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葛飾北斎の遺言
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葛飾 北斎の遺言 だいぜん 守
銀座のメトロ地下コンコースにポスターを一点を見つめ微秒足りしない男性。三畳もあるそのポスター。真っ先に目に入って来た鮮やかな真朱色の今までに観たこと無い鬼の形相した怪物。その右側下に小さく葛飾北斎の有名な富獄三十六景、神奈川沖浪裏が印刷されている。波間に見える富士山これを観て北斎 展森美術館のポスターと分かる。
このポスターを見つめてた私は鬼の形相した怪物の絵に心を奪われた。私も北斎の版画は大体は知っているつもりだったが怪物の版画は観た事がない。これも北斎の作品なのか?
六本木ヒルズ森美術館 新北斎展に展示されて居るのか?誰もがこのポスターの構図に引き込まれてしまうだろう。
この男性 名前は北村 祐一 35歳 都立中央図書館勤務 自称歴史マニアである。
翌日 土曜日 3月も終ろうとしてるのに雪混じりの雨。この寒さだ人はそんなに来ないだろう。
この読みは甘かった。沢山の来場者。外国人に人気の北斎だけあって大勢の外国人来場者が来てた。
自分は北斎の作品は過去に観てたので目的の作品を探していた。
(あっ 有った。)最後に展示さ れていた。
(本当はこうゆう構図だっただ。本物には富獄三十六景神奈川沖浪裏には祈祷する弘法大師の絵が書かれてたんだ。うっん 所蔵 西新井大師寺 お寺さんが所蔵してたんだ。説明だと本堂に掲げられてあったらしく大分すすだらけで保存が悪くポスターの様に鮮明な色彩は失われている。あのポスターは今の技術CGで修復したらしいだ。所蔵してた所がお寺さんじゃしょうがないよね。
この絵を観てると今は分からないが何か伝わって来る。なんだろう?)
北村は何かを感じるまで日参した。
時を同じく東京都美術館でも葛飾北斎展が3月20日から始まる。こちらは 東海道五拾三次 広重VS北斎展
北村はなかなか面白い企画だと思った、広重と北斎とはバッテングしてる 時期がある。同じ月に二ヶ所で北斎展があるのは珍しい。東京都美術館の企画の方が先だと思うが森美術館側のプロジュウス会社の斬新な企画が成功したみたいだ。東京都美術館の方も二人の違いが分かる企画これもなかなかだ。
感心してる北村は東京都美術館のパンフレットを手にして北斎の展示目録を目をとうしてた。
(あった。こっちでも展示される。)あの北斎最後の作品が脳裏から離れ無い何かを感じ始めてた。
上野の山の桜開花宣言されたがここ一週間肌寒い、桜も一分先で止まっている。何人かの気の早い人は花見酒で盛り上がっている。
北村は場違いの花見客を横目に東京都美術館に向かった。
二人の作品の半分くらい個人コレクターが所有し明治以降海外のコレクターに流出している。まだ目にとまらない作品も多いと思う。
北村は歴史マニアとしての独特な作品の見方が有るみたいだ。
(ここに通って3日目だ。自分なりに見えて来る仮説に自信が湧いてきたぞ。)
いつもの様に絵の前で腕を組み一点を見つめていると一人の女性が近寄って声をかけて来た。
「あのー すいません。ちっとお話ししてもいいですか?」北村はびっくりして声の方に振り向く。歳は二十代後半若い黒髪の長い綺麗な女性だ。
「はい 何でしょか?」北村はびっくりした顔のまんまその女性を見た。若い女性から声をかけられる事などなく道を聞かれるぐらいしかない。
「失礼ですが偶然に三ヶ所で同じ絵の前にじっと見つめている貴方様目撃してます。一回目は銀座のメトロコンコースに貼ってあった森美術館 新 北斎展ポスター前 二回目は 森美術館に展示された本物の弘法大師修法図前 三回目はここです。私も美術関係の仕事をしてますので、貴方様が何故 この絵に興味を持ったのか?そこをお伺いしたかったのですが?図うずしいと思いますが?
あっ 申し遅れましたが私 こうゆうものです。」女性は北村に自分の名刺を差し出した。
「あaー ご丁寧に有難うございます。」差し出された名刺には 吉澤 菜摘 文科省文化財産課発掘調査課 主任調査員と書かれてあった。
「あのー 通称 我々の仲間では 文化財ハンターって言いますよね。」
「その筋の方にはそう言われます。」北村は自分の名刺をお返しに渡した。
「自分も公務員ですが私の方は地方公務員 東京中央図書館に勤めてます。北村祐一です。
通称 歴史 マニアです。宜しく」
「歴史マニアさんの北村さんがこの絵を観て感じたものは?」
「吉澤さんはこの絵を観て何か感じませんか? 感性の高いプロの方に失礼ですがごめんなさい。」
「そんな言い方するのは、辞めて下さい。」これはまずいと北村は思った。
「失礼しました。言い方が良くなかったね。最初 メトロのコンコースに貼ってあったポスター。最近の科学先端CGで北斎が描いたそのままの色彩。私には強烈なインパクトがあったです。吉澤さんも知っていると思いますが僕の仮説だと葛飾北斎は無心人論者だったと思います。今までの作品を観て分かる様に誰にも規制されず自由奔放に描いています。
あくまでも僕個人の仮説ですがこの絵は北斎最後の作品だと思うです。この弘法大師修法図 弘法大師祈祷絵図を西新井大師總持寺の依頼を受けたのは三女の阿栄だと思うです。90近い北斎の全てを任されてプロジュウス的役割を果たしてた。多分 仮説ですが老いていく父 北斎を見て信念そぐわない仕事を受けざる得なかった。そして金銭的のも頻拍してたと思うです。それで宗教的なこの絵を描いた。ごめんなさい。自己仮説が長過ぎますね。
ここで僕の素直見方を言いますね。また吉澤さんには失礼ですが。漫画チックに感じた事言います。この朱色の鬼怪物これは未来の人間です。祈祷している弘法大師が鬼に負けて見えます. もー辞めてくれって 言ってる見たい僕は見えるです。長々と講釈してすいませんでした。」
吉澤 菜摘は素直にこの人は面白いと思った。自分に近い考えの人だと思った。
パチパチと拍手した吉澤菜摘がいた。
「素晴らしい仮説ですね。私も北村さんに賛同する面も正直有ります。」北村はこの人に自分の考えを言えた事に満足感を覚えた。
「吉澤さん 今日はこれから時間ありますか?もうちょっとこの事でお話ししたい事があります。良かったらこの後 お茶でもどうですか?」北村はこの人ともっと話しをしたかった。もう一つこの女性の肩書きがこれからの自分にプラスになると思った。
「あっ はい いいですが、私 今この広重 VS北斎展のプロジュウスに参加しているで終わるのが17時になるのですがあと一時間ぐらいお待ちになれますか?」菜摘も意気投合した事が嬉しいかった。このままお別れするのは寂しかった。
「あーん大丈夫です。まだ他の展示を観て ますので仕事して下さい。」
「それじゃ 17時の美術館入り口で」
「分かりました。それじゃあとで 失礼します。」
待ち合わせの時間に正面入り口待っていると彼女は美術館から出て来た。
「お待たせ」
「お忙しい処すいませんでした。」美術館を出た。
「上野周辺あまり詳しくないです。」
「観光地ですからゆっくりとチャするにはここから離れないとね。」
「北村さん 何処か 知っている処あるんですか。?」
「いい処有ります。だけど上野の山を降りて谷中を抜けて千駄木まで歩くですが散歩するにはちょっと遅いかな?」
「千駄木に有るお店何ですか?」
「えエ 吉澤さんはお仕事で谷中辺り来た事あるじゃないですか?」
「お墓はあんまり来ないなー」この会話で二人は笑い打ち解けたみたいだ。
「お寺さんの多い町で徳川家の菩提寺 上野本願寺を始め小さなお寺さんが集まって居ますね。この辺も今じゃ観光散歩道になってしまってますね。じゃあ 、歩きますか?」
「はい 北村さんにお任せします。」
「大丈夫かな? それじゃ行きますか。歩くのも運動ですね。」
「私だちの仕事は足で稼がないと そうですよね北村さん」
「その通りです。足腰を丈夫にしないと 同感です。道すがらお話ししましょう。まー知らない内に観光地になって谷中、千駄木、根津、これを称して谷根千とまで言われてしまい、上手いネーミング考えたなーと思うますよねー。我々もこの観光ルートを歩きお店まで行きましょ。千代田線の千駄木駅近くにある比較的新しく出来た今風のカフェレストラン(CIBI)って言います。じゃあ そこを目指して歩きましょ。」
「あのー 北村さんはどんなお仕事されているですか?突然こんな事聞いてすいません。」
「あー そうでした。正式な自己紹介まだでしたね。貴方から名刺を貰い返す名刺を渡さないで失礼しました。歩きながらでごめんなさい。」吉澤は笑いながら北村の差し出した名刺を受け取った。名刺を見た吉澤は
「北村さん 図書館にお勤めなさっているんですね。」
「はい 本職は都立中央図書館で 古書関係の整理をしてます。なんか地味な仕事なんです。だけどライフワークの歴史マニアにうってつけの仕事だと思ってます。」
「えー 面白い言い方」吉澤は笑いながら言った。
「そうなんですよ。どっちが本業か自分でも分からないです。」二人は笑いながら会話が弾んで来た。
「ところで私不思議に思うですが吉澤さんはお若てお綺麗なのに何故 このお仕事を?」
「やだー綺麗ななんて」吉澤は照れた様に言った。
「いやいや お綺麗です。」
「ありがとうございます。なんか そうんな事言われると照れちゃいます。」吉澤の照れた恥じらしい顔がますます綺麗さを増し北村の胸の内がドッキとした事を感じた北村だった。
「私 生まれは滋賀県で琵琶湖の辺りで育ちました。」
「琵琶湖いいですね。」
「実家は祖父から続く骨董屋を営んでます。小さい頃から祖父や父の仕事を見て育ちました。祖父や父がよく言ってた事がきっかけでこの職業を目指しこの役所に入って今の仕事をしてます。」
「へー きっかけってなんだったですか?」北村は興味しんしんで聞いた。
「きっかけって 今思うと祖父と父親の教えの中に日本の伝統的な美術品が良からぬコレクターの投資の餌食なって日本の文化財が海外に流出してしまう事を悲しんでいた。父は日本国内にまだ日の目を見ない文化財が何処かで眠っているとも言ってました。そこで後世まで大切に保護しなくてはいけない感情が私に目覚め一生懸命父の元で勉強し、まだ未熟ですが見立てが出来る様になり今の仕事に生かされて来ていると思ってます。」
「. 吉澤さんは凄いなー 志があるから 僕なんか自分の感しか頼るものが無いから、なんか 恥ずかしいよ。」
「何言ってですか。最終的にに判断するのは自分が信じてる感で決まると思います。」
「うわー 吉澤さん 勇気が出て来る言葉をありがとうございます。僕 最近思うですがこの先どんどんAI化され人工知能が世の中支配すると言われていますが人間の持っている感性五感それ以上のものはまだAIには負けてませんよね。なんか話がずれて来てますね。すいません。」
「北村さんの言う通りですよ。私も最後は自分の感頼りです。」お互いに笑った。
団子坂を下って目的地に近くなった。話しに夢中になった二人、走行言ってる内に千駄木駅近くまで来た。
「えーと この辺の横の道に入った処にCIBIって言うお店なんだけどえーと 何処だ!
あった あった ここだ」
「いらしゃいませ 。お二人様ですか」
「はい 」
「それではこちらのテーブルで」
「ありがとう」二人はスッタフの案内のまま席に着く。吉澤が
「本当に今風のお店ですね。」
「なんかオーストラリアのメルボルンに店があって2年前に日本のここに支店をオープンした見たい。ここ前トラックの駐車場だったところを借りて造作余りしないでこの店を作った見たいで。地元の人が気楽に来れてゆったりと過ごせるコンセプトアらしいです。
肉も魚美味しいです。吉澤さんはどちらにしますか?」
「私は魚でいきます。」
「それじゃ僕は肉にいます。 シエアーしましょ」
「いいですね。」スッタフにオーダーし料理が来る前に北村は話しの続きを美術館のパンフレット出して自分の持論を説明しだした。
「これて 森美術館で新 北斎展で買って来た弘法大師修法図の拡大ポストカード何ですけど、前に話しました様にこの絵の構図が僕には引っかかっているんです。
北斎研究家が作品の年表を発表してますがこれ、あくまでも僕の仮説で聞いてくださいね。」
「はい 分かってます。続けて下さい。」吉澤は話に引き込まれていく
「ありがとう。西新井大師總持寺から依頼を受けてからこの大作ですから完成迄3年位も掛かっているです。年表ではこの間いろいろな作品を発表してますよね。90近い老人がこんなに精力的に書けますかねと僕は思うです。北斎の公私とも世話をしてた三女の阿栄がキーパーソンになって来るんですね。この弘法大師修法図が最後の北斎の作品だと僕は思うです。ですからこの絵から読み取れる 謎 を解きたい。
この絵から浮かび上がる裏の何か分からない物を探したいです。分かりますか吉澤さん」
「はい とてもステキな仮説ですね。私 感銘しました。私も凄く興味有ります。」
「ありがとうございます。 こんな事言っていいのかな?吉澤さん一緒にこの謎解きしませんか?」「はい 一緒にやりましょう。」吉澤はこの人の感を信じたかった。
「ありがとうございます。嬉しいです。本当にありがとう。」自分に共鳴する仲間が出来た事が北村は嬉しいかった。
北村が熱弁が終わった時タイミングよく料理が来た。
「お腹空いたでしょ 食べましょう。美味しですよ。」
「本当だ 美味しそう。食べましょ。北村さん この店よく来るですか?」
「いや まだ3回目 1年前水道橋から神田明神 湯島天神 根津神社 谷中 上野の山 迄の調べる事が有りましてその時寄って見たんです。」
「また その話もいつか
聞かせてくださlね。」
「あっ はい そのうちにね。僕 自称歴史マニアでしょ。 何でも疑って物事を考えて見るです。やな性分ですね。ははははー」
「私もそうですよ。同じです。」
「なんか息が合いますね。」
「あのー 北村さんのこれからの謎 解きはどの様に進めて行くんですか?」
「それなんですけど心強い味方が出来たんで早々に実行したいと思んです。吉澤さんのスケジュールに合わせますからご心配なく。またこれも持論何ですけど僕は何でも原点から始める。
ここはまず 葛飾北斎の生誕とされている所から終わる迄のお墓の有る所を点と線で結んで行くと何か見える物が出て来ると思うです。ですから謎解きは生誕の地から始めたいと思うですが吉澤さんどうですか?」
「そうですね現場に行けば何か見えて来る物が有りそうですね。何か 面白くなって来た見たい。ウキウキして来たわ。」
「吉澤さんは北斎の誕生の町何処か分かりますか?」
「勉強不足でごめんなさい。何処ですか?教えて下さい。」
「北斎は本所割下水。今で言う墨田区亀沢と言う場所です。相撲の両国国技館付近ですね。隅田川を渡りますので江戸の神田 上野 浅草より田舎だったと思います。だけどこの辺で生まれた有名人が多いですよ。
こっから始めましょう。楽しみだ。」
「いろいろ勉強になります。歴史マニアさん ははははー」
「あっ そうだ 吉澤さん メール交換ししませんか。 」
「えエ 構いませんよ。」
「ありがとう。じゃあ LINEやってます?」
「はい やってます。」
「じゃ IRコードでしましょう。」お互いのスマホで交換が終わり彼女と繋がった。
「これでOKです。情報交換もメールでしましょう。」
「発掘ハンターの吉澤さんはお仕事柄 全国を駆け回っているでしょうね。」
「全国は行きませんよ。関東 関西ですね。やっぱり関西多いですか。結構 問い合わせが多いですよ。鑑定士に依頼するとそれなりの費用が掛かりますが、内の部所は公の機関で費用は掛からないです。大きい物から小さな物まで色々有りますね。こ言う利点を生かして私の使命が生かされています。 」
「あー そうか そう考えるとごもっともですね。忙しんだ。僕なんかのんびり自己満の仮説を解読しているんで吉澤さんの爪アカを飲んで頑張らなくてはははははー。吉澤さんの仕事は結果出て立証されればお墨付きが頂けますが僕の方は仮説が本物で有っても学界に発表しても誰も信用してくれません。歴史は変えられないで終わりです。悲しいですがやり甲斐が有ります。誰かが今に賛同してくれる人が出て来るのを待ってます。」
「北村さんに賛同してくれる人がいますよ。目の前にね?ふふふー」
「吉澤さん 感激です。ありがとう。」北村は今に無い興奮に包まれた。
二人共時間を忘れ話に夢中になった。
「話が弾んじゃってこんな時間になってしまいました。明日 お仕事でしょ」
「はい 展示が終わるまで付ききりです。休みは調整してます。」
「出ましょう。 今日は僕の話しを聞いてもらったのでおごらして下さい。」
「えー そんな 」
「気にしない気にしない。」
「悪いわ 。じゃあ今日はご馳走になります。ありがとうございます。
「こちらこそ。」会計を済ませ千駄木駅に向かった。
「家はどちらの方ですか?僕はこの千代田線の代々木上原です。」
「私は中目です。」
「もう長いですか住んで?」
「東京の大学だったのでその時からずっと、だから6年になりますね。」
「女性が住むにはいい所ですよね。僕は怠け者ですから乗り換えなしで行ける千代田線です。1Kの小さなマンション生活です。 吉澤さんは霞ヶ関で有楽町線に乗り換えそれで中目迄」
「はい そうですね。」
「今日は忙しい時、僕の為に貴重な時間をさいて頂きありがとうございます。」
「そんな硬い挨拶は今後無しで行きましょうね。今日はとても楽しかった。ありがとう。」
「こんなにおしゃべりしたの久しぶりで楽しかったです。今後の連絡はメールでします。」
「私もメールしますね。」
この出会いは葛飾北斎のおかげかな?二人はそう思ったに違いない。
吉澤さんと出会ってから一週間経った。メールも連絡も来ない。北村は思った。人を待つ気持ちってこ言うものなんだ。恋人とからの返事を待っている切ない気持ちなんだ。僕と違って吉澤さんは忙しいお人なんだ。こちらからメールしてもいいだが何か複雑な気持ちだ。こんなモヤモヤしてたら僕の脳のサイクルが壊れてしまいそうだ。
(えーい こっちから連絡してスッキリしよう。)メールを打つ
(先週は忙しいところお付き合い頂きありがとう。その後こちらも謎解き探索スケジュールが決まりました。今の時期は忙しいですか。時間が空いたらメール下さい。)
俺も事 女性には奥手だからなー しばらくしてから彼女からメールが
(おお 来た。)北村は少し有頂天になたみたいだ。メールを開けると
(先日は楽しい時間を過ごせてありがとうございます。ご連絡が遅れすいません。東京都美術館の広重VS北斎展もおかげさまで大盛況でありがとうございます。私の仕事も一覧抱くしました。
北村さんとのお約束通り北斎の点 と線を探しに行けます。日時 今週の土曜日で如何ですか?どうぞ宜しく。)
(メールありがとう。 広重VS北斎 展 大盛況おめでとう。やっと解放されるのですね。
北斎の謎解きのスケジュール目を通して下さい。電車 バス だと細かく探索出来ないのでアシストバイクにしたいと思います。バイクと言っても電動自転車です。吉澤さんアシストバイク乗った事ありますか?普通の自転車の何十倍も楽です、ご心配なく。服装はGパンがベストだと思います。靴はスニーカー 上着は軽装 お持ちでしたら是非パカーを肌寒い時に絶対必要です。ではコースを書きます。
江戸城 いや 日比谷(日比谷ミットタウンでアシストバイクを借ります)晴海通りを銀座 歌舞伎座を通り隅田川の最初の橋 勝鬨橋まで隅田川の上流 両国橋目指して川沿いを走ります。川の土手は整備されてきれいですよ。北斎の時代でしたら隅田川を境に川の内側は江戸の下町反対側は江戸時代も格差がはっきりしてて今で言う低所得者の町です。そんなとを想像して今のウオーターフロントを満喫して下さい。両国橋を渡り墨田区に両国国技館 江戸博物館を通り葛飾北斎博物館に到着 所要時間約1時間半です。それから出生地を尋ねます。ここからスタートします。
長いメールですいません。何か分からない事が有りましたらメール下さい。待ち合わせ時間AM10時日比谷ミットタウン入り口 楽しみにしてます。)
再び彼女からメール
(ステキなスケジュールをありがとう。ご丁寧に細かくありがとう。本当に楽しみしてますよ。)
(追伸 雨天中止)
(ふふふー 了解 私 晴れ女ですから大丈夫です。)
(当日 晴れ女の吉澤さん頼みます。)
僕の勤務先東京都図書館は霞ヶ関に有り何故 都庁がある新宿や渋谷じゃなく霞ヶ関に有るのかは以前東京駅近くに都庁があった時から変わらない。ここにあるのは東京都の見栄でしかないと思うだ。これ僕の持論。国と対抗してこの地にある。そんな事どうでもいいこの職場は僕にとって最高の働き場所。僕の担当する部所は古書を保管整理 貸し出しをしてる所。自分の好きな諸本が沢山保管してある。好き放題で読める。何か恵まれている環境で世間の人に申し訳ない気持ちだ。世に認められる仕事を目指してる歴史マニアでね。
ここに居ると東京都の過去と未来が見えて来るようだ。ここで自分なりの仮説を披露したいが長くなるからまた今度にします。
この図書館もご多分に習ってデーター化が進んでいます。ハッキングに会えばデーターが消える。セキュリティシステムが万全でないと。だけど古書は字の如く古い書物だからいいだが燃えたり虫に喰われたらお終いだ。どっちもどっちだ。この課がなくらない事を祈るまでだ。
当日のお昼のお弁当。コンビニお握りじゃあ味気ないから手作りお握りとサンドイッチを作って行こう。(北村は1人生活が長いから料理は得意みたいだ。)
当日 北村はちょっとテンションが上がってる。
(今日は僕の仮説が実証される時が来た。)
日比谷ミットタウンに10分前に着いた。
「おはようございます。」声を掛けて来たのは吉澤さんだった。
「あっ おはようございます。遅れてすいません。」
「いいえ 私が早く来たから、まだ待ち合わせ時間は10時で遅れていませんよ。」
「はははーありがとう。それから晴れ女さんありがとう、空は青空 暑くもなく寒くもなく最高のサイクル日和。」
「本当に青空 気持ちいい。」
「吉澤さん メール通りのコスチュームしてくれたんだ。嬉しいな。またGパンとても似合いますね。ステキです。」
「私 サイクリング始めてなんです。今日はいろいろ教えて下さいね。」
「アシスト自転車を借りに行きます。このビルの裏に受付が有るだ。もーネットで予約済みですから安心。ここです。」今日は土曜日なので係員いる。ほとんどカードで決済。
「これが今日一日の愛車です。」
「私 アシスト自転車を乗った事ないの 大丈夫かなぁ?」
「大丈夫 大丈夫 普通の自転車と同じこのボタンを押すだけで簡単だよ。」
「ふーん 」吉澤は不安そうな顔した。
「まず 乗って見よう。この辺を軽く乗って、すごく楽な感じが直ぐ分かるよ」
「じゃあ ちょと乗ってみる。」吉澤は自転車にまたがり最初ペタルを漕いだ。
「北村さんこの自転車ナーニ 軽ーい 軽くて楽チン」菜摘は興奮気味に嬉しそうだ。
「じゃあ 吉澤さん 大丈夫だよね。あっ 慣れるまで僕の後から付いて来て下さい。それじゃ 合図を決めましょうか。 僕が右手を上げれば、止まります。前に行って下さいは右手手のひらで合図しますね。横に来ては声を掛けます。
それから大事な事は基本的に歩道を走ります。交差点は歩行者と同じです。あー気おつけて行きましょう。じゃ日比谷交差点まで行きましょうね。吉澤さん 何か緊張してます?楽に行きましょね。「最初だからちょと意識しちゃう」
「じゃあ 交差点前の江戸城から出発です。両国目指し、晴海通りを隅田川の入り口勝鬨橋まで真っ直ぐだからアップダウンはあまり無いから大丈夫」
「はーい 何か楽しい」
「銀座交差点抜けると歌舞伎座そして築地」
「ぜんぜん疲れない。歩くとか車で見るとかとまた違う世界の見方があるみたい。これって細かく動くかなぁ」北村は右手を上げて止まれの合図をした。
「さー着いた。隅田川の最初の橋 勝鬨橋。これから上流に有る両国橋を目指します。どうだった。大分慣れて来た。」
「慣れたわよ。歩行者に注意して走ったからちょと疲れた。」
「ここを降りて少し休憩。 川沿いは散歩道で整備されているからのんびり出来るよ。」
「私が住んでいる町とぜんぜん違う。これがウオーターフロント マンションが建ち並んで絵になるね。」
「空は晴天 風が気持ちいい。」
「そうね。」
「これから両国橋まで 佃の橋 江戸時代は佃 月島は運河に囲まれ島だったらしいです。それから 永代橋 清洲橋 新大橋を越えて両国橋 この順番。あー 吉澤さん 橋を越える時川沿いから離れる場所があるからね。」
「分かったわ。」
「じゃあ 行きましょうか」
「はい オウライ」
「 永代橋 清洲橋この辺に来るとこっち側には江戸の中心の日本橋 神田 小伝馬町 人形町 水天宮が有ってここからそんなに離れてないんだよ。」
「蔵前橋だ 次の橋が目指す両国橋 吉澤さん もう少し頑張って」
「大丈夫よ。」隅田川はこの辺で蛇行して江戸の中心部に食い込んでいる。
「吉澤さん 着きましたよ。ここが両国橋 。両国は西岸の武蔵、東岸の下総の境だから両方の国の境から両国って呼ばれたんだって西岸の日本橋と東岸両国を結んでいる橋。両国橋は万治年間1661年に隅田川の最初として架けられた橋橋なんだ。 神田川と隅田川の合流地点がある場所。江戸時代は江戸の中心に行くのは一番近かっただね。川向こうの全てが安い下町の下町両国に庶民が住む様になっただね。」
「よっ 歴史マニア」
「茶化さないで下さいよ。照れるなー」
「そうなんだ聞かないと分かんないなー ありがとう。」
「この先上流の蔵前橋 駒形橋 吾妻 言問橋 白髪 千住大橋と続く。浅草は吾妻橋。今は浅草橋があるんだ。
「両国橋を渡って両国に入った。JRの両国駅を横目に相撲の両国国技館。吉澤さんは国技館のお相撲を見た事有りますか?」
「いいえ 観たことnまだないの」
「なかなか迫力があってライブで見た方が良いと思いますよ。こんど見に一緒に行きましょう。」この並びに江戸東京博物館 区役所通りを行くと区の緑町公園内に北斎美術館。吉澤さんお疲れ様終点です。ここが江戸時代の地名の南割下水、北斎の生誕地です。」
「着いたー。ここですか。」
「そうです。墨田区が区の誇りとして区の土地に、すみだ葛飾北斎美術館を立てたんです。」
「この地で生まれたですね。ここに立つと感激しますね。」
「そう その時を想像すると、そう 感激しますよね。こうゆう立て札が立ってつと余計に感じる。」菜摘は立て札を読んでうなずいた。
「美術館に入って観てみます。」
「はい 観てみましょう。」
「展示している作品は目立った物はありませんが墨田区としても出来るだけ収集したと思います。北斎の知名度が知れるに連れ版元の大店が増版しただろーが作品の半分以上は海外に流出し未だ現在日の目を見てなく眠っているだろ。だけどここで観る作品の江戸時代のお仕事大集合この教本は今現在観て当時の庶民の姿、また生活が手に取る様に分かるので北斎は未来のために描いただろうと僕は思う。独学で医学、特に漢方の薬を研究して自ら実践してあの歳まで生き抜いたこれって東洋のダビンチ。あの時代に90歳を凄い。これって不老長寿の薬を完成させたのでは。?はははー」
「祐一さんって それって素晴らしい仮説です。私もそう思います。」
自分の力説より 吉澤さんが僕を名前で呼んでくれた事の方が嬉しいく感激した。
「この版画って作品が出来るまで彫り師 刷り師といろんなその道のプロの人が携わっているんだよね。昔の人は凄い。」
「本当 凄いわ、私いつも見立てして分かるわ。尊敬しちゃう。」
二人は隅々まで作品を見て感心してた。
「菜摘さん お昼時なんで 食べまでんか」祐一は名前で自分も呼んで見たかった。自然に呼べた。菜摘さんの反応は菜摘さんも自然に受け止めてくれたみたいだ。祐一は心の中でホッとした。
「はい 食べましょう。運動したからお腹が空いて来た。コンビニにお握りでも買いに行きたい。この近くにコンビニあるかなー」
「菜摘さん ご心配なく ランチ作って来ました。」
「えっー 本当ー嬉しいーありがとう。祐一さん。」
どこで食べようか。ここから隅田川まで行き隅田川の川面を見ながらかわむこに有ったろう江戸の町を想像して食べましょうじゃか。あの辺の隅田川の両側は桜が綺麗でお花見の時期は大勢の人がお花見に来る所なんだ。又ここっち側の川沿いに江戸時代の牧場が有っただって。」
「祐一さんって本当に感性豊かですね。ここの公園でも良いけど私 隅田川がいい。」
「オーライ 行きましょう。二人は今回のミニ旅ですっかり打ち解けたみたいだ。
「ランチタイム 向こうが神田川入口 江戸の町が江戸城まで広がっていたんだね。」
土手の芝生に持って来たシートを敷き持って来たお握りとサンドイッチを並べて見た。」
「ねー これ お手製?」
「うん そう。自信あるだ。美味しいよ。それから立てたコーヒー」
「コーヒーまでお手製。うあー どうしましょう。感激。嬉しい ありがとう。」
「このお茶はコンビニです。」二人は笑った。菜摘はお握りとサンドイッチを食べ美味しい美味しいと言ってくれた。ミニピクニック成功。
二人は前に広がる現代の風景とこうであったろー江戸時代の風景をダブらせていた。
「僕は古地図を見るのが好きで職場の図書室でよく見ている。テレビのタモリさんの番組で観る昔と今 あれってすぐに想像しちゃうだよね。」
「私も観るわ。興味あるもんね。」時間が経つのも忘れて話しが弾んだ。
「ご馳走さまでした。とても美味しかったです。ありがとう。」
「どういたしまして。また作りますね。お腹も一杯になった事だしそろそろ行きましょうか。」
「はい 次は?」
「次は北斎が生涯98回も住まいを変えたと記実に書いてあった。そこで僕なりに仮説を立てました。」
「祐一の得意な仮説」
「現代の地図と古地図に合わせて行くといろいろな事実が浮んで来るです。北斎が住んでいただろうという町を回って見ない。今回の謎が解ける予感がします」
「本当 楽しみ ドキドキしちゃう。」
「もうちょっと上流に行くと吾妻橋。渡る前右側にスカイツリーが見えるからそれを横目に見て橋を渡る。そこが浅草。ここにも謎解きのヒントが有ると思うだ。 菜摘さん脚 大丈夫?」
「この自転車乗ってればどこでも行ける気がするわ。」
「それ聞いて安心した。浅草周辺は土曜日だから人でいっぱいだから混んでる所は自転車を降りて押して行きましょう。なるべく混んでいる地域は避ける様に行くから安心いて。」
「良い天気だから混んでいるでしょね。」
「浅草周辺は外せないキーポイントなんだ。浅草寺の裏の方に吉原があるだ。ここは江戸庶民の重要な場所で北斎始め浮絵師の大事なキャンパスなんだ。おいらん始め遊女が大勢いたらしいです。」
「祐一さん 吉原って実際何をするところなの?」
「うーむ 難しい質問 歴史的な事だけど菜摘さんには僕の口から言えない。これは菜摘さん自身が調べて下さい。」祐一は苦笑いした。
「祐一さんでも説明出来ない事あるんだ?。」
「ごめんね。今から有った場所に行くから察してね。」察した通り浅草は大変な混雑ぶりだ。
蔵前を通り浅草橋を渡り松屋を抜けて浅草寺の裏に出た。花園通りから千束そして吉原神社に着く。
「ここが吉原跡 入る入口に大木門入るとくねっている様に道が出来ている。これには理由があるだ。それと周りは堀があって逃げない様に作られていたらしい。浅草寺裏から吉原一帯は湿地帯でヤシが茂っていた。これは江戸幕府がここに庶民のガス抜きの為にこのへんぴな場所に作ったと言われてる。江戸の中心からここまで来るのは大変だったらしいだ。行く道に追い剥ぎが出たらしい。ここで楽しむのにも命がけで見たい。今はソープランドが並んでるがね。昔も今変わりしないね。分かった。菜摘さん。」菜摘は照れ様にうなずいた。
「浮世絵師には大切な場所だっただね。ここで絵師が描いた浮世絵で庶民は喜んでいたんですね。」
「そう ひと昔のプロマイドだったんだね。」
「葛飾 北斎も日参したんだ。」菜摘も祐一の言わんとする事を納得してしたみたいだ。そしてこの場所を後にした。
「いよいよ。点と線の最終地点 葛飾北斎のお墓を訪ねるね。浅草から元浅草 田原町 稲荷町 この辺は小さなお寺が沢山有った見たい。何回かの火災でお寺も間引きされた。
「着きました。ここが葛飾 北斎の眠っているお墓が有る誓教寺。菜摘さん びっくりしたでしょう。小さなお寺でまた、お墓がお寺さんの裏手にひっそりと有るから。」
「本当! 以外 世界の画家が尊敬する葛飾北斎のお墓がなんか可愛そうな気がしますね。」
「ここにお墓が収まるまでいろいろな事が有った見たい。」北斎は転居魔で亡くなるまで93回も住居を代わった見たいと言われている。寛永2年(1849)4月18日浅草聖大町で三女阿栄に看取られ亡くなった。北斎のお墓は、幕末まで北齋の父と合葬されていたらしいだ。後で北斎を尊敬してた次男。養子となってた次男崎十郎が分骨しこのお寺に墓を建てたとも言われまたその娘白井多知が建てたとも言われている。父 娘 共 葛飾を大切にして祖先の誇りに思ってたみたいだ。菜摘さん見て。墓石正面に「画狂老人卍墓」辞世の句「ひと魂でゆく気散じや夏の原」刻まれているね。この墓石時代を感じさせるね。」
「時代が通り過ぎて行く実感がするわ。」
「そうだね。時代を感じる。歴史マニアとしては、なんかゾクゾク寒気がする。」
ここで僕の点 と 線 に終わりです。何かヒントありましたか?」
「いろんな場所見てきて感じた事は沢山あったわ。頭の中を整理しないと。」
「僕も重大なヒント感じた。僕も整理したら説明するね。」
「すごく今回の時代巡り楽しかった。ありがとう。祐一さん」
「楽しんで貰って嬉しい。疲れたでしょう。コーヒータイムにしましょう。」
「コーヒー 飲みたい。」
「うーとね 。 この辺に美味しいケーキ屋さんが有るんだ。そこに行こう。」
「何というお店?」
「ここからすぐだと思う。お店の名前はレモンパイ 」
「あっ 私 聞いた事有る。有名なお店」
「本当 そこに行きましょう。帰りもちょっとサプライズがあるんだ。楽しみにしてて」
「何 なに?」
「あとの楽しみ」二人は目的が終わったせいかペタルも軽やかだ。
「うあー 可愛いお店 ケーキ二つ食べていい。」
「幾つでも食べて下さい。はははー」二人は前から付き合っている雰囲気に見えた。
ケーキとコーヒーを満喫し満足してお店を出た。
「これから雷門に行ってこの自転車を返すね。」
「えー 借りた場所で返すじゃあないの?」
「うーうん このレンタル自転車は都内数カ所に乗り捨て自由何です。便利だよね。返した後隅田川を下って浜離宮まで水上バスで帰ります。」
「何て 素敵な気ずかい。祐一さん今日は満点です」
「ありがとう。」
水上バスの乗船場は意外と列が出来ていた。
「菜摘さん 見ての通り 並んでる。30分ぐらい待つ いいかな? 」
「待ちますよ。楽しいから時間忘れちゃう。」
「そうだよね。夕方になるから川下りはまた違う東京が見えるよ。」
「夕日が綺麗だと思うわ。そう言う楽しさがあるから待つのは平気。」
以外の展開に感激する祐一がかわいい。
乗船すると風が寒く感じて来た。
「菜摘さん パーカー 持って来ました。」
「はい」そう言いながらリックから真っ青なパーカーを出した。
「ここで必要になるんだ、」自慢げに祐一は言った。」
「祐一さん ちゃんと計算しているんですね。」
今まで見て来た隅田川の橋 今度は水面から見る橋。 この流れはあの北斎が生きていた江戸時代から変わっていない。そんな事考える二人が夕陽を浴び川面を走る水上バス。青いパーカーが菜摘を包み込んで風を切っている。
菜摘は今まで自転車を漕いでいた事をすっかり忘れていた。
祐一はちゃんとデナーも予約してた。浜離宮に着いた。
「今日 一日 お疲れ様 疲れちゃった。 ?」
「うーん 楽しかった。」
「菜摘さん 時間大丈夫?」
「何が?」
「デイナー 予約入れているんだ。どうですか?」
「もちろん 。OK よ。」
「うあー 良かったー。菜摘さんの家の近くにした。代官山にあるイタリアンの店 カプチーノ。菜摘さん イタリアン大丈夫?」
「大好物 ふふふふー」
「よーし 行きましょう。」
食事をしながらお互い今日の感じた事を話し合い盛り上がった。
「僕が感じ見た事から話すね。3つ4つキィーポイントがあるんだ。
1つ目は僕の仮説による北斎最後、あの大きな作品を描いたのか?無信心論者の北斎が西新井大師總持寺の依頼を受けたか?まー、これには阿栄が絡んでいると推測してる。
2つ目。何故 北斎の実家 父親と合葬したか?阿栄がこの流れ時居たのに?。
3つ目。その時の北斎 と阿栄の金銭的状態。
4つ目。北斎の弟、崎十郎とその娘白井多知が絡んで来たのか?その時の阿栄は何をしてたのか?。最後描いた絵から観てこの絵はツインで幻の絵が存在すると僕は確信を得た。」
「私も祐一さんと同じ感触を受けました。1番感じたのは金銭的な問題と何か当時のある宗教的なトラブル。分からないけど強く感じたの。」
「そう 菜摘さんの考えは鋭い。阿栄の存在と阿栄の行方不明、阿栄の尼さん説。みんな謎の絵が絡んで見えてくるだ。」
「阿栄さんにその時、闇の何かの脅迫が迫っていたんでしょか?。」
「菜摘さん 何か面白くなって来ましたね。」
「エっえー 早く謎を解きたいです。万が一、幻の絵が存在し発見したら私の発掘ハンターとしての魅りにつきます。」
「国宝級ですね。どんな絵何だろ?」憶測と仮説で話が尽きるとなく続いた。
「キーポイントを一つ一つ潰して行きましょう。何か出て来まよ。」
「私も私なりに調べていきます。連絡しますね。」
「僕も会社の古書をもう一度目を通して調べてみるね。」二人は握手して検討を期待した。
「ご馳走さまでした。美味しかった。また来ましょね。」
「今日 楽しかったです。菜摘さんと話してて僕の仮説に自身が持てました。ありがとう。」二人は店を後にして家路に向かった。翌日 祐一は古物図書室に居た。
(江戸時代の上野から浅草周辺の古地図と現代の地図を照らし合わせ、この辺のお寺、 神社、宗教的な 建造物がどの位有ったのか?そして庶民の民家。江戸の中心に有る商家(大店)までの道のりは浅草を最後に居住を構えただろー 北斎、阿栄、もう歳でこの辺りから行くのに半日以上は掛かっただろう。そう考えるとまず、北斎は住居で製作に専念してたろー。阿栄が北斎のプロジュウサーとして自分の意思のまま単独行動し意志決定してたと思う。北斎が亡くなって自分も老いていくのと、不安から親戚に頼る。それが姪で有る白井多知。北斎の次男、他家に養子に行った崎十郎とその娘白井多知。みじかにいる身内の中でも父と共に尊敬してくれてくれてた、この二人に相談したと思う。その相談の内容がこの謎を解く鍵になる?この最中に阿栄が消える。これだよ。問題は?
