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第九回 荏子田多門との対決の巻
三
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多門は〝ゴースト〟になろうとしている!
現在、江戸にいる多数の《遊客》を巻き添えにしてまで、敢行するつもりなのだ。
仮想現実が一般的になって、接続した間に本体が死亡すると、仮想現実に残された仮想人格は〝ゴースト〟と呼ばれるようになる。二度と、現実世界に復帰はできない。だが、本人の記憶、経験は持ち合わせている。
病気や、老衰で、死が確実な場合は、医師の立会いの下、本人の仮想人格を仮想現実にコピーする手段が認められている。ただし、法律的には仮想現実のNPCと同じ扱いになり、財産などは現実世界で生きている親族へ遺産分与される。
それとは別に、自ら安楽死を選び、仮想現実にのみ生きようとする人々が現れた。生きている間、叶えられない望みを仮想現実に託し、後は知らないとばかり、はた迷惑としか言いようのない死に方を選ぶのだ。完全に自殺であり、卑怯な死に方である。
医師の立会いの下行われる〝ゴースト〟は、完全に合法なので、システム上から、常にデータが上書きされるから、仮想人格はいつまでも同じ若さを保てる。が、自殺した場合〝ゴースト〟には、その特典が適用されない。〝ロスト〟した仮想人格と同じだから、年齢を重ね、仮想現実で病気にもなる。大変、危険な賭けである。
しかし荏子田多門は、江戸創設メンバーであるから、プログラムに手を加え、上書き処理を自分に適用しているのだろう。何もかも、計算づくなのだ。
「お前一人で決行するつもりなのか?」
多門は俺の質問に、ゆっくりと頭を振った。
「いいや、俺の提案に賛同してくれた全員とだ。俺が大老になれば、連中はこの江戸で、直参旗本に加わり、江戸を共同支配する約束になっている」
何と、集団自殺を敢行するつもりなのだ!
多門は自信満々に続けた。
「もうすぐ、江戸の完全封鎖が完了する。そうなれば、もう、この江戸に現実世界からのアクセスは、完璧に遮断される。誰にも煩わされず、俺たちは江戸の暮らしを満喫できるのだ! 俺はこの江戸で、理想の生活を手に入れられるんだ!」
玄之介が怒りの声を上げた。
「理想の生活だと? お主の理想の生活とは、何だ!」
くいっ、と多門は玄之介を睨んだ。
「ふん! お前は確か、松原玄之介とか名乗る《遊客》だな。東京都肝煎りの江戸で、侍になれず、俺たちの江戸へやってきた負け犬の一人じゃないか! そんな負け犬なんぞと対等に話すのは、御免蒙るな!」
多門の指摘に、玄之介はたちまち、真っ赤になった。多門は相変わらず、他人の弱みを握るのは得意中の得意である。
多門は次いで、吉弥を指さした。
「そこの巨漢デブ芸者は、吉弥、あるいは吉奴と名乗っていたな。何でも、現実世界では女になりたくて、こっちの江戸に女の仮想人格でやって来たはいいが、間抜けにも〝ロスト〟してしまい、ブクブク河馬みてえに太って、そんな姿になってしまったらしい。どうだ、俺と取り引きしないか?」
吉弥は益々、怖い顔になった。口がぐっとへの字に歪み、眉間に深々と皴が寄る。
そんな吉弥の表情にお構いなしで、多門は話し掛けた。
「俺が完全支配を実現すれば、《遊客》のデータを簡単に書き換えられる。お前を、なりたかった女の姿に変更するのも、訳はない。どうだ? 誰もが振り返る、女らしい女になりたくはないか? 俺に協力すれば、変身させてやれるぞ!」
吉弥は、多門の言葉に、文字通り、ぐらついた。踏みしめた両足が落ち着きなく動き、刀の柄に掛かった右手が、ふらふらと彷徨う。
多門は誘いかけるような目つきになる。
「本物の女になりたかろう……。さあ、儂の邪魔をする、鞍家二郎三郎を倒せ! そうすれば、すぐにでも、お前の願いを叶えてやろう!」
俺は吉弥に向き直った。
吉弥は真っ赤な顔で、俺を睨んでいる。弁天丸が持っていた、長大な刀を、今にも抜き放とうとする。
「きええええいっ!」
出し抜けに、吉弥は刀を抜き放ち、頭の上に振り被った!
そのまま、見事な跳躍を見せ、一跳びで、多門の卓に刀を振り下ろす。
ずんばらりん! と、吉弥の刀が宙を薙ぎ払う!
