やさぐれ令嬢

龍槍 椀 

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転進編

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 アデレーってね、 グスターボの南側にある国なんだよね。 気候は温暖、海に面している部分もあるから、外国との交易もあって、なかなか豊なんだ。 そんでも、やっぱり、魔物は出るんだよ。 ほんとに。

 アデレーの中心にあるのは、王都アデレンティア。 グスターボの”都”と遜色ないわよ。 大きな教会もあるし、商館も建ち並んでるし、学校も色々あるけど、実学優先なんだよね。 うん、ばっちり。

 待ちゆく人たちの表情も明るいし、無茶な税率でもない。 国軍は志願制だし、貴族は文官と武官の家に分かれて、それぞれ真面目に国に尽くしているって感じ。

 後宮も無いし、国王陛下は優しいお人柄。でも、決める時は決めて、戦う時は戦う人なんだなよね。 勇猛果敢、有言実行、なんて言葉が思い浮かぶよねぇ……

 婚約破棄からグスターボの貴族籍を抜かれて、三か月たった。 何の問題も無い。 一応さぁ、あの脳筋馬鹿には、私がアデレーの王孫の籍が有る事は伝えたつもり。 まぁその通りなんだけどねぇ、やっぱりお邪魔虫なんじゃないかなぁって思ってた。

 グスターボでは、、五歳から十八歳まで、魑魅魍魎の跋扈する後宮で、御妃様に”教育”って名目で”イジメ”に逢ってたし……

 でだ、脱出から二週間でやっとこ王都アデレンティアに到着して、国王様に謁見出来た。 無茶苦茶緊張したよ、マジで。 国王様は私のお母様の御父様。 私にとっては御爺様。 でもね、一度もあった事無かったのよ。 なんでかって?

 分かりやすく言えば、御父様がお母様と無理矢理政略結婚したから。 アデレーはお母様がグスターボに嫁ぐ前に、色々在って、国軍は半壊、農作物は3年連続の凶荒、海も嵐で貿易商の4割が破産てな具合で、国内が ”ガタガタ”だったのよ。

 で、そん時にグスターボの聖女様からアデレーに ” 仲間になるんなら、障壁の内側にいれてやんよ ” って打診されたわけ。 まぁ、魔物の脅威も、天災もあって、仕方ねぇって御爺様が決断したの。

 でもって、お母様がグスターボに親善特使でグスターボにやって来て、御父様に見初められて、聖女様からお願いされてね。 嫌々では無かったんだけど、まぁ政略結婚な訳だ。 

 でも、幸せにやってるんならいいか、って国王様は想ってたらしい。 それ程、熱心に求婚してたからね。 そんで、私が生まれた。 その知らせを聞いて国王様めっちゃ喜んだそうだ。 でも、お母様の体調が思わしく無くてね。

 伯父さまが見舞いに行くって言っても、グスターボ側がなんか止めてたらしい。 後から前聖女様お婆ちゃんと話が出来る機会が有った時、そん時の事聞いてみた。 

 まぁ、びっくりしたね。 御父様よそに女作ってて、子供まで孕ませてた。 お母様頑張ってたけど、気候も風土も合わなくって、敢え無くお空に召されてしまったって。 そりゃ心労だろう。

 寄る辺ない、遠い異国に嫁いできて、旦那が浮気三昧。 家庭も顧みない、そんで、慣れない子育て。 侍女やら何やら連れて来たんだけど、御父様が頑として受け入れなかったから、屋敷でも孤立無援。 うん病むね。

 とってもそんな状況をアデレーに知らせられないって、緘口令だってっさ。 侍女さん達が身分を偽ってクリストバーグ侯爵家に入った時には、もうね…… 遅かったみたい。

 一人 入ったら、後は引きずり込んで行くスタイルで、大部分の使用人が元侍従で抑えられた時には、お母様衰弱が激しくてね…… 私が六歳だった。お母様が、お空に帰った後に来たのが、そん時の浮気相手と子供…… う~ん、何と言うべきか、御父様が遠くに感じたよ。

 でもって、さらなる裏話。なんでも、お母様のもってた魔力ってのが、あんときのグスターボには是非とも必要だったらしい。 で、あっちの王様が、宮廷魔術師の御父様に命じてお母様を娶らさせたらしい。 うん、何の証拠も無いよ。

 でも前聖女様お婆ちゃんが泣きながら教えてくれたからそうなんだと思う。 でもって、その魔力、私の中にもあるんだ。 魔法障壁にどうしても必要な成分だから、何としても、私をグスターボに残さなきゃならん。でもって、でっち上げられたのが、ジュリアス聖王太子との婚約なんだと。



 親子二代にわたっての政略結婚だぁ! それも、理由をひた隠しにしてね。



 だから、この事を知ってたのは、グスターボの前国王様と前聖女様の御二人だけ。 あっちにとって、残念な事に引き継ぎは出来て無かったみたいね。 まぁ出来て居たら、まだ、あっちに居たと思うから。

 で、現グスターボ王も、その御妃様もその事は知らんから、異国出身のお母様が生んだ私の事は、目の敵にされるわけね。 前国王陛下からの遺言で決まった、ジュリアス聖王太子との婚約だけど、まぁ白い目でみられたわよ。 生粋のグスターボ人じゃないってね。 ” やさぐれた ” 原因は主に其処なんだけどねぇ……