うーん ここで詰まってしまう。この事を菜摘さんにヘルプ求めよう。)
この時タイミングよく菜摘さんからメールが来た。
(その節はありがとうございました。お忙しいと思いますが今週の私の日程です。明日から仕事で京都に行きます。その後、実家の琵琶湖に土日に寄ります。祐一さんお時間が有りましたら琵琶湖に来ませんか? いろいろ案内しますよ。少し琵琶湖の綺麗な空気を脳に注入してリフレッシュしたらいかがですか?ご返事待ってます。)
(うおー 何て素晴らしいメールだ。もちろん、行く行く。)
(仮説と想像が行き止まりです。相談したい事がいっぱい有ります。リフレッシュしたいです。是非 行きたいです。宜しくお願いします。)
(あー良かった。断れたらどうしようと思った。それじゃ今週の土曜日AM11時に新幹線大津駅で迎えに行きます。)
(お願いします。着いたら電話します)リフレッシュ出来る。楽しみだ。菜摘さんの実家 骨董屋さんて聞いているけどどんな街何だろ。ご家族と会うのか?エッこれってここまで進んでいるって感じ?バカだよなぁ 俺って考え過ぎだよ。だけどもしかして?
祐一の心の内は嬉しさと動揺を隠せない。
土曜日当日東京駅から新幹線ひかりで名古屋までそれからこだまに乗り換え大津駅へ。さすがに早い2時間足らずで着いた。スマホから電話
「着きましたよ。どこで待って居ればいいの」
「さすが時間に正確ですね。祐一さんは 」菜摘の弾んだ声に祐一はホッとした。
「私 車で来てます。駅前のロータリーにタクシー乗り場が有る先で待ってます。」
「はい 今向かってます。あっ 居た居た」菜摘は車から降りて手を振ってくれた。
「会えたー」祐一は菜摘をハグした。突然の祐一の行動にちょっとびっくりした様子の菜摘だ。
「あー。ごめんごめん。なんか感激しちゃって、迎えに来てくれてありがとう。」
「祐一さんって面白い! 先週会ったばかりでしょう。」
「そうだったね。はははー」
「さー行きましょう。乗って乗って 」祐一は助手席に座った。
「東京から新幹線に乗ってしまえば早いよね。いつも感心するんだ。」
「そう、この便利さを感じるのはこの時だけ。」
「菜摘さん 車は運転するんですね。」
「失礼ね。 私だって 上手いでしょ。祐一さんみたいに東京に住んで居る人には分からないと思うけど。地方は車が無いと何処にも行けないのよ。執拗不可欠
「そうだね。分かる。分かる。大津の市街地まで大分あるの?」
「ううん 近いわよ。滋賀県って大きな街は琵琶湖の周りにあるのうちのまちは京都に1番近近い所に位置して居るのよ。歴史的に京都とは深い繋がりがあるのよ。」
「戦国時代以前からもそうだっけど時代の中心にあるよね。」
「以前は旧市街ちにお店と住まいがあったけど兄がコーヒーショップをやるにあたって琵琶湖が見える今の場所に移ったのびわ湖浜って言う場所にね。琵琶湖が一望に見える素敵な場所よ。びわ湖浜
「そうなんだ。菜摘さんは東京の大学に行く前までコーヒーショップを手伝っていたんだね。」
「そう おじいちゃんと父さんに骨董の見分けも教わってね。今はね。兄が骨董のお店とコーヒーショップをやっているの。」
「エッエ お父さんは?」
「あー5年前に亡くなった。それで兄が全てやってます。」
「あっ 失礼 ごめん。」
「兄も骨董の方は大したもんで業界じゃ結構名が知れているのよ。私より全然上。
「へー すごいなー骨董一家。お母様は?」
「今 体調悪くして入院してる。」
「大丈夫何ですか。」
「順調に回復に向かっているんで近く退院するは運びなっているからホットしています。」
「あー 良かったですね」
「ありがとう。これからお店に向かうね。住所は浜町って言う所。 ほら 琵琶湖が見えて来た。じきよ。」
「おー 琵琶湖だ。やっぱ 近くで見るとでっかいなー キレイですね。」祐一は来て良かったと思った。お店の駐車場に車を入れた。
「菜摘さん ステキなロケーションですね。この景色を見ながらコーヒーを飲む贅沢だ。」
「ありがとう。私も気にってます。お店に入ってこの景色を見ながらコーヒーを飲んで下さい。」祐一は今から会うであろう菜摘の兄に胸の高鳴りを覚えた。
「いらしゃい。 遠い所ありがとうございます。 疲れたでしょ。菜摘 席に案内して。」
「初めまして 。北村 祐一です。」
「兄の武虎です。凄いごっつい名前でしょ。名前はこわいけどすごく優しいのよ。ねっ。はははー」
「遅くなりました。吉澤 武虎です。よろしくお願いします。妹とから聴いて居ります。歴史マニアだとか? はははー」
「いやー オタクですよ。」
「やっぱり 可笑しなお人だ。はははー。失礼しました。 あっ北村さん 飲み物はコーヒーでいいですか?」
「菜摘さんから聞いてます。自慢のコーヒーをお願いします。」
「はい 分かりました。 今日明日とゆっくりして行って下さい。菜摘が案内しますから。」
「ありがとうございます。お構えなく。」菜摘は二人の様子を見て安心したようだ。
「二人のお堅い挨拶は後にして祐一さん ここに座って、 ほら 」
「やっぱり 菜摘が言ってた通り 最高のロケーション 素晴らしいに尽きるね。」
「でしょ イバっていい。えっへん。はははー」
「いい いいよ。お客様も満足するよね。」祐一は遠くを見て何を思っているだろうか?
「祐一さん 大丈夫 一点を見てて。」菜摘には幸せの顔に見えた。
「うっうん 菜摘さんはこの地で育っただなーって思って感激しちゃった。」
「何か 可笑しいよ。」挽きたてのコーヒーが出来たみたいで
「菜摘 出来たからお出しして」
「はい ありがとう 兄さん 」兄が菜摘に目くばりして二人は微笑む。
「祐一さんお待ちどうさま。 飲んでみて」
「ありがとう。 お兄さんありがとうございます。」祐一は口にカップを近ずけ柔らかい湯気と共にコーヒーを口にした。
「うーん 美味しい。これぞ挽きたての真髄 うまい。菜摘さん美味しいよ。 お兄さん美味しいです。」兄の武虎にも笑顔溢れた。
「この景色にマッチングした香りでしょう。」
「うん 言える。いいね。このひと時。リフレッシュに最適だ。」
「誘って良かった。嬉しい。」
「頭がフレッシュなった事でメールした件なんだけど。古書や古地図を見てる内やぱり菜摘さんの考えが正しいと思って来んだ。菜摘さんが言ってたでしょ。当時の宗教的事が絡んでいるって」
うん 今検索中 今はこの話しは後でもっと祐一さんにリラックスして貰いたいの」菜摘の意味深な言葉に動揺してる祐一。
「ごめん、ごめん 空気読めずすいません。今回は仕事に抜きの旅なんだ。」
「そうよ 分かった。これから一応 琵琶湖周辺の観光。親戚が営んでいる老舗旅館に泊まります。宜しいですか。今日は私のスケジュール通りにさせて貰いますね。いいですか?」
「はい もちろん。お任せしますのでよろしくお願いします。はははー。」二人はこのひと時を楽しんだ。兄武虎も二人の様子を見て何かを察したに違わない。
お店を後にしランチを食べる為菜摘の知ってる立木音楽堂周りの自然な景色とクラシックの音楽聴きながら軽い食事し。びわ湖大津館で大津の歴史を学び 大津の名所古跡を訪ねた。
「私も大津の事知っているつもりだったけど今回訪ねて始めて知った所があった。情けないよね。」
「そんなもんだよ。 灯台下暗しだよね。」大津だけ回っただけでこんなに有るのに琵琶湖周辺は歴史に埋もれているから時間が全然足りないね。」
「地元の歴史 勉強しなくては」
「お互いにね。」いろいろ見て回り夕方になってしまった。
「旅館の女将さんが心配してるから宿に向かうね。」
「分かった。」
「今行く旅館は100年以上続く老舗旅館 鍛冶屋 温泉は 無いけど木造の昔を感じられるそごく落ち着く宿って感じ。」
「僕 そ言う木造作りの旅館好きです。落ち着いて物を考えるのも休むのにも僕には合ってます。味がありますよね。」
「私も同感。堪能して下さい。」旅館の駐車場に車を止めて旅館の玄関に
「菜摘さん いい! 体が自然に引き込まれてしまう見たい。何、この感じ。」
「ここを選んで良かった。祐一 さん入りましょ」女将らしき人が迎えてくれた。
「吉澤さんのお嬢さんよくいらしゃいました。まだ小さな時お父様とよくおいでになりましたね。もうご立派なお嬢さんになって良かった、よかった。」
「ご無沙汰してます。その節は父が大変お世話になりありがとうございました。今日はお世話になります。連れは東京の友人の北村 祐一さんです。宜しくお願いします。」
「はい、はい 祐一さん うーん お嬢さん様 、とてもお似合いですね。フフフー」
「あっはい いえ 友人です。」菜摘は少し顔を赤ら顔になり照れた。祐一はまんざらの顔し顔をほころんだ。
「どうぞ お部屋に案内しましょう。」
板の間の廊下を歩き、その時の足の感触。板の間の軋む音。何とも言えない心地よい気持ちに誘われた。
「菜摘さん 時代を感じさせる建物。癒されるね。」菜摘も同じことを感じたに違いなかった。
「この雰囲気で初めて体で感じた幸せ。私も泊まちゃうかなぁ。」
「エッエー いいの 嬉しいけど」二人は一瞬、顔を合わせた。この短くて心では長い時間を二人は何を感じたのか?
「冗談です。ここで夕食してその後葛飾北斎の謎 解きを話し合いをします。いいですか。」
「はい 了解です。」菜摘は時々びっくりする事を言うなーと祐一は思う。
一瞬でも二人はその気持ちになった事は言うまでもなかった。
部屋入ってそれぞれお風呂に行った。部屋に運ばれた近江料理にしたつつみし満足した。
「やっぱり旅館は自分の部屋の座敷で食べるのが一番合うよね。久々だよ落ち着いて割烹料理を味合うのは何かお酒も進んじゃう。」
「そうね。だからと言って飲みすぎないようにね。酔ったら知らないですからね。」
「介護してくれないんですか?冷たいなー」」
「安心してます。だって祐一さんってあまり飲めないじゃないの」
「あー バレていたか。さっきから言おうとしてただけど 菜摘さんその浴衣すごくお似合い。色ぽい。」
「おかしな事想像しないでよね。想像豊かな祐一さん。はははー」
「大丈夫だよ。ちゃんと理性があるから心配しないで下さい。 ねねねっ 観た。何気なく飾ってあった絵。」
「どこに?」
「この部屋に来た廊下の手前にあったでしょ。あれ確かに葛飾北斎の版画絵。多分 北斎の東海道五十三次 近江八景栗津の晴嵐の版画絵。近江ってこの辺でしょ。」
「そう 大津のこの辺を指すの えっ 本当! 見逃した、ごめん。今 観てくるね。」
うん。 行っておいで。」これは偶然だろうか、北斎とは縁がある。。しばらくして菜摘が部屋に戻って来た。
「ねねえ 本当だった。ついでに女将さんに聞いて来た。本物だって。先先代の旦那が気に入って買った見たい。すごい偶然ね。」
「さっきも考えてただけどこれって北斎が謎を解けって言ってるみたいだ。」
「私もそう思うわ。」
話も進みお酒のせいでうとうとして来た祐一。
「祐一さん 今日は満足してお酒も入って眠くなった見たい。これで今日はお開きにいましょう。」「疲れたみたい。ごめんね。布団を引いて貰い寝ます、」
「そうね。 明日は一緒に東京まで帰りますから今日はゆっくり寝れ下さい。明日は11時半に迎えに来ます。大丈夫 聞いてますか?」
「聞いて ますよ。明日一緒に帰れるからすご く嬉しい。ありがとう。」
「ちゃんと聞いて居るんだ。安心した。帰りにもう一度あの絵を見て帰るね。」
帰る菜摘を呼び止めて祐一が立ち上がり菜摘のそばに寄ってハグをして唇に軽くキスをした。
「ありがとう。祐一さん じゃあかえるね。おやすみなさい。」菜摘はこの出来事に動揺したが嬉しさの方が優って微笑み返しして部屋を後にした。
翌日 菜摘が時間通りに迎えに来てくれた。
「おはよう。祐一さん良く寝られた。」
「おはよう。バッチリ寝た。頭がすきっり。充電フルです。」
「菜摘さんは?」自分は昨日、菜摘との帰り際の行為症で寝つきが悪かった。こんなことは言えなかった。菜摘心境を聞きたかった。玄関まで女将さんが挨拶に来てくれた。
「北村さん ゆっくり出来ましたか?」
「はっはい 。お陰様でゆっくり出来ました。お世話になりました。」
「お嬢様。お泊りなさらなかったんですね。」
「女将さん。朝から冗談言わないで下さい。」
「あーら ごめんなさい。ふふふー」
それじゃあ、失礼します。ありがとうございました。」
「店に寄って車返すね。」菜摘は早々と話を切り替えた。
「お兄さんに挨拶するからちょうどいいよ。」
今回の一泊旅行 。なにを意味するものか?祐一は考えて見た。菜摘は帰りの新幹線でもっぱら仕事の話に夢中だ?祐一は菜摘との小旅行を有意義に感じてた。菜摘のあっけらかんの明るい性格は相手の異性には意味深である。話し疲れて来た菜摘は東京に近ずく時、本音が出て来た。
「祐一さん 今 悩んでいるの?」珍しく弱音が出た。
「何! 珍しいね。」
「うん 大した事は無いだけど。うちの係長が週刊誌の取材を受けて来たの」
「えーどんな?」
「祐一さんも知っていると思うけど官庁では珍しい仕事でしょ。係長がわれわれの仕事を世間にアピールするのにいい機会だと思い受けちゃった見たいなの。」
「へー いいじゃないの。いいアピールになるんじゃないかな。」
「私達の主志が世間に分かると思うのは分かるけどねー。」
「なーに悩んでるの」
「違うのよ。その週刊誌の記事が問題なのよ。」言いにくそうに菜摘は続けた。
「何 何?」
「あのね。(今週の話題の美人)って言う記事なのこんなのはいそうですかって受けられる?そんなに私ナルシストじゃないもん。」
「なーに言っての菜摘さんは世間で言う美人だよ。とても綺麗な人。大丈夫 僕が保証するから」
「ありがとう。 祐一さんが言うなら受けようかな。」
「あー 週刊誌に載るの楽しみだ。いつ頃出るの?」
「うん 係長がもう受けて記者に内容を話して有るから私の返事次第 。2週間後かな?」
「写真撮ったの?」
「決まれば直ぐ見たい。」
「切る抜いて部屋に貼っとこ。」
「やだー 。 今度、二人一緒の写真撮ってその写真にしてよ。」
「おー またまた、本当。」また菜摘の意味深な一言が出た。
二人でいる時間がこの2日間長かった為、今日の旅の終わりには二人共別れを言う前にお互いに一言を期待していたが言葉少なく少し寂しそうに見えた?言い出したのは菜摘だった。
「明日 仕事が溜まっているから今日は早く帰りましょう。」 小声で菜摘が言った。
「そうだね。そうしよう。明日はまた古地図を見て神社仏閣を調べて見る。何か有ったらメールするね。」
「お願いね。」二人はそう言って別れた。
祐一の仕事は単純に見えるが古書の扱いは年表を理解しないと整理出来ない仕事でもあった。職場に居ながらその時代形成が分かる。ただ人災 (整理戦争、火災)自然災害(地震)で消滅して行く建物そして復活して行く建物。古文書から読み取れる建物はごく少ない。浅草地域は江戸の大火、関東大地震、東京大空襲、これらの災害でほとんど消滅して居る。祐一は両国から浅草附近に的を絞り1つ 1つ自分の仮説通り念入りに調べていった。
旅行から帰ってから一週間経った。祐一はメールをした。
(どうですか?週刊誌の取材終わりましたか?)
(連絡が遅れてすいませんでした。昨日今日で大筋合意してます。ただ週刊誌側が見出しに発掘ハンター 葛飾北斎の幻の絵。探索中。うちの係長が祐一さんと調べている北斎の事話しちゃているみたいでこの見出しにしたいとゆずらないの、これは祐一さんが調べてる事で私には何も言えない。どうしたらいいか判断しかねます。)
(悩まなくていいよ。僕は構わないから心配しないで下さい。)
(ありがとう。安心したわ。じゃあ進めるね。)
(OK 自分の思うようにして下さい。」
(あっ 週刊誌の名前言ったけ?)
(知っています。毎朝週間でしょ)
(知っているの?)
(分かるよ。このコーナー 読者が多いだ。楽しみ)
(祐一さんって何でも知っているのね。)
祐一はこの週刊誌の記事でこれを観た所有者、関係者の全てが繋がってくれればいいなぁと思った。これはちょと甘い考えでもあった。2日後菜摘から電話が
「祐一さん 今日 夜 時間ある?」
「あるよ。いつでも空いてますよ。どうした?」
「週刊誌の記事 ゲラ刷りが出来た見たい。祐一さんに目を通して貰いたいのいい。」
「いいよ。 それじゃあ 食事する。久々に?」
「いいわね。ここんとこ忙しかったからなかなか会えなかった。楽しみ」
「それじゃあ 会うの17時にお店は僕が選ぶね。」
「お任せします。」数時間後メール。
「食事の場所決まりました。神楽坂 フレンチで 店はド。ミールルパ 19時。飯田橋神楽坂交差点で」
「了解」
二人はワインを飲み料理を楽しんだ。
「祐一さんこんな素敵なお店で食事 ありがとう。」
「これはこの間のお返し 小旅行楽しんだからね。」
「気ずかいありがとう。そうそう これがゲラ刷り 見て、この文面どう。係長が話した事書いたみたい。ここまで書いて祐一さんの調査に支障無い?」祐一は気になる文書があった。
「うーん 北斎の事は良いとしてこの文章 (全ての宗教会に異変)この記事何かしっ掛かるだ。この文章は記者のアレンジでしょ。」
「そう 私ここまで言って無いし。係長の言い方で記者が面白く書いただろーと思った。」
「専門家が読者にインパクトのある様に書いただね。これで良いんじゃないかな?読者が興味を持ってくれれはこちらもやりいい。」
「祐一さんが分かってくれれば良いわ。あー良かった。」
「じゃあ 乾杯と行こう。」二人は話があって乾杯した。
「菜摘さん こん写真すごく美人。週刊誌の方も目があるね。何か 自慢したくなっちゃう。」
ゲラ刷りの菜摘の写真を見て改めて美人で綺麗だと思った。
「ありがとう。嬉しい。」
「今 古書と古地図を調べ関係者の焼き残った神社仏閣を確認しているんだ。北斎亡き後歳をとった阿栄には遠くには行けない。頼るのは次男崎十郎とその娘多知に託すしか無いと思うそして阿栄が突然の行方不明。居住地と関係寺院をくまなく探し1つ1つ明らかにして行こうと思っているんだが決まったら菜摘さんの出番 神社仏閣 を菜摘さんの知名度で明らかにして行く予定。」
「昔の事だから決めるのは大変でっしょ。」」
「うん。 後は僕の古文書を元に仮説を信じて実行していきます。」
「いまを生きている私達にとって仮説って大事だと思います。」菜摘との話しは果てしない過去の古い物証を探し求めて止まないロマンがある。
帰る時は菜摘の住んでいる中目まで送って行くのが自分には決まりになっている。この一線を超えるのはいつなのか?祐一は妄想に心を奪われていた。
菜摘は朝 係長に報告してゲラ刷りの確認をして貰い出版社にゴーサインの連絡した。
菜摘も祐一と同じ考えをし仕事上の期待をしてた。菜摘の仕事も地道な積み重ねで結果を出し日本の文化財海外流出を食い留めて来た。自分の仕事に誇りを持ている。
菜摘の文化財課の部所は少人数で運営していて世間にはまったく知られていないが今回の週刊誌の記事で公になるので認知されてしやすくなるなと思う。どの様な反響を呼ぶか内心楽しみにしていた。
菜摘は週刊誌の発売日まで内心落ち着かない毎日を送っていた。
今日はいよいよ発売日。菜摘は出勤前。駅のキオスクでその週刊誌を買って手に取った。その場で観たい感情が先立ち、何かそわそわして周りを気にしてた自分に気ずいた。駅は出勤する雑踏するホームの片隅で菜摘はそのページを開いた。まず目に飛び込んで来た活字。そして自分の写真。(おー 目立つ。)『文化財。美人発掘ハンター』真っ白なシャツに紺のスーツを着て自分のデスクにパソコンを前に座る写真。菜摘はこの写真は読者にどーう映るのか心配してた。
観を終わって周りを気にして雑誌をバックに入れ会社に向かった。周りの目線が気になり始め、菜摘の意識過剰な自分を認識した。
(恥ずかしい。)
会社に着くなり会う人、会う人が会釈し微笑みを浮かべていた。菜摘は余計に皆んなの視線が気になってうつむき加減に小走りで部所に駆け込んだ。
「おはようございます。」
「おはよう。良く写ってたね。良かったよ。」真っ先に係長が声をかけて来た。他の皆も声を掛けて来た。
「係長 怖かったー。こんなに早く皆んなが観てくれているなんて意識過剰かも知りませんがこんなに視線を感じた事が無かった。汗だくです。もーイヤ。」
「君には申し訳ない無いがこれ以上に世間に反響が有ればうちの課もメジャー級。知名度アップ。仕事もやりやすくなるよ。ははははー」係長の満足な笑い声。
「うーむ 係長 私が大変なんです。はははー」菜摘もまんざらでもなかった様子だ。
その時、メールが 祐一からだ。
(菜摘さん 観ました。とても菜摘さんらしく写ってますね。とても綺麗ですよ。これなら反響も大きいから仕事増えますね。僕にはあまり増えるとこまるけど?会う時間が無くなるからね。
今日。世間にデビューのお祝いに食事でもどうですか?」
「祐一さん ありがとう。食事。行く行く。」
菜摘は今日一日いつもと違って慌ただしく時間が過ぎた感じがする。早く祐一と会っていつもの様に話しをしたい。菜摘に恋心がはっきり芽生えて来た。
恵比寿に有る待ち合わせの居酒屋に着いた。
「祐一さん遅れてごめんね。」
「大丈夫。」
「もーう。やだー 朝から視線を感じっぱなし。自分でも意識過剰かなと思うけど、本当に今までと違うの」
「菜摘さんが美人だからさ」
「そんなんじゃないの 今日一日疲れたわ。あー言う雑誌の影響って凄いのね。うちの係長何ってこれでうちの課もメジャーになるかもね。何って言うのよ。」
「それはそうだよ。発掘ハンター何って世間では知られてないからね。これから仕事が増えるじゃない。
「確かに増えると思う。昔からある自分家の秘蔵品を鑑定の意味で依頼が多くなると思う。私設の鑑定士に頼むと結構費用が掛かるけどうちは公の機関だから依頼者も安心して頼めるんじゃない。」
「確かにそれはあるね。それが良いか悪いか、分からないけど世の中に埋もれている国宝級の作品が発掘されれば菜摘さんの目指すものに近ずくじゃないかな?」
「そうなの 眠ってる作品の発見に繋がれれば今回 の雑誌に載せた事はいいと思うの。
「うん 正解。」菜摘の仕事が増えて菜摘の身体の事が心配になった。
「今日 ここへ来るまでに問い合わせの電話がもう、20件も有った。皆んな鑑定依頼ばっかし」
「そう ガセネタも多いと思うが中にはピンポンと言う物もあるよ。受ける時はいつ頃から有ったか?言い伝えは?品物の保存状態 諸々の事を最初から聴いてPCに打ち込んで行かないと混乱するからね。」
「やーね。 まだそうなった訳じゃないから」
「良い問い合わせが有るといいね。 そうそう 我々の本題に戻していいかな。」
「ごめん ごめんね。本題に戻そう。」
「うん まだそんなに調べた訳じゃないけど 北斎が晩年居住してた地域と娘 阿栄が居住してた地域 。両方の関係ある人物。神社仏閣。を古書と古地図を調べた。僕なりの仮説にぶちあったた。二人の年齢 と二人の金銭的執着の無い事。北斎は超高齢だから友人関係もいないと思うから相談する人物も当然いなかった。あれだけの作品を手掛けたのは北斎は無思想 無信心だから出来たと思うんだ。晩年はほとんど阿栄任せだったと思う。ここが今回の鍵になる仮説。聴いてくれる。」
「うん うん 聴く聴く 続けて。
「僕の仮説だよ。僕達があるだろうと思う。北斎最後の作品。この作品を世の中から遠避けようとした阿栄。多分父親そして偉大な絵師北斎の名誉を守ろうとしてある行動に出たと思う。それはその作品を永久に隠す事が阿栄の最後の仕事だった。高齢の阿栄も一人じゃあ無理と判断して昔から自分の事を大事にしてくれてた北斎の次男の娘、多知に相談したと思うだ。ちょと飛躍した仮説だが、この事がある宗教者の耳に入り、阿栄が行方不明になった。
この事を引き付いた多知が叔母阿栄の意識を受け継いた。 まー こんな事。」自分の仮説を菜摘に一気に話した。その満足感を祐一は表情にでした。
「とても いい仮説。納得したわ。」
「ありがとう。」
「即ち 祐一が言ってた。点 と 線 に繋がる所に有ると言いたいでしょ。」
「そうなんだ。菜摘さんも忙しく なると思うけど1つ 1つ しらみ潰しに当たって見たいんだ。」「分かったわ。」
「これまとめてみたんだけど。」
「うあー 随分あるのねー。」
「マーカーで印をしてある所から調べるから、ここで菜摘さんの肩書きが必要なんだ。僕一人が訪ねても話しを聞いてくれそうもう無いから」菜摘の文化省文化財保存課吉澤 菜摘 の肩書きが必要になって来る。菜摘もこの事は初めから承知している。
二人は話に夢中になり注文した品物が手付かずになっていたのに気付いた。
「菜摘さん冷めちゃたね。ごめんね。食べよ。」ビールを飲みながら菜摘は今日の事で食欲がわかなかった。
「食欲なさそうだねー。」菜摘の箸が進まない様子見て祐一は思った。
「うん 考える事がいっぱいでごめんね。」
「分かってるよ。自分もそうだから、あんまり根を詰めない様にリラックスしてかまえよう。」
「ありがとう。」菜摘は明日の事が想像出来た。今日の食事を早めに切り上げ帰宅した。
次の朝。会社に出勤すると予感が的中した。
「おはようございます。」出勤してた仲間に挨拶もそこそこに電話が鳴りっぱなし
「係長 おはようございます。 大変な事になってます。」出勤して来た係長に菜摘は助けを求めた。
「吉澤君 思ってた通りだね。」係長はニコニコして話し掛けて来た。
「係長 電話を受ける前にスタッフに注意事項二、三伝えていいですか?」
「分かった。皆んな一時電話を受けるのをやめて吉澤君の話し聴いてくれ。」混乱して、何を聴いて良いか分からないスッタフに言いたかった。それは昨日祐一が言ってくれた事を思い出した。
「係長 皆んながやに雲に電話を受けても今後に繋がらないので受ける内容を決めてPC入力してもらいます。」昨日の祐一が言ってた通りに説明してみんなに納得して貰った。
「吉澤君が今言った事を注意して電話を受けて欲しい。分かったですか?」その間も電話は鳴りっぱなし。この課 始まって以来の出来事になった。
「はい」
「はい 分かりました。」
「了解です。」スッタフ全員了解し電話を受け始めた。
全国からの電話で1時間ですでに20件を超えた。祐一の言った通りになってしまった。受けた以上、公の立場なので調べて行くのはしょうがないと思った。菜摘のゆうつが始まった。
「吉澤君 凄い反響だ。嬉しい悲鳴!」係長はのん気の事を言ってると思った。
「係長 さっき言った通り 中には鑑定依頼 またガサネタが多分多いと思われます。この中から本来の目的の仕事を見つけていきます。」
「吉澤君 大変だけど頼むわ。」
「はい… 頑張ります。。受けた依頼の整理が大変だ。」
「祐一さん 今 大丈夫?祐一さんが言った通り朝から電話が鳴りっぱなし。大変な事になっているの。昨日祐一さんに言われた通りマニアルを作って依頼受けているの。他に何かある?
