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第八章 ダンジョンに種付けおじさん ~特別の損害~
ダンジョン主の憂鬱
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「とにかく、頼むよ!」
「揺らさないで、揺らさないで……」
座った椅子ごとルロイは襟首をつかまれ、
アシュリーによって揺さぶられ、
目を回している。
「ああ、悪い悪い……」
アシュリーは、
ストロベリーブロンドの頭髪を
がりがりと掻きむしり、
ルロイの襟首から手を放す。
焦って気が動転すると頭より
体がでるタイプらしい。
「ええと、何の話だっけ。
ああ、そうそう……
種付けだよ!種付け!」
興奮気味にうら若き乙女がそんな言葉を
物欲しげに連呼すると、
嫌に卑猥な響きに聞こえる。
「あんにゃろ、
土壇場でアタシとの種付け契約を
反故にしやがったんだ!」
もちろん、アシュリーは爛れた痴情の
もつれをぶちまけている訳ではない。
事の発端は三か月ほど前にさかのぼる。
グラモフから朽木の園の所有権を
譲り受けてからアシュリーは、
フレッチたちの生活のためもあり
金策に腐心してた。
そんな中アシュリーは、
朽木の園のある特徴に目を付ける。
それが――――
「いい果実がなるんだ。
うちのダンジョン」
朽木の園は土壌が肥沃なため、
作物の苗や種を植えると
よく育ち味も良いのである。
これに目を付けたアシュリーは
モンスターやらアイテムやらではなく
ここでしか手に入らない、
ダンジョンに生る珍しい果実を
栽培することで
レアアイテム目当ての冒険者を
引き込もうと考えた訳だった。
そんな中、このレッジョでどんな作物の
種付けも成功させてきた
ある男の噂を耳にする。
それが今回、アシュリーの言うところの
種付け契約を結んだ男なのだが。
「まぁ、手切れ金……
じゃなくて違約金として、
それなりの金は貰ったけどぉ……」
未練がましくアシュリーは目を伏せる。
詳しい理由を述べず、
男は一方的に種の販売契約を
反故にしたのだった。
契約違反とは言え、
一応は男は誠意を見せたということで、
アシュリーはしぶしぶ
引き下がった訳だったのだが、
それから三か月後、
レッジョが秋の実りを迎える頃になって
ある異変を目にするのだった。
「まさか、あそこがあんなことに
なってるなんて!」
例の男から種を買い受けた
別のダンジョン主が、
その所有するダンジョン「深淵の鉱床」
において、「ミツダケ」なる
マツタケ型のキノコを大量に栽培し、
そのミツダケの香しき珍味が
大いに話題を呼び、
ミツダケ狩りを目的とした冒険者たちで
深淵の鉱床は、ダンジョンの入場料と
冒険者ギルドから還元されるアイテム税
によって大盛況なのであった。
ミツダケもその種菌の値段も高騰。
当初、種をアシュリーに
売るつもりだった男もまた、
深淵の鉱床のダンジョン主と共に
金を儲けてウハウハ。
アシュリーはというと、
気が早いや大々的なリニューアルのため
ダンジョンの改修やら設備投資やら
公示鳥を使った宣伝やらで
多額の借金までしており青色吐息。
朽木の園は文字通り廃ダンジョンに
なりかかって閑古鳥さえ
寄り付かない始末。
深淵の鉱床とは近場の
ダンジョン同士だというのに
この格差という体たらく。
何か自分の預かり知らないところで、
儲け話があらぬ方向に転がり
本来自分が享受できたであろう
利益を横取りされてしまった。
アシュリーにはそんな負の感情があった。
「つまり、種付けさえ済んでいれば今頃。
かなりの収益が見込めたはずだと」
「ああ、借金だって返せたはずさ。
まぁ、今のアタシのダンジョン
見てくれれば分かるよ」
そう言うとアシュリー半ば
投げやりに座りながら伸びをすると、
うざったそうにあくびをした。
アシュリーは冒険者から
ダンジョン主になった事で、
仕事や責任も増え、
加えて竜使いとしてフレッチたちの
