気が付いたけど、人間を襲う必要ってあるのかな?

来佳

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2章

17話

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ではいきましょうかと、護衛がお嬢様を先導する。そうだ今のうちにと、にゃあとなきつつ、僕を抱きかかえるように念じる。

「あらあら。甘えん坊なのね」

お嬢様は僕を優しく抱える。別に甘えたいわけではないけど、リンクを強くするために仕方ないのだ。
お嬢様は僕を抱えつつとことこと進んでいく。どうやら食堂は応接室の逆側、僕が入った入り口から見ると右側にあるようだ。これからお世話になるのだから覚えておかないとなとまた集中する。だが、実際はそんな必要はなかった。

「ミーナ、食事の準備を。ホワイトの分もお願いね。私は中で待つわ」

もう一人残ったメイドにそうことづける。そして入り口からすぐの大きな扉の前に行く。護衛がそれを見越してさっと扉を開け、中へ誘導する。
中にはいったい何人を想定して作ったのかわからないほど長いテーブルに、いくつかの椅子。その周りには何に使うのかさっぱりわからない物が偉そうに並んでいる。宿舎の食堂とは規模も見た目も全く違うようだ。僕はひょいとお嬢様の腕を傷つけないように降りて、地面を少し歩く。先ほど歩いてきたところと違って、やわらかい布が僕の手と足を迎えてくれる。

「すぐにホワイトのための場所も作ってあげるわね」

「向こうでは地面で楽しく食べてましたよ」

「でもせっかくだから食べてるところを見ていたいわ」

確かに向こうでは地面で食べてはいたが、ここでは少し雰囲気に合わないように感じる。かといって、机の上に乗って食べるのもおかしな感じだ。とりあえずはお嬢様の隣で横になることにする。

「では、これからは食べる時間をずらして、お部屋であげるのはどうでしょうか?」

「そうね。そうしましょうか」

ふむ、僕的にもこんなだだっ広い場所より狭い方がありがたい。たまには護衛もいいことを言う。
そんな話をしてると入ってきた方向と逆側の扉が開き、あの2人のメイドとコック風の人間が食事を運んできた。

「お待たせいたしました」

そう言ってまずはお嬢様の方に並べていく、いい匂いだ。そして次に僕の方に並べられる。
事前に宿舎での食事風景を知らされてるようで、僕に食べやすいように切られている。今日のメニューは魔石と鳥と野菜だ。お嬢様のためにか、お皿も小さく、料理も綺麗に盛り付けられており、宿舎のガサツな感じとは大違いだ。魔石も心なしか大きい。だが、一口二口なら問題もないが、全部食べようとなるとどうしても崩れるし、こぼれそうになって危険だ。それに面倒くさいことをと思うが、ここでの初めての食事で床を汚しては悪いと体を動かして極力お皿の領域を超えないように注意する。
そんなどうでもいいことをして食べたので、皿からは何もこぼれなかったが、食べ終わるころには逆に気を使った分、得た栄養より使った栄養が多いのではないかと思うくらいだ。
それに食べ終えたお嬢様や周りのメイドがくすくすと笑うので少し恥ずかしい思いすらしたのだった。
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