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いぶし銀の章
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昔は、結婚した日を記念日とは言わなかった。ましてや、それを周年ごとに祝うことは、しなかった。そのような文化が流行り出したのは、この頃だった。
そのことをクロに話したら、クロは真面目に言った。
「それでは、お祝いをしなければなりません」
俺は、呆れたついでに笑えてきてしまった。シロツメクサは、クスクスと笑った。
「しなければならないって、わざわざしてやるものでもないのだぜ」
「いいえ、しなければなりません」
クロにしては、キッパリとし過ぎているような、キッパリとした口調だった。それで俺も、これは真面目にしなければ、と、思った。
「しかし、困ったことがあります」
クロは、真剣に、困った表情で言った。
「お祝い、とは、何をすれば良いのでしょう?」
俺も、すぐには答えられなかった。俺の屋敷の連中は、何かあると祭りだ、祭りだ、と騒ぐが、お祝い、となると、よく分からなかった。
「……主役二人が着飾って、客を呼んで、美味いごちそうを食って、酒を飲んで……」
俺は、指で勘定する仕草をしながら、自分が思う祝い事の形式を並べてみたが、どうにも、俺の屋敷の連中が騒ぐ、祭りと称した宴会騒ぎと、ごっちゃになっている。クロは神妙な顔をして聞いている。俺はもはや慣れたものだったが、俺の屋敷の連中の、客の祝い事にかこつけたお祭り騒ぎを見たら、慣れていないクロやシロツメクサは、何と言うだろうか。まさか、泣くようなことはないだろうと思われたが、困らせることは確実だった。
「お祭りみたいね」
それまで、ひっそりとしていたシロツメクサが言った。クロがそれに返した。
「花火は上がるのでしょうか?毎年、夏に空に上がるのですが、大好きなのです」
「花火は、俺は嫌だぜ」
花火の音が、昔から苦手なのだ。近くで花火が上がる音を聞くと、なるべく花火の音が聞こえないところまで避難する。屋敷の連中は、意外でもなく花火が好きで、花火が上がるとき、屋敷の中はガランと冷たくなる。ガランと冷たくなった屋敷の中で、俺は一人、煙を吐いていた。
一人でなかった、時期もあった。俺の妻と呼ばれていた女が、隣にいた。
求婚とは、どのようにすればいいのかという、クロからの問いかけだった。シロツメクサは、山菜を採りに出かけていて、いなかった。
「キュウコン……?」
「男の人から女の人に、結婚の申し込みをするのです」
「花の根についている、丸いものではなくて、か?」
「あなたは私のようなことを言います」
「お前が妙なことを言うからだよ」
クロはむっつりとして、自分が言ったことの、どこが妙なのかを、真面目に考えているらしかった。
「結婚に、決まった形式なんて、ないだろう」
花嫁に派手な衣装を着せて、楽を奏でて馳走を食らい、おめでとうと言い、ありがたい、らしい言葉を長々と述べる。そのような、いわゆる、人間のような婚礼の真似事をすることもある。けれど、俺は気が付いたら、夫婦の形をとっていたというだけで、お祭り騒ぎの好きな屋敷の連中にしては珍しく、婚礼だ、婚礼だ、と騒ぐこともなかった。あまりにも俺たちが、何気なく夫婦の形をとったから、今更、やろうと騒ぐきっかけも見つからなかったのだろう。
「私は、お嫁さんをもらったようなものだと思って、シロを受け入れましたが、ちゃんとした、花嫁衣裳も着せていません」
クロは、言った。
「結婚してください、ときちんとしたお申込みもしていないのです」
まるで何かの仕事のように言った。
「銀婚式、という御祝い事をするのなら、まず、結婚、という前提がついてくると思うのです……今まで、そういう風習があるとは知らなかったので、気が付きませんでしたが」
風習、というほど、この国では古い歴史でもない。
正座したまま、クロは半ば身を乗り出している。俺は押されて手に持った灰皿から中身が零れそうになるのを、どうにか堪えた。クロは、真面目の必要がないところでも真面目を発揮する男だったが、ひょっとしたら、今日は普段よりいっそう真面目なのかもしれない。
真面目になるだけなったクロは、最後には、困った表情になる。
「……どうしましょう」
俺は、顎に手を当てた。俺だって、この手の話題に詳しいわけではない。だから、俺が聞いた話だと、という前提がついてくる。
「俺が聞いた話だと、櫛を渡す、という風習があるな」
「串……使ったら、大抵捨ててしまうのですが、どうやって使うのでしょう?」
「お前、別のクシを想像しているだろう」
俺は、手櫛で自分の髪を梳る仕草をしてみせた。
「この櫛だよ」
クロには、その意味が通じたらしかった。
