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まさかの人物来訪
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熟れた果実のように真っ赤な顔とバクバクの心臓を抑えたくてもなかなか収まることができない。
「アリーそのような誘うような顔をやめてくれないか? もう一度してしまいそうになる」
さらに体温は上昇するもフィナが後から追いかけてきた。そして何かクラリス様に耳打ちすると次第に表情が陰ったのだった。
「どうかされましたか……?」
その表情を見て私は自分の父が死んだと聞かされたことを思い出し体温が一気に下がるのを感じる。
「いや、アリー心配ない。君はそのまま僕のそばにいてくれればいいんだ」
「でも……お父様が……無事なんですよね?」
クラリス様は申し訳なさそうに首を振る。
「残念だが……それにこう言っては何だが君のお父上は犯罪に手を染めていたようだから仕方がないのかもしれない」
「クラリス様……お父様はそんなことするような人ではありません」
叫び声ととともに私は意識を失ってしまった。
目覚めた時にはすでにお城へと戻されていたようで天蓋ベッドで寝かされていた。
「アリー様お目覚めですか?」
「あっ、はい」
フィナの優しい声が耳に届くも心は冷たく冷え切ったままである。
「いきなりで申し訳ありませんが、今日からお妃教育を始めてもらいます」
「えっ? どうして?」
「それは……アリー様と結婚したいという殿下の意向です」
「そんなの聞いておりません。お父様が亡くなったのなら私はここで勉強する必要がありません。なので帰らせていただきます」
私はベッドから起き上がろうとすれば、フィナは力づくで私を抑え込んだ。
「申し訳ありませんが、今すぐに着替えて準備していただきます」
とそのままサクサクと大きなリボンが1つついた水色のドレスへと着替えさせられてしまった。
「あの、でも……」
トントン
私がフィナに問いただすつもりがノックの音によって遮られてしまう。
「準備が出来上がっております」
とフィナが答えたかと思えばなぜだかわからないが物凄い深いお辞儀をしていた。
これは最敬礼よね?
まさか……?
私はフィナの態度から判断し自分も昔母から教わった淑女の礼だと教えられていたようにお辞儀したのだった。
「入るわね」
ドアが開く音が聞こえる。
なぜか一気に空気が冷たく重くなった。
フィナも心なしか膝が震えている。
クラリス様と話すときや危険な場面でも物怖じしなかったあのフィナがだ。
「あら、ちゃんとできているじゃないの」
美しい小鳥のさえずりのようなクリアな美声の中に威圧感を感じる。
この重々しい空気感を醸し出せる人なんか限られているとは思うけど……
「アリー顔をあげなさい」
顔をゆっくりと持ち上げるとクラリス様を女性にしたように美しい女性がいたのだった。
「お妃様わざわざ足をお運びいただき誠に申し訳ありません」
フィナがブルブルと震えながら謝罪をすると、その女性が高笑いした。
「オーホッホ。震えちゃってかわいい。生まれたての子鹿ちゃんのようね。遅いのよ、もっと早くなさいっ!!」
「ひょえっ。申し訳ございません」
フィナが突拍子もないおかしな声を出すので恐怖より思わず私は笑ってしまった。
「ふふふふふふ。今のなんて言ったのかしら。ふふふ」
「ふ~ん。あなたいい度胸しているわね? この私の前でそんな態度でどうなるのかわかっているの?」
「ふふふ。えっ? あの……クラリス様をさらにお美しくしたようなお綺麗な顔立ち。もしかしてクラリス様のお母様……?」
「うそでしょ? 今まで知らなかったの? この子本当にこの国の民なの?」
お妃さまに盛大なため息をつかれてしまった。
「申し訳ございません。アリー様は今まで外の世界をしらな……」
「小鹿ちゃんは黙ってなさい。外の世界を知らないという割には……ちゃんとドレスを着こなせるほどの美貌持ちだし? 誰かもわからないのに最敬礼も出来てるし? それでいて私が出す冷気を全く感じず笑った子なんか初めてよ。ふっ、気に入ったわ。いいでしょう」
「えっ……あの何の話でしょうか?」
「アリーって言ったわね? 1週間フィナとともに教育を受けてもらいます」
「ちょっと……お妃様……私はそんな話聞いておりません」
焦ったように答えたのはフィナだった。
「小鹿ちゃん? あなたは忘れているのかもしれないけど婚約者第一候補はあなただということを忘れているんじゃないの? 侍女なんかしちゃって気に食わないわね」
「ですが……その話をお断りをしたはずですが……」
「まだ有効よ。この子と勝負して負けようもんならあなたはクラリスと結婚なさい。その方が何かと上手くいくもの」
「……わかりました。勝てばよろしいのですね?」
「そうよ。小鹿ちゃんが睨むようなその目いいわ。ゾクゾクしちゃう。その調子でがんばなさい。でアリー?」
「あっ、はい」
「あなたはやる気がないなら棄権してもいいわ。ただし亡くなった犯罪者である父親の罪を全部償わせてあげましょう。だから二択ね。死ぬか生きるか選びなさい」
「なら殺して……」
そこまで言いかけた時にクラリス様の笑顔が浮かぶ。
もし、あの笑顔の横に立てる機会があるとしたなら……
「いえ、やらせていただきます」
そう思ったのと同時に知らぬ間に言葉が出ていた。
