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第五章「告白は二人っきりで!」
20 力の発現
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――――それは俺が三歳の頃。
「うーん、てんしぇいものっていえば、ちーと能力だよなぁ。おりぇにもないのかにゃ?」
前世の記憶が戻った俺は広い庭で散策中、不意にそんな事を思った。そしてしばらく小さな手を顎に当てながら考え、試しに手を伸ばして色々叫んでみることにした。
「みじゅよ、いでよ!(水よ、いでよ!)」
「さらまんだー!」
「ちちんぷいぷい!」
「エロイム・エロイ! ……ん? なんかちがうよーな??」
知ってる限りの呪文を唱えてみるが何も起こらない。
……やっぱ、魔法みたいな力はないかー。ま、良い両親の元に生まれて、いい兄を持てたってとこですでにチートみたいなもんだし。
俺はそう思いつつも、最後に思いついた呪文をもうひとつだけ叫んでみる。
「しゃんだーぼりゅと!(サンダーボルト!)」
そうすればバチバチッと音がしたと思ったら指先から電撃が飛び、目の前の木に当たった。被雷した木の一部は焦げ、プスプスと少し煙が出てる。
「ほぉぉぉぉぉっっ!?!?」
自分で雷を出しておきながら俺は驚きのあまり声を上げる。
……え、今のって俺が出したの?! すご、すごくない!?
俺はてててっと雷が当たった場所に行き、思わず眺める。そこはしっかりと焦げていた。
「ふぅえ~!」
俺は感嘆しながら自分の小さな手を見つめる。そしてにぎにぎっと手をグーパーするがなんともない。
……これこそ転生チートってやつか!? ひょぉー!
俺はひとりで興奮するが、突然後ろから声をかけられた。
「今の、なんですか?」
「ひょっ!?」
俺は驚きに肩を揺らし、振り返ればお子様レノがそこにいた。いつの間に!
「なんですか、今のは」
「あ、れ、れのきゅん……今の見ちゃった?」
俺が尋ねればレノはしっかりと頷いた。
「なんですか、イ・マ・ノ・ハ!」
「あ~、え~っちょ、わかんないっだっちゃ?」
俺は首をこてんっと傾げて可愛く誤魔化したが、レノに通用するはずもなく。
結局、俺とレノはこの秘密を共有することになり、後にこの力が聖人の力だという事が判明。
しかしこの事が大人に知られれば神聖国に行かなければならないと知って、俺は黙ることを選択、それをレノにも強制した。
……だって、だって、神聖国に行っちゃったら俺のイチ推し・ヒューゴとフェルナンドCPが見れなくなるじゃん!!
なので、以来俺はレノとこの秘密を共有してきた。
そして、後に無詠唱でも雷を起こせることが発覚したのだが……。
◇◇
「はぁ……だから、無茶はしないでくださいとあれほど言ったのに」
レノはため息を吐いて俺に言った。
「でもぉ、あの状況じゃぁ仕方ないだろ~?」
「今までずっと隠してきたと言うのに。……でも、あの場で動かなかったらキトリー様じゃありませんね」
レノは呆れつつもくすっと笑った。
「そ、そーだろ? あれはやむなしって事で」
「で、今後はどうするおつもりですか?」
「どーするったって、どーしよーにもできないだろ」
「キトリー様がここにいるなら、私も残ります」
レノは速攻で俺に告げた。
「あのなぁ、お前がそう言ってくれるのは嬉しいけど違う国にくるんだぞ?! 簡単に言うんじゃありません!」
「私は貴方の従者で、恋人です。貴方の傍にいます」
レノがあんまりにも真顔で言うもんだから、俺はなんだか頬が熱くなって戸惑う。
「な、何言ってんだ」
「私は本気です」
俺は思わず目を逸らす。なのにレノの熱い視線を頬に感じる。だからなんと言い返せばいいのかわからなかった。
勿論レノが傍にいてくれたら心強いことはない。でもこれ以上、俺に付き合わせるのは可哀そうだとも思っていた。なにより、神聖国に来ればサラおばちゃんとそれこそ滅多に会えなくなる。
母一人子一人なのだ。レノにはお母さんを大事にして欲しい。
でも『レノは帰れ』という一言が口からどうしても出なかった。
……あー、こうなるから正体を隠してたのに。でも今回は仕方なかったし。うー、ホントどうしよう。
俺は俯いて頭を悩ませる。しかしそこへ誰かがドアをノックした。
「失礼、ランネットですわ」
ドアの向こうから聞こえてきたのは姉ちゃんの声だった。
「ランネット様……どうされますか?」
レノに尋ねられて俺はすぐに「会うよ」と答えた。そうすればレノは腰を上げ、ドアに向かう。そしてドアを開ければ姉ちゃんはにこりと微笑んだ。
「夜分に失礼しますわ。どうしてもキトリー様の容態が気になって……あ、目覚められたのですね」
レノが開けたドアから姉ちゃんは顔を覗かせ、俺を見てほっとした表情を見せた。どうやら姉ちゃんにも心配をかけていたようだ。
……まあ、目の前で倒れたら驚くわな。
「レノ、ランネット様に入って貰って」
俺が声をかけるとレノは「どうぞ」と姉ちゃんを部屋の中に入れた。姉ちゃんは一人で来たらしく、俺の傍にやってくると少し涙ぐんでいた。なんだかすごく申し訳ない気持ちになる。
「あー、レノ。ちょっと厨房に行って飯を貰ってきてもらえる? あと”甘ーいレモンティー”も」
俺がそう頼むとレノはぴくっと肩眉を動かしながらも「畏まりました」と言って部屋を出て行った。
……これでしばらくは部屋に戻ってこないだろう。
俺は閉まったドアを見て思う。”甘いレモンティー”は俺達の隠語で、”しばらく席を外して欲しい”という意味を含んでいた。だからレノは時間を置いて戻ってきてくれるはずだ……たぶん。
「うーん、てんしぇいものっていえば、ちーと能力だよなぁ。おりぇにもないのかにゃ?」
前世の記憶が戻った俺は広い庭で散策中、不意にそんな事を思った。そしてしばらく小さな手を顎に当てながら考え、試しに手を伸ばして色々叫んでみることにした。
「みじゅよ、いでよ!(水よ、いでよ!)」
「さらまんだー!」
「ちちんぷいぷい!」
「エロイム・エロイ! ……ん? なんかちがうよーな??」
知ってる限りの呪文を唱えてみるが何も起こらない。
……やっぱ、魔法みたいな力はないかー。ま、良い両親の元に生まれて、いい兄を持てたってとこですでにチートみたいなもんだし。
俺はそう思いつつも、最後に思いついた呪文をもうひとつだけ叫んでみる。
「しゃんだーぼりゅと!(サンダーボルト!)」
そうすればバチバチッと音がしたと思ったら指先から電撃が飛び、目の前の木に当たった。被雷した木の一部は焦げ、プスプスと少し煙が出てる。
「ほぉぉぉぉぉっっ!?!?」
自分で雷を出しておきながら俺は驚きのあまり声を上げる。
……え、今のって俺が出したの?! すご、すごくない!?