「昔は、櫛を贈る行為は『苦』と『死』を連想させるから不吉だとも言われていたらしいが、今は、苦労も幸せも共にしましょう、死ぬまで添い遂げましょう、という意味で、求婚に使われることが多いらしいな」
「『苦』と『死』……クシ……櫛……語呂合わせですね。なるほど」
もちろん、そうでない、ただの櫛という意味で櫛を贈ることもあるだろう。また、シロツメクサがクロの目論見通りに、その行為に求婚の意味を見出すかは分からなかったが、実用性のある櫛は、あっても困るものでもないだろう。
それにしても、人間というものは、つくづく「意味」というものが好きだ。子どもに名前一つつけるにしても、二人で分けても抱えきれないような「意味」をつけ、一度は不吉と言われた櫛でさえ、おめでたい「意味」をこじつけて、求婚の定番にしてしまう。
「賢いことを、考えてくれる人がいるのですね」
俺が考えていたのと同じようなことを考えて、けれど、俺が抱いたのとは違った感想を抱いたらしいクロが、のんびりと言った。それにしても、ただ思いついただけかもしれないことを、考えてくれる、というのがクロらしい、とも言えた。
そうして、クロとシロツメクサの婚礼の儀と、銀婚式の祝い事が、まとめて行われることになった。
男が女に櫛を贈るには、求婚の意味がある。俺は、クロにそう言った。
俺が俺の妻に最初に贈ったのは、簪だった。別に、意味はなかった。その簪も、今は土の下に埋められている。死んだ妻の体を埋めるとき、白い髪を手で梳って、簪をさした。命を失っているが、生きているような髪が、指の間を通った。髪を梳るうちに、女が、目を覚ますのではないかと、思われた。
女に贈ったのは、ちりめん細工の桜と、小さな鈴のついた簪だった。その鈴が、鳴るか、鳴らないか、という程度に、女は首を動かしたのだったが、鈴が鳴ったと思ったとき、それは、澄んだ音を立てた。
見つけて。
年老いて、病になって、髪を結うこともなくなった女は、言った。
私を、見つけて。私も、探すから。
あなたを。
女の言っている意味が、分からなかった。膝の上に乗せた、女の体を、硬く抱いた。女の体も、痩せて、硬かった。柔らかに、死を受け止めようとする、体だった。
女が死んだとき、女の、冷たくなった唇に接吻した。そして、女が息をしていないことも、生き返ることもないことを確かめて、女の体を、土の下に埋めた。女を見つけた、桜の木の下に、埋めた。
女は死んだ。俺は生きている。
死んだ女は見つからない。死んだ女も俺を見つけない。
そのことをクロに話したら、クロは真面目に言った。
「それでは、お祝いをしなければなりません」
俺は、呆れたついでに笑えてきてしまった。シロツメクサは、クスクスと笑った。
「しなければならないって、わざわざしてやるものでもないのだぜ」
「いいえ、しなければなりません」
クロにしては、キッパリとし過ぎているような、キッパリとした口調だった。それで俺も、これは真面目にしなければ、と、思った。
「しかし、困ったことがあります」
クロは、真剣に、困った表情で言った。
「お祝い、とは、何をすれば良いのでしょう?」
俺も、すぐには答えられなかった。俺の屋敷の連中は、何かあると祭りだ、祭りだ、と騒ぐが、お祝い、となると、よく分からなかった。
「……主役二人が着飾って、客を呼んで、美味いごちそうを食って、酒を飲んで……」
俺は、指で勘定する仕草をしながら、自分が思う祝い事の形式を並べてみたが、どうにも、俺の屋敷の連中が騒ぐ、祭りと称した宴会騒ぎと、ごっちゃになっている。クロは神妙な顔をして聞いている。俺はもはや慣れたものだったが、俺の屋敷の連中の、客の祝い事にかこつけたお祭り騒ぎを見たら、慣れていないクロやシロツメクサは、何と言うだろうか。まさか、泣くようなことはないだろうと思われたが、困らせることは確実だった。
「お祭りみたいね」
それまで、ひっそりとしていたシロツメクサが言った。クロがそれに返した。
「花火は上がるのでしょうか?毎年、夏に空に上がるのですが、大好きなのです」
「花火は、俺は嫌だぜ」
花火の音が、昔から苦手なのだ。近くで花火が上がる音を聞くと、なるべく花火の音が聞こえないところまで避難する。屋敷の連中は、意外でもなく花火が好きで、花火が上がるとき、屋敷の中はガランと冷たくなる。ガランと冷たくなった屋敷の中で、俺は一人、煙を吐いていた。
一人でなかった、時期もあった。俺の妻と呼ばれていた女が、隣にいた。
求婚とは、どのようにすればいいのかという、クロからの問いかけだった。シロツメクサは、山菜を採りに出かけていて、いなかった。
「キュウコン……?」
「男の人から女の人に、結婚の申し込みをするのです」
「花の根についている、丸いものではなくて、か?」
