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第五章「告白は二人っきりで!」
14 迷子
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――だがその後、姉ちゃん(ランネット様)に来客があって話は一時中断。俺はすみやかに退室することになった。そして客室に戻れば、椅子に座って待っていたレノがすぐさま立ち上がって俺を出迎える。
……なんだか犬みたいだな、いや蛇だけど。
「おかえりなさい、キトリー様」
「んー、ただいま」
俺は返事をしながらドアを閉める。
「ランネット様とのお話はいかがでした?」
「まあ、色々と聞いてさらに内情が複雑なのが分かったよ」
俺はため息交じりに答え、そしてレノに複雑すぎる内情を教えた。
エンキ様とナギさんの事、枢機卿達や現れた娘の他にエンキ様排除を狙う者達の事を。
そして、その話を聞きながら俺にお茶を淹れてくれたレノは珍しく顔を引きつらせた。
「……それは、困った状況ですね」
レノは紅茶の入ったティーカップを差し出し、俺に言った。
「ありがと。でも本当に困った状況だよ」
俺は淹れてくれた紅茶をズズッと飲む。本日も俺好みのミルクティーだ。はー、癒される。でもそろそろココアが飲みたい気分。
そんな事を思いながらくぴくぴと飲む俺。だがその横でレノはだんまりとした、なにか神妙な顔で。
「どったの?」
俺が声をかければ、レノは歯切れ悪く「いえ」と答える。珍しい反応に俺は首を傾げた。
……どーしたのかしら? 何か悩み事?
「あの、キトリー様」
「んー?(お、話す気なったのか?)」
「もし、本物の皇女様の子供が見つかったらどうしますか?」
思わぬ問いかけに俺は「へ?」と間抜けな返事をする。
……本物の皇女様の子供って。それってどういう意味だ?
まるで現れた娘が本物ではなく、別の場所に本物の皇女様の子供がいるかのような発言。
「ど、どうするって……レノ、何か知ってんの?」
「いえ、聞いてみただけで」
レノは何か言いたげな顔で答えた。でもその顔は聞いてみただけって感じじゃない。
……え、まさかサラおばちゃんがマジに皇女様だって路線か!?
俺はレノをじぃっと見つめる。そうすればレノはすっと視線を外した。
「昼食がまだでしたね。厨房の方へ行って、頂けるか聞いてきます」
「お、おぅ」
俺が返事をするとレノはそそくさと部屋を出て行った。
……え、レノちん。マジでサラおばちゃんが皇女様で、とかいう話じゃないよね??
俺はレノの後姿を見送りながら、心の中で思ったのだった。
―――そして、その頃ランネット(蘭子)と言えば、大神殿内のある場所へと赴いていた。そこは歴代皇族の絵が掲げられている絵画の間で、数ある絵の内の一つをランネットは一人じっと見つめていた。
しかしそんなランネットに気軽に声をかける人物が……。
「ランネット、またここにいたんだ」
「あら、アシュカ」
二人の聖人は互いの名を呼んだ。二人とも子供の頃に力が発現し、それ以来この大神殿で暮らしているので幼馴染のような関係だった。
「皇女様の絵を見てたの?」
「ええ。……皇女様がここにいたらエンキ様のことをどう思うかと思って」
ランネットは絵を見上げながら呟いた。そこには茶髪に琥珀色の瞳を持つ少女が描かれ、少女はにっこりと微笑んでいた。
「皇女様か。あの子は本当に皇女様の娘なんだろうか」
皇女の娘を語る少女を連れてきたアシュカも絵を見ながら、小さく呟いた。
そしてキトリーがこの絵を見るのは、もう少し後になってからになる――――。
◇◇◇◇
――――その後。俺はレノが運んでくれた昼食を食べ、あっと言う間に時間が過ぎて夕暮れ時を迎えていた。
けれど図書室で借りた本を返しに部屋を出た俺は大神殿の中でひとり、迷子になっていた。
「やべぇ、道わかんねぇ」
……本を返しに行くって言った時、付いてくるって言ったレノを断らなきゃよかった~。思えば今まで部屋から出た時は神官さんかレノがついてたから、あんまし道覚えてなかったー。どうすっかなぁ。
もう来た道も覚えていない俺はウロウロと目の前に続く道をとりあえず歩く。でも、なんだかどんどん部屋から遠ざかっている気配。そしてこんな時に限って誰も通らない。
……遭難した時もその場から動かない方がいいっていうから、動かない方が良かったか? でも、じっとしてるのもなぁ。
そんな事を思いながら頭をポリポリと掻く。すると、暗がりの向こうからのっそりと歩いてくる影が近づいてくるのが見えた。それはまるで幽霊のようで、俺は思わず「ひっ!」と声を上げる。
……大神殿って建物が古いからやっぱりそーいうのが出るのか!? ひぇっ!
