38 / 86
第五章 ノーヴォヴェルデ ~無権代理人~
植物ゾンビ
しおりを挟む
道中、三人で注意しながら、
冥府の泉から地下道に、
引き返し今度は迷わないよう、
ドルップ商会へと進んで行く。
「にしても、こりゃあ……
街の下に巨大な迷路いや、
ダンジョンがあるみたいなもんだな~」
マッピングを担当しているアシュリーが、
地図を確認しつつ感嘆している。
「この地下通路こそ、
レッジョがダンジョン都市と呼ばれる
最大の理由かもしれませんね」
こうなるともう、
どこからがダンジョンという境目も
曖昧になってしまって、
レッジョの街全体がダンジョンに、
覆われているようなものである。
「ダンジョンで盗掘野郎がいたら
ぶっ飛ばそうと
思っていたんだが、
本当に人っ子一人いやしねぇ」
さっきから退屈だとばかりに、
ギャリックが苛立っている。
さすがにこの狭い地下通路で、
長剣を振り回したりはしないが、
気が短いギャリックが、
発作的にやってしまわないか
ルロイは気が気ではない。
「ダンジョンの外壁を、
市内の地下道まで掘り進めるとは。
ここまで大規模な盗掘は、
僕も聞いたことがありません。
後で冒険者ギルドに報告しなくては」
がめつい冒険者がお宝目当てで
ダンジョンの外壁を掘り進めた
結果なのか、それとも地下通路側から
商会側が密かにトンネルでも掘っていた
か分からなかったが、
いずれにせよ盗掘行為は、
市の管轄であるダンジョンを
勝手に破損させる不法行為にあたる。
「ヒャァ、開けた場所に出れたぜ」
ようやく外の光らしきものが見えて、
更に進むと日に光の差し込む広い空間
へルロイたちはたどり着く。
「あう~、お日様が眩しい」
アシュリーは顔に手をかざして、
顔をしかめるも、
日光浴がまんざらでもない様子
で声を弾ませる。
「ここは庭園かなにかでしょうか」
位置的にここはまだ地下なのだろう。
が、天井から大きな天窓が幾つか
設けられており、
日光が眩しく差し込んでくる。
日の光を受けて周囲には小さな
苔に覆われた樹木が、
無数に植えられている。
さしずめ地下に設けられた
樹木園と言ったところか。
それにしても、
奇妙な型の樹木だと、
三人はそれに近寄る。
「こ……これは」
奇妙な樹木に見えたのは、
なんと人間の死体だった。
よくよく見れば、
植物の蔦や根が絡まり、
半ば死体は植物の塊に
取り込まれている。
その中にはそれは見事な
鮮血色の大きな花を
生やしている個体もあった。
ルロイたちが近寄ったことで、
死体の何体かが突然目を見開く。
うめき声こそ上げないものの、
手足をばたつかせ体に絡んだ
蔦や枝、葉を衣擦れのように
引きずりながら
ルロイたちににじり寄って来る
様はまるで樹木が人間の真似事
をして襲い掛かって来るようであった。
「ポギャ、なんだこいつらぁ!」
「そりゃ、死体が動くんだから
ゾンビっしょ」
「ゾンビが花なんか生やすか?」
「う~ん、アタシもわかんね」
植物を生やしたゾンビの異様さに、
のんきに問答している二人に
ルロイがチンクエデアを構え、
「来ますよ!」
腕を伸ばして襲って来た、
一体の植物ゾンビにルロイが、
ゾンビの腕に斬りかかる。
「堅い!」
刃はゾンビの腕を両断することなく、
腕の半ばまで止まってしまう。
体が半ば植物化しているせいか、
植物ゾンビの腕は老木の幹のように
堅く人間相手のようにはゆかない。
「ヒャア、剣が繊維に
引っ掛かって抜けねぇ」
両手に片手剣を持ち、
複数の植物ゾンビを相手に、
立ち回るギャリックが、
忌々しく力任せに叩ききっている。
「人型で動いている以上、
繊維じゃなく筋肉の部分
だってあるはずさ」
長柄の槍を振り回し、
間合いを取りつつも、
体術に優れたアシュリーは、
ぎこちない動きの植物ゾンビを、
一体一体蹴散らしてゆく。
「そうですね、
そう言う事なら」
アシュリーの助言を受けて、
ルロイはケープを腕に巻き、
襲い来るゾンビの関節に、
ケープを巻き付け、
動きを封じた上で首を斬り落とす。
「単調な動きだ。
既に見切ったぜ」
ギャリックもまた、
ゾンビの動きと弱点を見切り、
関節や首を狙い、
激流のような二刀流で、
何体もの植物ゾンビを薪割りでも
するかように次々と屠って行く。
「それにしても、数が多い」
何体目かの植物ゾンビを、
ケープ術とチンクエデアの合わせ技で
倒したルロイが、
息を乱し額の汗を腕に巻き付いた
ケープで拭う。
「オイオイ、
本職事務職だからって、
チョット運動不足じゃねぇの?