面倒も見なければならない。
「あうー……もうこのままじゃ、
ダンジョンの経費どころか、
朽木の園を売り払っても
借金返せるかわかんねぇ……
つーか、フレッチたちを食わせる
金までなくなっちまぅ」
このままではアシュリーは
多額の債務不履行で破産である。
アシュリーは忌々しく頭髪を掻きむしる。
ルロイもまた熟考を巡らし
解決の糸口を見出そうと、
目をつむり眉間にしわを寄せる。
「ふ~む」
「なぁ、なんとかなるよな?」
アシュリーが期待を込めて机越しに
身を乗り出し、ルロイの顔に肉薄する。
ルロイもまた天啓を得た
とばかりに目を見開く。
「ええ、そのケースですと……
レッジョ都市法の条文に
心当たりがないではないです」
「ホントか!」
「ええ、たしかここに」
ルロイは、背後の本棚から分厚い法典を
机上に置きをぱらぱらとめくり、
条文の中の一つを指さす。
契約履行時に特別の損害の予期。
債務不履行時に請求できる
損害賠償の範囲は、
通常生ずべき損害のみだが、
当事者が特別の事情等によって
生じた損害を債務不履行時に
予見していたか、
予見できた場合債権者は
その損害も賠償請求できる。
アシュリーは目を細めて、
難渋そうに呻く。
「えーと、わりぃけどそーゆー
法律用語とかナシな。
頭ワリィんだアタシ」
「その深淵の鉱床の今現在の繁盛が、
特別の事情として
種売りの男が予想しており、
そのダンジョンの繁盛によって
あなたが被った損害が
違約金の金額を上回る場合。
損害の賠償請求ができるかもしれない。
ということでしょうかね……」
少しばかり自信がなかったが、
ルロイは説明してみせた。
「う~ん。つまりこうなると知ってて、
あんにゃろがわざとアタシとの契約
反故にしやがったってことが
判ればいいんだな?」
ルロイは静かに頷く。
まだ詳しく調べて見なければ
わからないが、
アシュリーの話を聞く限り確かに臭い。
深淵の鉱床の繁盛とその種菌の販売人
との間にどれほどの因果関係があるか
まだまだ不明だが、
「特別の事情」と言える
何かを知っての契約反故であると
見て良いだろう。
「あの、ちなみになんですが
その種付けの売買契約書とか
残ってます?」
「あっ、そうそう見せんの忘れてた。
……ああこれだ」
アシュリーは持ってきたカバンの中を
ガサゴソとぞんざいにかき回し
失念していた証拠を机上に突き出した。
劣化のためか茶色く変色した紙に
手書きで書かれた文章を
ルロイは読み上げる。
「ダンジョンに植える種菌の売買契約で、
種菌の買い手がアシュリーさんで、
ダンジョンに植える種菌の売り主が
『種付けおじさん』!?」
「おう、今回も
プロバティオの能力で頼むぜ。
ロイのあんちゃん」
既に大船に乗った気分でいるのか、
アシュリーはニカっと笑って見せる。
「その種菌の売り主にあたる
『種付けおじさん』って
本名じゃないですよね?」
「まっさかぁ~あだ名に決まってんじゃん。
あいつの本名なんて誰も知らねぇんだ」
快活に笑うアシュリーを呆然と眺め
ルロイは暗く顔をしかめた。
アシュリーのずぼらさから薄々
嫌な予感はしていた。
契約書の締結にあたって必ず当事者の
本名を書く必要はない。
その種付けおじさんとやらが
レッジョの人々からその名を聞いて
特定の人物であると認識されうる
のであれば契約書の署名は有効だ。
問題はルロイのプロバティオの
能力にあった。
「それが……
相手の本名が分からなければ、
プロバティオを発動する事は
できないんですよ」
「え」
蚊の鳴くようなアシュリーの
間の抜けた声が響く。
「ぐぬうぅおぉぉー!!」
直後、勢いよく机に己が額を
何度も打ち付けアシュリーは
血の涙を流す。
「ちょっと落ち着いて下さい」
結局、ルロイは傷心のアシュリーを
一先ず励まして、一先ずアシュリーは
ダンジョン管理に戻ると言って
一旦引き取ってもらったのだった。
売買契約時の特別の事情とやらを
更に深く掘り下げないといけない。
それに、プロバティオを使って
ウェルス証書を作成するには