祐一に今の現状を電話で知らせアドバイスを受けたかった。
「おはよう。やっぱり来たか。うーん そうだね。受けた内容にこっちの判断でランクを付けて 。例えばABCD こうして置けば後で簡単に仕分け出来るからね。」
「あー そうか そうして観るね。ありがとう。じゃ 後で連絡するね。」あんな雑誌に出たばかりにと菜摘は弱音を口にした。そのうち雑誌の効果も治るだろうと考えた。
今日の受けは3時迄にした。終わった時点で153件の問い合わせがあった。
「皆さんお疲れ様でした。大変な事になってしまってすいませんでした。明日から依頼受け時間を制限したいと思い係長と相談して決めます。後で発表します。」このまま依頼を受けていくと通常の仕事に支障を来すと思い時間制限を係長に打診を提案を考えた。
「係長 今日の依頼件数153件ありました。全部が全部仕事に繋がる訳はないんでこの現状げは明日から依頼受け時間を制限したいと思いまして相談したいのですが?いつかは下火になるのは分かってますが多分暫く続くと思います。通常の仕事に支障来さない様に朝 10時から12時までとしたいのですが係長の考えは?」
「うーん そうだな 今日の現状見ても考えないとなー まして時間的に依頼者から詳しく聴けないからなー」
「そうなんです。受けて見て痛感しました。詳しく聴かないと判断出来ないと思います。」
「そうなんだ。漏れる物が有るかもしれないからなー。 うーん 分かった。受け付け時間はその時間帯しよう。」
「はい分かりました。スッタフの皆んなに伝えます。」
菜摘は今日受けた依頼のランク付けの内容を再確認し対象外をはぶく作業に取り掛かった。
普通に考えるとこの種訳はこの書類だけでは不可能だ。だが吉澤 菜摘にはいままでの経験と直感と仕事の誇りを持っている。まやかし物か本物か判断出来る才能がある。係長他スッタフのみんなも認めていた。
「今日は残業かな?皆さん先に帰って下さい。私 書類をまとめますからどうぞ。」
「じゃあ 帰るね。お疲れ様」
祐一からメール
(仕事 どうお? 進んでる?」
(大変な依頼件数だった。153件。今 ランク付けを再度目を通しているところ。)
(あー 大変だ。 手伝いに飛んで行きたいよ。)
(ありがとう。祐一さんの言った通り最初からランク付けしてたから良かった。今日は残業です。)
(大変だけど頑張って。帰りは遅く何ない様に)
三日目から大分落ち着き20件。4日目が26件。5日目18件。落ち着いた様だわ。この数の方が濃密になるわ。中には興味がある依頼が有るわね。場所は珍しく福島県。西の方が多いのに福島県会津。(内容は祖父が大事にしてた巻物と日本刀。最近祖父が98歳で他界しました。遺品の中にこの品物が出て来て巻物の内容は分かりませんが最後に徳川家康と言う字が読み取れます。うちの家系はずーと昔徳川家の家臣だったそうです。良い機会なので調べて見たいと思って電話しました。宜しくお願いします。)これは本物見たいね。近いうち行きましょう。
えーと うっ これは すごい 葛飾北斎関係だ。鎌倉の尼寺 離昇院。(うちのお寺さんは300年の歴史ある尼寺です。最近古い書物を整理してましたら貴方様が御調べなさっている北斎の三女阿栄様からの手紙と見られる書物が出て来ました。今回 何かの縁だと思い電話をして見ました。何かの関係が有りましたらと思い、もし参考になるかと思い?調べてみて下さい。)
これって凄い前進になると思う。祐一さんに話さないと。もう一件北斎関係の依頼。これは一般の人からの依頼だわ。内容は(浅草に古くから住んでいるものですが近いうち都市計画でうちを含めてマンションになる予定で今有る家を取り壊さなくてはいけないので家の中を整理してたら他界した祖父書類箱から古い書物が出て来て開けると何やらいろいろ書いてあり私どもでは解読出来ないので貴方様に調べて頂きたいと思い電話しました。宜しくお願いします。)
これって2つとも祐一さんが喜ぶ依頼だわ。何か凄い事になって来たわね。)
夢中になって調べている内に11時になってしまってた。あわてて仕事を終え会社を後にした。今日は良い収穫が有った見たい。今日は遅いから明日祐一さんにこの事を耳に入れておこう。
菜摘は遅くまで仕事したのに帰宅の足は軽やかだった。これは全てが満足する内容だと思ったからだ。
朝。真っ先に昨日の結果を祐一に連絡した。
「この二件 凄い有力な情報だと思わない?」
「そうだね。菜摘さんの努力した結果だね。我々が逆立ちしてもこの情報は得られないね。調査次第では僕の仮説の変更しなくてはいけなくなるね。ありがとう。」
「大切な情報だわ。調査に行く予定を組まないと行けないわね。祐一の行く所も含めて日程を組みましょう。」
「そう 僕の方も今回絞って20件ぐらいかな?今んとこお寺さんだけだけど。」
「整理して片ずけて行こうね。何か 本当に現実おびてきたわ。楽しみ」
「会社の方は依頼 落ち着いてきたの?」
「うん 大分ね。メディアって凄いのね。ネット世界もスピードで情報が往き来するから怖い面もあるけど今の社会では絶対必要になって来た。だけど私達の仕事は地味だけど足と言葉だよね。足で稼いで言葉で説得する。これが後世に残す事が出来る手段ですね。はははー。」
二人は電話口でお互いに成果を褒めた。
菜摘は係長に今後 調査に行く所を報告し許可を貰った。今までの三倍の仕事の量になったが嬉しい悲鳴だ。
週刊誌が出てから10日が経ち菜摘の仕事はどんどん増えて行った。外に出て調査する時間が足りない。菜摘の心の中に焦りを多少出て来た。そんな中 一通の封書が届いた。菜摘は何気なく封を開けた。その文章には葛飾北斎についての事がしたためてあった。
(貴女が週刊誌に述べた北斎最後の作品。幻の遺言絵。忠告。これを世の中に出すな!)
「何?この手紙 私達が調べてる事。知ってるかの様に書いて有る。そんな事絶対無いわ。マニアがやがらせの為送って来ただろー。」
菜摘はあんまり気に止めなかった。この事が後でつじつまが合う様に なるとはいまの菜摘には分からなかった。
夕方 祐一から電話が有り日程について話し合う為、会う時間を作ってほしいとの事。
「日程 出来た。係長に了解も貰っているから今日でもいいよ。それじゃ いつもの所で6時半 にいい。?」
「 大丈夫? ありがとう その時間で了解。後で」
「あっ それから今日 変な手紙が会社に届いたの?後で見て。 」
「分かった。後で見てみる。」
いつものお店赤坂に有る居酒屋狸。少し待ち合わせの時間に遅れた。
いつも混んでいるが不思議に二人で座るテーブルが定番の席。そこに菜摘が待っていた。
「ごめん 遅れちゃって」」
「大丈夫よ。」
「毎度 ありがとうございます。」店員が注文を取りに来た。
「もー常連になったかな?」二人は顔を見合わせ笑う。
「最初 生ビールでいい?」
「うん」他の注文をして生ビールを待った。
「お待ちどう様。どうぞ」美味しいそうな生ビールを手に持ち
「乾杯 お疲れ様でした。雑誌の反響って凄いよね。」二人は喉を鳴らし生ビールを一気に行った。「喉が乾いていたからおいしぃー。」菜摘には珍しく生ビールを一気に飲んだ。
「最初の一口が最高だね。菜摘さん、よっぽど喉が乾いていたんだね。」
「うん だってここんとこ毎日電話の応対で喋っり通し、喉もおかしくなるわよ。」
「嬉しい悲鳴だね。」
「やだー うちの係長みたいに言わないでよ。本当 大変なのよ。」
「ただの冷やかしや、ただの鑑定依頼が多いと思うけど、その中からお宝を探すのも面白いよね。他人事でごめんね。だけど手伝いに行きたい気持ちはいっぱい有るよ。」
「いいのよ。分かってるから。祐一さんあたる個所のスケジュールを見せて。」
「いいよ。 これはいつもの僕の仮説が優先だけど。見てくれる。」大きい茶封筒からまとめた資料を菜摘に渡した。
「えっ こんなに有るの?」菜摘は書類に目を通して本気で言った。
「いやイヤ 聴いて 調べていたらこれも これも 怪しーってなって載っけたんだけど、この中の僕の感でしっかかった場所をマーカーで引いといた。
最初に行きたい所は葛飾北斎の生まれた実家 本家父親の菩提寺。北斎の母方の祖父小林平八郎。吉良上野助の家者で討ち入りの際上野助を守り討たれた。幕末迄北斎の父と合葬されていた。何故?一世風靡した高明な北斎が父親と一緒に埋葬されたか?一般的には当たり前と思えるが当時の知名度を考えると不自然。娘の阿栄も居て大勢居る弟子がちゃんとした格式高い寺院にしなかったのか?この疑問が僕には引っかかる。当時絵師は版元(現在の出版社)が依頼を受け絵師に描かせたので出版権利は版元に有り増版されても絵師にはお金は入って来ない。晩年は金銭的に不十分してたと思う。北斎86歳に描いたと言われる牛島神社依頼須佐佐之男命が鬼神退治絵にしても西新井大師総持寺、弘法大師祈祷絵に見える様に無信心論者の北斎が絶対に受けない作品を阿栄が個人的に依頼を受けやり繰りしてたと推測したいんだ。
阿栄は父親 北斎を埋葬するにも金銭的理由で仕方なく父親の実家に頼んだと思う。前に話した通り幕末迄父親と合葬されていたが姪多知によって現在の誓教寺に移した。そうだよね。
まず父親のお寺を探すだがこれがどの古文書を探しても分からないだ。だから現在の墨田区亀沢。(当時の割下水)この辺りの古くからのお寺を探そうと考えているだ。この地域は火災が多い江戸の町から離れた新都市計画で隅田川を渡ったこの辺を開拓し武家大名の武家屋敷を中心に街が形成されたんだってお寺も多かったと思うよ。」
「だけど 祐一さん 探せるの?」
「うーん 正直 難しい」
「それじゃしょがないじゃない。糸が繋がらないわ。」
「うーん 何とか繋げないと前へ進まないからね。みじかの親族が墓を変えたのがこの謎を解く鍵だと思うんだ。」
「やっぱりそこに戻るのね。阿栄と多知に絞って調べて見るのも手だと思うわ。」
「そこに尽きるね。手広くても無駄な能力を使うだけだね。菜摘さんの推理の方が正論かも?」
「祐一さん。電話で話したでしょう。うちに依頼が来た二件とても信ぴょう性がありそうなのでこれから先に調べたいのいいかしら。これなんだけど目を通してくれる。」
「これは凄い情報だ」菜摘から書類を受け取って内容を確認した。
「凄いでしょう。この依頼」
「うーん 何か仮説が浮かんで来る。ここを先に行って調査したい。1件は浅草 もう一件は鎌倉何かそれらしいスチエーションだね。」
「うん 何か出るみたい。」二人は共に仮説を描いていた。
何かを思い出した様に菜摘はあわてて例の封筒をバックから取り出した。
「これも電話で話した例の怪しげな手紙。これも見て」
祐一は封筒から手紙を取り出して確認した。
「これってあの週刊誌を観た愉快犯の仕業だよ。心配する事はないと思うんだ。だけどこの世の中いろんな人がいるから一応菜摘さん気お付け様ね。まして写真まで出ちゃっているからそして美人だからね。」
「そう言われると心配になちゃう。」心配そうな顔をした菜摘に祐一は
「大丈夫 僕が守るから心配しないで菜摘さんの事は何が何でも絶対守って-----」
「力強い言葉 。ありがとう。祐一さんが付いているから心配しないわ。」
「今度の土曜日に鎌倉から行こうか?大丈夫?」
「うん 大丈夫よ。」
「今、鎌倉は土日関係なくウイークデーでも観光客が多いからちょっと大変だけど行く所のお寺が混むわけじゃないから大丈夫。悪いけどお寺にアポ お願い。」
「分かったわ。明日 1番で連絡してみます。」
「お願い。手紙に書いて有る住所は、えーと鎌倉市山の内1の89 離昇院 。尼寺なんだ。グーグルで場所を確認して置くね。」
「お願いね。阿栄さん どんな手紙を送ったんだろー?」
「阿栄さんと尼寺 どう言う関係なんだ?」
「それを調べるのが私達の仕事でしょ。
「その通り 焦るね。」手紙の内容が気になる祐一だった。
「アポ 取ってから時間決め様ね。」
「そうだね。 話しは違うけど、まだ続いているの?」
「何が?」
「週刊誌の事」
「まだ省内でも言われるし視線を感じてる。外でも まだまだね。」
「美人は辛いね。はははー。」
「そんな事言わないで早く皆んなの脳裏から忘れられる様に あらないと仕事しにくいわ。 」
「僕も安心するから皆んな早く忘れてくれって言いたい。僕だけの菜摘さんでいてもらいたいだ。」言った祐一はちょっと照れた。
「何言ってるの やねー。 だけど嬉しいわ。」二人はこんな会話の先はまだまだ来ない。
「おはよう。昨日はありがとう。 鎌倉 離昇院にアポ取れたわ。AM11寺に」
「おはよう。ありがとう。土曜日が待ち遠しいよ。」場所はあじさい寺、明月院の近くだった。湘南新宿ラインで北鎌倉までだから品川で待ち合わせしよう。時間余裕持って9寺半でどーお」
「いいわよ。そうしよ。」
「何か 有ったら連絡して、じゃあまた」
鎌倉に行く日が来た。品川で待ち合わせ湘南新宿ラインに乗り込む。
「さすが土曜日混んでるなぁ。北鎌倉駅まで1時間ぐらいかな?座れないから大丈夫?」
「何言っているの 元気いっぱいだすよ。」
「我慢してね。」車内は結構混み合っている。祐一は菜摘に寄り添う様につり革を持ち並んで立った。
「皆んな湘南の方面に行くのかしら?」
「服装から見てもレジャーだよね。たまには車窓を見て街の変わり様を見て楽しもうー。」
「そう あんまり車窓って意識して見てないよね」
「うん そうだね。 話し飛ぶけど阿栄さんはさすがあの歳で鎌倉迄は行けなかっただと思うだ。誰が阿栄さんの手紙を尼寺離昇院に届けたのかな?飛脚も有るけど大事な事をお願いするとしたら誰かに持てせ手渡しするだろなー」
「阿栄さん 昔の書物を見ると尼になる事を考えてた見たい。」
「へー そうなんだ。北斎亡き後いろいろ悩み事が有っただろーな。」
「何か人間関係も複雑だったのね。」
「昔だったら早くて2日掛かったと思うだ。年寄だったら3日以上掛かるだろー。阿栄さんの信頼度から見ると多知 が届けたと思う。僕の仮説だけど。」
「どんな手紙だろー。楽しみ」電車は横浜過ぎても降りる人はいなかった。鎌倉に着き大半はこの駅で降りた。
「次だね。一駅だけど座る?」
「うーん いいわ。」
北鎌倉駅に着き乗客はほとんどこの駅で降りた。
「鎌倉駅と違って落ち着いた町並みだ。昔から別荘が有る町で雰囲気が有る町だ。
「グウグルで観ると明月院より下だね。」
「近いわね。この近くになるとさすがに観光客をまばらだ。」
「素敵な町並みね。この尼寺 女性の駆け込み寺共言われているみたい。」
「ここだ。 歴史が有るたたずまいだね。」
「300年の歴史感じる。門も中の庭園も何か感じるものがありね。」
玄関を入り呼び出しベルを押した。電話してあるので住職が出迎えてくれた。
「いやー よくいらしゃいました。文科省文化財の吉澤 菜摘さん。お写真より素敵なお顔。」
「吉澤 です。初めまして今回は御連絡頂き有難う御座います。」名刺を出しながら菜摘は虚シクした様に挨拶した。
「私はこ言う者です。都の図書館古書課に勤めてます。宜しくお願いします。」
「あーそうですか。まーこちらへどうぞ。お上り下さい。」
通され所は奥の庭が見える6畳ぐらいの座敷。
「こちらでお待ち下さい。」
座敷から見える庭は心が洗われる光景だ。しばらくするとお茶が運ばれて来た。
「こゆう雰囲気で飲むお茶は格別ね。」菜摘は慣れたものでお茶をすすった。
「菜摘さんはこ言う雰囲気は慣れているね。」
「そーお いつも鑑定はこの様な場所が多いの座敷は好きよ。」そう話していると座敷に近ずいてくる気配がした。襖を開けて住職が入って来た。
「お待たせしました。お忙しい中本当にすいませんね。」
「とんでもないです。こちらこそすいません。」菜摘は慣れた手つきで座布団を退かし畳に持参した布を広げ引いた。バックから白い手袋を出してした。祐一も手袋をはめた。
「さて この手紙を見て頂きませんか。」漆塗りの手紙入れに入っていた。
「手に取っていいですか?」
「はい どうぞ。」菜摘は慎重に手紙と言うより和紙に書かれている書であった。引いた布の上にその書物を広げた。菜摘は手紙の終りの署名を確認してた。
「北沢さんこれは本物ですね。この御朱印 葛飾応為 ってあるわ。」
「うーん 確かに阿栄さんのしたためた手紙ですね。」
「北沢さん 内容を解読して下さい。」
「あのー 写メしても構いませんか?」後で分析出来る為お願いしい。
「はい 構いません。どうぞ。」
ありがとうございます。」祐一は何枚か写メした。
「帰りましたら本格的に解読しますけど。今だいたいの文面は無信心の私も父親の葛飾北斎 願い事を聞いて下さいと書いて有る。この頼み事を引き受けてくれる人脈も寺院もいない江戸では頼る所無く私の唯一の浅草に有る尼寺真身院の住職から貴方様の紹介を受けて手紙を書いた事だそうです。内容は1つの絵を預かって欲しいと書いてある。この絵を永久に封印して門外不出って書いて有るね。後の内容は前後の文面を分析して見ないとこの絵は何か?分からないですね。」
「ご住職 なにしろこの書は葛飾応為より当本院に来た物です。はっきりした書面は当文化庁に帰って正式にご返事します。」
「はい 分かりました。お願いします。」二人は凄い物を見て自分達の仮説が正解だった事をお互いの目で喜ぶを味わった。
「あっそうそう この絵が一枚一緒に有りました。」
「えっ 」手袋をはめ直してその絵を受け取った。
「これは 北斎の弟子でもあり父親の影として北斎の絵を描き続けて北斎が世を去る時。自分独自の絵を確実物にした影の美の絵師として浮かぶ上がった。これがその一枚の絵です。これも本物でこの一枚は希少価値の絵ですね。この絵は阿栄さんのお礼の気持ちで一緒に渡したと思われますね。これも凄い物を見た感じです。」
「住職 阿栄さんの絵はほとんど世の中に存在して無いです。とても貴重な絵ですよ。大事にして下さい。」
「ところで我々が探している謎の北斎最後の絵はどこに行ったのか?また 遠くに行ってしまった。ご住職 ほかに阿栄さん関係の記事何かこころあたり有りませんか?」
「今のところこれしか見当たらなかったです。何かあるのかしら?」
「僕の仮説ですけど。この謎の絵で阿栄さんが行方不明になったと思われます。」
「そんな怖い事が有ったのですか?」
「事実 書物で調べると有った様ですね。」
「今日はお忙しいところ私どもの事でお時間を頂きありがとうございます。帰り調査して改めてご連絡します。」菜摘は丁寧にお礼を言った。
「ありがとうございました。非常にいい参考になりました。」祐一もお礼を言った。
「いいえ こちらこそ 大切な発見をしてもらいありがとうございます。それと何か 出てきましたらご連絡します。」
「ありがとうございます。お願いします。」
「それでは失礼します。」
二人は山門を出て観光客でにぎわう明月院通りに出た。北鎌倉駅までの時代の雰囲気を漂う町並みを歩き駅に向かった。また、謎が深まった事について二人はお互いの仮説をやり取りしたが今いち、これって言う自信あるものが出なかった。
「あっ そうそう 二件目の浅草の依頼。明日 アポ取ってあるの祐一さん大丈夫?」
「もちろん 行くよ。」
「何か相手さんがお勤めなさっているので日曜日にして欲しいって言うので勝ってに決めてしまってごめんね。」
「全然 平気だよ。明日は北斎の地元だから何か出てくれる事を期待したいね。この前この依頼者の住所を確認しただけど、北斎のお墓が有るお寺さんの近くなんだね。」
「えっー そうなの知らなかった。何か出そうな予感。」
「うん うん 何か有るね。明日 何時なの?」
「午後2時にした。銀座線 稲荷町駅で待ち合わせでいい。?」
「分かった。外に出た所でね。」
渋谷に着いた。時間が5時を過ぎてしまった。
「菜摘さん うちで整理する事があるからここで解散しよう。」
「分かった。 私も溜まっている仕事があるからちょどいいわ。」
「じゃあ 明日ね。気おつけて帰って。」
「ありがとう。バイバイ」明日会える楽しみを胸にしまい別れた。
日曜日の朝 久々にゆっくりした菜摘。ここんとこハードなスケジュールでこの朝はリフレッシュ出来た。(今日はどんな物が出るか楽しみ)
待ち合わせの時間に正確な祐一。全てが真面目。菜摘はいつも思っていた。
「待った! 」
「大丈夫」
「行きましょう。」
「この辺は仏壇を売るお店が多いだ。今は大分、お寺ん数も少なくなってきて仏壇屋も少なくなっている状況み たい。江戸大火 関東大震災 空襲で何度も町が無くなり再生して来た町なんだ。」
「そう言う歴史があるだね。」
「さっき言った様にお寺さんが多いので当然お墓もあって今でもマンション建設の為ほじくると人骨が出てくるみたい。」
「この依頼者の人もいろんな人生を送って来たんでしょね。」
「うん。住所は元浅草二丁目5になっているね。一応、町は碁盤の目の様に今は整理されているから分かりやすい。最近はしゃれたお店が多く出店してきてるだ。小さなお店を出すには家賃も手頃だし今はネット社会だからこう言う場所でも商売が成り立つだね。江戸時代の時もちょと中心から離れてお寺や下請け仕事の家が多かった。何か時代は繰り返されているみたい。」
「あー。 ここだわ。結構大きい家ね。」
「木造住宅。意外と災難に合わなかった見たい。だから木造建築で雰囲気有るね。」
「今時珍しい木造の門。このベルでいいのよね。」奥から待ち兼ねた様に玄関の扉を開ける音がしてこの家の奥さんらしい人が出て来た。
「文化庁の吉澤さんですか?」
「はい ご依頼の件で来ました。吉澤です。」菜摘は名刺を出して挨拶をした。祐一も名刺を出して会釈した。今は玄関まで庭が有るのは珍しい。庭も手入れされていた。
「お忙しいところお手間を取って頂き有難うございます。服部と言います。むさ苦しい所できょうしくですがどうぞお上り下さい。どうぞこちらへ。」
明治か大正に造られた建物みたいだ。八畳ぐらいの居間に通された。居間には重厚の椅子がテーブルも時代かかっている。
「祐一さん この御宅の家具皆んな貴重品。 年代を感じさせる調度品ばかり、興味あるわ。」
「菜摘さんの目を見れば分かったよ。はははー。」ノブのドアーを開けて奥様がお茶を持って入って来た。
「お待たせしましてすいません。」テーブルの上にお茶を置き
「お口に合うかどうぞ見仕上がれ。」
「奥様 付かぬ事お聞きしますがこのお家はいつ頃お建てになったのでしょうか?」
「はい先先代の祖父が明治の終わりごろ建てた見たいです。」
「失礼とは存じますが建物もしかりお家の調度品も時代を感じされとても商売柄興味を持ちました。」
「古い物ばっかりで困っていますのよ。ふふふふー。」
「そんな事ないですよ。価値有る物ばかり。今度マンションをお建てになると手紙に書いてあり ましたが余計な事とはいえ、建物含めこの調度品どうなさるんですか?」
「そうですね。 まだ何も考えていませんのよ。子供たちも今は海外生活が長いのでこっちには帰らないって言ってます。」
「そう言う事情がおわりで大変ですね。」
「こないだも都の方に相談しに伺ったのですが都の方の考えはこのままにしてこの建物を保存して下さいとおしゃっていました。都の方でも出来るだけ援助しますからっておしゃっていました。都の歴史建造物として残したいとだけどここに住むのは私で今の世の中では不便で仕方がないです。金銭的に言うのはやですけどそんなに援助金は出ないですのよ。だから建築業者と話して壊す事にしたんですのよ。」
「いろいろ行政の方も予算がありますのでいい返事がないんでしょ。」
「長々私どものことを言ってすいませんです。本題に入りますね。」緑の風呂敷に包まれた書面(当時の手紙)を取り出して見せた。
「これですか」菜摘はいつもの様にテーブルの白の布をひき手袋をはめた。祐一も同じく手袋をした。
「いいですか 奥さま開けて構いませんか?」
「どうぞよろしくお願いします。」
「北村さん どうぞ 解読お願いします。」祐一は書を開きまず最後の署名を確認した。
「これは葛飾北斎の三女。 阿栄さんの直筆です。葛飾応為の御朱印が押して有るね。この手紙の差し出し人は阿栄さんに間違いありませんね。あて先は服部弥兵次。」
「あのー
ここに書いてある服部弥兵次と言う人物は奥様との関係は?」
「あーこの方がうちの祖先様です。代々伝え聞いていると江戸後期で財を築いた人物だそうです。」「何の商いをなさっていた方ですか??」
「何か聞きます所。浮世絵の出版物問屋が始まりだそうです。」
「そうですか。やっぱし 北斎亡き後阿栄さんは相談する所も無く北斎の浮世絵を一手に仕切ってた服部弥兵次氏に何かを託した。その時の依頼の手紙です。
「そう言う事のお手紙でしたか。その手紙と一緒に別の書と絵がありました。これです。」
「これは葛飾応為の影を強調した浮世絵です。本物ですね。」
「北斎さんのお嬢さんの絵ですか?」
「そうです。何か重大な事をお願いしたと思われます。他に何か絵みたいな物はありませんあでしたか?」
「いいえ この関係はこれしかありませんでした。」
「あーそうですか。これでまた糸が切れた。」
「奥様 今日は大切な物を見せて頂き有難う御座いました。そごく参考になりました。またお家を整理する時、調度品の鑑定もしますので遠慮なく申し出下さい。」
「その時は是非。お願いします。安心してお任せ出来るから嬉しいわ、」
二人は重厚な部屋の雰囲気を満足して家を後にした。
外に出た二人はまた糸が切れた事を悔やんだ。
「菜摘さん コーヒーでも飲みますか?」
「飲みたいです。何か歴史に包まれて他ので現代に戻りたい。」
「そうだね。そうしよう。」
たまにはタメログで検索してみようか?良い店はあるかな?」
近くにしゃれたコーヒーカフェを見つけて行くことにした。
「この近くにあるから少し歩こう。」
「日曜日だとこの辺静かね。」
「そうだね。マンションもどんどん建つんだね。アクセスは便利な街にだから。」
「あっ 祐一さん、この店地ビールを飲ませるお店?」
「おっ 地ビール 美味そうー 飲みたいね。うん カンピオエール イングランドだ。菜摘さん 喉乾いた?飲もうか。」
「うん 入りましょ。」
「英国産モルトやホップを贅沢に使っているんだっておっ フイッシュ&チップスも美味そうー小腹が空いたからいいね。」
「イギリススタイルなんですね。店内醸造でイギリスパブみたいな雰囲気。」
「菜摘さん テーブルでいい。」
「そこが良いんじゃない。」
「ここにしよう。何のビールにする?」
「うん 私は黒ビールにするわ。」
「そうか 僕はコーヒー風味のビール試して飲んでみるかなー」
店内はそんなには混んでは居なかった。ビールの注文しフイッシュ&チップスも頼んだ。二人はテーブルを挟んで座り運ばれて来たビールで乾杯をした。
「うっん 美味い 喉が潤うね。」
「そうね美味しいわ。祐一さんってイギリスに行った事あるでしょう。」
「一年間だけどね。」
「何の勉強に?」
「会社の仕事で」
「えー、仕事で?どんな?」
「古書関係で大英博物館に調査しにね。 歴史マニアとしてはあの博物館お宝の山だからね。」
「そう良いものは皆んなあの博物館にあるのよね。あそこ居ると何日でも飽きないわよね。」
「いろいろ勉強になったよ。もー昔の話だけど。」
「何言っての まだそんな歳じゃないじゃないの。しっかりしてよ。ははははー」
「ねえ ねえ 菜摘さん 斜め後ろに1人で居る男性。ずっとこっちを見てるだけど?」祐一は急に小声で菜摘に話しかけた。
「どこの人?」
「振り向かないで菜摘さんから見て、正面に向かって時計で言う40分に居る男性」
「たまたま見たんでしょう。それかあの週刊誌観たい人じゃないの?」
「うーん さっきから見ているよ。あーそうか美人と一緒だから羨ましいがって見て居るのか?」
「うーん 祐一さん やめてよ。私そんなに美人じゃないから」
「君は美人だよ。だからいつも僕は優越感にしたってるだ。どうだってねははははー」
二人はすっかりその事を忘れてお互いの仮説について話しに夢中になっていた。
祐一が気がつくとさっきの男性も居なかった。
「喉も潤ったしそろそろ出ようか?」
「そうですね。祐一さんの話聞いて居ると飽きないわ。」
「自分も菜摘さんと居ると楽しくて話が弾んじゃうだ。」
会計を済ませて外に出た時、祐一が忘れていたかの様に
「菜摘さん ごめん ビール飲み過ぎでトイレに行って来る。菜摘さんは?」
「私も行こうかな」
「それじゃ 先に菜摘さん 行って来て下さい。」
「いいの それじゃ私が先に行くね。」
