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第1章 - 6歳の章
02. 朝の一幕
朝食を取りながら、俺はつけっぱなしのテレビに目をやる。
この局の朝のニュースは、時事からエンタメまで幅広く取り扱っているから、流し見に丁度いいのだ。
『厚生労働省の発表によりますと、今年の男性出生率は更に下方修正されるとの見込みです』
『この事について、いかがですか、コメンテーターの松永さん?』
『由々しき事態ですね。平均男女比はこの20年で1:1900から1:2400にまで下落しています。この下落率は、連盟加入国の中でもワースト3に入る勢いです。早急に何らかの対策を取らなければ、男性人口は更に減ることになるでしょう』
ガンガンに危機感を煽ってくる女性コメンテーターの言葉を右から左に聞き流しながら、トーストに手を伸ばす。
6歳になったばかりの子供の手には少しばかり大きいトーストだが、香ばしい匂いがしてなんとも食欲をそそられる。
子供らしく大口を開いてかじってみる。
サクッとした厚切りトーストにバターが染み込んでいて、実に美味い。
「どう、ゆうちゃん? ママのご飯、美味しい?」
おっとりとした女性の声が聞こえ、俺は隣へと顔を向ける。
俺のすぐ側に寄り添うように座るのは、全世界の優しさと母性を凝縮したかのような女性。
歳は20代後半だが、あふれる母性のせいでもう少し年上に思える。
ゆるふわな雰囲気で、「超絶」がつくほどの美人だ。
艷やかでボリューミィーな黒髪はルーズサイドテールにさており、これまた母性を感じさせる。
そんな彼女に、俺は返事した。
「うん、美味しいよ、母さん」
そう、彼女こそ俺の母親──小鳥遊 綾だ。
「もう、ゆうちゃんってば、『母さん』じゃなくて『ママ』でしょう?」
ごめん、ママン。
あなたの息子、体は6歳の幼児でも、中身はあなたと殆ど同い年の、30近いおっさんなんですわ。
今更スナックの店主以外に「ママ」って呼ぶのは、ちょっとキツイっす……。
「む~~~」
ぷく~っと可愛くむくれる我が母。
他の女性がやるとあざとくてしらける仕草だけど、ママンがやるととてもカワイイ。
これ、我が母の素なのよね……。
「む~~~~~」
ぷく~っと頬を膨らませ続けるママン。
あ、これ、言うこと聞くまで止めないやつや。
「……ママ」
「そうよ~、えらいわね~ゆうちゃん~」
一瞬で満開の笑みになるママン。
このゆるふわ具合で一児の母ってマジか、とも思うが、仕方ない。
なにせこの世界、男の子を産むことは女性にとって最上の誉だ。
俺という男児を産んだママンは、それはもう毎日のようにニッコニコなのである。
『──やはり政府はもっと有効な手段を取るべきだと思うんですよ』
テレビでは、中身のないコメントをしていた女性コメンテーターが何かを力説している。
女性なのは、何もこのスカスカコメンテーターだけではない。
スタジオに居る人間は、全員が全員、女性だ。
司会のアナウンサーも、ゲストのタレントも、コメンテーターの有識者も、たまにちらっと映るADやカメラマンも、全員が女性だ。
『それは、各国で実施されている男性保護政策のようなことでしょうか?』
『そういう感じのものですね』
危機感を煽るだけ煽っておいて具体的な解決策は何一つ提示しないスカスカコメンテーターが更に続ける。
『現在、我が国の男性人口は5万強。この数は、今も減少の一途を辿っています』
『ですが、近年、人工授精による出生数は増加傾向にある、というデータもありますが』
『新生児は増えても、男児の数は増えていないんです! むしろ、減り続けているんです!』
ついに怒鳴りだすスカスカコメンテーター。
話の中身はミネラルウォーターの水割りみたいに薄味なのに、声量だけはデカい。
『このままでは数年の内に男性人口は5万人を切る、という試算も出ているんですよ! 誰か早くなんとかしないと、日本は滅びます!』
いや結局ひと頼みなんかい。
内心でツッコみつつ、スクランブルエッグを頬張る。
うん、美味い。
男女比1:2400。
これが、俺──小鳥遊 裕太が生まれ落ちた世界の現状だ。
◆◆◆◆◆ あとがき ◆◆◆◆◆
注:ママンはヒロインではありません。( -`ω-)割とマジで
ちなみに、固定ヒロインが出てくるかは不明です。(´・ω・`)物語の性質上ね
