気が付いたけど、人間を襲う必要ってあるのかな?

来佳

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10話

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なかなかボスが帰ってこないうちに、護衛は食事を終えたらしく席を立つ。それを機にまた僕を見る目の数が増える。
まだかまだかとボスを椅子のしたで待っているとやっとのこと帰ってきたようだ。

「猫はどこだー」

「猫ってホワイトですよね。あっちの椅子のしたです」

「そうそう。お嬢様もみてないし、魔物というより猫だしいいだろ?」

はははと笑いながらこっちに来る。もちろんいいわけがない。それを教えてやろうと引っ掻き攻撃でもしてやろうかと思うが、どうせかなわないのでやめておく。

「そこにいたか。こっちにおいで、色々用意してみたんだ」

そういってトレイの上にあるものを見せてくれる。
確かにたくさんの何かがある。仕方ないなと思い、椅子の下からはいでて、ボスの足のしたにいく。

「ここじゃあれだし、向こうにいくか」

そう言って僕を誘導する。ボスの前ではあんな乱暴はできないらしく、周りの人間たちも遠巻きで見てるだけで実に心地いい。少し歩いて、日差しのいい、小奇麗な一角に来た。

「ここにするか」

そういってドンと座る。そして手に持ってたトレイの物を並べ始める。2、3個はあのサンドウィッチの中に入っていたであろう物がある。これは苦いし本当は避けたい。あとはパン、肉と肝を焼いたもの。最後に魔石がある。
なかなかに種類を用意したようだ。これは僕の習性とやらなのか、一番食べたい物から頂きたくなってしまう。かりっと一口でまずは魔石をいただく。こればっかりは魔物なので仕方ない。

「ほうほう」

ボスは興味深く僕をみつつ何やら手を細かく動かしている。
僕はそれを横目に焼いた肉や肝を頂いていく。外では当然生で食べ、それが魔物の常識であった。だが、焼いたのはこれはこれで美味しい。これは人間ながら良いひと手間といえるかもしれない。
種類は多いが、量自体は少なくて、まだまだ食べれるなと仕方なしに最後には野菜とやらを渋々食べる。本当は好みではないが、そんな理由で放棄しては野生では生きれない。いつ何時も食べれるときは食べ、満腹でも食べるのが魔物のルールだ。本当は嫌でも生きるためなのだ。
乗せられていたのを完食し、にゃぁとボスになく。ボスはえらいえらいと頭をなでる。食べるだけで褒められるなんて人間は楽なものだ。
さて、食後の余韻に浸りつつ、右手で少々汚れた口当たりをごしごしとしてると、ボスがぬるい布で僕の口をごしごしとしてきた。余韻が台無しだとにゃぁと抗議する。ボスは関係なく拭く。ひとしきり拭いて満足してやめるころには毛が逆立って気持ち悪い。結局自分で拭きなおして元に戻す。無駄なことをしてと抗議のついでに足をボスの足に乗せる。

「おいしかったか?」

ボスが訊く。どうせわからないだろうが、にゃぁとそうだよの意味で答える。

「そうかそうか」

ボスは分かったふりをする。そういえばときょろきょろすると周りの人間は大分いなくなったみたいだ。食べるのにそこそこ時間をつかったみたいで、日も少し落ちてるように感じる。

「今日はもう遅いし、猫はあとねるだけだろ?寝床まで案内してやるからな」

そういって僕を抱きかかえる。ホワイトは気に入らないが猫も気に入らない。難しい問題だなーと思いながら、まあ寝床に運んでくれるなら猫も甘んじて受けようとにゃぁとなく。
ボスの管轄になったのだ。あの護衛の部屋なんかよりもずっといい部屋で寝さして貰えるだろうとわくわくしながら揺られるのだった。
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