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BOiSU(Voice)の恋
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BOISU「Voice」の 恋 だいぜん 守
昔ながらの風景に近代的複合高層ビルマンションが建つ飯田橋駅前。この高層ビルに何故かマッチングしている教会。街路樹も枯葉を落とし冬を向かいいれる季節が来た。日が落ちる夕方、何処となく聞こえて来るチェロの低音で優しい音色、枯葉が舞い散る歩道にチエロを奏でる少女。少女とも言える程素直な綺麗な顔をしている。チェロの低音で優しいく奏でる音色とこの季節と教会にマッチングし人の心を優しく癒してくれる。演奏している彼女の前にケースが開いて置いてあり多少の小銭が入っている。ストリートミュージシャンとも違う雰囲気で歩道を行き交う人も奏でる音色に何故か足を止め耳を傾け聴き入ってる。
この街は昔から神楽坂で有名で学生の町でもある最近会社も増え、人の行き来が多い。彼女を取り囲む様に真剣に聴き入る人、目を閉じ演奏に陶酔している人、人それぞれに彼女のチエロの演奏に聴き入ってる。
真っ白い長袖のシャツ、裾をみじかめにめくり上げ肩に紺のカーディガンを掛け、Gパンに紺のスニーカー姿。チェロを弾くイメージにほど遠いがこれがまったく違い彼女がチェロを弾く姿、奏でる音色に違和感がなく、今の時代に合っている。丸いフレーム、ロイド眼鏡と言うのか、濃いめのグラス掛けており口元の表情しか分からないが優しい口元で曲に合わせ音を取っている。折りたたみの椅子に腰掛け足にしっかり命綱の白い杖が挟んである。彼女は目が不自由なのだ。あの濃いグラスに隠されいる瞳の奥に彼女の今までの凄まじい努力と忍耐、世間から自分が置かれている立場を理解し一生懸命生きているんだろ。
立木の周りにベンチが有り、この場に合わないサラリーマンとは違う、あごと口に無精髭をはやしてるが服装は決まっている、白いシャツにノーネクタイ、黒ぽいスーツにカシミヤのロングコート、ピカピカの黒い靴。髪形は短め。黒いフレーム薄い青色のサングラスを掛けサングラスの奥は鋭い目つきでじっと彼女の演奏を聴き入ってる。歳のころは五十を過ぎいる感じだ。一見どっちかと言うと怖もてのあちらさん風にも見える。彼は始めてこの場所に彼女の演奏を聴きに来た雰囲気とは違い何回か来ているみたいだ。奏でるメロディーに時折目をつぶり微かに首を動かしているみたいに見える。彼はクラシックが好きなのか?
この場所は教会の神父さんと、このビルの管理会社に許可を取っているらしい。一曲二十分程度の演奏が終わり彼女は軽く会釈をした。周りから拍手が起こり演奏を聴いて感動した人、又可哀想に思って同情した人が楽器ケースに小銭えお入れて行く。一応お金を入れる人が終るころ、彼は彼女に近寄り内ポケットから高そうな財布から何気なく一万円札取り出しケースに入れる。
「いつも素敵な演終るころ、彼は彼女に近寄り内ポケットから高そうな財布から何気なく一万円札取り出しケースに入れる。
「いつも素敵な演奏ありがとう。今日はヴァオザーク:協奏曲 ロ短調 作品104 だね。 これも僕の好きな曲だ」彼は一言、言ってお金を入れた。
「あのー 」彼女は会釈をしながら彼に何か言いたげに声を掛けた。何故 いつも人だと分かったのか、彼女は音を聞く敏感さと匂いが生命線なのだ。五感の一つは失われているが普通の人より敏感だ。彼が近寄る靴の音yc、あと彼の甘い匂いで分かった。
「うっん 何か?」落ちた低い声で彼女に問い掛けた。
「 いつも演奏を聴いて頂きありがとうございます。チェロの事、詳しいですね。嬉しいです。あのーそのーお金の----」彼女は言いにくそうに
「うっん お金が何か?」彼は優しくx問い掛けた。
「はっい いつも沢山のお金ありがとうございます。有り難い気持ちでいっぱいです。でも 私 こんな大きなお金 頂く訳にはいきません。」彼女はそう言いながら首からぶら下がっているポッシットから今まで頂いたお金を取り出し返そうと彼に差し出した。
「待ちなさい。」静かな声で制止した。
「でもー」困った彼女に語りかけた。
「君は分かると思うが世の中のコンサートを聴きに行くと当然入場料を払うよね。それは分かるね。」
「はい」
「そこにはランクズケが有るだよ。A席B席C席とね。一番高い席では一万円以上はするんだよ。君の演奏はそれだけの価値が有ると思うんだ。こんな近くな場所でライブで聴けて僕は君の奏でる音色で癒されたんだよ。」諭す様に言った。自分の事を僕、何て言ったの小学校低学年以来だ。何かくすぐってな。ここは彼女に印象良くしないと彼女に怖がられるといけないよな。
「あっ はい」
「だから 受け取って良いんだよ。」そう言いながら彼女の手に包み込む様にお金をポッシットに入れてあげた。
「ありがとうございます。」私の演奏を理解し認められた事を嬉しくて彼女は深々頭を下げた。彼女は彼の優しい声と暖かい手の感触を心に刻んだと思う。
「ありがとう。無理をしない様に続けて下さい。」そう言いながらその場所を離れた。彼女は靴の音の方に向いて会釈し音が聞こえ無くなるまで見送った。
ここで彼女 、本郷 瞳 二十歳までの生い立ちを話しておこう。その前に皆様、目をつぶってもらいその状態で考えて下さい。無も見えない恐怖に落ち入ります。だが貴方は過去 、今現在の全てが脳裏にインプットされ脳裏に浮かび上がります。彼女はまだ何も脳裏に残され無いまま一歳に盲目になりました。彼女は二十歳になるまで死に物狂いの努力と忍耐、自分が生きて行く業を身に付けた。それを献身な心で支えたご両親の愛そのものです。
父 本郷 雄一郎 新宿に近い西武線下落合に祖父の代から小規模なネジ製造を営んでいた。母 本郷 静子 は28歳の時 趣味のチェロ演奏で雄一郎と出会い結婚。7年後瞳を出産。やっと授かった瞳を溺愛した。最高の幸せを感じ一歳の誕生日を迎える五日前突然その日が襲って来た。
「わーわーんわんギアーうん~わー」泣き止ま無い瞳に驚いた静子は抱き上げた時、今までに無い高熱に静子は素人りょほうで自分のしてる限りの手を尽くしたが泣き止まず静子は瞳にイライラしてた。
「ねえ どうしたの瞳 お願いだから泣くのやめて お父さん お父さん 助けてー」いら立つ声で雄一郎を呼んだ。
「どうした静子」静子の異常さに驚いて飛んで来た。
「瞳が泣き止まず、それにこの熱、 熱冷ましの座薬入れてもなかなか下がらないのどうしたらいいの?」雄一郎に助けてを求めた。
「瞳 瞳 どうしたの」雄一郎を抱き上げあやしたが瞳の熱が雄一郎の全身に伝わて来た。
「おい 救急車だ。病院に連れて行こう。静子 早く救急車呼んでくれ。」静子は動揺し受話器を持ったままだ。
「静子 俺が電話するから瞳を頼む。」雄一郎は瞳を静子に預け受話器を取り119番に掛けた。
「あっ もしもし 」
「どうしました。」
「娘が高熱で熱が下がらない。来て下さい。早く救急車をお願いします。」
「熱が下がらないですね。泣き止ま無いですね。はい 分かりました。そちらの場所は あー 住所は」
「あっ はい 新宿区下落合1の33の4 本郷ネジ製作所 本郷 です。早くきて下さい。お願いします」
「分かりました。今 すぐに行きます。お待ち下さい。」
「静子 5分ぐらいで来るから 財布と保険証を用意して」静子は動揺して何も出来ない。それから4分ぐらいで遠くからサイレンの音が聞こえて来た。静子は瞳を温かい毛布で包み込む玄関で救急車を待った。
救急車が着くと夫婦で乗り込んだで救命士の指図に従い泣き止ま無い瞳を不安そうなに抱きかかえている静子の手を雄一郎はぎゅっと握り締めていた。無線で病院とやり取りして中々救急車が出ない。
「どうして出ないですか?」雄一郎もやり取りにイライラしきつい声で言った。
「あー すいません この時間ですから相手の病院に小児科医が在中しているか問い合わせしているんです。しばらくお待ち下さい。」三 四軒の病院に問い合わせしていた。
「はい 分かりました。それでは今から行きます。」病院が決まったようだ。
「決まりました。新宿西口 ある東京医科大学病院に向かいます。」
「お願いします。早くお願い」泣き止ま無い瞳をだきしめ祈る気持ちで瞳の顔を撫ぜた。新宿西口に近い東京医科大学は下落合からそんな遠くない。静子は泣き止ま無い瞳を抱き抱えたままこの時間が長く感じたに違いない。
「お母さん着きましたから赤ちゃんを抱っこしたまま着いて来て下さい。こちらから入ります。」連絡受けて緊急口のドアから看護師が出て待って居てくれた。
「どうしましたか?」救命士に状態を聞いて来た。
「はい 熱が38度5分相当高熱です。」
「はい 分かりました。お母さん そのまま抱いたまま着いて来て下さい。」救命士が無線で慌ただしく連絡し合っていた。内科の当直医が居る場所まで小走り行った。着くと同時に一人の看護師が瞳を抱きかかえ幼児用ベッド寝かした。つかさず若い当直医が
「どうしましたか?」
「先生 子供が泣き止まいです。熱が下がらないです。どうしたんでしょ。」
「お母さん大丈夫ですよ、 今見て見ますからね。」
「高橋さん 熱を測って」そう言いながらライトペンで瞳を照らし網膜を確認し聴診器で瞳の胸に当て鼓動を確認し再びライトで瞳を視ていた。
「先生 38度7です。」
「あー 分かった。APS打って」
「お母さん これから熱を下げる為注射しますから」
「はい お願いします。」
「熱が下がるまでちょっと時間がかかりますので外の椅子に掛けてお待ち下さい」。静子は当直医が若い医師なので少し心配してた。
「お母さん」看護師が呼びに来た。2ー30分経ったか 瞳も泣き止み落ち着いて来たが長い間泣きじゃくっていた為ぐったりし眠って居る様に見える。
「お母さん 一応 熱は収まりました。あと詳しい検査をしたいので」
「これから検査を?」
「あっ いえ 検査は明日午前中にします。今日はこのまま病院に瞳ちゃんとお泊まり下さい。明日 いろいろありますから、何せ幼児ですから慎重に視て行きたいので」
「先生 いろいろ検査って」静子は単純に熱が下がたのでそれで良いのかとそう思っていた。
「高熱だったのでMRAをとって脳を調べあと神経 内科関係と眼科」
「はい 分かりました。」何か静子は心配になって来た。
「お父さん、私はこのまま瞳に付いて居ますから、父さん、明日仕事あありますから家に帰って休んで下さい。」
「あー 分かった。静子 病院に任せあまり心配しない様に神経がまいちゃうからね。」真っ赤に腫れた目を見て雄一郎は静子の身体を心配して言った。
「私の事だったら心配しないで大丈夫だから、明日の検査が心配だけ、父さん気お付けてね。」
「じゃあ行くから、何か有ったら連絡してくれ。」静子は雄一郎の淋しい背中を見送った。
静子は夜中じゅう一睡もせず瞳に付き添っていたが朝方睡魔に負けて寝てしまった。朝 瞳の泣き声でびっくりして目が覚めた。昨日の叫び声とは明らかに違っていた。お腹が空いただろ瞳を抱き上げ離乳食を貰いにナースステーション行った。
「本郷さん 今 病室にお伺いしようかと離乳食を用意してたです。丁度良かった。あっ それと午前中の検査のスケジュールをご説明します。」昨日の深夜と違って病院 全体が明るく脈を打つ様に動き出した。静子の心も幾らか安心感が持てた。
「まず9時にMRAの検査をし あっ これは脳検査で総合内科で血液検査と喉、肺のレントゲン検査 神経内科 外科 の検査 お母様も大変でしょうがしっかりして下さい。あーそれと眼科の最後検査を受けます。その都度お子様を抱き一緒に受けて下さい。順番はこちらから言います。」静子は思った。やっぱしあれだけの高熱だからいろいろな検査が有るだろーと思った。が最後の眼科の検査が静子は気になった。
瞳もいつもの様に元気を取り戻して来た。心配している雄一郎に連絡を入れて事情を話した。
最後眼科の検査を残し病室で待った。
「この子が無事に家に帰れます様に」神に祈る気持ちで待った。暫くしてから看護師が迎えに来た。
「本郷さん これから眼科の先生に視て貰いますからどうぞ」眼科に行くと年配の先生が何か険しい顔し液晶パネルで各科の検査結果を観入っていた。
「お母さん こちらに瞳ちゃんを抱いてお座り下さい。」そう言いながら瞳の目を開きライトペンで左右に動かせて何かを確認して見せた。
「お母さん 瞳ちゃんはまだ幼児な為通常の検査が出来ないですが今直視の検査で網膜に異常が見られます。これがどう言う事かこれから説明します。お母さんこれから言う事をしっかり心に受け止め動揺しないで下さい。」静子は先生の一言一言が胸に刺さり激しく心臓が脈打つのが静子は押さえる事か出来ない。
「お母さん この病名は難しく言うとステイーバンス-ジョンソン症侯群と言いマイコラブラズマ感染や一部のウイルス感染に伴い発病するもので難病に指定されてます。今の医学ではどう言うウイルスかはまだ分かってい無い現状です。治療法も成人と異なり幼児の場合は大変難しいです。赤ちゃんは今どんどん成長して行きますので今の治療法を用いると成長にどんな障害をきたし人間としての機能のダメージが出て来るか分かりません、だから成人と同じ医療法を使う事が出来ないです。瞳ちゃんがこれから育って行って治療法に適用した時にしかはっきり言って今は手を打てないです。それともう一つ考えられる病名として角膜変性症でこの治療法は角膜移植しか無いです。お母さん 瞳ちゃんは両目が全然見え無い訳じゃあ無いです。多少薄っすらと光が感じられます。この感じを維持して将来角膜移植をすれば見える様になりますから希望を捨てないで下さい。
「先生 はっきり 言って下さい。」
「お母さん瞳ちゃんは今は失明状態です。」突然悪魔が瞳に襲いかかった。静子は暫く先生の言う事が理解出来ず呆然としていたが我が子、瞳を抱きしめ喚き泣き始めた。お母様 しっかりして下さい。」看護士が静子の肩を抱きしめなだめた。
「お母さんには大変ショックな事で察します。これから、これ以上悪化しない様に視て行きましょ。お母さん気を落とさずしっかりして下さい。」
「先生 何故 瞳が不幸を背負はなくて行けないの 先生 教えて下さい。瞳は何も悪い事して無いのに」静子はそう言いながら泣き止まなかった。
「将来、医学も今以上に進歩し確実に手術すれば見える様になります。それまで様子を見て行きましょね。お母さんしっかりして今後の瞳ちゃんの生活を考えて見ましょ。何でも相談に乗りますので」静子は現実を直視出来ず毎日が抜け殻の様に過ごした。瞳を抱きしめあやし食事を与え日々を過ごした。雄一郎は静子の痩せ細って行く姿にどう慰めるか戸惑った。両親が瞳の一歳の誕生日を楽しみにしてたが一歳の誕生日を祝う気持ちも伏せてふたりには会話すら無くなっていた。あんなにも明るかった家庭も暗く静まり返って工場の機械の音だけが変わりなく鳴り響いている。何日か経ったか分からない程日々が経った日、いつも物静かな雄一郎が静子の落ち込む姿に煮を察し静子に問い掛けた。
「母さん いつまで現実から背を向けて生活しても何も始まらない。瞳の将来を考えてふたりで瞳が生きて行ける様に育て上げるのが我々に課せれた試練だと思うがここで静子が落ち込んだままでいたら瞳が可哀想。 ふたりで頑張ってみよう。父さんも一生懸命仕事をし瞳の手術費用を稼ぐから、母さん目を覚ましてくれないか?」静子は雄一郎の激しくも冷静な説得に我に帰って雄一郎の胸に飛び込み泣きじゃた。
「ごめんなさい。 ごめんなさい。あなた 瞳 ごめんなさい。」雄一郎は静子が現実に帰ってくれた事に嬉しくなり静子と瞳を抱きしめた。
「視覚障害者としてハンデイを背おうがふたりで世間に恥じない子に育て自立して生きて行ける様にふたりで育てなくては瞳に申し訳ない。」静子はうなずく様に
「はい お父さん分かったわ 。もう 大丈夫よ。大丈夫」ハンデイを背負うこの子を絶対に育て上げると誓い。瞳を抱きしめた。
「お父さん 一年足らずの記憶で私たちの顔を覚えててくれるかしら?」たった一年間の幼児の脳裏に記憶してくれる事を祈った。
「大丈夫だよ。母さん 瞳はきっと母さんの顔を覚えてくれるよ。」
「そうよね。 私とお父さんの顔を覚えていて 目が見える様になった時、笑顔で私たち向かい入れてくれるわね。」
「うん、 そうだ」ふたりに明るい笑顔が戻った。
「これから瞳の為、私も勉強し瞳と一緒に生きていくわ。」雄一郎は静子が元気になってくれた事を心から喜んだ。
自分が今 失明したとしても今まで見て来た事や経験した事が脳裏に刻まれて世の中の仕組みが分かるが瞳は何も今の世の中の事は記憶に無い。そのことを考えると何と悲しい事か静子は胸が裂けそうに痛んだ。この子が育って行く過程でどの様に教育して行けばいいか普通の子を育てる何倍も努力が必要だと自覚した。
瞳が言葉を覚えると同時に点字も一緒に教えて行かないといけない。今から私が点字をマスターしておかないといけない。
「お父さん お父さん 」雄一郎は仕事場で機械を動かしているから静子の呼ぶ声が聞こえなかった。何度か呼ばれた時、聞えたらしくやっと返事があった。
「何か呼んだ? 」
「お父さん 近いうち瞳連れて盲学校に行っていろいろ聞いて来ようかしらと思っているんだけど?点字も勉強しないと思って」
「そうだな 私も点字ぐらい覚えておかないと、いろいろ教えなくてはいけない事が有るからなー 盲学校って何処に有るか調べないと」
「もうー 調べた。 文京区に二カ所と葛飾に一カ所 都内では三カ所見たい」
「あー、そうか ここから近い所は文京区だね。」
「私もそう思った。後楽園の近く見たい。電車で行くのに便利だし、いろいろ相談して見る」
静子は瞳を連れ東京都立文京盲学校に行った。飯田橋駅からすぐで小石川後楽園に隣接した6階建の重厚な建物で静子は安心した。
受付に行き手続きをした後、通された部屋で説明を受けた。
盲学校 盲学校は、視覚障害者に対する教育を行う特別支援学校の校名の一形態である。2007年4月1日より前は視覚障害者に対する教育を行う学校は制度として「盲学校」の名称が使われていたので、2000年代においては、しばしば見かけられる校名である。日本では2007年施行の学校教育法改正により聾学校、養護学校ともに、学校種が「特別支援学校」となり、場合によっては「視覚特別支援学校」の名称の特別支援学校もある。
自分の安全を図る為の手段とその工夫を学びつつ、点字などを中心に幼稚園、小学校 、中学校、高等学校に準じた教育が行なわれいる。
「本郷 瞳 さんのお母様 静子様ですか」名称と学校の案内パンフレットを渡された。
「はい」
「事務長の酒井です。宜しくお願いします。瞳ちゃんは?」
「はい 一歳の時、高熱で泣き止まず大学病院に緊急で入り眼科医の先生見てもらたら感染性角膜炎で角膜変性症診断されました。」
「大変だったでしょ。 光が薄っすら見える程度ですか?お母さん 現実を見て瞳ちゃんの将来の事を考えて学校と共に頑張りましょ」
「攻めて高等学校までの教育をと思いまして。」
「ご安心下さい。幼稚園から高等学校までとその上の専門学校までの教育をしてます。まだ瞳ちゃんは2歳になったばかりなので世間一般の学校制度と同じで6歳から幼稚園に通えます。点字ですべてを教育して行きます。まだ入園まで3年有りますので先ずお母様が点字をマスターされないといけません。」
「はい そう思って今日来ました。何かいい参考書が有りましたら教えて下さい。」
「はい 分かりました。瞳ちゃんの将来の為に親御さんが今から勉強しなくてはいけないのです。ここに参考書を用意して置きましたのでお持ち帰りして今日から点字を勉強して下さい。」
「はい 分かりました。」静子はいろいろ説明を受け一安心した様子で都の運営でなかなかしっかりした学校と思った。
子供は育つのは早い、あっと言う間に瞳はハイハイする様になって来た。つかまり立ちをしヨチヨチ歩くのももうすぐだ。目が見え無いからあっちこっちぶつかるだろー。これも痛さを身体で実感し瞳自身が体で思えて行くしかない。人間が持っている五感 瞳は一つ欠けたがそれ以上のものを瞳に植え付けさせないと思う。私 自身が瞳と同じ条件で物事を考えて教えていかないといけないと思った。
静子は毎日のように好きなチエロを嬉しい時、淋しい時、悲しい時、時間が有れば弾いてたが瞳の事が有ってから2年間ぐらい遠ざかっていた。静子にも少し心に余裕が生まれ好きなチェロを弾きたくなった。それより瞳にチエロの音色を聴かせたかった。
チエロを弾き始めると今までぐずっていた瞳が音がする方に顔を向けじっと耳を傾ける仕草を取りぐずるのを辞めた。静かにお座りして音を聴いてた。この瞬間、静子は目から涙が溢れて今すぐにも瞳を抱きしめたかった。
「お前もこの音色が好きなのかい。この音色でお父さんと結ばれたんだよ」静子が大学生の時ライブハウスでチェロを聴いてたころクラシックが好きで特にチェロの音色が好きな雄一郎が静子に猛烈にアッタクし結ばれた。
「瞳 この曲は父さんと出会いのきっかけ作ってくれたシューマン:チェロ協奏曲 イ 短調 作品129の 曲で母さんも大好き曲なの」瞳はまるで目が見えるような目でじっと私の方を見つめていた。
「これから毎日 素敵な音色を聴かせて上げるからね。」
「そうだ 瞳にチェロを教えてあげないと。私が瞳に上げられる物はこれしかないわ。」瞳が興味を持った事がよほど嬉しかったか静子は我が子に聴かせる様に弓を弾いた。
ヨチヨチ歩きしあっちこっちとぶつかり悲鳴をあげ泣叫ぶ瞳に目が放せない。日に日に成長して行く瞳に心配が増えて行く。家事をやるにも瞳にひも結び片方を自分結びこのひもが命綱になっている。
「お父さん 食事 出来ましたよ。」瞳を抱っこし工場に行き雄一郎に声を掛けた。
「おーおー 可哀想だね。アザだらけだね さあー 抱っこしてやろう。こっちへおいで、さあー いい子だ いい子だ。ほら 父さんのお顔だよ 触ってご覧」泣き止んだ瞳に自分の顔に瞳の手のひらを撫ぜ撫ぜさせた。我が子に父親の顔を認識させたい思いでその都度顔や頭 腕など触らせていた。母親静子を同様な触れさして自分の顔を覚えさしていた。二人共瞳が不敏で時折泣いていたが最近は現実を見つめて瞳に愛情を注いだ。父親は家中の柱や 机椅子、瞳がぶつかりそうな物にスポンジを巻き怪我をし無い様にした。
4歳になって歩行もしっかりして来た頃、静子は様を決心して瞳を家の外に連れ出し杖を使い歩行訓練を実行した。盲学校の指導で4歳ごろに命綱になる白い杖を慣れさせて杖が自分の体の一部になる様に指導して行く様に、白い杖から伝わるすべてを指先 、手のひら、腕、体全体で感じ神経を取り澄まし脳に伝える。この年齢が4歳児から適しているらしい。
「お父さん お父さん 今日から瞳を外に行って訓練します。」
「お母さん これなーに」瞳は足に膝あて、腕あてサポーターをした。このサポーターが気になるらしい。
「これは 瞳が転んでも痛くない様にしてあるのよ。」
「おー お待たせ いよいよ 瞳のお外デビューか 頑張って来いよ。」そう言いながら瞳を抱き上げいつもの様に自分の顔を撫ぜさせた。瞳はこれから起こる事に不安そうな顔をした。
「さあー 瞳 靴を履きましょうね。この杖で探して見ようね」杖をしっかり握らせた上から静子の手のひらで覆い杖の使い方を優しく教えて行った。五感に一つ欠ける盲目障害者にとっては白い杖は自分の命だ。そして耳からの聞こえる音 、聴覚。匂い、嗅覚。 あとは感覚。生きていく全てだ。
「お母さん 何かにぶつかったよ。これ瞳の靴?」杖から伝わる感覚を覚えたに違いない。
「あー、 そうそう 杖から伝わったでしょ。 しゃがんで手で触ってご覧 ほら これが瞳の靴よ。」外に行く以前に靴に触れさし覚えさしていた。
「アッ これだ上にリボンが付いている。」嬉しそうに自分の靴を撫でいた。
「さあー 杖を持って 杖が何処に行かない様に杖ひもを手首に巻いてね。杖の先を自分の足元に指し自分が行く方向に地面を軽く叩いて地面のデコボコと地面にある物を避けるのよ。」
「お母さん 怖いよ 怖い 外に行くのやだー」泣いて体が動かない瞳 怖がるこんな小さな子にこの試練を体に覚えさせないとこの子が生きて行けない。この事を静子は自分に言い聞かせ自分が鬼になっても教えて行かないと瞳を無理やり背中を押して歩かせた。
「さあー、行こうね。お外は楽しい事がいっぱいあるわよ」世間から鬼母と言われてもやり遂げないと将来の瞳の人生が掛かっている。家から出るといきなり道路 。車が行き交うオートバイ 自転車が道路を走る。この音が瞳にはどう感じたか?自分が目をつぶっても自分の脳裏に何かは分かる。分かっても怖い。それが何かも分からない瞳の脳裏に映ったのは何だったろう。瞳には徐々に点字を教えているが名前は分かっても大きさ形どう言う音を出すのか全てが未知なのだ。怖がるのも当たり前だのだ。今日は家から10メートルにした。この10メートルの距離に教える事がいっぱいある。普通の人の100倍覚えないと行けない瞳。 耐えて頑張って欲しいと心言い聞かせていた静子であった。
外の訓練が日々続いた。大分 距離も延びて瞳も泣かなくなった。
「瞳 ここが横断歩道だよ。道路にデコボコが杖で分かるでしょこれが記し。横断歩道は向う側に渡る時に必ず使う場所で道路を渡る時は必ず信号機が有る場所を渡るのよ。ほら 信号機が青に変わると音が聞こえて来たでしょ鳥の声が」
「うん 鳥の声聞こえてる」
「今いる所の鳥の声と渡る向こう側の鳥の声が違うでしょ。渡る時、今居る鳥の声で渡り向う側の鳥の声で渡り終るの覚えていてね。」
「うん、覚えておく」信号機に警告音が無い所が多いのでその時はそばに居る人に助けて貰う事も教えて行かなくては 盲学校に入ればいろいろ教えてくれる。焦らず教えて行こう。
あと1年で盲学校 。その前に女の子として家庭の日常生活に覚えないと行けない事を手を取り教えた。
「瞳 これがタンス 瞳のお洋服が入って居るのよ。上から下まで引き出しが五段あるの引き出しの右側にお母さんが点字を掘って置いたから触って見て、上からね。」
「うん、 これ分かった。お洋服だ。アッ この引き出しは下着だ。」
「上の段から下の段 まで瞳 の着る物が入って居るからそれとそれぞれ着る物の前側に色や形が点字を刺繍して有るから分かるわ」瞳は引き出しを開けそれぞれの物を出し触って点字を確認してた。
母親の愛情で生きて行く素手を身につけていた。
何処に行くにも普通の人の倍掛かる時間、白い杖を頼りに行けるのも母の献身的な教えがあったからだ。中野のアパートから飯田橋まで中央線で来るが電車を利用する場合は混雑する時間帯を避ける様にしてる。私たちが生きて行くには人の善意が欠かせない。
「本郷さん今日はちょと寒いですね。風邪をひかない様に気を付けてくださいね。今度 日曜日のミサの後に本郷さんのコンサートをお願いしたいのですがどうでしょう?」教会の神父さんがいつも声をかけて気を使って心配して下さっている。
「アッ 神父さんいつも心使い方有りがとうございます。私で良かったら何時でもいいですからコンサートをやらせて下さい。」
「ありがとう。日にちが決まりましたらお伝えします。今日も素敵な音色を聴かせて下さね。」
「はい 」いつもの場所にいつもの様にセッティングした。
(今日は来て下さるかしら?あれから10日も経った。あの人が来てたら私にはすぐに分かる。)瞳は自分でも分からない感情が動き始めた。これが恋する気持か初めての経験
(あの人の優しい声 手を握られて分かった温かさ、あの人の臭い。私が奏でるチェロの音色があの人に会わせてくれた。あの人が気になる人になった。)瞳は母親にそれなりに聞いてたが実際に起きたこの心のときめき淡い気持ち初めて人に恋をしてた。
椅子に座り心を落ち着かせ演奏に入った。
(演奏し始めて瞳は気づた。あの人が聴きに来ている。私にははっきり感じている。あの靴の足音 温かい臭い、あの人の視線を感じた。)バッハ無伴奏チェロ組曲第5番いつもより演奏に実が入り今までに無い音色が聴いて居る人の心にしみ込んでいた。演奏が終わり感激した人がチェロケースにお金をいれて行く。
(あの人が近付いて来る。瞳には分かった。)瞳の心は鼓動で体全身が興奮している。
「今日はいつもより素晴らしい演奏だったよ。心に打たれた、ありがとう。」そう言いながら財布から1万円を取るだしそっとケースに入れた。
「いつもありがとうございます。 あのー まっ------」瞳はいつも待って居たって言いたかったに違いない。話しをしたい気持ちでいっぱいだった。あの人の靴の足音が離れて行く。その時悲鳴が 周りの人が騒然し
「泥棒 泥棒だー」誰ともなく叫ぶ人 瞳は某然と立ちふさんでいる。
彼がその騒ぎに振り返とケースからお金をわしづかみして逃げ様としてる男に瞬間、素早く足払いし倒れた男を羽交い締めにし腕を締め上げて男の耳元で小さな声で言った。
「ふざけた事すんじゃね。 今度しあがったらこの腕が無いと思え」ドスの効いた声で言った。
「アッ あー 痛え 許してくれー」彼は男の手から金を奪い取った。男は一目散に逃げて行った。
何も無かったかの様に冷静に、怖がっている彼女に近寄ってお金を手渡した。瞬間彼女の手は小刻みに震えていたが直ぐにも震えは治まって行くのが男には分かった。安心しただろ。
「大丈夫 怪がし無かった。」
「ありがとうございます。怖かった。」瞳はこう言いながら気持ち男の胸に埋める様なしぐさをした。せっいっぱい女の本能がそうした。
「もう 二度と来ないから心配しない様に」
「今日はバッハだね。えーと 無伴奏チェロ組曲第5番」
「エッ 凄い 何でも知っているんですね。」
「うーん、チエロが好きでね 。今日もみんな聞き入ってたよ。素晴らしかった。」
さっき聞いて見たかった事を勇気出して聞いた。
「あのー 三回ぐらいお見えにならなかったのでどうしたのかしらと?」楽器ケースにチェロをしまいながら恥ずかしそう聞いた。
「うんー 仕事で聴きに来れなかった。」男はアバウトに言った。
「ちょと 心配--------」瞳はそこまでしか言えなかった。
「何処まで帰るの? 駅まで行こう。」
「はい」 瞳はこの言葉が嬉しかった。瞳はこの男の事をいっぱい知りたい、もっとお話ししたいとの気持ちが素直に出た。
「チェロをケースに入れて背負うと大きいだね。ハハハー」
「えーそうなんです 。チエロが歩いている見たいって言われます。私には見えないですが世話をしてくれる人が言います。」
「だけど 絵になっているよ。」
,「本当に 嬉しいー」
「そう 言ったものの、だけど僕が持とうか?」
「いいえ 自分が あのー 私たちはこの杖を頼りに歩くので人の倍 時間が掛かるので大丈夫ですか?」
「僕に君の大変さは心から分かる、同情はするけど余程の事が無い限り手を差し伸べ事はしない。何故なら君は生きて行かなければならないからだ。君の母上と多分同じだよ。」
「はい 分かってます。あのー、差使えなかったら お名前聞いてもいいですか」
「私は本郷 瞳 もうすぐ二十歳です。あと一ヶ月で」
「西城 です。」彼女には自分が見えない事で安心感があった。この男の素姓は巷で俗に言うヤクザだ。西城 竜二、52歳 新宿歌舞伎町界隈では一様名が知れている人物だ。又の名をクラシックの源って云われているぐらい、いつも聴いてるらしい。
「西城さん 下の名前も聞いてもいいですか?」
「うんー 竜二」
