チートは一生捨てられない!

沙貴峯らま

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第2話

チート学校に通う

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カラカラカラ
ただ今未来、叶、絵馬、深夜、国王の五人に加え、護衛二人を入れた七人で馬車に乗り、王都に向かっている。
叶は絵馬の上でぐっすりと寝ている。絵馬の頭は深夜の膝の上だ。深夜は未来の肩に寄りかかっている。国王はそんなほのぼのとする状況をずっと見ていた。この世界には学校や鑑定装置はあるが、スマホやパソコンなどは存在しないのだ。
時間をかければ撮れるカメラは存在するのだが、その機械は持ち歩くことが可能なわけでは無い。国王はどうにかしてどこかに収めようと考えながらじっと四人を見ていた。

「何、見ているんですか?国王。」

国王はビクッとした。言葉の主は三人が乗っている深夜だった。

「あぁ、深夜、起きていたのか。どうにかして私の目の前の光景をおさめようとしているのだが」
「これ、使いますか?」

深夜が国王に差し出したのはスマホだった。

「何だ?これは」
「ここに召喚される前に使っていたものです。」

国王は信じられないといった感じで深夜を見た。

「し、召喚されていたのか?そんなことを一言も、」
「言ってませんからね。国王、そんなに大声出したら、」

深夜の声にかぶって誰かの声が聞こえた。

「ん。深夜。。。」
「ハイハイ。ここに居ますよ。未来」

深夜は未来の頭を撫でながら言った。
そうすると、未来は安心したのかもう一度スースーと規則正しい呼吸をしだした。

「国王。カメラは左下のところにあるものです。」
「わ、わかった。」

パシャ
カメラ音が馬車の中に響く。深夜はスマホを返してもらい、スマホに紙を近づけた。
すると、写真で撮ったものが紙に写った。とても綺麗に。
深夜はその紙を国王に渡した。

「はい。どうぞ。」
「い、今何をしたのだ?」
「僕の無属魔法です。」
「無、無属魔法が無演唱で使えるのか」
「はい。演唱を、するよりも効率も威力も良いですよ。」

まず上級魔法を使えることが凄いことなのだが、無属魔法は特性があっても使うことが難しいのだ。
そんな魔法を勇者でも使えなかったと言われている無演唱で使えたと言うのだ。しかもレベルは600だと言う。
魔王の3倍だ。こいつは本当に人間なのだろうか。
そうなことを考えているうちに王都の門に着いた。

「着いたぞ。」
「着きましたね。皆さん起きてください。」

深夜が一言そういうと三人は眠そうに起きた。
叶は寝起きとは思えないくらいに元気だった。

全員が馬車から降りると、国王はすぐに魔法科学校に通うための手続きの用紙を持ってこようとしたが、護衛が自分が持って来ると言い出した。
そのためまだ寝起きで眠いのか壁に当たりそうになっている未来と絵馬、そわそわしてうろちょろしている叶、所構わずゲームをしている深夜の四人はとても目立っている。
国王と一緒にいると言うものもだが、それ以上に四人は背が高く、十人に聞いたら九人がかわいい、カッコいいと言うほどの顔つきであるため目立つのだ。
一番背の低い叶でも168センチ、一番背の高い深夜は189センチという、15歳の平均身長とは程遠い高さである。
そのため、王都の人たちは国王には目もくれず四人を取り囲んでいる。
取り囲まれてやっと起きた未来は人見知りのため深夜の背中に隠れるようにサッと移動した。
未来の背は178と深夜の背中にすっぽり収まるサイズだ。

やっと言い合いが終わったのかフリフリと嬉しそうに手続き用紙を振っている国王と、ジメーとした効果音がいかにも合いそうな顔をした護衛二人が四人を囲っている人の間から入ってきた。

「それじゃあとりあえず此処に一人一人名前書いてくれ。」

国王はそう言いながら手続き用紙とペンを未来たち一人一人に渡した。
四人は受け取ると無言で記入欄を埋めていった。
そして国王に渡し、学校側が印を押せば手続き完了だ。

「ありがとう。登録完了だ。すぐに学校に向かうか昼を先に食べるかどうする?」

国王は紙を受け取り、懐中時計を見ながら言った。
深夜も時間を確認するとちょうど十二時だった。
四人は召喚されてから何も口にしていないのだ。召喚された時、叶だけは棒付きキャンディーを食べていたことはシークレットだ。未来にバレたらフルボッコにされてしまう。
未来と叶は幼馴染だ。
昔虫歯になり泣き出した叶がでもつけられない状況になったことがあった。その時はまだ全ての歯が生え変わってなかったため大事には至らなかったが、また虫歯にでもなられたら泣いている叶の相手をさせられるのは消去法で未来になってしまうのだ。
未来はまず虫歯をさせないようにと、二人の間で「三時以外は食べてはいけない。」という事と、「食べた後は歯磨きとその報告をすること。」と言うことを約束したのだ。その上、破ったら切り刻むと言うことまで言われていた。
そして今回は約束を破ったのだからバレたら切り刻み確定である。
叶は脳内で考えてからポンと手を叩き、諦めたように「さようなら私」とブツブツ言いだした。
そしてその姿を絵馬が同情するように見ていた。

