《BL》転生令息は悪役よりも壁志望、もしくは天井でも可!

神谷レイン

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第五章「告白は二人っきりで!」

最終話 告白は二人っきりで!

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「だから無防備だと言っているんですよ」

 俺にキスしたレノは呆れた顔で俺に言った。

「だからってなぁ!」
「それにあの夜も昨晩も、し損ねましたからね」

 レノに言われて俺は迫られた一昨日の夜を思い出し、顔がポポポッと熱くなる。

「ななななっ、何言ってんだ」
「そういえば、キトリー様の気持ちを聞いてませんね?」
「は?!」
「私の事をどう思っているのか」
「いや、言っただろ!」
「いいえ、ハッキリとは聞いていません。私の事、どう思ってるんですか?」

 レノに尋ねられて俺はますます顔が熱くなる。

「そ、それはあの時言ったとおりだ!」
「なんて言いましたっけ? 覚えてません」

 ……こいつ~ッ! 絶対覚えてるだろッ!!

「坊ちゃん、ちゃんと言って欲しいです」

 レノに言われ、俺は「うぐっ」と口を歪める。だって、なんか恥ずかしいじゃん! でも、レノの気持ちもわかるから無下にもできない。
 だから俺は悶々と考えた後、勇気を出して口にした。

「お、俺は……れ、レノの事が、す、す、すッ!」
「あ、告白はして欲しいですが、今は言わなくていいです」

 言いかける俺にレノはあっさりと断った。

「はぁッ!?」
「こんな馬車の中じゃなく、二人っきりの時、ロマンチックに告白してください」

 レノは笑って要求し、俺は顔を引きつらせる。

 ……ロマンチックだとぉ~ッ!?

「それとも坊ちゃんにはロマンチックに告白するなんてハードルが高過ぎますか? そうですよね、坊ちゃんには無理ですよね」

 レノは俺がロマンチックに告白できない前提で言う。なので、俺はついつい売り言葉に買い言葉で……。

「あぁぁん!? そんなのできるし! ロマンチックでスッウィートな告白をしてやんよッ!!」

 俺が宣言するように言えば、レノはニッコリと笑った。

「そうですか。ロマンチックでスウィートな告白……楽しみにしてますね?」

 レノはフフッと微笑み、それを見て俺はすっかりレノの策略にハマった事を今更ながらに気がついた。でも時すでに遅し。

「坊ちゃん、やっぱりナシ、なんて無粋は駄目ですからね?」
「う、うぐっ!」
「あー、一体どんな告白をしてくれるのか、楽しみだなぁ!」

 レノはあえて大きな声で俺に言う。ホント、いい性格してるぜ……でも。

「……楽しみにしとけ。二人っきりの時にちゃんと言ってやるから」

 腕を組んで、レノから顔を背けながらも俺は言った。そうすればレノの嬉しそうな声が返ってくる。

「はい、楽しみにしてます。坊ちゃん」

 ……くそっ、本当に嬉しそうな声しやがって。本当にちゃんと告白しなくちゃいけないじゃんか。うー、一体どういう風に言ったらいいんだ?

 俺は頭を悩ませる。でもそうこうしている内に「出発ー!」と御者の声が響き、ロディオン達が乗っている先発の馬車が動き出した。
 それにつられて俺達の馬車も次第に動き出す。

「坊ちゃん、皆さんに手を」

 レノに言われて俺は馬車の窓から見送ってくれるみんなに手を振る。
 エンキ様、ナギさん、姉ちゃんにアシュカとデンゼルさん。

「またなー!」

 俺は馬車の窓を開けて、手を振った。そうすれば「気を付けて帰るのよー!」とランネット様じゃなく素(姉ちゃん)で俺に手を振り返した。
 だから俺は思わずプハッと笑ってしまう。

 ……姉ちゃんってばランネット様の仮面外し過ぎ! でも神聖国に来て本当に良かった、姉ちゃんとも会えたし。

 俺は小さくなっていく姉ちゃんたちの姿を見て、しみじみと思う。
 しかし姿がすっかり見えなくなり、手を下ろた後、レノに視線を向ければ疑わしそうな目で俺を見ていた。

「な、なんだよ?」
「やっぱり、ランネット様と妙に親しいですね……本当に何もないんですか?」
「何かあるわけないだろ!」

 ……前世と言っても姉ちゃんだったんだぞ!? 何かあったら怖いわ!

「はぁ。まあ、いずれ話してくださるとの事でしたからね。坊ちゃんを信じます」

 レノは息を吐いてわざとらしく言うので、俺はちょっと意地悪心が芽生える。

「でも信じて、もし何かあったらどうすんだー?」

 俺が尋ねるとレノは片手でむぎゅっと俺の腰を掴んだ。ひょっ!

「その時は容赦なく実力行使させていただきます。貴方が誰のモノかわかるまで」

 レノはにーっこりと笑って俺に言った。でも目は全然笑ってない。……怖すぎるッ!!

「む、無理やりはダメだぞ!?」

 俺は声を上げて拒否するがレノは笑うばかりで何も答えない。それが余計に怖い。

「いや、本当に何もないから! 全然、ないからな!?」
「おや、そうですか? 別にあってもいいんですよ? 体に教え込むだけなので」

 レノは言いながら俺の腰をしっかりと握る。逃れられないッ! ひええぇっ!!

「大丈夫、やさーしく手取り足取り教えてあげますから……まあ、途中から容赦できないかもしれませんが」

 レノは妙に色っぽい声で俺の耳元で囁いた。おかげで体がゾクッとする。

「ひっ、遠慮しますっ!! やっぱ俺、兄様と同じ馬車に!」
「駄目です。馬車は走ってるんですから大人しくしていてください? じゃないと、大人しくさせますよ??」

 ……ひゃああああっ、誰か助けてぇぇぇ!!

 俺は蛇に絡まれ、いやレノに捕まり、心の中で叫ぶがその声は誰にも届かないのであった。





 ―――そしてこの後。
 神聖国で起こったこの事件はゆくゆく伝説となり、他国人ながらこの一件に関わったキトリーとレノの存在もまた長く語り継がれることになった。
 特にレノは、広場に残された落ちた鐘に殴り飛ばした拳の跡がくっきりと残り『怪力の従者』として、有名となる。


 だが、その事をまだ二人は知らなかったのだった……。


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