「どうぞ」祐一は店の前で待つ間スマホをいじっていた。
「お待ちどうさま。ごめんね。」
「うーん大丈夫だよ。 菜摘さん直ぐに戻るからここで待ってて。」祐一はお店のトイレに急いで行った。
祐一が戻ると待って居るはずに菜摘の姿がない。
「菜摘さん 菜摘さん 」名前を呼び、菜摘のスマホに電話しながら周りを見渡し菜摘の姿を捜した。お店のスタッフの人にも聴いたがお店の中にはいない。黙って行ってしまう菜摘じゃない。店の周りを探し回ったが何処にも居なかった。必ず僕の電話にはでるはずの菜摘のスマホに何の変化は無い。
祐一の感情も高ぶり、焦りに変わって来た。祐一の頭に浮かんだやな予感が横切った。何かの事件に巻き込まれてしまったか?祐一の焦りが恐怖に変わって来た。冷静さが完全に失われている。お店の直ぐ横の道路の端に目が止まった。そこには菜摘の名刺入れが落ちてた。
(これは菜摘の名刺入れ 何故 こんな所に落ちて居るのか?祐一はやな予感が現実になった事を察した。今どうしたらいいか考えた。警察に通報するか。まだ事件にならない状態だから警察は受け付けてくれないだろー。焦る祐一
「あっ そうだ。」菜摘のスマホにはGPSが付いて居る事に気が付いた。
いつも持っている自分のpc. に菜摘のGPSのコードNo.を入力しグーグルマップに検索して居場所を確認した。それを観ると移動している。歩きの速さじゃない事ば分かった。車で移動している速さだ。菜摘は車は持ってない。考えられるのは誰かの車に乗っている事だ。
直ぐにも追跡しなくてはと判断して近くに流しているタクシーを止めて乗った。
運転手さんに事情を説明したが信用してくれない。110した方がいいと言って拒否されてしまった。日曜日なのでこの辺はタクシーは来ない。祐一は急いで浅草通りに駆け足で向かった。今日はタイミングが悪い。表通りにでた。菜摘が消えてから時間が刻々と過ぎていった。心の中で祐一は叫んだ。菜摘今行くから我慢してくれ。タクシー来てくれと叫ぶにいられなかった。
タクシーはくれども空車はなかなか来ない。その時の 来たー。祐一は両腕を大きく振りながら道路に出てタクシーを止めてドワ越しに運転手さんに詳しく事情を話した。祐一の余の真剣さが運転手さんに伝わり乗せてくれる事になった。
「助手席に乗っていいですか?」
「あっ いいです。」
「助かった。良かった。このパソコンに表示されている矢印を追ってくれますか?。今さっき一緒にいた彼女が突然居なくなって何かの事件に巻き込まれてしまったか?心配して彼女のGPSを追っているです。彼女は僕に黙って何処かへいなくなる事はない女性です。運転手さん僕を信用して下さい。お願いします。」
「これで確認するとここから大分遠くに行ってますね。まー早く追いつきましゅう。」
「今 どの辺を走っていますか?」
「これだと湯島付近ですね。」
「なんでこんな道行くでしょうね。」
「そう言われても分かりません?。ただ、私の思うには幹線道路と脇道区道とかいろいろジグザグに走ってますね。これって道路の監視カメラを意識して走っているみたいで。」
「えっー 何故 」
「お連れさん 誰かに狙われてたとか?」
「とんでもない。彼女も私もそんな覚えは全く有りません。ただ。彼女が2週間前 週刊誌に載りましてね。これが彼女が載った週刊誌です。」
「あー 私もこの週刊誌観ました。お綺麗な方ですね。」
「週刊誌に載ったからってこんな事が」祐一はそこまで言うと頭を過ぎった。菜摘の会社に来た脅迫状の事を思い出した。これは誘拐だ。180年前の阿栄さんの行方不明。これの再現か?暫くの沈黙が-----。
「お客さん。大丈夫ですか?このまま追跡しますか?」運転手さんのこの一言で祐一は我に返った。
「あっ はい このまま追跡して下さい。見失なない様にお願いします。今どの辺を走っています?」
「今は水道橋過ぎて東京ドーム付近です。お客さんこれは警察に言った方がいいですよ。これがお客さんの言う通りでしたら大変な事が起こる前に110番に通報した方が?」祐一はこの事に迷いがあった。警察が事件として受けてくれるか?事件性が無い事で拒否されるか?もうー、こんな選択は無い。菜摘の命が掛かっている。
「110番 します。 」110番するのは祐一は初めてだ。緊張感の中スマホの数字を押した。
「もしもし」
「はい こちら110番。 何か有りましたか?」
「はい 今、何者かに彼女が連れ去られ彼女のスマホのGPS機能でタクシーの運転手さんに協力してもらって追跡してるところなんです。今さっきまで浅草の地ビールの店に居て店を先に彼女が出てトイレ行った私が遅れて店を出たがどこにも彼女がいないです。周りを探しても姿が無いです。」「お店の時、あなたと彼女に失礼ですが何かのトラブルが有りませんでしたか?」
「そんな 何にもありません。それにお店の脇の路上に彼女の名刺入れが落ちてたんです。何かの事件に巻き込まれてしまったと思います。」
「追跡している車の車種かナンバーとか分かりますか?」
「突然で車も目撃してません。今でもタクシーの運転手さんに追って貰ってます。どうしたらいいですか?」
「今 聴いてる時点では事件が発生しているか確認出来ないので警察の方でも動きが取れません。」「何言ってるんですか。そんな云っちょな事を警察は事件が起きないと動いて貰えないですか?今事件が起きてです。」祐一は真剣に訴えているのに受付無い警察に苛立ちをあらわにした。こんな自分は初めてだ。
「そう言われてもこちらの判断ではまだ事件性が見られない現状で」
「事件が起きてからじゃ遅いです。今 追っている彼女のGOSのコールNo.を教えますから見て現状を把握して下さい。」
「あー個人的なGPSの使用は許可無いと禁止されます。」
「いざと言う時、頼りになる公の機関の警察がいつものマニアル通りにしかし動け無いのが情け無いです。今回のことで大変な事が起きたらあなた責任取りますか?」
「そう言われても困ります。貴方の携帯番号をお聞きして置きます。それとお乗りになって居るタクシーの会社名タクシーNo.を教えて下さい。逐次連絡したいと思います。」
「私の番号は090 5814 9913 です。」
「運転手さんタクシーの会社名とNo.を教えていいですか?」
「は構いません。 日除けのところに書いて有ります。どうぞ。」
「今でも事件は進行してます。運転手さんだけが頼りです。彼女の為でしたら私は何でもしますから。」
「事件が起きたら直ぐに110番して下さい。無茶行動はしないで下さい。」
「あなた 何言ってるんですか?さっきから言ってる様に今 事件が起きているんだ。これだけは言うまいと思ってたんですが私の知り合いに法務省の上の方と知り合いでまた某週刊誌の編集部の人もいます。何かあったら私はあなた方を許しませんから。失礼します。」
このジレンマ やるせない思いが込み上げて来た。菜摘の携帯に何度も入れるも電池切れで繋がらない。菜摘 絶対に守って見せるから 祐一は心の中で何度も叫んだ。
「運転手さん これって今、新宿の甲州街道に出て大原交差点に向かっていますね。」
「こいつかなり運転に慣れていますね。目的が何処だか分からない。」
「我々は現在、四谷ですからまだ差が縮まっりませんね。方向的に分かれば先回り出来るだけど。運転手さん 様子見て先回りして下さい。あっ そうだ 料金の事は心配しないでください。幾らでもお支払いしますから」
「あっ はい 大変な事になってしまってその事は心配してませんから最後までやらせてください。」
「ありがとうございます。運転手さんだけが頼りです。危険な目には絶対に合わせませんからね。」「大原交差点を右に環七に入りましたね。全く方向が分からない。どこまで行くのか?」
「次の手を打ち用にも打つ手無い。何とか距離が縮まってくれれば。」
その時突然 タクシー間の無線が
「もしもし こちら本社警護部課の井上です。車体No.185号の酒井運転手ですね。」
「はい 酒井です。」
「ただ今 警視庁より緊急連絡あり、そちらの事情を聴きました。そのまま追跡続行して下さいとの事です。185号のGPSを警視庁に連絡済みで警察独自に追跡するとの事です。」
「了解しました。」。警察が動いた事で祐一は少しほっとした。これで変わると信じて止まなかった。
「お客さん 良かったですね。お客さんの最後の言葉が効いたんですね。」祐一をその事を思った。「今度 環七丸山陸橋を左折し新青梅街道に入り西に向かってますね。」
「これで方向的に行き先がはっきりして来たみたいだ。」菜摘 もう暫く辛抱してくれ。お願いだ。警察も動き出した。
会社より緊急連絡
「こちら 本社 相手のGOSは何処の方向に向かっていますか?」
「こちら185号酒井です。追跡車は新青梅街道に入り西に向かってます。」
「了解 そのまま続行願います。」
「了解です。」鷺ノ宮、下井草、石神井公園、東伏見、田無、花小金井、小平 福生市に入った。青梅街道を西に青梅市に
「この先が奥多摩湖 ここが目的地か?」この時祐一の携帯が鳴った。警視庁からだ。
「北村さん 遅くなりましたが今回の件確認が取れました。そちらのタクシーのGPSで追跡させて頂いて事件性が極めて高いとの判断で捜査します。被害者とされる方の名前を教えて下さい。」
「やっと動いて貰いますか。彼女の名前は吉澤 菜摘 文科省文化財課に勤めています。」
「分かりました。吉澤さんの今 追っているGPSの登録No.を教えて下さい。こちらでも追跡します」登録No.を伝えた。これで助かる菜摘 頑張ってくれ。
「お客さん 本当に良かった。」
「はい 警察が動き出した事は良かったです。まだ本人を助けてた訳じゃないから」
「 あっ、ごめんなさい。」
「いや いいんですよ。分かってますから。」
「運転手さん 大分 距離が縮まって来ました。ありがとう。」
「奥多摩湖の方に行くみたいだ。山奥に入ったらGPS.の電波が心配です。山奥に中継基地が無いと電波が届かないです。」
「奥多摩湖に入りましたね。まだ電波は大丈夫。この先多摩源流また先は山梨県になるなーどこまで行く。」祐一の携帯が鳴る。
「はい どう言う現状ですか?」
「こちら青梅警察署から覆面パトカーを向かわしてなす。もう少しでそちらのタクシーに追いつきます。待ってて下さい。」
「今 犯人の車はどんどん山奥に入って行って ます。大丈夫ですか?」
「こちらも確認して ますから直ぐに追い付きます。」
「菜摘が心配で」
「分かりました。」
「奥多摩湖を過ぎて山深く進んでいますね。大分 近ずいて来ました。もう少しです。」
「山道に入って行ってます。」車が一台通れるかの細い山道。こんな淋しい所で何をするんだ。祐一は怒りが盛り上げて来て菜摘の心配が祐一の心を揺さぶっている。
「お客さん 止まりました。こんなとこで何をしおって考えているんだ。」
「運転手さん 早く近くに行って下さい。」
「ぬかり道でタイヤが取られる。」エンジンを浮かし空回りするタイヤをうまく騙しながら前へ進む
祐一は手にびっしょり汗をかいていて心臓ははれんばかりに鼓動していた。
「あっ 車がこっちに戻って来る。どうしますか?」
「GPSは動いて 無い。早くこの場所に行かないと菜摘の----」
犯人と思われる車がこっちに向かってギリギリにすれ違った。その時の運転手の顔を見た。
「あっ あの店の背後にいた男だ。」同時に後ろから警察の車が背後に着いた。とっさにタクシーの助手席から降り後ろにいる警察の車に行き警察官に伝えに行った。
「今、すれ違ったワンボックスカーの運転手が犯人です。誘拐された場所に居た男です。」
「分かりました。手配します。」警察官は無線で青梅署に連絡。山道を下山してるワンボックスカーの運転手を手配した。
それを言うと祐一はタクシーに戻り動かない. GPS の示す場所に向かった。
「この場所の茂みの下の方です。え」祐一は車のドアーを開け飛ぶ出すように茂みの傾斜を駆け下りた。
「菜摘 菜摘 菜摘 どこだー」祐一は大声で叫んだ。
「菜摘ー 何処に居るんだ。返事してくれー頼むから。」その時の茂みの中から動く物が
「音がした。菜摘」祐一が音の近くに行くと呻き声が聞こえた。
「いたー 大丈夫か菜摘 。」さるぐつわで口をふさがれて目隠しされた菜摘が茂みに横たわって居る。
「菜摘 大丈夫か可哀想に」祐一は菜摘を抱きしめて目隠しと猿轡を解いた。
「わー わー わー」泣きじゃくる菜摘の体に着いた枯葉と泥を払い優しく抱きしめた。
「祐一 祐一 怖かった。怖かった。助けに来てくれたのね。ありがとう。」祐一にしがみ付きながら泣いた。
「良かった。良かった。無事で怪我は大丈夫?」斜面の上の方から警察の人とタクシーの運転手さんが降りて来た。
「大丈夫ですか。」
はい 」か細い声で 菜摘が返事をした。タクシーの運転手さんもニコニコしてこの事件の解決を喜んだ。
「救急車を呼んでますから 上に上がりましょ。」
「菜摘 歩ける? 僕の背中に」そう言って祐一は雑木林を菜摘を背負って車まで上がった。遠くから救急車のサイレンの音が聞こえた。この音を聴いた時、菜摘は安心したのか祐一の背中で眠ってしまった。祐一も今までの緊張感が体から引いて顔に安堵の笑みが
タクシーの運転手さんにお礼もそこそこに救急車に乗って警察の指示のとおりに青梅総合病院に検査の為に一時入院した。
震えが止まらない菜摘の手を握り病室のベットに添え寝した。それから安心したのか深い眠りに入った。
検査の結果、手と足に軽い打撲が観られるだけで済んだ。その日に退院。犯人も祐一の機転で多摩湖付近で逮捕されたと警察の職員に聞かされ安心した。動機については取り調べが進み次第で明らかになるみたいだ。
「今日は祐一さんと一緒に居たいの」
「もちろん 心配だから一緒にいるよ。祐一さんのお家に泊まってもいい?」
「僕もそう考えていたところ。」二人は自然の成り行き通りに心は向かった。
今日 直ぐに退院と言う事で警察署から連絡があり自宅まで送ってくれる事になった。
「菜摘さん 部屋は狭いけど僕がいるから安心して休んでね。明日 会社に事情を話して有給取ったらいいと思うだ。何しろ後にも先にも無いすごい経験をしたんだから菜摘さんは精神的ダメージが癒されるまでゆっくり休んだ方がいいと思う。」
「うん 分かったわ。祐一さんがいつもそばに居てくれれば大丈夫。」
「約束するよ。いつもそばに居ます。」祐一の部屋に一緒に居るから安心したのかさっきまでの震えも収まり祐一の胸の中に深く沈めた。
「祐一 本当にありがとう。祐一のそばにずっと居たい。」小さな声で
「祐一 菜摘を抱いて」この言葉で祐一は今までの感情が一気に溢れた。二人はくちびるを合わせ菜摘の耳元に唇を寄せ祐一は囁いた。
「菜摘 愛してる」
「私も愛してる。大好き。」二人は何度も唇を重ねて深いキスをし二人は身体を重ね、菜摘の身体は祐一を受け入れるほど興奮し悶えた。祐一は自然に菜摘の身体に入って行った。
「あー あっー祐一 幸せ強く抱いてイックイック祐一も来てー。」菜摘は嬉しさのあまり瞳から涙が溢れた。
祐一と菜摘はこれで本当に一緒になれた。
翌朝、目が覚めた菜摘は祐一と本当に1つに慣れたことで昨日の恐怖の出来事は薄られて行った。祐一は菜摘が目が覚めない内に朝早目に起き朝食を作っていた。
「菜摘おはよう。よく寝た?」
「うん ぐっすり寝た。ありがとう。」
「あー 良かった。」
「祐一がそばに居てくれたからよ。祐一 こっちに来て」菜摘は甘えた声で言った。 ベッドの上で祐一の首へ両手を絡めキスを求めた。菜摘は精神的にも安心した様子だ。
「朝食が出来ているから一緒に食べよ。」
「うん ありがとう。」
「菜摘今回の事件で思っただが。180年前の阿栄が行方不明なった諸説、同じ事が現代に起きた。これってなんかの因縁?」
「うん どう言う事で誘拐されたかはまだ分からないけど因果関係は一緒だと思うわ。そう感じるの。」
「こんな危険な目に遭ってしまった。だから菜摘が心配だからこの調査中止し辞めようかと思っているんだ。」
「うん 祐一の考えは有り難いと思うがもうちょっとその返事 待ってもらっていい?」
「菜摘の心の整理が出来るまで待っているよ。」
「ありがとう。」祐一は菜摘をもうーこんな危険な目に合わしたく なかった。
「菜摘 会社に電話して少し遅れるからと連絡した方がいいよ。」
「うん そうする。」
「テレビのニュースで会社の人は事情を知っていると思うが係長に説明して10日ぐらいの有給を貰ってしばらく実家に帰った方がいいと思うだ。」
「うん そうする。」朝、家を出た二人は菜摘の会社に向かった。菜摘が実家に帰るまで会社の往き帰りは二人は一緒の行動した。
後日 二人は犯人の面通しの為、浅草警察署に行き証言した。浅草署は事件の発生時が所轄だからだそうだ。
「警察の話だと犯行を自供したそうだ。容疑者は金子信雄26歳 5年前入教した信教集団 いのちを救う教団の熱狂的新派だそうだ。一部自供によると自分一人でやったと言ってるそうだ。」
「やっぱり 宗教が絡んでいたんだわ。」
「だけどこの容疑者が我々の仮説をどこまで知ってたか?と宗教にマイナスのイメージがあると確信してたか?今後の自供ではっきりすると思うが?何かこの容疑者も僕らと同じ考えの仮説を描いていたのか不思議だね」
「うん。」
「菜摘 実家にはいつ帰るの?」
「警察の事情聴取も終わったから明日でもって思っているの」
「うん 分かった。お兄さんも心配しているから早い方がいいよ。東京駅まで送るからね。」
「ありがとう。お願い」
あっ そうそう 今度の土日に会いに行くからね。」
「本当に 嬉しい。」
菜摘は実家が有る滋賀県大津に帰った。兄が今回の事件を知ったのはテレビ報道されて分かった。兄は菜摘にしばらく家の外に出ない様に言った。
「お兄さん あの事件。単独犯であれで終わったと思うわ。」
「だからとは言え個人の外出は控えてくれ。」
分かったわ。今度の土日祐一さんがこっちに来るの」
「あーそうかー 今回の事で祐一君に感謝しないとなぁ」そう言った兄は二人の絆が深くなった事を予感した。
実家に帰って2日が経ち余りにも菜摘は身体を持て遊び部屋にこもって居れないので兄の了解を得てお店を手伝う事にした。
3日目に一通の封書が会社宛てから菜摘の実家に回って郵送されて来た。係長の計らいだ。
手紙の差出人は、あの鎌倉 離昇院のご住職だった。
内容は今回の事件で災難に遭遇した事と無事で帰られた喜びを心から嬉しく思うとの事が書いてあり。追伸でもう一通の手紙が見つかったと書いてある。
この手紙、誰が差し出したか?手紙の内容は何が書いてあるのか?菜摘は気になったが今の現状では飛んでも行けず祐一が来た時、この手紙の事を相談する事にした。
菜摘が待ちに待った土曜日が来た。兄にウキウキしている私を見て冷やかされた。そんなに感情にに出るのか私にも分かった。
「向かいに行くって言ったら怒られちゃた。こっちに直接来るって言われた。」
「ご馳走さま。はははー。」兄はこれを聞いて妹の嬉しさが伝わって来た。
「菜摘さん 大丈夫 ?元気?」
「祐一 さん付けないでいいわよ。待ちどうしかったわ。」
「えー 嬉しいー。菜摘が東京に居ないから仕事に身が入らなくて早く来たくて」
「嬉しいわ。」
「おいおい。仲がいい事はもうーそのぐらいでいいだろー。イチャイチャするのは. はははー」
「あら お兄さんにも分かっちゃうた?」二人は顔をみわわせて笑った。
「祐一 こっちに座って お兄さんコーヒーをお願い。」
「はい はい かしこまりました。」
「この間の話しの結論出すわ。」
「えっ 結論って」
「葛飾 北斎の事。 やっぱし 続ける。これで終わるの悔しいもん。」
「大丈夫なの菜摘」
「私には大事な人が付いて居てくれるから続けて行きたい。祐一 にね。」
「嬉しいよ。」
「それでね。 この手紙が会社経由で届いたの係長の意気の計らいでね。ねね 読んでみて」
「うん これって鎌倉の尼寺 離昇院からだ。」
「そう 読んで。」祐一は読んだ後、菜摘を見てニヤと微笑んでみた。
「でしょ また 繋がった。」
「うん これは凄い事だ。早く手紙の内容が知りたい」
「それでねえ 私がこの状態だから祐一に確かめに行って貰いたいの」
「そてはいいだけど」
「うん分かってる。私がご住職に手紙を書くわ。今回の事件の心ずかいのお礼と祐一が行く事を書く。」
「うん 分かった。行って来るよ。週 明けたら早めにね。」また二人の呼吸が合って来た。
土日二人は一緒で心身ともにリラックスした。琵琶湖から帰った祐一はすぐに鎌倉 にアポを取りその日の週 火曜に決まった。
鎌倉はウイークデーでも観光客で混雑してた。
離昇院の住職に会い菜摘の手紙を渡した。
「今回はお二人とも災難でしたね。大事に至らず良かったですね。」
「吉澤も無事で本当に良かったです。ご心配をお掛けしてすいませんでした。」
「いいえ 御無事で何より。」一応の挨拶を終え住職が差し出した手紙
「これが一緒の場所の奥から出て来ました。この手紙は前の手紙と関係あるじゃないかと思い吉澤さんに手紙を出しました。」
「有難う御座います。吉澤も大変喜んでいました。自分が来れない事を悔やんでいました。あーこれですか。 差出人は白井多知ですね。」
「白井多知さんって ?」
「北斎の三女 阿栄さんの姪っ子ですね。」
「預けて有る物を阿栄さんに変わって受け取りたいと書かれています。受領書見たいな書です。最後に白井多知と直筆だと思いますが書いて有りますね。」
「このお手紙で何かお分かりでしたか?」
「凄く参考になりました。有難う御座います。」
ここで分かった事は白井多知が何物かを離昇院から持ち帰った。何の為か?ここが一番重要な問題だ。
菜摘に電話で事情を話しお互いの仮説を菜摘が帰り次第話す事にした。
あの悪夢から立ち直り菜摘が元気に帰って来た。
会社の帰りに銀座のスタバで会う事にした。
「お帰り 元気だった?」
「うん 精神的に落ち着いてる。心配掛けたね。今回は色々ありがとう。」
「うーん 元気になって良かった。また続けるけど慎重に行こうね。」
「うん 」
「電話で話した通りだけど阿栄の姪 白井多知がキーパーソンだったね。」
「私が思うに阿栄さんにしろ多知さんにしても第一に考えた事は父親の名誉を守る事を考えたんじゃないかなー。」
「だと思うよ。これから発見されるであろう幻の絵 に描かれた事をその時代の権力者達から偉大な葛飾北斎を守ろうとした。」
「父 北斎の偉大さ そして阿栄さんを尊敬していた白井さん 二人とも永遠に守ろうとした。これに尽きるわ。」
「諸説によると北齋のお墓が父方の菩提寺に一緒に埋葬されていた事が後に他家に養子に出た阿栄さんの兄(北齋の次男)崎十郎とその娘の白井多知がこれが許せなく本家から分離して阿栄さんの関係が深い今のお寺さんに移したとされている。これは事実だと思うだ。阿栄さんが守りたかった事を多知さんが引き付いた、これで葛飾北斎の名誉を 守り続けた。」
「私の考えと一緒 だから 点と線 が繋がった所に有る、」
「そうです。 この仮説しか考えられ無いよ。」
「謎の絵は、今お墓が有る浅草の誓教寺に」
「菜摘 やっと たどり着いたね。大変な事有ったけど」
「着いた。終着駅にね。」
「菜摘 誓教寺に早速アポを取ってこの仕事終わりにしようか。」
「分かったわ。明日 電話する。」
次の朝 誓教寺に今までの経緯を事細かく説明し会う事を約束した。
突然、誓教寺の方も話を聞き混迷してたらしくお会いした時話に乗り気じゃなかたが菜摘の名刺と所属しているIDを見せて話を切り出した。
「文科省文化財課ですか お話を事前にお聴きしましたがうちのお寺には北齋のお墓をまつってありますが他には北斎先生の関係した物は御座いませんが。北斎先生のこのお墓だけが当 お寺の誇りだと思ってます。先代先先代からこの辺は大火 大地震 空襲と見舞われてその都度大事な物を持ち逃げ回っていたのでどこに何が有るか分からない始末で整理したいと思いますがなかなか時間とどれが大切な物かわから何のが事実です。ですが私達が探している白井多知さんが託した物が出てきたら今の世界の注目を浴びこちらのお寺さんに最高のメリットが発生します。」
「そうでしょね。どこにお寺さんも事情は一緒です。実際大変な事ですよね。察します。」祐一が
「良かったらこの際整理したら? 私達が責任を持って整理しますが?」
「えー それは 有難いと思いますがご迷惑じゃないですか?ましてその費用などありませんが?」
「何言ってるんです。費用ばど掛かりませんよ。」
「もし発見されれば国としても称賛されます。国宝級な品物だと思います。
それではお願いしますか。」
「是非 お任せ下さい。」説得させた事に満足な二人であった。
「この奥に別棟が有ります。裏庭に小さな蔵があり大事な物はその中に入れてあります。どうぞこちらへ この奥です。」
「開けて入っていいですか?」
どうぞ」二人はいつもの手袋を取り出しはめた。
「失礼します。」扉を開けると昔の匂いがして来た。菜摘はこの匂いが好きだ。
「長年 開けて居ませんのでホコリが凄と思います。」
「何処でも同じですよね。ご心配なくご住職にも居て貰って確認をお願いしても構わないですか?」「はい 大丈夫です。」
「棚に年代別に置いて有るですか?」
「いいえ それは分からないですね。」
「品物別に年代別に明細を作っていきましょう。パソコンに入力して行きます。構わないですか? 」
「はいお願いします。」
二人は雑然とした物を1つずつ整理していった。お寺さんに大事な檀家さんの書類が多い。檀家さんからの貰い物も多い。
1つ1つ 住職に聞いて整理をして行った。三、四時間過ぎて休息し再び整理が始まった。整理する物が無くなって来た。二人が焦りが出て来た。
「なかなか出て来ませんね。整理する物もあと少しになって来たね。菜摘」
出てこない焦立ちを菜摘に声を掛けた。それを察してか菜摘はニコニコして笑顔で返した。
その時菜摘が声を上げた。
「これじゃない。 今まで一枚の絵だと思って探して来た。これって筒よね。」
「どれ どれ あっ」祐一が叫んだ。その筒が油紙で丁寧に包まれ蔵の奥の小さな棚に置かれて有った。二人は顔を見合わせ顔がほころんだ。
祐一が丁寧に油紙を剥がした。
「あった。これに間違いない。封印がしてある、」
「どうーれ 門外不出禁止 葛飾 応為と記して有る。これに間違いないわ。有ったわね。」
「ご住職 有りました。一枚の絵だと思ってたが巻き物でした。ありましたね。」
「良かったですね。整理した甲斐がありました。」
「菜摘 遂にやったね。」
「祐一 良かった。」二人はハグして喜んだ。巻き物を蔵から持ち出し仏前の座敷に白い布をを広げその巻き物を置き封印を菜摘が常備している道具ケースの中からピンセットを取り出し慎重に剥がした。今まで二人が探して求めて来た物がこの前に有る実感が伝わって巻き物のふさを解く手を震えが身体全身に伝わって来た。祐一が菜摘に声を掛けた。
「解くよ。」この瞬間の静けさがみんなの胸に感じた。巻き物を解いて布の上に広げた。
「あっ この絵は北斎が命尽きる最後に描いた人間に対しての遺言と思われる最大の絵巻物だ。この酷い目を背けたくなる絵もの語り。権力闘争、宗教戦争 神では救えない人間の愚かさを戒める為に北斎はこの絵巻物に遺言を記しただ。」
「これだったのね。今の世の中に通じるものがあるわ。神は心(魂)を救うかも知れないが身体は救えない。北斎はこれを言いたかったに違いないと私が思った。」
この絵って学術的に解釈して見ないとね。これって長さ10メートルが有るわね。描いてある絵はともかく芸術的に色彩が今までに無いタッチね。」
「そうだ。斬新的で当時では考えられ無いタッチだね。それにしてもどの絵も恐怖を全面に描かれているね。これが世の中への忠告だと思える絵巻物だ。怖い絵だけどこれで我々の仮説が正しかった事が認められた。」
歴史マニアと文化財発掘ハンターは葛飾北斎の縁で結ばれた、 終わり。
銀座のメトロ地下コンコースにポスターを一点を見つめ微秒足りしない男性。三畳もあるそのポスター。真っ先に目に入って来た鮮やかな真朱色の今までに観たこと無い鬼の形相した怪物。その右側下に小さく葛飾北斎の有名な富獄三十六景、神奈川沖浪裏が印刷されている。波間に見える富士山これを観て北斎 展森美術館のポスターと分かる。
このポスターを見つめてた私は鬼の形相した怪物の絵に心を奪われた。私も北斎の版画は大体は知っているつもりだったが怪物の版画は観た事がない。これも北斎の作品なのか?
