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3章
28話
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「なるほど。意思は固いみたいだね。なら僕も精一杯頑張るよ。だから少しの間ここで待っていてくれないか」
とねずみを説得する。ねずみはおうと言い。おめえを信じてるからよ、できる限り早めに頼むぞと言って僕に外から中に合図する方法を教えてくれた。これであの無駄な作業を省き、ねずみに出てきてもらえるようになった。
これで大丈夫だなとねずみは外まで僕を見送ってくれ、僕はまた挨拶をして穴を出た。
穴を出るころにはすこし空も明るくなって、空気も僕の心とは裏腹に心地よい温度になっている。あのねずみをどうするか。もちろん嘘でも約束してしまったので、みんなに紹介してやりたいが、その場で一撃となっては流石に気分が悪い。どうにかして仲間に入れてやらねば。
しかしこう思うと不思議なもので、僕はねずみを退治しに行ったにもかかわらず、魔物を連れて帰ってくることになったのだ。それもねずみに大きさこそ違うが見た目は似たようなものだ。自分が危険だから、似たものでも生かしたり、誤魔化したり、これでは人間と同じだなと少し恥ずかしい気持ちになる。
これを教訓にできる限り平等に接して、不殺とまではいかないまでも、遊んで追い立てるようなことはやめようと心に誓う。
だが、そんな風に心が成長しても問題は解決しない。どうにかしてみんなに話を聞いてもらわねばならない。ここは仕方ないのでお嬢様の力を借りることにした。
朝もまだ早いので勉強などはまだしてないだろうし、十分説得の機会はあるだろうと思いつく。
僕は颯爽と邸宅に戻り、また音を極力たてないように自室に向かう。朝とはいえまだまだ早い、下手に起こしてはかわいそうだ。
そんなこんなでとりあえず、自室についた。後はみんなが起きるまで少々待って、起きるころに行動しようと体を巻いてゆっくりと待機するのだった。
「まったくあの子はまたですか!」
ぴりぴりメイドだ。どうやら僕の泥の花びらが見つかったらしい。であればもういい時間だろう。そろそろ出ていくか。ひょこっと扉から出て、メイドの元へ行く。いつも通り少ししかめっ面だ。
「ホワイト君、こっちに来なさい」
呼ばれずともそのつもりだ。にゃぁと答えて歩み寄る。
「賢いんだかなんだかもう」
などと言いつつ僕に浄化をかける。ぴりぴりとした感じと共に足の泥も落ちる。ぴりぴりはあんまり好きじゃないが、この感覚はなかなか面白い。
「あまりお嬢様に心配をかけさせないようにするのですよ」
と僕にくぎを刺す。にゃぁと答えてそのお嬢様の部屋へと向かうのだった。
とねずみを説得する。ねずみはおうと言い。おめえを信じてるからよ、できる限り早めに頼むぞと言って僕に外から中に合図する方法を教えてくれた。これであの無駄な作業を省き、ねずみに出てきてもらえるようになった。
これで大丈夫だなとねずみは外まで僕を見送ってくれ、僕はまた挨拶をして穴を出た。
穴を出るころにはすこし空も明るくなって、空気も僕の心とは裏腹に心地よい温度になっている。あのねずみをどうするか。もちろん嘘でも約束してしまったので、みんなに紹介してやりたいが、その場で一撃となっては流石に気分が悪い。どうにかして仲間に入れてやらねば。
しかしこう思うと不思議なもので、僕はねずみを退治しに行ったにもかかわらず、魔物を連れて帰ってくることになったのだ。それもねずみに大きさこそ違うが見た目は似たようなものだ。自分が危険だから、似たものでも生かしたり、誤魔化したり、これでは人間と同じだなと少し恥ずかしい気持ちになる。
これを教訓にできる限り平等に接して、不殺とまではいかないまでも、遊んで追い立てるようなことはやめようと心に誓う。
だが、そんな風に心が成長しても問題は解決しない。どうにかしてみんなに話を聞いてもらわねばならない。ここは仕方ないのでお嬢様の力を借りることにした。
朝もまだ早いので勉強などはまだしてないだろうし、十分説得の機会はあるだろうと思いつく。
僕は颯爽と邸宅に戻り、また音を極力たてないように自室に向かう。朝とはいえまだまだ早い、下手に起こしてはかわいそうだ。
そんなこんなでとりあえず、自室についた。後はみんなが起きるまで少々待って、起きるころに行動しようと体を巻いてゆっくりと待機するのだった。
「まったくあの子はまたですか!」
ぴりぴりメイドだ。どうやら僕の泥の花びらが見つかったらしい。であればもういい時間だろう。そろそろ出ていくか。ひょこっと扉から出て、メイドの元へ行く。いつも通り少ししかめっ面だ。
「ホワイト君、こっちに来なさい」
呼ばれずともそのつもりだ。にゃぁと答えて歩み寄る。
「賢いんだかなんだかもう」
などと言いつつ僕に浄化をかける。ぴりぴりとした感じと共に足の泥も落ちる。ぴりぴりはあんまり好きじゃないが、この感覚はなかなか面白い。
「あまりお嬢様に心配をかけさせないようにするのですよ」
と僕にくぎを刺す。にゃぁと答えてそのお嬢様の部屋へと向かうのだった。
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