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Chapter1
第6話 ラベンダーの霧の向こう、紫水晶の城
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──翳りの国は、人の世界とは真逆の生活と女王は言う。
つまり、明るくなり始めるこれからが、人の世界で言う夜の時間に当たるそう。「遠出したのもあるがね。私も少し眠たいのさ」なんて、女王は欠伸混じりに言った。
そうして、馬車に揺られることしばらく。空が白み始める寸前──空間が藍に色づき、景色の輪郭が見え始めた頃、馬車はハンナの故郷付近の針葉樹林に辿り着いた。
木々が生い茂る道を進んで間もなく、外の景色は一寸先も見えない闇に包まれた。
だが、すぐに車窓の外の視界がぱっと開け、その肥沃な地の輪郭が映し出された。
青々と茂る肥沃な地に、朝霧がわずかに煙っていた。しかし、ミルク色の霧ではない。その色は薄いラベンダー色をしていた。
……しかし、丘陵地帯一面の葡萄畑といい、どこか既視感のある景色だと思う。そう思った矢先、同じく外の景色を眺めていたハンナがぽつりと「ヴェルメブルク城周辺と同じ地形」とこぼした。
「そうなの?」
思わず訊くと、ハンナはすぐに頷く。
「木々や道、建物などは違いますが、地形に関してはほとんど同じで……」
ハンナが言うや否や、正面に座した女王がくすくすと笑いをこぼし、窓の外に視線をやった。
「何を、当たり前のことさ。こちらはヴェルメブルクと鏡合わせ。裏にある世界だからな。ほら、少し前方を見てみるがいい」
言われるがまま、ベルティーナとハンナは視線を向ける。すると、小高い丘の上には、黒砂岩に紫水晶の結晶を混ぜて積み上げたかのような立派な城が見えた。
「ヴェルメブルク城と同じ位置に……お城が。ヴェルメブルク城と姿はまったく違いますが……」
驚いたハンナがぽつりとこぼすと、女王は唇を綻ばせる。
「そうさ。あれが我が城、ナハトベルグ城さ」
「……ナハトベルグ?」
眉をひそめてベルティーナが復唱すると、女王は頷いた。
「人間はこの世界を“翳りの国”と呼ぶな。だが、美しき夜に祝福されて生きる魔性の者たちは皆……この国をナハトベルグと呼ぶのさ」
「現地ならではの呼び方みたいなものかしら?」
ベルティーナがそっけなく訊けば、「そうとも言える」と女王は頷いた。
「さて、もう空が白み始める頃だ。我が息子も帰ってきているだろう」
自分の城を見ながら、女王は少しばかり眠たそうに告げた。
息子……つまり、自分の婚約者だが、果たしてどんな人物か。ベルティーナには想像できなかった。だが、この女王の子息と考えると、きっとおぞましい怪物ではないだろうと推測は容易い。
(大丈夫、きっと顔は悪くない。私は彼とうまくやって、上手に立ち回りながら、報復の糸を紡がないと……)
ベルティーナは心の中で小さく呟き、近づく紫水晶の城を鋭い瞳で見据える。その冷たいアイスブルーの眼差しには、秘めた決意が揺れていた。
***
予定通り、空が白み始めた頃合いに、ベルティーナたちはナハトベルグ城に辿り着いた。
「長旅ご苦労様です」
労いの言葉を言って、御者の男は馬車のドアを開け、女王に手を差し出す。
女王は優雅な所作でその手を取り、馬車から降りた。
そうして御者は今度はベルティーナに手を差し出すが……。
「いいえ、結構よ。降りられるわ」
すぐに拒んだベルティーナは、すとんと馬車から降りた。
「これまた失敬」