「強そうな名前ですね。」瞳は何か話しを続けてこのまま一緒に居たかった。
「そうかなー 名前だけだよ」西城もこの子が見様に心に引っかかりこのまま別れるのが惜しんだ。
「あのー さすかいなかったらお仕事聞いてもいいですか?」瞳は何をしているか興味があった。
「そうだなー、今風に言えばIT関係かな」西城突然なので言葉を濁した。
「コンピューター関係ですか?」
「そんなとこだ。そうだ 君はコヒー好きか?」西城はこれ以上の質問を封じた。
「はい 好きです。」瞳は初めて男性に誘われた事が嬉しかった。
「この近くに美味しいコヒーを飲ませるお店があるんだ。ケーキも美味しいよ。少し歩くけどいいかな」
「はい 大丈夫です。私 ケーキも大好きです。」小さなスクランブル交差点を渡り下に中央線、総武線が走る陸橋を歩き少し坂になっている所を下りここが神楽坂だ。西城は杖の邪魔にならない様に瞳の後ろにそう様に歩く。瞳は大きなケースを背負い道路のデコボコを探り杖を頼りに歩く。この光景をまじかに目にした西城は複雑な気持ちになった。目が見える我々はごく自然に歩いているのに瞳は真剣に一歩一歩探りながら前に進でいる。目が見え無い事がいかに過酷で残酷か、西城は胸に刺さっるものがあった。
「ここが神楽坂の交差点 ここの角にあるお店がケーキショップ この奥にカナル カッフエ。江戸時代の名残のお堀を運河に見たせたお店なんだ。下に降りる階段が有るから気をつけて うーん 上から5段」瞳は階段の端に杖をやり探りながら降りて行く。
「大丈夫です。」行く所は事前 に点字の地図で調べてから行動に移すので初めての場所は瞳に取っては勇気がいる。
「おー 降りたね。突き当りは店内のお店 食事などするところ。今日はアウトドアで行こう。」
「エッ 何ですか?」
「これからは僕が案内する。」何の事か分からず立ち止まっていた瞳の手を取り奥の方に誘導した。
「運河のデッキでコーヒーを飲もう。」中程まで行きテーブルを触れさせ、椅子教え 隣りの椅子にチエロを置かせて瞳を座らせた。
「あっ お水の音 風が水面を撫ぜて行く音がする。チャプチャプと何かにはね返る水の音鳥のさえずりも、電車の走る音」いつもと違う雰囲気で聞く音がすごく新鮮聞こえた。
「ちょと 寒いけど 大丈夫」
「うん へいきです。」
「電車が走る向こうに土手になていて 春には桜が綺麗で土手の向こうが教会、 そこで君がいつもライブする所だよ。」
「西城さんが 細かく説明してくれるんでとても嬉しいです。ありがとうございます。」
お店のスタッフがオーダーを聞きに来た。
「あったかい コーヒーを二つ それからモンブランのケーキ2ツ」
「はい 分かりました。」店員はサングラスを掛けた瞳を見て不思議そうな顔をした。
しばらくするとコーヒーとケーキが運ばれた。
「これがコーヒー カップ 隣にモンブランのケーキ 。コーヒーに砂糖 ミルクいる。」カップとケーキの皿を手を添えて触れさした。
「ありがとうございます。砂糖はいりません。ミルクだけ少しお願いします。」ひとつひとつの優しさに瞳は嬉しく涙した。サングラスの下に指を入れ涙を拭いた。
「じゃあ 入れるよ。このぐらいかな?あーごめんごめん、失礼な事言ってしまった。さあ 飲んで見てごらん。」
「おいしぃ」瞳は両手でカップを探す様にしてコーヒーを飲んだ。
「コーヒーはよく飲むの?」
「はい うちで挽いた豆を買って来て立てて飲みます。母がこうしてよく飲んでましたので私も真似て飲んでます。」
「知ってます? 飯田橋西口を降りて小石川後楽園の側に私が通っていた盲学校あるです。東口の方は初めてです。こんな所が有ったですね。」
「あー そうなんだ通っていた盲学校が」西城は詳しくは聞けなかった。
「母親と一緒にね。これは盲学校の規則だから12年間母親が一番苦労したと思う。」
「ところで君はチエロをどこで習ったの?ハンディ背負いながら」
「私をここまでに育ててくれたのは母親と父親です。本当に感謝してます。母親は世間から何と言われても私を一人前してくれました。チエロは母親からです。」
瞳は何かを思い出すかの様に話し始めた。1歳になる前に高熱で目が見えなくなった見たいです。両親は何カ所も病院を捜し周りあらゆる手を尽くしたが治らなかった。母親が一番罪悪感を感じてた見たいで母親の一生を私が貰った見たい。よちよち歩き出した頃
「瞳は チエロの音色が好きなのね。」母親が奏でるチエロの前に座り音色を聴きニコニコしてた。
四歳なってから母親がバヨリンをチエロにしたて一緒演奏し母親の真似をしてた。見えない分、音を分析し習得する機能が発達して音符を理解してた。
毎日の日課に先ず歩行練習、日常生活の全てを自習、盲学校入学の6歳までに点字の習得、世間のモラル、一人で生きて行くノウハウを身に付ける為母親が死に物狂いに教えた。ある日 外の歩行練習で泣きじゃくる瞳に容赦無く杖の使い方を教えてた時周りの人に警察に通報されパトカー来た事が何度もあった。そのぐらい母親はスパルタだった。
点字が分かる様になって来た頃母親が楽譜を点字にしてくれた。その頃から本格的にチエロを弾く様になって来た。
「母親がよく言ってたです。瞳は小さい時よく泣いていたて、盲学校入学してから泣かなくなったて、私も覚えている。気が強くなったのね。ハハハハハー」
「うーん、」感心するぐらいでその世界がどんなものか想像出来ない西城がいた。
「盲学校でもいじめがあったの、みんな目が見えないハンデ背負ってのにバカ見たい。私は名前が瞳だから低学年の時、目が見えないのに瞳かよってよく言ってた。盲学校は普通の学校と教えてもらう事は一緒だった。昔は目の見えない人はほとんどがマッサージ氏になった見たい。今は時代に沿ってコンピューターのプログラマーなんてやれる事は広がった見たいだが現実には就職は無い。みんな世間の影で生きて行く見たい。
私はそんな人生 やだ。 母親が必死になって私に与え教えた事を大事にしたいです。」
「瞳ちゃんの事、 俺はどうして慰めていいか自分でも分からない。どう励ましていいか分からない。」西城はこの子と生きている世界が違いすぎる。俺の素性が分かったらと思うと西城は何も言葉に出ない。ただ共通する事はチエロの音色が好きだと言う事しかない。
「同情 何ていらない。慰め何ってしなくていい。ただ 普通の人みたいにお話し普通にお付き合いして欲しいの」瞳はそう言ってサングラスの奥の目から大粒の涙を流した。
「ごめん ごめん 普通世間の人は誰氏もが同情するだろ、それが人間にとって当たり前の事なんだ。そう思わない人は世間からバッシングされる。そう言う事だからハンディ背負っている人の考え受け方次第だと思うだ。あんまり俺 上手く言えないが共存して行くしかない。助けあいだ。君はチエロの優しい音色を病んでいる人に聴かせる事何じゃないの」三周りも違う年下の子に何を言って聞かすか分からない。
「こちらこそ ごめんなさい。私しが間違っていたかも知りません。私にも世間に恩返しができる事が分かりました。」私の奏でる音色で病んでいる人に少しでも役に立てるだったら私も頑張りたいと思う。
「ほら モンブラン 美味しいよ」
「西城さんは甘い物お好きですか?」
「うーん 好きだね。君のチエロの次かな」
「そうそう うちの父親と母親の出会いはチエロが縁なの 西城さんと瞳 見たい。」照れ笑いしながら言った。
「そうなんだ。チエロが縁か」西城も照れ草そうに返した。
西城さん このお店よくいらしゃるですか?」
「もう 昔かな 前は高いビルが無かったからなー。今は君が演奏してた場所、あそこに大きな高いマンション商業ビルが建ったので風景が一変してしまった。土手の桜並木は変らないのが救いだなー」西城は上手に情景を説明出来ない歯がゆかった。
「そうなんだ。 だけど何かわからないけど、この空間 感じるのね。ここで演奏したらとてもいい演奏出来るかもね。」
「そうか タイミングよく言うけど 僕 今日 誕生日なんだ。一曲 このステージで演奏してくれないか?」西城は生まれて初めて今、ピア気持になった。
「えー 演奏させて下さい。 」瞳は素直に言った。
「言って見るもんだな ー 。ありがとう。 この店の人に断わりの一言行って来る。椅子に座ったまま動かない様に 」俺の好きなチエロの演奏 俺 一人のライブ西城は今にない感情が湧き上がった。店のスッタフは心よくOKしてくれた。
「了解してくれたよ。」瞳は西城が戻った事を確認してケースすからチエロを取り出し演奏し始めた。曲目はベートーヴェン ソナタ第一番へ長調作品102 だ。俺がまた好きな曲だ。 彼女が言って通りこの場所は音が優しく滑らかに時には激しく素晴らしい音色が俺の耳を通し頭脳刺激した。
土手の向こうの高いビルに反響し水辺の音が優しく吸収されて行く まるで天然の劇場みたいだ。瞳は俺のため真剣に演奏している。余りにもいい音色のため他の客が自然に集まりしずかに聴き入っている。演奏が終わった瞬間 拍手が鳴り止まなかった。
「ありがとう。素晴らしい そして曲目 いいお祝いして貰った。」
「西城さんに喜んで貰って嬉しいです。あっ いけない 西城さん 今 何時になりますか?」
「えーと 4時10分過ぎかな」
「4時半までに電車に乗らないとラッシュに会いますから」ラッシュ時は到底乗る事は無理だ。
「そうだね。ラッシュに会わない内に帰らないと どこまでかえるの?」
「高円寺それからバスです。まだいっぱいお話しをしたい。」普通の人見たいに誘って欲しいと思うばかり言った。
「じゃあ 急いでかえらなくちゃいけないね。又 いい 演奏を聞かせて。」
「はい、 西城さん お願いがあるの 又 お茶 誘って下さい。絶対にね。」
「分かった。分かった。」
「西城さん ゲンマンしてくれますか?」西城は照れ草そうにゲンマンをした。
西城は何故か清々しい気持ちなった自分がいた。堅気の俺様見たいな世間を欺き真っ当な人生を歩いて無い俺があんな清い心の女の子を騙していいのか。目が見え無い事を言い事に
だがあの子の奏でるチエロの音色は今までに聴いた事が無い素晴らしい音だ。この音に俺は恋をしている。
今年も秋は直ぐに去って行った。
寒さも身にしみる季節が来た。瞳はいつまで路上演奏が出来るだろう。瞳はここまで来るのに2時間はかかる。アパートを出てバス停に定時刻のバスを待つ、バスに乗るときわ運転手さんに声をかけてもらい杖でステップを確認して乗る。
「ここに座って」乗客のひとりが声をかけてくれる。
「ありがとうございます。」
「すいません。皆さん時間を頂いて有り難うございます。」瞳は運転手さんや乗客の皆さんに待ってくれたお礼に必ず声をかける。短かの皆さんに支えられ瞳は力強く生けて行けて行ける。
高円寺駅、改札口を入り総武線ホームの階段を手すりに沿って一段一段杖を階段を叩く様にして上がる。ホームには目の不十分な人の為に誘導突起物が有るそこを杖でなぞりながらいつも通り乗る乗車位置で電車を待つ。今はホーム乗務員が乗るまで誘導してくれる。
乗ってから降りるまで駅の数を確認して降りる。ここでも乗客の皆さんに助けてもらう事が多い。瞳は手を差し伸べてくれる人に毎日を感謝の気持ちでいっぱい。演奏はそう言う人に感謝の気持ちでいつも演奏している。
いつもの場合に近づくにつれ瞳は何かを感じた。
(何かがいつもと違う。この気配 人のざわめき、この拍手何かあっただろうか?」
そう感じながらいつもの様にケースからチエロと弓を出し折りたたみの椅子に座り軽く深呼吸し弓を引いた。その瞬間あのざわめきが消えた。瞳の周りに100人は居るだろ。
いつもとの雰囲気の違いに驚いた西城
(何かが伝わったか?今時のあれか?)今日の演奏は彼女の魂が伝わる。心 深くに
観衆は目を閉じ聞きいる人、目を一点にし微動だりしないで聞きいる人写メを撮る人様々な光景が目に入る。
(今日の曲は目ハイドン チエロ協奏曲第二番二長調だな)
曲目が終るまで誰もがその場を離れなかった。ケースに今までにないお金が投げこまれた。西城はいつもの様に財布からお金を取り出しケースに入れた。瞳は西城の気配は感じ取っていた。
「チャ いいか?」西城はそっけなく言った。
「はい いいです。」瞳は待って居たかの様に喜び微笑むで形し始めた。
「急がなくていいから」この場面で他人が西城のことを見ると昔で言うと角兵衛獅子の親方に見えるのは確かだ。第一印象見てると思う。冷たさと目の鋭さが感じる。世間は盲目の少女を無理やり働かせているんだろと思う。
「今日は名曲喫茶 。クラシック音楽の喫茶に行こうかと思うがいいか?」
「もちろん 連れてって下さい。」ウキウキしケースを背負った。
「タクシーで行こうか」
「いいえ 西城さんと電車に乗りたいです。いいですか?」心ず良い人と乗れば安心だからだ。
「電車で行くか。」西城は覚悟した。歌舞伎町に行くには難関?瞳は西城の右手を握り歩き出した。瞳は夢で見た西城と手をつないで歩きたかった。
最近はホームに行くにはエレベーターが設置されて来た。彼女らにとっては電車に乗るには楽になって来た。
ホームの突起物誘導に沿って二人で乗車位置にそして電車がホームに入って来た。瞳は西城の手をきつく握り締めて来た。電車がホームに入って来るこの音が瞳はいつも怖いだろ西城は手の握り締めで理解した。車内に乗り込んだ。
「座るか?」車内は結構混んで来た。
「うーうん こうして居たいの」西城の鼓動を聴きたくて瞳は西城の胸の中に埋もれる様に体を密着した。
「ずっとこうして居たいの」瞳は小さな声で言った。瞳とっての幸せのこのひと時は直ぐに終った。新宿駅に着き
西城の誘導で歌舞伎町へ向った。
「西城さん 何か 街がざわざわしてますね。こうゆう雰囲気な街始めてです。」
「この街はいい面でも悪い面でも全国で有名な歓楽街、歌舞伎町 この街に昔から営っている名曲喫茶 田園 古い古い喫茶店なんだ。」そう言いながら歌舞伎町センター街に入った。
「ご苦労さんです。」
「 おっす 」
「兄さん お疲れ様」西城は返事が出来無いのでその都度会釈してた。
「こんにちは西城さん」
人の行き交う中こんな会話が耳に入って来る瞳は不思議に思った。
「西城さんってこの街で人気者何ですね?」
「たまたま知っている人が多くて」西城にとってこの街が根城。目が目えない事を幸いしてか普通に振舞った。白い杖を持ってチエロのケースを背負った少女の手を繋いだ西城は地元者にど言う風に映っただろうか?「ここが名曲喫茶 田園 だ。僕はいつもここに入りクラシックを聴いている馴染みの店なだ。入ると感じるだろ 店の風格 臭い」クラシックの名曲が流れている。
「こんにちは 西城さん」店のマスターが声をかけた。
「私には目えないが何かいい雰囲気 。西城さん ありがとう。」全てアナログでクラシックが流れている。瞳は何か違う世界に入った気分でいた。瞳には音の良さが分かる。
「僕にはここが落着くところなんだ。クラシックは昔から聴いている。何が有ってもね。」「西城さんはどこにお住まいですか?」西城の事は何も分からない少しでも知りたい気持ちになった。
「新宿 」アバウトに応えた。瞳は寂しい表情したように見えた西城は聞いた。
「ところで何か 会ったの」
「はい 相談する人は西城さんだけなの 今日 牧師さんに言われたです。私にはよく分からないですが私が演奏して居る敷地の管理事務所から最近 聴く人が多くなりビルの住民の人から苦情が入り、余り良く無いのでライブは辞めて欲しいとの事、牧師さんもこの件には何も言えない見たいであの場所では出来なくなってしまったの、何か、今の動画写メが原因見たいだって牧師さんが言ってました。どう言う事ですか?教えて下さい。」
「携帯 スマートフォン 短く言ってスマホ で君が演奏してるところを動画をFacabookやツイッター LINEで投稿すると全国に流れ観た人が君の奏でる演奏に興味を持った人が集まって来ているだと思うだ。その中に何人、君の奏でる演奏を愛してるか?分からないが君には失礼だが盲目の女性がチエロを演奏してる事に興味を持った人が大勢居る事は確かだと思う。あの場所は教会のものでは無いので敷地を管理して居るビルの管理事務所が住民の意見の元に今回の申し出になったと思う。」
「じゃあ もうあの場所では演奏出来ないって事。」
「そう 出来ない。」瞳の表情が一瞬暗くなったが
「だけど、 神父さんが演奏が出来る場所を紹介して下さいました。少し遠くになるけど日比谷公園に有る小さな結婚式場でレストランも有って週 三回ぐらいは出来るって言ってます。明日 面接に行ってもいいかな?」西城に判断してもらいたかった。
「いい話だと思うよ。これから寒さもきつくなるから室内だったら手もかじかわないから弓弾くのもいいじゃないかな」
「だけど路上ライブも好き何だけどなー」確かに音の伝わり方が違う。まだ瞳の室内演奏を聴いた事が無いが分からない。
「面接に一緒に付いて来てくれますか?」西城はこの返事に困った。俺見たいな歓楽街が似合う男が神聖な教会、まして結婚式を挙げる場所に行けない。だけど俺が行けないと言えば悲しむ
「うーん 明日は仕事があるから長い時間は居られ無いから日比谷公園の入り口迄送るよ。帰りは何時なる。まだここまでの道順が馴れていないから当分俺が付いて行くから」
西城はこの子が愛しい気持ちになって心配の余り言葉に出てしまった。
「うわー。ありがとう。嬉しい。西城さんって優しいのね。明日の面接で決まったらに報告しますね。アッ それからテレビ局の人が来て私の事取材した言って」瞳はぶら下がっているポシェットから名刺を取り出し西城に渡した。名刺には大東テレビ局ワイドショーニュース担当プロデューサー 江守 悟 とあった。
「西城さん 一番に相談したかったの取材を受けてもいいか?」
「うーん」しばらく考えて
「君の人生だからね、君が判断して結論を出さなくてはいけないと思うが結論を出す前に俺の意見を聞いてもらえるかな?」
「はい 」
「そんな難しい話しじゃあないけど。 テレビ 新聞 週刊誌 それらを業界って言ってるんだ。一回でもテレビに出たら君の場合一気に注目されるだろ。言わなくても分かるだろ」
「盲目だから」西城はその返事には無言で有った。
「それは注目が広まるのも早いが冷めるのも早い。まして世の中にいい人ばかりじゃなく中にはいらん中傷する奴も現れ、君の耳に入り君が心が傷つく。良しばいい方に出ればライブの依頼が殺到するとそれを君のハンデをいいことに喰い物にするやからも出てくる。要は親切善がりに君のライブを仕切る奴が現れる。君は奴らの道具に過ぎばくなる。ご両親が出来るで有れば別だが、なかばか素人では出来ない。いろいろ有るプロダクションに依頼がすれば君の我がままは通らないでスケジュール通りに毎日が動く。
僕は思うに君の静かな雰囲気が崩れて行くと思うよ。即ちチエロの音色にもね。
いろいろ言ってしまったけど決めるのは君だ。ご両親に相談してみたら?」西城は業界の裏 表と知り尽くしている。こんな事は彼女に話せない。この事は彼女はきっと分かってくれるだろ。
瞳は西城の前で名刺を破り捨ててこう言った。
「両親はいないです。」
「えっ 」西城は絶句し次の言葉が出なかった。
「父親は有る事の疲労で一年前に亡くなりました。母親も過労で父親の後を追うように亡くなりました。」瞳は涙を流し話した。
「ご両親の事話せるだったら聞かせてくれないか?話しずらかったら話さなくていいからね。」西城は何かしったかった。
どうしてこんなハンデ背負っても明るくて真剣に生きようとしてる子に幸せが来ないだ。西城は瞳に対して出来る事がないか探り始めている自分が居る。
「前に話した通り、父親と母親はチエロが縁で結婚したんです。」瞳はこの縁がよっぽど嬉しいかったのか声を弾ませて話した。
「父親は下落合で親から受けついた小さなネジ工場を営んでいました。母親は音大 チエロ科を卒業したそうです。チエロのライブで知り合い結婚したそうです。両親とも子供が欲しくてやっと授かったのが私です。母は高齢出産覚悟に私を産んだ。私が一歳の時に高熱に侵され失明しました。医者が言うには手術すれば治る。だけど高額の手術費が必要でその時はそんなお金は無かった。父親は手術費を貯める為一緒懸命に働き母親は私が一人で生きて行ける為の教育全てを私に教えた。私が唯一好きなチエロの業をたたみ込まれました。3年前手術の日が間時かに迫っていた時に父親の小学校からの幼なじみの人が訪ねてきてお金を借りるんで保証人になって欲しいと言われ保証人になってしまった。父親は少額なのでいいかとハンコウを書類に押してしまったみたいで、この事が災し、家に高利貸しの人がくるようになり、母親が言ってました。借りた本人は行方不明で保証人の父親に払えとしつっこく迫って来て父親はひどく悩んでました。
「本郷さんよ。 いつになったら払うんだよ。債務者と保証人は法律上一緒なんだ。分かるか本郷さんよ。」
「私は50万しか保証人になってません。それが1800万なんてそんな知りません。」高利貸しは口来たなく脅し迫ってくる。
「ばか言っちゃいけねなーほれ ここに契約書どうり合計1800って書いて有るだろ。これ見てみろよ。金がなきぇれば工場の機械でも売っぱらい金にしたら。早く払わなければ契約違反で裁判所に手続きを進めるしかねいな」
「そんな馬鹿な、何度でも言いますが私は50万円しか保証人になってません。」そんなやり取りが1ヶ月も続き父も仕事は出来ず疲労困憊になりそのうちうつ病なってしまい何が何だか分からなくなてしまい母親に相談せず手術費に貯めた800万と土地と建物の権利書を高利貸しに渡してしまった。その時父親は私と母に泣いて詫びた。寝てもうわ言の様に泣いて詫びをしていました。食欲も亡くなりげっそり痩せ日に日に衰えて行った。母親も父の看病で必死であった。その後、間もも無く父親は亡くなりこの家も出て行く事になっり、今のアパートに母と一緒に住むようになった。こんな私を今まで面倒を見て来てまた、お父さんの世話して母親も精魂尽きた様で寝込んでしまったの。
「瞳 ごめんね。こんな事になってしまい、父さんを恨まないでお願い。父さんも一生懸命だったのよ。分かって欲しいのお願いします。」泣き伏せた。
「お願いなんって そんな事、言わないで瞳はおとさんとお母さんの愛情いっぱい貰いましたからね。これが私の運命なの」
「悲しい運命だね。」母親はこう言って瞳の手を握り締めた。
「お母さん 運命ってこの先、誰にも分からないの、だけど私にわ分かるのよ。お母さん、きっといいことが私にくるわ、きっと。だから、お母さん安心して。咳き込む母親に精がつく物でも食べさせて元気になってもらう為、卵を買いに外に出て帰っ来て
「お母さん お母さん お母さん 美味しい物、今 作るからね。待っててね。」返事が無かった。寝てるだなと思った。卵とじを作って食べてもらう為、母親の寝てる布団を手ざくりで探し母親の顔を触れた時、瞳の心臓が一瞬止まった。母親は冷たかった。
「お母さん お母さん お母さん 起きて 起きてよ 私を置いて行かないでよ。わーわーわーんわー 」母親を抱きしめて泣いた。
「私を育て上げて力尽きたのね。それから三ヶ月前、父を追うように亡くなりました。
母親が蓄えていた生活費もそこがつき、思いついたのが母親が私にくれたチエロ、私にはチエロを演奏しかないので路上ライブを始めた。私の演奏で癒される人がきっといると思う気持で今まで来ました。
西城は瞳の話すことをジッと聞いていて、自分の心臓を鋭いナイフえぐられた気分になった。瞳の話しを聞くまでは俺の世界ではこんな事は当たり前の事がまかり通っていた。
「君が演奏出来る場所二、三 有るから聞いて見る。」西城は真剣に心から助すけてあげたい気持ちになっていた。
「えっ、西城さん お願いします。西城さんが紹介して下さるなんて嬉しい」
「ところで普段の練習 どこでするんだい。」西城は考えてがあって聞いた。
「はい 前の家には多少の防音装置が有ったので練習出来たのですが今のアパートではなかなか出来ないです。弓に布を巻いて練習してます。」
「大変だね。 ところで練習兼ねて僕ひとりのライブをしてくれないか」
「えっ どう言うことですか?」
「カラオケ屋で演奏してもらえるかな?」
「あー、 聞いた事が有ります。演奏家はカラオケ店で練習して居る見たいです。私はした事は有りませんが。お金が掛かるから----」瞳はそこまで言うと何も言えなかった。
「そう 練習を兼ねて ひとりライブ。いいかな?」
「いつでも イイです。 西城さんが聴いて下さるだったら」
「僕の知っているカラオケ店が有るからお願いしようかな。 生演奏か いいなー 明日 面接の帰りに行こう」
「えっえ 楽しみ 」お金を直接あげても、もらう子じゃ無いのは分かっているから西城はこの様な形にした。
「さっきの話しにあった保証人債務の書類 お母さん 取って有るかな?」西城はこの件何かカラクリが有る予感がした。瞳には話せないが裏の世界でこう言う事件はお手の物。
「えっ 何か? 」
「あー ちょと気になる事が」
「 大事な物を一緒に入れて置くからって、いつもお母さんが言って、箱を触り点字で確認してました。その中にもしかして、そう言う書類が有るかもしりません。あっ そうだ 明日 家に来てください。私の手料理食べて見て 」
「えっ 料理も出来るか? 」
「簡単な物しかないので出来ませんがそんな物でいいですか」お母さんはこの子がひとりで生きて行けるように何でも教え込んだ事が痛いほど分かる。
「是非 食べて見たい」瞳は嬉しいそうな仕草をした。
「そうだ 携帯何か持て無いよな」
「うーうん 有りますよ。母が何か有った場合の為にと簡単な携帯を持たされました。」瞳はポシェットの中から小さな携帯を出した。点字が数字の横に書かれていた。携帯を開き説明し出した。
「1 が母 2 が盲学校の担当者 3 銀行 4 区役所 この番号を押せばいいだけ」
「僕の携帯電話番号入力して置いていいかな?何か有った場合の為に」
「嬉しいー お願いします。じゃあ 1 にして 」
「1番はお母さんだろ」
「もう母親はい無いから」
「ダメだ お母さんの番号は残しておこう」瞳は何も言えなかった。この番号には母親の声が残されていたのだ。時々淋しい時に聴いていたらしい。
「じゃあ 僕は 0番に登録して置くから 何か有ったら0番で連絡して見て」瞳は分かったらしく大事そうに携帯をしまった。
翌日 待ち合わせ場所高円寺北口駅前5番バス停に1時半。なぜ、俺があの子に肩入れするか?善意 あり得ね ボランティア無し 何か魅かれる。口 耳 の障害者より生まれつき見えない事は全て想像世界。今は点字が教えてくれるがあとは想像しか無い。我々五体満足の人間としては全てが分からない世界だ。最初はチエロの音色に魅かれたが今は彼女自身の魅力に興味があり何か気になる存在なっている。バスが何台か来た。バスを待つに連れ西城は遠い昔の事を思い出し今とダブって写っている。
バスが着き 運転手が降りて来た。彼女が運転手に誘導され降りた。俺は彼女に近づき声をかけた。
「大丈夫か 」愛想が無い低い声で
「西城さん お待たせ」声で分かったらしく、そう言って瞳は西城の胸に飛び込んだ。西城はこの行為に満更でもない顔した。
相変わらず大きなチエロを背負い白い杖で方向を定め歩き出した。西城は横に添う様一緒に歩き出した。エスコートし無い西城を見て何も知らない人間は薄情と映るが手を引いて教えてる事が愛情とは限らない。これは彼女から教えて貰った事だ。点字道路が無い時は杖の感覚と音の気配、自分の感と全神経を研ぎ澄ませ方向決め歩く。
西城は瞳の一つ一つの動作を見て生きて行く心強さを見た。高円寺駅前のバス停から駅構内迄一つひとつ杖で確認して目的地に真剣に歩いて改札機を通り抜ける。
「西城さん 大抵の駅にはホーム迄のエレベーターが有るのこれに乗って上まで行くのよ。さー 西城さんも乗って」西城は言われるままにエレベーターに乗った。ホームに着き最初にする事はホームの駅員を捜す事から始まる。ここで人の世話になる。
「すいません 東京駅に行きたいですがどこで待ってれば良いんですか?」
「このホームでいいです。 今から来る電車に乗って下さい。終点東京駅です。電車が着たら誘導します。ここでお待ち下さい。」俺たちが何にも考えないで見た瞬間、身体が動き行動するが人の助けが必要な瞳に西城は何も言えなかった。電車が来て駅員さんの手助けで乗り込む。瞳はチェロを背負ったまま西城の手を引いて邪魔にならない場所で西城の胸の中に顔を埋めた。
「西城さんの胸に埋もれるとすごく安心するの迷惑じゃあない?」今はこうして居る事が瞳にとって一番安らぎで安心出来る時間なのだ。
「迷惑じゃあないよ。」西城はチェロと一緒に抱き寄せた。
「乗り物に乗る時はあらかじめ調べて乗ってから下りる駅の数を数えておくの分からなくなったらヘルプしてもらう。
「だだ 感心するばかりだ。」そう言ってまた抱き寄せた。
「電車の中でなにを考えているだい。」
「いつも 何かなー これから行く所 、何を演奏するか曲目選び 帰りは反省。だけど 最近は-----・」そう言って西城の胸に深く埋れた。そう言う時。西城は目が見えない彼女を騙していないかふと考える自分がいる。周りの目が気になるのは見ての通りだ。
中央線で東京駅迄 乗り換えは無い。この時間はそんなに混み合ってなかった。
彼女に聞いて見ると電車に乗る時は必ず駅員さんに誘導してもらい、下りる駅にも連絡を入れて乗車車両ドア迄下りる駅員さんが向かえてくれる。だから駅員さんにいつも感謝している。私が行動すると皆さんに助けて貰っている事が申し訳ないと思っているらしい。
「東京駅に下りるのは初めて」
「はい 初めてです。 母親が山の手線の駅を一つづづ、駅の事を勉強しました。」
「はー そうか そこまで」
「西城さん 山の手線に乗り換えるだったら神田駅が私に取ってはいいんですが」
「えっ 何故」
「混まないですし ホーム乗り換えは楽なんです」
「あっ そうか そ言えば なるほど 勉強になったよ。 ははははー」俺達 平常人間に取ってはそこまで考える奴はい無い。瞳は自分に安全な道を選ぶだな
「それじゃ 神田で乗り換えよう。」
「はい 」ふたりは山の手線外回り品川方面に乗り換え二つ目の有楽町駅で降りた。
「有楽町 下りるの 初めて?」俺も昔 来たな
「初めてです。」ホームのエレベーターで下り日比谷口に出た。
「日比谷公園に行くには日比谷口に出た方がいいんだ。反対側は銀座方面 オシャレな街だ。行った事 ある?」
「無いです。」
「よーし 演奏の帰りに銀座を歩こう」俺は何処に行くのもいつも車 。こんなに電車に乗るのは久しぶりだ。俺たち裏世界で暮らす人間は余り目立たない様に車で行動するから駅の事は分からない。
「本当ですか? 嬉しいです。その時 腕 組んでいいですか?」
「あ あー いいよ。」西城は照れ臭い様に返事をした。
晴海通りを渡り周りの情景を歩きながら説明してあげた。
「ここの日比谷交差点渡ると日比谷公園だ。この街は日本の中心何だよ。今から行く公園の方に日本の政治を動かす霞ヶ関 国会議事堂 。道路の反対は日本の経済の中心の街何だよ。」西城は何故か 日本の安全を守る警視庁を説明しなかった。
「西城さん あと 緑とお堀がある皇居があるですよね。」
「おー そうだ 皇居 天皇陛下が住んで居ると所だね。」交差点を渡ると公園正面 ここに俺の苦手な交番がある。まーあ 彼女にとっては都合がいい。 ひとりでくる時には世話してくれるだろ
