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3章
26話
しおりを挟む「そんなつもりはないよ。僕たちは同士じゃないか」
「同士だと?」
とねずみは気炎を上げる。簡単には騙されないようなのでここで、もう一歩踏み込む。
「そうだよ。僕たちは魔物の同士じゃないか」
「それはそうだな。でもおめえは人間に飼われてる。敵みたいなもんだ」
と確かな所を突いてくる。
「それはそうだけど、これは作戦なんだよ」
「作戦?それはいってえどういう作戦なんだ」
ここでやっと食いついてくる。御しやすい奴だなと安心する。
「僕達魔物はいつも人間に攻撃されて、いじめられてるようなものだ」
うんうんとねずみはその通りだといった表情だ。
「君みたいな強い魔物なら人間の一人や二人倒すのはわけないだろうけど、僕みたいなのはだめさ」
「そりゃあそうかもな」
と嫌だが納得されたみたいだ。ここで最後のひと押しをする。
「だから僕は考えたのさ、人間はおろかだから少し下手にでておだててやれば、すぐに食事も寝るところも用意してくれる。だから僕みたいな魔物はこうやって力を蓄えるのが一番だと思ったんだよ。もともと僕達魔物は人間なんかよりずっと高等な生き物さ、食べて寝て長生きすれば人間になんか負けないように強くなれる」
「なるほどな」
とねずみも言う。
「だから僕も君の仲間みたいなものさ。だから僕は君の所在も言わないし、ここに来たのもほとんど好奇心みたいなもので、何かをしようなんて気はないんだ」
ふんふんとねずみは頷き。そいつはいいアイデアだなと呟く。よし、騙せたなと僕は自分の手腕に感心する。僕の作戦の大事な所はほとんど本当のことを言う所にある。やっぱり本心8割嘘2割くらいが騙すコツなのだ。そうしてすこし悦に浸っているとねずみは顔を掻いたり、鼻をぴくぴくさせたり、何やら考え事をしているようだ。
「それじゃあ僕はそろそろ帰るよ。君も人間に見つからないようにがんばってね」
と少し応援して本格的に下がろうとする。
「おい。ちょっと待て」
「ん?どうしたんだい。まだ信じてくれないのかい?」
「いやいや。おめえの話は信じたぜ。それに関心もした」
となかなかにわかるねずみだ。僕の言うことは嘘もあるが大半はそうだと思うしかないことなのだ。
「そうかい。ならよかった。僕はそろそろ戻らないと人間に変に勘繰られてしまうから、帰らせてもらうよ」
「そう。それでえ。それをきいておいらも思ったんだ。おいらも連れてってくれねえか?」
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