それだけを告げると、御者は今度はハンナに手を差し出し、彼女を下ろした。
「さて。細々とした話は後日でいいか。お前たちも疲れているだろうから、今日は早めに休むといい。だが、我が息子とお前につけるこちらの侍女だけは……」
と、女王が話している最中だった。
「女王様ー! おかえりなさいませー!」
随分と元気溌剌とした少女の声が二つ重なって聞こえた。
ベルティーナとハンナは、声がした方に同時に顔を向ける。だが、その声の主たちの姿を見て、ベルティーナの思考はぴたりと止まってしまった。
ぶんぶんと手を振って駆け寄ってきたのは、漆黒のエプロンドレスを纏った二人の少女だった。
──ふわふわと長い髪は、夏の夜空に似た藍色。それを緩く二つに結っており、星屑のような白銀《ぎん》の瞳を輝かせて、彼女たちはやって来た。喩えるのであれば、まるで愛らしい人形のよう。
年齢は自分より四つ五つも年下と思われる、まだ稚さを残す可憐な少女たちだった。
だが、ベルティーナの目を一番に惹いたのはまったく別の部分だった。
彼女たちの頭頂部には獣の耳らしきものがつんと立っており、臀部からはモフモフとした尾が揺らいでいるのだ。何の生き物を主体としているのかはベルティーナには分からない。だが、この得体の知れぬモフモフがとてつもなく愛らしいと思えてしまう。
(な、な……なにこの生き物は!)
初めて見る生き物だ。眠い目を限界まで持ち上げたベルティーナは、慌ててハンナの方に視線をやる。
「ね、ねえ貴女。あのモフモフの耳と尾の生き物って……」
──何かしら、と小声で訊くと、ハンナは小首を傾げた。
「どう見ても猫だと思いますが……」
「……ね、猫ですって?」
その名は幾度も本の中で見かけたことだろう。
気分屋ではあるが、甘えると喉を鳴らす愛らしい仕草を見せる生き物で……。一度でいいから見てみたいと思い続けていた生き物で……。
(猫、猫。これが猫ですって?!)
興味が高ぶり、鼓動が高鳴るが、それでも表情には出さないように。ベルティーナは彼女たちをじっと見据える。
しかし、その視線にすぐに気づいたのか、彼女たちはすぐにベルティーナとハンナの方に視線を向け、にっこりと無垢な笑顔を咲かせて控えめに手を振った。
「見てよロートス! 本当に人間の王女様なの! 私たちよりもお姉さん! とても綺麗!」
「すごいわイーリス! 王女様だけじゃなく、もう一人、人間のお姉さんがいる!」
キャッキャと無邪気にはしゃぐ二人を見て、ベルティーナはすぐにまたハンナの方を向く。
「ベルティーナ様、どうなさったのですか。なんだかそわそわして……」
「……どんな反応をしたらいいか分からなくて、妙に不快に思って困っているのよ」
こんな胸が高鳴ったことなどあっただろうか。落ち着け……とベルティーナは自分に言い聞かせながら俯いた──そのときだった。
「こらこら、はしゃいでいないで、部屋に案内しておあげなさい! 王女と付き人はろくに眠ってさえいないわ。急ぎ入浴と就寝の準備をなさい!」
女王は呆れつつもぴしゃりと言う。すると、二人の少女は慌ててベルティーナとハンナの元に駆け寄ってきた。
***
それから、双子の猫の少女たちに案内され、ベルティーナは一つの部屋に通された。
そこは、漆黒と紫を基調とした部屋。天蓋付きのベッドのほか、棚やソファなど最低限の調度品が設置されていた。
色使いは暗めだが、ベルティーナはすぐにこの部屋が気に入った。単純に、部屋を基調とする紫が自分が一番好きな色ということもあるだろう。
「お気に召しました?」なんて双子の少女たちにキャイキャイと問われ、ベルティーナは素直に頷く。
