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魔王の哄笑
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「くくくくっ!」
ヘロヘロの顔が悔しさに真赤になった。
ミリィは鞭を握る手にちからをこめ、ぐっと引いた。
ヘロヘロの身体がミリィに引かれ、下がっていく!
ぐいぐい、とミリィは鞭を引いていく。
そのたびにヘロヘロは引き寄せられていく。
ついにヘロヘロは地面に戻されてしまった。
はあはあと荒い息をつき、ヘロヘロは地面にぺたんと尻を落とし、恨めしげな目でミリィを見上げた。
「なぜだ! なぜ、おれを勝手にさせてくれない?」
「あんたはあたしと一緒に旅することになっているの!」
ミリィは叫んだ。
「お前と一緒に? なぜだ!」
「あんたを善良にするためよ」
ヘロヘロの顎がだらりと下がった。
「おれを善良に? 冗談だろう?」
ミリィは首を横にふった。
「冗談ではないわ。あたし、エルフのお館さまと約束したの。あなたを殺さないという約束と引き換えに、あなたを善良にする道を探す旅に出るってね! だからあんたはあたしと一緒に行かなければならないのよ」
ヘロヘロは顔をふせた。
その肩が震えている。
くくくくく……。
ひいひいひい……。
ほうほうほう……。
ちいさく、切れ切れの声で悲鳴のようなものを押し殺している。
やがて肩の動きがおおきく、波立つようになった。
がははははは……!
かれは哄笑していた。
吠えるようにヘロヘロは笑っている。
おおきく口を開け、牙を剥き出しにした笑い。
腹を抱え、涙を流してヘロヘロは笑い続けた。
ばんばんと手で地面を叩き、転げまわりつつ地面をかきむしった。
「あはははは! いうに事欠いて、おれを善良にするだと? なんという馬鹿げた話しだ!」
「なに笑っているの! 人が真面目に話をしているのに、失礼じゃない?」
ミリィの叫びはヘロヘロにあらたな笑いの発作を引き起こしただけだった。
「こ……こ、これが笑わずにいられるか! おれをなんだと思っている。魔王だぞ! その魔王を、善良にするだと? お、お前は掛け値なしの大馬鹿者だ!」
わははは……といつまでもヘロヘロは笑っていた。
ミリィは一歩前に進み、ヘロヘロをきっとにらみつけた。
ヘロヘロの顔に一瞬、怯えの表情が浮かんだ。
ミリィは一語一語、押し出すように言った。
「いいこと、あんたはあたしたちと一緒に旅するの。これから勝手にあたしたちから離れて、どこかへ行ったり、魔法を使ったりしないこと。そしてあたしの命令には従うこと。いいわね?」
ヘロヘロは大人しくこっくりした。
ヘロヘロの顔が悔しさに真赤になった。
ミリィは鞭を握る手にちからをこめ、ぐっと引いた。
ヘロヘロの身体がミリィに引かれ、下がっていく!
ぐいぐい、とミリィは鞭を引いていく。
そのたびにヘロヘロは引き寄せられていく。
ついにヘロヘロは地面に戻されてしまった。
はあはあと荒い息をつき、ヘロヘロは地面にぺたんと尻を落とし、恨めしげな目でミリィを見上げた。
「なぜだ! なぜ、おれを勝手にさせてくれない?」
「あんたはあたしと一緒に旅することになっているの!」
ミリィは叫んだ。
「お前と一緒に? なぜだ!」
「あんたを善良にするためよ」
ヘロヘロの顎がだらりと下がった。
「おれを善良に? 冗談だろう?」
ミリィは首を横にふった。
「冗談ではないわ。あたし、エルフのお館さまと約束したの。あなたを殺さないという約束と引き換えに、あなたを善良にする道を探す旅に出るってね! だからあんたはあたしと一緒に行かなければならないのよ」
ヘロヘロは顔をふせた。
その肩が震えている。
くくくくく……。
ひいひいひい……。
ほうほうほう……。
ちいさく、切れ切れの声で悲鳴のようなものを押し殺している。
やがて肩の動きがおおきく、波立つようになった。
がははははは……!
かれは哄笑していた。
吠えるようにヘロヘロは笑っている。
おおきく口を開け、牙を剥き出しにした笑い。
腹を抱え、涙を流してヘロヘロは笑い続けた。
ばんばんと手で地面を叩き、転げまわりつつ地面をかきむしった。
「あはははは! いうに事欠いて、おれを善良にするだと? なんという馬鹿げた話しだ!」
「なに笑っているの! 人が真面目に話をしているのに、失礼じゃない?」
ミリィの叫びはヘロヘロにあらたな笑いの発作を引き起こしただけだった。
「こ……こ、これが笑わずにいられるか! おれをなんだと思っている。魔王だぞ! その魔王を、善良にするだと? お、お前は掛け値なしの大馬鹿者だ!」
わははは……といつまでもヘロヘロは笑っていた。
ミリィは一歩前に進み、ヘロヘロをきっとにらみつけた。
ヘロヘロの顔に一瞬、怯えの表情が浮かんだ。
ミリィは一語一語、押し出すように言った。
「いいこと、あんたはあたしたちと一緒に旅するの。これから勝手にあたしたちから離れて、どこかへ行ったり、魔法を使ったりしないこと。そしてあたしの命令には従うこと。いいわね?」
ヘロヘロは大人しくこっくりした。
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