残虐王

神谷レイン

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残虐王の側近

4 革命日

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 ーーーーピーチチッ、と鳥が囀り、穏やかな光が差し込む部屋の中に、一人の老人がいた。
 その老人には穏やかさと同時に寛大さを感じる老年の皺がしっかりと肌に刻まれており、瞳は賢者を思わせる知性と思慮深さがあった。
 しかし彼は陽気な天気に目を細め、思いを馳せた。

 ……あれがもう四十年以上前のことか。

 私は用意された部屋で椅子に座り、一息ついて思った。
 今日は革命を祝うお祭りで、外は賑やかしく、陽気な音楽と人々の声が遠くなったはずの耳に届いていた。

 ……すっかりこの国も豊かになったものだ。

 聞こえてくる音楽を耳に、思い出す。
 あれから身を粉にして働き、私はこの数十年でこの国を他国にも劣らない強国にまでのし上げた。死んでいった仲間、あの人に恥じない国にする為に。

 そして私は初代大統領に就任し、いつしか革命の父と呼ばれるようになった。あの人に国を導くようにと言われたからだ。とはいっても国の最高責任者の地位に数十年座ることになろうとは思わなかったが……。

 勿論、その地位を退くまでは平民出の私なぞが、と思った。革命の父などと呼ばれることに今でも違和感を覚える。しかしながら人に望まれる以上、それに応えたいとも思う。
 望まれている内は。

 ただ……何度も自分の心が囁く。

 私ではなく、あの人が残虐王ではなく、正統な王として王位に就いていれば、もっと違うようにできたのではないのだろうか? 私よりもっと良い国にできたのでは? と。

 あの人の知性、慧眼、王に相応しい器。

 全てが私を凌駕し、私があの人に敵うところなど年上という事だけだった。
 でも、わかっている。それは、夢のまた夢の話なのだと。

 どれだけないものを強請っても、今あるものでなんとかしなければならないのだ。生きていくとは、そう言う事なのだから。

 勿論、思い返せば後悔は山のようにある。

 あの時、ああしていればよかった。こうしていればよかった。あの人ならきっとこうしただろう。もっとうまくやっただろう。そう幾度となく思った。
 けれど私はいつだって、その時の最善を尽くしてきた。だから後悔はあっても、これまで恥じた事は一度もない。それも、あの人がそういう生き方を私に教えてくれたからだ。

 あの人と同じように、生き方だけはいつでも正しくありたいと願い続けたおかげで、今の私がいる。そして今の私は自分の事を、あまり嫌いではない。だから真っすぐと前を見ていられる。

 そして私自身、自分をこうして律し続ける事が出来たのは、あの人がどこかで今のこの国の姿を見ているかもしれない、と思ったからだ。

 あの時、風と共に姿を消したあの人。

 あの人は私に『任せる』と言ったのだ。その言葉に私は応えたかった。
 でも、私は本当に応えられているのか、あの人に聞きたかった。それもまた無理な話だとは分かっていても昔のように。

『隊長、俺はちゃんとできてますか?』と……。

 そう思いつつ、私は暖かな陽気に誘われるようにゆっくりと目を閉じ、ゆっくりと呼吸を吐いた。























「……ディア、セトディアッ」

 不意に名を呼ばれて、ハッと目を開けると一人の青年が私の前に立っていた。
 どこかで見たことのある顔だ、と私は見上げて思う。
 そして、ついうたた寝をしてしまったようだ。

 しかし……彼は誰だろうか? 私を名前で呼ぶ者は今はもういない。なら……?

 疑問に思う私に対して青年は呆れた顔を見せた。

「こんなところで寝て、相変わらずどこでも寝る癖は変わっていないようだな」

 そう青年は私を知っている口ぶりで言った。だけど、私は彼の言葉を聞きながら、頭の中では彼が誰なのか探していた。どこかで見たことがあるのに、思い出せない。
 そんな私の考えを読んだのか、青年は今度は小さなため息を吐いた。

「私の事を忘れてしまったのか? まあ、仕方ないか。では、こうしよう」

 そう言うとコホンっと咳をして声を張った。

「セトディア二等兵!」

 ビシッとした声で言われて、私はまるで脊髄反射のようにぴょんっと椅子から立ち上がり、背筋をピッと正した。
 まだ軍に入ったばかりの頃、あの人に何度もこうして名前を呼ばれ、直立の姿勢であの人の前に立った。まさに三つ子の魂百まで、とはいかないが、昔の癖は抜けない。

 しかし、その呼び方のおかげで私ははっきりと思い出した。目の前にいる青年が、私があの人と出会った頃と同じ姿をしていると。
 右顔半分を隠すように黒の前髪を伸ばし、左の黒い瞳で私を見る姿。服装は随分とラフなものだったが、その居住まいは変わっていなかった。

「た……隊長?」
「やっと思い出したか」

 ふっとあの人は笑った。
 その笑みに私は懐かしさを感じる、と同時に不安が胸に沸き上がった。

 なぜ今、現れたのか。私のやり方に問題があったのか? 何か、ダメだったのだろうか?