ロイのあんちゃんよ」
まだ余裕のアシュリーが、
戦いながら軽口を叩く。
「肝に銘じておきますよ」
「ポギャルゥ!
これがラスいちぃ~!」
ギャリックが庭園に残った
最後の一体の首を両断し、
植物ゾンビを全て片付ける。
「ようやく体が
本調子になってきたぜぇ。
このまま今回の黒幕共に、
ご挨拶と洒落込もうぜぇ!」
ギャリックが上へと続く階段を
睨み好戦的に微笑む。
「ああ、悪者退治なんて、
腕が鳴るねぇ」
「遠回りになりましたが、
ようやくドルップを
追い詰めましたよ」
アシュリーとルロイが、
腹を括りギャリックに続いて
階段を駆け上る。
冥府の泉から地下道に、
引き返し今度は迷わないよう、
ドルップ商会へと進んで行く。
「にしても、こりゃあ……
街の下に巨大な迷路いや、
ダンジョンがあるみたいなもんだな~」
マッピングを担当しているアシュリーが、
地図を確認しつつ感嘆している。
「この地下通路こそ、
レッジョがダンジョン都市と呼ばれる
最大の理由かもしれませんね」
こうなるともう、
どこからがダンジョンという境目も
曖昧になってしまって、
レッジョの街全体がダンジョンに、
覆われているようなものである。
「ダンジョンで盗掘野郎がいたら
ぶっ飛ばそうと
思っていたんだが、
本当に人っ子一人いやしねぇ」
さっきから退屈だとばかりに、
ギャリックが苛立っている。
さすがにこの狭い地下通路で、
長剣を振り回したりはしないが、
気が短いギャリックが、
発作的にやってしまわないか
ルロイは気が気ではない。
「ダンジョンの外壁を、
市内の地下道まで掘り進めるとは。
ここまで大規模な盗掘は、
僕も聞いたことがありません。
後で冒険者ギルドに報告しなくては」
がめつい冒険者がお宝目当てで
ダンジョンの外壁を掘り進めた
結果なのか、それとも地下通路側から
商会側が密かにトンネルでも掘っていた
か分からなかったが、
いずれにせよ盗掘行為は、
市の管轄であるダンジョンを
勝手に破損させる不法行為にあたる。
「ヒャァ、開けた場所に出れたぜ」
ようやく外の光らしきものが見えて、
更に進むと日に光の差し込む広い空間
へルロイたちはたどり着く。
「あう~、お日様が眩しい」
アシュリーは顔に手をかざして、
顔をしかめるも、
日光浴がまんざらでもない様子
で声を弾ませる。
「ここは庭園かなにかでしょうか」
位置的にここはまだ地下なのだろう。
が、天井から大きな天窓が幾つか
設けられており、
日光が眩しく差し込んでくる。
日の光を受けて周囲には小さな
苔に覆われた樹木が、
無数に植えられている。
さしずめ地下に設けられた
樹木園と言ったところか。
それにしても、
奇妙な型の樹木だと、
三人はそれに近寄る。
「こ……これは」
奇妙な樹木に見えたのは、
なんと人間の死体だった。
よくよく見れば、
植物の蔦や根が絡まり、
半ば死体は植物の塊に
取り込まれている。
その中にはそれは見事な
鮮血色の大きな花を
生やしている個体もあった。
ルロイたちが近寄ったことで、
死体の何体かが突然目を見開く。
うめき声こそ上げないものの、
手足をばたつかせ体に絡んだ
蔦や枝、葉を衣擦れのように
引きずりながら
ルロイたちににじり寄って来る
様はまるで樹木が人間の真似事
をして襲い掛かって来るようであった。
「ポギャ、なんだこいつらぁ!」
「そりゃ、死体が動くんだから
ゾンビっしょ」
「ゾンビが花なんか生やすか?」
「う~ん、アタシもわかんね」
植物を生やしたゾンビの異様さに、
のんきに問答している二人に
ルロイがチンクエデアを構え、
「来ますよ!」
腕を伸ばして襲って来た、
一体の植物ゾンビにルロイが、
ゾンビの腕に斬りかかる。
「堅い!」
刃はゾンビの腕を両断することなく、
腕の半ばまで止まってしまう。
体が半ば植物化しているせいか、
植物ゾンビの腕は老木の幹のように
堅く人間相手のようにはゆかない。
「ヒャア、剣が繊維に
引っ掛かって抜けねぇ」
両手に片手剣を持ち、
複数の植物ゾンビを相手に、
立ち回るギャリックが、
忌々しく力任せに叩ききっている。
「人型で動いている以上、
繊維じゃなく筋肉の部分
