突然婚約破棄された出来損ない令嬢は、騎士になって世の中を見返します!

香取鞠里

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2.突然襲われそうになってるんですが(前編)

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 無事に卒業をして、それと同時にマーティン王子に婚約破棄された私は、一気に手持ち無沙汰になった。

 親には落胆され、とりあえず修道院行きを検討されている。

 けれど、それさえ決まりきらずにいたところ、学園の卒業生の集まりがあるという便りが届いた。

 卒業してからあまりにも間もない集まりだなと感じたけれど、私は気分転換がてら外に出ることにした。

 侍女ともに街中を歩く。

 地図によるとこのあたりのようだが、指定された場所が見つからない。


「おかしいですね、みつかりませんね……」


 もしものときのために侍女と一緒に来たが、侍女も困ったように首をかしげた。

 侍女と地図を確認しながら歩いてきたから、地図上は間違ってないはずだ。それなのに、どういうわけか会場らしきものが見つからないのだ。


「どうしてかしら……?」


 私も侍女に持たせている地図を覗き込む。
 けれど、無能な私には、何となく合っているようにしか見えなかった。

 ここは屋敷から少し離れているため、私も侍女も頻繁に訪れる場所ではなかった。

 そのとき、背後から男性数人に声をかけられた。


「イルアさんじゃない?」


 見ると、同じ歳くらいの男性が四人立っている。


「学園の同窓会会場ならこっちだよ」

「本当? ありがとう」


 どことなく見覚えのある男性にそう言われて、私は侍女とともに男性四人の後に続いた。

 しばらく歩いてたどり着いた建物の階段を登り、通されたのは、どことなく重たい扉の向こうだった。

 さびれた建物に、しばらく人に使われていなかったんだろうなと感じさせられる小汚い部屋に足を踏み入れた私は、さすがに何かがおかしいと思った。

 それは侍女も同じだったようで、私は侍女と目配せしたのち、同級生だと思われる四人の背中に向かって話しかけた。


「あの、本当にここなの? とても通り道だと思えないんだけど」


 瞬間、こちらを向いた四人か私たちの方へ飛びかかってきた。

 正確には、一人が今入ってきた重たい戸を閉めて、一人が侍女を押さえて、一人が私の手を後ろで縛り、一人が私の正面から顎を掴んだ。

 どんくさい私は、そのどれもをかわすことができなかった。


 私の顎をつかむ男が、まるで私を見下すように私を見る。


「へえ、マーティン王子に捨てられたイルアさんねえ」

「確かにそうだけど、何?」

「お嬢様は、公爵家のご令嬢ですよ! こんなことをして良いとお思いですか?」


 そのとき、男の手をなんとか振りほどいた侍女が私の方へ駆けてきて、私の顎をつかむ男に詰め寄る。


「お前、女一人にやられてんじゃねえよ」

「だってこいつ、すごいバカ力で……」


 侍女は、武術が得意だ。
 どんくさい私の身を守れるようにと、私が幼い頃に訓練を受けていたのを覚えている。


「チッ。いくら王子の命とはいえ、こんなの聞いてねえよ」


 そのとき、男が私の顎を離して吐き捨てるように言った。


「それはどういうことですか?」

「ああ? お前には関係ねえだろ?」


 侍女の問いに、男は苛立ったように答えるが、瞬間で残りの二人の男性も目の前で倒した侍女を前に、男は狼狽したように口を割った。
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