 お叱りを受けるのではないだろうか、と私はあの人を前に少し不安に思った。けれど、私の予想は大きくずれた。

「セトディア、お前には礼を言う」

 まさかの言葉に、私はえ? とあの人を見た。

「お前に任せたのは、やはり間違いではなかった。心から礼を言う、セトディア」

 あの人は深々と私に頭を下げ、お礼を口にした。
 なんと言う事だろうか。あの人が頭を下げるなど!

「や、やめてください! 隊長! 頭を上げて下さい!!」

 私は慌てて言った。そんな私を見て、あの人は頭を上げた。

「そう言うところも、歳を取っても相変わらずだな。お前は」

 あの人は堪らず、と言った様子でくすっと笑った。
 それは年相応の青年の笑顔で、初めて見るあの人の屈託ない笑いだった。

 ……ああ、この人はこんな風に笑うのだな。

 私はそう思った。生まれた時から苛酷な立場にいて、いつも自分を律していたこの人の、何からも解放された笑顔を生前見る事は一度もなかったからだ。
 でも今、この人を縛るものは何もない。今の笑顔はそれを表しているようだった。
 そして、私はその笑顔を見れて嬉しかった。彼は今幸せなのだとわかったから。

「さて、セトディア。気が付いていないようだが、何かおかしなところはないか?」
「え?」

 問いかけられて周りを見る、けれど何もおかしなところはない。と思ったが自分のすぐ傍に、椅子に座ったままの私がいた。

「え? ええッ?!」

 驚いて思わず声を上げてしまった。

「た、隊長! わ、私がそこに!」

 そう答えたが、気が付けばその声もどことなく若く張りがあるような気がした。ハッとして自分の手や体を見ると隊長だけでなく、私自身も若返っていた。
 そこでようやく私は気が付いた。

 なぜ、隊長が見えるようになったのか、私の元に現れたのか。

「私は……死んだのですね」

 私はぽつりと呟くと、隊長は何も言わずに微笑んだ。それこそが肯定だった。

「そうか、死んだのか」

 幸い私には家族はなく、妻も子供もいなかった。愛したのはたった一人だけ。
 だから、心配することも後悔もなかった。革命の父と言う名は頂いているものの、国はもう私の手を離れ、動き出している。これから若い者たちの時代、今日も隠居先から革命祭の挨拶にわざわざ呼ばれたぐらいだった。
 老いぼれ一人が死んだところで、どうという事はないだろう。周りは少し騒ぐかもしれないが。

「今までご苦労だった。セトディア」

 あの人は労うように私に声をかけた。でも、私は首を横に振った。

「いえ、隊長が良きように計らってくださったおかげで後は簡単でしたよ」

 残虐王として生きてくれた隊長。腐敗した貴族や王族を一掃してくれたおかげで国の舵取りは難しくはなかった。
 しかし彼は笑った。

「お前だからこそ出来た事だ、私はそう思う」

 力強く言われて、私は年甲斐もなく照れくさくなってしまう。こんな風に褒められてしまうと。

「いえ、私は……」
「私はよい部下を持った」

 あの人は微笑んで言い、私は思わず口にしそうになった。

 それは貴方が良い上司だったからですよ、いい土の元にはよい草木が生えるものです、と。

 でも言っても謙虚なこの人は否定するだろう。だから私は微笑み返すだけにした。

「さて、そろそろ行かなければ怒られてしまうな。お前との話は手短に、と言われているんだ」

 あの人は困ったように腰に手を当てて言い、私は首を傾げる。

「怒られる? 一体、誰にです?」
「ああ……。まあ、すぐにわかる」

 あの人は含んだ笑いをして私を見た。

 ……なんだろうか?

 そう思ったが、どこからかキャンキャンッと子犬の鳴き声がした。見ると部屋のバルコニーに茶色の子犬がいる。そして薄いレースカーテンの向こうに誰かがいた。
 ふわふわと風に揺れる金髪がちらりと見える。

「私にも迎えが来たようだ。どうやら祭りを待ちきれないらしい」

 あの人はバルコニーを見ると柔らかに笑って呟き、そして私に別れを告げた。

「セトディア、ありがとう。……幸せにな」

 それだけを言うと、あの人はバルコニーに向かった。
 私は『あ、隊長!』と声をかけようとしたが、そんな私の肩を誰かが掴んだ。その事に驚き、一瞬視線を外したが私はすぐに視線を戻した。しかしあの人の姿は忽然と消えていた。子犬ともう一人金髪の誰かも一緒に。

