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しおりを挟む「エリー様、結婚式のご希望はございますか?」
目の前でニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべるのは、私の婚約者になってしまったヘンリーだ。
家柄から、父が勝手に見つけてきてしまったお相手だ。
育ちは良いのだろうけれと、正直生理的に受け付けない。
「何でも良いですわ」
私が適当に返すものの、ヘンリーはそんな私の様子をまるで気にしていないようだ。
吐き気のするような笑みを崩さずに、結婚式についてああだこうだと一人で勝手に話を進めている。
「結婚、か……」
本当なら、自分が選んだ心から愛せる人と結ばれたかった。
こんな私でも、そんな少女のような気持ちを持っていたことに驚く。
「エリー様、何か言いましたか?」
「いえ、何も……」
このままこいつと結婚して、人生が終わる。
そんなのごめんだ。
でも父の立場上、私からこの婚約を破棄することはできない。
だから何としてでもヘンリーにこの婚約を破棄にさせるようにうごかないといけないのに、ヘンリーは私がどんな態度を取ろうと、決して婚約を破棄しようとしないのだ。
もうこうなれば、姿を眩ますしかないのか……。
父には悪いけど、もう逃げ出したくてたまらなかった。
その日の夜。私はお城を逃げ出すことに成功した。
逃げ出せば、私からヘンリーを拒む姿勢を見せることなくこの婚約を破棄できるだろうと思ったのだ。
お父様、お母様、ごめんなさい。
でも私には無理です!!!
お城の見張りをすり抜けて、外の世界に出る。
その後、どうしようなんて考えていなかったけど、何とかなるだろう。
私はこうして自由の道へと一歩踏み出したのだった。
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