「さー 着いた。ここをちょと奥に行くと君が行く結婚式だ。あー、そうだ。入口の右側の交番が有るから何か会ったら世話して貰う様に」
「はい 行って来ます。」瞳が歩き出すと
「事務所の前まで行くよ。」そう言って瞳の手を取って歩き出した。瞳は嬉しそうに手を握っり返して来た。
「終わったたら電話して 携帯のゼロを押して」
「嬉し 待ってくれるですか? 連絡します。」西城は教会見える公園のベンチに座り携帯にイアホンを差し込み好きなクラシックを聴いて待つ事にした。
教会西支部日比谷公園内結婚式場 入口が分からない瞳は戸惑っていた時、近くから声が
「何かお探しですか?」
「あっ はい 結婚式場の事務所にお伺いしたいのですが」
「もしかして 石井牧師様からの紹介の本郷 瞳さんでいらっしゃいますか?」
「はい 本郷 瞳 です。」
「あー はい 伺ってます。ちょうど良かった 私はここの責任者の小林と言います。こちらへ どうぞ」手を添えられ事務所に案内された。
「ありがとうございます。」
「どうぞ お座り下さい。」瞳は椅子を手で確認してチェロを抱え椅子に座った。
「石井牧師様からの、あのー これが紹介状です。」ポッシェトから出して渡した。
「はーい 本郷さんの事はいつも伺ってますよ。素敵な演奏をされるって」小林は紹介状を開き目を通した。
「こんな私でいいですか?」
「いいえ こちらこそ お願い出来るかしら?」
「はい お願いします。」
「早速 ですが 本郷さんのスケジュールは?」
「私はいつでも構いません。」
「うちの結婚式場は小規模で50人から80人ぐらいなの オルガンよりチエロの柔らかい音色が会うと思うのよね。」
「あのー 実際 演奏しますか?」瞳は即答した。
「お願い出来るかしら?」
「分かりました。ここで?」
「良かったら 式場で」そう言って瞳を式場に誘導してくれた。瞳には式場は見えないが見えない自分でも身に締まる新生な感じがした。チェロをケースから取り出し準備をした。「よろしいですか?」瞳は準備して来た楽曲を演奏し始めた。式場は天井が高く音が反響し易く音色が式場いっぱいに広がる。瞳が奏でる音色に引き寄せられたスッタフ達も聴き惚れていた。小林も感銘を受け目をつぶり深く聴きいっていた。演奏が終った時全員が拍手した。
「素晴らしい 素晴らしい ありがとう。ところで今の曲目は?」小林は拍手をしながら近寄り手を握り締めた。
「はい。日本の名曲 花は咲く。ーです。自分で曲目を選んで見たのですがいいかでしたか?」
「結婚式にぴったし 素敵でした。お願いしましょ 日程は結婚式なので土、日曜、祭日 はもちろんで、あと水曜日 午前 9時 から午後3時まで、これでお願いします。今週末から大丈夫」
「はい 分かりました。 ありがとうございました。」面接が終わり出口までスタッフに誘導された。外へ出て携帯で西城に連絡しその場で待った。
「終った 」
「はい お待たせ」瞳は西城が近寄って来たのは分かった。
「帰ろう」西城が差し出した手を握り歩き出した。
「西城さん 待っている間、何 してたの?」待たしてたのが瞳は気になっていた。
「何十年ぶりに公園のベンチに座り携帯でクラシックを聴いていたよ。」
「本当にクラシックが好きなのね。嬉し」
「どう 決まった。」
「うん 採用して来れました。土、日曜祭日 と水曜日 9時から3時までで」
「良かったね。時給は?」
「飯田橋の教会の牧師さんがいろいろ言ってくれてたみたいで日給 1万円で決まりました。すごく嬉しいです。」
「あっ そうか 。」西城は内心ホッとした。日比谷交差点を渡り有楽町に向った。途中にカラオケ館で足を止めた西城が
「昨日 約束 実行してくれるか?」瞳は何のことかと思った。
「ほら 一人ライブ カラオケで」
「えー、 イイですよ。」
「今 店の前に居るんだ。ちょうどこの通りにある店なんだ。」
「入りましょう。 私 カラオケ店で練習するの初めてなので手づづき教えてね。」
「分かった。」手づづきを終え 部屋に入り瞳を座らせセットしてあげた。証明を薄暗くした。
「西城さん 何かリクエストありますか?」
「君が選んだ曲目でいいよ。」
「西城さんに特別の曲目を演奏するわ。」そう言って演奏を始めた。
いつ聞いても素晴らしい 癒される。西城は目をつぶり聴き入った。
入口のドアが何かざわめくので西城は目を開けた。近くのお客とスッタフがチエロの音色に誘われドアに集まり聴き入っている。誰もがイイ音色は分かるだと思った。
「今の曲目分かりました。?」
「当然 シュウーベルト 交響曲第8番口短調D759「未完成」うーんと ?第二楽章だろ。良かった。ありがとう。今日は僕が送るからゆっくりして行こう。練習しなさい。」そう言って西城は財布を取り出し一万円札を瞳に渡した。
「西城さん これはいいんです。受け取れません。」
「ほら 前に言っただろ。分かるね。」西城は優しく言ってポッシェトの財布に入れた。
カラオケ店の外へ出た西城は瞳に
「今日はタクシーで帰ろう」
「西城さん 私 運転手さんに帰る順序説明出来ませんが?」
「大丈夫だよ。 運転手に行き先の目的地を言えばカーナビに入力してくれるから心配ない。」
「へー そうなんだんだ。それじゃ高円寺行き 長原 オーケーストアー前停留所 これでバス停まで行くの」
「そうだ。何も言わなくていいだよ」タクシーを止め 後ろのトランクを開けさせチェロを入れて座席座り行き先を運転手に言った。運転手はつかさずカーナビに入力した。
瞳は久々のタクシーで嬉しく西城の腕を両腕でしっかり掴み嬉しさの余り身体を西城にゆだねた。
オーケーストアーのバス停に着いた。
「西城さん このお店で買い物していいですか。買い物していいですか。簡単な物しか作れないけど」
「大丈夫だよ。イイから」そう言うと瞳は寂しい表情した。
「あっ 手料理食べたい。何でもいいよ。」瞳は西城の手を引っ張る様にストアーに入った。
「いらっしゃませ。」
「いらっしゃい 瞳ちゃん」スタッフの皆に好かれているのが分かったて西城あ安心した。
「日用品は全部 このお店で揃えるの 親切に揃えてくれるから」そうイイながら買い物する品物の前に行きスタッフに言って品物揃えて貰う。一通りの買い物し家に向った。
「ストアーの横の道を入ってしばらく歩いて右の角を曲がってすぐ、私達は何処に行くのも歩数を数得て歩くのその歩数を覚えて置いて杖で確認から行動するのよ。」
「そうか 」瞳は身体全体を使い行動している事に感心した。
「ここよ 私のアパート 木造の二階建てのアパート。今時珍しい建物だて、私には見えないけどね。一階の一号室」鍵を取り出しドアーを開けた。女の子が一階の部屋で物騒だと思うが目が見えない事を考えれば仕方がない事だと納得した西城だ。
「さー入って下さい。」部屋は1Kと小さな部屋が一つ有った。
「入るよ。」
「狭くてすいません」周りを見渡し部屋は狭いが全てがコンパクトに整理されていた。
「ここに座って」手探りで座布団を探しさしでした。
「ありがとう。」瞳は自分のテリトリーなのでテキパキ動いた。西城の目には嬉しさが溢れている様に写った。彼女はこの部屋に男を入れたのは初めてだろう。それだけ俺を信用し心を許しいるんだろ。
「お願いがあるの?」部屋に入ったらすぐにメガネを外すが瞳は人前ではいつも掛けているメガネを外した事が無い。どうしても西城には自分を隠さず観てもらいたいと思い言い出した。
「何だい」
「メガネ 外してもいい?」恐々聞いた。
「イイよ イイよ」
「西城さん 私の素顔見て嫌いにならない?」
「嫌いに何かならないよ。」
「本当?」そう言いながらメガネを外した。西城は心の中で叫んだ。何と綺麗な顔立ちをしている。キレイだ。
「瞳ちゃんはキレイだ。美人なんだ。素敵だよ。」
「本当に嬉しいです。西城に褒めてもらい嬉しい」瞳は顔全体に喜びを表した。
「ねえ お茶 何にします。日本茶 それともコヒー」
「コヒーがいいな」じゃあ 今から立てるね。ちょと待ってて」
「立てて飲んでるだ。」手に伸ばす処に所定の位置に全て置いてあるので分かるらしい。
「母がいつも立てて飲んでいたのでいつか私もそうなたの」全て教え込まれている。
「お待ちど様 お店のコヒーと違うけど 我慢して」
「ありがとう。上手に入れるね。美味しいよ。」タンス 棚の箱 あらゆるところに、点字シールが貼られている。生活して行く故の工夫だ。母親は賢い人だったのが分かる。
「豚肉のショガ焼きかホイコーロー どっちいいですか?どっちかと言うとショガ焼きの方が得意何だ」
「じゃあ ショガ焼きだろ。」
「そうだね。 今作るから待ってて」キッチンに立ち買って来た材料を広げて熟れた様子で包丁で捌いた。冷蔵庫を開けそこに並べてあるタッパに入れそこから今使う分を取り出しフライパンで素早く作って見せた。
「お待ちど様 」出来た品物を楽しそうに並べた。俺に食べて欲しいかったのか嬉しそうだ。
「味噌汁もある。大したもんだ。」
「西城さんのお口に合うか心配だけどね。」
「うーん 美味しいよ。味は僕に合うよ。」よほど 二人で食べるのが嬉しいのか涙を浮かべてた。両親が亡くなってからずっと一人で食事してたせいだろ。
西城はこの子の幸せそうな顔を見てると自分が別の世界で生きて来た事が一瞬でも忘れられる気持ちになっている。
「お皿 洗おーか 」
「いいわよ 私が洗うから そこに座ってて」瞳はいっ時の癒される時間を楽しんでいた。西城は瞳の仕草にいつも罪悪感を感じている。
「西城さん お願いがあるの 聞いて下さる。」瞳はそう言って両手で西城の顔を撫ぜて来た。
「いつもこうしてお父さんとお母さんの顔を撫ぜて忘れ無い様にしてたの」
「僕の顔は無精髭でいっぱいだよ。くすぐったい」瞳は顔や頭を一生懸命撫ぜて覚え用としてた。
「イイから イイから こうして忘れ無い様にしてるだから我慢して」西城は瞳を愛しく可愛いく切なく思った。
「あっ そうそう お父さんの借入保証人の書類ある。」
「ごめんなさい。」撫でるのを辞め書類箱を捜し始めた。
「確か お母さんがこの箱に大事な書類が入っているからって言ってた。この中調べて見て下さい。」箱を西城に渡した。
「これ ちょと調べてイイかな」箱を開けて書類を探し始めた。病院の診察券 銀行の通帳 印鑑 瞳に関しての物が入っている。一番底の方に折りたたんだ借用書が見つかった。西城は書類をサッと見て何か分かったらしい。
「何か有りました?」何かガサガサした音だけなので心配して声を掛けて来た。
「あー 分かった。調べて見ないとはっきり言えないけど 」そう言って瞳に説明し出した。
「これはお父さんの幼馴染の峰岸徹さんの保証人になているね。50万の借入書になっている。ところがこの借用書は根保証になってこれが原因で返済を迫られ脅されたんだ。」「どう言う事何ですか? 確か、お父さんの言うには保証は50万だったって言ってた。」
「瞳ちゃんに詳しく説明するとちょと難しい話しになるけど、保証書契約だけなら書いた金額だけの保証すればいいだが契約書のうえに小さな字で根保証って書いてある。
高利貸しと幼馴染の峰岸徹が仕組んだ詐欺だ 。」
「詐欺 」
「そう お父さんは騙された事になる。」
「エッ お父さんが可愛いそう。」そう言って瞳は大粒の涙だを流した。
「お父さんもお母さんも私の目の手術をー楽しみにしてたのに悲しいすぎる。西城さん今から警察に調べ貰う訳には行かないかしら?」瞳は声を出して泣きだした。西城も目頭が熱くなった。俺も悪どい事するけどここまではしねい。
「今から警察に言っても何もしてくれないから僕がちょと調べたい事が有るからこの書類 預かってイイかな」瞳の肩を抱きしめ安心させた。西城は何か思い当たる事があった。うちの組の者に調べさせれば地元だから分かるだろと思った。
我々の 業界ではよくある事だがと思い、だが西城は彼女に何かしてあげたい気持ちのほうが大きかった。
西城は組 事務所に行き配下の者に調べさした。西城はこの金森組の若頭であった。
「兄貴 言われた件、調べました。この成宮は10年前にウチの組員になり新大久保で不動産屋を表向きに営業し裏で金貸しをしてます。うちの会計に聞いたところ上納金は毎月収めているみたいです。」
「いくら毎月収めている。」
「規模的に毎月10万ってとこです。
「斉藤 もう一つの件 分かったか?」
「3年前大口に納めた形跡は無いです。」案の定西城の感通りだった。
「西城兄い 云われ事は以上です。」
「斉藤 ご苦労 」
「はい 有り難うございました。」
事前に知り合いの探偵事務所に峰岸と成宮の素性素行を調べさせていた。調査結果で面も分かった。
これでお膳立ては揃った。舎弟に峰岸まで探させる訳にはいかねいな。情報ではパチンコ依存性の峰岸がいつも居るパチンコ店を探せば分かる。
歌舞伎町 パチンコ店ユアーズ 。店内はパチンコの弾ける音 お客を煽るアナウンスそれとBGNパチンコ店 独特の騒音。広い店内を面識は無いある男を携帯の画面を観ながら捜していた。情報は確かだった。以外と早く画面の男を見付けて声をかけた。
「峰岸徹 だな」パチンコ台がフエーバーしていた時、声を掛けられた峰岸はその声が聞えずパチンコ玉の弾ける先を夢中で追ってた。
「峰岸 だな」西城は凄んだ声で再度声を掛けた。
「何だよ 誰だ? 今 手が離せないの分かねのかよ」峰岸は怒った口調で怒鳴った。
「いいから峰岸徹だな。 ちょとそこまで付き合ってくれ」峰岸の胸ぐらを掴み凄みをきかした。峰岸はそ「何だ 何だ 何だよ。俺 何にもしてねよ」峰岸の気の弱さを出した。
「お前に 聞きたい事がある。 ある事で成宮章一って男と関係を持たなかったか。」 瞳といる時の雰囲気と想像もつかない西城がいた。路地裏に連れ込み胸ぐらを強く掴み威喝した。
「勘弁してくれよ。俺は何にもしてねよ。」
「2年前成宮と連んで幼馴染の本郷雄一郎の土地の所有権を騙し取ったな。」
「エッ 何でその事知ってんだ。」
「その筋の情報でな」
「あれは成宮に脅されやった事だ。俺が奴から金を借りて返済に困ってた時にその話が有った。」
あの時は
成宮はフアースト ワン フアイナンスと言う金貸しをしていた。その客に峰岸がいた。峰岸は返済が滞り利息を含めると300万近くに膨れ上がり返済を迫ままれていた。何処で調べたのか本郷雄一郎と峰岸徹が小学校からの同級生で中学まで仲が良かった事。近所隣りで付き合いも有った事。悪時絵が働く成宮が絵図を描いた。
「よお お前さん 同級生の本郷 知っているよな、近所隣で結構 仲が良かったらしいな」
「あぁ しているよ。何だよ。高校になった時、今の場所に引越ししてから付合いはないけど、それが?」
「そこで 俺の言う通りにすればお前さんの借金ちゃらにしてやるよ。お前さん こんだけの借金返す宛ないだろ。こっちも今まで待ってやってたんだ。甘い顔もこれまでだ。峰岸さんよ 家族がどうなっていいのか、 娘さんもイイ歳になったよな お前さんの借金の替わりに風俗でも働きさしたら 分かるよな」
「エッ 家族に関係ねーよ。」
「さっきから言ってだろ。 この借金 どうすだ 返すのか ?これが成功したら借金はチャラ その上お前に300万成功料やるよ。」
「うー どうすれば? 」仕方なく同意した峰岸は成宮に従った。
それは峰岸に50万の借用書を作りこの保証人に本郷雄一郎になって貰う。この契約書の借用書に細工し根保証として借入金額を最終的に3000万にして保証人の債務として返済を迫り土地を巻き上げる。
「50万だったら保証人になってくれるだろう。 なー 上手く騙すだな。」
「何って言ったらいいから分からない」
「同情を仰ぐ様に例えば 娘が手術しなけれが治らない病気になって手術費用が足りなくて こんな事だ。お前さんのアドリブで同でもなるよ。上手くやれよ。」
峰岸は言われるままに同級生の本郷君に保証人になってくれる貰った。お互いの娘の病気の事を言い同情を迫った。
「峰岸よ 本郷さんの娘さんの事もあってお前はそこを言い事に自分の娘も病気だと嘘をつき保証人になって貰った。これが詐欺の始まりだ。人のいい本郷さんを利用した。お前の事を大事な幼馴染と信じてた本郷さんの悔しい気持ち分かるか。成宮に脅かされ 毎日 恫喝され、仕事も手につかずノイローゼにそしてうつ病になった。娘さんの目の手術費用として貯めてたお金を奪われ終いに土地をも取られてしまった。これから成宮のところに行き、成宮の前でいいまでの全てを話せ。」
「そんな事に自分言えねーよ。」
「お前 俺は本気だ。」西城そう言って峰岸の口にハンカチを突っ込みナイフを出して峰岸の右手親指と小指を切断した。道路に落ちた指を峰岸の見てる目の前で糞ずけて見せた。(幼馴染の友達を信用してた本郷さんを裏切りったお前を許せない。このぐらいじゃすまねーがこれが本郷さんへの償いだ。)(心の中でつぶやいた。)わめく暴れる峰岸を押さえ切断した手を慣れた手口で素早く血止めし何事なく峰岸に迫った。西城を改めその筋の人物だと認識した。
「一緒 行ってくれるな」
「ああーハイ」右手を押さえ怯え震える峰岸をタクシーに乗せ事前に知合いの探偵社に成宮と峰岸の事を調べ挙げ行動は押さえていたので成宮の事務所は直ぐに分かった。
成宮の事務所は大久保駅の近く有って金融と不動産屋を兼ねて商売していた。4階建雑居ビル1階に見た目には普通の不動産屋に見えるが悪どい商売をしていた。裏では新宿一帯に縄張りがある金森組の配下でもある。西城と同じムジナであった。
「事務所に行く前に病院に行かしてくれ」右手を巻いている布は血で赤く染まっていた。
「奴との話が終ったらな。」行くのを渋っている峰岸の腕を引っ張って事務所のドアーを開けた。
「成宮さん 社長さん 居るかい」事務所には客はいなかった。
「すいませんが どちら様ですか?」女性事務員が慌てて奥の部屋に居る社長に聞こえる様に大きな声で聞いて来た。
「成宮社長に会いたいだけど」
「だからどちら様ですか?」奥に聴こえたらしくドアーが開き
「何だ 何だ どうした 」男性事務員らしき男が出て来た。
「鈴木さん この人が社長に会わせろて」
「どちら様ですか?」
「ごちゃごちゃ言わねで早く会わせろ」西城は少し苛立ち凄みの口調で恫喝した。
「何か騒がしいな お客さん、何か御用ですか?揉め事でも」西城の後ろに居た峰岸を表に引っ張っり出して西城は凄みをきかし言った。
「成宮社長さん この男知っているな。この男の事で話が有るだが話を聞いてもらえるかな?」
「こんな男 知らないですが」はっとした表情で成宮は峰岸を見るなり言った。
「この男はあんたの事、ようく知って居るって言ってるよ。なっ 峰岸」
「成宮社長さん あの事全部話した。」そう言って血で染まった右手を出した。
「うーん 少々 お待ち下さい。」峰岸の手を見て事情がただ事じゃない事を悟った成宮は後ろの部屋へ
「あー フアーストワンワン フアイナンスの成宮デスが今 うちの事務所に因縁付けて居る奴来て居るですがお手間ですがちょとお願いします。」追っ払て貰う為金森組に連絡した。この事も想定してた西城。
「成宮さん 2-3人行かせます。」
「お願いします。引き留めて置きますから」電話して裏の部屋から出て来た。
「成宮さん 用事は終ったのかい」電話の内容を知ってるかの様に言った。
来客用のソファーに何かを待って居るかの様に無言で座った。その落ち着いた様子を見て成宮は恐れを感じた。10分ぐらい経って店の前に車の急ブレーキの音とドアーの開く音が同時に聞こえ、男達がバタバタとドアーを開け入って来た。
「成宮社長 どうかしましたか?」金森組の若い者が厳つい顔して言った。
「こいつが何か因縁付けているんです。」そう言って西城を指を指した。
「アッ 西城兄 どうしたんですか?何か会ったですか?」西城を見て驚いて言った。
「あー 何でもないだ。成宮さんが勘違いした様だ。 帰ってイイから」
「へい それじゃ何でもないですね。それでは失礼します。」
「あー ご苦労 」成宮はこのやり取りを見て西城が只者じゃない人物だと分かった。
「分かったかい そこで本題に入ろう。」
「俺が何した」
「まだ分かって無い様だな。 お前さんがこの男と連んで凌ぎをした事は分かってんだ。その事で話しを付けてに来た。」
「どうしおって言うだ。」
「成宮さんよ金森組にこの凌ぎの上納金 収めたかな?」
「何が この件は金森組とは関係無い。」西城の鋭さに成宮はオドオドするばかり説明が付かない。
「それじゃ 金森組に聞いて見るか どうなんだ 。お前さんも分かっているだろ、どうなるか?これじゃ済まないよな」峰岸の腕を取って血で染まった手を見せて言った。瞳と接する西城とは別人だ。
「本郷氏の土地の売却で1億は儲けた計算だな。どれだけ脅し恫喝したんだ、可哀そうにお前さんの脅しでノイローゼが原因でうつ病になり病死したよ。お前さんも悪だな。そこで俺も悪になりお前さんが儲けた分の内2000万 を俺にくれないか。」
「そんなに儲けてい無いよ。あの物件はいろいろ物言いが付き余分に金が掛かった。」
「そんな事はお前さんの経費だろ。俺には関係無い事だ。お前さんの計算は全て分かっている。まー2000万払っても儲けは十分」格下の組員の成宮にとって金森組の怖さは知っている。
「組にはこの件は内密にする条件でどうか?」
「俺もやぼじゃ無いそのくらい分かっているつもりだ。」
「いつ まで揃えばいいか」
「こんな事、伸ばせばどんな事になるか俺も馬鹿じゃ無いよ。今 直ぐに用意して貰っいたい。」
「エッ 今 そんな 無理だ。そんな大金用意するのは」
「不動産屋がそのぐらいの金 手持であるだろ、今から銀行に行き用意しろよ。俺も忙しいからいつまでも待てない」今時の不動産屋が金庫にそのぐらいの金を用意してる事は分かっている。
「ちょと待てくれ。」そう言って後ろ部屋へ入って行った。しばらくして封筒を持って出て来た。
「これでこの件は一切無しと言う事に」封筒から現金を出した。
「条件を飲んでくれて有難い。一切無しって事で」親指と人差し指でしゃんしゃんして打ちした。
「アッ あと後、困るから隠しカメラを消させて貰うから」後ろの部屋に案内させビデオを消させた。
「あー もう一つ有った。各人の携帯見せて録音モード確認するから」そう言って各人の携帯を確認した。
「峰岸 これで医者に行き治療してもらいな。」西城は受け取った封筒から札束の一つを出して峰岸に渡し言った。
こうしている間 何度も何度も彼女から電話が有った事は知ってたが彼女の清い心をけなす俺の素性。この精神状態では電話に出る事は出来なかった。
何も知らない瞳は会えない淋しさに何度も西城に電話してた。
「電話しても最初は呼び出し音がなって留守番になったが瞳は言葉に出来なかった。2回 3回と同じ事が続いた。いつも仕事が終りドアーを出た時、向えに来てるかドキドキしてた。帰る道すがらいつも彼の足音を探り続けた。何度も電話を掛け聴こえて来るのは決まって最初は(お客様の都合で電源を切って居るか電波の届かない場所に居るか)最近はれていません)が最後で終わった。
瞳はあらゆる事を妄想し出した。
彼がうちに始めて来た時。お父さんが騙されと事で調べてってお願いした事で悪い事に巻き込まれてしまったのか?心配でたまらない。
私の演奏に飽きたのか?それより私に興味が無くなったのか?しょせん暗闇の恋だったのか?瞳の心はだんだん荒んで来た。
「本郷さん 最近チェロの音が暗く聴こえて来るのですが 何か有りましたか?これが続く様でしたら大変申し上げないですが辞めて貰いますから」自分でも上手に演奏出来ない事は分かっていた。
「山本さん結婚式に迷惑を掛ける訳にいきませんから今日で辞めさせて頂きます。自分でも分かっているんです。すいませんでした。」
「今の演奏じゃ仕方ないね。瞳さんの心が落ち着いて来たら元の音色が戻ってきますから気お落とさずにいて下さい。」それで最後の仕事は終わった。
瞳は日比谷公園の結婚式場を虚ろな気持ちで出て公園入口まで来た。いつもは交番のお巡りさんに声を掛けて貰うが 今日はその声が無かった。瞳は横断歩道を渡る人の足音でつられて渡った。途中にきた時、白い杖の動きが止まった。瞳はこの時、死を浮かべた。
お巡りさんの笛が異常な警告音を鳴らし同時に車のクラクションが激しく鳴った。
ブーブー ブーブー ブーブー ぴっ ぴっ ぴっー
警察官が交番から飛び出し交差点に入って来る車を止めて瞳を抱きしめ交差点を渡った。
「君 危ないじゃないか。」強い口調でどなった。その時 瞳は現実に戻った。
「すいません。 すいません。」
「危ないじゃないか。ちゃんと渡らないと」
「すいませんでした。何かめまいがして動けなくなってしまってご迷惑をおかけしてすいませんでした。」
「これから何処まで帰るですか」
「高円寺迄帰ります。有楽町駅から東京で乗り換えて」
「えー そんな遠くまで、大きな楽器ケースを背負って、 いつも見て何処まで帰るのか心配してたです。」結婚式場の帰りに交番のお巡りさんは見ててくれた。
「ありがとうございます。」
「身体の具合は大丈夫ですか?」
「はい」小さな声で応えた。
「本当に?」
「わがまま言っていいですか? 有楽町駅迄連れて行ってくれますか?」自分でも自信が無かった。
「ちょと 待って 」そう言って携帯マイクで何か連絡を取っている。
「巡査長 今の目の見えない女性の件ですが、本人が体の不調を訴えているですがこれから高円寺迄帰るそうです。本人が言うには有楽町駅迄連れて行ってくれないかと言ってますが、どうしたらいいでしょか?」
「うーん 有楽町駅の先が心配だ。何か 有ったら大変な事になりか得ない。今 丸の内書に問合せて指示して貰うから、ちょと 待て」
「大丈夫 ここにしゃがんで待てて」
「このままで大丈夫です。」しばらくしてマイクで指示
「はい 山口です。 」
(こちら丸の内書 指示指示します。パトカーを向わせます。パトカーで高円寺の自宅迄送って 貰います。その場に待機して下さい。)
「了解しました。待機します。」
「パトカーで自宅迄送ります。」
「エッ そんな ご迷惑をおかけします。ありがとうございます。」
「良かったね。」警察官もホッとして笑顔で言った。
パトカーが静かにすうーと近付いて来た。
「こちらの女性ですか。お住いは高円寺分かりました。この楽器は?随分大きいですね。何という楽器ですか。」
「これはチエロです。」
「へー チェロってけっこう大きいですね。」
「はい ケースが大きいです。ご迷惑をおかけします。
「心配しないで下さい。これも我々の仕事ですから、じゃ 行きましょ」高円寺に着くまでお巡りさんは私に気お使い時折話し掛けて来た。
アパートに帰った瞳は携帯を取り出し0を押した。
今は使われていませんのガイナンス。この音声を何回聴いた事か冷たい響き、瞳の心の奥に深く沈んで行った。
その頃、西城は新宿の東京医科大学附属病院の受付にいた。何故か本郷 瞳の診察券を持ち
「すいません。こちらでお世話になっている姪の本郷 瞳 ですが主治医の加藤先生に相談したい事有りまして」西城は瞳の診察券を見せて聞いた。
「あっ はい あなたじゃないですね。この方 本郷さんの事ですか?」診察券を受け取った受付員が不思議そうに西城を見て言った。
「私の姪っ子何ですが。」
「ちょと お待ち下さい。」そう言って眼科に連絡を入れた。
「あのー 加藤先生 患者さんじゃないですが患者さんの叔父さが患者さんの事で相談したいと言ってますがどうしたらいいですか? あ はい そうします。分かりました。」受話器を置き
「先生がお話しを聞くそうです。この診察券を持って第二眼科迄行って下さい。眼科は2階ですので黄色い線に沿って行って下さい。もう連絡して有りますから看護師に診察券を見せて下さい。」
「有り難うございます。」西城は大きな病院に来るのは久しぶりだった。そうだ 古い話だがいざこざの出入で舎弟が腹を刺された時以来だ。2階に行き黄色い線の指示通り行き第二眼科に診察券を渡した。
「総合病院ってとこは昔の単純のなになに科じゃなくて細かく専門医に分けているから多い。ここの総合病院の眼科は名医が居て技術はレベルが相当上のクラスらしい。瞳ちゃんもここなら安心だろ。
「本郷さんの叔父さんに当る方 いらっしゃいますか」
「あっ はい 私です。」西城は手を上げた。何故か 手を上げてしまった。看護師も含み笑いをした。西城は照れ臭そうにカーテンを開き 診察室に入った。
「こちらにおすわり下さい。」
「あっ どうぞ 座って下さい。えーと、本郷 瞳さん の伯父さん 何とおしゃいましたけ?「はい、西城といいます。」
「ところで何か? お話しが」
「はい 瞳の目の手術の事でお話しが」
「瞳さんは2年前にお母さん様と月に何回か一緒来てましたがそのうちいらっしゃなくなってから2年も経ってしまいました。お母さん様は?」
「2年前に亡くなりました。瞳ひとりでは来れなかったので」
「あー、お亡くなりに うーむ 大変な事に 瞳さんは大丈夫ですか?」大変な環境を察したドクターは心配の余り聞いた。
「はい 気丈な子で、ひとりで生きて行く為母親の教育で何とかひとりで生活してます。」
「勇気がありますね。」ドクターはそれしか言えなかった。
「実は瞳の目を手術して欲しいです。手術費用を用意して来ました。幾ら掛かってもいいです。お願いします。」
「手術費用は保険が使えませんので多額の費用が掛かりますがその点、分かりますか?」
「多額の費用が掛かるのは前から母親から聞いてます。是非 加藤先生にお願いしたいのです。お願いします。事前に費用はお支払して置きますから是非手術を」西城は手術費用は前持って調べて置いた。
「まー待って下さい。手術は今直ぐと言う訳に行かないので。瞳さんは2年前に診察がスットプしてますので今の目の状態を診察して見ないと分からないね。さし当たって入院して貰って精密な検査したのち決めましょう」
「お願いします。」
「いつ ご本人をお連れしますか?まずは入院手続きの予約を取って下さい。」
「本人に話して支度をししてから連れて来ます。どちらに連絡を?」「総合受付に話しを通して置きます。」
「分かりました。費用は会計の受付に事情を話し預かって貰います。」
会計窓口に行き話しをしたら眼科より話が通っていたらしく奥の部屋に通された。
「本郷 瞳さんの叔父さんの西城さんですね。」会計科のお偉いさん来て説明し出した。
「はい よろしくお願いします。」
「入院費用並びに手術費用に関しては今の段階では分かりませんのでお預かりって事で言いですか?」
「はい どうぞ」西城は紙袋から札束を10束出してテーブルに出した。
「退院された時、精算して残った分をお返しします。それでいいですか?」
「はい 分かりました。精算したら本人に渡して下さい。」
残りの900万は自分で100万出して1000万にして、すでに瞳の普通口座に父親の名前で振り込を済ませてた。
瞳はここ1ヶ月、今まで経験した事ない心の迷路に迷い混んで精神的に悩んでいた。私みたいな重度の障害者が世間一般の恋をした事がいけなかったのか?だだ優しい親切な人それと私のたったひとりのチェロの理解者。ただそれだけであの人の事は何にも知らない。私に何でも教えてくれた母、こんな事は教えてくれなかった。恋がこんなにも苦しい、切ない気持になるなんて、今までチェロが私を助けてくれたがチェロを弾いても暗い音色になってしまう。チェロも私の心を悟っているようだ。