出てきたら「ラブコメ」タグを付けたいと思います。
この局の朝のニュースは、時事からエンタメまで幅広く取り扱っているから、流し見に丁度いいのだ。
『厚生労働省の発表によりますと、今年の男性出生率は更に下方修正されるとの見込みです』
『この事について、いかがですか、コメンテーターの松永さん?』
『由々しき事態ですね。平均男女比はこの20年で1:1900から1:2400にまで下落しています。この下落率は、連盟加入国の中でもワースト3に入る勢いです。早急に何らかの対策を取らなければ、男性人口は更に減ることになるでしょう』
ガンガンに危機感を煽ってくる女性コメンテーターの言葉を右から左に聞き流しながら、トーストに手を伸ばす。
6歳になったばかりの子供の手には少しばかり大きいトーストだが、香ばしい匂いがしてなんとも食欲をそそられる。
子供らしく大口を開いてかじってみる。
サクッとした厚切りトーストにバターが染み込んでいて、実に美味い。
「どう、ゆうちゃん? ママのご飯、美味しい?」
おっとりとした女性の声が聞こえ、俺は隣へと顔を向ける。
俺のすぐ側に寄り添うように座るのは、全世界の優しさと母性を凝縮したかのような女性。
歳は20代後半だが、あふれる母性のせいでもう少し年上に思える。
ゆるふわな雰囲気で、「超絶」がつくほどの美人だ。
艷やかでボリューミィーな黒髪はルーズサイドテールにさており、これまた母性を感じさせる。
そんな彼女に、俺は返事した。
「うん、美味しいよ、母さん」
そう、彼女こそ俺の母親──小鳥遊 綾だ。
「もう、ゆうちゃんってば、『母さん』じゃなくて『ママ』でしょう?」
ごめん、ママン。
あなたの息子、体は6歳の幼児でも、中身はあなたと殆ど同い年の、30近いおっさんなんですわ。
今更スナックの店主以外に「ママ」って呼ぶのは、ちょっとキツイっす……。
「む~~~」
ぷく~っと可愛くむくれる我が母。
他の女性がやるとあざとくてしらける仕草だけど、ママンがやるととてもカワイイ。
これ、我が母の素なのよね……。
「む~~~~~」
ぷく~っと頬を膨らませ続けるママン。
あ、これ、言うこと聞くまで止めないやつや。
「……ママ」
「そうよ~、えらいわね~ゆうちゃん~」
一瞬で満開の笑みになるママン。
このゆるふわ具合で一児の母ってマジか、とも思うが、仕方ない。
なにせこの世界、男の子を産むことは女性にとって最上の誉だ。
俺という男児を産んだママンは、それはもう毎日のようにニッコニコなのである。
『──やはり政府はもっと有効な手段を取るべきだと思うんですよ』
テレビでは、中身のないコメントをしていた女性コメンテーターが何かを力説している。
女性なのは、何もこのスカスカコメンテーターだけではない。
スタジオに居る人間は、全員が全員、女性だ。
司会のアナウンサーも、ゲストのタレントも、コメンテーターの有識者も、たまにちらっと映るADやカメラマンも、全員が女性だ。
『それは、各国で実施されている男性保護政策のようなことでしょうか?』
『そういう感じのものですね』
危機感を煽るだけ煽っておいて具体的な解決策は何一つ提示しないスカスカコメンテーターが更に続ける。
『現在、我が国の男性人口は5万強。この数は、今も減少の一途を辿っています』
『ですが、近年、人工授精による出生数は増加傾向にある、というデータもありますが』
『新生児は増えても、男児の数は増えていないんです! むしろ、減り続けているんです!』
ついに怒鳴りだすスカスカコメンテーター。
話の中身はミネラルウォーターの水割りみたいに薄味なのに、声量だけはデカい。
『このままでは数年の内に男性人口は5万人を切る、という試算も出ているんですよ! 誰か早くなんとかしないと、日本は滅びます!』
いや結局ひと頼みなんかい。
内心でツッコみつつ、スクランブルエッグを頬張る。
うん、美味い。
男女比1:2400。
これが、俺──小鳥遊 裕太が生まれ落ちた世界の現状だ。
◆◆◆◆◆ あとがき ◆◆◆◆◆
注:ママンはヒロインではありません。( -`ω-)割とマジで
ちなみに、固定ヒロインが出てくるかは不明です。(´・ω・`)物語の性質上ね
出てきたら「ラブコメ」タグを付けたいと思います。
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