……どうやら、この少女たちがベルティーナの侍女らしい。
彼女たちは「姉のイーリス」「妹のロートス」と自らを名乗ったが、顔も声も装いだって何もかも同じ。まったく判別がつかなかった。
しかし、このかしましさにはさすがに目眩を覚えてしまい、ベルティーナはここでも誰の手も借りず一人で入浴を済ませた。
そうして入浴を終え、部屋に戻ると、そこには誰もいなかった。テーブルの上を見ると、ハンナからの置き手紙があり、綺麗な書体で「お休みなさいませ」と綴られていた。
その隣には、湯気の立つ温かい飲み物が添えてあり、ベルティーナはソファに座してカップに手を伸ばした。
ハーブティーだろうか。すんと鼻を鳴らすと、林檎によく似た甘い芳香が漂っていることから、カモミールティーだと分かる。
カモミールは安眠や鎮静効果がある。随分と気を利かせてくれたものだと、ベルティーナがお茶を啜った途端──部屋の奥でガサリと物音がした。
何事か……。
慌ててベルティーナが振り向くと、そこには一人の青年が立っていた。
服装は首元に灰色の毛皮のついた黒のコート。簡素なシャツを下に着込み、黒の長靴を履いていた。毛皮のついた装いのせいもあるだろう。彼から、少しばかり荒々しい印象を感じてしまう。
──艶やかな濡羽色の髪に、深い森を彷彿させるビリジアンの瞳。その顔立ちは精悍で……。自分とは頭一つ以上も高い、長身な青年だった。
女王同様に、彼の目元や手の甲には鱗らしきものが散らばっており、さらに似た点は巻き角だ。だが、それは女王の角よりも幾分か逞しく大きなものだった。しかし、異なる点が一つある。彼の臀部には硬そうな鱗に覆われた尾があった。
ちょうど朝日が昇り始めた頃──その巻き角や鱗は、まるで黒曜石のように妖しい青い光を反射していた。
きっと、彼が翳の女王の息子で王子……自分の婚約者と、ベルティーナはひと目見てすぐに理解した。なにしろ、顔立ちがまったく違うにしても、同じ色と形状をした角と鱗を持つ部分が女王と似すぎていたからだ。
第7話 夜明けの寝室と
つまり、明るくなり始めるこれからが、人の世界で言う夜の時間に当たるそう。「遠出したのもあるがね。私も少し眠たいのさ」なんて、女王は欠伸混じりに言った。
そうして、馬車に揺られることしばらく。空が白み始める寸前──空間が藍に色づき、景色の輪郭が見え始めた頃、馬車はハンナの故郷付近の針葉樹林に辿り着いた。
木々が生い茂る道を進んで間もなく、外の景色は一寸先も見えない闇に包まれた。
だが、すぐに車窓の外の視界がぱっと開け、その肥沃な地の輪郭が映し出された。
青々と茂る肥沃な地に、朝霧がわずかに煙っていた。しかし、ミルク色の霧ではない。その色は薄いラベンダー色をしていた。
……しかし、丘陵地帯一面の葡萄畑といい、どこか既視感のある景色だと思う。そう思った矢先、同じく外の景色を眺めていたハンナがぽつりと「ヴェルメブルク城周辺と同じ地形」とこぼした。
「そうなの?」
思わず訊くと、ハンナはすぐに頷く。
「木々や道、建物などは違いますが、地形に関してはほとんど同じで……」
ハンナが言うや否や、正面に座した女王がくすくすと笑いをこぼし、窓の外に視線をやった。
「何を、当たり前のことさ。こちらはヴェルメブルクと鏡合わせ。裏にある世界だからな。ほら、少し前方を見てみるがいい」
言われるがまま、ベルティーナとハンナは視線を向ける。すると、小高い丘の上には、黒砂岩に紫水晶の結晶を混ぜて積み上げたかのような立派な城が見えた。
「ヴェルメブルク城と同じ位置に……お城が。ヴェルメブルク城と姿はまったく違いますが……」