六本木ヒルズ森美術館 新北斎展に展示されて居るのか?誰もがこのポスターの構図に引き込まれてしまうだろう。
この男性 名前は北村 祐一 35歳 都立中央図書館勤務 自称歴史マニアである。
翌日 土曜日 3月も終ろうとしてるのに雪混じりの雨。この寒さだ人はそんなに来ないだろう。
この読みは甘かった。沢山の来場者。外国人に人気の北斎だけあって大勢の外国人来場者が来てた。
自分は北斎の作品は過去に観てたので目的の作品を探していた。
(あっ 有った。)最後に展示さ れていた。
(本当はこうゆう構図だっただ。本物には富獄三十六景神奈川沖浪裏には祈祷する弘法大師の絵が書かれてたんだ。うっん 所蔵 西新井大師寺 お寺さんが所蔵してたんだ。説明だと本堂に掲げられてあったらしく大分すすだらけで保存が悪くポスターの様に鮮明な色彩は失われている。あのポスターは今の技術CGで修復したらしいだ。所蔵してた所がお寺さんじゃしょうがないよね。
この絵を観てると今は分からないが何か伝わって来る。なんだろう?)
北村は何かを感じるまで日参した。
時を同じく東京都美術館でも葛飾北斎展が3月20日から始まる。こちらは 東海道五拾三次 広重VS北斎展
北村はなかなか面白い企画だと思った、広重と北斎とはバッテングしてる 時期がある。同じ月に二ヶ所で北斎展があるのは珍しい。東京都美術館の企画の方が先だと思うが森美術館側のプロジュウス会社の斬新な企画が成功したみたいだ。東京都美術館の方も二人の違いが分かる企画これもなかなかだ。
感心してる北村は東京都美術館のパンフレットを手にして北斎の展示目録を目をとうしてた。
(あった。こっちでも展示される。)あの北斎最後の作品が脳裏から離れ無い何かを感じ始めてた。
上野の山の桜開花宣言されたがここ一週間肌寒い、桜も一分先で止まっている。何人かの気の早い人は花見酒で盛り上がっている。
北村は場違いの花見客を横目に東京都美術館に向かった。
二人の作品の半分くらい個人コレクターが所有し明治以降海外のコレクターに流出している。まだ目にとまらない作品も多いと思う。
北村は歴史マニアとしての独特な作品の見方が有るみたいだ。
(ここに通って3日目だ。自分なりに見えて来る仮説に自信が湧いてきたぞ。)
いつもの様に絵の前で腕を組み一点を見つめていると一人の女性が近寄って声をかけて来た。
「あのー すいません。ちっとお話ししてもいいですか?」北村はびっくりして声の方に振り向く。歳は二十代後半若い黒髪の長い綺麗な女性だ。
「はい 何でしょか?」北村はびっくりした顔のまんまその女性を見た。若い女性から声をかけられる事などなく道を聞かれるぐらいしかない。
「失礼ですが偶然に三ヶ所で同じ絵の前にじっと見つめている貴方様目撃してます。一回目は銀座のメトロコンコースに貼ってあった森美術館 新 北斎展ポスター前 二回目は 森美術館に展示された本物の弘法大師修法図前 三回目はここです。私も美術関係の仕事をしてますので、貴方様が何故 この絵に興味を持ったのか?そこをお伺いしたかったのですが?図うずしいと思いますが?
あっ 申し遅れましたが私 こうゆうものです。」女性は北村に自分の名刺を差し出した。
「あaー ご丁寧に有難うございます。」差し出された名刺には 吉澤 菜摘 文科省文化財産課発掘調査課 主任調査員と書かれてあった。
「あのー 通称 我々の仲間では 文化財ハンターって言いますよね。」
「その筋の方にはそう言われます。」北村は自分の名刺をお返しに渡した。
「自分も公務員ですが私の方は地方公務員 東京中央図書館に勤めてます。北村祐一です。
通称 歴史 マニアです。宜しく」
「歴史マニアさんの北村さんがこの絵を観て感じたものは?」
「吉澤さんはこの絵を観て何か感じませんか? 感性の高いプロの方に失礼ですがごめんなさい。」
「そんな言い方するのは、辞めて下さい。」これはまずいと北村は思った。
「失礼しました。言い方が良くなかったね。最初 メトロのコンコースに貼ってあったポスター。最近の科学先端CGで北斎が描いたそのままの色彩。私には強烈なインパクトがあったです。吉澤さんも知っていると思いますが僕の仮説だと葛飾北斎は無心人論者だったと思います。今までの作品を観て分かる様に誰にも規制されず自由奔放に描いています。
あくまでも僕個人の仮説ですがこの絵は北斎最後の作品だと思うです。この弘法大師修法図 弘法大師祈祷絵図を西新井大師總持寺の依頼を受けたのは三女の阿栄だと思うです。90近い北斎の全てを任されてプロジュウス的役割を果たしてた。多分 仮説ですが老いていく父 北斎を見て信念そぐわない仕事を受けざる得なかった。そして金銭的のも頻拍してたと思うです。それで宗教的なこの絵を描いた。ごめんなさい。自己仮説が長過ぎますね。
ここで僕の素直見方を言いますね。また吉澤さんには失礼ですが。漫画チックに感じた事言います。この朱色の鬼怪物これは未来の人間です。祈祷している弘法大師が鬼に負けて見えます. もー辞めてくれって 言ってる見たい僕は見えるです。長々と講釈してすいませんでした。」
吉澤 菜摘は素直にこの人は面白いと思った。自分に近い考えの人だと思った。
パチパチと拍手した吉澤菜摘がいた。
「素晴らしい仮説ですね。私も北村さんに賛同する面も正直有ります。」北村はこの人に自分の考えを言えた事に満足感を覚えた。
「吉澤さん 今日はこれから時間ありますか?もうちょっとこの事でお話ししたい事があります。良かったらこの後 お茶でもどうですか?」北村はこの人ともっと話しをしたかった。もう一つこの女性の肩書きがこれからの自分にプラスになると思った。
「あっ はい いいですが、私 今この広重 VS北斎展のプロジュウスに参加しているで終わるのが17時になるのですがあと一時間ぐらいお待ちになれますか?」菜摘も意気投合した事が嬉しいかった。このままお別れするのは寂しかった。
「あーん大丈夫です。まだ他の展示を観て ますので仕事して下さい。」
「それじゃ 17時の美術館入り口で」
「分かりました。それじゃあとで 失礼します。」
待ち合わせの時間に正面入り口待っていると彼女は美術館から出て来た。
「お待たせ」
「お忙しい処すいませんでした。」美術館を出た。
「上野周辺あまり詳しくないです。」
「観光地ですからゆっくりとチャするにはここから離れないとね。」
「北村さん 何処か 知っている処あるんですか。?」
「いい処有ります。だけど上野の山を降りて谷中を抜けて千駄木まで歩くですが散歩するにはちょっと遅いかな?」
「千駄木に有るお店何ですか?」
「えエ 吉澤さんはお仕事で谷中辺り来た事あるじゃないですか?」
「お墓はあんまり来ないなー」この会話で二人は笑い打ち解けたみたいだ。
「お寺さんの多い町で徳川家の菩提寺 上野本願寺を始め小さなお寺さんが集まって居ますね。この辺も今じゃ観光散歩道になってしまってますね。じゃあ 、歩きますか?」
「はい 北村さんにお任せします。」
「大丈夫かな? それじゃ行きますか。歩くのも運動ですね。」
「私だちの仕事は足で稼がないと そうですよね北村さん」
「その通りです。足腰を丈夫にしないと 同感です。道すがらお話ししましょう。まー知らない内に観光地になって谷中、千駄木、根津、これを称して谷根千とまで言われてしまい、上手いネーミング考えたなーと思うますよねー。我々もこの観光ルートを歩きお店まで行きましょ。千代田線の千駄木駅近くにある比較的新しく出来た今風のカフェレストラン(CIBI)って言います。じゃあ そこを目指して歩きましょ。」
「あのー 北村さんはどんなお仕事されているですか?突然こんな事聞いてすいません。」
「あー そうでした。正式な自己紹介まだでしたね。貴方から名刺を貰い返す名刺を渡さないで失礼しました。歩きながらでごめんなさい。」吉澤は笑いながら北村の差し出した名刺を受け取った。名刺を見た吉澤は
「北村さん 図書館にお勤めなさっているんですね。」
「はい 本職は都立中央図書館で 古書関係の整理をしてます。なんか地味な仕事なんです。だけどライフワークの歴史マニアにうってつけの仕事だと思ってます。」
「えー 面白い言い方」吉澤は笑いながら言った。
「そうなんですよ。どっちが本業か自分でも分からないです。」二人は笑いながら会話が弾んで来た。
「ところで私不思議に思うですが吉澤さんはお若てお綺麗なのに何故 このお仕事を?」
「やだー綺麗ななんて」吉澤は照れた様に言った。
「いやいや お綺麗です。」
「ありがとうございます。なんか そうんな事言われると照れちゃいます。」吉澤の照れた恥じらしい顔がますます綺麗さを増し北村の胸の内がドッキとした事を感じた北村だった。
「私 生まれは滋賀県で琵琶湖の辺りで育ちました。」
「琵琶湖いいですね。」
「実家は祖父から続く骨董屋を営んでます。小さい頃から祖父や父の仕事を見て育ちました。祖父や父がよく言ってた事がきっかけでこの職業を目指しこの役所に入って今の仕事をしてます。」
「へー きっかけってなんだったですか?」北村は興味しんしんで聞いた。
「きっかけって 今思うと祖父と父親の教えの中に日本の伝統的な美術品が良からぬコレクターの投資の餌食なって日本の文化財が海外に流出してしまう事を悲しんでいた。父は日本国内にまだ日の目を見ない文化財が何処かで眠っているとも言ってました。そこで後世まで大切に保護しなくてはいけない感情が私に目覚め一生懸命父の元で勉強し、まだ未熟ですが見立てが出来る様になり今の仕事に生かされて来ていると思ってます。」
「. 吉澤さんは凄いなー 志があるから 僕なんか自分の感しか頼るものが無いから、なんか 恥ずかしいよ。」
「何言ってですか。最終的にに判断するのは自分が信じてる感で決まると思います。」
「うわー 吉澤さん 勇気が出て来る言葉をありがとうございます。僕 最近思うですがこの先どんどんAI化され人工知能が世の中支配すると言われていますが人間の持っている感性五感それ以上のものはまだAIには負けてませんよね。なんか話がずれて来てますね。すいません。」
「北村さんの言う通りですよ。私も最後は自分の感頼りです。」お互いに笑った。
団子坂を下って目的地に近くなった。話しに夢中になった二人、走行言ってる内に千駄木駅近くまで来た。
「えーと この辺の横の道に入った処にCIBIって言うお店なんだけどえーと 何処だ!
あった あった ここだ」
「いらしゃいませ 。お二人様ですか」
「はい 」
「それではこちらのテーブルで」
「ありがとう」二人はスッタフの案内のまま席に着く。吉澤が
「本当に今風のお店ですね。」
「なんかオーストラリアのメルボルンに店があって2年前に日本のここに支店をオープンした見たい。ここ前トラックの駐車場だったところを借りて造作余りしないでこの店を作った見たいで。地元の人が気楽に来れてゆったりと過ごせるコンセプトアらしいです。
肉も魚美味しいです。吉澤さんはどちらにしますか?」
「私は魚でいきます。」
「それじゃ僕は肉にいます。 シエアーしましょ」
「いいですね。」スッタフにオーダーし料理が来る前に北村は話しの続きを美術館のパンフレット出して自分の持論を説明しだした。
「これて 森美術館で新 北斎展で買って来た弘法大師修法図の拡大ポストカード何ですけど、前に話しました様にこの絵の構図が僕には引っかかっているんです。
北斎研究家が作品の年表を発表してますがこれ、あくまでも僕の仮説で聞いてくださいね。」
「はい 分かってます。続けて下さい。」吉澤は話に引き込まれていく
「ありがとう。西新井大師總持寺から依頼を受けてからこの大作ですから完成迄3年位も掛かっているです。年表ではこの間いろいろな作品を発表してますよね。90近い老人がこんなに精力的に書けますかねと僕は思うです。北斎の公私とも世話をしてた三女の阿栄がキーパーソンになって来るんですね。この弘法大師修法図が最後の北斎の作品だと僕は思うです。ですからこの絵から読み取れる 謎 を解きたい。
この絵から浮かび上がる裏の何か分からない物を探したいです。分かりますか吉澤さん」
「はい とてもステキな仮説ですね。私 感銘しました。私も凄く興味有ります。」
「ありがとうございます。 こんな事言っていいのかな?吉澤さん一緒にこの謎解きしませんか?」「はい 一緒にやりましょう。」吉澤はこの人の感を信じたかった。
「ありがとうございます。嬉しいです。本当にありがとう。」自分に共鳴する仲間が出来た事が北村は嬉しいかった。
北村が熱弁が終わった時タイミングよく料理が来た。
「お腹空いたでしょ 食べましょう。美味しですよ。」
「本当だ 美味しそう。食べましょ。北村さん この店よく来るですか?」
「いや まだ3回目 1年前水道橋から神田明神 湯島天神 根津神社 谷中 上野の山 迄の調べる事が有りましてその時寄って見たんです。」
「また その話もいつか
聞かせてくださlね。」
「あっ はい そのうちにね。僕 自称歴史マニアでしょ。 何でも疑って物事を考えて見るです。やな性分ですね。ははははー」
「私もそうですよ。同じです。」
「なんか息が合いますね。」
「あのー 北村さんのこれからの謎 解きはどの様に進めて行くんですか?」
「それなんですけど心強い味方が出来たんで早々に実行したいと思んです。吉澤さんのスケジュールに合わせますからご心配なく。またこれも持論何ですけど僕は何でも原点から始める。
ここはまず 葛飾北斎の生誕とされている所から終わる迄のお墓の有る所を点と線で結んで行くと何か見える物が出て来ると思うです。ですから謎解きは生誕の地から始めたいと思うですが吉澤さんどうですか?」
「そうですね現場に行けば何か見えて来る物が有りそうですね。何か 面白くなって来た見たい。ウキウキして来たわ。」
「吉澤さんは北斎の誕生の町何処か分かりますか?」
「勉強不足でごめんなさい。何処ですか?教えて下さい。」
「北斎は本所割下水。今で言う墨田区亀沢と言う場所です。相撲の両国国技館付近ですね。隅田川を渡りますので江戸の神田 上野 浅草より田舎だったと思います。だけどこの辺で生まれた有名人が多いですよ。
こっから始めましょう。楽しみだ。」
「いろいろ勉強になります。歴史マニアさん ははははー」
「あっ そうだ 吉澤さん メール交換ししませんか。 」
「えエ 構いませんよ。」
「ありがとう。じゃあ LINEやってます?」
「はい やってます。」
「じゃ IRコードでしましょう。」お互いのスマホで交換が終わり彼女と繋がった。
「これでOKです。情報交換もメールでしましょう。」
「発掘ハンターの吉澤さんはお仕事柄 全国を駆け回っているでしょうね。」
「全国は行きませんよ。関東 関西ですね。やっぱり関西多いですか。結構 問い合わせが多いですよ。鑑定士に依頼するとそれなりの費用が掛かりますが、内の部所は公の機関で費用は掛からないです。大きい物から小さな物まで色々有りますね。こ言う利点を生かして私の使命が生かされています。 」
「あー そうか そう考えるとごもっともですね。忙しんだ。僕なんかのんびり自己満の仮説を解読しているんで吉澤さんの爪アカを飲んで頑張らなくてはははははー。吉澤さんの仕事は結果出て立証されればお墨付きが頂けますが僕の方は仮説が本物で有っても学界に発表しても誰も信用してくれません。歴史は変えられないで終わりです。悲しいですがやり甲斐が有ります。誰かが今に賛同してくれる人が出て来るのを待ってます。」
「北村さんに賛同してくれる人がいますよ。目の前にね?ふふふー」
「吉澤さん 感激です。ありがとう。」北村は今に無い興奮に包まれた。
二人共時間を忘れ話に夢中になった。
「話が弾んじゃってこんな時間になってしまいました。明日 お仕事でしょ」
「はい 展示が終わるまで付ききりです。休みは調整してます。」
「出ましょう。 今日は僕の話しを聞いてもらったのでおごらして下さい。」
「えー そんな 」
「気にしない気にしない。」
「悪いわ 。じゃあ今日はご馳走になります。ありがとうございます。
「こちらこそ。」会計を済ませ千駄木駅に向かった。
「家はどちらの方ですか?僕はこの千代田線の代々木上原です。」
「私は中目です。」
「もう長いですか住んで?」
「東京の大学だったのでその時からずっと、だから6年になりますね。」
「女性が住むにはいい所ですよね。僕は怠け者ですから乗り換えなしで行ける千代田線です。1Kの小さなマンション生活です。 吉澤さんは霞ヶ関で有楽町線に乗り換えそれで中目迄」
「はい そうですね。」
「今日は忙しい時、僕の為に貴重な時間をさいて頂きありがとうございます。」
「そんな硬い挨拶は今後無しで行きましょうね。今日はとても楽しかった。ありがとう。」
「こんなにおしゃべりしたの久しぶりで楽しかったです。今後の連絡はメールでします。」
「私もメールしますね。」
この出会いは葛飾北斎のおかげかな?二人はそう思ったに違いない。
吉澤さんと出会ってから一週間経った。メールも連絡も来ない。北村は思った。人を待つ気持ちってこ言うものなんだ。恋人とからの返事を待っている切ない気持ちなんだ。僕と違って吉澤さんは忙しいお人なんだ。こちらからメールしてもいいだが何か複雑な気持ちだ。こんなモヤモヤしてたら僕の脳のサイクルが壊れてしまいそうだ。
(えーい こっちから連絡してスッキリしよう。)メールを打つ
(先週は忙しいところお付き合い頂きありがとう。その後こちらも謎解き探索スケジュールが決まりました。今の時期は忙しいですか。時間が空いたらメール下さい。)
俺も事 女性には奥手だからなー しばらくしてから彼女からメールが
(おお 来た。)北村は少し有頂天になたみたいだ。メールを開けると
(先日は楽しい時間を過ごせてありがとうございます。ご連絡が遅れすいません。東京都美術館の広重VS北斎展もおかげさまで大盛況でありがとうございます。私の仕事も一覧抱くしました。
北村さんとのお約束通り北斎の点 と線を探しに行けます。日時 今週の土曜日で如何ですか?どうぞ宜しく。)
(メールありがとう。 広重VS北斎 展 大盛況おめでとう。やっと解放されるのですね。
北斎の謎解きのスケジュール目を通して下さい。電車 バス だと細かく探索出来ないのでアシストバイクにしたいと思います。バイクと言っても電動自転車です。吉澤さんアシストバイク乗った事ありますか?普通の自転車の何十倍も楽です、ご心配なく。服装はGパンがベストだと思います。靴はスニーカー 上着は軽装 お持ちでしたら是非パカーを肌寒い時に絶対必要です。ではコースを書きます。
江戸城 いや 日比谷(日比谷ミットタウンでアシストバイクを借ります)晴海通りを銀座 歌舞伎座を通り隅田川の最初の橋 勝鬨橋まで隅田川の上流 両国橋目指して川沿いを走ります。川の土手は整備されてきれいですよ。北斎の時代でしたら隅田川を境に川の内側は江戸の下町反対側は江戸時代も格差がはっきりしてて今で言う低所得者の町です。そんなとを想像して今のウオーターフロントを満喫して下さい。両国橋を渡り墨田区に両国国技館 江戸博物館を通り葛飾北斎博物館に到着 所要時間約1時間半です。それから出生地を尋ねます。ここからスタートします。
長いメールですいません。何か分からない事が有りましたらメール下さい。待ち合わせ時間AM10時日比谷ミットタウン入り口 楽しみにしてます。)
再び彼女からメール
(ステキなスケジュールをありがとう。ご丁寧に細かくありがとう。本当に楽しみしてますよ。)
(追伸 雨天中止)
(ふふふー 了解 私 晴れ女ですから大丈夫です。)
(当日 晴れ女の吉澤さん頼みます。)
僕の勤務先東京都図書館は霞ヶ関に有り何故 都庁がある新宿や渋谷じゃなく霞ヶ関に有るのかは以前東京駅近くに都庁があった時から変わらない。ここにあるのは東京都の見栄でしかないと思うだ。これ僕の持論。国と対抗してこの地にある。そんな事どうでもいいこの職場は僕にとって最高の働き場所。僕の担当する部所は古書を保管整理 貸し出しをしてる所。自分の好きな諸本が沢山保管してある。好き放題で読める。何か恵まれている環境で世間の人に申し訳ない気持ちだ。世に認められる仕事を目指してる歴史マニアでね。
ここに居ると東京都の過去と未来が見えて来るようだ。ここで自分なりの仮説を披露したいが長くなるからまた今度にします。
この図書館もご多分に習ってデーター化が進んでいます。ハッキングに会えばデーターが消える。セキュリティシステムが万全でないと。だけど古書は字の如く古い書物だからいいだが燃えたり虫に喰われたらお終いだ。どっちもどっちだ。この課がなくらない事を祈るまでだ。
当日のお昼のお弁当。コンビニお握りじゃあ味気ないから手作りお握りとサンドイッチを作って行こう。(北村は1人生活が長いから料理は得意みたいだ。)
当日 北村はちょっとテンションが上がってる。
(今日は僕の仮説が実証される時が来た。)
日比谷ミットタウンに10分前に着いた。
「おはようございます。」声を掛けて来たのは吉澤さんだった。
「あっ おはようございます。遅れてすいません。」
「いいえ 私が早く来たから、まだ待ち合わせ時間は10時で遅れていませんよ。」
「はははーありがとう。それから晴れ女さんありがとう、空は青空 暑くもなく寒くもなく最高のサイクル日和。」
「本当に青空 気持ちいい。」
「吉澤さん メール通りのコスチュームしてくれたんだ。嬉しいな。またGパンとても似合いますね。ステキです。」
「私 サイクリング始めてなんです。今日はいろいろ教えて下さいね。」
「アシスト自転車を借りに行きます。このビルの裏に受付が有るだ。もーネットで予約済みですから安心。ここです。」今日は土曜日なので係員いる。ほとんどカードで決済。
「これが今日一日の愛車です。」
「私 アシスト自転車を乗った事ないの 大丈夫かなぁ?」
「大丈夫 大丈夫 普通の自転車と同じこのボタンを押すだけで簡単だよ。」
「ふーん 」吉澤は不安そうな顔した。
「まず 乗って見よう。この辺を軽く乗って、すごく楽な感じが直ぐ分かるよ」
「じゃあ ちょと乗ってみる。」吉澤は自転車にまたがり最初ペタルを漕いだ。
「北村さんこの自転車ナーニ 軽ーい 軽くて楽チン」菜摘は興奮気味に嬉しそうだ。
「じゃあ 吉澤さん 大丈夫だよね。あっ 慣れるまで僕の後から付いて来て下さい。それじゃ 合図を決めましょうか。 僕が右手を上げれば、止まります。前に行って下さいは右手手のひらで合図しますね。横に来ては声を掛けます。
それから大事な事は基本的に歩道を走ります。交差点は歩行者と同じです。あー気おつけて行きましょう。じゃ日比谷交差点まで行きましょうね。吉澤さん 何か緊張してます?楽に行きましょね。「最初だからちょと意識しちゃう」
「じゃあ 交差点前の江戸城から出発です。両国目指し、晴海通りを隅田川の入り口勝鬨橋まで真っ直ぐだからアップダウンはあまり無いから大丈夫」
「はーい 何か楽しい」
「銀座交差点抜けると歌舞伎座そして築地」
「ぜんぜん疲れない。歩くとか車で見るとかとまた違う世界の見方があるみたい。これって細かく動くかなぁ」北村は右手を上げて止まれの合図をした。
「さー着いた。隅田川の最初の橋 勝鬨橋。これから上流に有る両国橋を目指します。どうだった。大分慣れて来た。」
「慣れたわよ。歩行者に注意して走ったからちょと疲れた。」
「ここを降りて少し休憩。 川沿いは散歩道で整備されているからのんびり出来るよ。」
「私が住んでいる町とぜんぜん違う。これがウオーターフロント マンションが建ち並んで絵になるね。」
「空は晴天 風が気持ちいい。」
「そうね。」
「これから両国橋まで 佃の橋 江戸時代は佃 月島は運河に囲まれ島だったらしいです。それから 永代橋 清洲橋 新大橋を越えて両国橋 この順番。あー 吉澤さん 橋を越える時川沿いから離れる場所があるからね。」
「分かったわ。」
「じゃあ 行きましょうか」
「はい オウライ」
「 永代橋 清洲橋この辺に来るとこっち側には江戸の中心の日本橋 神田 小伝馬町 人形町 水天宮が有ってここからそんなに離れてないんだよ。」
「蔵前橋だ 次の橋が目指す両国橋 吉澤さん もう少し頑張って」
「大丈夫よ。」隅田川はこの辺で蛇行して江戸の中心部に食い込んでいる。
「吉澤さん 着きましたよ。ここが両国橋 。両国は西岸の武蔵、東岸の下総の境だから両方の国の境から両国って呼ばれたんだって西岸の日本橋と東岸両国を結んでいる橋。両国橋は万治年間1661年に隅田川の最初として架けられた橋橋なんだ。 神田川と隅田川の合流地点がある場所。江戸時代は江戸の中心に行くのは一番近かっただね。川向こうの全てが安い下町の下町両国に庶民が住む様になっただね。」
「よっ 歴史マニア」
「茶化さないで下さいよ。照れるなー」
「そうなんだ聞かないと分かんないなー ありがとう。」
「この先上流の蔵前橋 駒形橋 吾妻 言問橋 白髪 千住大橋と続く。浅草は吾妻橋。今は浅草橋があるんだ。
「両国橋を渡って両国に入った。JRの両国駅を横目に相撲の両国国技館。吉澤さんは国技館のお相撲を見た事有りますか?」
「いいえ 観たことnまだないの」
「なかなか迫力があってライブで見た方が良いと思いますよ。こんど見に一緒に行きましょう。」この並びに江戸東京博物館 区役所通りを行くと区の緑町公園内に北斎美術館。吉澤さんお疲れ様終点です。ここが江戸時代の地名の南割下水、北斎の生誕地です。」
「着いたー。ここですか。」
「そうです。墨田区が区の誇りとして区の土地に、すみだ葛飾北斎美術館を立てたんです。」
「この地で生まれたですね。ここに立つと感激しますね。」
「そう その時を想像すると、そう 感激しますよね。こうゆう立て札が立ってつと余計に感じる。」菜摘は立て札を読んでうなずいた。
「美術館に入って観てみます。」
「はい 観てみましょう。」
「展示している作品は目立った物はありませんが墨田区としても出来るだけ収集したと思います。北斎の知名度が知れるに連れ版元の大店が増版しただろーが作品の半分以上は海外に流出し未だ現在日の目を見てなく眠っているだろ。だけどここで観る作品の江戸時代のお仕事大集合この教本は今現在観て当時の庶民の姿、また生活が手に取る様に分かるので北斎は未来のために描いただろうと僕は思う。独学で医学、特に漢方の薬を研究して自ら実践してあの歳まで生き抜いたこれって東洋のダビンチ。あの時代に90歳を凄い。これって不老長寿の薬を完成させたのでは。?はははー」
「祐一さんって それって素晴らしい仮説です。私もそう思います。」
自分の力説より 吉澤さんが僕を名前で呼んでくれた事の方が嬉しいく感激した。
「この版画って作品が出来るまで彫り師 刷り師といろんなその道のプロの人が携わっているんだよね。昔の人は凄い。」
「本当 凄いわ、私いつも見立てして分かるわ。尊敬しちゃう。」
二人は隅々まで作品を見て感心してた。
「菜摘さん お昼時なんで 食べまでんか」祐一は名前で自分も呼んで見たかった。自然に呼べた。菜摘さんの反応は菜摘さんも自然に受け止めてくれたみたいだ。祐一は心の中でホッとした。
「はい 食べましょう。運動したからお腹が空いて来た。コンビニにお握りでも買いに行きたい。この近くにコンビニあるかなー」
「菜摘さん ご心配なく ランチ作って来ました。」
「えっー 本当ー嬉しいーありがとう。祐一さん。」
どこで食べようか。ここから隅田川まで行き隅田川の川面を見ながらかわむこに有ったろう江戸の町を想像して食べましょうじゃか。あの辺の隅田川の両側は桜が綺麗でお花見の時期は大勢の人がお花見に来る所なんだ。又ここっち側の川沿いに江戸時代の牧場が有っただって。」
「祐一さんって本当に感性豊かですね。ここの公園でも良いけど私 隅田川がいい。」
「オーライ 行きましょう。二人は今回のミニ旅ですっかり打ち解けたみたいだ。
「ランチタイム 向こうが神田川入口 江戸の町が江戸城まで広がっていたんだね。」
土手の芝生に持って来たシートを敷き持って来たお握りとサンドイッチを並べて見た。」
「ねー これ お手製?」
「うん そう。自信あるだ。美味しいよ。それから立てたコーヒー」
「コーヒーまでお手製。うあー どうしましょう。感激。嬉しい ありがとう。」
「このお茶はコンビニです。」二人は笑った。菜摘はお握りとサンドイッチを食べ美味しい美味しいと言ってくれた。ミニピクニック成功。
二人は前に広がる現代の風景とこうであったろー江戸時代の風景をダブらせていた。
「僕は古地図を見るのが好きで職場の図書室でよく見ている。テレビのタモリさんの番組で観る昔と今 あれってすぐに想像しちゃうだよね。」
「私も観るわ。興味あるもんね。」時間が経つのも忘れて話しが弾んだ。
「ご馳走さまでした。とても美味しかったです。ありがとう。」
「どういたしまして。また作りますね。お腹も一杯になった事だしそろそろ行きましょうか。」
「はい 次は?」
「次は北斎が生涯98回も住まいを変えたと記実に書いてあった。そこで僕なりに仮説を立てました。」
「祐一の得意な仮説」
「現代の地図と古地図に合わせて行くといろいろな事実が浮んで来るです。北斎が住んでいただろうという町を回って見ない。今回の謎が解ける予感がします」
「本当 楽しみ ドキドキしちゃう。」
「もうちょっと上流に行くと吾妻橋。渡る前右側にスカイツリーが見えるからそれを横目に見て橋を渡る。そこが浅草。ここにも謎解きのヒントが有ると思うだ。 菜摘さん脚 大丈夫?」
「この自転車乗ってればどこでも行ける気がするわ。」
「それ聞いて安心した。浅草周辺は土曜日だから人でいっぱいだから混んでる所は自転車を降りて押して行きましょう。なるべく混んでいる地域は避ける様に行くから安心いて。」
「良い天気だから混んでいるでしょね。」
「浅草周辺は外せないキーポイントなんだ。浅草寺の裏の方に吉原があるだ。ここは江戸庶民の重要な場所で北斎始め浮絵師の大事なキャンパスなんだ。おいらん始め遊女が大勢いたらしいです。」
「祐一さん 吉原って実際何をするところなの?」
「うーむ 難しい質問 歴史的な事だけど菜摘さんには僕の口から言えない。これは菜摘さん自身が調べて下さい。」祐一は苦笑いした。
「祐一さんでも説明出来ない事あるんだ?。」
「ごめんね。今から有った場所に行くから察してね。」察した通り浅草は大変な混雑ぶりだ。
蔵前を通り浅草橋を渡り松屋を抜けて浅草寺の裏に出た。花園通りから千束そして吉原神社に着く。
「ここが吉原跡 入る入口に大木門入るとくねっている様に道が出来ている。これには理由があるだ。それと周りは堀があって逃げない様に作られていたらしい。浅草寺裏から吉原一帯は湿地帯でヤシが茂っていた。これは江戸幕府がここに庶民のガス抜きの為にこのへんぴな場所に作ったと言われてる。江戸の中心からここまで来るのは大変だったらしいだ。行く道に追い剥ぎが出たらしい。ここで楽しむのにも命がけで見たい。今はソープランドが並んでるがね。昔も今変わりしないね。分かった。菜摘さん。」菜摘は照れ様にうなずいた。
「浮世絵師には大切な場所だっただね。ここで絵師が描いた浮世絵で庶民は喜んでいたんですね。」
「そう ひと昔のプロマイドだったんだね。」
「葛飾 北斎も日参したんだ。」菜摘も祐一の言わんとする事を納得してしたみたいだ。そしてこの場所を後にした。
「いよいよ。点と線の最終地点 葛飾北斎のお墓を訪ねるね。浅草から元浅草 田原町 稲荷町 この辺は小さなお寺が沢山有った見たい。何回かの火災でお寺も間引きされた。
「着きました。ここが葛飾 北斎の眠っているお墓が有る誓教寺。菜摘さん びっくりしたでしょう。小さなお寺でまた、お墓がお寺さんの裏手にひっそりと有るから。」
「本当! 以外 世界の画家が尊敬する葛飾北斎のお墓がなんか可愛そうな気がしますね。」
「ここにお墓が収まるまでいろいろな事が有った見たい。」北斎は転居魔で亡くなるまで93回も住居を代わった見たいと言われている。寛永2年(1849)4月18日浅草聖大町で三女阿栄に看取られ亡くなった。北斎のお墓は、幕末まで北齋の父と合葬されていたらしいだ。後で北斎を尊敬してた次男。養子となってた次男崎十郎が分骨しこのお寺に墓を建てたとも言われまたその娘白井多知が建てたとも言われている。父 娘 共 葛飾を大切にして祖先の誇りに思ってたみたいだ。菜摘さん見て。墓石正面に「画狂老人卍墓」辞世の句「ひと魂でゆく気散じや夏の原」刻まれているね。この墓石時代を感じさせるね。」
「時代が通り過ぎて行く実感がするわ。」
「そうだね。時代を感じる。歴史マニアとしては、なんかゾクゾク寒気がする。」
ここで僕の点 と 線 に終わりです。何かヒントありましたか?」
「いろんな場所見てきて感じた事は沢山あったわ。頭の中を整理しないと。」
「僕も重大なヒント感じた。僕も整理したら説明するね。」
「すごく今回の時代巡り楽しかった。ありがとう。祐一さん」
「楽しんで貰って嬉しい。疲れたでしょう。コーヒータイムにしましょう。」
「コーヒー 飲みたい。」
「うーとね 。 この辺に美味しいケーキ屋さんが有るんだ。そこに行こう。」
「何というお店?」
「ここからすぐだと思う。お店の名前はレモンパイ 」
「あっ 私 聞いた事有る。有名なお店」
「本当 そこに行きましょう。帰りもちょっとサプライズがあるんだ。楽しみにしてて」
「何 なに?」
「あとの楽しみ」二人は目的が終わったせいかペタルも軽やかだ。
「うあー 可愛いお店 ケーキ二つ食べていい。」
「幾つでも食べて下さい。はははー」二人は前から付き合っている雰囲気に見えた。
ケーキとコーヒーを満喫し満足してお店を出た。
「これから雷門に行ってこの自転車を返すね。」
「えー 借りた場所で返すじゃあないの?」
「うーうん このレンタル自転車は都内数カ所に乗り捨て自由何です。便利だよね。返した後隅田川を下って浜離宮まで水上バスで帰ります。」
「何て 素敵な気ずかい。祐一さん今日は満点です」
「ありがとう。」
水上バスの乗船場は意外と列が出来ていた。
「菜摘さん 見ての通り 並んでる。30分ぐらい待つ いいかな? 」
「待ちますよ。楽しいから時間忘れちゃう。」
「そうだよね。夕方になるから川下りはまた違う東京が見えるよ。」
「夕日が綺麗だと思うわ。そう言う楽しさがあるから待つのは平気。」
以外の展開に感激する祐一がかわいい。
乗船すると風が寒く感じて来た。
「菜摘さん パーカー 持って来ました。」
「はい」そう言いながらリックから真っ青なパーカーを出した。
「ここで必要になるんだ、」自慢げに祐一は言った。」
「祐一さん ちゃんと計算しているんですね。」
今まで見て来た隅田川の橋 今度は水面から見る橋。 この流れはあの北斎が生きていた江戸時代から変わっていない。そんな事考える二人が夕陽を浴び川面を走る水上バス。青いパーカーが菜摘を包み込んで風を切っている。
菜摘は今まで自転車を漕いでいた事をすっかり忘れていた。
祐一はちゃんとデナーも予約してた。浜離宮に着いた。
「今日 一日 お疲れ様 疲れちゃった。 ?」
「うーん 楽しかった。」
「菜摘さん 時間大丈夫?」
「何が?」
「デイナー 予約入れているんだ。どうですか?」
「もちろん 。OK よ。」
「うあー 良かったー。菜摘さんの家の近くにした。代官山にあるイタリアンの店 カプチーノ。菜摘さん イタリアン大丈夫?」
「大好物 ふふふふー」
「よーし 行きましょう。」
食事をしながらお互い今日の感じた事を話し合い盛り上がった。
「僕が感じ見た事から話すね。3つ4つキィーポイントがあるんだ。
1つ目は僕の仮説による北斎最後、あの大きな作品を描いたのか?無信心論者の北斎が西新井大師總持寺の依頼を受けたか?まー、これには阿栄が絡んでいると推測してる。
2つ目。何故 北斎の実家 父親と合葬したか?阿栄がこの流れ時居たのに?。
3つ目。その時の北斎 と阿栄の金銭的状態。
4つ目。北斎の弟、崎十郎とその娘白井多知が絡んで来たのか?その時の阿栄は何をしてたのか?。最後描いた絵から観てこの絵はツインで幻の絵が存在すると僕は確信を得た。」
「私も祐一さんと同じ感触を受けました。1番感じたのは金銭的な問題と何か当時のある宗教的なトラブル。分からないけど強く感じたの。」
「そう 菜摘さんの考えは鋭い。阿栄の存在と阿栄の行方不明、阿栄の尼さん説。みんな謎の絵が絡んで見えてくるだ。」
「阿栄さんにその時、闇の何かの脅迫が迫っていたんでしょか?。」
「菜摘さん 何か面白くなって来ましたね。」
「エっえー 早く謎を解きたいです。万が一、幻の絵が存在し発見したら私の発掘ハンターとしての魅りにつきます。」
「国宝級ですね。どんな絵何だろ?」憶測と仮説で話が尽きるとなく続いた。
「キーポイントを一つ一つ潰して行きましょう。何か出て来まよ。」
「私も私なりに調べていきます。連絡しますね。」
「僕も会社の古書をもう一度目を通して調べてみるね。」二人は握手して検討を期待した。
「ご馳走さまでした。美味しかった。また来ましょね。」
「今日 楽しかったです。菜摘さんと話してて僕の仮説に自身が持てました。ありがとう。」二人は店を後にして家路に向かった。翌日 祐一は古物図書室に居た。
(江戸時代の上野から浅草周辺の古地図と現代の地図を照らし合わせ、この辺のお寺、 神社、宗教的な 建造物がどの位有ったのか?そして庶民の民家。江戸の中心に有る商家(大店)までの道のりは浅草を最後に居住を構えただろー 北斎、阿栄、もう歳でこの辺りから行くのに半日以上は掛かっただろう。そう考えるとまず、北斎は住居で製作に専念してたろー。阿栄が北斎のプロジュウサーとして自分の意思のまま単独行動し意志決定してたと思う。北斎が亡くなって自分も老いていくのと、不安から親戚に頼る。それが姪で有る白井多知。北斎の次男、他家に養子に行った崎十郎とその娘白井多知。みじかにいる身内の中でも父と共に尊敬してくれてくれてた、この二人に相談したと思う。その相談の内容がこの謎を解く鍵になる?この最中に阿栄が消える。これだよ。問題は?
