五回目の転生〜残酷な神を俺は信じない〜

hugu

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本編

第1話 神を恨んだ日

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 西暦78年

「まあ、男の子よ!」

 目の前の女の人が何かを言っている。

「おお、わが子よ。ありがとう。生まれてきてくれて」

 男の人が慌ててこちらに向かってきた。

「お父さん、興奮し過ぎよ」
「おお、すまん」

 女の人が男の人に向かって何か言っている。

「おっと、我が子に自己紹介しなければ、私はお前の父親だぞ」

 僕に向かって男の人が何か言っているようだが、何を話しているか分からない。

「私があなたの母親よ」
「あなたの名前は、、、、、」

 女の人がとても優しい声で何かを言っている。
 この人達が何を言っているのか理解したい。
 この人達の感情を理解したい。

~八年後~

 俺の名前はエグバート。

 父の名はコルド、職業は農民。
 母はジール、職業は主婦。
 俺の両親はよく教会に行く。
 宗派が二つあるうち、平和を神に祈るアッシュール教と欲を欲するイシュタル教があり、両親はアッシュール教の信徒である。
 この世界にはレベルという力を表すパラメータがある。
 それ以外は神への信仰度と宗派によって違うが、武器には神聖レベル又は邪気レベルというものもある。
 神聖レベルと邪気レベルは武器を持った時に神の力がみなぎるというレベルのことである。
 俺は見たことはないが、強度が増したり、波動というものを出すことが出来るという。
 この世界の者はそれらを総合した自身のステータスを見ることが出来る。

Lv3
名前  ヨーク エグバート
性別  男
宗派  無し
HP  12/12
信仰度  2/100
所持武器  なし
神聖レベル なし

 このステータスの通り、あまり宗教というものを俺は信用していない。
 不確かなものに命を捧げるほどの度胸はない。
 しかし、武器に属性を持たせるには宗教に入らなければならない。
 あまり気乗りはしないが入るしかないのか。

~四年後~

Lv5
名前  ヨーク エグバート
性別  男 
宗派  アッシュール教
HP  17/17
信仰度  2/100
所持武器  木の剣
神聖レベル  20/100

 この4年間、村の掟で15歳になるまで村を出てはいけないため、父から貰った剣で素振りをしていた。
 4年間も素振りをしていたため、筋肉も並みにはついた。
 近頃は、アッシュール教の教会が次々に燃やされている。
 アッシュール教の教皇はイシュタル教の仕業だと言っているらしい。
 それにより、村の皆も不安になっている。
 俺は病の母の看病、父は通っていた教会がここ数ヶ月に焼失し、仕事をせず、いつもうなだれている。
 今は俺が畑を作って、母の薬を買っている。
 こんな事になるなんて、やはり神などいないのか、、、

~二年後~

Lv8
名前  ヨーク エグバート
性別  男
宗派  アッシュール教
HP  23/23
信仰度  0/100
所持武器  鉄の剣
神聖レベル  40/100

 神など存在しない。
 母は死に、父は自殺。
 もう神など信用しない。
 もし神がいるのなら、神は母に毒を盛り、神は父を裏切った。
 神がいたとしても憎いだけだ。
 ある信徒から聞いたが、平均神聖レベルは大体15らしい。
 今の俺は強くなった。
 母と父の墓に見舞いに行った後は旅をしようと思う。

「世界は広いんだ、俺みたいになるなよ」

 そう父が言っていた。
 これからどんなに悲しいことがあってもあの炎の日よりはマシだと思う。

~一年後~

Lv9
名前  ヨーク エグバート
性別  男
宗派  アッシュール教
HP  25/25
信仰度  0/100
所持武器  鉄の剣
神聖レベル  50/100

 この村に来た商人から隣村の司教が神の術を使うと聞いたので、それを見るために隣村に行く事にした。
 しかし、近頃、獣が多く出るとも商人に聞いた。
 村と村の通り道を歩いていると微かな獣臭が臭う。
 茂みを掻き分けるとやはり獣の糞があった。
 噂は本当のようだ。
 その後は警戒しながら進んだので、予定よりだいぶ遅れが生じた。
 日も暮れそうだ。
 ここで野宿するしかない。

「まいったな」

 野宿するとは思わなかったので何も用意していなかった。

「仕方ない、草をかき集めて敷くか」

 俺は周りの茂みからクッカ草という虫除けの草を敷きマット代わりにした。
 そして獣避けの鈴を手に巻きつけ寝る事にした。
 俺は周りに注意を払いつつも初めての遠出の疲れかすぐに寝てしまった。
………ガサッ、ガサガサ!!!
 何かいる!
 俺は起き上がり、音がした方から距離をとった。
(獣か!)
 父に貰った剣を両手で握りしめた。
 現れたのは一頭の猪。
 しかし、様子がおかしい。
 猪の目が赤く光る。
 それもだいぶ興奮しているようだ。
 手に巻きつけた鈴を鳴らしていても怯まず、俺のほうにむかって突進の構えを取る。

「いつもこんな時のために練習していたんだ!俺なら出来る!」
「ぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」

 俺は大声でその猪に剣を振り下ろした。
 しかし、下から腹に向かって来た猪の突進を喰らった。
 俺は宙に舞い地面に叩き落とされた。
 自身のHPを見てみると、そこに表示されている数字に手が震えた。

HP  5/25

 その時始めて死を目の前にした瞬間だった。
 死にたくない、死にたくない、死にたくない。
 何故そこまでの精神力が目覚めたか分からないが、俺は衝撃で手放してもおかしくなかった剣をまだ握っていた。

「まだだ、まだ戦える!」

 そうすると、剣が白く光った。
 俺はその光った剣を猪の方に向かって、今度は剣を正面から突き刺すように刺した。
それは見事に猪の脳天に突き刺さり貫通する。
 猪は倒れた。

「俺は……助かったのか?」

 俺は疲れが雷のように降ってきて、膝から崩れ落ちた。
 足を震わせながらバックから薬草を潰した緑色の液体がある瓶を取り出し、一気に飲んだ。
 この液体は都の賢者が生成した回復する水を商人から分けて貰った物だ。

HP  22/25

「本当にここまで回復するとは」

 HPが下がったことがなくこれまで使わなかったがとても驚いた。
 そろそろ夜が明ける。
 さっきみたいなのに襲われたくないので、すぐに隣村へと出発した。
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