《BL》転生令息は悪役よりも壁志望、もしくは天井でも可!

神谷レイン

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第五章「告白は二人っきりで!」

27 なぜお前がここに!?

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「お嬢さん方、申し訳ないけどこの人の事は諦めてくれるかな?」

 颯爽に現れ、二人の女の子に言ったのは琥珀色の瞳を持つ人物だった。でもその人物を見て俺は「あ」と小さく呟く。
 けれど、その声は彼らには届かず、琥珀色の瞳を持つその人物はエンキ様の隣に立った。そうすれば彼女達は突然現れた人物を怪訝な顔で睨みつける。

「一体、どちら様ですの?」
「神聖国の方ではないようですけど。エンキ様の何なんです?」

 棘のある声で彼女達が尋ねれば、その人物はエンキ様の肩に手を置いてにっこりと笑った。

「俺? 俺はこの人の大事な人」

 その人物が告げると彼女達はよろめいた。

「ま、まさかッ!」
「え、エンキ様、本当ですの!?」

 嘘だと言って! とでも言いたげな顔で二人は尋ねたが、エンキ様はこくりと頷いた。

「本当だよ。だからごめんね、二人とも」

 エンキ様が告げると、二人はショックを受けた様子で何も言わずに走り去った。
 その後姿をエンキ様は申し訳ない様子で眺めていたが、琥珀色の瞳を持つ人物は呆れた顔でエンキ様を見つめた。

「昔と変わらず、おモテになる事で」
「そんな事ないさ。それより久しぶりだね、元気そうで何よりだ」

 エンキ様はそう言うと朗らかに笑って言った。その笑みは今まで見た事のないほどの柔らかく、眼差しには愛しさが溢れている。だからエンキ様の大事な人、と言うのは本当なのだろう。

 しかし……しかしだ!!

「何が、元気そうで何より、だ。大変なことになってたくせに、連絡のひとつくらい……ん? どうしたキトリー」

 琥珀色の瞳を持つ人物は俺に肩を掴まれ振り返ると、親し気に俺の名を呼んだ。

 それもそうだろう、何せここに現れたのは――――。

「どうした、じゃない! アントニオッ!!」

 俺は目の前にいる人物の名を叫んだ。
 そう、俺の目の前にいたのは本屋を営む、俺のマイフレンド・トニ男ことアントニオだった。

「お前、ちょっとこっちにこい。話を聞かせて貰おうじゃないか。事と次第によっては、浮気ってことで許さんぞ??」

 俺はぐっと拳を握ってアントニオに告げる。だがアントニオは眉間に深い皺を寄せた。

「は? なんで俺が浮気なんだよ? 何言ってるんだ?」
「何って今、浮気発言しただろ! エンキ様の大事な人は自分だって言っただろーが!」

 ……ちゃーんとこの目で見たんですからね!! 言い逃れは許さんゾ!

 俺はフスンッと鼻息荒く言う。そうすればアントニオは「ああ」と呟くとエンキ様を見た。

「あれは言葉のアヤってやつだよ。女の子達を追っ払うにはちょうど良かっただろ? それに俺がこの人の大事な人ってのはあながち間違いじゃないし」
「やっぱり浮気かぁああぁん!!? うちのセリーナを泣かせたら、ただじゃ済まさん!」

 俺はちょっとお父さん視点で告げる。本当の養父さんはお爺なんだけど。
 でもお怒りモードの俺にレノが後ろから話しかけた。

「キトリー様、ちょっと」
「レノ、話は後だ。今はアントニオに事情を」
「あの。もしかしてですけど、アントニオ君はエンキ様のご子息なのでは?」
「そう、アントニオがエンキ様の息子だって話を………………は?」

 俺は思わず間抜けな声を出してレノに振り返る。

「あ、アントニオがエンキ様の息子?! なんで、そんな」
「エンキ様とアントニオ君の瞳、全く一緒です。それに腕に付けている組紐も」

 レノに言われて、エンキ様とアントニオの顔を見合わせれば、その瞳は良く似ている。というか、言われてみればアントニオはどこかエンキ様に似ている。
 アントニオは赤髪だが、これで黒髪なら更に似る事だろう。その上、エンキ様とアントニオの組紐は全く一緒のものだった。

 ……どっかで見たことあるって、ここだったのか!

 そして俺はなんとなくエンキ様に感じていた違和感の正体に気がつく。それはエンキ様が俺に対して妙に親切で、色々と話してくれたその理由。

 ……そうだ! エンキ様のあの感じ、おっちゃん(ジェレミーの父ちゃん)と同じ感じなんだ!!

 俺は今更ながらにハッと気がついた。
 そして正体が分かった今、アントニオは笑って答えた。

「やっぱりレノさんは勘がいいですね。そうです、俺はこの人の息子なんですよ」
「で、でも、さっき大事な人って!」
「大事な人の息子ってことだけど?」

 ……言い方ぁぁぁ~~ッ!!

 アントニはしれッとした顔で俺に告げた。

「でも、エンキ様が結婚されたという話は聞いたことがありませんが……」

 レノが尋ねれば、黙っていたエンキ様が声を上げた。

「それは私が話そう。少し長くなるから、どうぞ座って」

 エンキ様に促され、俺達は空いていた三つの席に座ることにした。

 そしてエンキ様は小さく息を吐いた後、俺達に昔話をしてくれた。
 それは俺がまだ生まれる前の話、まだエンキ様が若い頃のお話を――――。

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