残虐王

神谷レイン

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残虐王の側近

1 セトディア

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 革命日。

 それは王が討たれた日。
 もう四十年以上も前の事だ。あの日から私は走り続けてきた、ある約束を果たす為に。
 私は、あの人の願いを叶えられたのだろうか……?


















 ――――初めて会った時、あの人はまだ十七歳という若さだった。

「セトディア……珍しい名だな」

 あの人は目の前に立つ私にそう言った。
 十三歳から軍に入隊していたあの人は少尉で、一方、私は十九で高等院を卒業し、入隊したばかりの二等兵。いわゆる下っ端。
 軍では階級が全てだが、まだ自分より年若い少年が自分の上司である事に、当初私は反発を覚えた。しかも相手は王族。

  どうせお飾りの隊長なんだろう。と私は、何も見も聞きもしない内から決めつけた。けれど。

『馬鹿だな。その内、お前もわかるさ。あの人の凄さが』

 そう先輩兵士に言われた。
 でも自分より年下相手に何を言っているんだ? と私は顔を顰め、耳を傾けなかった。
 だってそうだろう? 相手はまだ十七歳の子供なのだ。
 私は自分だって十九歳なのに、自分の事は棚に上げてそう思っていた。
 だが一緒に過ごしていく内に、否が応でもその言葉の意味を本当の意味で理解していく羽目になった。

 片目が見えないはずなのに隙のない身のこなし、洗練された剣技、その上、ずば抜けた戦略術に他の追随を許さないほどの豊富な知識。
 これだけ長けた人を私は見たことがなかった。私は高等院でなかなかの成績を収めたが、あの人は私の遥か先を歩いているようだった。

 だから私は、さすが王族。幼い頃から多くのお抱えの教師達に教えを請いていたのだろう。

 安直にもそう思った。私の自尊心が、年下の男に負けたという事実を許さなかったからだ。でも、その考えも愚かなものだと思い知らされる。

 城に勤めていた知り合いに、たまたま話を聞く機会があった私は、自分の予想が当たっていると勝手に確信して、尋ねたのだ。あの人の城での暮らしを。

 だがその者から返ってきた話は私の予想をことごとく裏切った。その者が教えてくれたのは、私が思い描いていた豪華絢爛、優雅な生活ではなく、あの人の凄惨な生活だけだった。

 人間扱いされない暮らし。

 彼は多くは言わなかったが、その一言が全てを物語っている気がした。
 ぼろ布を纏い、残飯を食わされ、失った右目は実の血の繋がった兄姉達からの仕打ち。
 何という事だ。それは現実に起こったことなのか? と尋ねたくなるほどの話だった。

 人間のすることじゃない。そう私は思った。
 そして聞くには容易いが、本当の現実は酷いものだっただろう、とすぐに想像できた。私は自分の勝手な思い込みを恥じた。
 私はあの人が王族だからというだけで、色眼鏡をかけて見ていたのだ。

 なぜ、人は他人が自分より幸福で不幸を知らぬと思うのだろうか。誰しもが、傷や痛みを抱えながらそれでも前を向いて生きている、と言うだけなのに。

 他人の芝生は青く見える。

 その言葉は今の私を指しているようだった。
 そして、そこから私の見る目が変わり、すぐに色々なことに気が付き始めた。

 あの人は夜遅くまで難しい書を読みふけり、朝は誰よりも早く起きて体を鍛えている事。
 無口だが、自分の部下を気に掛けている事。
 なにより王族だからと偉そうにしたことなど、今まで一度たりともなかったではないか!

 そう私の心は叫び、冷や水を頭から浴びせられたようだった。
 私は両目を見開いていたのに、何一つ見えていなかったのだ。いや、見ようとしなかったのだ。いつもそこに真実はあったのに。

 でも、この時の私はただ両目をようやく開いただけで、あの人の本質をまだ見ていなかった。
 全てを理解するには、私はまだ幼すぎたのだ。

 だが、それから五年の月日が経ち、ある日の晩。
 私は酒を片手にあの人の元へ尋ねていた。






















「たーいちょ、良い酒が手に入ったんで、一緒に飲みませんか?」

 私は酒瓶を見せて、椅子に座ってまだ執務を続けるあの人に声をかけた。
 この五年、歳も近かったこともあり、私は気軽に声をかけるぐらいには打ち解けるようになっていた。

