蒸汽帝国~真鍮の乙女~

万卜人

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山賊

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「盗賊だぞ!」
 法務官が鋭い声で叫んだ。たちまちあたりにいた兵士たちに緊張がはしる。防具を身につけ武器を取った。
「なぜ気付かれたんだ。音は立てなかったのに」
「あいつは特別なんだ。なんでもおれたちには見えないものを見て、聞こえない音を聞くことが出来るそうなんだ……。法務官がいては、気付かれるのも当たり前だ」
 パックの質問にジャギーは悔しそうに答えた。
 焚き火から松明に火が移され、兵士たちはあたりを照らし出した。松明の火にあかあかとドーデンらの姿が浮かび上がった。ドーデンはぎょっと立ちすくんだ。
「あいつらだ!」
 兵士たちの声にドーデンたちはあわてて逃げ出した。兵士たちは銃の狙いをつけ、引き金に指をかける。
 
 だあーん!
 
 銃声が響き、ひとりが胸を抑え、うずくまった。逃げ出したドーデンたちの周囲に兵士たちが立ちふさがる。
 唇を噛みしめたドーデンはやぶれかぶれの行動に出た。
 そまつな得物を手に、兵士たちに立ち向かう。たちまちあたりはわあわあという、闘いの騒ぎになった。ときおり兵士たちの銃声がこだまし、戦いの物音がまじる。
 くそっ、とジャギーは毒づくと立ち上がった。手に長めのナイフをふりかざし、戦いの中へと突っ込んでいく。
 無茶だ……。
 パックはいらいらしていた。
 戦うにももうすこし、工夫というのがあるだろうに、ドーデンたちはただ無闇矢鱈に武器を振り回しているだけである。
 戦いのさなか、真っ赤な僧服の法務官はひややかな表情でそれを眺めている。
 その目の前にジャギーが現れた。
 ジャギーはぽかん、と法務官を見つめた。法務官はなんの感情もまじえない表情で、ジャギーの顔を見つめかえした。
 わあ──! とジャギーは叫んでいた。
 ナイフを持った手をふりかざし、法務官に向かって突っ込んでいく。
 さっ、と法務官の右手が上がった。
 ジャギーはまるで電流に触れたように痙攣した。なにやら法務官の右手からジャギーにむけて放射されているようで、その力にジャギーは完全に捉えられている。
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