種付けおじさんとやらの本名に
ついても調べなければならない。
今回も今回で前途多難だ。
「揺らさないで、揺らさないで……」
座った椅子ごとルロイは襟首をつかまれ、
アシュリーによって揺さぶられ、
目を回している。
「ああ、悪い悪い……」
アシュリーは、
ストロベリーブロンドの頭髪を
がりがりと掻きむしり、
ルロイの襟首から手を放す。
焦って気が動転すると頭より
体がでるタイプらしい。
「ええと、何の話だっけ。
ああ、そうそう……
種付けだよ!種付け!」
興奮気味にうら若き乙女がそんな言葉を
物欲しげに連呼すると、
嫌に卑猥な響きに聞こえる。
「あんにゃろ、
土壇場でアタシとの種付け契約を
反故にしやがったんだ!」
もちろん、アシュリーは爛れた痴情の
もつれをぶちまけている訳ではない。
事の発端は三か月ほど前にさかのぼる。
グラモフから朽木の園の所有権を
譲り受けてからアシュリーは、
フレッチたちの生活のためもあり
金策に腐心してた。
そんな中アシュリーは、
朽木の園のある特徴に目を付ける。
それが――――
「いい果実がなるんだ。
うちのダンジョン」
朽木の園は土壌が肥沃なため、
作物の苗や種を植えると
よく育ち味も良いのである。
これに目を付けたアシュリーは
モンスターやらアイテムやらではなく
ここでしか手に入らない、
ダンジョンに生る珍しい果実を
栽培することで
レアアイテム目当ての冒険者を
引き込もうと考えた訳だった。
そんな中、このレッジョでどんな作物の
種付けも成功させてきた
ある男の噂を耳にする。
それが今回、アシュリーの言うところの
種付け契約を結んだ男なのだが。
「まぁ、手切れ金……
じゃなくて違約金として、
それなりの金は貰ったけどぉ……」
未練がましくアシュリーは目を伏せる。
詳しい理由を述べず、
男は一方的に種の販売契約を
反故にしたのだった。
契約違反とは言え、
一応は男は誠意を見せたということで、
アシュリーはしぶしぶ
引き下がった訳だったのだが、
それから三か月後、
レッジョが秋の実りを迎える頃になって
ある異変を目にするのだった。
「まさか、あそこがあんなことに
なってるなんて!」
例の男から種を買い受けた
別のダンジョン主が、
その所有するダンジョン「深淵の鉱床」
において、「ミツダケ」なる
マツタケ型のキノコを大量に栽培し、
そのミツダケの香しき珍味が
大いに話題を呼び、
ミツダケ狩りを目的とした冒険者たちで
深淵の鉱床は、ダンジョンの入場料と
冒険者ギルドから還元されるアイテム税
によって大盛況なのであった。
ミツダケもその種菌の値段も高騰。
当初、種をアシュリーに
売るつもりだった男もまた、
深淵の鉱床のダンジョン主と共に
金を儲けてウハウハ。
アシュリーはというと、
気が早いや大々的なリニューアルのため
ダンジョンの改修やら設備投資やら
公示鳥を使った宣伝やらで
多額の借金までしており青色吐息。
朽木の園は文字通り廃ダンジョンに
なりかかって閑古鳥さえ
寄り付かない始末。
深淵の鉱床とは近場の
ダンジョン同士だというのに
この格差という体たらく。
何か自分の預かり知らないところで、
儲け話があらぬ方向に転がり
本来自分が享受できたであろう
利益を横取りされてしまった。
アシュリーにはそんな負の感情があった。
「つまり、種付けさえ済んでいれば今頃。
かなりの収益が見込めたはずだと」
「ああ、借金だって返せたはずさ。
まぁ、今のアタシのダンジョン
見てくれれば分かるよ」
そう言うとアシュリー半ば
投げやりに座りながら伸びをすると、
うざったそうにあくびをした。
アシュリーは冒険者から
ダンジョン主になった事で、
仕事や責任も増え、
加えて竜使いとしてフレッチたちの
面倒も見なければならない。
「あうー……もうこのままじゃ、
ダンジョンの経費どころか、
朽木の園を売り払っても
借金返せるかわかんねぇ……
つーか、フレッチたちを食わせる
金までなくなっちまぅ」
このままではアシュリーは
