気が付いたけど、人間を襲う必要ってあるのかな?

来佳

文字の大きさ
17 / 34
2章

17話

しおりを挟む
ではいきましょうかと、護衛がお嬢様を先導する。そうだ今のうちにと、にゃあとなきつつ、僕を抱きかかえるように念じる。

「あらあら。甘えん坊なのね」

お嬢様は僕を優しく抱える。別に甘えたいわけではないけど、リンクを強くするために仕方ないのだ。
お嬢様は僕を抱えつつとことこと進んでいく。どうやら食堂は応接室の逆側、僕が入った入り口から見ると右側にあるようだ。これからお世話になるのだから覚えておかないとなとまた集中する。だが、実際はそんな必要はなかった。

「ミーナ、食事の準備を。ホワイトの分もお願いね。私は中で待つわ」

もう一人残ったメイドにそうことづける。そして入り口からすぐの大きな扉の前に行く。護衛がそれを見越してさっと扉を開け、中へ誘導する。
中にはいったい何人を想定して作ったのかわからないほど長いテーブルに、いくつかの椅子。その周りには何に使うのかさっぱりわからない物が偉そうに並んでいる。宿舎の食堂とは規模も見た目も全く違うようだ。僕はひょいとお嬢様の腕を傷つけないように降りて、地面を少し歩く。先ほど歩いてきたところと違って、やわらかい布が僕の手と足を迎えてくれる。

「すぐにホワイトのための場所も作ってあげるわね」

「向こうでは地面で楽しく食べてましたよ」

「でもせっかくだから食べてるところを見ていたいわ」

確かに向こうでは地面で食べてはいたが、ここでは少し雰囲気に合わないように感じる。かといって、机の上に乗って食べるのもおかしな感じだ。とりあえずはお嬢様の隣で横になることにする。

「では、これからは食べる時間をずらして、お部屋であげるのはどうでしょうか?」

「そうね。そうしましょうか」

ふむ、僕的にもこんなだだっ広い場所より狭い方がありがたい。たまには護衛もいいことを言う。
そんな話をしてると入ってきた方向と逆側の扉が開き、あの2人のメイドとコック風の人間が食事を運んできた。

「お待たせいたしました」

そう言ってまずはお嬢様の方に並べていく、いい匂いだ。そして次に僕の方に並べられる。
事前に宿舎での食事風景を知らされてるようで、僕に食べやすいように切られている。今日のメニューは魔石と鳥と野菜だ。お嬢様のためにか、お皿も小さく、料理も綺麗に盛り付けられており、宿舎のガサツな感じとは大違いだ。魔石も心なしか大きい。だが、一口二口なら問題もないが、全部食べようとなるとどうしても崩れるし、こぼれそうになって危険だ。それに面倒くさいことをと思うが、ここでの初めての食事で床を汚しては悪いと体を動かして極力お皿の領域を超えないように注意する。
そんなどうでもいいことをして食べたので、皿からは何もこぼれなかったが、食べ終わるころには逆に気を使った分、得た栄養より使った栄養が多いのではないかと思うくらいだ。
それに食べ終えたお嬢様や周りのメイドがくすくすと笑うので少し恥ずかしい思いすらしたのだった。
しおりを挟む
感想 33

あなたにおすすめの小説

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する 

namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。  転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。  しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。  凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。  詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。  それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。  「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」  前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。  痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。  そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。 これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。

ジャングリラ~悪魔に屠られ魔王転生。死の森を楽園に変える物語~

とんがり頭のカモノハシ
ファンタジー
「別の世界から勇者を召喚する卑怯な手口」に業を煮やした堕天使・ルシファーにより、異世界へ魔王として転生させられた大学生・左丹龍之介。 先代・魔王が勇者により討伐されて100年――。 龍之介が見たものは、人魔戦争に敗れた魔族が、辺境の森で厳しい生活を余儀なくされている姿だった。 魔族の生活向上を目指し、龍之介は元魔王軍の四天王、悪魔公のリリス、フェンリルのロキア、妖狐の緋魅狐、古代龍のアモンを次々に配下に収めていく。 バラバラだった魔族を再び一つにした龍之介は、転生前の知識と異世界の人間の暮らしを参考に、森の中へ楽園を作るべく奔走するのだが……

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

無能と追放された俺、死にかけて覚醒した古代秘術を極めて最強になる

仲山悠仁
ファンタジー
魔力がすべての世界で、“無能”と烙印を押された少年アレックスは、 成人儀式の日に家族と村から追放されてしまう。 守る者も帰る場所もなく、魔物が徘徊する森へ一人放り出された彼は、 そこで――同じように孤独を抱えた少女と出会う。 フレア。 彼女もまた、居場所を失い、ひとりで生きてきた者だった。 二人の出会いは偶然か、それとも運命か。 無能と呼ばれた少年が秘めていた“本当の力”、 そして世界を蝕む“黒い霧”の謎が、静かに動き始める。 孤独だった二人が、共に歩き出す始まりの物語。

異世界帰りの勇者、今度は現代世界でスキル、魔法を使って、無双するスローライフを送ります!?〜ついでに世界も救います!?〜

沢田美
ファンタジー
かつて“異世界”で魔王を討伐し、八年にわたる冒険を終えた青年・ユキヒロ。 数々の死線を乗り越え、勇者として讃えられた彼が帰ってきたのは、元の日本――高校卒業すらしていない、現実世界だった。

出戻り国家錬金術師は村でスローライフを送りたい

新川キナ
ファンタジー
主人公の少年ジンが村を出て10年。 国家錬金術師となって帰ってきた。 村の見た目は、あまり変わっていないようでも、そこに住む人々は色々と変化してて…… そんな出戻り主人公が故郷で錬金工房を開いて生活していこうと思っていた矢先。王都で付き合っていた貧乏貴族令嬢の元カノが突撃してきた。 「私に貴方の子種をちょうだい!」 「嫌です」 恋に仕事に夢にと忙しい田舎ライフを送る青年ジンの物語。 ※話を改稿しました。内容が若干変わったり、登場人物が増えたりしています。

【完結】うさぎ転生 〜女子高生の私、交通事故で死んだと思ったら、気づけば現代ダンジョンの最弱モンスターに!?最強目指して生き延びる〜

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
 女子高生の篠崎カレンは、交通事故に遭って命を落とした……はずが、目覚めるとそこはモンスターあふれる現代ダンジョン。しかも身体はウサギになっていた!  HPはわずか5、攻撃力もゼロに等しい「最弱モンスター」扱いの白うさぎ。それでもスライムやコボルトにおびえながら、なんとか生き延びる日々。唯一の救いは、ダンジョン特有の“スキル”を磨けば強くなれるということ。  跳躍蹴りでスライムを倒し、小動物の悲鳴でコボルトを怯ませ、少しずつ経験値を積んでいくうちに、カレンは手応えを感じ始める。 「このままじゃ終わらない。私、もっと強くなっていつか……」  最弱からの“首刈りウサギ”進化を目指して、ウサギの身体で奮闘するカレン。彼女はこの危険だらけのダンジョンで、生き延びるだけでなく“人間へ戻る術(すべ)”を探し当てられるのか? それとも新たなモンスターとしての道を歩むのか?最弱うさぎの成り上がりサバイバルが、いま幕を開ける!

処理中です...