安定した収入源も失ってしまっい、これからどうして行こうか考えないといけない。何もかも忘れてしまい始めからやり直しして行くしかないと思っていてもこの病はなかなか言う事を聞いてくれない。毎日 悲しい想いを背負って生活て行く苦しさを相談する人もいない。
瞳は、今は立ち直る事もなくただ悲しみ伏せって横になっている時、心の暗闇の中からあの足音、彼の足音 彼が来た気配。
「あの人だ」瞳の冷え切った心は一瞬に炎が燃え上がった。足音が近づきドアーをノックする音が
「今晩は 僕だけど 瞳さんいる?」杖の叩く音と瞳の嬉しさの余り声になら無い返事が聞こえる。ドアー鍵を慌てて開ける音。
「わーんわーんうーんわーん どうして 意地悪 連絡してくれなかったのー、心配してたのにどうして、わーん ううん」ドアーを開けた瞬間、西城に飛びついて胸の中で泣きじゃくった。
「ごめん ごめん どうしても連絡出来なかった。ごめん」そう言って泣きじゃくる瞳を抱きかかえ部屋に入った。瞳は嬉しさいっぱいに泣いた。
「いっぱい 心配してたの、うーんうー」興奮が収まらない瞳を西城は優しく抱きながら髪をなぜた。
「連絡が無いので、もー 私の事を忘れてしまったのかと思い悲しかったの。それと父の事調べるって言ってたから何か悪い事に会ったのか心配してた。いろんな事、考えて悩んでいたらチエロの音色まで暗い音色になってしまい結婚式場辞めてしまったの 沢山 話したい事があるの」瞳は一気に話した。
「僕も会いたかった。言い訳は言いたくないがどうしても連絡出来なかった。すまない。」「もー 分かりました。許してあげる。」瞳は西城と再会した事ですべてが許せた。やっと明るい声になった。
「いつもの綺麗な瞳ちゃんになったね」低い声で言った。瞳は照れくさそうに西城の胸のなかに沈めた。
「西城さんにお願いがあるの聞いてくれます。」俺の顔をさすって真剣な顔で言った。
「なに 」
「私を抱いて下さい。」
「エッ 」西城は耳を疑った。
「お願いです。」
「俺見たい、いや 僕見たいの男にまた」
「いえ 母 が言ってました。始めて自分の心が動き大切に想う人に上げなさいと教えてくれました。」西城は確かに瞳に引かれ好きな気持ちになっていた。だけど見えない瞳に俺の事を正直に言えないジレンマがある。
「お願いします。私みたいな障害者 嫌い」瞳の目から涙が
「バカ 僕はそんな気持は持ってない。瞳さんの純粋な心に引かれたんだ。」強い口調で言った。瞳の心には迷いはないと思えた。純粋の瞳を裏切る様な事は出来なかった。そして瞳の顔を両手包むようにして唇に軽くキスをしてあげた。瞳にとってこれからの出来事は心 深く残るだろう。
「ありがとう。」瞳は小刻みに震え身体が熱く燃えて西城に身を任した。
「本当にいいんだね。」恥ずかしそうに言葉になら無いぐらいの返事で顔をたてに振った。西城はキスをして瞳を抱きかかえて布団の上に寝かした。小刻みに震えが止まらない瞳の耳元で
「綺麗だよ。素敵だ。」そう言ってパジャマのボタンを上から外した。真っ白い肌に西城は我を忘れていた。
「あーあ 」始めての感じで上から下まで走るこの感じが瞳にはただそれがこれからの始まりだとは分からない。今までに無い素敵な感覚で、味あった事のない不思議な身体の異変、こんな身体になって恥ずかしく思が自分ではこの素敵な感覚は止めれない。
「瞳は綺麗だ。とても素敵だ。」
「あーああーうーん」」自分の事を瞳と呼んでくれた事を涙だを流しなが喜んで西城の身体を抱きしめ身を任した。
「うーん あっ 痛い。」・西城に愛された瞬間だった。私にも普通の女の子と変らない事が分かった瞬間でもあた。
ふたりはしばらく抱き合っていた。西城は瞳の愛を大事にしたかった。瞳も西城の事詳しく聞いて来なかった。瞳も西城と同じでこの愛を大事にして置きたかっただろ。
「瞳 お父さん お母さん からのプレゼントが有るんだ。」
「エッ 何!竜二さん何!言っての?」瞳は俺の顔を見ているかの様に俺を見て不思議そうな顔をして言った。
「びっくりしたろ プレゼントが有るんだ。瞳は目の手術をして目が見える様になるんだよ。病院にはすべて手配してあるから明日から入院して検査したあと手術して貰う手配ずになっているだ。手術費用 入院費用はお父さんお母さんのプレゼントで心配しないでいいからね。」
「エッ本当 信じられない。嬉しい」そう言って西城に抱き付いた。瞳には分かっていた。竜二さんの優しさを
「明日 入院するから準備しないといけない。その前に僕からの最後のお願い聞いてくれるかな?」西城は自分でも分かっていった。
「何のお願いですか? 竜二さん変な事 言わないで最後何って お願いだから言わないで悲しくなっちゃう。」もうー、二度と悲しい想いはしたくなかった。西城をきつく抱きしめて言った。
「ごめん ごめん 変な言い方して謝るよ。 瞳の今の気持ちでチェロを僕だけに弾いてくれないか?」
「分かったわ。今支度して準備するわ。ちょっと待ってて」タンスから下着と肌着を取り出し奥の部屋に行き、演奏の礼服。白のシャツに黒いジャケット黒のスカートに着替えチェロをケースから取り出し弦の調整して俺の前に
「お待ちどうさま チェロ 弾くの久々何だ 。分かる竜二 」今はきっと上手く弾けると信じた。
「うん 」竜二は深くは言わなかった。ふたりとも阿吽の呼吸でわかった。
「今から演奏します。」
「一人演奏会だね。」瞳はサングラスをせずに俺の前で演奏を始めた。繊細な澄みとた音色だ。瞳は俺の為に真剣に演奏しているが分かる。この曲はバッハのソナタ、クラヴァア曲モテット 目覚めよ、と叫ぶ声あり曲の通り瞳の心を弾いている。俺はこんなに感銘した事は無い。素晴らしい演奏だ。俺は今の瞳の演奏する姿を目の脳裏に記憶した。なぜか演奏が終りに近いずいたころ瞳は涙を浮かべ涙が頬を伝わり落ちた。自分が最高の演奏した為か何かを分かって涙を流したか分からない。
「ありがとう。素晴らしい演奏だった。僕の胸に刻んでおくよ。」そう言って瞳にハグして頬にキスした。
「ありがとうございます。」瞳は涙が止まらなかった。
「じゃ あした8時に向かえに来るから準備して置いて。今日はゆっくり休む様にな」
帰る竜二に甘えるようにキスをした。何かふたりとも別れを惜しむように長いキスをした。竜二さんが帰り何か実感が湧いて来て、この現実が夢でないことを祈った。
私が目が見えるかも知れない喜びに胸踊らせた。目の手術が成功して真っ先に竜二さんを見たい。そしていっぱいチェロをを演奏してあげたい。いろいろ考えているうちに眠りについた。安心した寝顔だったろ。
翌朝 8時に彼が向かえに来てくれた。私は嬉しくてはしゃいで竜二に抱き付いた。
「ほらほら ちゃんと支度してあるかな。持って行く物忘れない様にな。下着類は1週間ぐらいでいいから」
「1週間ぐらいでいいの?」
「病院がちゃんと洗濯してくれるから」
「えー 恥ずかしい」女 ごころは忘れてない。
「入院している人はみんなそうしてるから安心していいから」
「こらこら 大切な物 忘れているよ 」西城は指差した。
「エッ チエロ 持って行っていいの」
「当り前だよ。瞳の大切なチェロを一緒に持って行かないとチエロがかわいそうだ。」そう言われて嬉しそうにチェロに頬ずりした。
「道路にタクシーを待たせて有るから用意出来たら行こう」西城は瞳の体の一部でも有る白い杖がいらなくなる事を祈った。
入院は個室を用意させた。
本郷 瞳さんですね。私が担当する看護師の和田と申します。宜しくお願いします。分からない事が有りましたら私に言って下さい。そしてここはひとり部屋です。下着類は引き出しにしまいます。私があとでしまいましょ」
「ありがとうございます。 私が分かる様にしまいます。」私見たいな盲目の女性でも誰にも見て貰いたく無い女心を持っている。
「支度が終ったらこのボタンを押して下さい。この階のナースステーションに繋がります。呼び出して下さい。じゃ 後で」
「竜二さん このお部屋誰も居ないの私だけ?」
「これもみんなお父さんお母さんのプレゼントだよ。」
「えー いいのかなー こんな贅沢して」入院の事情は母から聞いて分かっていった。
「いいんだ。瞳は今まで沢山苦労したからお父さんお母さんがそうしたんだよ。」
一生懸命竜二さんは私に素敵な嘘を言っている。
「竜二さん私のお願い聞いてくれますか?」瞳は西城に近寄り甘えて言った。
「時間が有ったらいつでも会いに来てくれる。」
「何 当り前だよ。可愛いい瞳に毎日、会いに来るから心配しないでお医者さんの言う事を聞いているんだよ。分かった。」
「はい 」そう言って瞳はキスを求めて来た。瞳を安心させる為熱いキスをした。それで安心した様で荷物の整理をし始めた。
「あっ そうそう 大事な事を言い忘れてた。瞳 僕の素性は叔父さんという事にして置いて うーん お母さんのお姉さんの弟にして置いて欲しい。分かっているよね。」
「はい 寂しいけど分かっています。」
「じゃ行くよ。」瞳は離れたくない思いで西城をしっかり抱きしめ西城の優しさ心の中で感謝した。
「明日 来るから」そう言って呼び出しボタンの場所を教えて看護師を呼んだ。
「整理出来ましたか? 」ドアを開けて入って来た。
「はい 整理出来ました。」歳は40歳ぐらいのベテランの看護師さんでやる事はテキパキしている様に感じた。
「検査が毎日有り、先生の問診も朝 と夕方に有ります。検査の結果で手術の日程が決まります。安心してて下さい。退院するまではパジャマでいて下さいね。毎日 朝夕血圧と脈拍を測ります。今日から測りますのでここに座って下さい。右手を出してパジャマの袖を巻くて下さいね。手のひらを出して脈拍を測ります。今度は血圧をはーい測ります。はい 終りました。」そう言って何かに書き込んでいた。この病院は幼い時からかかっているからカルテがありすべて分かっている。
「瞳さんは何か演奏なさるんですか?」和田はこの楽器が何か分からなかった。
「これはチェロです。」
「大きな楽器ですね。失礼ですが目が御不自由なのに?」
「小さな時から、母親に教わりました。ちょっとお尋ねしたいのですが」
「屋上でチェロの練習しても構いませんか?」入院中弓の感覚を忘れないために常にチエロに接触ていたかった。
「あーはい ドクターに聞いて見ます。あっ、それと病院事務局にも聞いて見ますね。それじゃ今日はゆくっり休んで下さい。明日から検査が続きますから。何か有りましたらベルを押して下さいね。」
「あー 大変 忘れてた。大事な事 トイレと洗面所の場所を一応教えて置きますね。行く時は常駐の看護師が連れて行きますから遠慮しないでベルを押してね。」
「はい」
「じゃ 行きましょか。この車椅子に乗って下さい。」
「すいません 歩いて自分で行きますから?場所を教えて下さい。」瞳は車椅子に頼りたくなかった。看護師に自分の方法で場所の確認をする為その説明した。自分の徒歩の幅で何歩か白い杖の感覚で、すべてを把握して歩いて行くです。」
「訓練なさっているんですね。」和田は感心した。
瞳はベットに横になりこの現実を実感した。今は亡き母親と父親に奇跡が起きた事。この奇跡を起こした今一番大切な人と結ばれた事を心の中で報告して眠りに入った。
翌朝 和田看護師が部屋に来て血圧と脈拍を調べ今日の検査手順を説明した。
「本郷さん あー 瞳さんって呼んでいい?瞳さんの方が何か自然だから いい?」
「あー はい、ありがとうございます。」
「瞳さん 叔父さんの西城さん今日 何時ごろ、いらっしゃいますか?主従医に成る飯田ドクターが聞いて欲しいと言ってますが?」
「はい いつ来るか 今は分からないですが」私の目の事で西城さんに話が?瞳は一瞬 不安になった。
「それじゃ 連絡出来ますか? 瞳さんと西城さん、一緒の時に瞳さんの病名の説明と今後の手術の予定を話したいと言ってます。
「今 連絡して見ます。」事情が分かってホッとした。
「時間が分かったらナースステーションの和田まで連絡を下さい。呼び出してボタンの上に受話器が有りますから受話器を取れば繋がりますから」
「はい 分かりました。」瞳は今 西城に電話していいのか迷った。あの時から携帯を使っていない。頭にあの事が過って不安になった。暫く考えて携帯を取った。そして0の数字を押した。呼び出し音が暫く鳴っていた。出て欲しいと心の中で祈った。そして繋がる音が
「もしもし」静かな声で 瞳は声を掛けた。
「どうした?」ドスの聞いた低い声で返事を返した。
「ごめんなさい電話して、竜二さん 、今 お話ししてもいい?」一瞬の不安が消えた。
「大丈夫だよ。何か?」
「今日 会いに来てくれる?」甘えた声で言った。
「そのつもりだよ。」入院 一日目で寂しくなったのか?可愛いく思った。
「寂しいの、 瞳から離れないでね。」
「もー大丈夫だよ。」
「それとね。瞳の主従医に成る飯田先生が竜二さんと一緒の時に今後の説明がしたいと言っているの今日 何時ごろになりますかって?」
「あー そうだな 3時ごろかな?」
「じゃ そう言っておくね。竜二さん 大好き」そう言って切った。瞳は連絡出来た事で安心した。
看護師の和田さんにそのむねを連絡した。持って来た点字の楽譜を指で感じ鼻音色で演奏して時間を過ごしていた。
脳検査でMRIを受けた。この検査は聴覚が大事な瞳に取っては音の大きさに驚いた。検査が終った時、耳は大丈夫かと心配して誰かと話がをしたかった。その時
「入ってもいいかな?」
「うあー 聞いて 聞いて、今 MRIの検査したの 脳を調べるだって、ヘットホーンして、もの凄い音がして耳が壊れたと思った。怖かったの、
だから誰かと話をして耳が聴こえるか確かめたかったの」瞳は竜二が来た喜びでちょっと甘えてはしゃいだ。
「そんな検査があったのか。手術の為にいろいろな検査が有るから我慢するんだ。」瞳をハグしてキスをし安心させた。
「竜二さん 飯田先生が4時に第二眼科に来て下さいって」
「一緒に行って聞こうね。あっ そうそう パジャマを買って来た二着。ほらこれ」瞳の手を取りパジャマを触らせた。
「嬉しい 今、着ていい?今着替えるから待ってて」
「ここで?」
「なぜ?」
「いいよ。 外にででるから 終ったら声 掛けて」目が見えない彼女でもこれが礼儀だと思った。部屋から返事が
「着替えたよ。ほら 似合う 素敵なパジャマ ありがとう。」
「似合うよ。素敵だ。」真っ白な絹のパジャマであった。瞳は西城の首に両手を回しキスを求めて来た。今は瞳に取ってキスをする事で自分を安心させていた。
「ここで今 竜二さんにチェロを聴いてもらいたいだけど、ここ病院ダモんね。ごめんね。屋上で演奏出来るか今 病院に聞いているから待ってて」
「いい返事が有ればイイね。・」瞳はあの時のトラウマで俺と離れたくない一心で甘えていた。
主従医の打ち合わせの時間が来て看護士の和田さが向いに来た。瞳は車椅子で二階の第二眼科ヘ
「本郷 瞳 さんこちらへ 叔父さんの西城さんご一緒にどうぞ。2年前からこちらにお見えにならなくなって、いろいろあったでしょね大変苦労なされて、その前のカルテは有りますから心配しないで下さい。その当時は何時でも手術は行う予定でした。
2年間のブランクがありますので今日から改めて検査をしていきます。当時、瞳さんが発病した時、1歳でした。当時の主従医の先生の見たてではステイーブンスジョンソン症候群ともう一つ角膜変性症の二つが有りました。両方共、細菌、アメーバ、ウイルスなどが病原体が原因で角膜炎が繰り返し後に角膜のダメージで失明になったにで検査の結果次第で角膜移植をします。15日間 半月かな?」
「角膜移植で瞳は目が見える様に成るんですね?」西城は難しい説明は分からないストレートに言ってくれと言わんばかりに言った。
「検査結果次第でしか今は言えないですが今の医手術は進歩してますからご心配しないように」
「手術して直ぐ見える様になるですか?」
「手術後 10日ぐらい徐々に光に目を慣れせて行ってからですね。」
「分かりました。」
「分からない事でも有りましたら何時でも聞いて下さい。看護士の和田に連絡をお願いします。あっ そうそう、MRIの脳検査結果では脳は異常はないです。心配しないで下さい。」
主従医の説明と問診が終り部屋に戻った。
「瞳の手術 大丈夫かな?角膜移植って痛いのかな?」瞳は異常にナーバスになっている。
「ダメな手術 の話しだったら瞳を同席させ無かっただろ」瞳を安心させた。
「そうだよね。安心した。」
「先生の言う事、ちゃんと聞くだよ。」ベットで寝ている瞳に言い聞かせた。
「竜二さん ありがとう。ちゃんと聞く 竜二さんの言う事も聞くわよ。ねねねーお願い顔を近ずけてくれる?」
「何 」言われるままに瞳に顔を近ずけた。
「こうやって顔を撫ぜて顔を確認しておくのよ。手術後に本当にこの目で見えた時の竜二さんと瞳の心で描いていた竜二さんが絶対一致するからね。」顔や頭を撫ぜてそのうち
竜二の唇に触れた時自分の唇に寄せキスをし、竜二に耳元で
「好きです。竜二さん愛してます。」これは瞳の本当の気持ちであろう。
「ありがとう。僕もだよ。」瞳は深く唇を重ねて来た。瞳が見える様になったら俺は----
「さっき 和田さんが屋上でチェロを引いてもイイですって言ってた。」明るい瞳を見て俺はこれでいいだと自覚した。
「また、チェロ 演奏出来るね。良かった」
「竜二さん 毎日 聴いてくれる?だって1番の私のチェロの理解者ダモんね。」
「こらこら あんまり無理しちゃダメだよ。」
「先生と相談して練習するね。」
「それが1番だ。」
「本郷さん夕食の時間ですよ。」看護士さんが夕食を運んで来てくれた。
「食べましょね。」食べさせてくれるらしいが俺が居るから看護士さんに言った。
「すいません 今日は私が食べさせます。」
「いいですか お願いしちゃおかな じゃお願いします。終ったら読んで下さい。」喜んだのは瞳だった。
「竜二さんが食べさせくれるの ヤッター」ウキウキして楽しそうな瞳に俺がはしとスプーンで運ぶ食事を瞳は美味しそうに食べてくれた。今まで不自由な身体で苦労して食事をしてたんだろなと西城は思った。
「竜二さん 聞いて、毎日 食事を作ってくれて嬉しい。 今までスーパーやコンビニで買い物して食事を作ってたのも楽しかた。皆 親切だったのよ。そう言う瞳を見て俺は恥ずかしくなった。
季節も初夏になり屋上も涼しい風が瞳の髪の毛を撫ぜて通る。チェロの音色が風と共に屋上いっぱいに広がる。
屋上で休んで居る患者さん、休憩を取っている看護士さんがチェロの優しい音色に誘われる様に瞳の周りに集まり聴き入っている。この事が病院内で広まり事務局から患者の要望もあってコンサートの話が持ち上がって瞳の手術前に病院の玄関エントラスで行なわれ事に決まった。
毎日の検査 、ドクターの診察があり手術の日も間近くなって来て瞳の精神状態に変化が見られる様になり西城も神経を使い、なるべく瞳のそばに居る様にしていた。瞳は19年間。暗闇の世界に生きてきた。自分も目が見える事を夢の様な事だと思っていた。そして望んでいたが、今、現実になる事は自分が今まで盲目の世界で描いて生きて来た事と、これから見える世界のとのギャップが瞳は怖がっているんだろ。
コンサートの日程も決まり瞳の最後の盲目演奏になるだろ。
「竜二さん いつもそばに居てくれてありがとう。この演奏 最後になるね。ずっとそばにいてね。」盲目の時と、これから経験するだろ演奏の違いを今、身体で感じてる。
「瞳 これからずっと変わらないよ。普段通り心の底から湧き出る演奏をすればいいんだ。」西城は今 瞳の心配してる事を感じてる。西城には何も言えない。瞳がこれから経験し自分が感じて判断し行動する事だ。今 俺に出来る事は瞳の手を触れて安心させる事だ。
病院のエントラスに沢山の患者さん、病院の関係者の方が集まり瞳の演奏を堪能し聴き入って歓喜のあまり涙する人、今まで心の病で悩んでいた人が晴れ晴れした表情に見えたコンサートになった。いつになく瞳の真剣さが伝わって来た。
「終ったわね。竜二さんが、そばにいててくれた事、ずっと感じてたわ。竜二さんの言う通りに演奏出来たわ。」瞳の顔に何かが見えた。
「素晴らしい演奏だった。瞳は変わらないよ。」そう言ってハグをした。
「ありがとう。竜二さんが居てくれたから」甘えていつまでもハグを離さないで西城の存在を感じてた。
「瞳 いよいよ始まるよ。主従医の飯田先生に呼ばれ検査の結果がいい状態なので明日でも手術を始める許可が欲しいと言われ、お願いしますってOKして来た。」
「始まるのね。竜二さん 心配しないで覚悟は出来て居るから、」
「やっとここまで来て嬉しいよ。」ここまで来たって言う事は瞳との----西城は分かっていても淋しい感情に掛かれた。
看護士の和田さんが瞳の世話しらがら明日 手術について説明をした。
「瞳さん コンサート素敵な演奏でした、ありがとうございました。皆 感激してましたよ」そう言いながら瞳をベットに寝かし説明し出した。明日の手術は午前10から始まり2時間ぐらいで終ります。手術後はベットで安静にしてて下さい。目に包帯が巻かれている状態が1週間ぐらい術後の検査続き包帯が取れるのは検査次第です。先生に聞いたと思いますが光に目が慣れる迄ちょっと時間が掛かりますので直ぐには見える様にはなりませんからリハビリをして下さい。今日はゆっくり休んで下さいね。」
「はい 分かりました。」瞳は看護士が帰った事を音と身体で確認し西城を両手を挙げ西城を受け居る仕草をした。西城は瞳の要望に答えた。
「竜二さん お願いがあるの瞳のわがまま聞いて下さる。」
「どうした?」
「明日 手術でしょ心配で怖いの今日ベットで添えねして欲しいの いいですか?」
「瞳がそうして欲しいなら」手術の事が不安なのか?、それとも俺のすべてを知り尽くしたいのか?瞳の両手が俺の手を引いてベットに引き入れた。
「竜二さん 。好きなの 愛しています。チェロが竜二さんを会わせてくれた。両親と同じ何かの運命を感じるの 好き 好き 愛している」瞳は今の状態を忘れ西城の顔を両手でしっかり包み唇を押し付けて来た。
「瞳 好きだ。」
「竜二 お願---------」瞳といつまで居られるか複雑な気持て瞳を抱きしめた。
翌朝 瞳は手術を受け入れる覚悟が出来ていた。
「叔父さん 手を繋いで」人前ではこう言うしか言えない事は淋しいかった。
「手術は成功するから心配しないしないように先生を信じる様にな。」車椅子に乗った瞳の手を握り手術室に向った。
手術室 前西城は終るのを待った。あと 3~ 4日間で終りが来る。瞳の為にも終らせなければ行けない。自分に言い聞かせ手術の無事成功を祈った。
手術室前で待った。手術は3時間で終っり手術室を出て来た瞳は目に包帯を巻、麻酔で眠っていた。
「西城さん 手術は無事、終りましたよ。ご安心下さい。今、麻酔で寝てますのであと2時間足らずで目覚めますからそばに居てやって下さい。」そう言って無事を報告してくれた。
部屋に戻ってベットに寝かされた瞳を見て手を握り、西城は良かった反面これで瞳と------
体は老いて行くが人の声はあまり変わらない。瞳には俺の声がどう言うに聴こえていたのか?俺はいい歳をして瞳に恋をしてしまった。これであと10間も経てばこれからの瞳の人生は変わると思えば俺がやった事は正しいかった。そう自分に言い聞かせた。
西城はそばに居てやる時間を今は大切にしたかった。瞳は静かに目を覚ました。
「あっ 竜二さん ずっと居てくれたのね。ありがとう、嬉しい。終っただね。」
「あー 終った。手術は成功したよ。よく頑張ったね。」耳のそばで言って、手をぎゅっと握りしめ、瞳も握り返した。
「目が覚めましたか?」そう言って和田看護士が入って来た。
「はい 今 覚めた様です。」
「無事 終わって良かったですね。脈拍と血圧を測りましょね。西城さんも少しお休み下さい。3時にドクターの診察がありますからゆっくり休んで下さいね。何か有りましたらベルを押して下さい。」慣れたもんでそう言って出て行った。
「あと 何日すればこの包帯取れるのかな?」
「そうだね。先生に言うには完全に取れるのは10日ぐらいだそうだ。」
「ねね。 そうすれば竜二さんの顔 見る事が出来るだ。楽しみ 」瞳にとって唯一楽しみだった。
「そうだね。 あまり見せられる顔じゃあないけどね。」西城は笑いながら流した。
診察とリハビリの日が続いた。
「竜二さん 聞いて 目が見える様になったら音楽学校に行ってチエロの勉強をして見たい。」
「そりゃ 好い事だ。行って本格的に勉強したらいい。今でも僕は瞳のチェロの演奏は最高だと思うよ。」
「お母さんと一緒の音楽学校に行きたいから一生懸命働いてお金貯めなきゃいけない。」
「そうだね。」
「竜二さん ずっと一緒にいてね」
「うん」
最後の診察が終わった。
「竜二さん 今日 先生が明日、包帯取っていいって」
「あー 良かった。」これで瞳のそばに居てやる事の出来るのは今日で終わりだ。そう言って西城は両手で瞳の顔をそっと触れキスをした。
「瞳 好きだよ。いつも素敵な音色聴かせてくれてありがとう。」西城の目から一粒の涙だが瞳の頬に落ちた。この一粒の涙が何かは瞳には分からなかった。
「竜二 好きよ 愛してる。瞳にとっては1番大切な人なんだから」
「ありがとう。」これが最後の瞳との会話だ。瞳は俺の声を覚えててくれるだろか?
声で繋がった恋 が終った。
ついにその日が来た。今までの暗闇の世界と自分の目で見るこれからの世界、リハビリで訓練し教わったがこのギャップが瞳は怖かった。だが愛するひとを自分の目で見る事が出来る事が恐怖を払い退けた。
「瞳さん 包帯を取りますね。いいですか」先生が安心させる様に言い聞かせた。
「はい、 お願いします。」瞳は胸の鼓動が高鳴るのが聞こえる。先生は目に巻いて有る包帯をひとつ ひとつ丁寧に解いていった。解き終った時薄っすらと光が目に射し込んで先生の顔が見え目を動かすと診察室が見え和田看護師さんも見えた。
「先生 先生 見えます。有り難うございます。」瞳は嬉しさのあまり泣き出した。
「瞳さん嬉しさはわかりますがあまりなくと目がびっくりしてしまいます。 ハハハー笑った。」先生は冗談いいながら笑った。
「和田君 本郷さんを車椅子でお部屋に あっ そうそう、瞳さんは車椅子は嫌いだったね。」
「先生 お願いが」
「何か?」
「自分で見て歩いた瞬間を竜二さん いや 伯父さんに見せてあげたくて」
「いいですよ。 和田君 お願いします。」
「はい 分かりました。」自分の目で見て歩けるこの瞬間を竜二さんと共有したくて急いで部屋に帰って来たがそこには西城はいなかった。
「竜二さん なぜ 居ないの」瞳は涙がこぼれ落ちた。
「本郷 瞳さん おめでとう 目が見えて良かったわね。これ西城叔父様から包帯が取れたら渡してくれる様にと預かりました。」
「エッ これ何かしら?」
「ありがとうございます。」受け取った封筒を開けた。手紙が点字で書かれていた事に瞳はびっくりした。
(竜二さん 点字 勉強したんだ。)
(瞳 おめでとう。本当に良かった。俺も嬉しいよ。この世の中、これから目が見える事で見なくていいこと迄も見なくてはいけない場合もあるが、それはそれで目を背けず現実を理解して下さい。俺は瞳の前には出られる男じゃないんだ。清い心の瞳と真っ反対の世界で生きている人間だ。瞳が見えない事を好い事に嘘をついてた。許してくれ、だけど瞳の奏でるチェロの音色好きだ。歳の事も考えず嘘が本物になり瞳を愛してしまった。この事は本当だ。それと封筒に瞳の普通預金の通帳が入ってる。お父さんお母さんのプレゼントが振込んである。そのお金で音楽学校に行って夢を叶える事。俺もいつまでも瞳のそばに居て応援してるから安心して下さい。
これで音の恋は終っただね。)
(バカ バカ そんなの構わなかった。どんな竜二でも好きだった。愛してた。目が見えたら竜二と腕を組み、約束果たせなかった銀座を散歩したかったのバカ バカバカ----)
瞳の目から一粒 一粒と涙がこぼれ手紙を濡らし瞳も音の恋は終ったと感じた瞬間だった。
それから4年が経った。
ここは国立音楽大学ホール。 本郷 瞳 卒業記念 並に、チャイコフスキー国際コンクール チエロ部門優勝記念 コンサート会場
(竜二さん ここまで来たわよ。聴いてね。)竜二が会場に来ている予感している。4年経っても瞳の身体に染み込んでいる。
(竜二さんの為に弾くね。聴いてね。)何処かで聴いている西城に聴かせる様に演奏し始めた。それは今までに無い最高のチエロの低く優しい音色だった。演奏が終ったあとも拍手は鳴り止まなかった。
演奏も終り正面玄関エントラスで来てくれたお客様にお礼の挨拶をしてた。その時 、瞳の耳にあの足音が聞こえる。
(来てくれたんだ。来てくれた。足音が近づいてくる。)大勢の人にお礼の挨拶をしながら見渡した瞬間、足音が止まり竜二さんの匂い。
「おめでとう。頑張ったね。」竜二さんの声だ。その人は大きな花束を瞳に手渡した。その声は周りの雑音に消されてもおかしく無い状態であったにも関わらず瞳にははっきり聞こえた。瞳は大きな花束を受け取るが、次々にくるお客様に笑顔で対応してその大きな花束で顔が見えない。(竜二 どこ)瞳は叫びたかった。花束で竜二さんの顔を見る事は出来ず足音だけが遠くに去って行った。足音の去って行く方向に瞳は深くお辞儀をした。
(竜二さん ありがとう。瞳は一生懸命生きて行きますから安心して見守って下さい。」
終り
昔ながらの風景に近代的複合高層ビルマンションが建つ飯田橋駅前。この高層ビルに何故かマッチングしている教会。街路樹も枯葉を落とし冬を向かいいれる季節が来た。日が落ちる夕方、何処となく聞こえて来るチェロの低音で優しい音色、枯葉が舞い散る歩道にチエロを奏でる少女。少女とも言える程素直な綺麗な顔をしている。チェロの低音で優しいく奏でる音色とこの季節と教会にマッチングし人の心を優しく癒してくれる。演奏している彼女の前にケースが開いて置いてあり多少の小銭が入っている。ストリートミュージシャンとも違う雰囲気で歩道を行き交う人も奏でる音色に何故か足を止め耳を傾け聴き入ってる。
この街は昔から神楽坂で有名で学生の町でもある最近会社も増え、人の行き来が多い。彼女を取り囲む様に真剣に聴き入る人、目を閉じ演奏に陶酔している人、人それぞれに彼女のチエロの演奏に聴き入ってる。
真っ白い長袖のシャツ、裾をみじかめにめくり上げ肩に紺のカーディガンを掛け、Gパンに紺のスニーカー姿。チェロを弾くイメージにほど遠いがこれがまったく違い彼女がチェロを弾く姿、奏でる音色に違和感がなく、今の時代に合っている。丸いフレーム、ロイド眼鏡と言うのか、濃いめのグラス掛けており口元の表情しか分からないが優しい口元で曲に合わせ音を取っている。折りたたみの椅子に腰掛け足にしっかり命綱の白い杖が挟んである。彼女は目が不自由なのだ。あの濃いグラスに隠されいる瞳の奥に彼女の今までの凄まじい努力と忍耐、世間から自分が置かれている立場を理解し一生懸命生きているんだろ。
立木の周りにベンチが有り、この場に合わないサラリーマンとは違う、あごと口に無精髭をはやしてるが服装は決まっている、白いシャツにノーネクタイ、黒ぽいスーツにカシミヤのロングコート、ピカピカの黒い靴。髪形は短め。黒いフレーム薄い青色のサングラスを掛けサングラスの奥は鋭い目つきでじっと彼女の演奏を聴き入ってる。歳のころは五十を過ぎいる感じだ。一見どっちかと言うと怖もてのあちらさん風にも見える。彼は始めてこの場所に彼女の演奏を聴きに来た雰囲気とは違い何回か来ているみたいだ。奏でるメロディーに時折目をつぶり微かに首を動かしているみたいに見える。彼はクラシックが好きなのか?