多額の債務不履行で破産である。
アシュリーは忌々しく頭髪を掻きむしる。
ルロイもまた熟考を巡らし
解決の糸口を見出そうと、
目をつむり眉間にしわを寄せる。
「ふ~む」
「なぁ、なんとかなるよな?」
アシュリーが期待を込めて机越しに
身を乗り出し、ルロイの顔に肉薄する。
ルロイもまた天啓を得た
とばかりに目を見開く。
「ええ、そのケースですと……
レッジョ都市法の条文に
心当たりがないではないです」
「ホントか!」
「ええ、たしかここに」
ルロイは、背後の本棚から分厚い法典を
机上に置きをぱらぱらとめくり、
条文の中の一つを指さす。
契約履行時に特別の損害の予期。
債務不履行時に請求できる
損害賠償の範囲は、
通常生ずべき損害のみだが、
当事者が特別の事情等によって
生じた損害を債務不履行時に
予見していたか、
予見できた場合債権者は
その損害も賠償請求できる。
アシュリーは目を細めて、
難渋そうに呻く。
「えーと、わりぃけどそーゆー
法律用語とかナシな。
頭ワリィんだアタシ」
「その深淵の鉱床の今現在の繁盛が、
特別の事情として
種売りの男が予想しており、
そのダンジョンの繁盛によって
あなたが被った損害が
違約金の金額を上回る場合。
損害の賠償請求ができるかもしれない。
ということでしょうかね……」
少しばかり自信がなかったが、
ルロイは説明してみせた。
「う~ん。つまりこうなると知ってて、
あんにゃろがわざとアタシとの契約
反故にしやがったってことが
判ればいいんだな?」
ルロイは静かに頷く。
まだ詳しく調べて見なければ
わからないが、
アシュリーの話を聞く限り確かに臭い。
深淵の鉱床の繁盛とその種菌の販売人
との間にどれほどの因果関係があるか
まだまだ不明だが、
「特別の事情」と言える
何かを知っての契約反故であると
見て良いだろう。
「あの、ちなみになんですが
その種付けの売買契約書とか
残ってます?」
「あっ、そうそう見せんの忘れてた。
……ああこれだ」
アシュリーは持ってきたカバンの中を
ガサゴソとぞんざいにかき回し
失念していた証拠を机上に突き出した。
劣化のためか茶色く変色した紙に
手書きで書かれた文章を
ルロイは読み上げる。
「ダンジョンに植える種菌の売買契約で、
種菌の買い手がアシュリーさんで、
ダンジョンに植える種菌の売り主が
『種付けおじさん』!?」
「おう、今回も
プロバティオの能力で頼むぜ。
ロイのあんちゃん」
既に大船に乗った気分でいるのか、
アシュリーはニカっと笑って見せる。
「その種菌の売り主にあたる
『種付けおじさん』って
本名じゃないですよね?」
「まっさかぁ~あだ名に決まってんじゃん。
あいつの本名なんて誰も知らねぇんだ」
快活に笑うアシュリーを呆然と眺め
ルロイは暗く顔をしかめた。
アシュリーのずぼらさから薄々
嫌な予感はしていた。
契約書の締結にあたって必ず当事者の
本名を書く必要はない。
その種付けおじさんとやらが
レッジョの人々からその名を聞いて
特定の人物であると認識されうる
のであれば契約書の署名は有効だ。
問題はルロイのプロバティオの
能力にあった。
「それが……
相手の本名が分からなければ、
プロバティオを発動する事は
できないんですよ」
「え」
蚊の鳴くようなアシュリーの
間の抜けた声が響く。
「ぐぬうぅおぉぉー!!」
直後、勢いよく机に己が額を
何度も打ち付けアシュリーは
血の涙を流す。
「ちょっと落ち着いて下さい」
結局、ルロイは傷心のアシュリーを
一先ず励まして、一先ずアシュリーは
ダンジョン管理に戻ると言って
一旦引き取ってもらったのだった。
売買契約時の特別の事情とやらを
更に深く掘り下げないといけない。
それに、プロバティオを使って
ウェルス証書を作成するには
種付けおじさんとやらの本名に
ついても調べなければならない。
今回も今回で前途多難だ。
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