うーん ここで詰まってしまう。この事を菜摘さんにヘルプ求めよう。)
この時タイミングよく菜摘さんからメールが来た。
(その節はありがとうございました。お忙しいと思いますが今週の私の日程です。明日から仕事で京都に行きます。その後、実家の琵琶湖に土日に寄ります。祐一さんお時間が有りましたら琵琶湖に来ませんか? いろいろ案内しますよ。少し琵琶湖の綺麗な空気を脳に注入してリフレッシュしたらいかがですか?ご返事待ってます。)
(うおー 何て素晴らしいメールだ。もちろん、行く行く。)
(仮説と想像が行き止まりです。相談したい事がいっぱい有ります。リフレッシュしたいです。是非 行きたいです。宜しくお願いします。)
(あー良かった。断れたらどうしようと思った。それじゃ今週の土曜日AM11時に新幹線大津駅で迎えに行きます。)
(お願いします。着いたら電話します)リフレッシュ出来る。楽しみだ。菜摘さんの実家 骨董屋さんて聞いているけどどんな街何だろ。ご家族と会うのか?エッこれってここまで進んでいるって感じ?バカだよなぁ 俺って考え過ぎだよ。だけどもしかして?
祐一の心の内は嬉しさと動揺を隠せない。
土曜日当日東京駅から新幹線ひかりで名古屋までそれからこだまに乗り換え大津駅へ。さすがに早い2時間足らずで着いた。スマホから電話
「着きましたよ。どこで待って居ればいいの」
「さすが時間に正確ですね。祐一さんは 」菜摘の弾んだ声に祐一はホッとした。
「私 車で来てます。駅前のロータリーにタクシー乗り場が有る先で待ってます。」
「はい 今向かってます。あっ 居た居た」菜摘は車から降りて手を振ってくれた。
「会えたー」祐一は菜摘をハグした。突然の祐一の行動にちょっとびっくりした様子の菜摘だ。
「あー。ごめんごめん。なんか感激しちゃって、迎えに来てくれてありがとう。」
「祐一さんって面白い! 先週会ったばかりでしょう。」
「そうだったね。はははー」
「さー行きましょう。乗って乗って 」祐一は助手席に座った。
「東京から新幹線に乗ってしまえば早いよね。いつも感心するんだ。」
「そう、この便利さを感じるのはこの時だけ。」
「菜摘さん 車は運転するんですね。」
「失礼ね。 私だって 上手いでしょ。祐一さんみたいに東京に住んで居る人には分からないと思うけど。地方は車が無いと何処にも行けないのよ。執拗不可欠
「そうだね。分かる。分かる。大津の市街地まで大分あるの?」
「ううん 近いわよ。滋賀県って大きな街は琵琶湖の周りにあるのうちのまちは京都に1番近近い所に位置して居るのよ。歴史的に京都とは深い繋がりがあるのよ。」
「戦国時代以前からもそうだっけど時代の中心にあるよね。」
「以前は旧市街ちにお店と住まいがあったけど兄がコーヒーショップをやるにあたって琵琶湖が見える今の場所に移ったのびわ湖浜って言う場所にね。琵琶湖が一望に見える素敵な場所よ。びわ湖浜
「そうなんだ。菜摘さんは東京の大学に行く前までコーヒーショップを手伝っていたんだね。」
「そう おじいちゃんと父さんに骨董の見分けも教わってね。今はね。兄が骨董のお店とコーヒーショップをやっているの。」
「エッエ お父さんは?」
「あー5年前に亡くなった。それで兄が全てやってます。」
「あっ 失礼 ごめん。」
「兄も骨董の方は大したもんで業界じゃ結構名が知れているのよ。私より全然上。
「へー すごいなー骨董一家。お母様は?」
「今 体調悪くして入院してる。」
「大丈夫何ですか。」
「順調に回復に向かっているんで近く退院するは運びなっているからホットしています。」
「あー 良かったですね」
「ありがとう。これからお店に向かうね。住所は浜町って言う所。 ほら 琵琶湖が見えて来た。じきよ。」
「おー 琵琶湖だ。やっぱ 近くで見るとでっかいなー キレイですね。」祐一は来て良かったと思った。お店の駐車場に車を入れた。
「菜摘さん ステキなロケーションですね。この景色を見ながらコーヒーを飲む贅沢だ。」
「ありがとう。私も気にってます。お店に入ってこの景色を見ながらコーヒーを飲んで下さい。」祐一は今から会うであろう菜摘の兄に胸の高鳴りを覚えた。
「いらしゃい。 遠い所ありがとうございます。 疲れたでしょ。菜摘 席に案内して。」
「初めまして 。北村 祐一です。」
「兄の武虎です。凄いごっつい名前でしょ。名前はこわいけどすごく優しいのよ。ねっ。はははー」
「遅くなりました。吉澤 武虎です。よろしくお願いします。妹とから聴いて居ります。歴史マニアだとか? はははー」
「いやー オタクですよ。」
「やっぱり 可笑しなお人だ。はははー。失礼しました。 あっ北村さん 飲み物はコーヒーでいいですか?」
「菜摘さんから聞いてます。自慢のコーヒーをお願いします。」
「はい 分かりました。 今日明日とゆっくりして行って下さい。菜摘が案内しますから。」
「ありがとうございます。お構えなく。」菜摘は二人の様子を見て安心したようだ。
「二人のお堅い挨拶は後にして祐一さん ここに座って、 ほら 」
「やっぱり 菜摘が言ってた通り 最高のロケーション 素晴らしいに尽きるね。」
「でしょ イバっていい。えっへん。はははー」
「いい いいよ。お客様も満足するよね。」祐一は遠くを見て何を思っているだろうか?
「祐一さん 大丈夫 一点を見てて。」菜摘には幸せの顔に見えた。
「うっうん 菜摘さんはこの地で育っただなーって思って感激しちゃった。」
「何か 可笑しいよ。」挽きたてのコーヒーが出来たみたいで
「菜摘 出来たからお出しして」
「はい ありがとう 兄さん 」兄が菜摘に目くばりして二人は微笑む。
「祐一さんお待ちどうさま。 飲んでみて」
「ありがとう。 お兄さんありがとうございます。」祐一は口にカップを近ずけ柔らかい湯気と共にコーヒーを口にした。
「うーん 美味しい。これぞ挽きたての真髄 うまい。菜摘さん美味しいよ。 お兄さん美味しいです。」兄の武虎にも笑顔溢れた。
「この景色にマッチングした香りでしょう。」
「うん 言える。いいね。このひと時。リフレッシュに最適だ。」
「誘って良かった。嬉しい。」
「頭がフレッシュなった事でメールした件なんだけど。古書や古地図を見てる内やぱり菜摘さんの考えが正しいと思って来んだ。菜摘さんが言ってたでしょ。当時の宗教的事が絡んでいるって」
うん 今検索中 今はこの話しは後でもっと祐一さんにリラックスして貰いたいの」菜摘の意味深な言葉に動揺してる祐一。
「ごめん、ごめん 空気読めずすいません。今回は仕事に抜きの旅なんだ。」
「そうよ 分かった。これから一応 琵琶湖周辺の観光。親戚が営んでいる老舗旅館に泊まります。宜しいですか。今日は私のスケジュール通りにさせて貰いますね。いいですか?」
「はい もちろん。お任せしますのでよろしくお願いします。はははー。」二人はこのひと時を楽しんだ。兄武虎も二人の様子を見て何かを察したに違わない。
お店を後にしランチを食べる為菜摘の知ってる立木音楽堂周りの自然な景色とクラシックの音楽聴きながら軽い食事し。びわ湖大津館で大津の歴史を学び 大津の名所古跡を訪ねた。
「私も大津の事知っているつもりだったけど今回訪ねて始めて知った所があった。情けないよね。」
「そんなもんだよ。 灯台下暗しだよね。」大津だけ回っただけでこんなに有るのに琵琶湖周辺は歴史に埋もれているから時間が全然足りないね。」
「地元の歴史 勉強しなくては」
「お互いにね。」いろいろ見て回り夕方になってしまった。
「旅館の女将さんが心配してるから宿に向かうね。」
「分かった。」
「今行く旅館は100年以上続く老舗旅館 鍛冶屋 温泉は 無いけど木造の昔を感じられるそごく落ち着く宿って感じ。」
「僕 そ言う木造作りの旅館好きです。落ち着いて物を考えるのも休むのにも僕には合ってます。味がありますよね。」
「私も同感。堪能して下さい。」旅館の駐車場に車を止めて旅館の玄関に
「菜摘さん いい! 体が自然に引き込まれてしまう見たい。何、この感じ。」
「ここを選んで良かった。祐一 さん入りましょ」女将らしき人が迎えてくれた。
「吉澤さんのお嬢さんよくいらしゃいました。まだ小さな時お父様とよくおいでになりましたね。もうご立派なお嬢さんになって良かった、よかった。」
「ご無沙汰してます。その節は父が大変お世話になりありがとうございました。今日はお世話になります。連れは東京の友人の北村 祐一さんです。宜しくお願いします。」
「はい、はい 祐一さん うーん お嬢さん様 、とてもお似合いですね。フフフー」
「あっはい いえ 友人です。」菜摘は少し顔を赤ら顔になり照れた。祐一はまんざらの顔し顔をほころんだ。
「どうぞ お部屋に案内しましょう。」
板の間の廊下を歩き、その時の足の感触。板の間の軋む音。何とも言えない心地よい気持ちに誘われた。
「菜摘さん 時代を感じさせる建物。癒されるね。」菜摘も同じことを感じたに違いなかった。
「この雰囲気で初めて体で感じた幸せ。私も泊まちゃうかなぁ。」
「エッエー いいの 嬉しいけど」二人は一瞬、顔を合わせた。この短くて心では長い時間を二人は何を感じたのか?
「冗談です。ここで夕食してその後葛飾北斎の謎 解きを話し合いをします。いいですか。」
「はい 了解です。」菜摘は時々びっくりする事を言うなーと祐一は思う。
一瞬でも二人はその気持ちになった事は言うまでもなかった。
部屋入ってそれぞれお風呂に行った。部屋に運ばれた近江料理にしたつつみし満足した。
「やっぱり旅館は自分の部屋の座敷で食べるのが一番合うよね。久々だよ落ち着いて割烹料理を味合うのは何かお酒も進んじゃう。」
「そうね。だからと言って飲みすぎないようにね。酔ったら知らないですからね。」
「介護してくれないんですか?冷たいなー」」
「安心してます。だって祐一さんってあまり飲めないじゃないの」
「あー バレていたか。さっきから言おうとしてただけど 菜摘さんその浴衣すごくお似合い。色ぽい。」
「おかしな事想像しないでよね。想像豊かな祐一さん。はははー」
「大丈夫だよ。ちゃんと理性があるから心配しないで下さい。 ねねねっ 観た。何気なく飾ってあった絵。」
「どこに?」
「この部屋に来た廊下の手前にあったでしょ。あれ確かに葛飾北斎の版画絵。多分 北斎の東海道五十三次 近江八景栗津の晴嵐の版画絵。近江ってこの辺でしょ。」
「そう 大津のこの辺を指すの えっ 本当! 見逃した、ごめん。今 観てくるね。」
うん。 行っておいで。」これは偶然だろうか、北斎とは縁がある。。しばらくして菜摘が部屋に戻って来た。
「ねねえ 本当だった。ついでに女将さんに聞いて来た。本物だって。先先代の旦那が気に入って買った見たい。すごい偶然ね。」
「さっきも考えてただけどこれって北斎が謎を解けって言ってるみたいだ。」
「私もそう思うわ。」
話も進みお酒のせいでうとうとして来た祐一。
「祐一さん 今日は満足してお酒も入って眠くなった見たい。これで今日はお開きにいましょう。」「疲れたみたい。ごめんね。布団を引いて貰い寝ます、」
「そうね。 明日は一緒に東京まで帰りますから今日はゆっくり寝れ下さい。明日は11時半に迎えに来ます。大丈夫 聞いてますか?」
「聞いて ますよ。明日一緒に帰れるからすご く嬉しい。ありがとう。」
「ちゃんと聞いて居るんだ。安心した。帰りにもう一度あの絵を見て帰るね。」
帰る菜摘を呼び止めて祐一が立ち上がり菜摘のそばに寄ってハグをして唇に軽くキスをした。
「ありがとう。祐一さん じゃあかえるね。おやすみなさい。」菜摘はこの出来事に動揺したが嬉しさの方が優って微笑み返しして部屋を後にした。
翌日 菜摘が時間通りに迎えに来てくれた。
「おはよう。祐一さん良く寝られた。」
「おはよう。バッチリ寝た。頭がすきっり。充電フルです。」
「菜摘さんは?」自分は昨日、菜摘との帰り際の行為症で寝つきが悪かった。こんなことは言えなかった。菜摘心境を聞きたかった。玄関まで女将さんが挨拶に来てくれた。
「北村さん ゆっくり出来ましたか?」
「はっはい 。お陰様でゆっくり出来ました。お世話になりました。」
「お嬢様。お泊りなさらなかったんですね。」
「女将さん。朝から冗談言わないで下さい。」
「あーら ごめんなさい。ふふふー」
それじゃあ、失礼します。ありがとうございました。」
「店に寄って車返すね。」菜摘は早々と話を切り替えた。
「お兄さんに挨拶するからちょうどいいよ。」
今回の一泊旅行 。なにを意味するものか?祐一は考えて見た。菜摘は帰りの新幹線でもっぱら仕事の話に夢中だ?祐一は菜摘との小旅行を有意義に感じてた。菜摘のあっけらかんの明るい性格は相手の異性には意味深である。話し疲れて来た菜摘は東京に近ずく時、本音が出て来た。
「祐一さん 今 悩んでいるの?」珍しく弱音が出た。
「何! 珍しいね。」
「うん 大した事は無いだけど。うちの係長が週刊誌の取材を受けて来たの」
「えーどんな?」
「祐一さんも知っていると思うけど官庁では珍しい仕事でしょ。係長がわれわれの仕事を世間にアピールするのにいい機会だと思い受けちゃった見たいなの。」
「へー いいじゃないの。いいアピールになるんじゃないかな。」
「私達の主志が世間に分かると思うのは分かるけどねー。」
「なーに悩んでるの」
「違うのよ。その週刊誌の記事が問題なのよ。」言いにくそうに菜摘は続けた。
「何 何?」
「あのね。(今週の話題の美人)って言う記事なのこんなのはいそうですかって受けられる?そんなに私ナルシストじゃないもん。」
「なーに言っての菜摘さんは世間で言う美人だよ。とても綺麗な人。大丈夫 僕が保証するから」
「ありがとう。 祐一さんが言うなら受けようかな。」
「あー 週刊誌に載るの楽しみだ。いつ頃出るの?」
「うん 係長がもう受けて記者に内容を話して有るから私の返事次第 。2週間後かな?」
「写真撮ったの?」
「決まれば直ぐ見たい。」
「切る抜いて部屋に貼っとこ。」
「やだー 。 今度、二人一緒の写真撮ってその写真にしてよ。」
「おー またまた、本当。」また菜摘の意味深な一言が出た。
二人でいる時間がこの2日間長かった為、今日の旅の終わりには二人共別れを言う前にお互いに一言を期待していたが言葉少なく少し寂しそうに見えた?言い出したのは菜摘だった。
「明日 仕事が溜まっているから今日は早く帰りましょう。」 小声で菜摘が言った。
「そうだね。そうしよう。明日はまた古地図を見て神社仏閣を調べて見る。何か有ったらメールするね。」
「お願いね。」二人はそう言って別れた。
祐一の仕事は単純に見えるが古書の扱いは年表を理解しないと整理出来ない仕事でもあった。職場に居ながらその時代形成が分かる。ただ人災 (整理戦争、火災)自然災害(地震)で消滅して行く建物そして復活して行く建物。古文書から読み取れる建物はごく少ない。浅草地域は江戸の大火、関東大地震、東京大空襲、これらの災害でほとんど消滅して居る。祐一は両国から浅草附近に的を絞り1つ 1つ自分の仮説通り念入りに調べていった。
旅行から帰ってから一週間経った。祐一はメールをした。
(どうですか?週刊誌の取材終わりましたか?)
(連絡が遅れてすいませんでした。昨日今日で大筋合意してます。ただ週刊誌側が見出しに発掘ハンター 葛飾北斎の幻の絵。探索中。うちの係長が祐一さんと調べている北斎の事話しちゃているみたいでこの見出しにしたいとゆずらないの、これは祐一さんが調べてる事で私には何も言えない。どうしたらいいか判断しかねます。)
(悩まなくていいよ。僕は構わないから心配しないで下さい。)
(ありがとう。安心したわ。じゃあ進めるね。)
(OK 自分の思うようにして下さい。」
(あっ 週刊誌の名前言ったけ?)
(知っています。毎朝週間でしょ)
(知っているの?)
(分かるよ。このコーナー 読者が多いだ。楽しみ)
(祐一さんって何でも知っているのね。)
祐一はこの週刊誌の記事でこれを観た所有者、関係者の全てが繋がってくれればいいなぁと思った。これはちょと甘い考えでもあった。2日後菜摘から電話が
「祐一さん 今日 夜 時間ある?」
「あるよ。いつでも空いてますよ。どうした?」
「週刊誌の記事 ゲラ刷りが出来た見たい。祐一さんに目を通して貰いたいのいい。」
「いいよ。 それじゃあ 食事する。久々に?」
「いいわね。ここんとこ忙しかったからなかなか会えなかった。楽しみ」
「それじゃあ 会うの17時にお店は僕が選ぶね。」
「お任せします。」数時間後メール。
「食事の場所決まりました。神楽坂 フレンチで 店はド。ミールルパ 19時。飯田橋神楽坂交差点で」
「了解」
二人はワインを飲み料理を楽しんだ。
「祐一さんこんな素敵なお店で食事 ありがとう。」
「これはこの間のお返し 小旅行楽しんだからね。」
「気ずかいありがとう。そうそう これがゲラ刷り 見て、この文面どう。係長が話した事書いたみたい。ここまで書いて祐一さんの調査に支障無い?」祐一は気になる文書があった。
「うーん 北斎の事は良いとしてこの文章 (全ての宗教会に異変)この記事何かしっ掛かるだ。この文章は記者のアレンジでしょ。」
「そう 私ここまで言って無いし。係長の言い方で記者が面白く書いただろーと思った。」
「専門家が読者にインパクトのある様に書いただね。これで良いんじゃないかな?読者が興味を持ってくれれはこちらもやりいい。」
「祐一さんが分かってくれれば良いわ。あー良かった。」
「じゃあ 乾杯と行こう。」二人は話があって乾杯した。
「菜摘さん こん写真すごく美人。週刊誌の方も目があるね。何か 自慢したくなっちゃう。」
ゲラ刷りの菜摘の写真を見て改めて美人で綺麗だと思った。
「ありがとう。嬉しい。」
「今 古書と古地図を調べ関係者の焼き残った神社仏閣を確認しているんだ。北斎亡き後歳をとった阿栄には遠くには行けない。頼るのは次男崎十郎とその娘多知に託すしか無いと思うそして阿栄が突然の行方不明。居住地と関係寺院をくまなく探し1つ1つ明らかにして行こうと思っているんだが決まったら菜摘さんの出番 神社仏閣 を菜摘さんの知名度で明らかにして行く予定。」
「昔の事だから決めるのは大変でっしょ。」」
「うん。 後は僕の古文書を元に仮説を信じて実行していきます。」
「いまを生きている私達にとって仮説って大事だと思います。」菜摘との話しは果てしない過去の古い物証を探し求めて止まないロマンがある。
帰る時は菜摘の住んでいる中目まで送って行くのが自分には決まりになっている。この一線を超えるのはいつなのか?祐一は妄想に心を奪われていた。
菜摘は朝 係長に報告してゲラ刷りの確認をして貰い出版社にゴーサインの連絡した。
菜摘も祐一と同じ考えをし仕事上の期待をしてた。菜摘の仕事も地道な積み重ねで結果を出し日本の文化財海外流出を食い留めて来た。自分の仕事に誇りを持ている。
菜摘の文化財課の部所は少人数で運営していて世間にはまったく知られていないが今回の週刊誌の記事で公になるので認知されてしやすくなるなと思う。どの様な反響を呼ぶか内心楽しみにしていた。
菜摘は週刊誌の発売日まで内心落ち着かない毎日を送っていた。
今日はいよいよ発売日。菜摘は出勤前。駅のキオスクでその週刊誌を買って手に取った。その場で観たい感情が先立ち、何かそわそわして周りを気にしてた自分に気ずいた。駅は出勤する雑踏するホームの片隅で菜摘はそのページを開いた。まず目に飛び込んで来た活字。そして自分の写真。(おー 目立つ。)『文化財。美人発掘ハンター』真っ白なシャツに紺のスーツを着て自分のデスクにパソコンを前に座る写真。菜摘はこの写真は読者にどーう映るのか心配してた。
観を終わって周りを気にして雑誌をバックに入れ会社に向かった。周りの目線が気になり始め、菜摘の意識過剰な自分を認識した。
(恥ずかしい。)
会社に着くなり会う人、会う人が会釈し微笑みを浮かべていた。菜摘は余計に皆んなの視線が気になってうつむき加減に小走りで部所に駆け込んだ。
「おはようございます。」
「おはよう。良く写ってたね。良かったよ。」真っ先に係長が声をかけて来た。他の皆も声を掛けて来た。
「係長 怖かったー。こんなに早く皆んなが観てくれているなんて意識過剰かも知りませんがこんなに視線を感じた事が無かった。汗だくです。もーイヤ。」
「君には申し訳ない無いがこれ以上に世間に反響が有ればうちの課もメジャー級。知名度アップ。仕事もやりやすくなるよ。ははははー」係長の満足な笑い声。
「うーむ 係長 私が大変なんです。はははー」菜摘もまんざらでもなかった様子だ。
その時、メールが 祐一からだ。
(菜摘さん 観ました。とても菜摘さんらしく写ってますね。とても綺麗ですよ。これなら反響も大きいから仕事増えますね。僕にはあまり増えるとこまるけど?会う時間が無くなるからね。
今日。世間にデビューのお祝いに食事でもどうですか?」
「祐一さん ありがとう。食事。行く行く。」
菜摘は今日一日いつもと違って慌ただしく時間が過ぎた感じがする。早く祐一と会っていつもの様に話しをしたい。菜摘に恋心がはっきり芽生えて来た。
恵比寿に有る待ち合わせの居酒屋に着いた。
「祐一さん遅れてごめんね。」
「大丈夫。」
「もーう。やだー 朝から視線を感じっぱなし。自分でも意識過剰かなと思うけど、本当に今までと違うの」
「菜摘さんが美人だからさ」
「そんなんじゃないの 今日一日疲れたわ。あー言う雑誌の影響って凄いのね。うちの係長何ってこれでうちの課もメジャーになるかもね。何って言うのよ。」
「それはそうだよ。発掘ハンター何って世間では知られてないからね。これから仕事が増えるじゃない。
「確かに増えると思う。昔からある自分家の秘蔵品を鑑定の意味で依頼が多くなると思う。私設の鑑定士に頼むと結構費用が掛かるけどうちは公の機関だから依頼者も安心して頼めるんじゃない。」
「確かにそれはあるね。それが良いか悪いか、分からないけど世の中に埋もれている国宝級の作品が発掘されれば菜摘さんの目指すものに近ずくじゃないかな?」
「そうなの 眠ってる作品の発見に繋がれれば今回 の雑誌に載せた事はいいと思うの。
「うん 正解。」菜摘の仕事が増えて菜摘の身体の事が心配になった。
「今日 ここへ来るまでに問い合わせの電話がもう、20件も有った。皆んな鑑定依頼ばっかし」
「そう ガセネタも多いと思うが中にはピンポンと言う物もあるよ。受ける時はいつ頃から有ったか?言い伝えは?品物の保存状態 諸々の事を最初から聴いてPCに打ち込んで行かないと混乱するからね。」
「やーね。 まだそうなった訳じゃないから」
「良い問い合わせが有るといいね。 そうそう 我々の本題に戻していいかな。」
「ごめん ごめんね。本題に戻そう。」
「うん まだそんなに調べた訳じゃないけど 北斎が晩年居住してた地域と娘 阿栄が居住してた地域 。両方の関係ある人物。神社仏閣。を古書と古地図を調べた。僕なりの仮説にぶちあったた。二人の年齢 と二人の金銭的執着の無い事。北斎は超高齢だから友人関係もいないと思うから相談する人物も当然いなかった。あれだけの作品を手掛けたのは北斎は無思想 無信心だから出来たと思うんだ。晩年はほとんど阿栄任せだったと思う。ここが今回の鍵になる仮説。聴いてくれる。」
「うん うん 聴く聴く 続けて。
「僕の仮説だよ。僕達があるだろうと思う。北斎最後の作品。この作品を世の中から遠避けようとした阿栄。多分父親そして偉大な絵師北斎の名誉を守ろうとしてある行動に出たと思う。それはその作品を永久に隠す事が阿栄の最後の仕事だった。高齢の阿栄も一人じゃあ無理と判断して昔から自分の事を大事にしてくれてた北斎の次男の娘、多知に相談したと思うだ。ちょと飛躍した仮説だが、この事がある宗教者の耳に入り、阿栄が行方不明になった。
この事を引き付いた多知が叔母阿栄の意識を受け継いた。 まー こんな事。」自分の仮説を菜摘に一気に話した。その満足感を祐一は表情にでした。
「とても いい仮説。納得したわ。」
「ありがとう。」
「即ち 祐一が言ってた。点 と 線 に繋がる所に有ると言いたいでしょ。」
「そうなんだ。菜摘さんも忙しく なると思うけど1つ 1つ しらみ潰しに当たって見たいんだ。」「分かったわ。」
「これまとめてみたんだけど。」
「うあー 随分あるのねー。」
「マーカーで印をしてある所から調べるから、ここで菜摘さんの肩書きが必要なんだ。僕一人が訪ねても話しを聞いてくれそうもう無いから」菜摘の文化省文化財保存課吉澤 菜摘 の肩書きが必要になって来る。菜摘もこの事は初めから承知している。
二人は話に夢中になり注文した品物が手付かずになっていたのに気付いた。
「菜摘さん冷めちゃたね。ごめんね。食べよ。」ビールを飲みながら菜摘は今日の事で食欲がわかなかった。
「食欲なさそうだねー。」菜摘の箸が進まない様子見て祐一は思った。
「うん 考える事がいっぱいでごめんね。」
「分かってるよ。自分もそうだから、あんまり根を詰めない様にリラックスしてかまえよう。」
「ありがとう。」菜摘は明日の事が想像出来た。今日の食事を早めに切り上げ帰宅した。
次の朝。会社に出勤すると予感が的中した。
「おはようございます。」出勤してた仲間に挨拶もそこそこに電話が鳴りっぱなし
「係長 おはようございます。 大変な事になってます。」出勤して来た係長に菜摘は助けを求めた。
「吉澤君 思ってた通りだね。」係長はニコニコして話し掛けて来た。
「係長 電話を受ける前にスタッフに注意事項二、三伝えていいですか?」
「分かった。皆んな一時電話を受けるのをやめて吉澤君の話し聴いてくれ。」混乱して、何を聴いて良いか分からないスッタフに言いたかった。それは昨日祐一が言ってくれた事を思い出した。
「係長 皆んながやに雲に電話を受けても今後に繋がらないので受ける内容を決めてPC入力してもらいます。」昨日の祐一が言ってた通りに説明してみんなに納得して貰った。
「吉澤君が今言った事を注意して電話を受けて欲しい。分かったですか?」その間も電話は鳴りっぱなし。この課 始まって以来の出来事になった。
「はい」
「はい 分かりました。」
「了解です。」スッタフ全員了解し電話を受け始めた。
全国からの電話で1時間ですでに20件を超えた。祐一の言った通りになってしまった。受けた以上、公の立場なので調べて行くのはしょうがないと思った。菜摘のゆうつが始まった。
「吉澤君 凄い反響だ。嬉しい悲鳴!」係長はのん気の事を言ってると思った。
「係長 さっき言った通り 中には鑑定依頼 またガサネタが多分多いと思われます。この中から本来の目的の仕事を見つけていきます。」
「吉澤君 大変だけど頼むわ。」
「はい… 頑張ります。。受けた依頼の整理が大変だ。」
「祐一さん 今 大丈夫?祐一さんが言った通り朝から電話が鳴りっぱなし。大変な事になっているの。昨日祐一さんに言われた通りマニアルを作って依頼受けているの。他に何かある?