一瞬肝を冷やす。けど、幽霊は俺に声をかけた。
「おや? キトリー君じゃないか。こんなところで何をしてるんだい?」
穏やかな声で俺に言い、姿を現したのは幽霊じゃなくてエンキ様だった。
ほっ。
……なんだか犬みたいだな、いや蛇だけど。
「おかえりなさい、キトリー様」
「んー、ただいま」
俺は返事をしながらドアを閉める。
「ランネット様とのお話はいかがでした?」
「まあ、色々と聞いてさらに内情が複雑なのが分かったよ」
俺はため息交じりに答え、そしてレノに複雑すぎる内情を教えた。
エンキ様とナギさんの事、枢機卿達や現れた娘の他にエンキ様排除を狙う者達の事を。
そして、その話を聞きながら俺にお茶を淹れてくれたレノは珍しく顔を引きつらせた。
「……それは、困った状況ですね」
レノは紅茶の入ったティーカップを差し出し、俺に言った。
「ありがと。でも本当に困った状況だよ」
俺は淹れてくれた紅茶をズズッと飲む。本日も俺好みのミルクティーだ。はー、癒される。でもそろそろココアが飲みたい気分。
そんな事を思いながらくぴくぴと飲む俺。だがその横でレノはだんまりとした、なにか神妙な顔で。
「どったの?」
俺が声をかければ、レノは歯切れ悪く「いえ」と答える。珍しい反応に俺は首を傾げた。
……どーしたのかしら? 何か悩み事?
「あの、キトリー様」
「んー?(お、話す気なったのか?)」
「もし、本物の皇女様の子供が見つかったらどうしますか?」
思わぬ問いかけに俺は「へ?」と間抜けな返事をする。
……本物の皇女様の子供って。それってどういう意味だ?
まるで現れた娘が本物ではなく、別の場所に本物の皇女様の子供がいるかのような発言。
「ど、どうするって……レノ、何か知ってんの?」
「いえ、聞いてみただけで」
レノは何か言いたげな顔で答えた。でもその顔は聞いてみただけって感じじゃない。
……え、まさかサラおばちゃんがマジに皇女様だって路線か!?
俺はレノをじぃっと見つめる。そうすればレノはすっと視線を外した。
「昼食がまだでしたね。厨房の方へ行って、頂けるか聞いてきます」
「お、おぅ」
俺が返事をするとレノはそそくさと部屋を出て行った。
……え、レノちん。マジでサラおばちゃんが皇女様で、とかいう話じゃないよね??
俺はレノの後姿を見送りながら、心の中で思ったのだった。
―――そして、その頃ランネット(蘭子)と言えば、大神殿内のある場所へと赴いていた。そこは歴代皇族の絵が掲げられている絵画の間で、数ある絵の内の一つをランネットは一人じっと見つめていた。
しかしそんなランネットに気軽に声をかける人物が……。
「ランネット、またここにいたんだ」
「あら、アシュカ」
二人の聖人は互いの名を呼んだ。二人とも子供の頃に力が発現し、それ以来この大神殿で暮らしているので幼馴染のような関係だった。
「皇女様の絵を見てたの?」
「ええ。……皇女様がここにいたらエンキ様のことをどう思うかと思って」
ランネットは絵を見上げながら呟いた。そこには茶髪に琥珀色の瞳を持つ少女が描かれ、少女はにっこりと微笑んでいた。
「皇女様か。あの子は本当に皇女様の娘なんだろうか」
皇女の娘を語る少女を連れてきたアシュカも絵を見ながら、小さく呟いた。
そしてキトリーがこの絵を見るのは、もう少し後になってからになる――――。
◇◇◇◇
――――その後。俺はレノが運んでくれた昼食を食べ、あっと言う間に時間が過ぎて夕暮れ時を迎えていた。
けれど図書室で借りた本を返しに部屋を出た俺は大神殿の中でひとり、迷子になっていた。
「やべぇ、道わかんねぇ」
……本を返しに行くって言った時、付いてくるって言ったレノを断らなきゃよかった~。思えば今まで部屋から出た時は神官さんかレノがついてたから、あんまし道覚えてなかったー。どうすっかなぁ。
もう来た道も覚えていない俺はウロウロと目の前に続く道をとりあえず歩く。でも、なんだかどんどん部屋から遠ざかっている気配。そしてこんな時に限って誰も通らない。
……遭難した時もその場から動かない方がいいっていうから、動かない方が良かったか? でも、じっとしてるのもなぁ。
そんな事を思いながら頭をポリポリと掻く。すると、暗がりの向こうからのっそりと歩いてくる影が近づいてくるのが見えた。それはまるで幽霊のようで、俺は思わず「ひっ!」と声を上げる。
……大神殿って建物が古いからやっぱりそーいうのが出るのか!? ひぇっ!
一瞬肝を冷やす。けど、幽霊は俺に声をかけた。
「おや? キトリー君じゃないか。こんなところで何をしてるんだい?」
穏やかな声で俺に言い、姿を現したのは幽霊じゃなくてエンキ様だった。
ほっ。
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