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18話 雪

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 3層につくと雪景色が広がっていた。肌寒く息も白くなる。

「ちょっとさむいな」

「そうですね」

 戦闘になることを考えて防具もつけているし、服も長めのものを着て怪我の予防をしているおかげで凍えるほどではないが次来るときは防寒用の装備にした方がいいな。

「毛皮がいりますね」

「ここで1つこしらえるか。きっといいやつが手に入るぞ」

「そうですね。でも会えたらですけど」

「さすがに4層まで何も出会わないことはないさ」

「それもそうですね」

 僕たちはそんな風に話しながら階段の周りを散策する。雰囲気は1層や2層と同じで、場所が変わらずに雪だけが降ったように見える。ちょっと雪をすくって握ってみると、実物は知らないがこんな感じなんだろうと思える感触が返ってくる。雪国ではこれを丸めて投げる遊びがあるらしいが、きっとやれば楽しいだろう。さすがにダンジョンではできないけど。
 
「雪はいいなあ」

 そんなつまらないことを考えているとミレティアが突然言った。

「そうですね」

 すぐさま同意すると、ちょっとした笑いが返ってきた。

「それ言葉のままだろ?ほれこっちに来てみろよ」

「はい?わかりました」

「足跡だ。最初はぼーっとしてて気付かなかったけど、どうやらここには人型もいるらしいな。人型とやったことあるか?」

「ええ。一応あります」

「よし。じゃあこれを追いかけてみるか」

 こうして僕たちの追撃劇が始まった。目を皿にして足跡を探し、ついていく。幸い雪足は弱く、なかなか痕跡は消えないのだろう。僕でも見つけれる場合がほとんどだ。
 逆にさえ進んでなければ痕跡は深くなるはずだし、これは簡単に見つかりそうだ。僕は武器をすぐに手に取れるように準備し、出会いに心を構えた。
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