 ……隊長は一体、どこに。

 そう思ったが、私の後ろから声が降ってきた。

「行かせてやれ」

 肩を掴まれた事にも内心驚いていたのに、後ろから聞こえた声に私はもっと驚いた。
 だから目を見開き、ゆっくりと振り返った。でもそんな私を相手の方が早く抱きしめる。ぎゅっと体を密着させ、隙間なく私を力強い腕で。

「全く。……長生きしろと言ったが、俺をいつまで待たせる気だ。セト」
「っ!」

 懐かしい声、懐かしい体、懐かしい匂い。私は息を飲み、身体を震わせた。私は一瞬で彼が誰だかわかったから。
 私は自然と涙を溢れさせ、彼の背中にぎゅっとしがみ付いた。

「長生きしろっていったのは、お前だろ。相変わらず自分勝手な男だ」

 私は昔と変わらない憎まれ口を言った。でもそうすれば、彼は喉の奥で笑った。私の一番好きな彼の笑い方で。

「それでも俺が好きだろう? セトディア」

 自信満々に言われた。でも私は言い返せない、だって今でも彼を心から愛している。

「今日のセトはなんだか素直だな。年を取って丸くなったか?」

 からかわれるように言われて、私は「うるさぃ」と小さく涙声で答えた。すると抱き合っているせいで彼の顔が見えないのに、彼が笑ったのがわかった。

「やっぱりセトはセトだな」

 彼はそっと体を離し、優しい眼差しで私を見る。久しぶりに見る愛しい顔。
 彼も私と同じように若返り、あの人に扮する為に作った顔の火傷はなく髪の色も昔に戻っていた。
 私はその顔を見つめ、長年思っていたことがハッと喉の奥まで出かかる。

『お前にずっと聞きたかったことがある。お前はあの人を自由にする為に死を選ぶと言ったが……本当は、俺にあの人を討たせない為に、誰かをもう殺させない為に死を選んだんじゃないのか?』

 彼が亡くなり、あの人も姿を消して、しばらくしてから私はその事に気が付いた。

 黒い瞳はこの国にはほとんどいない。私を含め、国民のほとんどが茶髪に茶色の瞳だからだ。珍しくても異国の血が混ざった緑や青の瞳を持つ者ぐらい。だから、彼が身代わり役を引き受けなければ、あの人を討つか、代わりの者を身代わりに探さなければいけなかった。
 そして、この手で殺さなければいけなかったのだ。けれど彼が身代わりを引き受けてくれたおかげで、私の手は血に濡れる事はなかった。

 身代わりを引き受けた彼の遺体を王の寝室に運び、死んでいる王を見つけ、彼の首を刎ねる事ができなかった私は嘘を吐いた。王は私たちの手で討ち取った事にするように、と革命軍のメンバーに言い含めたのだ。勝利を自分たちの手で勝ち取ったのだと、民に思わせる為に。

 その後、遺体を葬ったと見せかけて彼の遺体はひっそりと我が家の墓に埋葬した。

 その時の私はわからなかった。でも今になって思う。

 彼が死を選んだのは、自分の為だったんじゃないかって。だから……。

「なぁ」
「ん?」

 呼びかけた私に彼はすぐに返事をした。微笑み、私が問いかけるのを待っている。
 でもその顔を見ていたら、私の想いは喉の奥にまた引っ込んだ。
 きっと聞いても、彼は本当の事は言わないだろう。こいつはそう言う奴なのだ。そして、私はそういう所を好きになったのだ。

 暑い日差しを遮る、木漏れ日みたいな優しさを持つ彼を。

「いや、なんでもない」

 私が言うと彼は「気になるな」と呟いたが、すぐに「まあいいか」と言って私に微笑んだ。

「もうこれからはずっと一緒だからな」

 彼の言葉に私は胸が震えた。もう生きる辛さも何かを失う悲しさも必要ないのだ。彼がこれからは傍にいる。

 これ以上、何を求めることがあるだろうか?

 私は笑いながら涙を零し、声を上げた。

「ああ!」

 そうして老いた身体を置いて、魂だけになった私は彼と共にこの世界を旅立った。

 幸福な気持ちを抱えてーーーー。



















 暗く冷たい時代を生き、波乱万丈な人生を送った革命の父・セトディアは、革命祭の日に亡くなり、国民の多くが彼の死を嘆いた。

 彼の葬儀は国葬として大々的に国を挙げて行われ、多くの者達が彼に花を手向けた。そして生涯伴侶を持つことなく、独身を貫いたセトディアはまさに国に身を捧げた偉人として、没してからも国民から長く尊敬の念を抱かれた。

 それは数百年後、残虐王の真実が明らかになっても。
 彼は革命の父として残虐王の物語と共に、長く親から子に語り継がれたのだったーーーー。




 おわり


***あとがき***


明日からはレスカチアSIDEのお話になります。
『残虐王』『残虐王の側近』より、ちょっと長いお話になります。
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