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12足24つ
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3年という、短いといえば短く、長いといえば長い期間を一緒に過ごした恋人にとって、それに毎日一緒に朝日を浴びる二人にとって、クリスマスはただ一緒に過ごす日々の一日に過ぎなかった。
今年までに終わらせなければならない締め切りと年末調整を一人で済まさなければならないフリーランサーに12月は気がつく暇のない月だった。
大学生にも例外はなくで、課題を提出して、期末テストを受けて、やっと少し余裕ができた時はすでにクリスマスをたった一日後に控えていた。
-
久しぶりにうるさいアラーム音なしで目が覚めた。 少し疲れたけど、時間は多いからまぁいっか。 心にも余裕を持たせる空間ができた。
隣を向くと、少し整理された枕が見えるだけで、気持ち良さそうな寝顔は見えなかった。 おそらくすぐ隣の部屋である彼の作業室でまた忙しい時間を過ごしているだろう。 自分も昨日まではあまり違わない生活をしていたから寂しがることさえ申し訳ないほどだが、すぐにも恋人を抱きしめてゴロゴロしながらこの時間を無駄に潰したい気持ちになるのは仕方がなかった。
ニカの枕に顔を埋めて、息を一度吸い込んだナオは吐き出す息に鬱陶しい気持ちまで出すことにした。
少し鈍い動きで起き上がり、冬のスリッパの柔らかい肌触りを裸足で感じながら閉めていた部屋のドアを開けた。
生活感が感じられないリビングを想像したナオの予想とは違く、ソファーやテレビ飾り棚、本棚のあちこちにニカとナオの靴下があちこちに散らばっていた。
確かもう洗濯を終えて畳んでおいた靴下なのに、そんな考えをしていたナオにキッチンでガタガタしていたニカが声をかけた。
「ナオ!よく眠れた? 朝ごはん一緒に食べない?」
「え? えっと··· 食べる···. それよりあの靴下、ニカがまた洗ったの?」
靴下の存在が見えてないようにいつも通りの朝の挨拶をしてくるニカのせいで、実は元々あの場所にあるのが正しいのかという気さえした。 そんなはずないよな。
「あ、あれね? 飾りだよ。」
その言葉がナオの疑問に対する答えにはならなかった。
一体何の飾り? ピンとこなくて、まずは今日の日付を数えてみると、今日は12月24日、つまりクリスマスイブの日だ。
それならクリスマスの飾りだろうなー ナオはそれなりの思考回路を経て結論を導き出した。
しかし、飾り用の大きな靴下でもなく、自分たちの足にぴったりの小さな靴下数足を家のあちこちに撒いたその光景は、クリスマスのデコレーションではなく、ただ掃除していない家の中の姿にしか見えなかった。
しかもひとつでもなく、なんと12足、24つ。
一体プレゼントをいくつ欲しかったんだよ、ニカ。
仕方のない自分の恋人は、飾りが誇らしかったのか、左の方の小さな八重歯をむき出しにしてにっこりと笑った。
「でもニカ、ちょっとごちゃしてるからいくつかは片付けよう。」
「いいよー」
素直にいいと答えるのは流石に怪しいが、ひとまずテーブルにある靴下だけはすぐ片付けなければならないようだった。
とある日にニカがプレゼントしてくれたニット編みのオートミール色の靴下を手でつまむと、靴下からはかさかさという音が、後ろからはフフッ。 という声が聞こえてくる。 靴下に手を入れてかき回してみると、一つのメモに触れた。
「ナオ、アドベントカレンダーって知ってる?」
「アドベントカレンダー?」
「外国でよくやっていることで、12月の1日からクリスマスを待ちながら毎日1つずつプレゼントを取り出すカレンダーなんだって。 もっと先にあげたかったんだけど、仕事のせいで今更あげることになった。」
あ、それで… 24つか······.