この場所は教会の神父さんと、このビルの管理会社に許可を取っているらしい。一曲二十分程度の演奏が終わり彼女は軽く会釈をした。周りから拍手が起こり演奏を聴いて感動した人、又可哀想に思って同情した人が楽器ケースに小銭えお入れて行く。一応お金を入れる人が終るころ、彼は彼女に近寄り内ポケットから高そうな財布から何気なく一万円札取り出しケースに入れる。
「いつも素敵な演終るころ、彼は彼女に近寄り内ポケットから高そうな財布から何気なく一万円札取り出しケースに入れる。
「いつも素敵な演奏ありがとう。今日はヴァオザーク:協奏曲 ロ短調 作品104 だね。 これも僕の好きな曲だ」彼は一言、言ってお金を入れた。
「あのー 」彼女は会釈をしながら彼に何か言いたげに声を掛けた。何故 いつも人だと分かったのか、彼女は音を聞く敏感さと匂いが生命線なのだ。五感の一つは失われているが普通の人より敏感だ。彼が近寄る靴の音yc、あと彼の甘い匂いで分かった。
「うっん 何か?」落ちた低い声で彼女に問い掛けた。
「 いつも演奏を聴いて頂きありがとうございます。チェロの事、詳しいですね。嬉しいです。あのーそのーお金の----」彼女は言いにくそうに
「うっん お金が何か?」彼は優しくx問い掛けた。
「はっい いつも沢山のお金ありがとうございます。有り難い気持ちでいっぱいです。でも 私 こんな大きなお金 頂く訳にはいきません。」彼女はそう言いながら首からぶら下がっているポッシットから今まで頂いたお金を取り出し返そうと彼に差し出した。
「待ちなさい。」静かな声で制止した。
「でもー」困った彼女に語りかけた。
「君は分かると思うが世の中のコンサートを聴きに行くと当然入場料を払うよね。それは分かるね。」
「はい」
「そこにはランクズケが有るだよ。A席B席C席とね。一番高い席では一万円以上はするんだよ。君の演奏はそれだけの価値が有ると思うんだ。こんな近くな場所でライブで聴けて僕は君の奏でる音色で癒されたんだよ。」諭す様に言った。自分の事を僕、何て言ったの小学校低学年以来だ。何かくすぐってな。ここは彼女に印象良くしないと彼女に怖がられるといけないよな。
「あっ はい」
「だから 受け取って良いんだよ。」そう言いながら彼女の手に包み込む様にお金をポッシットに入れてあげた。
「ありがとうございます。」私の演奏を理解し認められた事を嬉しくて彼女は深々頭を下げた。彼女は彼の優しい声と暖かい手の感触を心に刻んだと思う。
「ありがとう。無理をしない様に続けて下さい。」そう言いながらその場所を離れた。彼女は靴の音の方に向いて会釈し音が聞こえ無くなるまで見送った。
ここで彼女 、本郷 瞳 二十歳までの生い立ちを話しておこう。その前に皆様、目をつぶってもらいその状態で考えて下さい。無も見えない恐怖に落ち入ります。だが貴方は過去 、今現在の全てが脳裏にインプットされ脳裏に浮かび上がります。彼女はまだ何も脳裏に残され無いまま一歳に盲目になりました。彼女は二十歳になるまで死に物狂いの努力と忍耐、自分が生きて行く業を身に付けた。それを献身な心で支えたご両親の愛そのものです。
父 本郷 雄一郎 新宿に近い西武線下落合に祖父の代から小規模なネジ製造を営んでいた。母 本郷 静子 は28歳の時 趣味のチェロ演奏で雄一郎と出会い結婚。7年後瞳を出産。やっと授かった瞳を溺愛した。最高の幸せを感じ一歳の誕生日を迎える五日前突然その日が襲って来た。
「わーわーんわんギアーうん~わー」泣き止ま無い瞳に驚いた静子は抱き上げた時、今までに無い高熱に静子は素人りょほうで自分のしてる限りの手を尽くしたが泣き止まず静子は瞳にイライラしてた。
「ねえ どうしたの瞳 お願いだから泣くのやめて お父さん お父さん 助けてー」いら立つ声で雄一郎を呼んだ。
「どうした静子」静子の異常さに驚いて飛んで来た。
「瞳が泣き止まず、それにこの熱、 熱冷ましの座薬入れてもなかなか下がらないのどうしたらいいの?」雄一郎に助けてを求めた。
「瞳 瞳 どうしたの」雄一郎を抱き上げあやしたが瞳の熱が雄一郎の全身に伝わて来た。
「おい 救急車だ。病院に連れて行こう。静子 早く救急車呼んでくれ。」静子は動揺し受話器を持ったままだ。
「静子 俺が電話するから瞳を頼む。」雄一郎は瞳を静子に預け受話器を取り119番に掛けた。
「あっ もしもし 」
「どうしました。」
「娘が高熱で熱が下がらない。来て下さい。早く救急車をお願いします。」
「熱が下がらないですね。泣き止ま無いですね。はい 分かりました。そちらの場所は あー 住所は」
「あっ はい 新宿区下落合1の33の4 本郷ネジ製作所 本郷 です。早くきて下さい。お願いします」
「分かりました。今 すぐに行きます。お待ち下さい。」
「静子 5分ぐらいで来るから 財布と保険証を用意して」静子は動揺して何も出来ない。それから4分ぐらいで遠くからサイレンの音が聞こえて来た。静子は瞳を温かい毛布で包み込む玄関で救急車を待った。
救急車が着くと夫婦で乗り込んだで救命士の指図に従い泣き止ま無い瞳を不安そうなに抱きかかえている静子の手を雄一郎はぎゅっと握り締めていた。無線で病院とやり取りして中々救急車が出ない。
「どうして出ないですか?」雄一郎もやり取りにイライラしきつい声で言った。
「あー すいません この時間ですから相手の病院に小児科医が在中しているか問い合わせしているんです。しばらくお待ち下さい。」三 四軒の病院に問い合わせしていた。
「はい 分かりました。それでは今から行きます。」病院が決まったようだ。
「決まりました。新宿西口 ある東京医科大学病院に向かいます。」
「お願いします。早くお願い」泣き止ま無い瞳をだきしめ祈る気持ちで瞳の顔を撫ぜた。新宿西口に近い東京医科大学は下落合からそんな遠くない。静子は泣き止ま無い瞳を抱き抱えたままこの時間が長く感じたに違いない。
「お母さん着きましたから赤ちゃんを抱っこしたまま着いて来て下さい。こちらから入ります。」連絡受けて緊急口のドアから看護師が出て待って居てくれた。
「どうしましたか?」救命士に状態を聞いて来た。
「はい 熱が38度5分相当高熱です。」
「はい 分かりました。お母さん そのまま抱いたまま着いて来て下さい。」救命士が無線で慌ただしく連絡し合っていた。内科の当直医が居る場所まで小走り行った。着くと同時に一人の看護師が瞳を抱きかかえ幼児用ベッド寝かした。つかさず若い当直医が
「どうしましたか?」
「先生 子供が泣き止まいです。熱が下がらないです。どうしたんでしょ。」
「お母さん大丈夫ですよ、 今見て見ますからね。」
「高橋さん 熱を測って」そう言いながらライトペンで瞳を照らし網膜を確認し聴診器で瞳の胸に当て鼓動を確認し再びライトで瞳を視ていた。
「先生 38度7です。」
「あー 分かった。APS打って」
「お母さん これから熱を下げる為注射しますから」
「はい お願いします。」
「熱が下がるまでちょっと時間がかかりますので外の椅子に掛けてお待ち下さい」。静子は当直医が若い医師なので少し心配してた。
「お母さん」看護師が呼びに来た。2ー30分経ったか 瞳も泣き止み落ち着いて来たが長い間泣きじゃくっていた為ぐったりし眠って居る様に見える。
「お母さん 一応 熱は収まりました。あと詳しい検査をしたいので」
「これから検査を?」
「あっ いえ 検査は明日午前中にします。今日はこのまま病院に瞳ちゃんとお泊まり下さい。明日 いろいろありますから、何せ幼児ですから慎重に視て行きたいので」
「先生 いろいろ検査って」静子は単純に熱が下がたのでそれで良いのかとそう思っていた。
「高熱だったのでMRAをとって脳を調べあと神経 内科関係と眼科」
「はい 分かりました。」何か静子は心配になって来た。
「お父さん、私はこのまま瞳に付いて居ますから、父さん、明日仕事あありますから家に帰って休んで下さい。」
「あー 分かった。静子 病院に任せあまり心配しない様に神経がまいちゃうからね。」真っ赤に腫れた目を見て雄一郎は静子の身体を心配して言った。
「私の事だったら心配しないで大丈夫だから、明日の検査が心配だけ、父さん気お付けてね。」
「じゃあ行くから、何か有ったら連絡してくれ。」静子は雄一郎の淋しい背中を見送った。
静子は夜中じゅう一睡もせず瞳に付き添っていたが朝方睡魔に負けて寝てしまった。朝 瞳の泣き声でびっくりして目が覚めた。昨日の叫び声とは明らかに違っていた。お腹が空いただろ瞳を抱き上げ離乳食を貰いにナースステーション行った。
「本郷さん 今 病室にお伺いしようかと離乳食を用意してたです。丁度良かった。あっ それと午前中の検査のスケジュールをご説明します。」昨日の深夜と違って病院 全体が明るく脈を打つ様に動き出した。静子の心も幾らか安心感が持てた。
「まず9時にMRAの検査をし あっ これは脳検査で総合内科で血液検査と喉、肺のレントゲン検査 神経内科 外科 の検査 お母様も大変でしょうがしっかりして下さい。あーそれと眼科の最後検査を受けます。その都度お子様を抱き一緒に受けて下さい。順番はこちらから言います。」静子は思った。やっぱしあれだけの高熱だからいろいろな検査が有るだろーと思った。が最後の眼科の検査が静子は気になった。
瞳もいつもの様に元気を取り戻して来た。心配している雄一郎に連絡を入れて事情を話した。
最後眼科の検査を残し病室で待った。
「この子が無事に家に帰れます様に」神に祈る気持ちで待った。暫くしてから看護師が迎えに来た。
「本郷さん これから眼科の先生に視て貰いますからどうぞ」眼科に行くと年配の先生が何か険しい顔し液晶パネルで各科の検査結果を観入っていた。
「お母さん こちらに瞳ちゃんを抱いてお座り下さい。」そう言いながら瞳の目を開きライトペンで左右に動かせて何かを確認して見せた。
「お母さん 瞳ちゃんはまだ幼児な為通常の検査が出来ないですが今直視の検査で網膜に異常が見られます。これがどう言う事かこれから説明します。お母さんこれから言う事をしっかり心に受け止め動揺しないで下さい。」静子は先生の一言一言が胸に刺さり激しく心臓が脈打つのが静子は押さえる事か出来ない。
「お母さん この病名は難しく言うとステイーバンス-ジョンソン症侯群と言いマイコラブラズマ感染や一部のウイルス感染に伴い発病するもので難病に指定されてます。今の医学ではどう言うウイルスかはまだ分かってい無い現状です。治療法も成人と異なり幼児の場合は大変難しいです。赤ちゃんは今どんどん成長して行きますので今の治療法を用いると成長にどんな障害をきたし人間としての機能のダメージが出て来るか分かりません、だから成人と同じ医療法を使う事が出来ないです。瞳ちゃんがこれから育って行って治療法に適用した時にしかはっきり言って今は手を打てないです。それともう一つ考えられる病名として角膜変性症でこの治療法は角膜移植しか無いです。お母さん 瞳ちゃんは両目が全然見え無い訳じゃあ無いです。多少薄っすらと光が感じられます。この感じを維持して将来角膜移植をすれば見える様になりますから希望を捨てないで下さい。
「先生 はっきり 言って下さい。」
「お母さん瞳ちゃんは今は失明状態です。」突然悪魔が瞳に襲いかかった。静子は暫く先生の言う事が理解出来ず呆然としていたが我が子、瞳を抱きしめ喚き泣き始めた。お母様 しっかりして下さい。」看護士が静子の肩を抱きしめなだめた。
「お母さんには大変ショックな事で察します。これから、これ以上悪化しない様に視て行きましょ。お母さん気を落とさずしっかりして下さい。」
「先生 何故 瞳が不幸を背負はなくて行けないの 先生 教えて下さい。瞳は何も悪い事して無いのに」静子はそう言いながら泣き止まなかった。
「将来、医学も今以上に進歩し確実に手術すれば見える様になります。それまで様子を見て行きましょね。お母さんしっかりして今後の瞳ちゃんの生活を考えて見ましょ。何でも相談に乗りますので」静子は現実を直視出来ず毎日が抜け殻の様に過ごした。瞳を抱きしめあやし食事を与え日々を過ごした。雄一郎は静子の痩せ細って行く姿にどう慰めるか戸惑った。両親が瞳の一歳の誕生日を楽しみにしてたが一歳の誕生日を祝う気持ちも伏せてふたりには会話すら無くなっていた。あんなにも明るかった家庭も暗く静まり返って工場の機械の音だけが変わりなく鳴り響いている。何日か経ったか分からない程日々が経った日、いつも物静かな雄一郎が静子の落ち込む姿に煮を察し静子に問い掛けた。
「母さん いつまで現実から背を向けて生活しても何も始まらない。瞳の将来を考えてふたりで瞳が生きて行ける様に育て上げるのが我々に課せれた試練だと思うがここで静子が落ち込んだままでいたら瞳が可哀想。 ふたりで頑張ってみよう。父さんも一生懸命仕事をし瞳の手術費用を稼ぐから、母さん目を覚ましてくれないか?」静子は雄一郎の激しくも冷静な説得に我に帰って雄一郎の胸に飛び込み泣きじゃた。
「ごめんなさい。 ごめんなさい。あなた 瞳 ごめんなさい。」雄一郎は静子が現実に帰ってくれた事に嬉しくなり静子と瞳を抱きしめた。
「視覚障害者としてハンデイを背おうがふたりで世間に恥じない子に育て自立して生きて行ける様にふたりで育てなくては瞳に申し訳ない。」静子はうなずく様に
「はい お父さん分かったわ 。もう 大丈夫よ。大丈夫」ハンデイを背負うこの子を絶対に育て上げると誓い。瞳を抱きしめた。
「お父さん 一年足らずの記憶で私たちの顔を覚えててくれるかしら?」たった一年間の幼児の脳裏に記憶してくれる事を祈った。
「大丈夫だよ。母さん 瞳はきっと母さんの顔を覚えてくれるよ。」
「そうよね。 私とお父さんの顔を覚えていて 目が見える様になった時、笑顔で私たち向かい入れてくれるわね。」
「うん、 そうだ」ふたりに明るい笑顔が戻った。
「これから瞳の為、私も勉強し瞳と一緒に生きていくわ。」雄一郎は静子が元気になってくれた事を心から喜んだ。
自分が今 失明したとしても今まで見て来た事や経験した事が脳裏に刻まれて世の中の仕組みが分かるが瞳は何も今の世の中の事は記憶に無い。そのことを考えると何と悲しい事か静子は胸が裂けそうに痛んだ。この子が育って行く過程でどの様に教育して行けばいいか普通の子を育てる何倍も努力が必要だと自覚した。
瞳が言葉を覚えると同時に点字も一緒に教えて行かないといけない。今から私が点字をマスターしておかないといけない。
「お父さん お父さん 」雄一郎は仕事場で機械を動かしているから静子の呼ぶ声が聞こえなかった。何度か呼ばれた時、聞えたらしくやっと返事があった。
「何か呼んだ? 」
「お父さん 近いうち瞳連れて盲学校に行っていろいろ聞いて来ようかしらと思っているんだけど?点字も勉強しないと思って」
「そうだな 私も点字ぐらい覚えておかないと、いろいろ教えなくてはいけない事が有るからなー 盲学校って何処に有るか調べないと」
「もうー 調べた。 文京区に二カ所と葛飾に一カ所 都内では三カ所見たい」
「あー、そうか ここから近い所は文京区だね。」
「私もそう思った。後楽園の近く見たい。電車で行くのに便利だし、いろいろ相談して見る」
静子は瞳を連れ東京都立文京盲学校に行った。飯田橋駅からすぐで小石川後楽園に隣接した6階建の重厚な建物で静子は安心した。
受付に行き手続きをした後、通された部屋で説明を受けた。
盲学校 盲学校は、視覚障害者に対する教育を行う特別支援学校の校名の一形態である。2007年4月1日より前は視覚障害者に対する教育を行う学校は制度として「盲学校」の名称が使われていたので、2000年代においては、しばしば見かけられる校名である。日本では2007年施行の学校教育法改正により聾学校、養護学校ともに、学校種が「特別支援学校」となり、場合によっては「視覚特別支援学校」の名称の特別支援学校もある。
自分の安全を図る為の手段とその工夫を学びつつ、点字などを中心に幼稚園、小学校 、中学校、高等学校に準じた教育が行なわれいる。
「本郷 瞳 さんのお母様 静子様ですか」名称と学校の案内パンフレットを渡された。
「はい」
「事務長の酒井です。宜しくお願いします。瞳ちゃんは?」
「はい 一歳の時、高熱で泣き止まず大学病院に緊急で入り眼科医の先生見てもらたら感染性角膜炎で角膜変性症診断されました。」
「大変だったでしょ。 光が薄っすら見える程度ですか?お母さん 現実を見て瞳ちゃんの将来の事を考えて学校と共に頑張りましょ」
「攻めて高等学校までの教育をと思いまして。」
「ご安心下さい。幼稚園から高等学校までとその上の専門学校までの教育をしてます。まだ瞳ちゃんは2歳になったばかりなので世間一般の学校制度と同じで6歳から幼稚園に通えます。点字ですべてを教育して行きます。まだ入園まで3年有りますので先ずお母様が点字をマスターされないといけません。」
「はい そう思って今日来ました。何かいい参考書が有りましたら教えて下さい。」
「はい 分かりました。瞳ちゃんの将来の為に親御さんが今から勉強しなくてはいけないのです。ここに参考書を用意して置きましたのでお持ち帰りして今日から点字を勉強して下さい。」
「はい 分かりました。」静子はいろいろ説明を受け一安心した様子で都の運営でなかなかしっかりした学校と思った。
子供は育つのは早い、あっと言う間に瞳はハイハイする様になって来た。つかまり立ちをしヨチヨチ歩くのももうすぐだ。目が見え無いからあっちこっちぶつかるだろー。これも痛さを身体で実感し瞳自身が体で思えて行くしかない。人間が持っている五感 瞳は一つ欠けたがそれ以上のものを瞳に植え付けさせないと思う。私 自身が瞳と同じ条件で物事を考えて教えていかないといけないと思った。
静子は毎日のように好きなチエロを嬉しい時、淋しい時、悲しい時、時間が有れば弾いてたが瞳の事が有ってから2年間ぐらい遠ざかっていた。静子にも少し心に余裕が生まれ好きなチェロを弾きたくなった。それより瞳にチエロの音色を聴かせたかった。
チエロを弾き始めると今までぐずっていた瞳が音がする方に顔を向けじっと耳を傾ける仕草を取りぐずるのを辞めた。静かにお座りして音を聴いてた。この瞬間、静子は目から涙が溢れて今すぐにも瞳を抱きしめたかった。
「お前もこの音色が好きなのかい。この音色でお父さんと結ばれたんだよ」静子が大学生の時ライブハウスでチェロを聴いてたころクラシックが好きで特にチェロの音色が好きな雄一郎が静子に猛烈にアッタクし結ばれた。
「瞳 この曲は父さんと出会いのきっかけ作ってくれたシューマン:チェロ協奏曲 イ 短調 作品129の 曲で母さんも大好き曲なの」瞳はまるで目が見えるような目でじっと私の方を見つめていた。
「これから毎日 素敵な音色を聴かせて上げるからね。」
「そうだ 瞳にチェロを教えてあげないと。私が瞳に上げられる物はこれしかないわ。」瞳が興味を持った事がよほど嬉しかったか静子は我が子に聴かせる様に弓を弾いた。
ヨチヨチ歩きしあっちこっちとぶつかり悲鳴をあげ泣叫ぶ瞳に目が放せない。日に日に成長して行く瞳に心配が増えて行く。家事をやるにも瞳にひも結び片方を自分結びこのひもが命綱になっている。
「お父さん 食事 出来ましたよ。」瞳を抱っこし工場に行き雄一郎に声を掛けた。
「おーおー 可哀想だね。アザだらけだね さあー 抱っこしてやろう。こっちへおいで、さあー いい子だ いい子だ。ほら 父さんのお顔だよ 触ってご覧」泣き止んだ瞳に自分の顔に瞳の手のひらを撫ぜ撫ぜさせた。我が子に父親の顔を認識させたい思いでその都度顔や頭 腕など触らせていた。母親静子を同様な触れさして自分の顔を覚えさしていた。二人共瞳が不敏で時折泣いていたが最近は現実を見つめて瞳に愛情を注いだ。父親は家中の柱や 机椅子、瞳がぶつかりそうな物にスポンジを巻き怪我をし無い様にした。
4歳になって歩行もしっかりして来た頃、静子は様を決心して瞳を家の外に連れ出し杖を使い歩行訓練を実行した。盲学校の指導で4歳ごろに命綱になる白い杖を慣れさせて杖が自分の体の一部になる様に指導して行く様に、白い杖から伝わるすべてを指先 、手のひら、腕、体全体で感じ神経を取り澄まし脳に伝える。この年齢が4歳児から適しているらしい。
「お父さん お父さん 今日から瞳を外に行って訓練します。」
「お母さん これなーに」瞳は足に膝あて、腕あてサポーターをした。このサポーターが気になるらしい。
「これは 瞳が転んでも痛くない様にしてあるのよ。」
「おー お待たせ いよいよ 瞳のお外デビューか 頑張って来いよ。」そう言いながら瞳を抱き上げいつもの様に自分の顔を撫ぜさせた。瞳はこれから起こる事に不安そうな顔をした。
「さあー 瞳 靴を履きましょうね。この杖で探して見ようね」杖をしっかり握らせた上から静子の手のひらで覆い杖の使い方を優しく教えて行った。五感に一つ欠ける盲目障害者にとっては白い杖は自分の命だ。そして耳からの聞こえる音 、聴覚。匂い、嗅覚。 あとは感覚。生きていく全てだ。
「お母さん 何かにぶつかったよ。これ瞳の靴?」杖から伝わる感覚を覚えたに違いない。
「あー、 そうそう 杖から伝わったでしょ。 しゃがんで手で触ってご覧 ほら これが瞳の靴よ。」外に行く以前に靴に触れさし覚えさしていた。
「アッ これだ上にリボンが付いている。」嬉しそうに自分の靴を撫でいた。
「さあー 杖を持って 杖が何処に行かない様に杖ひもを手首に巻いてね。杖の先を自分の足元に指し自分が行く方向に地面を軽く叩いて地面のデコボコと地面にある物を避けるのよ。」
「お母さん 怖いよ 怖い 外に行くのやだー」泣いて体が動かない瞳 怖がるこんな小さな子にこの試練を体に覚えさせないとこの子が生きて行けない。この事を静子は自分に言い聞かせ自分が鬼になっても教えて行かないと瞳を無理やり背中を押して歩かせた。
「さあー、行こうね。お外は楽しい事がいっぱいあるわよ」世間から鬼母と言われてもやり遂げないと将来の瞳の人生が掛かっている。家から出るといきなり道路 。車が行き交うオートバイ 自転車が道路を走る。この音が瞳にはどう感じたか?自分が目をつぶっても自分の脳裏に何かは分かる。分かっても怖い。それが何かも分からない瞳の脳裏に映ったのは何だったろう。瞳には徐々に点字を教えているが名前は分かっても大きさ形どう言う音を出すのか全てが未知なのだ。怖がるのも当たり前だのだ。今日は家から10メートルにした。この10メートルの距離に教える事がいっぱいある。普通の人の100倍覚えないと行けない瞳。 耐えて頑張って欲しいと心言い聞かせていた静子であった。
外の訓練が日々続いた。大分 距離も延びて瞳も泣かなくなった。
「瞳 ここが横断歩道だよ。道路にデコボコが杖で分かるでしょこれが記し。横断歩道は向う側に渡る時に必ず使う場所で道路を渡る時は必ず信号機が有る場所を渡るのよ。ほら 信号機が青に変わると音が聞こえて来たでしょ鳥の声が」
「うん 鳥の声聞こえてる」
「今いる所の鳥の声と渡る向こう側の鳥の声が違うでしょ。渡る時、今居る鳥の声で渡り向う側の鳥の声で渡り終るの覚えていてね。」
「うん、覚えておく」信号機に警告音が無い所が多いのでその時はそばに居る人に助けて貰う事も教えて行かなくては 盲学校に入ればいろいろ教えてくれる。焦らず教えて行こう。
あと1年で盲学校 。その前に女の子として家庭の日常生活に覚えないと行けない事を手を取り教えた。
「瞳 これがタンス 瞳のお洋服が入って居るのよ。上から下まで引き出しが五段あるの引き出しの右側にお母さんが点字を掘って置いたから触って見て、上からね。」
「うん、 これ分かった。お洋服だ。アッ この引き出しは下着だ。」
「上の段から下の段 まで瞳 の着る物が入って居るからそれとそれぞれ着る物の前側に色や形が点字を刺繍して有るから分かるわ」瞳は引き出しを開けそれぞれの物を出し触って点字を確認してた。
母親の愛情で生きて行く素手を身につけていた。
何処に行くにも普通の人の倍掛かる時間、白い杖を頼りに行けるのも母の献身的な教えがあったからだ。中野のアパートから飯田橋まで中央線で来るが電車を利用する場合は混雑する時間帯を避ける様にしてる。私たちが生きて行くには人の善意が欠かせない。
「本郷さん今日はちょと寒いですね。風邪をひかない様に気を付けてくださいね。今度 日曜日のミサの後に本郷さんのコンサートをお願いしたいのですがどうでしょう?」教会の神父さんがいつも声をかけて気を使って心配して下さっている。
「アッ 神父さんいつも心使い方有りがとうございます。私で良かったら何時でもいいですからコンサートをやらせて下さい。」
「ありがとう。日にちが決まりましたらお伝えします。今日も素敵な音色を聴かせて下さね。」
「はい 」いつもの場所にいつもの様にセッティングした。
(今日は来て下さるかしら?あれから10日も経った。あの人が来てたら私にはすぐに分かる。)瞳は自分でも分からない感情が動き始めた。これが恋する気持か初めての経験
(あの人の優しい声 手を握られて分かった温かさ、あの人の臭い。私が奏でるチェロの音色があの人に会わせてくれた。あの人が気になる人になった。)瞳は母親にそれなりに聞いてたが実際に起きたこの心のときめき淡い気持ち初めて人に恋をしてた。
椅子に座り心を落ち着かせ演奏に入った。
(演奏し始めて瞳は気づた。あの人が聴きに来ている。私にははっきり感じている。あの靴の足音 温かい臭い、あの人の視線を感じた。)バッハ無伴奏チェロ組曲第5番いつもより演奏に実が入り今までに無い音色が聴いて居る人の心にしみ込んでいた。演奏が終わり感激した人がチェロケースにお金をいれて行く。
(あの人が近付いて来る。瞳には分かった。)瞳の心は鼓動で体全身が興奮している。
「今日はいつもより素晴らしい演奏だったよ。心に打たれた、ありがとう。」そう言いながら財布から1万円を取るだしそっとケースに入れた。
「いつもありがとうございます。 あのー まっ------」瞳はいつも待って居たって言いたかったに違いない。話しをしたい気持ちでいっぱいだった。あの人の靴の足音が離れて行く。その時悲鳴が 周りの人が騒然し
「泥棒 泥棒だー」誰ともなく叫ぶ人 瞳は某然と立ちふさんでいる。
彼がその騒ぎに振り返とケースからお金をわしづかみして逃げ様としてる男に瞬間、素早く足払いし倒れた男を羽交い締めにし腕を締め上げて男の耳元で小さな声で言った。
「ふざけた事すんじゃね。 今度しあがったらこの腕が無いと思え」ドスの効いた声で言った。
「アッ あー 痛え 許してくれー」彼は男の手から金を奪い取った。男は一目散に逃げて行った。
何も無かったかの様に冷静に、怖がっている彼女に近寄ってお金を手渡した。瞬間彼女の手は小刻みに震えていたが直ぐにも震えは治まって行くのが男には分かった。安心しただろ。
「大丈夫 怪がし無かった。」
「ありがとうございます。怖かった。」瞳はこう言いながら気持ち男の胸に埋める様なしぐさをした。せっいっぱい女の本能がそうした。
「もう 二度と来ないから心配しない様に」
「今日はバッハだね。えーと 無伴奏チェロ組曲第5番」
「エッ 凄い 何でも知っているんですね。」
「うーん、チエロが好きでね 。今日もみんな聞き入ってたよ。素晴らしかった。」
さっき聞いて見たかった事を勇気出して聞いた。
「あのー 三回ぐらいお見えにならなかったのでどうしたのかしらと?」楽器ケースにチェロをしまいながら恥ずかしそう聞いた。
「うんー 仕事で聴きに来れなかった。」男はアバウトに言った。
「ちょと 心配--------」瞳はそこまでしか言えなかった。
「何処まで帰るの? 駅まで行こう。」
「はい」 瞳はこの言葉が嬉しかった。瞳はこの男の事をいっぱい知りたい、もっとお話ししたいとの気持ちが素直に出た。
「チェロをケースに入れて背負うと大きいだね。ハハハー」
「えーそうなんです 。チエロが歩いている見たいって言われます。私には見えないですが世話をしてくれる人が言います。」
「だけど 絵になっているよ。」
,「本当に 嬉しいー」
「そう 言ったものの、だけど僕が持とうか?」
「いいえ 自分が あのー 私たちはこの杖を頼りに歩くので人の倍 時間が掛かるので大丈夫ですか?」
「僕に君の大変さは心から分かる、同情はするけど余程の事が無い限り手を差し伸べ事はしない。何故なら君は生きて行かなければならないからだ。君の母上と多分同じだよ。」
「はい 分かってます。あのー、差使えなかったら お名前聞いてもいいですか」
「私は本郷 瞳 もうすぐ二十歳です。あと一ヶ月で」
「西城 です。」彼女には自分が見えない事で安心感があった。この男の素姓は巷で俗に言うヤクザだ。西城 竜二、52歳 新宿歌舞伎町界隈では一様名が知れている人物だ。又の名をクラシックの源って云われているぐらい、いつも聴いてるらしい。
「西城さん 下の名前も聞いてもいいですか?」
「うんー 竜二」
「強そうな名前ですね。」瞳は何か話しを続けてこのまま一緒に居たかった。
「そうかなー 名前だけだよ」西城もこの子が見様に心に引っかかりこのまま別れるのが惜しんだ。
「あのー さすかいなかったらお仕事聞いてもいいですか?」瞳は何をしているか興味があった。
「そうだなー、今風に言えばIT関係かな」西城突然なので言葉を濁した。
「コンピューター関係ですか?」
「そんなとこだ。そうだ 君はコヒー好きか?」西城はこれ以上の質問を封じた。
「はい 好きです。」瞳は初めて男性に誘われた事が嬉しかった。
「この近くに美味しいコヒーを飲ませるお店があるんだ。ケーキも美味しいよ。少し歩くけどいいかな」
「はい 大丈夫です。私 ケーキも大好きです。」小さなスクランブル交差点を渡り下に中央線、総武線が走る陸橋を歩き少し坂になっている所を下りここが神楽坂だ。西城は杖の邪魔にならない様に瞳の後ろにそう様に歩く。瞳は大きなケースを背負い道路のデコボコを探り杖を頼りに歩く。この光景をまじかに目にした西城は複雑な気持ちになった。目が見える我々はごく自然に歩いているのに瞳は真剣に一歩一歩探りながら前に進でいる。目が見え無い事がいかに過酷で残酷か、西城は胸に刺さっるものがあった。
「ここが神楽坂の交差点 ここの角にあるお店がケーキショップ この奥にカナル カッフエ。江戸時代の名残のお堀を運河に見たせたお店なんだ。下に降りる階段が有るから気をつけて うーん 上から5段」瞳は階段の端に杖をやり探りながら降りて行く。