がちっ! と、切っ先が床を噛む。
吉弥は驚きに、ぜいぜいと喘いでいた。
刀は、何も触れていない。卓に振り下ろした刀は、ただ空を切っただけだった。卓は、現実の物ではなかったのだ! 中空に投影された、映像なのだ。
多門の顔が、怒りに歪んだ。
「吉弥! それが、お主の答か! よかろう……。それならば、お前たち全員、ここで殺してやる!」
俺は多門の目の前の卓を睨んだ。最初、これは江戸の模型かと思ったのだが、違ったようだ。もしかしたら、仮想現実の江戸を映した、映像なのかもしれない。
あれがお堀なら、聳えている天守閣は、実際の同時中継とも考えられる。
あれは?
天守閣の近くに、妙なものが見える。
俺はさっと、多門に銃口を向けた。
「これを忘れているな! 死ぬのは、お前だ! いや、死ぬというのは間違いか! 現実に目覚めろ、多門!」
俺が銃弾を撃ち込めば、この場で他門の仮想人格は死亡し、同時に現実世界で本体が目覚める。つまり、殺人ではない!
指先が銃爪に掛かる。
多門の両目が細くなった。
「やってみろ! 二郎三郎! ここは結界の中だ。俺の結界のな……」
俺は歯を食い縛り、ぐっと指先に力を込めた。
がちん、と撃鉄が落ちる。
ただ、それだけだった。
俺は銃声を待ち構えていたのだが、うんともすんとも拳銃は応えない。
晶は銃声に両耳に指を突っ込んでいたが、肩透かしにポカンと口を開ける。
多門は仰け反って、笑っていた。
「はははははは! まったく、お前という奴は、変わらない阿呆そのものだな! 言ったろう、ここは俺の結界そのものだと! 俺の望み通り、何でも起きる。銃を不発にするなど、簡単な仕業だよ!」
ぎらり、と多門の両目が青白い閃光を放った。
「では、お返しに、こちらから行くぞ! お前たちの相手は、こいつだ!」
さっと、多門が腕を振ると、それまで何もなかった空間から、じわりと人影が姿を表す。
ひょろりとした痩身。女物の着物をだらしなく着崩し、吉弥の持っている長大な刀と同じものを肩に担いでいる。
弁天丸だった!
驚きに、俺が金縛りに遭ったように棒立ちになっていると、現われた弁天丸は、長大な刀を頭の上に持ち上げ、すらりと引き抜いた。
そのまま両手で、正眼に構える。ひょろひょろとした、痩身なのに、構えはどっしりとして、揺ぎない。
多門は重々しく、宣告した。
「そ奴は、俺を殺しにやってきた悪党だが、返り討ちのため、データをコピーして、逆に襲い掛からせてやった。奴は、腰を抜かすほど驚いたよ。何しろ、自分とそっくり同じ相手に斬り殺されたんだからなあ!」
多門は、気持ち良さげな、笑い声を上げる。神々しい美男顔に似合わない、下卑た笑い声だった。
「気をつけて戦えよ。こやつは、本物の弁天丸に比べて、相当に強いぞ! 知力、体力ともに、お前たち《遊客》と互角だ!」
何と、俺たちはもう一人の弁天丸と、戦う羽目になったのだ!
多門の創り出した結界では、圧倒的に俺たちは不利だ。多門は結界の中でなら、物理法則すら捻じ曲げられる。俺の拳銃を役立たずにしたのも、もう一人の弁天丸を創り出すのも、多門の思うがままだ。
何とか、この結界を壊さないとならない。が、中からは、どんな手段も無効にされる。それには、外からの衝撃があれば……。
俺は、もう一度、江戸の縮小図を見やった。
ひょっとして、あれが……?
俺は吉弥の横に立ち、唇を動かさないように注意して、囁いた。
「吉弥! 時間を稼げ! 多門の結界は、中からは崩せない。が、外からなら、ほんの少しの衝撃で崩せるほど、脆い! もう少しで、チャンスが来る!」
吉弥は「判った」と頷き、新たに出現した弁天丸に身構える。
俺は両腕のトンファを構えた。
同じ内容を、晶と玄之介に伝える。
「チャンス?」
晶は眉を顰めた。
「何のチャンスがあるの?」
俺は小さく、首を振る。
「今はまだ、秘密だ。それに、本当にチャンスになるかどうか、今はまだ判らない。とにかく、時間を稼ぐんだ!」
「もう……頼りないんだから!」
晶は唇を尖らせたが、それでもヌンチャクを構える。玄之介は、十手を翳した。
弁天丸は無言で、刀を振り被った。そのまま、真っ直ぐ、俺たちに突っ込んで来る!
