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◇
「マーク、お前は禁固一年だ」
「そんな、どうしてですか!?」
「それがわからないとは、私の息子であることが恥ずかしい! 更に禁固一年の追加を命ずる」
「ふざけるなあああああ! 俺は、被害者だああああ!」
公爵邸に着くなり、マークとジル、そして他のお付きの者たちの話を聞いて、総合的に公爵がくだしたのが、マークへの処罰だった。
この前まで威張っていたのが嘘のように、撤回を求めて両親にすがりつくマークは、言ったら悪いけど、とても滑稽に見えた。
マークの両親にも丁重に謝罪されて、私は侯爵家に戻ろうと侍女のマリーと馬車に乗ろうとしたときだった。
「クレア様」
マークの護衛のジルに呼び止められた。
「ジル、マークの件については本当にありがとう」
マークの発言から、あの離婚届のくだりはジルが私のためにしてくれたのだろうことは気づいていた。
「でも、私のためにあそこまでして大丈夫? これから居づらくならない?」
マークは禁固刑にはなったのはジルのおかげではあるが、マークの視点から見れば、ジルはマークを裏切っていることになる。
いくら公爵夫妻からはジルの行いについて処罰を受けることはなかったにせよ、居心地は良いものではないだろう。
「いえ。私は、クレア様に本当の意味で幸せになってほしかったので大丈夫です。それに、私は公爵家の護衛を退こうと思っております」
「どうして?」
それならジルは今後どうするつもりなのだろう?
「愛するお方を傷つけた人のそばにいたくないからです」
「え……?」
「私はクレア様を愛しています」
言われた言葉を理解するのと同時に、顔が真っ赤に染まるのがわかった。
私の恩人とも言えるジルに、少なからずときめいている私がいた。
「ジル。本当に?」
「はい。さすがに私じゃクレア様とつり合いませんが。お別れする前に、気持ちだけお伝えしたくて申し訳ごさいません」
「謝らないで? 私は嬉しいのよ」
「……え?」
「私も、ジルに惹かれてる。今後のことは、侯爵家に着いてから相談しましょう」
そして、少し離れたところで待機してくれていたマリーにジルのことを話すと、私達は一緒に侯爵家へ向かった。
今度こそ、私は幸せになる。
今私の手を握るジルと一緒に。
(おしまい)
「マーク、お前は禁固一年だ」
「そんな、どうしてですか!?」
「それがわからないとは、私の息子であることが恥ずかしい! 更に禁固一年の追加を命ずる」
「ふざけるなあああああ! 俺は、被害者だああああ!」
公爵邸に着くなり、マークとジル、そして他のお付きの者たちの話を聞いて、総合的に公爵がくだしたのが、マークへの処罰だった。
この前まで威張っていたのが嘘のように、撤回を求めて両親にすがりつくマークは、言ったら悪いけど、とても滑稽に見えた。
マークの両親にも丁重に謝罪されて、私は侯爵家に戻ろうと侍女のマリーと馬車に乗ろうとしたときだった。
「クレア様」
マークの護衛のジルに呼び止められた。
「ジル、マークの件については本当にありがとう」
マークの発言から、あの離婚届のくだりはジルが私のためにしてくれたのだろうことは気づいていた。
「でも、私のためにあそこまでして大丈夫? これから居づらくならない?」
マークは禁固刑にはなったのはジルのおかげではあるが、マークの視点から見れば、ジルはマークを裏切っていることになる。
いくら公爵夫妻からはジルの行いについて処罰を受けることはなかったにせよ、居心地は良いものではないだろう。
「いえ。私は、クレア様に本当の意味で幸せになってほしかったので大丈夫です。それに、私は公爵家の護衛を退こうと思っております」
「どうして?」
それならジルは今後どうするつもりなのだろう?
「愛するお方を傷つけた人のそばにいたくないからです」
「え……?」
「私はクレア様を愛しています」
言われた言葉を理解するのと同時に、顔が真っ赤に染まるのがわかった。
私の恩人とも言えるジルに、少なからずときめいている私がいた。
「ジル。本当に?」
「はい。さすがに私じゃクレア様とつり合いませんが。お別れする前に、気持ちだけお伝えしたくて申し訳ごさいません」
「謝らないで? 私は嬉しいのよ」
「……え?」
「私も、ジルに惹かれてる。今後のことは、侯爵家に着いてから相談しましょう」
そして、少し離れたところで待機してくれていたマリーにジルのことを話すと、私達は一緒に侯爵家へ向かった。
今度こそ、私は幸せになる。
今私の手を握るジルと一緒に。
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