だってあるはずさ」
長柄の槍を振り回し、
間合いを取りつつも、
体術に優れたアシュリーは、
ぎこちない動きの植物ゾンビを、
一体一体蹴散らしてゆく。
「そうですね、
そう言う事なら」
アシュリーの助言を受けて、
ルロイはケープを腕に巻き、
襲い来るゾンビの関節に、
ケープを巻き付け、
動きを封じた上で首を斬り落とす。
「単調な動きだ。
既に見切ったぜ」
ギャリックもまた、
ゾンビの動きと弱点を見切り、
関節や首を狙い、
激流のような二刀流で、
何体もの植物ゾンビを薪割りでも
するかように次々と屠って行く。
「それにしても、数が多い」
何体目かの植物ゾンビを、
ケープ術とチンクエデアの合わせ技で
倒したルロイが、
息を乱し額の汗を腕に巻き付いた
ケープで拭う。
「オイオイ、
本職事務職だからって、
チョット運動不足じゃねぇの?
ロイのあんちゃんよ」
まだ余裕のアシュリーが、
戦いながら軽口を叩く。
「肝に銘じておきますよ」
「ポギャルゥ!
これがラスいちぃ~!」
ギャリックが庭園に残った
最後の一体の首を両断し、
植物ゾンビを全て片付ける。
「ようやく体が
本調子になってきたぜぇ。
このまま今回の黒幕共に、
ご挨拶と洒落込もうぜぇ!」
ギャリックが上へと続く階段を
睨み好戦的に微笑む。
「ああ、悪者退治なんて、
腕が鳴るねぇ」
「遠回りになりましたが、
ようやくドルップを
追い詰めましたよ」
アシュリーとルロイが、
腹を括りギャリックに続いて
階段を駆け上る。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結保証】科学で興す異世界国家 ~理不尽に死んだ技術者が、「石炭」と「ジャガイモ」で最強を証明する。優秀な兄たちが膝を折るまでの建国譚~
Lihito
ファンタジー
正しいデータを揃えた。論理も完璧だった。
それでも、組織の理不尽には勝てなかった。
——そして、使い潰されて死んだ。
目を覚ますとそこは、十年後に魔王軍による滅亡が確定している異世界。
強国の第三王子として転生した彼に与えられたのは、
因果をねじ曲げる有限の力——「運命点」だけ。
武力と経済を握る兄たちの陰で、継承権最下位。後ろ盾も発言力もない。
だが、邪魔する上司も腐った組織もない。
今度こそ証明する。科学と運命点を武器に、俺のやり方が正しいことを。
石炭と化学による国力強化。
情報と大義名分を積み重ねた対外戦略。
準備を重ね、機が熟した瞬間に運命点で押し切る。
これは、理不尽に敗れた科学者が、選択と代償を重ねる中で、
「正しさ」だけでは国は守れないと知りながら、
滅びの未来を書き換えようとする建国譚。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
勘違いで召喚して来たこの駄女神が強引すぎる 〜ふざけたチートスキルで女神をボコしながら冒険します〜
エレン
ファンタジー
私は水無月依蓮《みなづきえれん》、どこにでもいる普通の女子高生だ。
平穏な生活を送っていた私は、ある日アルテナと名乗る女神に召喚されてしまう。
厨二臭いその女神が言うには、有給休暇で異世界冒険したいから、従者としてついて来なさいとの事。
うん、なんだその理由は。
異世界なんて興味ない、とっとと私を元の場所に返せ。
女神を殴ったり踏みつけたりしてやっと返してもらえるかと思いきや。
え? 勝手に人間を異世界に呼ぶのは天界の掟で禁止? バレたら私も消される?
ふざけるなー!!!!
そんなこんなで始まる私とポンコツ女神アルテナのドタバタ異世界冒険。
女神が貴族をハゲさせたり、「器用貧乏・改」と言うふざけたスキルを習得したり、ゴブリンの棲家に突撃する羽目になったり、手に入れた家が即崩壊したり、色々起きるけど全てを乗り切って見せる。
全ては元の世界に帰るために!!
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
【完結】異世界で魔道具チートでのんびり商売生活
シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる