残虐王

神谷レイン

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残虐王

6 真実

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 しかし次の瞬間、大臣の取った行動は王もレスカチアも驚くものだった。

「陛下……明日には民が動きます。ですから、どうかこちらを持ってお逃げ下さい」

 大臣はそう言って王の愛刀を両手で差し出して言った。

「逃げろ……だと?」
「そうです」

 大臣は真っすぐに王を見て言った。しかし、それは王と大臣の間にあった計画と外れていた。

「……どういうことだ。いや、どういうつもりだ?」

 驚きを隠せない王が尋ねると、大臣はその場に跪き、ひれ伏した。

「陛下、……いえ、隊長。貴方はもうこの国に尽くされた。残虐王とそしりを受け、その命まで捧げようとして。けれど、もう良いのです」

 軍にいた頃のように呼ばれて、王は瞳を少し見開く。そして王も大臣の名を呼んだ。

「セトディア……」
「国を乱す王族をその手で粛清し、逼迫(ひっぱく)した国の財政を立て直す為に重税を課し……そして手打ちにしたのは悪行に手を染めた者達。全て、この国の為にされた事。隊長は我らの、戦いに散っていった仲間の願いを聞いてくださいました」

 大臣、いやセトディアは頭を下げたまま告げた。それは敬意を持っての事。

 そしてセトディアの脳裏には戦場での出来事が思い出されていた。

 十年前、先王が崩御した時、王位争いで国内で小規模の内乱が起きた。その際、他国に侵略されそうになり、軍の一部隊が国境の前線へ送り出された。
 その部隊を率いていたのは、王の部隊。そしてその中には若き日のセトディアもいた。

 セトディアは両親を早くに亡くし、一人残った姉に楽をさせようと軍に入隊した。しかし配属されたのは王が率いる部隊で、最初は王族の、お飾りの隊長だと思っていた。

 だが、自分よりいくつか年若い王とどれだけ手合わせしても勝てず、統率の取れた王の部隊はどの部隊よりも優れていた。

 その上、王は身分を笠に着ず、誰にでも公平で、指示はいつも的確だった。そんな人物に付き従わない者はいないだろう。誰もが王に上に立つ者の才覚を感じた。
 それは例にもれず、セトディアも。

 しかし、しばらくして先王が死に、内乱の最中、部隊は国境の最前線送りになった。王の部隊、というそれだけの理由で。
 その事で何度王から頭を下げられ、謝られた事だろう。だが誰も王を咎める事はなかった。

 例え、それが明日は命を落とすかもしれないという最悪の戦況でも、どちらにしろ誰かが国を守る為に前線へ立たなければならなかった。

 そして向かった戦場で激戦を迎え、王の指示により他国の侵略を完膚なきまでに叩きのめし、退けた。勿論、死んでいった仲間の数は多かったが、それでも全滅しなかったのは王の采配によるものだ。

 しかし、内乱がなければ他国に侵略されるような事も、戦いも激化することもなかっただろう。

 そして戦いの最中、死んでいった仲間達が王に願いを託した。

『隊長……どうか、俺達の死を無駄にしないで下さい。王になって国を……俺の家族を守ってく、ださ……い』

 そう何度同じ言葉を、同じ願いを、死んでいった仲間が告げただろう。血を吐き、腕や足を失った仲間が、息をゆっくりと引き取りながら、何度……。

 そして、その願いを一心に受け止め、隊長は王になった。

 同じ血を分けた兄姉達を屠り、腐敗した貴族達を罷免し、立ち行かなくなっていた国家財政を立ち直すべく自らの私財も投げうって。

 どうして、そんな人物に今度は死ねと言えるのだろうか。

 セトディアはもう我慢ならなかった。それが王の望むことであっても。

「隊長、もう充分です。これ以上、貴方の人生を犠牲になさらないで下さい」

 願うようにセトディアは言った。だが、王は何も言わない。困惑しているのが、気配で分かった。
 だからセトディアは続けた。

「隊長の願いは聞き入れられませんが、この後はどうぞ私にお任せください。……遠い日、私にしてくださった約束を隊長は果たしてくださいました」

 セトディアは伏せていた顔をようやく上げて、告げた。

「自分より美しいから、と言うだけで王女の命で殺された姉の仇を討って下った、この恩義……死すまで忘れません」

 セトディアはうっすらと涙の膜を張り、真っすぐな瞳で王を見つめた。
 それは最前線から戻ってきた時の事。

 セトディアの姉は、町でも評判のとても美しい女性だった。そしてある貴族の目に留まり、結婚を申し込まれていた。しかし、その相手は運悪く王女が憧れていた貴族の男だった。その事に嫉妬した王女はセトディアの姉を無残に殺した。

 暴漢を雇い、輪姦させ、嬲り殺し、町の片隅に裸のまま遺体を捨てたのだ。

 変わり果てた姉をみたセトディアが瞠目し、息を喉の奥で詰めたのは言うまでもない。
 見知らぬ男達に襲われ、体を暴かれ、顔が変わるほど殴られて、姉がどれ程の恐怖を味わったのか。更には死した後も裸で晒されるという恥辱にあわされ……。

 信じられない思いの後に、今まで感じたことのない灼熱の怒りがセトディアの全身に満ちた。
 それは拳を握っていた指先が、掌に食い込んで血が滴るのも気がつかないほど。

 そんな怒りにうち震えるセトディアに王は静かに、そして確かな声で約束してくれた。

『王家を粛清し、お前の姉の無念、そして仇を必ず私が取ろう。……だから、私の側で最後の時まで仕えて欲しい』と。

 それ以来、右腕として寝る間も惜しんでセトディアは王に仕えてきた。そして王は本当に約束を果たしてくれた。

 姉と同じ仕打ちを王女に味わわせて。

 例え、同じ目に遭わせたところで気が晴れるわけでも、姉が帰ってこない事もセトディアもわかっていた。
 だが、それでも心の奥に平穏が戻ったのは確かだった。

 もう誰かを憎むこともなく、恐れることもなく、これからはただただ姉の死だけを悼むことができる。
 それを与えてくれたのは誰もでもない王だった。

 そして、セトディアと一部の者だけが知っていた。

 わざと残虐王と呼ばれ、民からの不満を買い、最後の王として討たれるまでが、王が作り上げた筋書きだと。

 その昔、王はセトディアに言ったのだ。

『これからは王家が国を作るのではなく、民が国を作る時代だ。私は王家の者として最後の王となろう。……この命が役に立つのなら、生まれてきた価値もあろう』

 王はもう気がついていたのだ。王政制度は古いものだと。
 しかし、突然止めるわけにもいかない。そこで、革命を民自ら起こさせようと王は考えた。

 セトディアは王のその考えに賛同し、心からこの王に最後まで仕えようと思った。この高潔な人に。

 人は色々なものを欲する。
 お金、名誉、権力、それ以外にもいっぱい。でも、どれもあの世に持ってはいけないもので本当の価値などないものだ。

 だが多くの者は目先の事ばかりに囚われて、欲望のままにあれもこれもと求める。貴族はそんな者達ばかりで、その結果が腐敗した貴族社会だ。
 そして彼らが辿った末路は、言うに事を欠かない。

 誰に何を言われようと、自分の家族を養える程度の慎ましいお金と、名誉ではなく他を思いやる教養、どんな権力にも揺るがない心を持つ事の方がどれだけ素晴らしいか。

 しかし、そんな風に思える人間は数少ない。

 でも、この目の前にいる王はそんな人なのだ。

 王になった後も変わることなく、慎ましい生活を続け、権力を必要以外では絶対に振りかざすことはしなかった。

 なぜ、そこまで自分を律せれるのか。

『人は生まれる場所を選べない。だが、せめて生き方だけは正しくありたいと願う』

 酒を酌み交わした時、ぽろりと王がこぼした言葉。
 それは願いであり、本音だった。

 だからこそ、本当の王の器を持つこの人に全てを捧げようとセトディアは思えた。

 そして、その王の望むように民達をけしかけ、革命軍を密かに作り、王を討つ算段を取り付けた。明日には民がなだれ込み、城を包囲するだろう。王の首を掻き切って、国民が自らの力で権利と自由を手に入れるのだ。

 その後の算段もセトディアは任されていた。今後、民主政治が根付くまで、平民出のセトディアが統率して国を導くようにと。

 でも、その事を誰も知らない。

 真実を知る者はセトディアと軍時代から王の部下であった数人の者達だけだ。

 しかし、もうこれ以上、王を犠牲にすることはできなかった。

 王族でありながら幼い頃から迫害を受け、軍では王族である事から敬遠され、今は王族であるから殺されようとしている。そしてそれを本人も望んでいる。

 だが、どうしてそんな事が許されようか。

 誰がこの人を裁く権利があると言うのだ。誰よりも正しきを求めてきたこの人を。

「隊長、お逃げ下さい。ここは貴方の死に場所ではない」

 セトディアは再び頭を下げて告げた。
 そのセトディアの告白に王は動揺するしかなかった。

「セトディア……しかし」
「隊長に似せた遺体をもうすでに用意させております。ですから、何も心配せずにお逃げ下さい。隊長は自分達に平穏と希望を与えて下さいました。だから……隊長はもう自由になって下さい」

 セトディアの言葉は力強いものだった。

 そして、自由という言葉が王の心を揺さぶった。それは今まで、誰からも一度も与えられなかったものだった。身分も人生も、何もかも。

 それにこれほどまで確信を持っていうセトディアに間違いはないだろう。戦場でも、城の中でも、今までそうだったのだから。
 王はセトディアだからこそ、死んだ後も任せられると踏んで頼んだ。それほどまでに信頼できる男がいうのだから間違いはない。

 しかし、王は言わずにはいられなかった。

「セトディア、お前が言うほど私はそこまで高潔ではない。血を分けた兄姉達を殺したのは、復讐もあったからだ……だから」
「本当にそれだけですか? 国を乱し、仲間を死に追いやり、民に苦難を与えたからでは?」

 セトディアは言った後、顔を上げ、射抜く様な目で王を見つめた。その目は全て見透かしているようだった。だから、王は否定も肯定もしなかった。

「お前の思うようにすればよい」

 少し困ったように言い、そんな王の手をレスカチアはそっと握った。

 ちらりと見れば、レスカチアはにこりと笑っていた。その笑みは、良かったね、と言っているようだった。そして、王はその手を握り返した。

 もうきっとこの国は大丈夫だろう、そう思えたから。

 もう自分は必要ないのだ。

「セトディア」
「はい」
「お前には感謝する」

 王が告げるとセトディアは「では!」と期待の目を向けたが、王は断った。

「お前の用意してくれた逃げ道は使わない。しかし私には行くところがある」
「……行くところ?」
「ここより遥か遠い場所だ」
「遠い場所……」

 セトディアの表情は不思議そうだった。だが王は多くは言わなかった。

「あとは任せる」

 ただ一言、その言葉をセトディアに告げた。
 その言葉を聞いて、セトディアも多くは聞かなかった。

「はっ」

 それだけでよかった。同じ戦場を生き延び、魔物が住む魔窟のような城内を一掃し、命を、苦楽を共にしてきた二人にもう言葉はいらなかった。

 王は初めて肩の力を抜いて息を吐き、それからじっと待ってくれていたレスカチアに視線を向けた。

「僕と共に行ってくれるんだね。……怖くないかい?」

 レスカチアは優しく問いかけた。だが王に恐ろしさなどなかった。

「お前が傍にいてくれるなら、どこにでも行こう。もう私を縛るものは何もない」

 王はそうレスカチアに告げた。その言葉にレスカチアは陽だまりのように、にっこりと笑った。
 だが、レスカチアが見えないセトディアは突然独り言を言い始めた王に「隊長……?」と怪訝な顔を見せた。

 しかし王の視線はセトディアではなく、何もないどこかを見ていた。そしてその視線の先にいるレスカチアは王の手をしっかりと握った。

「共に行こう、ローアン」

 レスカチアに名前を呼ばれ、王は自分の名前を思い出す。

 ……私の名前。何年ぶりに呼ばれただろうか。

 胸のくすぐったさに王は笑った。そして、自分を呼ぶようにどこからともなくチェインの楽し気な鳴き声が聞こえてきた。早く来い、と急かしているようだ。
 だから、王はセトディアに視線を向けた。