「大丈夫です。」行く所は事前 に点字の地図で調べてから行動に移すので初めての場所は瞳に取っては勇気がいる。
「おー 降りたね。突き当りは店内のお店 食事などするところ。今日はアウトドアで行こう。」
「エッ 何ですか?」
「これからは僕が案内する。」何の事か分からず立ち止まっていた瞳の手を取り奥の方に誘導した。
「運河のデッキでコーヒーを飲もう。」中程まで行きテーブルを触れさせ、椅子教え 隣りの椅子にチエロを置かせて瞳を座らせた。
「あっ お水の音 風が水面を撫ぜて行く音がする。チャプチャプと何かにはね返る水の音鳥のさえずりも、電車の走る音」いつもと違う雰囲気で聞く音がすごく新鮮聞こえた。
「ちょと 寒いけど 大丈夫」
「うん へいきです。」
「電車が走る向こうに土手になていて 春には桜が綺麗で土手の向こうが教会、 そこで君がいつもライブする所だよ。」
「西城さんが 細かく説明してくれるんでとても嬉しいです。ありがとうございます。」
お店のスタッフがオーダーを聞きに来た。
「あったかい コーヒーを二つ それからモンブランのケーキ2ツ」
「はい 分かりました。」店員はサングラスを掛けた瞳を見て不思議そうな顔をした。
しばらくするとコーヒーとケーキが運ばれた。
「これがコーヒー カップ 隣にモンブランのケーキ 。コーヒーに砂糖 ミルクいる。」カップとケーキの皿を手を添えて触れさした。
「ありがとうございます。砂糖はいりません。ミルクだけ少しお願いします。」ひとつひとつの優しさに瞳は嬉しく涙した。サングラスの下に指を入れ涙を拭いた。
「じゃあ 入れるよ。このぐらいかな?あーごめんごめん、失礼な事言ってしまった。さあ 飲んで見てごらん。」
「おいしぃ」瞳は両手でカップを探す様にしてコーヒーを飲んだ。
「コーヒーはよく飲むの?」
「はい うちで挽いた豆を買って来て立てて飲みます。母がこうしてよく飲んでましたので私も真似て飲んでます。」
「知ってます? 飯田橋西口を降りて小石川後楽園の側に私が通っていた盲学校あるです。東口の方は初めてです。こんな所が有ったですね。」
「あー そうなんだ通っていた盲学校が」西城は詳しくは聞けなかった。
「母親と一緒にね。これは盲学校の規則だから12年間母親が一番苦労したと思う。」
「ところで君はチエロをどこで習ったの?ハンディ背負いながら」
「私をここまでに育ててくれたのは母親と父親です。本当に感謝してます。母親は世間から何と言われても私を一人前してくれました。チエロは母親からです。」
瞳は何かを思い出すかの様に話し始めた。1歳になる前に高熱で目が見えなくなった見たいです。両親は何カ所も病院を捜し周りあらゆる手を尽くしたが治らなかった。母親が一番罪悪感を感じてた見たいで母親の一生を私が貰った見たい。よちよち歩き出した頃
「瞳は チエロの音色が好きなのね。」母親が奏でるチエロの前に座り音色を聴きニコニコしてた。
四歳なってから母親がバヨリンをチエロにしたて一緒演奏し母親の真似をしてた。見えない分、音を分析し習得する機能が発達して音符を理解してた。
毎日の日課に先ず歩行練習、日常生活の全てを自習、盲学校入学の6歳までに点字の習得、世間のモラル、一人で生きて行くノウハウを身に付ける為母親が死に物狂いに教えた。ある日 外の歩行練習で泣きじゃくる瞳に容赦無く杖の使い方を教えてた時周りの人に警察に通報されパトカー来た事が何度もあった。そのぐらい母親はスパルタだった。
点字が分かる様になって来た頃母親が楽譜を点字にしてくれた。その頃から本格的にチエロを弾く様になって来た。
「母親がよく言ってたです。瞳は小さい時よく泣いていたて、盲学校入学してから泣かなくなったて、私も覚えている。気が強くなったのね。ハハハハハー」
「うーん、」感心するぐらいでその世界がどんなものか想像出来ない西城がいた。
「盲学校でもいじめがあったの、みんな目が見えないハンデ背負ってのにバカ見たい。私は名前が瞳だから低学年の時、目が見えないのに瞳かよってよく言ってた。盲学校は普通の学校と教えてもらう事は一緒だった。昔は目の見えない人はほとんどがマッサージ氏になった見たい。今は時代に沿ってコンピューターのプログラマーなんてやれる事は広がった見たいだが現実には就職は無い。みんな世間の影で生きて行く見たい。
私はそんな人生 やだ。 母親が必死になって私に与え教えた事を大事にしたいです。」
「瞳ちゃんの事、 俺はどうして慰めていいか自分でも分からない。どう励ましていいか分からない。」西城はこの子と生きている世界が違いすぎる。俺の素性が分かったらと思うと西城は何も言葉に出ない。ただ共通する事はチエロの音色が好きだと言う事しかない。
「同情 何ていらない。慰め何ってしなくていい。ただ 普通の人みたいにお話し普通にお付き合いして欲しいの」瞳はそう言ってサングラスの奥の目から大粒の涙を流した。
「ごめん ごめん 普通世間の人は誰氏もが同情するだろ、それが人間にとって当たり前の事なんだ。そう思わない人は世間からバッシングされる。そう言う事だからハンディ背負っている人の考え受け方次第だと思うだ。あんまり俺 上手く言えないが共存して行くしかない。助けあいだ。君はチエロの優しい音色を病んでいる人に聴かせる事何じゃないの」三周りも違う年下の子に何を言って聞かすか分からない。
「こちらこそ ごめんなさい。私しが間違っていたかも知りません。私にも世間に恩返しができる事が分かりました。」私の奏でる音色で病んでいる人に少しでも役に立てるだったら私も頑張りたいと思う。
「ほら モンブラン 美味しいよ」
「西城さんは甘い物お好きですか?」
「うーん 好きだね。君のチエロの次かな」
「そうそう うちの父親と母親の出会いはチエロが縁なの 西城さんと瞳 見たい。」照れ笑いしながら言った。
「そうなんだ。チエロが縁か」西城も照れ草そうに返した。
西城さん このお店よくいらしゃるですか?」
「もう 昔かな 前は高いビルが無かったからなー。今は君が演奏してた場所、あそこに大きな高いマンション商業ビルが建ったので風景が一変してしまった。土手の桜並木は変らないのが救いだなー」西城は上手に情景を説明出来ない歯がゆかった。
「そうなんだ。 だけど何かわからないけど、この空間 感じるのね。ここで演奏したらとてもいい演奏出来るかもね。」
「そうか タイミングよく言うけど 僕 今日 誕生日なんだ。一曲 このステージで演奏してくれないか?」西城は生まれて初めて今、ピア気持になった。
「えー 演奏させて下さい。 」瞳は素直に言った。
「言って見るもんだな ー 。ありがとう。 この店の人に断わりの一言行って来る。椅子に座ったまま動かない様に 」俺の好きなチエロの演奏 俺 一人のライブ西城は今にない感情が湧き上がった。店のスッタフは心よくOKしてくれた。
「了解してくれたよ。」瞳は西城が戻った事を確認してケースすからチエロを取り出し演奏し始めた。曲目はベートーヴェン ソナタ第一番へ長調作品102 だ。俺がまた好きな曲だ。 彼女が言って通りこの場所は音が優しく滑らかに時には激しく素晴らしい音色が俺の耳を通し頭脳刺激した。
土手の向こうの高いビルに反響し水辺の音が優しく吸収されて行く まるで天然の劇場みたいだ。瞳は俺のため真剣に演奏している。余りにもいい音色のため他の客が自然に集まりしずかに聴き入っている。演奏が終わった瞬間 拍手が鳴り止まなかった。
「ありがとう。素晴らしい そして曲目 いいお祝いして貰った。」
「西城さんに喜んで貰って嬉しいです。あっ いけない 西城さん 今 何時になりますか?」
「えーと 4時10分過ぎかな」
「4時半までに電車に乗らないとラッシュに会いますから」ラッシュ時は到底乗る事は無理だ。
「そうだね。ラッシュに会わない内に帰らないと どこまでかえるの?」
「高円寺それからバスです。まだいっぱいお話しをしたい。」普通の人見たいに誘って欲しいと思うばかり言った。
「じゃあ 急いでかえらなくちゃいけないね。又 いい 演奏を聞かせて。」
「はい、 西城さん お願いがあるの 又 お茶 誘って下さい。絶対にね。」
「分かった。分かった。」
「西城さん ゲンマンしてくれますか?」西城は照れ草そうにゲンマンをした。
西城は何故か清々しい気持ちなった自分がいた。堅気の俺様見たいな世間を欺き真っ当な人生を歩いて無い俺があんな清い心の女の子を騙していいのか。目が見え無い事を言い事に
だがあの子の奏でるチエロの音色は今までに聴いた事が無い素晴らしい音だ。この音に俺は恋をしている。
今年も秋は直ぐに去って行った。
寒さも身にしみる季節が来た。瞳はいつまで路上演奏が出来るだろう。瞳はここまで来るのに2時間はかかる。アパートを出てバス停に定時刻のバスを待つ、バスに乗るときわ運転手さんに声をかけてもらい杖でステップを確認して乗る。
「ここに座って」乗客のひとりが声をかけてくれる。
「ありがとうございます。」
「すいません。皆さん時間を頂いて有り難うございます。」瞳は運転手さんや乗客の皆さんに待ってくれたお礼に必ず声をかける。短かの皆さんに支えられ瞳は力強く生けて行けて行ける。
高円寺駅、改札口を入り総武線ホームの階段を手すりに沿って一段一段杖を階段を叩く様にして上がる。ホームには目の不十分な人の為に誘導突起物が有るそこを杖でなぞりながらいつも通り乗る乗車位置で電車を待つ。今はホーム乗務員が乗るまで誘導してくれる。
乗ってから降りるまで駅の数を確認して降りる。ここでも乗客の皆さんに助けてもらう事が多い。瞳は手を差し伸べてくれる人に毎日を感謝の気持ちでいっぱい。演奏はそう言う人に感謝の気持ちでいつも演奏している。
いつもの場合に近づくにつれ瞳は何かを感じた。
(何かがいつもと違う。この気配 人のざわめき、この拍手何かあっただろうか?」
そう感じながらいつもの様にケースからチエロと弓を出し折りたたみの椅子に座り軽く深呼吸し弓を引いた。その瞬間あのざわめきが消えた。瞳の周りに100人は居るだろ。
いつもとの雰囲気の違いに驚いた西城
(何かが伝わったか?今時のあれか?)今日の演奏は彼女の魂が伝わる。心 深くに
観衆は目を閉じ聞きいる人、目を一点にし微動だりしないで聞きいる人写メを撮る人様々な光景が目に入る。
(今日の曲は目ハイドン チエロ協奏曲第二番二長調だな)
曲目が終るまで誰もがその場を離れなかった。ケースに今までにないお金が投げこまれた。西城はいつもの様に財布からお金を取り出しケースに入れた。瞳は西城の気配は感じ取っていた。
「チャ いいか?」西城はそっけなく言った。
「はい いいです。」瞳は待って居たかの様に喜び微笑むで形し始めた。
「急がなくていいから」この場面で他人が西城のことを見ると昔で言うと角兵衛獅子の親方に見えるのは確かだ。第一印象見てると思う。冷たさと目の鋭さが感じる。世間は盲目の少女を無理やり働かせているんだろと思う。
「今日は名曲喫茶 。クラシック音楽の喫茶に行こうかと思うがいいか?」
「もちろん 連れてって下さい。」ウキウキしケースを背負った。
「タクシーで行こうか」
「いいえ 西城さんと電車に乗りたいです。いいですか?」心ず良い人と乗れば安心だからだ。
「電車で行くか。」西城は覚悟した。歌舞伎町に行くには難関?瞳は西城の右手を握り歩き出した。瞳は夢で見た西城と手をつないで歩きたかった。
最近はホームに行くにはエレベーターが設置されて来た。彼女らにとっては電車に乗るには楽になって来た。
ホームの突起物誘導に沿って二人で乗車位置にそして電車がホームに入って来た。瞳は西城の手をきつく握り締めて来た。電車がホームに入って来るこの音が瞳はいつも怖いだろ西城は手の握り締めで理解した。車内に乗り込んだ。
「座るか?」車内は結構混んで来た。
「うーうん こうして居たいの」西城の鼓動を聴きたくて瞳は西城の胸の中に埋もれる様に体を密着した。
「ずっとこうして居たいの」瞳は小さな声で言った。瞳とっての幸せのこのひと時は直ぐに終った。新宿駅に着き
西城の誘導で歌舞伎町へ向った。
「西城さん 何か 街がざわざわしてますね。こうゆう雰囲気な街始めてです。」
「この街はいい面でも悪い面でも全国で有名な歓楽街、歌舞伎町 この街に昔から営っている名曲喫茶 田園 古い古い喫茶店なんだ。」そう言いながら歌舞伎町センター街に入った。
「ご苦労さんです。」
「 おっす 」
「兄さん お疲れ様」西城は返事が出来無いのでその都度会釈してた。
「こんにちは西城さん」
人の行き交う中こんな会話が耳に入って来る瞳は不思議に思った。
「西城さんってこの街で人気者何ですね?」
「たまたま知っている人が多くて」西城にとってこの街が根城。目が目えない事を幸いしてか普通に振舞った。白い杖を持ってチエロのケースを背負った少女の手を繋いだ西城は地元者にど言う風に映っただろうか?「ここが名曲喫茶 田園 だ。僕はいつもここに入りクラシックを聴いている馴染みの店なだ。入ると感じるだろ 店の風格 臭い」クラシックの名曲が流れている。
「こんにちは 西城さん」店のマスターが声をかけた。
「私には目えないが何かいい雰囲気 。西城さん ありがとう。」全てアナログでクラシックが流れている。瞳は何か違う世界に入った気分でいた。瞳には音の良さが分かる。
「僕にはここが落着くところなんだ。クラシックは昔から聴いている。何が有ってもね。」「西城さんはどこにお住まいですか?」西城の事は何も分からない少しでも知りたい気持ちになった。
「新宿 」アバウトに応えた。瞳は寂しい表情したように見えた西城は聞いた。
「ところで何か 会ったの」
「はい 相談する人は西城さんだけなの 今日 牧師さんに言われたです。私にはよく分からないですが私が演奏して居る敷地の管理事務所から最近 聴く人が多くなりビルの住民の人から苦情が入り、余り良く無いのでライブは辞めて欲しいとの事、牧師さんもこの件には何も言えない見たいであの場所では出来なくなってしまったの、何か、今の動画写メが原因見たいだって牧師さんが言ってました。どう言う事ですか?教えて下さい。」
「携帯 スマートフォン 短く言ってスマホ で君が演奏してるところを動画をFacabookやツイッター LINEで投稿すると全国に流れ観た人が君の奏でる演奏に興味を持った人が集まって来ているだと思うだ。その中に何人、君の奏でる演奏を愛してるか?分からないが君には失礼だが盲目の女性がチエロを演奏してる事に興味を持った人が大勢居る事は確かだと思う。あの場所は教会のものでは無いので敷地を管理して居るビルの管理事務所が住民の意見の元に今回の申し出になったと思う。」
「じゃあ もうあの場所では演奏出来ないって事。」
「そう 出来ない。」瞳の表情が一瞬暗くなったが
「だけど、 神父さんが演奏が出来る場所を紹介して下さいました。少し遠くになるけど日比谷公園に有る小さな結婚式場でレストランも有って週 三回ぐらいは出来るって言ってます。明日 面接に行ってもいいかな?」西城に判断してもらいたかった。
「いい話だと思うよ。これから寒さもきつくなるから室内だったら手もかじかわないから弓弾くのもいいじゃないかな」
「だけど路上ライブも好き何だけどなー」確かに音の伝わり方が違う。まだ瞳の室内演奏を聴いた事が無いが分からない。
「面接に一緒に付いて来てくれますか?」西城はこの返事に困った。俺見たいな歓楽街が似合う男が神聖な教会、まして結婚式を挙げる場所に行けない。だけど俺が行けないと言えば悲しむ
「うーん 明日は仕事があるから長い時間は居られ無いから日比谷公園の入り口迄送るよ。帰りは何時なる。まだここまでの道順が馴れていないから当分俺が付いて行くから」
西城はこの子が愛しい気持ちになって心配の余り言葉に出てしまった。
「うわー。ありがとう。嬉しい。西城さんって優しいのね。明日の面接で決まったらに報告しますね。アッ それからテレビ局の人が来て私の事取材した言って」瞳はぶら下がっているポシェットから名刺を取り出し西城に渡した。名刺には大東テレビ局ワイドショーニュース担当プロデューサー 江守 悟 とあった。
「西城さん 一番に相談したかったの取材を受けてもいいか?」
「うーん」しばらく考えて
「君の人生だからね、君が判断して結論を出さなくてはいけないと思うが結論を出す前に俺の意見を聞いてもらえるかな?」
「はい 」
「そんな難しい話しじゃあないけど。 テレビ 新聞 週刊誌 それらを業界って言ってるんだ。一回でもテレビに出たら君の場合一気に注目されるだろ。言わなくても分かるだろ」
「盲目だから」西城はその返事には無言で有った。
「それは注目が広まるのも早いが冷めるのも早い。まして世の中にいい人ばかりじゃなく中にはいらん中傷する奴も現れ、君の耳に入り君が心が傷つく。良しばいい方に出ればライブの依頼が殺到するとそれを君のハンデをいいことに喰い物にするやからも出てくる。要は親切善がりに君のライブを仕切る奴が現れる。君は奴らの道具に過ぎばくなる。ご両親が出来るで有れば別だが、なかばか素人では出来ない。いろいろ有るプロダクションに依頼がすれば君の我がままは通らないでスケジュール通りに毎日が動く。
僕は思うに君の静かな雰囲気が崩れて行くと思うよ。即ちチエロの音色にもね。
いろいろ言ってしまったけど決めるのは君だ。ご両親に相談してみたら?」西城は業界の裏 表と知り尽くしている。こんな事は彼女に話せない。この事は彼女はきっと分かってくれるだろ。
瞳は西城の前で名刺を破り捨ててこう言った。
「両親はいないです。」
「えっ 」西城は絶句し次の言葉が出なかった。
「父親は有る事の疲労で一年前に亡くなりました。母親も過労で父親の後を追うように亡くなりました。」瞳は涙を流し話した。
「ご両親の事話せるだったら聞かせてくれないか?話しずらかったら話さなくていいからね。」西城は何かしったかった。
どうしてこんなハンデ背負っても明るくて真剣に生きようとしてる子に幸せが来ないだ。西城は瞳に対して出来る事がないか探り始めている自分が居る。
「前に話した通り、父親と母親はチエロが縁で結婚したんです。」瞳はこの縁がよっぽど嬉しいかったのか声を弾ませて話した。
「父親は下落合で親から受けついた小さなネジ工場を営んでいました。母親は音大 チエロ科を卒業したそうです。チエロのライブで知り合い結婚したそうです。両親とも子供が欲しくてやっと授かったのが私です。母は高齢出産覚悟に私を産んだ。私が一歳の時に高熱に侵され失明しました。医者が言うには手術すれば治る。だけど高額の手術費が必要でその時はそんなお金は無かった。父親は手術費を貯める為一緒懸命に働き母親は私が一人で生きて行ける為の教育全てを私に教えた。私が唯一好きなチエロの業をたたみ込まれました。3年前手術の日が間時かに迫っていた時に父親の小学校からの幼なじみの人が訪ねてきてお金を借りるんで保証人になって欲しいと言われ保証人になってしまった。父親は少額なのでいいかとハンコウを書類に押してしまったみたいで、この事が災し、家に高利貸しの人がくるようになり、母親が言ってました。借りた本人は行方不明で保証人の父親に払えとしつっこく迫って来て父親はひどく悩んでました。
「本郷さんよ。 いつになったら払うんだよ。債務者と保証人は法律上一緒なんだ。分かるか本郷さんよ。」
「私は50万しか保証人になってません。それが1800万なんてそんな知りません。」高利貸しは口来たなく脅し迫ってくる。
「ばか言っちゃいけねなーほれ ここに契約書どうり合計1800って書いて有るだろ。これ見てみろよ。金がなきぇれば工場の機械でも売っぱらい金にしたら。早く払わなければ契約違反で裁判所に手続きを進めるしかねいな」
「そんな馬鹿な、何度でも言いますが私は50万円しか保証人になってません。」そんなやり取りが1ヶ月も続き父も仕事は出来ず疲労困憊になりそのうちうつ病なってしまい何が何だか分からなくなてしまい母親に相談せず手術費に貯めた800万と土地と建物の権利書を高利貸しに渡してしまった。その時父親は私と母に泣いて詫びた。寝てもうわ言の様に泣いて詫びをしていました。食欲も亡くなりげっそり痩せ日に日に衰えて行った。母親も父の看病で必死であった。その後、間もも無く父親は亡くなりこの家も出て行く事になっり、今のアパートに母と一緒に住むようになった。こんな私を今まで面倒を見て来てまた、お父さんの世話して母親も精魂尽きた様で寝込んでしまったの。
「瞳 ごめんね。こんな事になってしまい、父さんを恨まないでお願い。父さんも一生懸命だったのよ。分かって欲しいのお願いします。」泣き伏せた。
「お願いなんって そんな事、言わないで瞳はおとさんとお母さんの愛情いっぱい貰いましたからね。これが私の運命なの」
「悲しい運命だね。」母親はこう言って瞳の手を握り締めた。
「お母さん 運命ってこの先、誰にも分からないの、だけど私にわ分かるのよ。お母さん、きっといいことが私にくるわ、きっと。だから、お母さん安心して。咳き込む母親に精がつく物でも食べさせて元気になってもらう為、卵を買いに外に出て帰っ来て
「お母さん お母さん お母さん 美味しい物、今 作るからね。待っててね。」返事が無かった。寝てるだなと思った。卵とじを作って食べてもらう為、母親の寝てる布団を手ざくりで探し母親の顔を触れた時、瞳の心臓が一瞬止まった。母親は冷たかった。
「お母さん お母さん お母さん 起きて 起きてよ 私を置いて行かないでよ。わーわーわーんわー 」母親を抱きしめて泣いた。
「私を育て上げて力尽きたのね。それから三ヶ月前、父を追うように亡くなりました。
母親が蓄えていた生活費もそこがつき、思いついたのが母親が私にくれたチエロ、私にはチエロを演奏しかないので路上ライブを始めた。私の演奏で癒される人がきっといると思う気持で今まで来ました。
西城は瞳の話すことをジッと聞いていて、自分の心臓を鋭いナイフえぐられた気分になった。瞳の話しを聞くまでは俺の世界ではこんな事は当たり前の事がまかり通っていた。
「君が演奏出来る場所二、三 有るから聞いて見る。」西城は真剣に心から助すけてあげたい気持ちになっていた。
「えっ、西城さん お願いします。西城さんが紹介して下さるなんて嬉しい」
「ところで普段の練習 どこでするんだい。」西城は考えてがあって聞いた。
「はい 前の家には多少の防音装置が有ったので練習出来たのですが今のアパートではなかなか出来ないです。弓に布を巻いて練習してます。」
「大変だね。 ところで練習兼ねて僕ひとりのライブをしてくれないか」
「えっ どう言うことですか?」
「カラオケ屋で演奏してもらえるかな?」
「あー、 聞いた事が有ります。演奏家はカラオケ店で練習して居る見たいです。私はした事は有りませんが。お金が掛かるから----」瞳はそこまで言うと何も言えなかった。
「そう 練習を兼ねて ひとりライブ。いいかな?」
「いつでも イイです。 西城さんが聴いて下さるだったら」
「僕の知っているカラオケ店が有るからお願いしようかな。 生演奏か いいなー 明日 面接の帰りに行こう」
「えっえ 楽しみ 」お金を直接あげても、もらう子じゃ無いのは分かっているから西城はこの様な形にした。
「さっきの話しにあった保証人債務の書類 お母さん 取って有るかな?」西城はこの件何かカラクリが有る予感がした。瞳には話せないが裏の世界でこう言う事件はお手の物。
「えっ 何か? 」
「あー ちょと気になる事が」
「 大事な物を一緒に入れて置くからって、いつもお母さんが言って、箱を触り点字で確認してました。その中にもしかして、そう言う書類が有るかもしりません。あっ そうだ 明日 家に来てください。私の手料理食べて見て 」
「えっ 料理も出来るか? 」
「簡単な物しかないので出来ませんがそんな物でいいですか」お母さんはこの子がひとりで生きて行けるように何でも教え込んだ事が痛いほど分かる。
「是非 食べて見たい」瞳は嬉しいそうな仕草をした。
「そうだ 携帯何か持て無いよな」
「うーうん 有りますよ。母が何か有った場合の為にと簡単な携帯を持たされました。」瞳はポシェットの中から小さな携帯を出した。点字が数字の横に書かれていた。携帯を開き説明し出した。
「1 が母 2 が盲学校の担当者 3 銀行 4 区役所 この番号を押せばいいだけ」
「僕の携帯電話番号入力して置いていいかな?何か有った場合の為に」
「嬉しいー お願いします。じゃあ 1 にして 」
「1番はお母さんだろ」
「もう母親はい無いから」
「ダメだ お母さんの番号は残しておこう」瞳は何も言えなかった。この番号には母親の声が残されていたのだ。時々淋しい時に聴いていたらしい。
「じゃあ 僕は 0番に登録して置くから 何か有ったら0番で連絡して見て」瞳は分かったらしく大事そうに携帯をしまった。
翌日 待ち合わせ場所高円寺北口駅前5番バス停に1時半。なぜ、俺があの子に肩入れするか?善意 あり得ね ボランティア無し 何か魅かれる。口 耳 の障害者より生まれつき見えない事は全て想像世界。今は点字が教えてくれるがあとは想像しか無い。我々五体満足の人間としては全てが分からない世界だ。最初はチエロの音色に魅かれたが今は彼女自身の魅力に興味があり何か気になる存在なっている。バスが何台か来た。バスを待つに連れ西城は遠い昔の事を思い出し今とダブって写っている。
バスが着き 運転手が降りて来た。彼女が運転手に誘導され降りた。俺は彼女に近づき声をかけた。
「大丈夫か 」愛想が無い低い声で
「西城さん お待たせ」声で分かったらしく、そう言って瞳は西城の胸に飛び込んだ。西城はこの行為に満更でもない顔した。
相変わらず大きなチエロを背負い白い杖で方向を定め歩き出した。西城は横に添う様一緒に歩き出した。エスコートし無い西城を見て何も知らない人間は薄情と映るが手を引いて教えてる事が愛情とは限らない。これは彼女から教えて貰った事だ。点字道路が無い時は杖の感覚と音の気配、自分の感と全神経を研ぎ澄ませ方向決め歩く。
西城は瞳の一つ一つの動作を見て生きて行く心強さを見た。高円寺駅前のバス停から駅構内迄一つひとつ杖で確認して目的地に真剣に歩いて改札機を通り抜ける。
「西城さん 大抵の駅にはホーム迄のエレベーターが有るのこれに乗って上まで行くのよ。さー 西城さんも乗って」西城は言われるままにエレベーターに乗った。ホームに着き最初にする事はホームの駅員を捜す事から始まる。ここで人の世話になる。
「すいません 東京駅に行きたいですがどこで待ってれば良いんですか?」
「このホームでいいです。 今から来る電車に乗って下さい。終点東京駅です。電車が着たら誘導します。ここでお待ち下さい。」俺たちが何にも考えないで見た瞬間、身体が動き行動するが人の助けが必要な瞳に西城は何も言えなかった。電車が来て駅員さんの手助けで乗り込む。瞳はチェロを背負ったまま西城の手を引いて邪魔にならない場所で西城の胸の中に顔を埋めた。
「西城さんの胸に埋もれるとすごく安心するの迷惑じゃあない?」今はこうして居る事が瞳にとって一番安らぎで安心出来る時間なのだ。
「迷惑じゃあないよ。」西城はチェロと一緒に抱き寄せた。
「乗り物に乗る時はあらかじめ調べて乗ってから下りる駅の数を数えておくの分からなくなったらヘルプしてもらう。
「だだ 感心するばかりだ。」そう言ってまた抱き寄せた。
「電車の中でなにを考えているだい。」
「いつも 何かなー これから行く所 、何を演奏するか曲目選び 帰りは反省。だけど 最近は-----・」そう言って西城の胸に深く埋れた。そう言う時。西城は目が見えない彼女を騙していないかふと考える自分がいる。周りの目が気になるのは見ての通りだ。
中央線で東京駅迄 乗り換えは無い。この時間はそんなに混み合ってなかった。
彼女に聞いて見ると電車に乗る時は必ず駅員さんに誘導してもらい、下りる駅にも連絡を入れて乗車車両ドア迄下りる駅員さんが向かえてくれる。だから駅員さんにいつも感謝している。私が行動すると皆さんに助けて貰っている事が申し訳ないと思っているらしい。
「東京駅に下りるのは初めて」
「はい 初めてです。 母親が山の手線の駅を一つづづ、駅の事を勉強しました。」
「はー そうか そこまで」
「西城さん 山の手線に乗り換えるだったら神田駅が私に取ってはいいんですが」
「えっ 何故」
「混まないですし ホーム乗り換えは楽なんです」
「あっ そうか そ言えば なるほど 勉強になったよ。 ははははー」俺達 平常人間に取ってはそこまで考える奴はい無い。瞳は自分に安全な道を選ぶだな
「それじゃ 神田で乗り換えよう。」
「はい 」ふたりは山の手線外回り品川方面に乗り換え二つ目の有楽町駅で降りた。
「有楽町 下りるの 初めて?」俺も昔 来たな
「初めてです。」ホームのエレベーターで下り日比谷口に出た。
「日比谷公園に行くには日比谷口に出た方がいいんだ。反対側は銀座方面 オシャレな街だ。行った事 ある?」
「無いです。」
「よーし 演奏の帰りに銀座を歩こう」俺は何処に行くのもいつも車 。こんなに電車に乗るのは久しぶりだ。俺たち裏世界で暮らす人間は余り目立たない様に車で行動するから駅の事は分からない。
「本当ですか? 嬉しいです。その時 腕 組んでいいですか?」
「あ あー いいよ。」西城は照れ臭い様に返事をした。
晴海通りを渡り周りの情景を歩きながら説明してあげた。
「ここの日比谷交差点渡ると日比谷公園だ。この街は日本の中心何だよ。今から行く公園の方に日本の政治を動かす霞ヶ関 国会議事堂 。道路の反対は日本の経済の中心の街何だよ。」西城は何故か 日本の安全を守る警視庁を説明しなかった。
「西城さん あと 緑とお堀がある皇居があるですよね。」
「おー そうだ 皇居 天皇陛下が住んで居ると所だね。」交差点を渡ると公園正面 ここに俺の苦手な交番がある。まーあ 彼女にとっては都合がいい。 ひとりでくる時には世話してくれるだろ
「さー 着いた。ここをちょと奥に行くと君が行く結婚式だ。あー、そうだ。入口の右側の交番が有るから何か会ったら世話して貰う様に」
「はい 行って来ます。」瞳が歩き出すと
「事務所の前まで行くよ。」そう言って瞳の手を取って歩き出した。瞳は嬉しそうに手を握っり返して来た。