驚いたハンナがぽつりとこぼすと、女王は唇を綻ばせる。
「そうさ。あれが我が城、ナハトベルグ城さ」
「……ナハトベルグ?」
眉をひそめてベルティーナが復唱すると、女王は頷いた。
「人間はこの世界を“翳りの国”と呼ぶな。だが、美しき夜に祝福されて生きる魔性の者たちは皆……この国をナハトベルグと呼ぶのさ」
「現地ならではの呼び方みたいなものかしら?」
ベルティーナがそっけなく訊けば、「そうとも言える」と女王は頷いた。
「さて、もう空が白み始める頃だ。我が息子も帰ってきているだろう」
自分の城を見ながら、女王は少しばかり眠たそうに告げた。
息子……つまり、自分の婚約者だが、果たしてどんな人物か。ベルティーナには想像できなかった。だが、この女王の子息と考えると、きっとおぞましい怪物ではないだろうと推測は容易い。
(大丈夫、きっと顔は悪くない。私は彼とうまくやって、上手に立ち回りながら、報復の糸を紡がないと……)
ベルティーナは心の中で小さく呟き、近づく紫水晶の城を鋭い瞳で見据える。その冷たいアイスブルーの眼差しには、秘めた決意が揺れていた。
***
予定通り、空が白み始めた頃合いに、ベルティーナたちはナハトベルグ城に辿り着いた。
「長旅ご苦労様です」
労いの言葉を言って、御者の男は馬車のドアを開け、女王に手を差し出す。
女王は優雅な所作でその手を取り、馬車から降りた。
そうして御者は今度はベルティーナに手を差し出すが……。
「いいえ、結構よ。降りられるわ」
すぐに拒んだベルティーナは、すとんと馬車から降りた。
「これまた失敬」
それだけを告げると、御者は今度はハンナに手を差し出し、彼女を下ろした。
「さて。細々とした話は後日でいいか。お前たちも疲れているだろうから、今日は早めに休むといい。だが、我が息子とお前につけるこちらの侍女だけは……」
と、女王が話している最中だった。
「女王様ー! おかえりなさいませー!」
随分と元気溌剌とした少女の声が二つ重なって聞こえた。
ベルティーナとハンナは、声がした方に同時に顔を向ける。だが、その声の主たちの姿を見て、ベルティーナの思考はぴたりと止まってしまった。
ぶんぶんと手を振って駆け寄ってきたのは、漆黒のエプロンドレスを纏った二人の少女だった。
──ふわふわと長い髪は、夏の夜空に似た藍色。それを緩く二つに結っており、星屑のような白銀《ぎん》の瞳を輝かせて、彼女たちはやって来た。喩えるのであれば、まるで愛らしい人形のよう。
年齢は自分より四つ五つも年下と思われる、まだ稚さを残す可憐な少女たちだった。
だが、ベルティーナの目を一番に惹いたのはまったく別の部分だった。
彼女たちの頭頂部には獣の耳らしきものがつんと立っており、臀部からはモフモフとした尾が揺らいでいるのだ。何の生き物を主体としているのかはベルティーナには分からない。だが、この得体の知れぬモフモフがとてつもなく愛らしいと思えてしまう。
(な、な……なにこの生き物は!)
初めて見る生き物だ。眠い目を限界まで持ち上げたベルティーナは、慌ててハンナの方に視線をやる。
「ね、ねえ貴女。あのモフモフの耳と尾の生き物って……」
──何かしら、と小声で訊くと、ハンナは小首を傾げた。
「どう見ても猫だと思いますが……」
「……ね、猫ですって?」
その名は幾度も本の中で見かけたことだろう。
気分屋ではあるが、甘えると喉を鳴らす愛らしい仕草を見せる生き物で……。一度でいいから見てみたいと思い続けていた生き物で……。
(猫、猫。これが猫ですって?!)