戦いが始まった!
現在、江戸にいる多数の《遊客》を巻き添えにしてまで、敢行するつもりなのだ。
仮想現実が一般的になって、接続した間に本体が死亡すると、仮想現実に残された仮想人格は〝ゴースト〟と呼ばれるようになる。二度と、現実世界に復帰はできない。だが、本人の記憶、経験は持ち合わせている。
病気や、老衰で、死が確実な場合は、医師の立会いの下、本人の仮想人格を仮想現実にコピーする手段が認められている。ただし、法律的には仮想現実のNPCと同じ扱いになり、財産などは現実世界で生きている親族へ遺産分与される。
それとは別に、自ら安楽死を選び、仮想現実にのみ生きようとする人々が現れた。生きている間、叶えられない望みを仮想現実に託し、後は知らないとばかり、はた迷惑としか言いようのない死に方を選ぶのだ。完全に自殺であり、卑怯な死に方である。
医師の立会いの下行われる〝ゴースト〟は、完全に合法なので、システム上から、常にデータが上書きされるから、仮想人格はいつまでも同じ若さを保てる。が、自殺した場合〝ゴースト〟には、その特典が適用されない。〝ロスト〟した仮想人格と同じだから、年齢を重ね、仮想現実で病気にもなる。大変、危険な賭けである。
しかし荏子田多門は、江戸創設メンバーであるから、プログラムに手を加え、上書き処理を自分に適用しているのだろう。何もかも、計算づくなのだ。
「お前一人で決行するつもりなのか?」
多門は俺の質問に、ゆっくりと頭を振った。
「いいや、俺の提案に賛同してくれた全員とだ。俺が大老になれば、連中はこの江戸で、直参旗本に加わり、江戸を共同支配する約束になっている」
何と、集団自殺を敢行するつもりなのだ!
多門は自信満々に続けた。
「もうすぐ、江戸の完全封鎖が完了する。そうなれば、もう、この江戸に現実世界からのアクセスは、完璧に遮断される。誰にも煩わされず、俺たちは江戸の暮らしを満喫できるのだ! 俺はこの江戸で、理想の生活を手に入れられるんだ!」
玄之介が怒りの声を上げた。
「理想の生活だと? お主の理想の生活とは、何だ!」
くいっ、と多門は玄之介を睨んだ。
「ふん! お前は確か、松原玄之介とか名乗る《遊客》だな。東京都肝煎りの江戸で、侍になれず、俺たちの江戸へやってきた負け犬の一人じゃないか! そんな負け犬なんぞと対等に話すのは、御免蒙るな!」
多門の指摘に、玄之介はたちまち、真っ赤になった。多門は相変わらず、他人の弱みを握るのは得意中の得意である。
多門は次いで、吉弥を指さした。
「そこの巨漢デブ芸者は、吉弥、あるいは吉奴と名乗っていたな。何でも、現実世界では女になりたくて、こっちの江戸に女の仮想人格でやって来たはいいが、間抜けにも〝ロスト〟してしまい、ブクブク河馬みてえに太って、そんな姿になってしまったらしい。どうだ、俺と取り引きしないか?」
吉弥は益々、怖い顔になった。口がぐっとへの字に歪み、眉間に深々と皴が寄る。
そんな吉弥の表情にお構いなしで、多門は話し掛けた。
「俺が完全支配を実現すれば、《遊客》のデータを簡単に書き換えられる。お前を、なりたかった女の姿に変更するのも、訳はない。どうだ? 誰もが振り返る、女らしい女になりたくはないか? 俺に協力すれば、変身させてやれるぞ!」
吉弥は、多門の言葉に、文字通り、ぐらついた。踏みしめた両足が落ち着きなく動き、刀の柄に掛かった右手が、ふらふらと彷徨う。
多門は誘いかけるような目つきになる。
「本物の女になりたかろう……。さあ、儂の邪魔をする、鞍家二郎三郎を倒せ! そうすれば、すぐにでも、お前の願いを叶えてやろう!」
俺は吉弥に向き直った。
吉弥は真っ赤な顔で、俺を睨んでいる。弁天丸が持っていた、長大な刀を、今にも抜き放とうとする。
「きええええいっ!」
出し抜けに、吉弥は刀を抜き放ち、頭の上に振り被った!
そのまま、見事な跳躍を見せ、一跳びで、多門の卓に刀を振り下ろす。
ずんばらりん! と、吉弥の刀が宙を薙ぎ払う!