「セトディア……お前は色街にはいかなかったのか?」

 今日は給料日で、他の隊員は色街に出ていた。

「自分はああいうところはちょっと。皆は意気揚々と出て行きましたがね」
「……そうか」
「ま、そういう訳なんで、寮に一人残っても寂しいんでここに来たんですけど。どうです?」

 持っていた酒を見せて尋ねた。
 断られるかもしれない。そう思いつつも問いかけたが、返ってきたのは意外な返事だった。

「そうだな……一杯貰おうか」

 机の書類を隅に置いて言い、思いもよらなかった返事に私の方が少し驚いてしまった。でも、こんな機会滅多にない。
 私は図々しくも部屋に入り、持ってきたグラスに酒を注いだ。

「さ、隊長からどうぞ」

 私が勧めると酒の杯ったグラスを手に持ち、気持ち程度、あの人は口に含んだ。何も言わないが、じっと酒を見つめ、その目は『うまい』と呟いていた。
 この五年で私は口数が少ないあの人の感情を少しは読めるようになっていた。

「気に入っていただけたようですね」

 私が問いかけると、あの人は素直にこくりと頷いた。
 持ってきた甲斐があった。私はそう思い、自分も酒を飲んだ。

 そうして何度か酒を口に運び、ほろよい気分になった私は、無口なあの人に一方的に話かけた。食堂で働いてる女の子が可愛くて人気があるとか、最近町でおいしい居酒屋が出来たとか、同じ寮室のやつの寝言が酷いとか、近々仲間の一人がプロポーズするかもしれない、とか。
 とにかく、どうでもいい他愛ない事を私はベラベラと喋った。
 あの人はただ相槌を打ち、時々「そうか」と答えてくれた。

 そして時間は過ぎ、程よく酔ってもっと口も軽くなった頃。
 お酒の力を借りて、ここに来た本当の目的を尋ねることにした。

「……隊長。陛下の容体が、あまりよろしくないと言うのは本当ですか?」

 私の問いにあの人の眉がピクリと動いた。そして誤魔化すことなく答えてくれた。

「ああ、そのようだ」

 その声色は実に硬いものだった。
 それも仕方ないだろう。最近、王室の動きが怪しくなっているのは王都に住む者なら誰でも感じ取っていた。

 王が死ねば、次の王が立つ。

 本来なら、長子が王位を受け継ぐものだが、残念ながら今の王には子供が沢山いる。そして何人かの子供は母親がそれぞれ名のある貴族の出なのだ。王位を欲する家は多いだろう。

 つまり冷静に考えれば、内乱になる可能性は十分にある、という事だ。

 私は自ら重苦しくしてしまった空気を払うように、酒を一口飲んだ。そんな私にあの人はぽつりと呟いた。

「私に力があれば……な」

 苦々しく呟いた言葉だった。
 そこで私は気が付いた。誰よりもこの事を重く受け止めているのは、彼なのだと。
 王族でありながら、その力を持たず、ただ見るだけしかできない。それがどれほど辛いのか。私はなんて馬鹿な事を聞いてしまったのだろう、とすぐに後悔した。

 だから、私はそれ以上の事は言えなかったし、聞けなかった。
 私達の間に、暫し重苦しい沈黙が落ちる。だけど、私は常日頃から思っていた疑問を口に出していた。力がないと言っても、王族な彼に。

「隊長……。隊長はどうして一度も俺達の前で偉ぶったりしないんですか。隊長だって王族じゃないですか。俺……ずっと疑問だったんです」

 私が尋ねるとあの人は少し驚いたように片目を見開いた。そしてすぐに柔らかに目を伏せた。

「偉ぶるか……。王族だからと言っても、私はただ名を連ねているだけだ。私自身が偉い訳ではない。この地位も王族だから、と言う事を加味して与えられたものだ。私の実力ではない。そもそも私は皆より年下だ。どうやって偉ぶるというのだ」

 困ったように笑い、私に言った。そして私は何も言い返せず、その時になってわかってしまった。
 異例の階級昇進に、それに対する部下の反発心。私がお飾りの隊長だと鼻で笑っていた事もきっとこの人は何もかもわかっていたのだと。
 でも何も言わずに、ただ努力を重ねた。

 そんな人を、何も知らなかったとはいえ昔の私は心の中で貶(けな)していた。そんな自分が酷く滑稽で、愚かで、恥ずかしかった。あの時の自分を殴りたい。なのに、そんな私に……。

「それに、こんな私が隊長としてやっていけているのは、部下の皆がよくやってくれているからだ。お前もな、セトディア」

 そう労ってくれた。

 どうして、そこまでできる? 私は平民で、あなたは王族だ。私は部下で、あなたは隊長。あなたはどうして権力や身分をひけらかさないんだ!