「終わったたら電話して 携帯のゼロを押して」
「嬉し 待ってくれるですか? 連絡します。」西城は教会見える公園のベンチに座り携帯にイアホンを差し込み好きなクラシックを聴いて待つ事にした。
教会西支部日比谷公園内結婚式場 入口が分からない瞳は戸惑っていた時、近くから声が
「何かお探しですか?」
「あっ はい 結婚式場の事務所にお伺いしたいのですが」
「もしかして 石井牧師様からの紹介の本郷 瞳さんでいらっしゃいますか?」
「はい 本郷 瞳 です。」
「あー はい 伺ってます。ちょうど良かった 私はここの責任者の小林と言います。こちらへ どうぞ」手を添えられ事務所に案内された。
「ありがとうございます。」
「どうぞ お座り下さい。」瞳は椅子を手で確認してチェロを抱え椅子に座った。
「石井牧師様からの、あのー これが紹介状です。」ポッシェトから出して渡した。
「はーい 本郷さんの事はいつも伺ってますよ。素敵な演奏をされるって」小林は紹介状を開き目を通した。
「こんな私でいいですか?」
「いいえ こちらこそ お願い出来るかしら?」
「はい お願いします。」
「早速 ですが 本郷さんのスケジュールは?」
「私はいつでも構いません。」
「うちの結婚式場は小規模で50人から80人ぐらいなの オルガンよりチエロの柔らかい音色が会うと思うのよね。」
「あのー 実際 演奏しますか?」瞳は即答した。
「お願い出来るかしら?」
「分かりました。ここで?」
「良かったら 式場で」そう言って瞳を式場に誘導してくれた。瞳には式場は見えないが見えない自分でも身に締まる新生な感じがした。チェロをケースから取り出し準備をした。「よろしいですか?」瞳は準備して来た楽曲を演奏し始めた。式場は天井が高く音が反響し易く音色が式場いっぱいに広がる。瞳が奏でる音色に引き寄せられたスッタフ達も聴き惚れていた。小林も感銘を受け目をつぶり深く聴きいっていた。演奏が終った時全員が拍手した。
「素晴らしい 素晴らしい ありがとう。ところで今の曲目は?」小林は拍手をしながら近寄り手を握り締めた。
「はい。日本の名曲 花は咲く。ーです。自分で曲目を選んで見たのですがいいかでしたか?」
「結婚式にぴったし 素敵でした。お願いしましょ 日程は結婚式なので土、日曜、祭日 はもちろんで、あと水曜日 午前 9時 から午後3時まで、これでお願いします。今週末から大丈夫」
「はい 分かりました。 ありがとうございました。」面接が終わり出口までスタッフに誘導された。外へ出て携帯で西城に連絡しその場で待った。
「終った 」
「はい お待たせ」瞳は西城が近寄って来たのは分かった。
「帰ろう」西城が差し出した手を握り歩き出した。
「西城さん 待っている間、何 してたの?」待たしてたのが瞳は気になっていた。
「何十年ぶりに公園のベンチに座り携帯でクラシックを聴いていたよ。」
「本当にクラシックが好きなのね。嬉し」
「どう 決まった。」
「うん 採用して来れました。土、日曜祭日 と水曜日 9時から3時までで」
「良かったね。時給は?」
「飯田橋の教会の牧師さんがいろいろ言ってくれてたみたいで日給 1万円で決まりました。すごく嬉しいです。」
「あっ そうか 。」西城は内心ホッとした。日比谷交差点を渡り有楽町に向った。途中にカラオケ館で足を止めた西城が
「昨日 約束 実行してくれるか?」瞳は何のことかと思った。
「ほら 一人ライブ カラオケで」
「えー、 イイですよ。」
「今 店の前に居るんだ。ちょうどこの通りにある店なんだ。」
「入りましょう。 私 カラオケ店で練習するの初めてなので手づづき教えてね。」
「分かった。」手づづきを終え 部屋に入り瞳を座らせセットしてあげた。証明を薄暗くした。
「西城さん 何かリクエストありますか?」
「君が選んだ曲目でいいよ。」
「西城さんに特別の曲目を演奏するわ。」そう言って演奏を始めた。
いつ聞いても素晴らしい 癒される。西城は目をつぶり聴き入った。
入口のドアが何かざわめくので西城は目を開けた。近くのお客とスッタフがチエロの音色に誘われドアに集まり聴き入っている。誰もがイイ音色は分かるだと思った。
「今の曲目分かりました。?」
「当然 シュウーベルト 交響曲第8番口短調D759「未完成」うーんと ?第二楽章だろ。良かった。ありがとう。今日は僕が送るからゆっくりして行こう。練習しなさい。」そう言って西城は財布を取り出し一万円札を瞳に渡した。
「西城さん これはいいんです。受け取れません。」
「ほら 前に言っただろ。分かるね。」西城は優しく言ってポッシェトの財布に入れた。
カラオケ店の外へ出た西城は瞳に
「今日はタクシーで帰ろう」
「西城さん 私 運転手さんに帰る順序説明出来ませんが?」
「大丈夫だよ。 運転手に行き先の目的地を言えばカーナビに入力してくれるから心配ない。」
「へー そうなんだんだ。それじゃ高円寺行き 長原 オーケーストアー前停留所 これでバス停まで行くの」
「そうだ。何も言わなくていいだよ」タクシーを止め 後ろのトランクを開けさせチェロを入れて座席座り行き先を運転手に言った。運転手はつかさずカーナビに入力した。
瞳は久々のタクシーで嬉しく西城の腕を両腕でしっかり掴み嬉しさの余り身体を西城にゆだねた。
オーケーストアーのバス停に着いた。
「西城さん このお店で買い物していいですか。買い物していいですか。簡単な物しか作れないけど」
「大丈夫だよ。イイから」そう言うと瞳は寂しい表情した。
「あっ 手料理食べたい。何でもいいよ。」瞳は西城の手を引っ張る様にストアーに入った。
「いらっしゃませ。」
「いらっしゃい 瞳ちゃん」スタッフの皆に好かれているのが分かったて西城あ安心した。
「日用品は全部 このお店で揃えるの 親切に揃えてくれるから」そうイイながら買い物する品物の前に行きスタッフに言って品物揃えて貰う。一通りの買い物し家に向った。
「ストアーの横の道を入ってしばらく歩いて右の角を曲がってすぐ、私達は何処に行くのも歩数を数得て歩くのその歩数を覚えて置いて杖で確認から行動するのよ。」
「そうか 」瞳は身体全体を使い行動している事に感心した。
「ここよ 私のアパート 木造の二階建てのアパート。今時珍しい建物だて、私には見えないけどね。一階の一号室」鍵を取り出しドアーを開けた。女の子が一階の部屋で物騒だと思うが目が見えない事を考えれば仕方がない事だと納得した西城だ。
「さー入って下さい。」部屋は1Kと小さな部屋が一つ有った。
「入るよ。」
「狭くてすいません」周りを見渡し部屋は狭いが全てがコンパクトに整理されていた。
「ここに座って」手探りで座布団を探しさしでした。
「ありがとう。」瞳は自分のテリトリーなのでテキパキ動いた。西城の目には嬉しさが溢れている様に写った。彼女はこの部屋に男を入れたのは初めてだろう。それだけ俺を信用し心を許しいるんだろ。
「お願いがあるの?」部屋に入ったらすぐにメガネを外すが瞳は人前ではいつも掛けているメガネを外した事が無い。どうしても西城には自分を隠さず観てもらいたいと思い言い出した。
「何だい」
「メガネ 外してもいい?」恐々聞いた。
「イイよ イイよ」
「西城さん 私の素顔見て嫌いにならない?」
「嫌いに何かならないよ。」
「本当?」そう言いながらメガネを外した。西城は心の中で叫んだ。何と綺麗な顔立ちをしている。キレイだ。
「瞳ちゃんはキレイだ。美人なんだ。素敵だよ。」
「本当に嬉しいです。西城に褒めてもらい嬉しい」瞳は顔全体に喜びを表した。
「ねえ お茶 何にします。日本茶 それともコヒー」
「コヒーがいいな」じゃあ 今から立てるね。ちょと待ってて」
「立てて飲んでるだ。」手に伸ばす処に所定の位置に全て置いてあるので分かるらしい。
「母がいつも立てて飲んでいたのでいつか私もそうなたの」全て教え込まれている。
「お待ちど様 お店のコヒーと違うけど 我慢して」
「ありがとう。上手に入れるね。美味しいよ。」タンス 棚の箱 あらゆるところに、点字シールが貼られている。生活して行く故の工夫だ。母親は賢い人だったのが分かる。
「豚肉のショガ焼きかホイコーロー どっちいいですか?どっちかと言うとショガ焼きの方が得意何だ」
「じゃあ ショガ焼きだろ。」
「そうだね。 今作るから待ってて」キッチンに立ち買って来た材料を広げて熟れた様子で包丁で捌いた。冷蔵庫を開けそこに並べてあるタッパに入れそこから今使う分を取り出しフライパンで素早く作って見せた。
「お待ちど様 」出来た品物を楽しそうに並べた。俺に食べて欲しいかったのか嬉しそうだ。
「味噌汁もある。大したもんだ。」
「西城さんのお口に合うか心配だけどね。」
「うーん 美味しいよ。味は僕に合うよ。」よほど 二人で食べるのが嬉しいのか涙を浮かべてた。両親が亡くなってからずっと一人で食事してたせいだろ。
西城はこの子の幸せそうな顔を見てると自分が別の世界で生きて来た事が一瞬でも忘れられる気持ちになっている。
「お皿 洗おーか 」
「いいわよ 私が洗うから そこに座ってて」瞳はいっ時の癒される時間を楽しんでいた。西城は瞳の仕草にいつも罪悪感を感じている。
「西城さん お願いがあるの 聞いて下さる。」瞳はそう言って両手で西城の顔を撫ぜて来た。
「いつもこうしてお父さんとお母さんの顔を撫ぜて忘れ無い様にしてたの」
「僕の顔は無精髭でいっぱいだよ。くすぐったい」瞳は顔や頭を一生懸命撫ぜて覚え用としてた。
「イイから イイから こうして忘れ無い様にしてるだから我慢して」西城は瞳を愛しく可愛いく切なく思った。
「あっ そうそう お父さんの借入保証人の書類ある。」
「ごめんなさい。」撫でるのを辞め書類箱を捜し始めた。
「確か お母さんがこの箱に大事な書類が入っているからって言ってた。この中調べて見て下さい。」箱を西城に渡した。
「これ ちょと調べてイイかな」箱を開けて書類を探し始めた。病院の診察券 銀行の通帳 印鑑 瞳に関しての物が入っている。一番底の方に折りたたんだ借用書が見つかった。西城は書類をサッと見て何か分かったらしい。
「何か有りました?」何かガサガサした音だけなので心配して声を掛けて来た。
「あー 分かった。調べて見ないとはっきり言えないけど 」そう言って瞳に説明し出した。
「これはお父さんの幼馴染の峰岸徹さんの保証人になているね。50万の借入書になっている。ところがこの借用書は根保証になってこれが原因で返済を迫られ脅されたんだ。」「どう言う事何ですか? 確か、お父さんの言うには保証は50万だったって言ってた。」
「瞳ちゃんに詳しく説明するとちょと難しい話しになるけど、保証書契約だけなら書いた金額だけの保証すればいいだが契約書のうえに小さな字で根保証って書いてある。
高利貸しと幼馴染の峰岸徹が仕組んだ詐欺だ 。」
「詐欺 」
「そう お父さんは騙された事になる。」
「エッ お父さんが可愛いそう。」そう言って瞳は大粒の涙だを流した。
「お父さんもお母さんも私の目の手術をー楽しみにしてたのに悲しいすぎる。西城さん今から警察に調べ貰う訳には行かないかしら?」瞳は声を出して泣きだした。西城も目頭が熱くなった。俺も悪どい事するけどここまではしねい。
「今から警察に言っても何もしてくれないから僕がちょと調べたい事が有るからこの書類 預かってイイかな」瞳の肩を抱きしめ安心させた。西城は何か思い当たる事があった。うちの組の者に調べさせれば地元だから分かるだろと思った。
我々の 業界ではよくある事だがと思い、だが西城は彼女に何かしてあげたい気持ちのほうが大きかった。
西城は組 事務所に行き配下の者に調べさした。西城はこの金森組の若頭であった。
「兄貴 言われた件、調べました。この成宮は10年前にウチの組員になり新大久保で不動産屋を表向きに営業し裏で金貸しをしてます。うちの会計に聞いたところ上納金は毎月収めているみたいです。」
「いくら毎月収めている。」
「規模的に毎月10万ってとこです。
「斉藤 もう一つの件 分かったか?」
「3年前大口に納めた形跡は無いです。」案の定西城の感通りだった。
「西城兄い 云われ事は以上です。」
「斉藤 ご苦労 」
「はい 有り難うございました。」
事前に知り合いの探偵事務所に峰岸と成宮の素性素行を調べさせていた。調査結果で面も分かった。
これでお膳立ては揃った。舎弟に峰岸まで探させる訳にはいかねいな。情報ではパチンコ依存性の峰岸がいつも居るパチンコ店を探せば分かる。
歌舞伎町 パチンコ店ユアーズ 。店内はパチンコの弾ける音 お客を煽るアナウンスそれとBGNパチンコ店 独特の騒音。広い店内を面識は無いある男を携帯の画面を観ながら捜していた。情報は確かだった。以外と早く画面の男を見付けて声をかけた。
「峰岸徹 だな」パチンコ台がフエーバーしていた時、声を掛けられた峰岸はその声が聞えずパチンコ玉の弾ける先を夢中で追ってた。
「峰岸 だな」西城は凄んだ声で再度声を掛けた。
「何だよ 誰だ? 今 手が離せないの分かねのかよ」峰岸は怒った口調で怒鳴った。
「いいから峰岸徹だな。 ちょとそこまで付き合ってくれ」峰岸の胸ぐらを掴み凄みをきかした。峰岸はそ「何だ 何だ 何だよ。俺 何にもしてねよ」峰岸の気の弱さを出した。
「お前に 聞きたい事がある。 ある事で成宮章一って男と関係を持たなかったか。」 瞳といる時の雰囲気と想像もつかない西城がいた。路地裏に連れ込み胸ぐらを強く掴み威喝した。
「勘弁してくれよ。俺は何にもしてねよ。」
「2年前成宮と連んで幼馴染の本郷雄一郎の土地の所有権を騙し取ったな。」
「エッ 何でその事知ってんだ。」
「その筋の情報でな」
「あれは成宮に脅されやった事だ。俺が奴から金を借りて返済に困ってた時にその話が有った。」
あの時は
成宮はフアースト ワン フアイナンスと言う金貸しをしていた。その客に峰岸がいた。峰岸は返済が滞り利息を含めると300万近くに膨れ上がり返済を迫ままれていた。何処で調べたのか本郷雄一郎と峰岸徹が小学校からの同級生で中学まで仲が良かった事。近所隣りで付き合いも有った事。悪時絵が働く成宮が絵図を描いた。
「よお お前さん 同級生の本郷 知っているよな、近所隣で結構 仲が良かったらしいな」
「あぁ しているよ。何だよ。高校になった時、今の場所に引越ししてから付合いはないけど、それが?」
「そこで 俺の言う通りにすればお前さんの借金ちゃらにしてやるよ。お前さん こんだけの借金返す宛ないだろ。こっちも今まで待ってやってたんだ。甘い顔もこれまでだ。峰岸さんよ 家族がどうなっていいのか、 娘さんもイイ歳になったよな お前さんの借金の替わりに風俗でも働きさしたら 分かるよな」
「エッ 家族に関係ねーよ。」
「さっきから言ってだろ。 この借金 どうすだ 返すのか ?これが成功したら借金はチャラ その上お前に300万成功料やるよ。」
「うー どうすれば? 」仕方なく同意した峰岸は成宮に従った。
それは峰岸に50万の借用書を作りこの保証人に本郷雄一郎になって貰う。この契約書の借用書に細工し根保証として借入金額を最終的に3000万にして保証人の債務として返済を迫り土地を巻き上げる。
「50万だったら保証人になってくれるだろう。 なー 上手く騙すだな。」
「何って言ったらいいから分からない」
「同情を仰ぐ様に例えば 娘が手術しなけれが治らない病気になって手術費用が足りなくて こんな事だ。お前さんのアドリブで同でもなるよ。上手くやれよ。」
峰岸は言われるままに同級生の本郷君に保証人になってくれる貰った。お互いの娘の病気の事を言い同情を迫った。
「峰岸よ 本郷さんの娘さんの事もあってお前はそこを言い事に自分の娘も病気だと嘘をつき保証人になって貰った。これが詐欺の始まりだ。人のいい本郷さんを利用した。お前の事を大事な幼馴染と信じてた本郷さんの悔しい気持ち分かるか。成宮に脅かされ 毎日 恫喝され、仕事も手につかずノイローゼにそしてうつ病になった。娘さんの目の手術費用として貯めてたお金を奪われ終いに土地をも取られてしまった。これから成宮のところに行き、成宮の前でいいまでの全てを話せ。」
「そんな事に自分言えねーよ。」
「お前 俺は本気だ。」西城そう言って峰岸の口にハンカチを突っ込みナイフを出して峰岸の右手親指と小指を切断した。道路に落ちた指を峰岸の見てる目の前で糞ずけて見せた。(幼馴染の友達を信用してた本郷さんを裏切りったお前を許せない。このぐらいじゃすまねーがこれが本郷さんへの償いだ。)(心の中でつぶやいた。)わめく暴れる峰岸を押さえ切断した手を慣れた手口で素早く血止めし何事なく峰岸に迫った。西城を改めその筋の人物だと認識した。
「一緒 行ってくれるな」
「ああーハイ」右手を押さえ怯え震える峰岸をタクシーに乗せ事前に知合いの探偵社に成宮と峰岸の事を調べ挙げ行動は押さえていたので成宮の事務所は直ぐに分かった。
成宮の事務所は大久保駅の近く有って金融と不動産屋を兼ねて商売していた。4階建雑居ビル1階に見た目には普通の不動産屋に見えるが悪どい商売をしていた。裏では新宿一帯に縄張りがある金森組の配下でもある。西城と同じムジナであった。
「事務所に行く前に病院に行かしてくれ」右手を巻いている布は血で赤く染まっていた。
「奴との話が終ったらな。」行くのを渋っている峰岸の腕を引っ張って事務所のドアーを開けた。
「成宮さん 社長さん 居るかい」事務所には客はいなかった。
「すいませんが どちら様ですか?」女性事務員が慌てて奥の部屋に居る社長に聞こえる様に大きな声で聞いて来た。
「成宮社長に会いたいだけど」
「だからどちら様ですか?」奥に聴こえたらしくドアーが開き
「何だ 何だ どうした 」男性事務員らしき男が出て来た。
「鈴木さん この人が社長に会わせろて」
「どちら様ですか?」
「ごちゃごちゃ言わねで早く会わせろ」西城は少し苛立ち凄みの口調で恫喝した。
「何か騒がしいな お客さん、何か御用ですか?揉め事でも」西城の後ろに居た峰岸を表に引っ張っり出して西城は凄みをきかし言った。
「成宮社長さん この男知っているな。この男の事で話が有るだが話を聞いてもらえるかな?」
「こんな男 知らないですが」はっとした表情で成宮は峰岸を見るなり言った。
「この男はあんたの事、ようく知って居るって言ってるよ。なっ 峰岸」
「成宮社長さん あの事全部話した。」そう言って血で染まった右手を出した。
「うーん 少々 お待ち下さい。」峰岸の手を見て事情がただ事じゃない事を悟った成宮は後ろの部屋へ
「あー フアーストワンワン フアイナンスの成宮デスが今 うちの事務所に因縁付けて居る奴来て居るですがお手間ですがちょとお願いします。」追っ払て貰う為金森組に連絡した。この事も想定してた西城。
「成宮さん 2-3人行かせます。」
「お願いします。引き留めて置きますから」電話して裏の部屋から出て来た。
「成宮さん 用事は終ったのかい」電話の内容を知ってるかの様に言った。
来客用のソファーに何かを待って居るかの様に無言で座った。その落ち着いた様子を見て成宮は恐れを感じた。10分ぐらい経って店の前に車の急ブレーキの音とドアーの開く音が同時に聞こえ、男達がバタバタとドアーを開け入って来た。
「成宮社長 どうかしましたか?」金森組の若い者が厳つい顔して言った。
「こいつが何か因縁付けているんです。」そう言って西城を指を指した。
「アッ 西城兄 どうしたんですか?何か会ったですか?」西城を見て驚いて言った。
「あー 何でもないだ。成宮さんが勘違いした様だ。 帰ってイイから」
「へい それじゃ何でもないですね。それでは失礼します。」
「あー ご苦労 」成宮はこのやり取りを見て西城が只者じゃない人物だと分かった。
「分かったかい そこで本題に入ろう。」
「俺が何した」
「まだ分かって無い様だな。 お前さんがこの男と連んで凌ぎをした事は分かってんだ。その事で話しを付けてに来た。」
「どうしおって言うだ。」
「成宮さんよ金森組にこの凌ぎの上納金 収めたかな?」
「何が この件は金森組とは関係無い。」西城の鋭さに成宮はオドオドするばかり説明が付かない。
「それじゃ 金森組に聞いて見るか どうなんだ 。お前さんも分かっているだろ、どうなるか?これじゃ済まないよな」峰岸の腕を取って血で染まった手を見せて言った。瞳と接する西城とは別人だ。
「本郷氏の土地の売却で1億は儲けた計算だな。どれだけ脅し恫喝したんだ、可哀そうにお前さんの脅しでノイローゼが原因でうつ病になり病死したよ。お前さんも悪だな。そこで俺も悪になりお前さんが儲けた分の内2000万 を俺にくれないか。」
「そんなに儲けてい無いよ。あの物件はいろいろ物言いが付き余分に金が掛かった。」
「そんな事はお前さんの経費だろ。俺には関係無い事だ。お前さんの計算は全て分かっている。まー2000万払っても儲けは十分」格下の組員の成宮にとって金森組の怖さは知っている。
「組にはこの件は内密にする条件でどうか?」
「俺もやぼじゃ無いそのくらい分かっているつもりだ。」
「いつ まで揃えばいいか」
「こんな事、伸ばせばどんな事になるか俺も馬鹿じゃ無いよ。今 直ぐに用意して貰っいたい。」
「エッ 今 そんな 無理だ。そんな大金用意するのは」
「不動産屋がそのぐらいの金 手持であるだろ、今から銀行に行き用意しろよ。俺も忙しいからいつまでも待てない」今時の不動産屋が金庫にそのぐらいの金を用意してる事は分かっている。
「ちょと待てくれ。」そう言って後ろ部屋へ入って行った。しばらくして封筒を持って出て来た。
「これでこの件は一切無しと言う事に」封筒から現金を出した。
「条件を飲んでくれて有難い。一切無しって事で」親指と人差し指でしゃんしゃんして打ちした。
「アッ あと後、困るから隠しカメラを消させて貰うから」後ろの部屋に案内させビデオを消させた。
「あー もう一つ有った。各人の携帯見せて録音モード確認するから」そう言って各人の携帯を確認した。
「峰岸 これで医者に行き治療してもらいな。」西城は受け取った封筒から札束の一つを出して峰岸に渡し言った。
こうしている間 何度も何度も彼女から電話が有った事は知ってたが彼女の清い心をけなす俺の素性。この精神状態では電話に出る事は出来なかった。
何も知らない瞳は会えない淋しさに何度も西城に電話してた。
「電話しても最初は呼び出し音がなって留守番になったが瞳は言葉に出来なかった。2回 3回と同じ事が続いた。いつも仕事が終りドアーを出た時、向えに来てるかドキドキしてた。帰る道すがらいつも彼の足音を探り続けた。何度も電話を掛け聴こえて来るのは決まって最初は(お客様の都合で電源を切って居るか電波の届かない場所に居るか)最近はれていません)が最後で終わった。
瞳はあらゆる事を妄想し出した。
彼がうちに始めて来た時。お父さんが騙されと事で調べてってお願いした事で悪い事に巻き込まれてしまったのか?心配でたまらない。
私の演奏に飽きたのか?それより私に興味が無くなったのか?しょせん暗闇の恋だったのか?瞳の心はだんだん荒んで来た。
「本郷さん 最近チェロの音が暗く聴こえて来るのですが 何か有りましたか?これが続く様でしたら大変申し上げないですが辞めて貰いますから」自分でも上手に演奏出来ない事は分かっていた。
「山本さん結婚式に迷惑を掛ける訳にいきませんから今日で辞めさせて頂きます。自分でも分かっているんです。すいませんでした。」
「今の演奏じゃ仕方ないね。瞳さんの心が落ち着いて来たら元の音色が戻ってきますから気お落とさずにいて下さい。」それで最後の仕事は終わった。
瞳は日比谷公園の結婚式場を虚ろな気持ちで出て公園入口まで来た。いつもは交番のお巡りさんに声を掛けて貰うが 今日はその声が無かった。瞳は横断歩道を渡る人の足音でつられて渡った。途中にきた時、白い杖の動きが止まった。瞳はこの時、死を浮かべた。
お巡りさんの笛が異常な警告音を鳴らし同時に車のクラクションが激しく鳴った。
ブーブー ブーブー ブーブー ぴっ ぴっ ぴっー
警察官が交番から飛び出し交差点に入って来る車を止めて瞳を抱きしめ交差点を渡った。
「君 危ないじゃないか。」強い口調でどなった。その時 瞳は現実に戻った。
「すいません。 すいません。」
「危ないじゃないか。ちゃんと渡らないと」
「すいませんでした。何かめまいがして動けなくなってしまってご迷惑をおかけしてすいませんでした。」
「これから何処まで帰るですか」
「高円寺迄帰ります。有楽町駅から東京で乗り換えて」
「えー そんな遠くまで、大きな楽器ケースを背負って、 いつも見て何処まで帰るのか心配してたです。」結婚式場の帰りに交番のお巡りさんは見ててくれた。
「ありがとうございます。」
「身体の具合は大丈夫ですか?」
「はい」小さな声で応えた。
「本当に?」
「わがまま言っていいですか? 有楽町駅迄連れて行ってくれますか?」自分でも自信が無かった。
「ちょと 待って 」そう言って携帯マイクで何か連絡を取っている。
「巡査長 今の目の見えない女性の件ですが、本人が体の不調を訴えているですがこれから高円寺迄帰るそうです。本人が言うには有楽町駅迄連れて行ってくれないかと言ってますが、どうしたらいいでしょか?」
「うーん 有楽町駅の先が心配だ。何か 有ったら大変な事になりか得ない。今 丸の内書に問合せて指示して貰うから、ちょと 待て」
「大丈夫 ここにしゃがんで待てて」
「このままで大丈夫です。」しばらくしてマイクで指示
「はい 山口です。 」
(こちら丸の内書 指示指示します。パトカーを向わせます。パトカーで高円寺の自宅迄送って 貰います。その場に待機して下さい。)
「了解しました。待機します。」
「パトカーで自宅迄送ります。」
「エッ そんな ご迷惑をおかけします。ありがとうございます。」
「良かったね。」警察官もホッとして笑顔で言った。
パトカーが静かにすうーと近付いて来た。
「こちらの女性ですか。お住いは高円寺分かりました。この楽器は?随分大きいですね。何という楽器ですか。」
「これはチエロです。」
「へー チェロってけっこう大きいですね。」
「はい ケースが大きいです。ご迷惑をおかけします。
「心配しないで下さい。これも我々の仕事ですから、じゃ 行きましょ」高円寺に着くまでお巡りさんは私に気お使い時折話し掛けて来た。
アパートに帰った瞳は携帯を取り出し0を押した。
今は使われていませんのガイナンス。この音声を何回聴いた事か冷たい響き、瞳の心の奥に深く沈んで行った。
その頃、西城は新宿の東京医科大学附属病院の受付にいた。何故か本郷 瞳の診察券を持ち
「すいません。こちらでお世話になっている姪の本郷 瞳 ですが主治医の加藤先生に相談したい事有りまして」西城は瞳の診察券を見せて聞いた。
「あっ はい あなたじゃないですね。この方 本郷さんの事ですか?」診察券を受け取った受付員が不思議そうに西城を見て言った。
「私の姪っ子何ですが。」
「ちょと お待ち下さい。」そう言って眼科に連絡を入れた。
「あのー 加藤先生 患者さんじゃないですが患者さんの叔父さが患者さんの事で相談したいと言ってますがどうしたらいいですか? あ はい そうします。分かりました。」受話器を置き
「先生がお話しを聞くそうです。この診察券を持って第二眼科迄行って下さい。眼科は2階ですので黄色い線に沿って行って下さい。もう連絡して有りますから看護師に診察券を見せて下さい。」
「有り難うございます。」西城は大きな病院に来るのは久しぶりだった。そうだ 古い話だがいざこざの出入で舎弟が腹を刺された時以来だ。2階に行き黄色い線の指示通り行き第二眼科に診察券を渡した。
「総合病院ってとこは昔の単純のなになに科じゃなくて細かく専門医に分けているから多い。ここの総合病院の眼科は名医が居て技術はレベルが相当上のクラスらしい。瞳ちゃんもここなら安心だろ。
「本郷さんの叔父さんに当る方 いらっしゃいますか」
「あっ はい 私です。」西城は手を上げた。何故か 手を上げてしまった。看護師も含み笑いをした。西城は照れ臭そうにカーテンを開き 診察室に入った。
「こちらにおすわり下さい。」
「あっ どうぞ 座って下さい。えーと、本郷 瞳さん の伯父さん 何とおしゃいましたけ?「はい、西城といいます。」
「ところで何か? お話しが」
「はい 瞳の目の手術の事でお話しが」
「瞳さんは2年前にお母さん様と月に何回か一緒来てましたがそのうちいらっしゃなくなってから2年も経ってしまいました。お母さん様は?」
「2年前に亡くなりました。瞳ひとりでは来れなかったので」
「あー、お亡くなりに うーむ 大変な事に 瞳さんは大丈夫ですか?」大変な環境を察したドクターは心配の余り聞いた。
「はい 気丈な子で、ひとりで生きて行く為母親の教育で何とかひとりで生活してます。」
「勇気がありますね。」ドクターはそれしか言えなかった。
「実は瞳の目を手術して欲しいです。手術費用を用意して来ました。幾ら掛かってもいいです。お願いします。」
「手術費用は保険が使えませんので多額の費用が掛かりますがその点、分かりますか?」
「多額の費用が掛かるのは前から母親から聞いてます。是非 加藤先生にお願いしたいのです。お願いします。事前に費用はお支払して置きますから是非手術を」西城は手術費用は前持って調べて置いた。
「まー待って下さい。手術は今直ぐと言う訳に行かないので。瞳さんは2年前に診察がスットプしてますので今の目の状態を診察して見ないと分からないね。さし当たって入院して貰って精密な検査したのち決めましょう」
「お願いします。」
「いつ ご本人をお連れしますか?まずは入院手続きの予約を取って下さい。」
「本人に話して支度をししてから連れて来ます。どちらに連絡を?」「総合受付に話しを通して置きます。」
「分かりました。費用は会計の受付に事情を話し預かって貰います。」
会計窓口に行き話しをしたら眼科より話が通っていたらしく奥の部屋に通された。
「本郷 瞳さんの叔父さんの西城さんですね。」会計科のお偉いさん来て説明し出した。
「はい よろしくお願いします。」
「入院費用並びに手術費用に関しては今の段階では分かりませんのでお預かりって事で言いですか?」
「はい どうぞ」西城は紙袋から札束を10束出してテーブルに出した。