祐一に今の現状を電話で知らせアドバイスを受けたかった。
「おはよう。やっぱり来たか。うーん そうだね。受けた内容にこっちの判断でランクを付けて 。例えばABCD こうして置けば後で簡単に仕分け出来るからね。」
「あー そうか そうして観るね。ありがとう。じゃ 後で連絡するね。」あんな雑誌に出たばかりにと菜摘は弱音を口にした。そのうち雑誌の効果も治るだろうと考えた。
今日の受けは3時迄にした。終わった時点で153件の問い合わせがあった。
「皆さんお疲れ様でした。大変な事になってしまってすいませんでした。明日から依頼受け時間を制限したいと思い係長と相談して決めます。後で発表します。」このまま依頼を受けていくと通常の仕事に支障を来すと思い時間制限を係長に打診を提案を考えた。
「係長 今日の依頼件数153件ありました。全部が全部仕事に繋がる訳はないんでこの現状げは明日から依頼受け時間を制限したいと思いまして相談したいのですが?いつかは下火になるのは分かってますが多分暫く続くと思います。通常の仕事に支障来さない様に朝 10時から12時までとしたいのですが係長の考えは?」
「うーん そうだな 今日の現状見ても考えないとなー まして時間的に依頼者から詳しく聴けないからなー」
「そうなんです。受けて見て痛感しました。詳しく聴かないと判断出来ないと思います。」
「そうなんだ。漏れる物が有るかもしれないからなー。 うーん 分かった。受け付け時間はその時間帯しよう。」
「はい分かりました。スッタフの皆んなに伝えます。」
菜摘は今日受けた依頼のランク付けの内容を再確認し対象外をはぶく作業に取り掛かった。
普通に考えるとこの種訳はこの書類だけでは不可能だ。だが吉澤 菜摘にはいままでの経験と直感と仕事の誇りを持っている。まやかし物か本物か判断出来る才能がある。係長他スッタフのみんなも認めていた。
「今日は残業かな?皆さん先に帰って下さい。私 書類をまとめますからどうぞ。」
「じゃあ 帰るね。お疲れ様」
祐一からメール
(仕事 どうお? 進んでる?」
(大変な依頼件数だった。153件。今 ランク付けを再度目を通しているところ。)
(あー 大変だ。 手伝いに飛んで行きたいよ。)
(ありがとう。祐一さんの言った通り最初からランク付けしてたから良かった。今日は残業です。)
(大変だけど頑張って。帰りは遅く何ない様に)
三日目から大分落ち着き20件。4日目が26件。5日目18件。落ち着いた様だわ。この数の方が濃密になるわ。中には興味がある依頼が有るわね。場所は珍しく福島県。西の方が多いのに福島県会津。(内容は祖父が大事にしてた巻物と日本刀。最近祖父が98歳で他界しました。遺品の中にこの品物が出て来て巻物の内容は分かりませんが最後に徳川家康と言う字が読み取れます。うちの家系はずーと昔徳川家の家臣だったそうです。良い機会なので調べて見たいと思って電話しました。宜しくお願いします。)これは本物見たいね。近いうち行きましょう。
えーと うっ これは すごい 葛飾北斎関係だ。鎌倉の尼寺 離昇院。(うちのお寺さんは300年の歴史ある尼寺です。最近古い書物を整理してましたら貴方様が御調べなさっている北斎の三女阿栄様からの手紙と見られる書物が出て来ました。今回 何かの縁だと思い電話をして見ました。何かの関係が有りましたらと思い、もし参考になるかと思い?調べてみて下さい。)
これって凄い前進になると思う。祐一さんに話さないと。もう一件北斎関係の依頼。これは一般の人からの依頼だわ。内容は(浅草に古くから住んでいるものですが近いうち都市計画でうちを含めてマンションになる予定で今有る家を取り壊さなくてはいけないので家の中を整理してたら他界した祖父書類箱から古い書物が出て来て開けると何やらいろいろ書いてあり私どもでは解読出来ないので貴方様に調べて頂きたいと思い電話しました。宜しくお願いします。)
これって2つとも祐一さんが喜ぶ依頼だわ。何か凄い事になって来たわね。)
夢中になって調べている内に11時になってしまってた。あわてて仕事を終え会社を後にした。今日は良い収穫が有った見たい。今日は遅いから明日祐一さんにこの事を耳に入れておこう。
菜摘は遅くまで仕事したのに帰宅の足は軽やかだった。これは全てが満足する内容だと思ったからだ。
朝。真っ先に昨日の結果を祐一に連絡した。
「この二件 凄い有力な情報だと思わない?」
「そうだね。菜摘さんの努力した結果だね。我々が逆立ちしてもこの情報は得られないね。調査次第では僕の仮説の変更しなくてはいけなくなるね。ありがとう。」
「大切な情報だわ。調査に行く予定を組まないと行けないわね。祐一の行く所も含めて日程を組みましょう。」
「そう 僕の方も今回絞って20件ぐらいかな?今んとこお寺さんだけだけど。」
「整理して片ずけて行こうね。何か 本当に現実おびてきたわ。楽しみ」
「会社の方は依頼 落ち着いてきたの?」
「うん 大分ね。メディアって凄いのね。ネット世界もスピードで情報が往き来するから怖い面もあるけど今の社会では絶対必要になって来た。だけど私達の仕事は地味だけど足と言葉だよね。足で稼いで言葉で説得する。これが後世に残す事が出来る手段ですね。はははー。」
二人は電話口でお互いに成果を褒めた。
菜摘は係長に今後 調査に行く所を報告し許可を貰った。今までの三倍の仕事の量になったが嬉しい悲鳴だ。
週刊誌が出てから10日が経ち菜摘の仕事はどんどん増えて行った。外に出て調査する時間が足りない。菜摘の心の中に焦りを多少出て来た。そんな中 一通の封書が届いた。菜摘は何気なく封を開けた。その文章には葛飾北斎についての事がしたためてあった。
(貴女が週刊誌に述べた北斎最後の作品。幻の遺言絵。忠告。これを世の中に出すな!)
「何?この手紙 私達が調べてる事。知ってるかの様に書いて有る。そんな事絶対無いわ。マニアがやがらせの為送って来ただろー。」
菜摘はあんまり気に止めなかった。この事が後でつじつまが合う様に なるとはいまの菜摘には分からなかった。
夕方 祐一から電話が有り日程について話し合う為、会う時間を作ってほしいとの事。
「日程 出来た。係長に了解も貰っているから今日でもいいよ。それじゃ いつもの所で6時半 にいい。?」
「 大丈夫? ありがとう その時間で了解。後で」
「あっ それから今日 変な手紙が会社に届いたの?後で見て。 」
「分かった。後で見てみる。」
いつものお店赤坂に有る居酒屋狸。少し待ち合わせの時間に遅れた。
いつも混んでいるが不思議に二人で座るテーブルが定番の席。そこに菜摘が待っていた。
「ごめん 遅れちゃって」」
「大丈夫よ。」
「毎度 ありがとうございます。」店員が注文を取りに来た。
「もー常連になったかな?」二人は顔を見合わせ笑う。
「最初 生ビールでいい?」
「うん」他の注文をして生ビールを待った。
「お待ちどう様。どうぞ」美味しいそうな生ビールを手に持ち
「乾杯 お疲れ様でした。雑誌の反響って凄いよね。」二人は喉を鳴らし生ビールを一気に行った。「喉が乾いていたからおいしぃー。」菜摘には珍しく生ビールを一気に飲んだ。
「最初の一口が最高だね。菜摘さん、よっぽど喉が乾いていたんだね。」
「うん だってここんとこ毎日電話の応対で喋っり通し、喉もおかしくなるわよ。」
「嬉しい悲鳴だね。」
「やだー うちの係長みたいに言わないでよ。本当 大変なのよ。」
「ただの冷やかしや、ただの鑑定依頼が多いと思うけど、その中からお宝を探すのも面白いよね。他人事でごめんね。だけど手伝いに行きたい気持ちはいっぱい有るよ。」
「いいのよ。分かってるから。祐一さんあたる個所のスケジュールを見せて。」
「いいよ。 これはいつもの僕の仮説が優先だけど。見てくれる。」大きい茶封筒からまとめた資料を菜摘に渡した。
「えっ こんなに有るの?」菜摘は書類に目を通して本気で言った。
「いやイヤ 聴いて 調べていたらこれも これも 怪しーってなって載っけたんだけど、この中の僕の感でしっかかった場所をマーカーで引いといた。
最初に行きたい所は葛飾北斎の生まれた実家 本家父親の菩提寺。北斎の母方の祖父小林平八郎。吉良上野助の家者で討ち入りの際上野助を守り討たれた。幕末迄北斎の父と合葬されていた。何故?一世風靡した高明な北斎が父親と一緒に埋葬されたか?一般的には当たり前と思えるが当時の知名度を考えると不自然。娘の阿栄も居て大勢居る弟子がちゃんとした格式高い寺院にしなかったのか?この疑問が僕には引っかかる。当時絵師は版元(現在の出版社)が依頼を受け絵師に描かせたので出版権利は版元に有り増版されても絵師にはお金は入って来ない。晩年は金銭的に不十分してたと思う。北斎86歳に描いたと言われる牛島神社依頼須佐佐之男命が鬼神退治絵にしても西新井大師総持寺、弘法大師祈祷絵に見える様に無信心論者の北斎が絶対に受けない作品を阿栄が個人的に依頼を受けやり繰りしてたと推測したいんだ。
阿栄は父親 北斎を埋葬するにも金銭的理由で仕方なく父親の実家に頼んだと思う。前に話した通り幕末迄父親と合葬されていたが姪多知によって現在の誓教寺に移した。そうだよね。
まず父親のお寺を探すだがこれがどの古文書を探しても分からないだ。だから現在の墨田区亀沢。(当時の割下水)この辺りの古くからのお寺を探そうと考えているだ。この地域は火災が多い江戸の町から離れた新都市計画で隅田川を渡ったこの辺を開拓し武家大名の武家屋敷を中心に街が形成されたんだってお寺も多かったと思うよ。」
「だけど 祐一さん 探せるの?」
「うーん 正直 難しい」
「それじゃしょがないじゃない。糸が繋がらないわ。」
「うーん 何とか繋げないと前へ進まないからね。みじかの親族が墓を変えたのがこの謎を解く鍵だと思うんだ。」
「やっぱりそこに戻るのね。阿栄と多知に絞って調べて見るのも手だと思うわ。」
「そこに尽きるね。手広くても無駄な能力を使うだけだね。菜摘さんの推理の方が正論かも?」
「祐一さん。電話で話したでしょう。うちに依頼が来た二件とても信ぴょう性がありそうなのでこれから先に調べたいのいいかしら。これなんだけど目を通してくれる。」
「これは凄い情報だ」菜摘から書類を受け取って内容を確認した。
「凄いでしょう。この依頼」
「うーん 何か仮説が浮かんで来る。ここを先に行って調査したい。1件は浅草 もう一件は鎌倉何かそれらしいスチエーションだね。」
「うん 何か出るみたい。」二人は共に仮説を描いていた。
何かを思い出した様に菜摘はあわてて例の封筒をバックから取り出した。
「これも電話で話した例の怪しげな手紙。これも見て」
祐一は封筒から手紙を取り出して確認した。
「これってあの週刊誌を観た愉快犯の仕業だよ。心配する事はないと思うんだ。だけどこの世の中いろんな人がいるから一応菜摘さん気お付け様ね。まして写真まで出ちゃっているからそして美人だからね。」
「そう言われると心配になちゃう。」心配そうな顔をした菜摘に祐一は
「大丈夫 僕が守るから心配しないで菜摘さんの事は何が何でも絶対守って-----」
「力強い言葉 。ありがとう。祐一さんが付いているから心配しないわ。」
「今度の土曜日に鎌倉から行こうか?大丈夫?」
「うん 大丈夫よ。」
「今、鎌倉は土日関係なくウイークデーでも観光客が多いからちょっと大変だけど行く所のお寺が混むわけじゃないから大丈夫。悪いけどお寺にアポ お願い。」
「分かったわ。明日 1番で連絡してみます。」
「お願い。手紙に書いて有る住所は、えーと鎌倉市山の内1の89 離昇院 。尼寺なんだ。グーグルで場所を確認して置くね。」
「お願いね。阿栄さん どんな手紙を送ったんだろー?」
「阿栄さんと尼寺 どう言う関係なんだ?」
「それを調べるのが私達の仕事でしょ。
「その通り 焦るね。」手紙の内容が気になる祐一だった。
「アポ 取ってから時間決め様ね。」
「そうだね。 話しは違うけど、まだ続いているの?」
「何が?」
「週刊誌の事」
「まだ省内でも言われるし視線を感じてる。外でも まだまだね。」
「美人は辛いね。はははー。」
「そんな事言わないで早く皆んなの脳裏から忘れられる様に あらないと仕事しにくいわ。 」
「僕も安心するから皆んな早く忘れてくれって言いたい。僕だけの菜摘さんでいてもらいたいだ。」言った祐一はちょっと照れた。
「何言ってるの やねー。 だけど嬉しいわ。」二人はこんな会話の先はまだまだ来ない。
「おはよう。昨日はありがとう。 鎌倉 離昇院にアポ取れたわ。AM11寺に」
「おはよう。ありがとう。土曜日が待ち遠しいよ。」場所はあじさい寺、明月院の近くだった。湘南新宿ラインで北鎌倉までだから品川で待ち合わせしよう。時間余裕持って9寺半でどーお」
「いいわよ。そうしよ。」
「何か 有ったら連絡して、じゃあまた」
鎌倉に行く日が来た。品川で待ち合わせ湘南新宿ラインに乗り込む。
「さすが土曜日混んでるなぁ。北鎌倉駅まで1時間ぐらいかな?座れないから大丈夫?」
「何言っているの 元気いっぱいだすよ。」
「我慢してね。」車内は結構混み合っている。祐一は菜摘に寄り添う様につり革を持ち並んで立った。
「皆んな湘南の方面に行くのかしら?」
「服装から見てもレジャーだよね。たまには車窓を見て街の変わり様を見て楽しもうー。」
「そう あんまり車窓って意識して見てないよね」
「うん そうだね。 話し飛ぶけど阿栄さんはさすがあの歳で鎌倉迄は行けなかっただと思うだ。誰が阿栄さんの手紙を尼寺離昇院に届けたのかな?飛脚も有るけど大事な事をお願いするとしたら誰かに持てせ手渡しするだろなー」
「阿栄さん 昔の書物を見ると尼になる事を考えてた見たい。」
「へー そうなんだ。北斎亡き後いろいろ悩み事が有っただろーな。」
「何か人間関係も複雑だったのね。」
「昔だったら早くて2日掛かったと思うだ。年寄だったら3日以上掛かるだろー。阿栄さんの信頼度から見ると多知 が届けたと思う。僕の仮説だけど。」
「どんな手紙だろー。楽しみ」電車は横浜過ぎても降りる人はいなかった。鎌倉に着き大半はこの駅で降りた。
「次だね。一駅だけど座る?」
「うーん いいわ。」
北鎌倉駅に着き乗客はほとんどこの駅で降りた。
「鎌倉駅と違って落ち着いた町並みだ。昔から別荘が有る町で雰囲気が有る町だ。
「グウグルで観ると明月院より下だね。」
「近いわね。この近くになるとさすがに観光客をまばらだ。」
「素敵な町並みね。この尼寺 女性の駆け込み寺共言われているみたい。」
「ここだ。 歴史が有るたたずまいだね。」
「300年の歴史感じる。門も中の庭園も何か感じるものがありね。」
玄関を入り呼び出しベルを押した。電話してあるので住職が出迎えてくれた。
「いやー よくいらしゃいました。文科省文化財の吉澤 菜摘さん。お写真より素敵なお顔。」
「吉澤 です。初めまして今回は御連絡頂き有難う御座います。」名刺を出しながら菜摘は虚シクした様に挨拶した。
「私はこ言う者です。都の図書館古書課に勤めてます。宜しくお願いします。」
「あーそうですか。まーこちらへどうぞ。お上り下さい。」
通され所は奥の庭が見える6畳ぐらいの座敷。
「こちらでお待ち下さい。」
座敷から見える庭は心が洗われる光景だ。しばらくするとお茶が運ばれて来た。
「こゆう雰囲気で飲むお茶は格別ね。」菜摘は慣れたものでお茶をすすった。
「菜摘さんはこ言う雰囲気は慣れているね。」
「そーお いつも鑑定はこの様な場所が多いの座敷は好きよ。」そう話していると座敷に近ずいてくる気配がした。襖を開けて住職が入って来た。
「お待たせしました。お忙しい中本当にすいませんね。」
「とんでもないです。こちらこそすいません。」菜摘は慣れた手つきで座布団を退かし畳に持参した布を広げ引いた。バックから白い手袋を出してした。祐一も手袋をはめた。
「さて この手紙を見て頂きませんか。」漆塗りの手紙入れに入っていた。
「手に取っていいですか?」
「はい どうぞ。」菜摘は慎重に手紙と言うより和紙に書かれている書であった。引いた布の上にその書物を広げた。菜摘は手紙の終りの署名を確認してた。
「北沢さんこれは本物ですね。この御朱印 葛飾応為 ってあるわ。」
「うーん 確かに阿栄さんのしたためた手紙ですね。」
「北沢さん 内容を解読して下さい。」
「あのー 写メしても構いませんか?」後で分析出来る為お願いしい。
「はい 構いません。どうぞ。」
ありがとうございます。」祐一は何枚か写メした。
「帰りましたら本格的に解読しますけど。今だいたいの文面は無信心の私も父親の葛飾北斎 願い事を聞いて下さいと書いて有る。この頼み事を引き受けてくれる人脈も寺院もいない江戸では頼る所無く私の唯一の浅草に有る尼寺真身院の住職から貴方様の紹介を受けて手紙を書いた事だそうです。内容は1つの絵を預かって欲しいと書いてある。この絵を永久に封印して門外不出って書いて有るね。後の内容は前後の文面を分析して見ないとこの絵は何か?分からないですね。」
「ご住職 なにしろこの書は葛飾応為より当本院に来た物です。はっきりした書面は当文化庁に帰って正式にご返事します。」
「はい 分かりました。お願いします。」二人は凄い物を見て自分達の仮説が正解だった事をお互いの目で喜ぶを味わった。
「あっそうそう この絵が一枚一緒に有りました。」
「えっ 」手袋をはめ直してその絵を受け取った。
「これは 北斎の弟子でもあり父親の影として北斎の絵を描き続けて北斎が世を去る時。自分独自の絵を確実物にした影の美の絵師として浮かぶ上がった。これがその一枚の絵です。これも本物でこの一枚は希少価値の絵ですね。この絵は阿栄さんのお礼の気持ちで一緒に渡したと思われますね。これも凄い物を見た感じです。」
「住職 阿栄さんの絵はほとんど世の中に存在して無いです。とても貴重な絵ですよ。大事にして下さい。」
「ところで我々が探している謎の北斎最後の絵はどこに行ったのか?また 遠くに行ってしまった。ご住職 ほかに阿栄さん関係の記事何かこころあたり有りませんか?」
「今のところこれしか見当たらなかったです。何かあるのかしら?」
「僕の仮説ですけど。この謎の絵で阿栄さんが行方不明になったと思われます。」
「そんな怖い事が有ったのですか?」
「事実 書物で調べると有った様ですね。」
「今日はお忙しいところ私どもの事でお時間を頂きありがとうございます。帰り調査して改めてご連絡します。」菜摘は丁寧にお礼を言った。
「ありがとうございました。非常にいい参考になりました。」祐一もお礼を言った。
「いいえ こちらこそ 大切な発見をしてもらいありがとうございます。それと何か 出てきましたらご連絡します。」
「ありがとうございます。お願いします。」
「それでは失礼します。」
二人は山門を出て観光客でにぎわう明月院通りに出た。北鎌倉駅までの時代の雰囲気を漂う町並みを歩き駅に向かった。また、謎が深まった事について二人はお互いの仮説をやり取りしたが今いち、これって言う自信あるものが出なかった。
「あっ そうそう 二件目の浅草の依頼。明日 アポ取ってあるの祐一さん大丈夫?」
「もちろん 行くよ。」
「何か相手さんがお勤めなさっているので日曜日にして欲しいって言うので勝ってに決めてしまってごめんね。」
「全然 平気だよ。明日は北斎の地元だから何か出てくれる事を期待したいね。この前この依頼者の住所を確認しただけど、北斎のお墓が有るお寺さんの近くなんだね。」
「えっー そうなの知らなかった。何か出そうな予感。」
「うん うん 何か有るね。明日 何時なの?」
「午後2時にした。銀座線 稲荷町駅で待ち合わせでいい。?」
「分かった。外に出た所でね。」
渋谷に着いた。時間が5時を過ぎてしまった。
「菜摘さん うちで整理する事があるからここで解散しよう。」
「分かった。 私も溜まっている仕事があるからちょどいいわ。」
「じゃあ 明日ね。気おつけて帰って。」
「ありがとう。バイバイ」明日会える楽しみを胸にしまい別れた。
日曜日の朝 久々にゆっくりした菜摘。ここんとこハードなスケジュールでこの朝はリフレッシュ出来た。(今日はどんな物が出るか楽しみ)
待ち合わせの時間に正確な祐一。全てが真面目。菜摘はいつも思っていた。
「待った! 」
「大丈夫」
「行きましょう。」
「この辺は仏壇を売るお店が多いだ。今は大分、お寺ん数も少なくなってきて仏壇屋も少なくなっている状況み たい。江戸大火 関東大震災 空襲で何度も町が無くなり再生して来た町なんだ。」
「そう言う歴史があるだね。」
「さっき言った様にお寺さんが多いので当然お墓もあって今でもマンション建設の為ほじくると人骨が出てくるみたい。」
「この依頼者の人もいろんな人生を送って来たんでしょね。」
「うん。住所は元浅草二丁目5になっているね。一応、町は碁盤の目の様に今は整理されているから分かりやすい。最近はしゃれたお店が多く出店してきてるだ。小さなお店を出すには家賃も手頃だし今はネット社会だからこう言う場所でも商売が成り立つだね。江戸時代の時もちょと中心から離れてお寺や下請け仕事の家が多かった。何か時代は繰り返されているみたい。」
「あー。 ここだわ。結構大きい家ね。」
「木造住宅。意外と災難に合わなかった見たい。だから木造建築で雰囲気有るね。」
「今時珍しい木造の門。このベルでいいのよね。」奥から待ち兼ねた様に玄関の扉を開ける音がしてこの家の奥さんらしい人が出て来た。
「文化庁の吉澤さんですか?」
「はい ご依頼の件で来ました。吉澤です。」菜摘は名刺を出して挨拶をした。祐一も名刺を出して会釈した。今は玄関まで庭が有るのは珍しい。庭も手入れされていた。
「お忙しいところお手間を取って頂き有難うございます。服部と言います。むさ苦しい所できょうしくですがどうぞお上り下さい。どうぞこちらへ。」
明治か大正に造られた建物みたいだ。八畳ぐらいの居間に通された。居間には重厚の椅子がテーブルも時代かかっている。
「祐一さん この御宅の家具皆んな貴重品。 年代を感じさせる調度品ばかり、興味あるわ。」
「菜摘さんの目を見れば分かったよ。はははー。」ノブのドアーを開けて奥様がお茶を持って入って来た。
「お待たせしましてすいません。」テーブルの上にお茶を置き
「お口に合うかどうぞ見仕上がれ。」
「奥様 付かぬ事お聞きしますがこのお家はいつ頃お建てになったのでしょうか?」
「はい先先代の祖父が明治の終わりごろ建てた見たいです。」
「失礼とは存じますが建物もしかりお家の調度品も時代を感じされとても商売柄興味を持ちました。」
「古い物ばっかりで困っていますのよ。ふふふふー。」
「そんな事ないですよ。価値有る物ばかり。今度マンションをお建てになると手紙に書いてあり ましたが余計な事とはいえ、建物含めこの調度品どうなさるんですか?」
「そうですね。 まだ何も考えていませんのよ。子供たちも今は海外生活が長いのでこっちには帰らないって言ってます。」
「そう言う事情がおわりで大変ですね。」
「こないだも都の方に相談しに伺ったのですが都の方の考えはこのままにしてこの建物を保存して下さいとおしゃっていました。都の方でも出来るだけ援助しますからっておしゃっていました。都の歴史建造物として残したいとだけどここに住むのは私で今の世の中では不便で仕方がないです。金銭的に言うのはやですけどそんなに援助金は出ないですのよ。だから建築業者と話して壊す事にしたんですのよ。」
「いろいろ行政の方も予算がありますのでいい返事がないんでしょ。」
「長々私どものことを言ってすいませんです。本題に入りますね。」緑の風呂敷に包まれた書面(当時の手紙)を取り出して見せた。
「これですか」菜摘はいつもの様にテーブルの白の布をひき手袋をはめた。祐一も同じく手袋をした。
「いいですか 奥さま開けて構いませんか?」
「どうぞよろしくお願いします。」
「北村さん どうぞ 解読お願いします。」祐一は書を開きまず最後の署名を確認した。
「これは葛飾北斎の三女。 阿栄さんの直筆です。葛飾応為の御朱印が押して有るね。この手紙の差し出し人は阿栄さんに間違いありませんね。あて先は服部弥兵次。」
「あのー
ここに書いてある服部弥兵次と言う人物は奥様との関係は?」
「あーこの方がうちの祖先様です。代々伝え聞いていると江戸後期で財を築いた人物だそうです。」「何の商いをなさっていた方ですか??」
「何か聞きます所。浮世絵の出版物問屋が始まりだそうです。」
「そうですか。やっぱし 北斎亡き後阿栄さんは相談する所も無く北斎の浮世絵を一手に仕切ってた服部弥兵次氏に何かを託した。その時の依頼の手紙です。
「そう言う事のお手紙でしたか。その手紙と一緒に別の書と絵がありました。これです。」
「これは葛飾応為の影を強調した浮世絵です。本物ですね。」
「北斎さんのお嬢さんの絵ですか?」
「そうです。何か重大な事をお願いしたと思われます。他に何か絵みたいな物はありませんあでしたか?」
「いいえ この関係はこれしかありませんでした。」
「あーそうですか。これでまた糸が切れた。」
「奥様 今日は大切な物を見せて頂き有難う御座いました。そごく参考になりました。またお家を整理する時、調度品の鑑定もしますので遠慮なく申し出下さい。」
「その時は是非。お願いします。安心してお任せ出来るから嬉しいわ、」
二人は重厚な部屋の雰囲気を満足して家を後にした。
外に出た二人はまた糸が切れた事を悔やんだ。
「菜摘さん コーヒーでも飲みますか?」
「飲みたいです。何か歴史に包まれて他ので現代に戻りたい。」
「そうだね。そうしよう。」
たまにはタメログで検索してみようか?良い店はあるかな?」
近くにしゃれたコーヒーカフェを見つけて行くことにした。
「この近くにあるから少し歩こう。」
「日曜日だとこの辺静かね。」
「そうだね。マンションもどんどん建つんだね。アクセスは便利な街にだから。」
「あっ 祐一さん、この店地ビールを飲ませるお店?」
「おっ 地ビール 美味そうー 飲みたいね。うん カンピオエール イングランドだ。菜摘さん 喉乾いた?飲もうか。」
「うん 入りましょ。」
「英国産モルトやホップを贅沢に使っているんだっておっ フイッシュ&チップスも美味そうー小腹が空いたからいいね。」
「イギリススタイルなんですね。店内醸造でイギリスパブみたいな雰囲気。」
「菜摘さん テーブルでいい。」
「そこが良いんじゃない。」
「ここにしよう。何のビールにする?」
「うん 私は黒ビールにするわ。」
「そうか 僕はコーヒー風味のビール試して飲んでみるかなー」
店内はそんなには混んでは居なかった。ビールの注文しフイッシュ&チップスも頼んだ。二人はテーブルを挟んで座り運ばれて来たビールで乾杯をした。
「うっん 美味い 喉が潤うね。」
「そうね美味しいわ。祐一さんってイギリスに行った事あるでしょう。」
「一年間だけどね。」
「何の勉強に?」
「会社の仕事で」
「えー、仕事で?どんな?」
「古書関係で大英博物館に調査しにね。 歴史マニアとしてはあの博物館お宝の山だからね。」
「そう良いものは皆んなあの博物館にあるのよね。あそこ居ると何日でも飽きないわよね。」
「いろいろ勉強になったよ。もー昔の話だけど。」
「何言っての まだそんな歳じゃないじゃないの。しっかりしてよ。ははははー」
「ねえ ねえ 菜摘さん 斜め後ろに1人で居る男性。ずっとこっちを見てるだけど?」祐一は急に小声で菜摘に話しかけた。
「どこの人?」
「振り向かないで菜摘さんから見て、正面に向かって時計で言う40分に居る男性」
「たまたま見たんでしょう。それかあの週刊誌観たい人じゃないの?」
「うーん さっきから見ているよ。あーそうか美人と一緒だから羨ましいがって見て居るのか?」
「うーん 祐一さん やめてよ。私そんなに美人じゃないから」
「君は美人だよ。だからいつも僕は優越感にしたってるだ。どうだってねははははー」
二人はすっかりその事を忘れてお互いの仮説について話しに夢中になっていた。
祐一が気がつくとさっきの男性も居なかった。
「喉も潤ったしそろそろ出ようか?」
「そうですね。祐一さんの話聞いて居ると飽きないわ。」
「自分も菜摘さんと居ると楽しくて話が弾んじゃうだ。」
会計を済ませて外に出た時、祐一が忘れていたかの様に
