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第九章 アナの一日とある予兆 ~日常編~
プロローグ レッジョ史
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かつてこの大陸には
高度な魔法文明が栄えていたと言う。
その頃のレッジョは、
レクスと呼ばれていた。
古の文献などには数多くの建物や
城塞が建造され、太古の人々の
魔法によって生み出された
いくつもの魔法生命体が
使役されていたという。
その成れの果てが、今現在の
レッジョのダンジョンに巣食う
モンスターだとも言われる。
そのレクスの繁栄が何千年か続き、
何らかの理由で魔法文明が崩壊。
人々はレクスを去った。
それから約二千年。
再び世界は活力を取り戻し、
人類はこの失われし時代の
遺物たる古都へと戻ってきた。
冒険者による探検隊に随伴した
歴史学者たちが遺跡の文字を解読し、
この巨大な遺跡群が古のレクスであり、
やがて何度かの探検を経て
彼らがこの遺跡群に居住するようになり、
新たに集落を形成。その時に
この古代都市の亡骸とその上に
これから築かれる都市を現代風の
レッジョという名前に改名。
通説ではここにおいて
都市国家レッジョの始まりを見る。
これを持って人類の手により
レクスという文明の喪失を
取り戻したとみるべきか、
他の何かを取り戻しに人類が
引き寄せられたのか。
結論は出ていない。
他の地域からも冒険者を含め、
商人、開拓者、難民などが集まり
集落が大きくなるにつれ、
幾つかの有力な冒険者グループの
リーダー同士が中心となり合議により
市政を運営することになった。
その冒険者たちの末裔こそが
後の多くの由緒あるレッジョの
名門都市貴族となり、その合議体が
市参事会の原型となった。
ヴァレンティ、
フィオーレ、
ガリアーノ、
アルドリーゴ、
フォンターナ
といった参事会で最有力とされる
五大名門都市貴族の一族も
この時に始祖のルーツを持っている。
以後、レッジョは市参事会内部による
独自の選挙制度に基づき市長を
首長として選出する
寡頭共和制へと移行。
以後、現在に至るまで
この政治体制が大きく
揺らぐことはなく、
レッジョは今日繁栄を享受している。
我がレッジョの発祥を簡潔に
説明すればこうなる。
ここで筆者は読者諸兄諸姉に
敢えて問いたい。
我がレッジョの歴史を鑑みるに、
「何故この街に人が集ったか?
あるいは何故自分がこの街に
惹きつけられたのか?」
いささか散文的に過ぎるが、
この問いこそが冒険者が
世界で最も多く集い
『ダンジョン都市』の別称で
呼ばれる我がレッジョに住まう者の
根源であるように思えてならない。
長くこの街に住まう者も新参者も
元をただせば、
外から来た異邦人なのである。
その多くは、ダンジョン攻略で
一攫千金を狙う冒険者であり
金、名誉、未知への憧れ。
そういったもので人々は
レッジョに集ったことになる。
もちろん、そのような理由は
間違いではないにせよ、
この答えに筆者としては
飽き足らぬものを感じる。
今や、レッジョは街もダンジョンも
人で溢れかえっている。
しかし、筆者は毎日夕日に染まり
夜の闇に沈んでゆくダンジョン群を
見るにつけ現在のレッジョの繁栄を
もってしても覆い隠せぬ
「大いなる喪失」
を感じずにはいられないのである。
時に、その「大いなる喪失」は
この街に住まう者の心そのもの
ではないかと思う。きっと、
どんな理由があって故郷を離れ
ここまで来たのか人それぞれであろう。
だが、今も昔もこの街を
訪ねる者たちは「大いなる喪失」に
身をうずめることで
自らの失ったものを重ね
慰め癒されたいとさえ願っている。
とどこか実感するのは、
長年愛すべきレッジョを見てきた筆者
が老境に入りいよいよ精神も神経も
衰弱しきったからであろうか?
