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お妃教育の始まり
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お妃様が出て行くとフィナが大きく息を吐いた。
「はぁ、怖いったりゃありゃしない」
「フィナはクラリス様の婚約者だったの?」
「あぁ幼少期の話ですよ。それにこの話はクラリスを通して正式にお断りしております。なのでアリー様は心配する必要はございません。ですが今回はすみませんが勝たせていただきますね」
「あ、そうですよね。やはりクラリス様はかっこいい人ですものね。本当はフィナも好き……」
私が言いかけるとフィナが私に抱き着いていた。
「あぁもう。アリー様は本当にかわいいお人ですね。私がクラリスから奪ってやろうかしら。あんな変態にこんな純情潔白なアリー様を渡したらと何されるかわからないわね……」
「えっ? フィナ? 私たちは今日からライバルなのでは?」
「そうですけどこれは親愛のですわ。これから正々堂々と戦いましょう」
私からフィナが離れて出て行くと、新しい侍女だという割にはかなりお年の召された女性が部屋へと入ってきた。
「アリー様にお仕えさせていただくテルと申します。本来であればご隠居させていただいております立場なのですが、クラリス様の頼みでこの度限定復帰いたしました。どうぞよろしくお願いします」
「あ、よろしくお願いします」
自分より3倍、いや、4倍ほど離れた年の侍女に驚いてしまったけどクラリス様が準備してくれたということが嬉しかった。
「それでは早速ですがマナー講座まで2時間ほどありますので特訓します」
こうして私とテルの特訓が始まったのだった。
今まで普通に作法は身についているものだと思っていた。
なのにところかまず間違える度に手を叩かれる。
「違います。何度言えばわかるのですか。ぎこぎこと音を立てない。スープもなんていう飲み方なんですか。下品ですね。仮にも令嬢ですか?」
「すみません。母が亡くなってからは自分が伯爵令嬢という自覚すら消えておりました。食事も気にしなくなっていたのかもしれません」
「そんな同情を引いてもフィナ様には勝てませんよ? あの方は本当に素晴らしい方です。何でも完璧にこなす天才と呼ばれていた公爵令嬢です。そんなでは勝てませんね。クラリス様には残念ですがそのようにお伝えいたしましょう」
「そうかもしれません。やはりフィナの方がお似合いなのでしょうね」
「はい、ならおやめになられたらいいのです。さっさと荷物を片付けなさい」
テルはそう言うと私の方に大きなカバンを投げつけた。
違う。本当はタダの嫉妬だ。
見ていても二人の仲の良さは明らかだった。
私なんか入る隙すらない。
でも、クラリス様が本当に私を必要としてくださっているなら。
私のできることは一つである。
「いえ、やります。今までは腕がなまっていただけです!! だいぶコツを思い出してきました。もう一度お願いします」
何度もやっていくうちに母から教わってきたことを一つずつ丁寧に反芻する。どんどんと上手くナイフやフォークを使えるようになってきた。
「よし。まぁ2時間でここまでできるようになるとは……やはり母親からの教育の賜物でしょう」
「ありがとうございます。お母様も天国で喜んでいると思います」
そう言われて私は嬉しくお母様に心の中で感謝していると、テルが何やら下の方を眺めて首を傾げるとテーブルをいきなり叩いた。
「ところでいつまで隠れていらっしゃるおつもりですか殿下」
ドズンッという何かがぶつかる音とともにテーブルの下から出てきたのはクラリス様だった。
「はぁ、怖いったりゃありゃしない」
「フィナはクラリス様の婚約者だったの?」
「あぁ幼少期の話ですよ。それにこの話はクラリスを通して正式にお断りしております。なのでアリー様は心配する必要はございません。ですが今回はすみませんが勝たせていただきますね」
「あ、そうですよね。やはりクラリス様はかっこいい人ですものね。本当はフィナも好き……」
私が言いかけるとフィナが私に抱き着いていた。
「あぁもう。アリー様は本当にかわいいお人ですね。私がクラリスから奪ってやろうかしら。あんな変態にこんな純情潔白なアリー様を渡したらと何されるかわからないわね……」
「えっ? フィナ? 私たちは今日からライバルなのでは?」
「そうですけどこれは親愛のですわ。これから正々堂々と戦いましょう」
私からフィナが離れて出て行くと、新しい侍女だという割にはかなりお年の召された女性が部屋へと入ってきた。
「アリー様にお仕えさせていただくテルと申します。本来であればご隠居させていただいております立場なのですが、クラリス様の頼みでこの度限定復帰いたしました。どうぞよろしくお願いします」
「あ、よろしくお願いします」
自分より3倍、いや、4倍ほど離れた年の侍女に驚いてしまったけどクラリス様が準備してくれたということが嬉しかった。
「それでは早速ですがマナー講座まで2時間ほどありますので特訓します」
こうして私とテルの特訓が始まったのだった。
今まで普通に作法は身についているものだと思っていた。
なのにところかまず間違える度に手を叩かれる。
「違います。何度言えばわかるのですか。ぎこぎこと音を立てない。スープもなんていう飲み方なんですか。下品ですね。仮にも令嬢ですか?」
「すみません。母が亡くなってからは自分が伯爵令嬢という自覚すら消えておりました。食事も気にしなくなっていたのかもしれません」
「そんな同情を引いてもフィナ様には勝てませんよ? あの方は本当に素晴らしい方です。何でも完璧にこなす天才と呼ばれていた公爵令嬢です。そんなでは勝てませんね。クラリス様には残念ですがそのようにお伝えいたしましょう」
「そうかもしれません。やはりフィナの方がお似合いなのでしょうね」
「はい、ならおやめになられたらいいのです。さっさと荷物を片付けなさい」
テルはそう言うと私の方に大きなカバンを投げつけた。
違う。本当はタダの嫉妬だ。
見ていても二人の仲の良さは明らかだった。
私なんか入る隙すらない。
でも、クラリス様が本当に私を必要としてくださっているなら。
私のできることは一つである。
「いえ、やります。今までは腕がなまっていただけです!! だいぶコツを思い出してきました。もう一度お願いします」
何度もやっていくうちに母から教わってきたことを一つずつ丁寧に反芻する。どんどんと上手くナイフやフォークを使えるようになってきた。
「よし。まぁ2時間でここまでできるようになるとは……やはり母親からの教育の賜物でしょう」
「ありがとうございます。お母様も天国で喜んでいると思います」
そう言われて私は嬉しくお母様に心の中で感謝していると、テルが何やら下の方を眺めて首を傾げるとテーブルをいきなり叩いた。
「ところでいつまで隠れていらっしゃるおつもりですか殿下」
ドズンッという何かがぶつかる音とともにテーブルの下から出てきたのはクラリス様だった。
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