「菜摘さん ごめん ビール飲み過ぎでトイレに行って来る。菜摘さんは?」
「私も行こうかな」
「それじゃ 先に菜摘さん 行って来て下さい。」
「いいの それじゃ私が先に行くね。」
「どうぞ」祐一は店の前で待つ間スマホをいじっていた。
「お待ちどうさま。ごめんね。」
「うーん大丈夫だよ。 菜摘さん直ぐに戻るからここで待ってて。」祐一はお店のトイレに急いで行った。
祐一が戻ると待って居るはずに菜摘の姿がない。
「菜摘さん 菜摘さん 」名前を呼び、菜摘のスマホに電話しながら周りを見渡し菜摘の姿を捜した。お店のスタッフの人にも聴いたがお店の中にはいない。黙って行ってしまう菜摘じゃない。店の周りを探し回ったが何処にも居なかった。必ず僕の電話にはでるはずの菜摘のスマホに何の変化は無い。
祐一の感情も高ぶり、焦りに変わって来た。祐一の頭に浮かんだやな予感が横切った。何かの事件に巻き込まれてしまったか?祐一の焦りが恐怖に変わって来た。冷静さが完全に失われている。お店の直ぐ横の道路の端に目が止まった。そこには菜摘の名刺入れが落ちてた。
(これは菜摘の名刺入れ 何故 こんな所に落ちて居るのか?祐一はやな予感が現実になった事を察した。今どうしたらいいか考えた。警察に通報するか。まだ事件にならない状態だから警察は受け付けてくれないだろー。焦る祐一
「あっ そうだ。」菜摘のスマホにはGPSが付いて居る事に気が付いた。
いつも持っている自分のpc. に菜摘のGPSのコードNo.を入力しグーグルマップに検索して居場所を確認した。それを観ると移動している。歩きの速さじゃない事ば分かった。車で移動している速さだ。菜摘は車は持ってない。考えられるのは誰かの車に乗っている事だ。
直ぐにも追跡しなくてはと判断して近くに流しているタクシーを止めて乗った。
運転手さんに事情を説明したが信用してくれない。110した方がいいと言って拒否されてしまった。日曜日なのでこの辺はタクシーは来ない。祐一は急いで浅草通りに駆け足で向かった。今日はタイミングが悪い。表通りにでた。菜摘が消えてから時間が刻々と過ぎていった。心の中で祐一は叫んだ。菜摘今行くから我慢してくれ。タクシー来てくれと叫ぶにいられなかった。
タクシーはくれども空車はなかなか来ない。その時の 来たー。祐一は両腕を大きく振りながら道路に出てタクシーを止めてドワ越しに運転手さんに詳しく事情を話した。祐一の余の真剣さが運転手さんに伝わり乗せてくれる事になった。
「助手席に乗っていいですか?」
「あっ いいです。」
「助かった。良かった。このパソコンに表示されている矢印を追ってくれますか?。今さっき一緒にいた彼女が突然居なくなって何かの事件に巻き込まれてしまったか?心配して彼女のGPSを追っているです。彼女は僕に黙って何処かへいなくなる事はない女性です。運転手さん僕を信用して下さい。お願いします。」
「これで確認するとここから大分遠くに行ってますね。まー早く追いつきましゅう。」
「今 どの辺を走っていますか?」
「これだと湯島付近ですね。」
「なんでこんな道行くでしょうね。」
「そう言われても分かりません?。ただ、私の思うには幹線道路と脇道区道とかいろいろジグザグに走ってますね。これって道路の監視カメラを意識して走っているみたいで。」
「えっー 何故 」
「お連れさん 誰かに狙われてたとか?」
「とんでもない。彼女も私もそんな覚えは全く有りません。ただ。彼女が2週間前 週刊誌に載りましてね。これが彼女が載った週刊誌です。」
「あー 私もこの週刊誌観ました。お綺麗な方ですね。」
「週刊誌に載ったからってこんな事が」祐一はそこまで言うと頭を過ぎった。菜摘の会社に来た脅迫状の事を思い出した。これは誘拐だ。180年前の阿栄さんの行方不明。これの再現か?暫くの沈黙が-----。
「お客さん。大丈夫ですか?このまま追跡しますか?」運転手さんのこの一言で祐一は我に返った。
「あっ はい このまま追跡して下さい。見失なない様にお願いします。今どの辺を走っています?」
「今は水道橋過ぎて東京ドーム付近です。お客さんこれは警察に言った方がいいですよ。これがお客さんの言う通りでしたら大変な事が起こる前に110番に通報した方が?」祐一はこの事に迷いがあった。警察が事件として受けてくれるか?事件性が無い事で拒否されるか?もうー、こんな選択は無い。菜摘の命が掛かっている。
「110番 します。 」110番するのは祐一は初めてだ。緊張感の中スマホの数字を押した。
「もしもし」
「はい こちら110番。 何か有りましたか?」
「はい 今、何者かに彼女が連れ去られ彼女のスマホのGPS機能でタクシーの運転手さんに協力してもらって追跡してるところなんです。今さっきまで浅草の地ビールの店に居て店を先に彼女が出てトイレ行った私が遅れて店を出たがどこにも彼女がいないです。周りを探しても姿が無いです。」「お店の時、あなたと彼女に失礼ですが何かのトラブルが有りませんでしたか?」
「そんな 何にもありません。それにお店の脇の路上に彼女の名刺入れが落ちてたんです。何かの事件に巻き込まれてしまったと思います。」
「追跡している車の車種かナンバーとか分かりますか?」
「突然で車も目撃してません。今でもタクシーの運転手さんに追って貰ってます。どうしたらいいですか?」
「今 聴いてる時点では事件が発生しているか確認出来ないので警察の方でも動きが取れません。」「何言ってるんですか。そんな云っちょな事を警察は事件が起きないと動いて貰えないですか?今事件が起きてです。」祐一は真剣に訴えているのに受付無い警察に苛立ちをあらわにした。こんな自分は初めてだ。
「そう言われてもこちらの判断ではまだ事件性が見られない現状で」
「事件が起きてからじゃ遅いです。今 追っている彼女のGOSのコールNo.を教えますから見て現状を把握して下さい。」
「あー個人的なGPSの使用は許可無いと禁止されます。」
「いざと言う時、頼りになる公の機関の警察がいつものマニアル通りにしかし動け無いのが情け無いです。今回のことで大変な事が起きたらあなた責任取りますか?」
「そう言われても困ります。貴方の携帯番号をお聞きして置きます。それとお乗りになって居るタクシーの会社名タクシーNo.を教えて下さい。逐次連絡したいと思います。」
「私の番号は090 5814 9913 です。」
「運転手さんタクシーの会社名とNo.を教えていいですか?」
「は構いません。 日除けのところに書いて有ります。どうぞ。」
「今でも事件は進行してます。運転手さんだけが頼りです。彼女の為でしたら私は何でもしますから。」
「事件が起きたら直ぐに110番して下さい。無茶行動はしないで下さい。」
「あなた 何言ってるんですか?さっきから言ってる様に今 事件が起きているんだ。これだけは言うまいと思ってたんですが私の知り合いに法務省の上の方と知り合いでまた某週刊誌の編集部の人もいます。何かあったら私はあなた方を許しませんから。失礼します。」
このジレンマ やるせない思いが込み上げて来た。菜摘の携帯に何度も入れるも電池切れで繋がらない。菜摘 絶対に守って見せるから 祐一は心の中で何度も叫んだ。
「運転手さん これって今、新宿の甲州街道に出て大原交差点に向かっていますね。」
「こいつかなり運転に慣れていますね。目的が何処だか分からない。」
「我々は現在、四谷ですからまだ差が縮まっりませんね。方向的に分かれば先回り出来るだけど。運転手さん 様子見て先回りして下さい。あっ そうだ 料金の事は心配しないでください。幾らでもお支払いしますから」
「あっ はい 大変な事になってしまってその事は心配してませんから最後までやらせてください。」
「ありがとうございます。運転手さんだけが頼りです。危険な目には絶対に合わせませんからね。」「大原交差点を右に環七に入りましたね。全く方向が分からない。どこまで行くのか?」
「次の手を打ち用にも打つ手無い。何とか距離が縮まってくれれば。」
その時突然 タクシー間の無線が
「もしもし こちら本社警護部課の井上です。車体No.185号の酒井運転手ですね。」
「はい 酒井です。」
「ただ今 警視庁より緊急連絡あり、そちらの事情を聴きました。そのまま追跡続行して下さいとの事です。185号のGPSを警視庁に連絡済みで警察独自に追跡するとの事です。」
「了解しました。」。警察が動いた事で祐一は少しほっとした。これで変わると信じて止まなかった。
「お客さん 良かったですね。お客さんの最後の言葉が効いたんですね。」祐一をその事を思った。「今度 環七丸山陸橋を左折し新青梅街道に入り西に向かってますね。」
「これで方向的に行き先がはっきりして来たみたいだ。」菜摘 もう暫く辛抱してくれ。お願いだ。警察も動き出した。
会社より緊急連絡
「こちら 本社 相手のGOSは何処の方向に向かっていますか?」
「こちら185号酒井です。追跡車は新青梅街道に入り西に向かってます。」
「了解 そのまま続行願います。」
「了解です。」鷺ノ宮、下井草、石神井公園、東伏見、田無、花小金井、小平 福生市に入った。青梅街道を西に青梅市に
「この先が奥多摩湖 ここが目的地か?」この時祐一の携帯が鳴った。警視庁からだ。
「北村さん 遅くなりましたが今回の件確認が取れました。そちらのタクシーのGPSで追跡させて頂いて事件性が極めて高いとの判断で捜査します。被害者とされる方の名前を教えて下さい。」
「やっと動いて貰いますか。彼女の名前は吉澤 菜摘 文科省文化財課に勤めています。」
「分かりました。吉澤さんの今 追っているGPSの登録No.を教えて下さい。こちらでも追跡します」登録No.を伝えた。これで助かる菜摘 頑張ってくれ。
「お客さん 本当に良かった。」
「はい 警察が動き出した事は良かったです。まだ本人を助けてた訳じゃないから」
「 あっ、ごめんなさい。」
「いや いいんですよ。分かってますから。」
「運転手さん 大分 距離が縮まって来ました。ありがとう。」
「奥多摩湖の方に行くみたいだ。山奥に入ったらGPS.の電波が心配です。山奥に中継基地が無いと電波が届かないです。」
「奥多摩湖に入りましたね。まだ電波は大丈夫。この先多摩源流また先は山梨県になるなーどこまで行く。」祐一の携帯が鳴る。
「はい どう言う現状ですか?」
「こちら青梅警察署から覆面パトカーを向かわしてなす。もう少しでそちらのタクシーに追いつきます。待ってて下さい。」
「今 犯人の車はどんどん山奥に入って行って ます。大丈夫ですか?」
「こちらも確認して ますから直ぐに追い付きます。」
「菜摘が心配で」
「分かりました。」
「奥多摩湖を過ぎて山深く進んでいますね。大分 近ずいて来ました。もう少しです。」
「山道に入って行ってます。」車が一台通れるかの細い山道。こんな淋しい所で何をするんだ。祐一は怒りが盛り上げて来て菜摘の心配が祐一の心を揺さぶっている。
「お客さん 止まりました。こんなとこで何をしおって考えているんだ。」
「運転手さん 早く近くに行って下さい。」
「ぬかり道でタイヤが取られる。」エンジンを浮かし空回りするタイヤをうまく騙しながら前へ進む
祐一は手にびっしょり汗をかいていて心臓ははれんばかりに鼓動していた。
「あっ 車がこっちに戻って来る。どうしますか?」
「GPSは動いて 無い。早くこの場所に行かないと菜摘の----」
犯人と思われる車がこっちに向かってギリギリにすれ違った。その時の運転手の顔を見た。
「あっ あの店の背後にいた男だ。」同時に後ろから警察の車が背後に着いた。とっさにタクシーの助手席から降り後ろにいる警察の車に行き警察官に伝えに行った。
「今、すれ違ったワンボックスカーの運転手が犯人です。誘拐された場所に居た男です。」
「分かりました。手配します。」警察官は無線で青梅署に連絡。山道を下山してるワンボックスカーの運転手を手配した。
それを言うと祐一はタクシーに戻り動かない. GPS の示す場所に向かった。
「この場所の茂みの下の方です。え」祐一は車のドアーを開け飛ぶ出すように茂みの傾斜を駆け下りた。
「菜摘 菜摘 菜摘 どこだー」祐一は大声で叫んだ。
「菜摘ー 何処に居るんだ。返事してくれー頼むから。」その時の茂みの中から動く物が
「音がした。菜摘」祐一が音の近くに行くと呻き声が聞こえた。
「いたー 大丈夫か菜摘 。」さるぐつわで口をふさがれて目隠しされた菜摘が茂みに横たわって居る。
「菜摘 大丈夫か可哀想に」祐一は菜摘を抱きしめて目隠しと猿轡を解いた。
「わー わー わー」泣きじゃくる菜摘の体に着いた枯葉と泥を払い優しく抱きしめた。
「祐一 祐一 怖かった。怖かった。助けに来てくれたのね。ありがとう。」祐一にしがみ付きながら泣いた。
「良かった。良かった。無事で怪我は大丈夫?」斜面の上の方から警察の人とタクシーの運転手さんが降りて来た。
「大丈夫ですか。」
はい 」か細い声で 菜摘が返事をした。タクシーの運転手さんもニコニコしてこの事件の解決を喜んだ。
「救急車を呼んでますから 上に上がりましょ。」
「菜摘 歩ける? 僕の背中に」そう言って祐一は雑木林を菜摘を背負って車まで上がった。遠くから救急車のサイレンの音が聞こえた。この音を聴いた時、菜摘は安心したのか祐一の背中で眠ってしまった。祐一も今までの緊張感が体から引いて顔に安堵の笑みが
タクシーの運転手さんにお礼もそこそこに救急車に乗って警察の指示のとおりに青梅総合病院に検査の為に一時入院した。
震えが止まらない菜摘の手を握り病室のベットに添え寝した。それから安心したのか深い眠りに入った。
検査の結果、手と足に軽い打撲が観られるだけで済んだ。その日に退院。犯人も祐一の機転で多摩湖付近で逮捕されたと警察の職員に聞かされ安心した。動機については取り調べが進み次第で明らかになるみたいだ。
「今日は祐一さんと一緒に居たいの」
「もちろん 心配だから一緒にいるよ。祐一さんのお家に泊まってもいい?」
「僕もそう考えていたところ。」二人は自然の成り行き通りに心は向かった。
今日 直ぐに退院と言う事で警察署から連絡があり自宅まで送ってくれる事になった。
「菜摘さん 部屋は狭いけど僕がいるから安心して休んでね。明日 会社に事情を話して有給取ったらいいと思うだ。何しろ後にも先にも無いすごい経験をしたんだから菜摘さんは精神的ダメージが癒されるまでゆっくり休んだ方がいいと思う。」
「うん 分かったわ。祐一さんがいつもそばに居てくれれば大丈夫。」
「約束するよ。いつもそばに居ます。」祐一の部屋に一緒に居るから安心したのかさっきまでの震えも収まり祐一の胸の中に深く沈めた。
「祐一 本当にありがとう。祐一のそばにずっと居たい。」小さな声で
「祐一 菜摘を抱いて」この言葉で祐一は今までの感情が一気に溢れた。二人はくちびるを合わせ菜摘の耳元に唇を寄せ祐一は囁いた。
「菜摘 愛してる」
「私も愛してる。大好き。」二人は何度も唇を重ねて深いキスをし二人は身体を重ね、菜摘の身体は祐一を受け入れるほど興奮し悶えた。祐一は自然に菜摘の身体に入って行った。
「あー あっー祐一 幸せ強く抱いてイックイック祐一も来てー。」菜摘は嬉しさのあまり瞳から涙が溢れた。
祐一と菜摘はこれで本当に一緒になれた。
翌朝、目が覚めた菜摘は祐一と本当に1つに慣れたことで昨日の恐怖の出来事は薄られて行った。祐一は菜摘が目が覚めない内に朝早目に起き朝食を作っていた。
「菜摘おはよう。よく寝た?」
「うん ぐっすり寝た。ありがとう。」
「あー 良かった。」
「祐一がそばに居てくれたからよ。祐一 こっちに来て」菜摘は甘えた声で言った。 ベッドの上で祐一の首へ両手を絡めキスを求めた。菜摘は精神的にも安心した様子だ。
「朝食が出来ているから一緒に食べよ。」
「うん ありがとう。」
「菜摘今回の事件で思っただが。180年前の阿栄が行方不明なった諸説、同じ事が現代に起きた。これってなんかの因縁?」
「うん どう言う事で誘拐されたかはまだ分からないけど因果関係は一緒だと思うわ。そう感じるの。」
「こんな危険な目に遭ってしまった。だから菜摘が心配だからこの調査中止し辞めようかと思っているんだ。」
「うん 祐一の考えは有り難いと思うがもうちょっとその返事 待ってもらっていい?」
「菜摘の心の整理が出来るまで待っているよ。」
「ありがとう。」祐一は菜摘をもうーこんな危険な目に合わしたく なかった。
「菜摘 会社に電話して少し遅れるからと連絡した方がいいよ。」
「うん そうする。」
「テレビのニュースで会社の人は事情を知っていると思うが係長に説明して10日ぐらいの有給を貰ってしばらく実家に帰った方がいいと思うだ。」
「うん そうする。」朝、家を出た二人は菜摘の会社に向かった。菜摘が実家に帰るまで会社の往き帰りは二人は一緒の行動した。
後日 二人は犯人の面通しの為、浅草警察署に行き証言した。浅草署は事件の発生時が所轄だからだそうだ。
「警察の話だと犯行を自供したそうだ。容疑者は金子信雄26歳 5年前入教した信教集団 いのちを救う教団の熱狂的新派だそうだ。一部自供によると自分一人でやったと言ってるそうだ。」
「やっぱり 宗教が絡んでいたんだわ。」
「だけどこの容疑者が我々の仮説をどこまで知ってたか?と宗教にマイナスのイメージがあると確信してたか?今後の自供ではっきりすると思うが?何かこの容疑者も僕らと同じ考えの仮説を描いていたのか不思議だね」
「うん。」
「菜摘 実家にはいつ帰るの?」
「警察の事情聴取も終わったから明日でもって思っているの」
「うん 分かった。お兄さんも心配しているから早い方がいいよ。東京駅まで送るからね。」
「ありがとう。お願い」
あっ そうそう 今度の土日に会いに行くからね。」
「本当に 嬉しい。」
菜摘は実家が有る滋賀県大津に帰った。兄が今回の事件を知ったのはテレビ報道されて分かった。兄は菜摘にしばらく家の外に出ない様に言った。
「お兄さん あの事件。単独犯であれで終わったと思うわ。」
「だからとは言え個人の外出は控えてくれ。」
分かったわ。今度の土日祐一さんがこっちに来るの」
「あーそうかー 今回の事で祐一君に感謝しないとなぁ」そう言った兄は二人の絆が深くなった事を予感した。
実家に帰って2日が経ち余りにも菜摘は身体を持て遊び部屋にこもって居れないので兄の了解を得てお店を手伝う事にした。
3日目に一通の封書が会社宛てから菜摘の実家に回って郵送されて来た。係長の計らいだ。
手紙の差出人は、あの鎌倉 離昇院のご住職だった。
内容は今回の事件で災難に遭遇した事と無事で帰られた喜びを心から嬉しく思うとの事が書いてあり。追伸でもう一通の手紙が見つかったと書いてある。
この手紙、誰が差し出したか?手紙の内容は何が書いてあるのか?菜摘は気になったが今の現状では飛んでも行けず祐一が来た時、この手紙の事を相談する事にした。
菜摘が待ちに待った土曜日が来た。兄にウキウキしている私を見て冷やかされた。そんなに感情にに出るのか私にも分かった。
「向かいに行くって言ったら怒られちゃた。こっちに直接来るって言われた。」
「ご馳走さま。はははー。」兄はこれを聞いて妹の嬉しさが伝わって来た。
「菜摘さん 大丈夫 ?元気?」
「祐一 さん付けないでいいわよ。待ちどうしかったわ。」
「えー 嬉しいー。菜摘が東京に居ないから仕事に身が入らなくて早く来たくて」
「嬉しいわ。」
「おいおい。仲がいい事はもうーそのぐらいでいいだろー。イチャイチャするのは. はははー」
「あら お兄さんにも分かっちゃうた?」二人は顔をみわわせて笑った。
「祐一 こっちに座って お兄さんコーヒーをお願い。」
「はい はい かしこまりました。」
「この間の話しの結論出すわ。」
「えっ 結論って」
「葛飾 北斎の事。 やっぱし 続ける。これで終わるの悔しいもん。」
「大丈夫なの菜摘」
「私には大事な人が付いて居てくれるから続けて行きたい。祐一 にね。」
「嬉しいよ。」
「それでね。 この手紙が会社経由で届いたの係長の意気の計らいでね。ねね 読んでみて」
「うん これって鎌倉の尼寺 離昇院からだ。」
「そう 読んで。」祐一は読んだ後、菜摘を見てニヤと微笑んでみた。
「でしょ また 繋がった。」
「うん これは凄い事だ。早く手紙の内容が知りたい」
「それでねえ 私がこの状態だから祐一に確かめに行って貰いたいの」
「そてはいいだけど」
「うん分かってる。私がご住職に手紙を書くわ。今回の事件の心ずかいのお礼と祐一が行く事を書く。」
「うん 分かった。行って来るよ。週 明けたら早めにね。」また二人の呼吸が合って来た。
土日二人は一緒で心身ともにリラックスした。琵琶湖から帰った祐一はすぐに鎌倉 にアポを取りその日の週 火曜に決まった。
鎌倉はウイークデーでも観光客で混雑してた。
離昇院の住職に会い菜摘の手紙を渡した。
「今回はお二人とも災難でしたね。大事に至らず良かったですね。」
「吉澤も無事で本当に良かったです。ご心配をお掛けしてすいませんでした。」
「いいえ 御無事で何より。」一応の挨拶を終え住職が差し出した手紙
「これが一緒の場所の奥から出て来ました。この手紙は前の手紙と関係あるじゃないかと思い吉澤さんに手紙を出しました。」
「有難う御座います。吉澤も大変喜んでいました。自分が来れない事を悔やんでいました。あーこれですか。 差出人は白井多知ですね。」
「白井多知さんって ?」
「北斎の三女 阿栄さんの姪っ子ですね。」
「預けて有る物を阿栄さんに変わって受け取りたいと書かれています。受領書見たいな書です。最後に白井多知と直筆だと思いますが書いて有りますね。」
「このお手紙で何かお分かりでしたか?」
「凄く参考になりました。有難う御座います。」
ここで分かった事は白井多知が何物かを離昇院から持ち帰った。何の為か?ここが一番重要な問題だ。
菜摘に電話で事情を話しお互いの仮説を菜摘が帰り次第話す事にした。
あの悪夢から立ち直り菜摘が元気に帰って来た。
会社の帰りに銀座のスタバで会う事にした。
「お帰り 元気だった?」
「うん 精神的に落ち着いてる。心配掛けたね。今回は色々ありがとう。」
「うーん 元気になって良かった。また続けるけど慎重に行こうね。」
「うん 」
「電話で話した通りだけど阿栄の姪 白井多知がキーパーソンだったね。」
「私が思うに阿栄さんにしろ多知さんにしても第一に考えた事は父親の名誉を守る事を考えたんじゃないかなー。」
「だと思うよ。これから発見されるであろう幻の絵 に描かれた事をその時代の権力者達から偉大な葛飾北斎を守ろうとした。」
「父 北斎の偉大さ そして阿栄さんを尊敬していた白井さん 二人とも永遠に守ろうとした。これに尽きるわ。」
「諸説によると北齋のお墓が父方の菩提寺に一緒に埋葬されていた事が後に他家に養子に出た阿栄さんの兄(北齋の次男)崎十郎とその娘の白井多知がこれが許せなく本家から分離して阿栄さんの関係が深い今のお寺さんに移したとされている。これは事実だと思うだ。阿栄さんが守りたかった事を多知さんが引き付いた、これで葛飾北斎の名誉を 守り続けた。」
「私の考えと一緒 だから 点と線 が繋がった所に有る、」
「そうです。 この仮説しか考えられ無いよ。」
「謎の絵は、今お墓が有る浅草の誓教寺に」
「菜摘 やっと たどり着いたね。大変な事有ったけど」
「着いた。終着駅にね。」
「菜摘 誓教寺に早速アポを取ってこの仕事終わりにしようか。」
「分かったわ。明日 電話する。」
次の朝 誓教寺に今までの経緯を事細かく説明し会う事を約束した。
突然、誓教寺の方も話を聞き混迷してたらしくお会いした時話に乗り気じゃなかたが菜摘の名刺と所属しているIDを見せて話を切り出した。
「文科省文化財課ですか お話を事前にお聴きしましたがうちのお寺には北齋のお墓をまつってありますが他には北斎先生の関係した物は御座いませんが。北斎先生のこのお墓だけが当 お寺の誇りだと思ってます。先代先先代からこの辺は大火 大地震 空襲と見舞われてその都度大事な物を持ち逃げ回っていたのでどこに何が有るか分からない始末で整理したいと思いますがなかなか時間とどれが大切な物かわから何のが事実です。ですが私達が探している白井多知さんが託した物が出てきたら今の世界の注目を浴びこちらのお寺さんに最高のメリットが発生します。」
「そうでしょね。どこにお寺さんも事情は一緒です。実際大変な事ですよね。察します。」祐一が
「良かったらこの際整理したら? 私達が責任を持って整理しますが?」
「えー それは 有難いと思いますがご迷惑じゃないですか?ましてその費用などありませんが?」
「何言ってるんです。費用ばど掛かりませんよ。」
「もし発見されれば国としても称賛されます。国宝級な品物だと思います。
それではお願いしますか。」
「是非 お任せ下さい。」説得させた事に満足な二人であった。
「この奥に別棟が有ります。裏庭に小さな蔵があり大事な物はその中に入れてあります。どうぞこちらへ この奥です。」
「開けて入っていいですか?」
どうぞ」二人はいつもの手袋を取り出しはめた。
「失礼します。」扉を開けると昔の匂いがして来た。菜摘はこの匂いが好きだ。
「長年 開けて居ませんのでホコリが凄と思います。」
「何処でも同じですよね。ご心配なくご住職にも居て貰って確認をお願いしても構わないですか?」「はい 大丈夫です。」
「棚に年代別に置いて有るですか?」
「いいえ それは分からないですね。」
「品物別に年代別に明細を作っていきましょう。パソコンに入力して行きます。構わないですか? 」
「はいお願いします。」
二人は雑然とした物を1つずつ整理していった。お寺さんに大事な檀家さんの書類が多い。檀家さんからの貰い物も多い。
1つ1つ 住職に聞いて整理をして行った。三、四時間過ぎて休息し再び整理が始まった。整理する物が無くなって来た。二人が焦りが出て来た。
「なかなか出て来ませんね。整理する物もあと少しになって来たね。菜摘」
出てこない焦立ちを菜摘に声を掛けた。それを察してか菜摘はニコニコして笑顔で返した。
その時菜摘が声を上げた。
「これじゃない。 今まで一枚の絵だと思って探して来た。これって筒よね。」
「どれ どれ あっ」祐一が叫んだ。その筒が油紙で丁寧に包まれ蔵の奥の小さな棚に置かれて有った。二人は顔を見合わせ顔がほころんだ。
祐一が丁寧に油紙を剥がした。
「あった。これに間違いない。封印がしてある、」
「どうーれ 門外不出禁止 葛飾 応為と記して有る。これに間違いないわ。有ったわね。」
「ご住職 有りました。一枚の絵だと思ってたが巻き物でした。ありましたね。」
「良かったですね。整理した甲斐がありました。」
「菜摘 遂にやったね。」
「祐一 良かった。」二人はハグして喜んだ。巻き物を蔵から持ち出し仏前の座敷に白い布をを広げその巻き物を置き封印を菜摘が常備している道具ケースの中からピンセットを取り出し慎重に剥がした。今まで二人が探して求めて来た物がこの前に有る実感が伝わって巻き物のふさを解く手を震えが身体全身に伝わって来た。祐一が菜摘に声を掛けた。
「解くよ。」この瞬間の静けさがみんなの胸に感じた。巻き物を解いて布の上に広げた。
「あっ この絵は北斎が命尽きる最後に描いた人間に対しての遺言と思われる最大の絵巻物だ。この酷い目を背けたくなる絵もの語り。権力闘争、宗教戦争 神では救えない人間の愚かさを戒める為に北斎はこの絵巻物に遺言を記しただ。」
「これだったのね。今の世の中に通じるものがあるわ。神は心(魂)を救うかも知れないが身体は救えない。北斎はこれを言いたかったに違いないと私が思った。」
この絵って学術的に解釈して見ないとね。これって長さ10メートルが有るわね。描いてある絵はともかく芸術的に色彩が今までに無いタッチね。」
「そうだ。斬新的で当時では考えられ無いタッチだね。それにしてもどの絵も恐怖を全面に描かれているね。これが世の中への忠告だと思える絵巻物だ。怖い絵だけどこれで我々の仮説が正しかった事が認められた。」
歴史マニアと文化財発掘ハンターは葛飾北斎の縁で結ばれた、 終わり。
0
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