がちっ! と、切っ先が床を噛む。
吉弥は驚きに、ぜいぜいと喘いでいた。
刀は、何も触れていない。卓に振り下ろした刀は、ただ空を切っただけだった。卓は、現実の物ではなかったのだ! 中空に投影された、映像なのだ。
多門の顔が、怒りに歪んだ。
「吉弥! それが、お主の答か! よかろう……。それならば、お前たち全員、ここで殺してやる!」
俺は多門の目の前の卓を睨んだ。最初、これは江戸の模型かと思ったのだが、違ったようだ。もしかしたら、仮想現実の江戸を映した、映像なのかもしれない。
あれがお堀なら、聳えている天守閣は、実際の同時中継とも考えられる。
あれは?
天守閣の近くに、妙なものが見える。
俺はさっと、多門に銃口を向けた。
「これを忘れているな! 死ぬのは、お前だ! いや、死ぬというのは間違いか! 現実に目覚めろ、多門!」
俺が銃弾を撃ち込めば、この場で他門の仮想人格は死亡し、同時に現実世界で本体が目覚める。つまり、殺人ではない!
指先が銃爪に掛かる。
多門の両目が細くなった。
「やってみろ! 二郎三郎! ここは結界の中だ。俺の結界のな……」
俺は歯を食い縛り、ぐっと指先に力を込めた。
がちん、と撃鉄が落ちる。
ただ、それだけだった。
俺は銃声を待ち構えていたのだが、うんともすんとも拳銃は応えない。
晶は銃声に両耳に指を突っ込んでいたが、肩透かしにポカンと口を開ける。
多門は仰け反って、笑っていた。
「はははははは! まったく、お前という奴は、変わらない阿呆そのものだな! 言ったろう、ここは俺の結界そのものだと! 俺の望み通り、何でも起きる。銃を不発にするなど、簡単な仕業だよ!」
ぎらり、と多門の両目が青白い閃光を放った。
「では、お返しに、こちらから行くぞ! お前たちの相手は、こいつだ!」
さっと、多門が腕を振ると、それまで何もなかった空間から、じわりと人影が姿を表す。
ひょろりとした痩身。女物の着物をだらしなく着崩し、吉弥の持っている長大な刀と同じものを肩に担いでいる。
弁天丸だった!
驚きに、俺が金縛りに遭ったように棒立ちになっていると、現われた弁天丸は、長大な刀を頭の上に持ち上げ、すらりと引き抜いた。
そのまま両手で、正眼に構える。ひょろひょろとした、痩身なのに、構えはどっしりとして、揺ぎない。
多門は重々しく、宣告した。
「そ奴は、俺を殺しにやってきた悪党だが、返り討ちのため、データをコピーして、逆に襲い掛からせてやった。奴は、腰を抜かすほど驚いたよ。何しろ、自分とそっくり同じ相手に斬り殺されたんだからなあ!」
多門は、気持ち良さげな、笑い声を上げる。神々しい美男顔に似合わない、下卑た笑い声だった。
「気をつけて戦えよ。こやつは、本物の弁天丸に比べて、相当に強いぞ! 知力、体力ともに、お前たち《遊客》と互角だ!」
何と、俺たちはもう一人の弁天丸と、戦う羽目になったのだ!
多門の創り出した結界では、圧倒的に俺たちは不利だ。多門は結界の中でなら、物理法則すら捻じ曲げられる。俺の拳銃を役立たずにしたのも、もう一人の弁天丸を創り出すのも、多門の思うがままだ。
何とか、この結界を壊さないとならない。が、中からは、どんな手段も無効にされる。それには、外からの衝撃があれば……。
俺は、もう一度、江戸の縮小図を見やった。
ひょっとして、あれが……?
俺は吉弥の横に立ち、唇を動かさないように注意して、囁いた。
「吉弥! 時間を稼げ! 多門の結界は、中からは崩せない。が、外からなら、ほんの少しの衝撃で崩せるほど、脆い! もう少しで、チャンスが来る!」
吉弥は「判った」と頷き、新たに出現した弁天丸に身構える。
俺は両腕のトンファを構えた。
同じ内容を、晶と玄之介に伝える。
「チャンス?」
晶は眉を顰めた。
「何のチャンスがあるの?」
俺は小さく、首を振る。
「今はまだ、秘密だ。それに、本当にチャンスになるかどうか、今はまだ判らない。とにかく、時間を稼ぐんだ!」
「もう……頼りないんだから!」
晶は唇を尖らせたが、それでもヌンチャクを構える。玄之介は、十手を翳した。
弁天丸は無言で、刀を振り被った。そのまま、真っ直ぐ、俺たちに突っ込んで来る!
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