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アズサ花嫁修業①
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私は、カインから嫁探しイベントについて聞いた。
いわゆる婚活パーティみたいなものかしら?
いや、よくあるお妃候補を蹴落としあう貴族令嬢のいじめや
試験なんかある感じかもしれない。
後者だったら、私の日本での生活が全く生かされないじゃない。
それどころか不利の何物でもない。
どうしようかと一人カインの家で悩んでいた。だれかが扉をノックする。
また、おかしなことに発展したら嫌だと思ったアズサは、居留守を使うことにした。
ドンドンドンドン。
しつこくドアを叩いている。怖いなと思い、二階に避難しようとしたその時、
「アズサ、私よ。開けてよ」
「私って誰ですか?」
「あなたバカなの?モモよ」
「すみません。すぐ開けまーす」
そう言って、急いで扉を開けに言った。モモは怒っている。
「あんた、ふざけてるの?この時間がないときに」
「いや、私のいた世界ではオレオレ詐欺というのがあったので念入りに確認を……」
「もうわかんなけど、まぁいいわ。カインの嫁イベントのこと聞いたんでしょ?何のんびりしてるの?準備はしたの?」
「はい?なんか準備とか必要あるの?」
「はぁ、だから異世界人なのよ。よく聞きなさい。まずドレスの準備でしょ?自分をアピールするための道具の用意でしょ。お茶会に備えたお作法や座学よ。普通の令嬢なら当たり前にできるけど、どう見てもその姿を見る限りドレスもないかと思って、私のドレス持ってきたのよ」
そう言って、ピンク、青、黒、白、オレンジの5色のドレスを渡してくれた。
モモの優しさがうれしくなり、モモに抱き着くアズサ。
「モモ、ありがとう。大好き」
「もう、アズサかわいいことしても無駄よ。今後1週間でどれだけ詰め込めるかわからないけど特訓するわよ」
「わかった。できないことの方が多い気がするけど、カインと結婚するために頑張る」
「その意気よ。まずはドレスを着る練習からね」
私はドレスを着ようと試みた。ワンピースみたいに後ろのチャックすれば
終わりなら簡単なのに、ここでのドレスは複雑すぎて着ることもできない。
その様子を見て、モモはがっくりしてる。モモが足はここに入れて、
後ろのひもはこうやるのよと説明してくれるが全くできそうにない。
モモは、呆れかえりながら言う。
「ドレス1つ着られないのなら話にならないわよ」
うなだれるアズサ。でも、ドレスってメイドが着せてくれるものじゃないの?
ベンの時だってメイドたちがやってくれたし。
不思議に思い、モモに聞いてみることにした。
「モモ、ドレスってメイドが着せてくれるんじゃないの?」
「メイドが着せてくれるのは、上流階級の貴族だけよ。それに自分でドレスを着られないということは、下品な育ちだということになるのよ」
「あーそうなんだ」
納得するアズサ。なんか小説とかだとメイドたちに裸を見られて恥ずかしいとか、
お風呂ですら洗ってもらうとかあるから勘違いしちゃった。
ここは小説でも漫画の世界でもないものね。
実際はこんなものよね。
何度練習しても着ることができないアズサは考えて、モモに相談する。
「このドレス改造したらだめかしら?」
「は?改造?」
「うん。足の通し方はわかったけど、どうも後ろのひもを交互に縛りながら首まで持ってくることが難しいの。だからもう上までヒモ越し縫っちゃって、首だけひもでくくるようにしたいんだけど」
「はぁ。ドレスをちゃんと着とけば問題ないんだから、同じドレスままの状態が維持できるならいいんじゃない」
「ありがとう」
早速、針と糸を持ってきて作業した。すでに夕方になっていたので、
モモは帰っていたがお裁縫に夢中なアズサは気付かなかった。
いわゆる婚活パーティみたいなものかしら?
いや、よくあるお妃候補を蹴落としあう貴族令嬢のいじめや
試験なんかある感じかもしれない。
後者だったら、私の日本での生活が全く生かされないじゃない。
それどころか不利の何物でもない。
どうしようかと一人カインの家で悩んでいた。だれかが扉をノックする。
また、おかしなことに発展したら嫌だと思ったアズサは、居留守を使うことにした。
ドンドンドンドン。
しつこくドアを叩いている。怖いなと思い、二階に避難しようとしたその時、
「アズサ、私よ。開けてよ」
「私って誰ですか?」
「あなたバカなの?モモよ」
「すみません。すぐ開けまーす」
そう言って、急いで扉を開けに言った。モモは怒っている。
「あんた、ふざけてるの?この時間がないときに」
「いや、私のいた世界ではオレオレ詐欺というのがあったので念入りに確認を……」
「もうわかんなけど、まぁいいわ。カインの嫁イベントのこと聞いたんでしょ?何のんびりしてるの?準備はしたの?」
「はい?なんか準備とか必要あるの?」
「はぁ、だから異世界人なのよ。よく聞きなさい。まずドレスの準備でしょ?自分をアピールするための道具の用意でしょ。お茶会に備えたお作法や座学よ。普通の令嬢なら当たり前にできるけど、どう見てもその姿を見る限りドレスもないかと思って、私のドレス持ってきたのよ」
そう言って、ピンク、青、黒、白、オレンジの5色のドレスを渡してくれた。
モモの優しさがうれしくなり、モモに抱き着くアズサ。
「モモ、ありがとう。大好き」
「もう、アズサかわいいことしても無駄よ。今後1週間でどれだけ詰め込めるかわからないけど特訓するわよ」
「わかった。できないことの方が多い気がするけど、カインと結婚するために頑張る」
「その意気よ。まずはドレスを着る練習からね」
私はドレスを着ようと試みた。ワンピースみたいに後ろのチャックすれば
終わりなら簡単なのに、ここでのドレスは複雑すぎて着ることもできない。
その様子を見て、モモはがっくりしてる。モモが足はここに入れて、
後ろのひもはこうやるのよと説明してくれるが全くできそうにない。
モモは、呆れかえりながら言う。
「ドレス1つ着られないのなら話にならないわよ」
うなだれるアズサ。でも、ドレスってメイドが着せてくれるものじゃないの?
ベンの時だってメイドたちがやってくれたし。
不思議に思い、モモに聞いてみることにした。
「モモ、ドレスってメイドが着せてくれるんじゃないの?」
「メイドが着せてくれるのは、上流階級の貴族だけよ。それに自分でドレスを着られないということは、下品な育ちだということになるのよ」
「あーそうなんだ」
納得するアズサ。なんか小説とかだとメイドたちに裸を見られて恥ずかしいとか、
お風呂ですら洗ってもらうとかあるから勘違いしちゃった。
ここは小説でも漫画の世界でもないものね。
実際はこんなものよね。
何度練習しても着ることができないアズサは考えて、モモに相談する。
「このドレス改造したらだめかしら?」
「は?改造?」
「うん。足の通し方はわかったけど、どうも後ろのひもを交互に縛りながら首まで持ってくることが難しいの。だからもう上までヒモ越し縫っちゃって、首だけひもでくくるようにしたいんだけど」
「はぁ。ドレスをちゃんと着とけば問題ないんだから、同じドレスままの状態が維持できるならいいんじゃない」
「ありがとう」
早速、針と糸を持ってきて作業した。すでに夕方になっていたので、
モモは帰っていたがお裁縫に夢中なアズサは気付かなかった。
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