色々としているうちに話がまとまったのか結局昼を食べてからにする。ということになった。
決まったはいいが、次は何を食べるかでまた国王と護衛が言い争い。

結局学校に一番近い定食屋に決まった。
店内は国王が来たので勿論ざわめく。

この世界には日本とは違うところがあまり無い。野菜や果物は同じ形、同じ味だし、調理の仕方もあまり変わらない。
味が変わるのは調味料の違いだと言えるほどである。
パソコンはないが、時間をかけると撮ることができる高価なカメラもある。
ちゃんと考えて見ると、違うのは使っている言語と人間個人に属性や特殊能力があるくらいだ。
未来は店内のことは他人事のように呑気にこの世界と日本の違いを考えていた。

未だざわめいている店内。
未来は考え事、叶は店に来ていた名前も知らないお客さんと談話を、深夜は色々とめんどくさくなったのかゲームをやり始めていた。
絵馬と言えば、初めて目にした店員を呼ぶためのベルを興味ありげにみている。
国王は店長と話しでもつけていたのか四人のいるテーブルにメニュー片手を持って来ていた。
「みんな、此処のご飯は私の奢りだ。好きなものを頼むといいさ。此処の店は王都の中でも美味しいと評判なんだよ。さあ、好きなものを好きなだけ頼むといいさ。色々な料理があるぞ。」
どうやらこの店は国王のお気に入りらしい。
護衛の一人が呆れ混じりのため息をしながら仕事しろと言っていたのはどうやら国王の耳には入っていなかったらしい。未来は呆れ笑いをしながらメニューを開いた。そのメニューを覗くように叶と深夜も見ている。絵馬はまだベルが良いらしい。
大きい子供この15歳児が。未来静かに心の中で叫んだ。
四人は絵馬が間違えて鳴らしてしまったベルで来てくれた店員さんに注文をした。
ちなみに、未来はキツネうどん。深夜は和食定食(味噌汁と鮭のホイル焼きと白米と二つの小鉢)。絵馬は湯豆腐。叶はオムライスに蕎麦、その他スイーツ29種全てというありえない組み合わせだ。
和食、洋食がごちゃごちゃというのはおかしくはないか。未来はそう思っていたのだが、深夜に色々と言われ、考えることをやめた。
そして、それと同時に見事なボンキュッボンな叶が大食いだということがわかった。昼だけでどんだけ食べるのだろう。

店員さんが料理を持ってきてくれたと同時に叶がブラックホールのように消費していった。ブツブツと言いながら食べていたのは誰も知らない。
国王も叶と同じぐらい食べていたという。
コックはのちに料理の材料がなくなり、今年一番の売り上げだったと語った。

国王は昼を食べ終わり、懐中時計を見ると既に十六時になっていた。昼に四時間かかった未来たちは何なのだろうか。食べるのが遅かったのか・・・
結局学校は明日にお預けとなった。
学校はシェア寮生活らしい。そのため四人は寮に泊まることになった。これからもそこで住むらしい。
とりあえず、まずは行動だ。
国王と護衛、未来たちは学校の隣にある寮に向かうことになった。
因みに、寮の部屋は未来、叶、絵馬、深夜の順に隣り合わせになっているのであまり離れていない。
「今日からみんなであそべるにゃ!トランプ、オセロ、UNO、、」
叶に関しては遊びのことしか頭にないようだ。早速遊び道具を探し始めた。
どこにそんなに沢山の遊び道具を隠し持っていたのか。そして時々遊び道具と一緒に出てきているキャンディーやらチョコレートやらが未来に見つかり叶はフルボッコを食らっていた。
「なかなか、カハッやるじゃにゃいか」
「いや、カッコつけんなクソ叶が。」
叶が凄いドヤ顔で未来の攻撃を一方的に受けていた。そう、一方的に。
深夜は最早見ることさえしなくなった、

寮の中は結構広かった。料理器具は揃っており、冷蔵庫はホテルのように無料の水やジュースなどが入っている。
冷蔵庫の上にあるカゴの中には紅茶や緑茶の茶葉が入っているビンが入っていた。そして、その横には綺麗に洗ってあるコップとカップが置いてあった。
個人個人の部屋の共通点はそれくらいだった。部屋ごとに壁紙が違い、まるで部屋を使う人のイメージカラーのようだった。
叶は黄色とオレンジの水玉模様。
絵馬は紫と黒のチェック。
未来は紅の斜線。
深夜はシンプルな白のままだが、カーテンが黒のチェックだった。
壁紙の端には特殊能力のイメージイラストが書いてある。
特殊能力というのは、人口の三十%しか居ないと言われている最強能力と言われているものである。
固有スキルは生き物である限り持たない者はいない。
特殊能力はまず持っているということが凄いのだが、特殊能力を持たない人間が特殊能力を持つ人に勝負を挑んだら絶対勝てないと言われるほど特殊能力は強いのだ。
魔法科学校の生徒の中でも特殊能力を持つ人は数少ないと言われている。
珍しいというのに四人は全員特殊能力も固有スキルも持っているというのだ。
その上、この四人はレベルが桁外れだ。
おかしいにも程がある。

まだ四人はこれからおこる魔法科学校での出来事をこの時はまだ知らなかった。

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