道が御座います」
豆狸の言葉に、お花は呆れた。
「まだ着かないの? ずいぶん、遠いのね」
「ともかく、登って見ようぜ」
時太郎は先頭に立って階段を登り始めた。
階段は岩壁を直に鑿などで刻まれたものらしく、不揃いで時々途切れたり、妙な間隔が空いたりしている。
幅は狭く、今にも転げ落ちそうで、気の弱いものなら登攀を諦めてしまいそうだ。
ようやく頂上に着くと、そこには小さな小屋が掛かっていた。
小屋の前には長椅子があり、そこには一匹の狸が傲然と腰を下ろし、煙管をぷかーり、ぷかりと悠長に吹かしている。
狸は、じろりと時太郎とお花の肩に乗っている豆狸を見て口を開いた。
「何のようだね? お前さんの肩に乗っているのは、狸御殿の豆狸のようだが」
お花が話しかけた。
「こんにちわ! あたしたち、狸穴へ行きたいんだけど、ここから行けるのかしら」
狸は、ふむ、と鷹揚に頷いた。
「狸穴へ行きたいのか。それなら、それに乗りな。その豆狸なら、道を知っているはず」
手にした煙管の先を振って指し示す。
そこには四つの車輪を持った奇妙な台が置かれていた。車輪の下には鉄製らしき軌条が二本、長々と視線の届く限り先にと続いている。台の上には棒の上に横に渡された把手がついている。
「これは……なんだい?」
時太郎の質問に狸は答えた。
「簡便手押式台車だ! そいつに乗れば、真っ直ぐ狸穴に着ける。行きは下り坂だから、楽だぜ。ただし、帰りは相当に辛いがね」
恐る恐る二人は簡便手押式台車の台に乗った。目の前の把手を掴む。
時太郎は、ぐいっ、と把手を押し下げた。
がくん、と微かな衝撃があり、簡便手押式台車は、ごとごとと音を立て動き出した。
「あはっ!」
時太郎は思わず声を上げていた。
面白そうだ!
「ここで御座います!」
立ち止まると、崖に階段が刻まれている。階段はくねくねと曲がりくねりながら、崖の上へと続いている。
「ここを登るのか?」
「さようで御座います。この上に、狸穴へと続く道が御座います」
豆狸の言葉に、お花は呆れた。
「まだ着かないの? ずいぶん、遠いのね」
「ともかく、登って見ようぜ」
時太郎は先頭に立って階段を登り始めた。
階段は岩壁を直に鑿などで刻まれたものらしく、不揃いで時々途切れたり、妙な間隔が空いたりしている。
幅は狭く、今にも転げ落ちそうで、気の弱いものなら登攀を諦めてしまいそうだ。
ようやく頂上に着くと、そこには小さな小屋が掛かっていた。
小屋の前には長椅子があり、そこには一匹の狸が傲然と腰を下ろし、煙管をぷかーり、ぷかりと悠長に吹かしている。
狸は、じろりと時太郎とお花の肩に乗っている豆狸を見て口を開いた。
「何のようだね? お前さんの肩に乗っているのは、狸御殿の豆狸のようだが」
お花が話しかけた。
「こんにちわ! あたしたち、狸穴へ行きたいんだけど、ここから行けるのかしら」
狸は、ふむ、と鷹揚に頷いた。
「狸穴へ行きたいのか。それなら、それに乗りな。その豆狸なら、道を知っているはず」
手にした煙管の先を振って指し示す。
そこには四つの車輪を持った奇妙な台が置かれていた。車輪の下には鉄製らしき軌条が二本、長々と視線の届く限り先にと続いている。台の上には棒の上に横に渡された把手がついている。
「これは……なんだい?」
時太郎の質問に狸は答えた。
「簡便手押式台車だ! そいつに乗れば、真っ直ぐ狸穴に着ける。行きは下り坂だから、楽だぜ。ただし、帰りは相当に辛いがね」
恐る恐る二人は簡便手押式台車の台に乗った。目の前の把手を掴む。
時太郎は、ぐいっ、と把手を押し下げた。
がくん、と微かな衝撃があり、簡便手押式台車は、ごとごとと音を立て動き出した。
「あはっ!」
時太郎は思わず声を上げていた。
面白そうだ!
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