「そんな事ないです! あなたが隊長だからッ!」

 そこまで言って私は口を噤んだ。
 私や他の隊員が慕っているのは、誰でもない貴方だからです! そう言いたかった。

 だが、言葉にすると薄っぺらいものになる気がした。

 それにお飾りの隊長だと鼻で笑っていた私が言っても、信じて貰えるか不安に思った。ご機嫌取りで嘘を吐かれているんじゃないか、と私はそう思われたくなかった、どうしても。
 私は呼吸を整え、途切れた言葉の先を紡ぐようにぽつりと尋ねた。

「隊長はどうしてそうできるんです? 俺達に命令を下し、顎でこき使う事も出来るんですよ。貴方はそういう立場にいらっしゃる方だ。実際、他の貴族の士官方はそうされています」
「他所は他所だ。それとも私にも同じようにして欲しいのか?」
「それは!」

 違う! と目で訴えれば、あの人は困った視線を私に向けた。そして私よりずっと大人びた顔をした。私の方が年上なのに。

「セトディア。私が王族であり、お前が平民の出であること、これは変えようのない事だ。そしてお前の言う通り、私は立場上、皆に言葉一つで命じることもできるだろう。だが……それでいいのだろうか?」

 それは私に問いかける、というよりも自分自身に投げかける疑問のようだった。でも私はただ耳を傾けた。

「命令系統を明確にする為、上下関係は必要だ。しかし、いかなる立場、どんな状況であろうとも、相手に尊敬の念をもって接しなければ誰も人の話など聞かないだろう。例え私が王族であり、お前が平民であろうとも。……私はそう思うのだ」

 それはまさしく正論だった。でもそれを実行するのは難しいだろう。誰しもが、地位と権力を手にした途端、驕り、傲慢になる。
 だが、この目の前にいるこの人は言葉に違えず、それを実行している。我々をいつも尊重し、踏みにじったことなど一度もなかった。

 しかし……一体、何が彼にそこまでさせる?

「隊長……どうして、そこまで。なんで」

 思わず私が尋ねると、真っすぐとした片目の瞳がぶれることなくスッと私を見た。
 それは意志の強い、気高き眼だった。

「人は生まれる場所を選べない。だが、せめて生き方だけは正しくありたいと願う。……それだけだ」

 静かな、それでいて確かなしっかりとした声だった。
 それは小さくぽつりと呟いた言葉だったが、私にははっきりと聞こえた。
 私は酒に酔っていたのに、酔いが醒める面持ちだった。

 生き方だけは正しくありたい。

 この人が偉そぶったり、無茶な命令を私達にしないのは、この願いの、信念の為なのだろう。そしてこの願いの為に、自分を律し続けている。

「……隊長、貴方は」

 なんという人だろうか。
 私は何という人の部下になったのだろうか。
 驚き、戸惑い、嬉しさ、喜びに胸が震えた。
 でも、少々喋りすぎた、と言うようにあの人は空のグラスをテーブルに置いた。

「夜も更けた、そろそろ寮に戻りなさい。明日も厳しい訓練だ」

 隊長の顔に戻り、そう私に言った。
 私はただ「はい」と答え、部屋に大人しく戻った。でも私は寝台に横になり、天井を見上げながら、心に静かに決めた。

 何があろうとも、あの人の側に仕えようと。













 しかし、過ぎ行く日々の中で、私の予感は最悪な方に当たってしまう。
 先王が病で亡くなり、数日もしない内に内乱が勃発。
 その時、内乱に乗じた隣国からの侵略も同時に起こり、王位継承権を持つあの人は厄介払いのように上層部から最前線に送り出された。勿論、部下の私達も一緒に。
 敵の数は私達の部隊の数倍。立地も悪く、全滅は逃れられない戦況だった。