「退院された時、精算して残った分をお返しします。それでいいですか?」
「はい 分かりました。精算したら本人に渡して下さい。」
残りの900万は自分で100万出して1000万にして、すでに瞳の普通口座に父親の名前で振り込を済ませてた。
瞳はここ1ヶ月、今まで経験した事ない心の迷路に迷い混んで精神的に悩んでいた。私みたいな重度の障害者が世間一般の恋をした事がいけなかったのか?だだ優しい親切な人それと私のたったひとりのチェロの理解者。ただそれだけであの人の事は何にも知らない。私に何でも教えてくれた母、こんな事は教えてくれなかった。恋がこんなにも苦しい、切ない気持になるなんて、今までチェロが私を助けてくれたがチェロを弾いても暗い音色になってしまう。チェロも私の心を悟っているようだ。
安定した収入源も失ってしまっい、これからどうして行こうか考えないといけない。何もかも忘れてしまい始めからやり直しして行くしかないと思っていてもこの病はなかなか言う事を聞いてくれない。毎日 悲しい想いを背負って生活て行く苦しさを相談する人もいない。
瞳は、今は立ち直る事もなくただ悲しみ伏せって横になっている時、心の暗闇の中からあの足音、彼の足音 彼が来た気配。
「あの人だ」瞳の冷え切った心は一瞬に炎が燃え上がった。足音が近づきドアーをノックする音が
「今晩は 僕だけど 瞳さんいる?」杖の叩く音と瞳の嬉しさの余り声になら無い返事が聞こえる。ドアー鍵を慌てて開ける音。
「わーんわーんうーんわーん どうして 意地悪 連絡してくれなかったのー、心配してたのにどうして、わーん ううん」ドアーを開けた瞬間、西城に飛びついて胸の中で泣きじゃくった。
「ごめん ごめん どうしても連絡出来なかった。ごめん」そう言って泣きじゃくる瞳を抱きかかえ部屋に入った。瞳は嬉しさいっぱいに泣いた。
「いっぱい 心配してたの、うーんうー」興奮が収まらない瞳を西城は優しく抱きながら髪をなぜた。
「連絡が無いので、もー 私の事を忘れてしまったのかと思い悲しかったの。それと父の事調べるって言ってたから何か悪い事に会ったのか心配してた。いろんな事、考えて悩んでいたらチエロの音色まで暗い音色になってしまい結婚式場辞めてしまったの 沢山 話したい事があるの」瞳は一気に話した。
「僕も会いたかった。言い訳は言いたくないがどうしても連絡出来なかった。すまない。」「もー 分かりました。許してあげる。」瞳は西城と再会した事ですべてが許せた。やっと明るい声になった。
「いつもの綺麗な瞳ちゃんになったね」低い声で言った。瞳は照れくさそうに西城の胸のなかに沈めた。
「西城さんにお願いがあるの聞いてくれます。」俺の顔をさすって真剣な顔で言った。
「なに 」
「私を抱いて下さい。」
「エッ 」西城は耳を疑った。
「お願いです。」
「俺見たい、いや 僕見たいの男にまた」
「いえ 母 が言ってました。始めて自分の心が動き大切に想う人に上げなさいと教えてくれました。」西城は確かに瞳に引かれ好きな気持ちになっていた。だけど見えない瞳に俺の事を正直に言えないジレンマがある。
「お願いします。私みたいな障害者 嫌い」瞳の目から涙が
「バカ 僕はそんな気持は持ってない。瞳さんの純粋な心に引かれたんだ。」強い口調で言った。瞳の心には迷いはないと思えた。純粋の瞳を裏切る様な事は出来なかった。そして瞳の顔を両手包むようにして唇に軽くキスをしてあげた。瞳にとってこれからの出来事は心 深く残るだろう。
「ありがとう。」瞳は小刻みに震え身体が熱く燃えて西城に身を任した。
「本当にいいんだね。」恥ずかしそうに言葉になら無いぐらいの返事で顔をたてに振った。西城はキスをして瞳を抱きかかえて布団の上に寝かした。小刻みに震えが止まらない瞳の耳元で
「綺麗だよ。素敵だ。」そう言ってパジャマのボタンを上から外した。真っ白い肌に西城は我を忘れていた。
「あーあ 」始めての感じで上から下まで走るこの感じが瞳にはただそれがこれからの始まりだとは分からない。今までに無い素敵な感覚で、味あった事のない不思議な身体の異変、こんな身体になって恥ずかしく思が自分ではこの素敵な感覚は止めれない。
「瞳は綺麗だ。とても素敵だ。」
「あーああーうーん」」自分の事を瞳と呼んでくれた事を涙だを流しなが喜んで西城の身体を抱きしめ身を任した。
「うーん あっ 痛い。」・西城に愛された瞬間だった。私にも普通の女の子と変らない事が分かった瞬間でもあた。
ふたりはしばらく抱き合っていた。西城は瞳の愛を大事にしたかった。瞳も西城の事詳しく聞いて来なかった。瞳も西城と同じでこの愛を大事にして置きたかっただろ。
「瞳 お父さん お母さん からのプレゼントが有るんだ。」
「エッ 何!竜二さん何!言っての?」瞳は俺の顔を見ているかの様に俺を見て不思議そうな顔をして言った。
「びっくりしたろ プレゼントが有るんだ。瞳は目の手術をして目が見える様になるんだよ。病院にはすべて手配してあるから明日から入院して検査したあと手術して貰う手配ずになっているだ。手術費用 入院費用はお父さんお母さんのプレゼントで心配しないでいいからね。」
「エッ本当 信じられない。嬉しい」そう言って西城に抱き付いた。瞳には分かっていた。竜二さんの優しさを
「明日 入院するから準備しないといけない。その前に僕からの最後のお願い聞いてくれるかな?」西城は自分でも分かっていった。
「何のお願いですか? 竜二さん変な事 言わないで最後何って お願いだから言わないで悲しくなっちゃう。」もうー、二度と悲しい想いはしたくなかった。西城をきつく抱きしめて言った。
「ごめん ごめん 変な言い方して謝るよ。 瞳の今の気持ちでチェロを僕だけに弾いてくれないか?」
「分かったわ。今支度して準備するわ。ちょっと待ってて」タンスから下着と肌着を取り出し奥の部屋に行き、演奏の礼服。白のシャツに黒いジャケット黒のスカートに着替えチェロをケースから取り出し弦の調整して俺の前に
「お待ちどうさま チェロ 弾くの久々何だ 。分かる竜二 」今はきっと上手く弾けると信じた。
「うん 」竜二は深くは言わなかった。ふたりとも阿吽の呼吸でわかった。
「今から演奏します。」
「一人演奏会だね。」瞳はサングラスをせずに俺の前で演奏を始めた。繊細な澄みとた音色だ。瞳は俺の為に真剣に演奏しているが分かる。この曲はバッハのソナタ、クラヴァア曲モテット 目覚めよ、と叫ぶ声あり曲の通り瞳の心を弾いている。俺はこんなに感銘した事は無い。素晴らしい演奏だ。俺は今の瞳の演奏する姿を目の脳裏に記憶した。なぜか演奏が終りに近いずいたころ瞳は涙を浮かべ涙が頬を伝わり落ちた。自分が最高の演奏した為か何かを分かって涙を流したか分からない。
「ありがとう。素晴らしい演奏だった。僕の胸に刻んでおくよ。」そう言って瞳にハグして頬にキスした。
「ありがとうございます。」瞳は涙が止まらなかった。
「じゃ あした8時に向かえに来るから準備して置いて。今日はゆっくり休む様にな」
帰る竜二に甘えるようにキスをした。何かふたりとも別れを惜しむように長いキスをした。竜二さんが帰り何か実感が湧いて来て、この現実が夢でないことを祈った。
私が目が見えるかも知れない喜びに胸踊らせた。目の手術が成功して真っ先に竜二さんを見たい。そしていっぱいチェロをを演奏してあげたい。いろいろ考えているうちに眠りについた。安心した寝顔だったろ。
翌朝 8時に彼が向かえに来てくれた。私は嬉しくてはしゃいで竜二に抱き付いた。
「ほらほら ちゃんと支度してあるかな。持って行く物忘れない様にな。下着類は1週間ぐらいでいいから」
「1週間ぐらいでいいの?」
「病院がちゃんと洗濯してくれるから」
「えー 恥ずかしい」女 ごころは忘れてない。
「入院している人はみんなそうしてるから安心していいから」
「こらこら 大切な物 忘れているよ 」西城は指差した。
「エッ チエロ 持って行っていいの」
「当り前だよ。瞳の大切なチェロを一緒に持って行かないとチエロがかわいそうだ。」そう言われて嬉しそうにチェロに頬ずりした。
「道路にタクシーを待たせて有るから用意出来たら行こう」西城は瞳の体の一部でも有る白い杖がいらなくなる事を祈った。
入院は個室を用意させた。
本郷 瞳さんですね。私が担当する看護師の和田と申します。宜しくお願いします。分からない事が有りましたら私に言って下さい。そしてここはひとり部屋です。下着類は引き出しにしまいます。私があとでしまいましょ」
「ありがとうございます。 私が分かる様にしまいます。」私見たいな盲目の女性でも誰にも見て貰いたく無い女心を持っている。
「支度が終ったらこのボタンを押して下さい。この階のナースステーションに繋がります。呼び出して下さい。じゃ 後で」
「竜二さん このお部屋誰も居ないの私だけ?」
「これもみんなお父さんお母さんのプレゼントだよ。」
「えー いいのかなー こんな贅沢して」入院の事情は母から聞いて分かっていった。
「いいんだ。瞳は今まで沢山苦労したからお父さんお母さんがそうしたんだよ。」
一生懸命竜二さんは私に素敵な嘘を言っている。
「竜二さん私のお願い聞いてくれますか?」瞳は西城に近寄り甘えて言った。
「時間が有ったらいつでも会いに来てくれる。」
「何 当り前だよ。可愛いい瞳に毎日、会いに来るから心配しないでお医者さんの言う事を聞いているんだよ。分かった。」
「はい 」そう言って瞳はキスを求めて来た。瞳を安心させる為熱いキスをした。それで安心した様で荷物の整理をし始めた。
「あっ そうそう 大事な事を言い忘れてた。瞳 僕の素性は叔父さんという事にして置いて うーん お母さんのお姉さんの弟にして置いて欲しい。分かっているよね。」
「はい 寂しいけど分かっています。」
「じゃ行くよ。」瞳は離れたくない思いで西城をしっかり抱きしめ西城の優しさ心の中で感謝した。
「明日 来るから」そう言って呼び出しボタンの場所を教えて看護師を呼んだ。
「整理出来ましたか? 」ドアを開けて入って来た。
「はい 整理出来ました。」歳は40歳ぐらいのベテランの看護師さんでやる事はテキパキしている様に感じた。
「検査が毎日有り、先生の問診も朝 と夕方に有ります。検査の結果で手術の日程が決まります。安心してて下さい。退院するまではパジャマでいて下さいね。毎日 朝夕血圧と脈拍を測ります。今日から測りますのでここに座って下さい。右手を出してパジャマの袖を巻くて下さいね。手のひらを出して脈拍を測ります。今度は血圧をはーい測ります。はい 終りました。」そう言って何かに書き込んでいた。この病院は幼い時からかかっているからカルテがありすべて分かっている。
「瞳さんは何か演奏なさるんですか?」和田はこの楽器が何か分からなかった。
「これはチェロです。」
「大きな楽器ですね。失礼ですが目が御不自由なのに?」
「小さな時から、母親に教わりました。ちょっとお尋ねしたいのですが」
「屋上でチェロの練習しても構いませんか?」入院中弓の感覚を忘れないために常にチエロに接触ていたかった。
「あーはい ドクターに聞いて見ます。あっ、それと病院事務局にも聞いて見ますね。それじゃ今日はゆくっり休んで下さい。明日から検査が続きますから。何か有りましたらベルを押して下さいね。」
「あー 大変 忘れてた。大事な事 トイレと洗面所の場所を一応教えて置きますね。行く時は常駐の看護師が連れて行きますから遠慮しないでベルを押してね。」
「はい」
「じゃ 行きましょか。この車椅子に乗って下さい。」
「すいません 歩いて自分で行きますから?場所を教えて下さい。」瞳は車椅子に頼りたくなかった。看護師に自分の方法で場所の確認をする為その説明した。自分の徒歩の幅で何歩か白い杖の感覚で、すべてを把握して歩いて行くです。」
「訓練なさっているんですね。」和田は感心した。
瞳はベットに横になりこの現実を実感した。今は亡き母親と父親に奇跡が起きた事。この奇跡を起こした今一番大切な人と結ばれた事を心の中で報告して眠りに入った。
翌朝 和田看護師が部屋に来て血圧と脈拍を調べ今日の検査手順を説明した。
「本郷さん あー 瞳さんって呼んでいい?瞳さんの方が何か自然だから いい?」
「あー はい、ありがとうございます。」
「瞳さん 叔父さんの西城さん今日 何時ごろ、いらっしゃいますか?主従医に成る飯田ドクターが聞いて欲しいと言ってますが?」
「はい いつ来るか 今は分からないですが」私の目の事で西城さんに話が?瞳は一瞬 不安になった。
「それじゃ 連絡出来ますか? 瞳さんと西城さん、一緒の時に瞳さんの病名の説明と今後の手術の予定を話したいと言ってます。
「今 連絡して見ます。」事情が分かってホッとした。
「時間が分かったらナースステーションの和田まで連絡を下さい。呼び出してボタンの上に受話器が有りますから受話器を取れば繋がりますから」
「はい 分かりました。」瞳は今 西城に電話していいのか迷った。あの時から携帯を使っていない。頭にあの事が過って不安になった。暫く考えて携帯を取った。そして0の数字を押した。呼び出し音が暫く鳴っていた。出て欲しいと心の中で祈った。そして繋がる音が
「もしもし」静かな声で 瞳は声を掛けた。
「どうした?」ドスの聞いた低い声で返事を返した。
「ごめんなさい電話して、竜二さん 、今 お話ししてもいい?」一瞬の不安が消えた。
「大丈夫だよ。何か?」
「今日 会いに来てくれる?」甘えた声で言った。
「そのつもりだよ。」入院 一日目で寂しくなったのか?可愛いく思った。
「寂しいの、 瞳から離れないでね。」
「もー大丈夫だよ。」
「それとね。瞳の主従医に成る飯田先生が竜二さんと一緒の時に今後の説明がしたいと言っているの今日 何時ごろになりますかって?」
「あー そうだな 3時ごろかな?」
「じゃ そう言っておくね。竜二さん 大好き」そう言って切った。瞳は連絡出来た事で安心した。
看護師の和田さんにそのむねを連絡した。持って来た点字の楽譜を指で感じ鼻音色で演奏して時間を過ごしていた。
脳検査でMRIを受けた。この検査は聴覚が大事な瞳に取っては音の大きさに驚いた。検査が終った時、耳は大丈夫かと心配して誰かと話がをしたかった。その時
「入ってもいいかな?」
「うあー 聞いて 聞いて、今 MRIの検査したの 脳を調べるだって、ヘットホーンして、もの凄い音がして耳が壊れたと思った。怖かったの、
だから誰かと話をして耳が聴こえるか確かめたかったの」瞳は竜二が来た喜びでちょっと甘えてはしゃいだ。
「そんな検査があったのか。手術の為にいろいろな検査が有るから我慢するんだ。」瞳をハグしてキスをし安心させた。
「竜二さん 飯田先生が4時に第二眼科に来て下さいって」
「一緒に行って聞こうね。あっ そうそう パジャマを買って来た二着。ほらこれ」瞳の手を取りパジャマを触らせた。
「嬉しい 今、着ていい?今着替えるから待ってて」
「ここで?」
「なぜ?」
「いいよ。 外にででるから 終ったら声 掛けて」目が見えない彼女でもこれが礼儀だと思った。部屋から返事が
「着替えたよ。ほら 似合う 素敵なパジャマ ありがとう。」
「似合うよ。素敵だ。」真っ白な絹のパジャマであった。瞳は西城の首に両手を回しキスを求めて来た。今は瞳に取ってキスをする事で自分を安心させていた。
「ここで今 竜二さんにチェロを聴いてもらいたいだけど、ここ病院ダモんね。ごめんね。屋上で演奏出来るか今 病院に聞いているから待ってて」
「いい返事が有ればイイね。・」瞳はあの時のトラウマで俺と離れたくない一心で甘えていた。
主従医の打ち合わせの時間が来て看護士の和田さが向いに来た。瞳は車椅子で二階の第二眼科ヘ
「本郷 瞳 さんこちらへ 叔父さんの西城さんご一緒にどうぞ。2年前からこちらにお見えにならなくなって、いろいろあったでしょね大変苦労なされて、その前のカルテは有りますから心配しないで下さい。その当時は何時でも手術は行う予定でした。
2年間のブランクがありますので今日から改めて検査をしていきます。当時、瞳さんが発病した時、1歳でした。当時の主従医の先生の見たてではステイーブンスジョンソン症候群ともう一つ角膜変性症の二つが有りました。両方共、細菌、アメーバ、ウイルスなどが病原体が原因で角膜炎が繰り返し後に角膜のダメージで失明になったにで検査の結果次第で角膜移植をします。15日間 半月かな?」
「角膜移植で瞳は目が見える様に成るんですね?」西城は難しい説明は分からないストレートに言ってくれと言わんばかりに言った。
「検査結果次第でしか今は言えないですが今の医手術は進歩してますからご心配しないように」
「手術して直ぐ見える様になるですか?」
「手術後 10日ぐらい徐々に光に目を慣れせて行ってからですね。」
「分かりました。」
「分からない事でも有りましたら何時でも聞いて下さい。看護士の和田に連絡をお願いします。あっ そうそう、MRIの脳検査結果では脳は異常はないです。心配しないで下さい。」
主従医の説明と問診が終り部屋に戻った。
「瞳の手術 大丈夫かな?角膜移植って痛いのかな?」瞳は異常にナーバスになっている。
「ダメな手術 の話しだったら瞳を同席させ無かっただろ」瞳を安心させた。
「そうだよね。安心した。」
「先生の言う事、ちゃんと聞くだよ。」ベットで寝ている瞳に言い聞かせた。
「竜二さん ありがとう。ちゃんと聞く 竜二さんの言う事も聞くわよ。ねねねーお願い顔を近ずけてくれる?」
「何 」言われるままに瞳に顔を近ずけた。
「こうやって顔を撫ぜて顔を確認しておくのよ。手術後に本当にこの目で見えた時の竜二さんと瞳の心で描いていた竜二さんが絶対一致するからね。」顔や頭を撫ぜてそのうち
竜二の唇に触れた時自分の唇に寄せキスをし、竜二に耳元で
「好きです。竜二さん愛してます。」これは瞳の本当の気持ちであろう。
「ありがとう。僕もだよ。」瞳は深く唇を重ねて来た。瞳が見える様になったら俺は----
「さっき 和田さんが屋上でチェロを引いてもイイですって言ってた。」明るい瞳を見て俺はこれでいいだと自覚した。
「また、チェロ 演奏出来るね。良かった」
「竜二さん 毎日 聴いてくれる?だって1番の私のチェロの理解者ダモんね。」
「こらこら あんまり無理しちゃダメだよ。」
「先生と相談して練習するね。」
「それが1番だ。」
「本郷さん夕食の時間ですよ。」看護士さんが夕食を運んで来てくれた。
「食べましょね。」食べさせてくれるらしいが俺が居るから看護士さんに言った。
「すいません 今日は私が食べさせます。」
「いいですか お願いしちゃおかな じゃお願いします。終ったら読んで下さい。」喜んだのは瞳だった。
「竜二さんが食べさせくれるの ヤッター」ウキウキして楽しそうな瞳に俺がはしとスプーンで運ぶ食事を瞳は美味しそうに食べてくれた。今まで不自由な身体で苦労して食事をしてたんだろなと西城は思った。
「竜二さん 聞いて、毎日 食事を作ってくれて嬉しい。 今までスーパーやコンビニで買い物して食事を作ってたのも楽しかた。皆 親切だったのよ。そう言う瞳を見て俺は恥ずかしくなった。
季節も初夏になり屋上も涼しい風が瞳の髪の毛を撫ぜて通る。チェロの音色が風と共に屋上いっぱいに広がる。
屋上で休んで居る患者さん、休憩を取っている看護士さんがチェロの優しい音色に誘われる様に瞳の周りに集まり聴き入っている。この事が病院内で広まり事務局から患者の要望もあってコンサートの話が持ち上がって瞳の手術前に病院の玄関エントラスで行なわれ事に決まった。
毎日の検査 、ドクターの診察があり手術の日も間近くなって来て瞳の精神状態に変化が見られる様になり西城も神経を使い、なるべく瞳のそばに居る様にしていた。瞳は19年間。暗闇の世界に生きてきた。自分も目が見える事を夢の様な事だと思っていた。そして望んでいたが、今、現実になる事は自分が今まで盲目の世界で描いて生きて来た事と、これから見える世界のとのギャップが瞳は怖がっているんだろ。
コンサートの日程も決まり瞳の最後の盲目演奏になるだろ。
「竜二さん いつもそばに居てくれてありがとう。この演奏 最後になるね。ずっとそばにいてね。」盲目の時と、これから経験するだろ演奏の違いを今、身体で感じてる。
「瞳 これからずっと変わらないよ。普段通り心の底から湧き出る演奏をすればいいんだ。」西城は今 瞳の心配してる事を感じてる。西城には何も言えない。瞳がこれから経験し自分が感じて判断し行動する事だ。今 俺に出来る事は瞳の手を触れて安心させる事だ。
病院のエントラスに沢山の患者さん、病院の関係者の方が集まり瞳の演奏を堪能し聴き入って歓喜のあまり涙する人、今まで心の病で悩んでいた人が晴れ晴れした表情に見えたコンサートになった。いつになく瞳の真剣さが伝わって来た。
「終ったわね。竜二さんが、そばにいててくれた事、ずっと感じてたわ。竜二さんの言う通りに演奏出来たわ。」瞳の顔に何かが見えた。
「素晴らしい演奏だった。瞳は変わらないよ。」そう言ってハグをした。
「ありがとう。竜二さんが居てくれたから」甘えていつまでもハグを離さないで西城の存在を感じてた。
「瞳 いよいよ始まるよ。主従医の飯田先生に呼ばれ検査の結果がいい状態なので明日でも手術を始める許可が欲しいと言われ、お願いしますってOKして来た。」
「始まるのね。竜二さん 心配しないで覚悟は出来て居るから、」
「やっとここまで来て嬉しいよ。」ここまで来たって言う事は瞳との----西城は分かっていても淋しい感情に掛かれた。
看護士の和田さんが瞳の世話しらがら明日 手術について説明をした。
「瞳さん コンサート素敵な演奏でした、ありがとうございました。皆 感激してましたよ」そう言いながら瞳をベットに寝かし説明し出した。明日の手術は午前10から始まり2時間ぐらいで終ります。手術後はベットで安静にしてて下さい。目に包帯が巻かれている状態が1週間ぐらい術後の検査続き包帯が取れるのは検査次第です。先生に聞いたと思いますが光に目が慣れる迄ちょっと時間が掛かりますので直ぐには見える様にはなりませんからリハビリをして下さい。今日はゆっくり休んで下さいね。」
「はい 分かりました。」瞳は看護士が帰った事を音と身体で確認し西城を両手を挙げ西城を受け居る仕草をした。西城は瞳の要望に答えた。
「竜二さん お願いがあるの瞳のわがまま聞いて下さる。」
「どうした?」
「明日 手術でしょ心配で怖いの今日ベットで添えねして欲しいの いいですか?」
「瞳がそうして欲しいなら」手術の事が不安なのか?、それとも俺のすべてを知り尽くしたいのか?瞳の両手が俺の手を引いてベットに引き入れた。
「竜二さん 。好きなの 愛しています。チェロが竜二さんを会わせてくれた。両親と同じ何かの運命を感じるの 好き 好き 愛している」瞳は今の状態を忘れ西城の顔を両手でしっかり包み唇を押し付けて来た。
「瞳 好きだ。」
「竜二 お願---------」瞳といつまで居られるか複雑な気持て瞳を抱きしめた。
翌朝 瞳は手術を受け入れる覚悟が出来ていた。
「叔父さん 手を繋いで」人前ではこう言うしか言えない事は淋しいかった。
「手術は成功するから心配しないしないように先生を信じる様にな。」車椅子に乗った瞳の手を握り手術室に向った。
手術室 前西城は終るのを待った。あと 3~ 4日間で終りが来る。瞳の為にも終らせなければ行けない。自分に言い聞かせ手術の無事成功を祈った。
手術室前で待った。手術は3時間で終っり手術室を出て来た瞳は目に包帯を巻、麻酔で眠っていた。
「西城さん 手術は無事、終りましたよ。ご安心下さい。今、麻酔で寝てますのであと2時間足らずで目覚めますからそばに居てやって下さい。」そう言って無事を報告してくれた。
部屋に戻ってベットに寝かされた瞳を見て手を握り、西城は良かった反面これで瞳と------
体は老いて行くが人の声はあまり変わらない。瞳には俺の声がどう言うに聴こえていたのか?俺はいい歳をして瞳に恋をしてしまった。これであと10間も経てばこれからの瞳の人生は変わると思えば俺がやった事は正しいかった。そう自分に言い聞かせた。
西城はそばに居てやる時間を今は大切にしたかった。瞳は静かに目を覚ました。
「あっ 竜二さん ずっと居てくれたのね。ありがとう、嬉しい。終っただね。」
「あー 終った。手術は成功したよ。よく頑張ったね。」耳のそばで言って、手をぎゅっと握りしめ、瞳も握り返した。
「目が覚めましたか?」そう言って和田看護士が入って来た。
「はい 今 覚めた様です。」
「無事 終わって良かったですね。脈拍と血圧を測りましょね。西城さんも少しお休み下さい。3時にドクターの診察がありますからゆっくり休んで下さいね。何か有りましたらベルを押して下さい。」慣れたもんでそう言って出て行った。
「あと 何日すればこの包帯取れるのかな?」
「そうだね。先生に言うには完全に取れるのは10日ぐらいだそうだ。」
「ねね。 そうすれば竜二さんの顔 見る事が出来るだ。楽しみ 」瞳にとって唯一楽しみだった。
「そうだね。 あまり見せられる顔じゃあないけどね。」西城は笑いながら流した。
診察とリハビリの日が続いた。
「竜二さん 聞いて 目が見える様になったら音楽学校に行ってチエロの勉強をして見たい。」
「そりゃ 好い事だ。行って本格的に勉強したらいい。今でも僕は瞳のチェロの演奏は最高だと思うよ。」
「お母さんと一緒の音楽学校に行きたいから一生懸命働いてお金貯めなきゃいけない。」
「そうだね。」
「竜二さん ずっと一緒にいてね」
「うん」
最後の診察が終わった。
「竜二さん 今日 先生が明日、包帯取っていいって」
「あー 良かった。」これで瞳のそばに居てやる事の出来るのは今日で終わりだ。そう言って西城は両手で瞳の顔をそっと触れキスをした。
「瞳 好きだよ。いつも素敵な音色聴かせてくれてありがとう。」西城の目から一粒の涙だが瞳の頬に落ちた。この一粒の涙が何かは瞳には分からなかった。
「竜二 好きよ 愛してる。瞳にとっては1番大切な人なんだから」
「ありがとう。」これが最後の瞳との会話だ。瞳は俺の声を覚えててくれるだろか?
声で繋がった恋 が終った。
ついにその日が来た。今までの暗闇の世界と自分の目で見るこれからの世界、リハビリで訓練し教わったがこのギャップが瞳は怖かった。だが愛するひとを自分の目で見る事が出来る事が恐怖を払い退けた。
「瞳さん 包帯を取りますね。いいですか」先生が安心させる様に言い聞かせた。
「はい、 お願いします。」瞳は胸の鼓動が高鳴るのが聞こえる。先生は目に巻いて有る包帯をひとつ ひとつ丁寧に解いていった。解き終った時薄っすらと光が目に射し込んで先生の顔が見え目を動かすと診察室が見え和田看護師さんも見えた。
「先生 先生 見えます。有り難うございます。」瞳は嬉しさのあまり泣き出した。
「瞳さん嬉しさはわかりますがあまりなくと目がびっくりしてしまいます。 ハハハー笑った。」先生は冗談いいながら笑った。
「和田君 本郷さんを車椅子でお部屋に あっ そうそう、瞳さんは車椅子は嫌いだったね。」
「先生 お願いが」
「何か?」
「自分で見て歩いた瞬間を竜二さん いや 伯父さんに見せてあげたくて」
「いいですよ。 和田君 お願いします。」
「はい 分かりました。」自分の目で見て歩けるこの瞬間を竜二さんと共有したくて急いで部屋に帰って来たがそこには西城はいなかった。
「竜二さん なぜ 居ないの」瞳は涙がこぼれ落ちた。
「本郷 瞳さん おめでとう 目が見えて良かったわね。これ西城叔父様から包帯が取れたら渡してくれる様にと預かりました。」
「エッ これ何かしら?」
「ありがとうございます。」受け取った封筒を開けた。手紙が点字で書かれていた事に瞳はびっくりした。
(竜二さん 点字 勉強したんだ。)
(瞳 おめでとう。本当に良かった。俺も嬉しいよ。この世の中、これから目が見える事で見なくていいこと迄も見なくてはいけない場合もあるが、それはそれで目を背けず現実を理解して下さい。俺は瞳の前には出られる男じゃないんだ。清い心の瞳と真っ反対の世界で生きている人間だ。瞳が見えない事を好い事に嘘をついてた。許してくれ、だけど瞳の奏でるチェロの音色好きだ。歳の事も考えず嘘が本物になり瞳を愛してしまった。この事は本当だ。それと封筒に瞳の普通預金の通帳が入ってる。お父さんお母さんのプレゼントが振込んである。そのお金で音楽学校に行って夢を叶える事。俺もいつまでも瞳のそばに居て応援してるから安心して下さい。
これで音の恋は終っただね。)
(バカ バカ そんなの構わなかった。どんな竜二でも好きだった。愛してた。目が見えたら竜二と腕を組み、約束果たせなかった銀座を散歩したかったのバカ バカバカ----)
瞳の目から一粒 一粒と涙がこぼれ手紙を濡らし瞳も音の恋は終ったと感じた瞬間だった。
それから4年が経った。
ここは国立音楽大学ホール。 本郷 瞳 卒業記念 並に、チャイコフスキー国際コンクール チエロ部門優勝記念 コンサート会場
(竜二さん ここまで来たわよ。聴いてね。)竜二が会場に来ている予感している。4年経っても瞳の身体に染み込んでいる。
(竜二さんの為に弾くね。聴いてね。)何処かで聴いている西城に聴かせる様に演奏し始めた。それは今までに無い最高のチエロの低く優しい音色だった。演奏が終ったあとも拍手は鳴り止まなかった。
演奏も終り正面玄関エントラスで来てくれたお客様にお礼の挨拶をしてた。その時 、瞳の耳にあの足音が聞こえる。
(来てくれたんだ。来てくれた。足音が近づいてくる。)大勢の人にお礼の挨拶をしながら見渡した瞬間、足音が止まり竜二さんの匂い。
「おめでとう。頑張ったね。」竜二さんの声だ。その人は大きな花束を瞳に手渡した。その声は周りの雑音に消されてもおかしく無い状態であったにも関わらず瞳にははっきり聞こえた。瞳は大きな花束を受け取るが、次々にくるお客様に笑顔で対応してその大きな花束で顔が見えない。(竜二 どこ)瞳は叫びたかった。花束で竜二さんの顔を見る事は出来ず足音だけが遠くに去って行った。足音の去って行く方向に瞳は深くお辞儀をした。
(竜二さん ありがとう。瞳は一生懸命生きて行きますから安心して見守って下さい。」
終り
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