蒸汽帝国~真鍮の乙女~

万卜人

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魔王の哄笑

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 ミリィとケイは肩を並べて森を歩いている。
 その後を、とぼとぼとヘロヘロがついてくる。なんだか毒気をぬかれ、その足取りはすっかり自信をなくしていた。
 ケイはヘロヘロを振り返り、ミリィに話しかけた。
「ねえ、どうしてヘロヘロにあんなこと言ったの?」
「どうしてって……ああ言わなければならないと思ったからよ。これからあの子を連れて行くのに、ふらふら空を飛んで逃げられたら困るでしょ」
「そうじゃないわよ。あたしが言いたいのは、あいつにあんたがどうして命令できるかってことなの。なんと言ってもあいつは魔王よ。他人の命令を大人しく聞くような奴じゃないわ」
 ミリィは首をふった。
「わからない。でも、そうしなければならないと思ったの。それだけよ」
「あんたにあのヘロヘロを思い通りに出来るちからがあるなんて、信じられない。それにヘロヘロがあんたの命令に従うのも、もっと信じられないわ。これにはなにか、訳がありそうね」
「訳? どんな訳よ?」
「さあ……でも、あいつがあんたの命令を大人しく聞くということは好都合ね。あんたの言うとおり、ふらふら勝手に離れられたら、お館さまの約束を果たせないから」
 うん、とミリィはうなずき、腰に巻いた鞭に目を落とした。
「それにしてもこの鞭、すごいわね。あたし、一度も鞭なんか使ったことはないけど、あたしが思ったとおりに動いてくれた。それにあんな長さに伸びるとは思わなかった」
「エルフの魔法がかかっているからよ。もとの何倍もの長さに伸びるし、どんな重さにも切れることはないの。これから、いろいろ使い道がありそうね」
 ミリィは頷いた。
 確かにこの鞭、いろいろ使い道がありそうだ。〝案内棒〟といい、この鞭といい、エルフの贈り物には驚くほどの魔法がこめられている。ミリィはそっと背後からついてきているヘロヘロをふりかえった。
 そのヘロヘロは、あいかわらず大人しくふたりに従い歩いている。
 ミリィはふと思った。
 いったいヘロヘロと自分の関係はなんだろう?
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