「ホホ。やはり面白い子ね。ならとりあえずはお昼よりマナー講座にしましょう」
お妃様はそのまま部屋を後にしたのだった。
「アリーそのような誘うような顔をやめてくれないか? もう一度してしまいそうになる」
さらに体温は上昇するもフィナが後から追いかけてきた。そして何かクラリス様に耳打ちすると次第に表情が陰ったのだった。
「どうかされましたか……?」
その表情を見て私は自分の父が死んだと聞かされたことを思い出し体温が一気に下がるのを感じる。
「いや、アリー心配ない。君はそのまま僕のそばにいてくれればいいんだ」
「でも……お父様が……無事なんですよね?」
クラリス様は申し訳なさそうに首を振る。
「残念だが……それにこう言っては何だが君のお父上は犯罪に手を染めていたようだから仕方がないのかもしれない」
「クラリス様……お父様はそんなことするような人ではありません」
叫び声ととともに私は意識を失ってしまった。
目覚めた時にはすでにお城へと戻されていたようで天蓋ベッドで寝かされていた。
「アリー様お目覚めですか?」
「あっ、はい」
フィナの優しい声が耳に届くも心は冷たく冷え切ったままである。
「いきなりで申し訳ありませんが、今日からお妃教育を始めてもらいます」
「えっ? どうして?」
「それは……アリー様と結婚したいという殿下の意向です」
「そんなの聞いておりません。お父様が亡くなったのなら私はここで勉強する必要がありません。なので帰らせていただきます」
私はベッドから起き上がろうとすれば、フィナは力づくで私を抑え込んだ。
「申し訳ありませんが、今すぐに着替えて準備していただきます」
とそのままサクサクと大きなリボンが1つついた水色のドレスへと着替えさせられてしまった。
「あの、でも……」
トントン
私がフィナに問いただすつもりがノックの音によって遮られてしまう。
「準備が出来上がっております」
とフィナが答えたかと思えばなぜだかわからないが物凄い深いお辞儀をしていた。
これは最敬礼よね?
まさか……?
私はフィナの態度から判断し自分も昔母から教わった淑女の礼だと教えられていたようにお辞儀したのだった。
「入るわね」
ドアが開く音が聞こえる。
なぜか一気に空気が冷たく重くなった。
フィナも心なしか膝が震えている。
クラリス様と話すときや危険な場面でも物怖じしなかったあのフィナがだ。
「あら、ちゃんとできているじゃないの」
美しい小鳥のさえずりのようなクリアな美声の中に威圧感を感じる。
この重々しい空気感を醸し出せる人なんか限られているとは思うけど……
「アリー顔をあげなさい」
顔をゆっくりと持ち上げるとクラリス様を女性にしたように美しい女性がいたのだった。
「お妃様わざわざ足をお運びいただき誠に申し訳ありません」
フィナがブルブルと震えながら謝罪をすると、その女性が高笑いした。
「オーホッホ。震えちゃってかわいい。生まれたての子鹿ちゃんのようね。遅いのよ、もっと早くなさいっ!!」
「ひょえっ。申し訳ございません」
フィナが突拍子もないおかしな声を出すので恐怖より思わず私は笑ってしまった。
「ふふふふふふ。今のなんて言ったのかしら。ふふふ」
「ふ~ん。あなたいい度胸しているわね? この私の前でそんな態度でどうなるのかわかっているの?」
「ふふふ。えっ? あの……クラリス様をさらにお美しくしたようなお綺麗な顔立ち。もしかしてクラリス様のお母様……?」
「うそでしょ? 今まで知らなかったの? この子本当にこの国の民なの?」
お妃さまに盛大なため息をつかれてしまった。
「申し訳ございません。アリー様は今まで外の世界をしらな……」
「小鹿ちゃんは黙ってなさい。外の世界を知らないという割には……ちゃんとドレスを着こなせるほどの美貌持ちだし? 誰かもわからないのに最敬礼も出来てるし? それでいて私が出す冷気を全く感じず笑った子なんか初めてよ。ふっ、気に入ったわ。いいでしょう」
「えっ……あの何の話でしょうか?」
「アリーって言ったわね? 1週間フィナとともに教育を受けてもらいます」
「ちょっと……お妃様……私はそんな話聞いておりません」
焦ったように答えたのはフィナだった。
「小鹿ちゃん? あなたは忘れているのかもしれないけど婚約者第一候補はあなただということを忘れているんじゃないの? 侍女なんかしちゃって気に食わないわね」
「ですが……その話をお断りをしたはずですが……」
「まだ有効よ。この子と勝負して負けようもんならあなたはクラリスと結婚なさい。その方が何かと上手くいくもの」
「……わかりました。勝てばよろしいのですね?」
「そうよ。小鹿ちゃんが睨むようなその目いいわ。ゾクゾクしちゃう。その調子でがんばなさい。でアリー?」
「あっ、はい」
「あなたはやる気がないなら棄権してもいいわ。ただし亡くなった犯罪者である父親の罪を全部償わせてあげましょう。だから二択ね。死ぬか生きるか選びなさい」
「なら殺して……」
そこまで言いかけた時にクラリス様の笑顔が浮かぶ。
もし、あの笑顔の横に立てる機会があるとしたなら……
「いえ、やらせていただきます」
そう思ったのと同時に知らぬ間に言葉が出ていた。
「ホホ。やはり面白い子ね。ならとりあえずはお昼よりマナー講座にしましょう」
お妃様はそのまま部屋を後にしたのだった。
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