メモを開きながら今回も自分なりにニカの仕業を納得した。
開けたメモには「はな」という文字がナオなら一気に分かるニカの手書きで書かれていた。
「何て書いてあるの?」
「はな···?」
何か隠したようににっこり笑ってニカが尋ねると、ナオは疑問符をつけて答えた。
チュッ。
軽い口づけがナオの鼻の甲に与えられた。
そこでナオはまた理解した。 メモに書かれているところにニカの愛情を受けるようだ。
もう気づいておきながら、分かっていないふりをして、いつものぼうっとした顔で次の靴下を手に取り、2番目のメモを開いた。
「…翼の骨」
ナオの後ろに向かったニカがすーっという音とともにナオのTシャツをまくり上げた。 少し露出した肌に冬の空気が触れ、ナオが体を丸めようとした瞬間、
チュッ。
今度はナオの肩甲骨にニカが口づけをした。
暖かい温度に触れ、すぐ消えてしまうのがとても惜しかった。 同時に、まだ22つの靴下が残っているという事実がナオの胸を躍らせた。
お互いに集中できなかった数十日くらいの時間を補償してもらってるみたいだった。
今はもうナオの上に乗ったニカが近くにあった靴下を一つ渡した。
どうやら今日はブランチを食べることになるようだ。
今年までに終わらせなければならない締め切りと年末調整を一人で済まさなければならないフリーランサーに12月は気がつく暇のない月だった。
大学生にも例外はなくで、課題を提出して、期末テストを受けて、やっと少し余裕ができた時はすでにクリスマスをたった一日後に控えていた。
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久しぶりにうるさいアラーム音なしで目が覚めた。 少し疲れたけど、時間は多いからまぁいっか。 心にも余裕を持たせる空間ができた。
隣を向くと、少し整理された枕が見えるだけで、気持ち良さそうな寝顔は見えなかった。 おそらくすぐ隣の部屋である彼の作業室でまた忙しい時間を過ごしているだろう。 自分も昨日まではあまり違わない生活をしていたから寂しがることさえ申し訳ないほどだが、すぐにも恋人を抱きしめてゴロゴロしながらこの時間を無駄に潰したい気持ちになるのは仕方がなかった。
ニカの枕に顔を埋めて、息を一度吸い込んだナオは吐き出す息に鬱陶しい気持ちまで出すことにした。
少し鈍い動きで起き上がり、冬のスリッパの柔らかい肌触りを裸足で感じながら閉めていた部屋のドアを開けた。
生活感が感じられないリビングを想像したナオの予想とは違く、ソファーやテレビ飾り棚、本棚のあちこちにニカとナオの靴下があちこちに散らばっていた。
確かもう洗濯を終えて畳んでおいた靴下なのに、そんな考えをしていたナオにキッチンでガタガタしていたニカが声をかけた。
「ナオ!よく眠れた? 朝ごはん一緒に食べない?」
「え? えっと··· 食べる···. それよりあの靴下、ニカがまた洗ったの?」
靴下の存在が見えてないようにいつも通りの朝の挨拶をしてくるニカのせいで、実は元々あの場所にあるのが正しいのかという気さえした。 そんなはずないよな。
「あ、あれね? 飾りだよ。」
その言葉がナオの疑問に対する答えにはならなかった。
一体何の飾り? ピンとこなくて、まずは今日の日付を数えてみると、今日は12月24日、つまりクリスマスイブの日だ。
それならクリスマスの飾りだろうなー ナオはそれなりの思考回路を経て結論を導き出した。
しかし、飾り用の大きな靴下でもなく、自分たちの足にぴったりの小さな靴下数足を家のあちこちに撒いたその光景は、クリスマスのデコレーションではなく、ただ掃除していない家の中の姿にしか見えなかった。
しかもひとつでもなく、なんと12足、24つ。
一体プレゼントをいくつ欲しかったんだよ、ニカ。
仕方のない自分の恋人は、飾りが誇らしかったのか、左の方の小さな八重歯をむき出しにしてにっこりと笑った。
「でもニカ、ちょっとごちゃしてるからいくつかは片付けよう。」
「いいよー」
素直にいいと答えるのは流石に怪しいが、ひとまずテーブルにある靴下だけはすぐ片付けなければならないようだった。
とある日にニカがプレゼントしてくれたニット編みのオートミール色の靴下を手でつまむと、靴下からはかさかさという音が、後ろからはフフッ。 という声が聞こえてくる。 靴下に手を入れてかき回してみると、一つのメモに触れた。
「ナオ、アドベントカレンダーって知ってる?」
「アドベントカレンダー?」
「外国でよくやっていることで、12月の1日からクリスマスを待ちながら毎日1つずつプレゼントを取り出すカレンダーなんだって。 もっと先にあげたかったんだけど、仕事のせいで今更あげることになった。」
あ、それで… 24つか······.
メモを開きながら今回も自分なりにニカの仕業を納得した。
開けたメモには「はな」という文字がナオなら一気に分かるニカの手書きで書かれていた。
「何て書いてあるの?」
「はな···?」
何か隠したようににっこり笑ってニカが尋ねると、ナオは疑問符をつけて答えた。
チュッ。
軽い口づけがナオの鼻の甲に与えられた。
そこでナオはまた理解した。 メモに書かれているところにニカの愛情を受けるようだ。
もう気づいておきながら、分かっていないふりをして、いつものぼうっとした顔で次の靴下を手に取り、2番目のメモを開いた。
「…翼の骨」
ナオの後ろに向かったニカがすーっという音とともにナオのTシャツをまくり上げた。 少し露出した肌に冬の空気が触れ、ナオが体を丸めようとした瞬間、
チュッ。
今度はナオの肩甲骨にニカが口づけをした。
暖かい温度に触れ、すぐ消えてしまうのがとても惜しかった。 同時に、まだ22つの靴下が残っているという事実がナオの胸を躍らせた。
お互いに集中できなかった数十日くらいの時間を補償してもらってるみたいだった。
今はもうナオの上に乗ったニカが近くにあった靴下を一つ渡した。
どうやら今日はブランチを食べることになるようだ。
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