「あなたは私のようなことを言います」
「お前が妙なことを言うからだよ」
クロはむっつりとして、自分が言ったことの、どこが妙なのかを、真面目に考えているらしかった。
「結婚に、決まった形式なんて、ないだろう」
花嫁に派手な衣装を着せて、楽を奏でて馳走を食らい、おめでとうと言い、ありがたい、らしい言葉を長々と述べる。そのような、いわゆる、人間のような婚礼の真似事をすることもある。けれど、俺は気が付いたら、夫婦の形をとっていたというだけで、お祭り騒ぎの好きな屋敷の連中にしては珍しく、婚礼だ、婚礼だ、と騒ぐこともなかった。あまりにも俺たちが、何気なく夫婦の形をとったから、今更、やろうと騒ぐきっかけも見つからなかったのだろう。
「私は、お嫁さんをもらったようなものだと思って、シロを受け入れましたが、ちゃんとした、花嫁衣裳も着せていません」
クロは、言った。
「結婚してください、ときちんとしたお申込みもしていないのです」
まるで何かの仕事のように言った。
「銀婚式、という御祝い事をするのなら、まず、結婚、という前提がついてくると思うのです……今まで、そういう風習があるとは知らなかったので、気が付きませんでしたが」
風習、というほど、この国では古い歴史でもない。
正座したまま、クロは半ば身を乗り出している。俺は押されて手に持った灰皿から中身が零れそうになるのを、どうにか堪えた。クロは、真面目の必要がないところでも真面目を発揮する男だったが、ひょっとしたら、今日は普段よりいっそう真面目なのかもしれない。
真面目になるだけなったクロは、最後には、困った表情になる。
「……どうしましょう」
俺は、顎に手を当てた。俺だって、この手の話題に詳しいわけではない。だから、俺が聞いた話だと、という前提がついてくる。
「俺が聞いた話だと、櫛を渡す、という風習があるな」
「串……使ったら、大抵捨ててしまうのですが、どうやって使うのでしょう?」
「お前、別のクシを想像しているだろう」
俺は、手櫛で自分の髪を梳る仕草をしてみせた。
「この櫛だよ」
クロには、その意味が通じたらしかった。
「昔は、櫛を贈る行為は『苦』と『死』を連想させるから不吉だとも言われていたらしいが、今は、苦労も幸せも共にしましょう、死ぬまで添い遂げましょう、という意味で、求婚に使われることが多いらしいな」
「『苦』と『死』……クシ……櫛……語呂合わせですね。なるほど」
もちろん、そうでない、ただの櫛という意味で櫛を贈ることもあるだろう。また、シロツメクサがクロの目論見通りに、その行為に求婚の意味を見出すかは分からなかったが、実用性のある櫛は、あっても困るものでもないだろう。
それにしても、人間というものは、つくづく「意味」というものが好きだ。子どもに名前一つつけるにしても、二人で分けても抱えきれないような「意味」をつけ、一度は不吉と言われた櫛でさえ、おめでたい「意味」をこじつけて、求婚の定番にしてしまう。
「賢いことを、考えてくれる人がいるのですね」
俺が考えていたのと同じようなことを考えて、けれど、俺が抱いたのとは違った感想を抱いたらしいクロが、のんびりと言った。それにしても、ただ思いついただけかもしれないことを、考えてくれる、というのがクロらしい、とも言えた。
そうして、クロとシロツメクサの婚礼の儀と、銀婚式の祝い事が、まとめて行われることになった。
男が女に櫛を贈るには、求婚の意味がある。俺は、クロにそう言った。
俺が俺の妻に最初に贈ったのは、簪だった。別に、意味はなかった。その簪も、今は土の下に埋められている。死んだ妻の体を埋めるとき、白い髪を手で梳って、簪をさした。命を失っているが、生きているような髪が、指の間を通った。髪を梳るうちに、女が、目を覚ますのではないかと、思われた。
女に贈ったのは、ちりめん細工の桜と、小さな鈴のついた簪だった。その鈴が、鳴るか、鳴らないか、という程度に、女は首を動かしたのだったが、鈴が鳴ったと思ったとき、それは、澄んだ音を立てた。
見つけて。
年老いて、病になって、髪を結うこともなくなった女は、言った。
私を、見つけて。私も、探すから。
あなたを。
女の言っている意味が、分からなかった。膝の上に乗せた、女の体を、硬く抱いた。女の体も、痩せて、硬かった。柔らかに、死を受け止めようとする、体だった。
女が死んだとき、女の、冷たくなった唇に接吻した。そして、女が息をしていないことも、生き返ることもないことを確かめて、女の体を、土の下に埋めた。女を見つけた、桜の木の下に、埋めた。
女は死んだ。俺は生きている。
死んだ女は見つからない。死んだ女も俺を見つけない。
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