ただ、いずれにせよ
これだけは言える。
冒険者にしろそうでないにしろ、
ここの住人は過去を抜け出し
新たな人生を切り開いてゆく。
そしていずれは自分の中で
その過去と折り合いを付けてゆく。
そんな葛藤がレッジョ人たる
自分にもある。
序文に代えて
年代記作家
チェーザレ・ジョルダーノ
高度な魔法文明が栄えていたと言う。
その頃のレッジョは、
レクスと呼ばれていた。
古の文献などには数多くの建物や
城塞が建造され、太古の人々の
魔法によって生み出された
いくつもの魔法生命体が
使役されていたという。
その成れの果てが、今現在の
レッジョのダンジョンに巣食う
モンスターだとも言われる。
そのレクスの繁栄が何千年か続き、
何らかの理由で魔法文明が崩壊。
人々はレクスを去った。
それから約二千年。
再び世界は活力を取り戻し、
人類はこの失われし時代の
遺物たる古都へと戻ってきた。
冒険者による探検隊に随伴した
歴史学者たちが遺跡の文字を解読し、
この巨大な遺跡群が古のレクスであり、
やがて何度かの探検を経て
彼らがこの遺跡群に居住するようになり、
新たに集落を形成。その時に
この古代都市の亡骸とその上に
これから築かれる都市を現代風の
レッジョという名前に改名。
通説ではここにおいて
都市国家レッジョの始まりを見る。
これを持って人類の手により
レクスという文明の喪失を
取り戻したとみるべきか、
他の何かを取り戻しに人類が
引き寄せられたのか。
結論は出ていない。
他の地域からも冒険者を含め、
商人、開拓者、難民などが集まり
集落が大きくなるにつれ、
幾つかの有力な冒険者グループの
リーダー同士が中心となり合議により
市政を運営することになった。
その冒険者たちの末裔こそが
後の多くの由緒あるレッジョの
名門都市貴族となり、その合議体が
市参事会の原型となった。
ヴァレンティ、
フィオーレ、
ガリアーノ、
アルドリーゴ、
フォンターナ
といった参事会で最有力とされる
五大名門都市貴族の一族も
この時に始祖のルーツを持っている。
以後、レッジョは市参事会内部による
独自の選挙制度に基づき市長を
首長として選出する
寡頭共和制へと移行。
以後、現在に至るまで
この政治体制が大きく
揺らぐことはなく、
レッジョは今日繁栄を享受している。
我がレッジョの発祥を簡潔に
説明すればこうなる。
ここで筆者は読者諸兄諸姉に
敢えて問いたい。
我がレッジョの歴史を鑑みるに、
「何故この街に人が集ったか?
あるいは何故自分がこの街に
惹きつけられたのか?」
いささか散文的に過ぎるが、
この問いこそが冒険者が
世界で最も多く集い
『ダンジョン都市』の別称で
呼ばれる我がレッジョに住まう者の
根源であるように思えてならない。
長くこの街に住まう者も新参者も
元をただせば、
外から来た異邦人なのである。
その多くは、ダンジョン攻略で
一攫千金を狙う冒険者であり
金、名誉、未知への憧れ。
そういったもので人々は
レッジョに集ったことになる。
もちろん、そのような理由は
間違いではないにせよ、
この答えに筆者としては
飽き足らぬものを感じる。
今や、レッジョは街もダンジョンも
人で溢れかえっている。
しかし、筆者は毎日夕日に染まり
夜の闇に沈んでゆくダンジョン群を
見るにつけ現在のレッジョの繁栄を
もってしても覆い隠せぬ
「大いなる喪失」
を感じずにはいられないのである。
時に、その「大いなる喪失」は
この街に住まう者の心そのもの
ではないかと思う。きっと、
どんな理由があって故郷を離れ
ここまで来たのか人それぞれであろう。
だが、今も昔もこの街を
訪ねる者たちは「大いなる喪失」に
身をうずめることで
自らの失ったものを重ね
慰め癒されたいとさえ願っている。
とどこか実感するのは、
長年愛すべきレッジョを見てきた筆者
が老境に入りいよいよ精神も神経も
衰弱しきったからであろうか?
ただ、いずれにせよ
これだけは言える。
冒険者にしろそうでないにしろ、
ここの住人は過去を抜け出し
新たな人生を切り開いてゆく。
そしていずれは自分の中で
その過去と折り合いを付けてゆく。
そんな葛藤がレッジョ人たる
自分にもある。
序文に代えて
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