興味が高ぶり、鼓動が高鳴るが、それでも表情には出さないように。ベルティーナは彼女たちをじっと見据える。
しかし、その視線にすぐに気づいたのか、彼女たちはすぐにベルティーナとハンナの方に視線を向け、にっこりと無垢な笑顔を咲かせて控えめに手を振った。
「見てよロートス! 本当に人間の王女様なの! 私たちよりもお姉さん! とても綺麗!」
「すごいわイーリス! 王女様だけじゃなく、もう一人、人間のお姉さんがいる!」
キャッキャと無邪気にはしゃぐ二人を見て、ベルティーナはすぐにまたハンナの方を向く。
「ベルティーナ様、どうなさったのですか。なんだかそわそわして……」
「……どんな反応をしたらいいか分からなくて、妙に不快に思って困っているのよ」
こんな胸が高鳴ったことなどあっただろうか。落ち着け……とベルティーナは自分に言い聞かせながら俯いた──そのときだった。
「こらこら、はしゃいでいないで、部屋に案内しておあげなさい! 王女と付き人はろくに眠ってさえいないわ。急ぎ入浴と就寝の準備をなさい!」
女王は呆れつつもぴしゃりと言う。すると、二人の少女は慌ててベルティーナとハンナの元に駆け寄ってきた。
***
それから、双子の猫の少女たちに案内され、ベルティーナは一つの部屋に通された。
そこは、漆黒と紫を基調とした部屋。天蓋付きのベッドのほか、棚やソファなど最低限の調度品が設置されていた。
色使いは暗めだが、ベルティーナはすぐにこの部屋が気に入った。単純に、部屋を基調とする紫が自分が一番好きな色ということもあるだろう。
「お気に召しました?」なんて双子の少女たちにキャイキャイと問われ、ベルティーナは素直に頷く。
……どうやら、この少女たちがベルティーナの侍女らしい。
彼女たちは「姉のイーリス」「妹のロートス」と自らを名乗ったが、顔も声も装いだって何もかも同じ。まったく判別がつかなかった。
しかし、このかしましさにはさすがに目眩を覚えてしまい、ベルティーナはここでも誰の手も借りず一人で入浴を済ませた。
そうして入浴を終え、部屋に戻ると、そこには誰もいなかった。テーブルの上を見ると、ハンナからの置き手紙があり、綺麗な書体で「お休みなさいませ」と綴られていた。
その隣には、湯気の立つ温かい飲み物が添えてあり、ベルティーナはソファに座してカップに手を伸ばした。
ハーブティーだろうか。すんと鼻を鳴らすと、林檎によく似た甘い芳香が漂っていることから、カモミールティーだと分かる。
カモミールは安眠や鎮静効果がある。随分と気を利かせてくれたものだと、ベルティーナがお茶を啜った途端──部屋の奥でガサリと物音がした。
何事か……。
慌ててベルティーナが振り向くと、そこには一人の青年が立っていた。
服装は首元に灰色の毛皮のついた黒のコート。簡素なシャツを下に着込み、黒の長靴を履いていた。毛皮のついた装いのせいもあるだろう。彼から、少しばかり荒々しい印象を感じてしまう。
──艶やかな濡羽色の髪に、深い森を彷彿させるビリジアンの瞳。その顔立ちは精悍で……。自分とは頭一つ以上も高い、長身な青年だった。
女王同様に、彼の目元や手の甲には鱗らしきものが散らばっており、さらに似た点は巻き角だ。だが、それは女王の角よりも幾分か逞しく大きなものだった。しかし、異なる点が一つある。彼の臀部には硬そうな鱗に覆われた尾があった。
ちょうど朝日が昇り始めた頃──その巻き角や鱗は、まるで黒曜石のように妖しい青い光を反射していた。
きっと、彼が翳の女王の息子で王子……自分の婚約者と、ベルティーナはひと目見てすぐに理解した。なにしろ、顔立ちがまったく違うにしても、同じ色と形状をした角と鱗を持つ部分が女王と似すぎていたからだ。
第7話 夜明けの寝室と
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