「さらばだ、セトディア」

 それが王の最後の言葉だった。
 とても晴れやかな声で。

 しかし困惑するセトディアが声をかけようとした時、突風のような風が吹いた。セトディアは思わず目を瞑り、すぐに目を開けたが、そこには目の前にいたはずの王の姿はどこにもいなかった。

「……隊長?」

 戸惑うセトディアの声が辺りに響く。
 しかしセトディアはすぐ側にある建国碑を見て、ハッとした。

 初代王は目に見えないものを見て、その力でこの地の神と契約を交わし繁栄をもたらした。その初代王と同じ黒髪に漆黒のような瞳を持っていた王。

 もしかしたら、そうなのかもしれない。

 思い返せば、王と共にいて不思議なことは何度かあった。
 戦いの中、敵の陣地で土砂崩れが起こって敵兵の数が減ったり、野営していた時に熊が入り込んだが人を襲うこともなく去って行ったり、王が誰かの報告を聞き、敵の奇襲から免れたことも。

 ただ聞くだけでは普通のことかもしれない。
 だが、タイミングよく敵の陣地で土砂崩れが起こるだろうか?
 冬眠明けの腹を空かせた熊が、人を襲わずに出ていくだろうか?
 奇襲の報告だって、確認をどれだけしても誰もそんな報告は王へしていななかった。

 そう言うことが、今まで何度かあった。
 その度におかしいな? とは思っていても深くは考えなかった。しかし、これがその答えではなかろうか?

 そういうことだったのか……。

 セトディアはただその場で平伏して、尊敬と感謝を胸に抱いた。そして願いも。

 どうか王のこれからが穏やかである事を、と。






















 それから翌日、民が城を包囲し、王は討たれた。
 そしてセトディアが初代大統領になり、国は完全に王政・身分制度を廃止。

 王が汚職や賄賂で腐敗した貴族官僚を一掃していたおかげで行政は正しく機能し、重税で、特に貴族からたんまりと得られたお金で国境を強化。福祉も手厚くなり、お金は民に還元された。

 おかげで民主主義になって、国は数十年で他国よりもずっと栄えることになった。

 なにより、王を討ったことでセトディアは革命の父と呼ばれ、民の厚い信頼を得て、国は民主主義に変わっても混乱することはなかった。

 だが、王がそうなることも予想して、あえて残虐王を演じていた事を民は知らない。

 しかしながら、そんなことをセトディアが告白すれば、国を揺るがす問題になる。だから彼は生きている間は決して、その事を口にはしなかった。

 しかし、セトディアは信じていた。

 自らが口にしなくても、真実は明らかになる時が必ず来ると。





































「ねぇ、ママ。この人、何した人なの?」

 小さな女の子が繋いでる手をくいくいっと引っ張って、母親に尋ねた。

「この人はね、残虐王と呼ばれたこわーい人よ。でもね、本当は誰よりも国民の事を考えた人なの。この人がいたから、私達の国は今も平和なのよ」
「すごい人なの?」
「ええ、そうよ。そしてね、これは内緒だけど。貴方にもこの人と同じ血が流れているのよ」
「このおじさんと??」

 女の子が尋ねると母親はにっこりと笑った。

「この人はね、自分以外の王族はみーんな殺したって事にして、王様制度をやめさせたの。でもね、残虐王の兄姉のまだ小さな子供達は逃がしたり子供のいない夫婦に預けて隠したりしたの。それが私達の三世代前のおばあ様よ」
「おばあちゃん?」
「ええ……さすがに何も知らない子供は殺せなかったのでしょうね」

 母親は呟くように言い、町の真ん中に建てられた銅像を眺めた。
 それは町を見渡すように立つ大きな残虐王の銅像だった。

 セトディアが初代大統領になり、そして死して数百年後。

 残虐王と呼ばれていた王の真実が明るみになり、尊敬と感謝を込めて王の銅像が町の真ん中に建てられていた。

 そして不思議な事に、その銅像の傍には季節関係なくいつだってレスカチアの花が咲き誇っていた。
 それはまるで寄り添うように。





 おわり




****あとがき******


明日はセトディアSIDEのお話を投稿します。
全四話、二話ずつ投稿予定です。
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