魔法公証人~ルロイ・フェヘールの事件簿~

紫仙

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第七章 竜使いの問題 ~停止条件~

エピローグ 孵化

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「そう言えばフレッチの奥さん。
 どう呼んだモンかな」

 アシュリーが
 フレッチたちの巣に戻って、
 喜ばしい報告をするなり、
 フレッチも連れ合いの雌竜も
 人間の言葉は分からずとも
 喜んでくれているようであった。

「目のあたりの睫毛が薄紫色で
 形もライラックの花びらみてぇで
 綺麗だから……リッラ」

「クゥイ」

 雌竜はまんざらでもないように、
 アシュリーに優しく頷いた。
 そしてアシュリーが、
 朽木の園のダンジョン主となり、
 二か月の月日が流れた。
 朽木の園に移ったフレッチとリッラの
 巣の中で三つの卵が無事に孵化した。

「可愛い~」

 アシュリーと仲の良いアナとモリーも、
 孵化の知らせに駆け付け今は、
 飛竜の赤ちゃんの愛らしさに
 すっかりやられてしまっている。

「クゥイィ」

 殻を破りこの世に生まれてきた、
 小さな三つの命に
 今や母竜となったリッラが
 我が子らに鼻づらを寄せて慈しむ。

「キュイィ」

 フレッチも無事に生まれてくれた
 我が子たちを見て歓喜の声を上げる。

「ようこそレッジョへ、
 ここがお前たちの生まれ故郷だよ」

 アシュリーもまた、
 慈愛に満ちた眼差しを送り祝福をする。
 
「ねぇねぇ、赤ちゃんの名前は?」

 アナがアシュリーを急かす。

「名前は、そ~だな
 プリモ、セコンド、テッツオ」

 卵から孵化した順に、
 アシュリーが指を差す。

「1、2、3ってそのまま過ぎませ~ん?」

 モリーが少し呆れ気味に笑う。

「いーんだよ。こういうのはノリなの」

 直感的に決めてしまった事を、
 照れ隠しで笑いつつ、
 アシュリーは自身をもって言い切る。

「アシュリーこれから、
 竜の赤ちゃんの世話もしなきゃなら、
 これまで通り冒険者は続ける?」

 何度かパーティを組んできたアナが、
 少し寂し気にアシュリーに問いかける。

「あ~冒険者稼業にゃ
 まだ未練があるからなぁ。
 ま、しばらくは続けるさ」

 遠くを見上げるように、
 アシュリーは将来を語る。

「アタシはこの子たちを
 竜使いとして育てて。
 なんか市井の役に立つ仕事
 でもさせたら
 いいかなって思ってる」

「アシュリーみたいな人が、
 この街の未来を創ってのかも
 しれませんねぇ」

 やけに真剣になったアシュリーを、
 モリーが感心した様に頷く。

「よせやい。そんな大きく出るつもりは
 ねぇさ。ただ、アタシを受け入れてくれた
 この街のとの絆は大切にしてきたいかな」

 孤高を貫いた父マティスとは違う、
 飛竜と街が共存する未来を描き、
 アシュリーはまた新たな一歩を、
 仲間や新しく生まれた竜たちと、
 踏み出してゆく。
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