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第七章 竜使いの問題 ~停止条件~
プロローグ 再会
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夕刻、レッジョ市郊外――――
「今日の活躍ナイスファイトだったぜ」
アシュリーが嬉しそうに
アナの肩をポンポン叩く。
「まだまだですよ、ようやく
初歩的な死霊術が使える段階に
戻っただけですし……」
今日の活躍を褒められてアナも
まんざらではないものの
謙遜してみせる。
「謙遜すんなって、
この調子で明日も頼むぜ」
アシュリーが屈託なく笑うと、
アナがはにかみつつ頷く。
植物ゾンビを全滅させた一件で、
アナが失った力も修行の甲斐あって、
少しずつ戻りつつあった。
今回はようやくアシュリーと組んで、
手ごろなダンジョンでの探索を終え、
アナが冒険者として復帰できた
記念すべき日である。
「よ~し、今日はアナの復帰祝いだ。
いつもの店に急ごうぜ。
リックのオッサンが
席とって先に待ってるから、
早くしないと晩飯食われちまう」
「えへへ、そうですね」
今日もどうにか乗り切ったという
安堵感が空腹も連れてきたようで、
二人はギャリックの行きつけの店の
料理の品々を思い浮かべて、
顔を緩ませる。
「キュイィィ!」
その時、
ひどく懐かしい鳴き声が、
アシュリーの耳を打った。
直後大空から、
空間を引き裂く羽ばたきが響き、
空色の巨体が地面にズシリと着陸する。
「あわぁあ!」
いきなり飛竜が飛来してきた事で、
アナはすっかり怯え本能的に、
へっぴり腰にロッドを構え固まっている。
「えっ、フレッチ!」
アシュリーは信じられない様子で、
飛竜の円らな瞳を覗く。
「また……会えるなんて」
「えっ知り合い?」
優しく飛竜の顔を抱きかかえ、
涙を浮かべるアシュリーに、
アナは意外そうに目を見開く。
アシュリーが幼少のころから
家族同然に過ごした
空色の飛竜はつぶらな瞳を
ぱちくりさせて、
アシュリーに会釈する。
その傍らにはもう一頭の
飛竜が寄り添っていた。
「その連れ合いの竜ってまさか!」
「キュイィ」
フレッチャーが嬉しそうに頷く。
「クゥウィ」
連れ合いの雌の飛竜が続けて頷く。
「良かった……フレッチに連れ合いが」
アシュリーの思わぬ歓喜の顔色が、
何かを思い当たり真剣な表情になり、
そこから導き出される未来に思い至り、
やがて愁いを帯びたものへ変わって行く。
「今日の活躍ナイスファイトだったぜ」
アシュリーが嬉しそうに
アナの肩をポンポン叩く。
「まだまだですよ、ようやく
初歩的な死霊術が使える段階に
戻っただけですし……」
今日の活躍を褒められてアナも
まんざらではないものの
謙遜してみせる。
「謙遜すんなって、
この調子で明日も頼むぜ」
アシュリーが屈託なく笑うと、
アナがはにかみつつ頷く。
植物ゾンビを全滅させた一件で、
アナが失った力も修行の甲斐あって、
少しずつ戻りつつあった。
今回はようやくアシュリーと組んで、
手ごろなダンジョンでの探索を終え、
アナが冒険者として復帰できた
記念すべき日である。
「よ~し、今日はアナの復帰祝いだ。
いつもの店に急ごうぜ。
リックのオッサンが
席とって先に待ってるから、
早くしないと晩飯食われちまう」
「えへへ、そうですね」
今日もどうにか乗り切ったという
安堵感が空腹も連れてきたようで、
二人はギャリックの行きつけの店の
料理の品々を思い浮かべて、
顔を緩ませる。
「キュイィィ!」
その時、
ひどく懐かしい鳴き声が、
アシュリーの耳を打った。
直後大空から、
空間を引き裂く羽ばたきが響き、
空色の巨体が地面にズシリと着陸する。
「あわぁあ!」
いきなり飛竜が飛来してきた事で、
アナはすっかり怯え本能的に、
へっぴり腰にロッドを構え固まっている。
「えっ、フレッチ!」
アシュリーは信じられない様子で、
飛竜の円らな瞳を覗く。
「また……会えるなんて」
「えっ知り合い?」
優しく飛竜の顔を抱きかかえ、
涙を浮かべるアシュリーに、
アナは意外そうに目を見開く。
アシュリーが幼少のころから
家族同然に過ごした
空色の飛竜はつぶらな瞳を
ぱちくりさせて、
アシュリーに会釈する。
その傍らにはもう一頭の
飛竜が寄り添っていた。
「その連れ合いの竜ってまさか!」
「キュイィ」
フレッチャーが嬉しそうに頷く。
「クゥウィ」
連れ合いの雌の飛竜が続けて頷く。
「良かった……フレッチに連れ合いが」
アシュリーの思わぬ歓喜の顔色が、
何かを思い当たり真剣な表情になり、
そこから導き出される未来に思い至り、
やがて愁いを帯びたものへ変わって行く。
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