俺はてててっと雷が当たった場所に行き、思わず眺める。そこはしっかりと焦げていた。
「ふぅえ~!」
俺は感嘆しながら自分の小さな手を見つめる。そしてにぎにぎっと手をグーパーするがなんともない。
……これこそ転生チートってやつか!? ひょぉー!
俺はひとりで興奮するが、突然後ろから声をかけられた。
「今の、なんですか?」
「ひょっ!?」
俺は驚きに肩を揺らし、振り返ればお子様レノがそこにいた。いつの間に!
「なんですか、今のは」
「あ、れ、れのきゅん……今の見ちゃった?」
俺が尋ねればレノはしっかりと頷いた。
「なんですか、イ・マ・ノ・ハ!」
「あ~、え~っちょ、わかんないっだっちゃ?」
俺は首をこてんっと傾げて可愛く誤魔化したが、レノに通用するはずもなく。
結局、俺とレノはこの秘密を共有することになり、後にこの力が聖人の力だという事が判明。
しかしこの事が大人に知られれば神聖国に行かなければならないと知って、俺は黙ることを選択、それをレノにも強制した。
……だって、だって、神聖国に行っちゃったら俺のイチ推し・ヒューゴとフェルナンドCPが見れなくなるじゃん!!
なので、以来俺はレノとこの秘密を共有してきた。
そして、後に無詠唱でも雷を起こせることが発覚したのだが……。
◇◇
「はぁ……だから、無茶はしないでくださいとあれほど言ったのに」
レノはため息を吐いて俺に言った。
「でもぉ、あの状況じゃぁ仕方ないだろ~?」
「今までずっと隠してきたと言うのに。……でも、あの場で動かなかったらキトリー様じゃありませんね」
レノは呆れつつもくすっと笑った。
「そ、そーだろ? あれはやむなしって事で」
「で、今後はどうするおつもりですか?」
「どーするったって、どーしよーにもできないだろ」
「キトリー様がここにいるなら、私も残ります」
レノは速攻で俺に告げた。
「あのなぁ、お前がそう言ってくれるのは嬉しいけど違う国にくるんだぞ?! 簡単に言うんじゃありません!」
「私は貴方の従者で、恋人です。貴方の傍にいます」
レノがあんまりにも真顔で言うもんだから、俺はなんだか頬が熱くなって戸惑う。
「な、何言ってんだ」
「私は本気です」
俺は思わず目を逸らす。なのにレノの熱い視線を頬に感じる。だからなんと言い返せばいいのかわからなかった。
勿論レノが傍にいてくれたら心強いことはない。でもこれ以上、俺に付き合わせるのは可哀そうだとも思っていた。なにより、神聖国に来ればサラおばちゃんとそれこそ滅多に会えなくなる。
母一人子一人なのだ。レノにはお母さんを大事にして欲しい。
でも『レノは帰れ』という一言が口からどうしても出なかった。
……あー、こうなるから正体を隠してたのに。でも今回は仕方なかったし。うー、ホントどうしよう。
俺は俯いて頭を悩ませる。しかしそこへ誰かがドアをノックした。
「失礼、ランネットですわ」
ドアの向こうから聞こえてきたのは姉ちゃんの声だった。
「ランネット様……どうされますか?」
レノに尋ねられて俺はすぐに「会うよ」と答えた。そうすればレノは腰を上げ、ドアに向かう。そしてドアを開ければ姉ちゃんはにこりと微笑んだ。
「夜分に失礼しますわ。どうしてもキトリー様の容態が気になって……あ、目覚められたのですね」
レノが開けたドアから姉ちゃんは顔を覗かせ、俺を見てほっとした表情を見せた。どうやら姉ちゃんにも心配をかけていたようだ。
……まあ、目の前で倒れたら驚くわな。
「レノ、ランネット様に入って貰って」
俺が声をかけるとレノは「どうぞ」と姉ちゃんを部屋の中に入れた。姉ちゃんは一人で来たらしく、俺の傍にやってくると少し涙ぐんでいた。なんだかすごく申し訳ない気持ちになる。
「あー、レノ。ちょっと厨房に行って飯を貰ってきてもらえる? あと”甘ーいレモンティー”も」
俺がそう頼むとレノはぴくっと肩眉を動かしながらも「畏まりました」と言って部屋を出て行った。
……これでしばらくは部屋に戻ってこないだろう。
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