 死にに行く、と言っても過言ではなかった。

 しかし兵士は上に命令されれば、従わなければいけない。私達に拒否権はなかった。なにより、自分達が逃げたところで別の部隊が宛がわれるだけ。
 誰にも、どうしようもないことだった。

 しかし、そんな私達にあの人は頭を下げて謝った。自分のせいだと、額を床につけてまで。
 まさか、あの人がそこまでするとは思っていなかった私達は心底驚いた。けれど、その行為一つで私達の決意が一つに固まったのは言うまでもない。

 この人を必ず生きて帰そう、と。

 しかし戦地に赴く前に、私はある場所を訪れていた。


















「セトディア、必ず無事に帰ってきてね」

 戦地に赴く前、実家に戻った時、姉にそう言われた。
 私は答えられず、曖昧な表情しかできなかった。私が行くところは、死の確率が限りなく大きい戦場のど真ん中。安易に帰ってくる、などと口にできなかった。

「姉さんも気を付けて、最近は夜も物騒だから」
「わかっているわ」

 姉は頷いて言ったが、私は心配でならなかった。内乱は大きなものでなく、城内で静かに勃発しているものだったが、町の治安は悪くなる一方だったからだ。

 そして私の姉は美しい人だった。勿論、見た目も心も。

 早くに両親を亡くした私を、年が離れた姉は自分の事は二の次で育ててくれた。気さくで、誰にでも優しい、そんな自慢の姉は当然町では評判の美人だった。
 だから、どこかで姉を見かけた貴族が身分差もあると言うのに、求婚を申し出ていた。

「姉さん、あの貴族さんからの求婚、どうするの?」

 私は世間がこんな状況なのに、能天気に花を毎日送り届けてくる貴族に呆れつつ、テーブルに飾られた罪のない花を見て尋ねた。

「勿論、もう一度きちんと断るわ。私にはもったいないお話だから」

 姉はハッキリと言った。実は姉は、一度求婚を丁寧に断っているのだ。だが相手は聞く耳を持たず、姉は困り切っていた。
 だから私は「早く手紙でも書いて断るんだよ」とだけ言った。そんな私の苦言に姉は「ええ」と頷き、答えた。

 この時、私が姉と共に断りに行っていたのなら、と人生の中で、何度、幾度となく後悔しただろうか。

 でもこの時の私は、この先に待つ、恐ろしいほど残酷で容赦ない、非道な未来を知る由もなかったのだ。
 私は死んで姉と二度と会えないかもしれない、と思いながらも別れの挨拶を済ませ、家を出た。
 でも私達が再会した時、死んでいたのは姉の方だった。












 だが私はその事を知らずに、あの人と共に戦地に赴いた。

 激戦とも呼べる戦い。仲間のほとんどを失った。
 兵士の数も武器の数も兵糧も少なく、薬も限られた程度。
 死なない方がおかしい、という状況だった。それでも私は生き残った。勿論、あの人も。

 けれど戦死していった仲間の多くが、胸に潜めていたが決して今まで口には出した事のなかった願いを死に際にあの人に告げて逝った。

『隊長……どうか王に、なって……下さい』

『国、王になって、俺達の国を守って……』

『隊長……どうか、俺達の死を無駄にしないで下さい。王になって国を……俺の家族を守ってく、ださ……い』

 死に際と言うのは、何事も隠せないものだ。
 本当は誰もがあの人に王の才覚を感じていた。でも、口にするのはできなかった。本人が望んでいないと、皆、わかっていたからだ。でも思いをそのまま隠して死んでいくことはできなかったのだろう。

 あの人はその願いを聞き、仲間の死んだ身体を抱いて声もなく肩を震わせた。

 そして戦いを終え、私達は仲間の遺品と共に勝利を手に戻ってきた。失くしたものは多く、生き残ったのはあの人と私、そして両手で数えれるほどの仲間だけ。
 全滅しなかったのは奇跡とも呼べる。

 だが、私達が戻ってきても王位は未だに定まらず、タヌキの化かし合いといったような愚かな内乱が続いていた。
 そのせいで今まで何とか生活できていた民の暮らしは破綻し始めていた。どこから入ったのか、悪人による略奪行為や窃盗なども頻発しているようだった。
 少しの間、国元を離れていただけなのに。

 だが戦地から帰ってきた私に待っていたのは、追い打ちをかける苛酷な現実だった。

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