 で、婚約破棄されて、グスターボに貴族籍が無くなった事で、私は晴れて原籍に復帰できたわけ。 そんで、御爺様とご対面になるんだけどねぇ…… はじめましてが、十八歳ってどうなの? まぁ、王宮では完璧に猫被ってたけどねぇ。 

 謁見の時は緊張でドキドキもんだったけどねぇ…… 王家の係累がみんな呼ばれてたみたいで、結構人数いたよ。 御妃様達すら、泣いてくれたしね。 お母様と、私の政略結婚の話は使用人を通じて、こっちにも入ってたみたいなんだけど、小さい頃は、ガッツリガードで手出しできなかったみたい。 で、今後の話になった。

 王族としてやっては行けると思うよ。 五歳からそういう教育受けてたし。 でもここ「アデレー」そんで、やっぱり私は ”ハーフ”なんだよ。 残念な事にね。 で、王様にお願いしたんだよ。



「国王陛下に奏上いたしたき儀が御座います」

「なんじゃ、申して見よ」

「有り難き幸せ。 私の王位継承権で御座いますが、皆様のご混乱を避けるため、これを返上させて頂きとうございます」

「なに?」

「アデレーは、王太子殿下、王太孫閣下と盤石で御座いますゆえ、此処に要らぬ傍系が入りますと、お国の為になりません。 今は宜しいでしょうが、いずれ、わたくしを利用する者も出るやもしれません。 火種とならぬ用、わたくしの継承権は抹消していただきたく……何卒……」



 皆さんの視線が痛かった。 憐れむような、安心するような、……でも、 蔑みだけは無かった。 うん、満足。



「判った。 ベルダンディーお前の言う通りかもしれん……しかし、お前の身分だけは、しっかりしてもらうぞ」

「はい」

「継承権は無いが、お前は儂の孫じゃ。 公爵位と共に一家を立てよ。 領地は直轄地の一部を」

「謹んでお受けいたします。 ただ、周囲との兼ね合いも有りますので……」

「みなまで言うな。判っておる。 悪いようにはせん」



 国王陛下のつるの一声でそう決まった。 うん、決まってしまった。 あとから正式な授与があって、私は、ベルダンディー=ファーリエ=アデレー公爵になった。 一代限りのね。 もし、結婚できても、私の名前には必ずアデレー公爵が付く。 でも、子供が出来ても、それは、まだ見ぬ旦那様の爵位になるんだ。 うん、不良物件だね! 

 そんで、領地なんだけど、アデレーの直轄地って民の事を思ってか、辺境部分に固まってる。 直轄にしないとやってけない処ばっかりなんだ。 国王様色々考えてくれたらしくね、これが絶妙なんだ。

 王都アデレンティアから遠くも近くも無い、辺境で魔族の居る場所も近くも無く遠くも無く、唯一目玉なのが一部が海に面している事だけ。 でも、全然開けてないし、道すら怪しい。 ちょっとお荷物感のある小領だった。 近くにはアデレーの騎士達の領地が多くて、どれもドングリの背比べ状態。 お付き合いにしても、派手には出来ない場所。

 凄いね、流石は国王様。 よく考えられてるね。 他の王族の人達も納得の領地と爵位関係。さすがにもまれてる国は違うね。

 と、云う訳で、前のお家に仕えてくれた使用人達が全部が雇えました。 一人残さずね。 その位の税収はある所だった。 まぁ只、皆が言うには、社交が難しいと。



 声を大にして言いたい。





     いらん!!!






 そうなんだよね。 使用人の人達、私の「猫被り」、知ってるんだよね。まぁ楽っちゃ楽なんだけどねぇ。





 *************





 祝賀会もいい感じな期間で終了した。 うん、強制終了。



 私がね。

      倒れてみたのよ。

                わざと。



 だってね、何時まで経っても解放してくれなさそうだし、ちょっとお貴族様の特に王族様の間で泳ぐのは暫く勘弁してって思っててね。 体調不良じゃぁ弱いから、祝賀の舞踏会で、アデレーの主要貴族様達がいる前で、何曲か踊った後、ぶっ倒れてみた。当然大騒ぎになったよ。

 ゴメンね皆さま。 でもまぁいつまでもダラダラとパーティ三昧って訳にはいかんでしょ。それを機に領地へ引っ込んだ。 御爺様はめっちゃ引き留めたかったらしいけどね。

 領地は私にとって天国だったよ。 直轄地って事で、小さな村が十数村と村々を繋ぐ主要街道が一本。 領地の中心部に領主の館が有ったんだけど、誰も配されてなかったんで、村役場みたいな感じで利用されてたみたい。

 館はホントに質素でね、グラスターボのクリストバーグ侯爵家の屋敷の方が立派だったよ。 でもね、大きいから良いって訳じゃないんだ。 此処は私の館。 誰もちゃちゃ入れてこない。 



    うん、最高!



 で、領地の名前がなんと、私のミドルネームと同じ 「ファーリエ」。 アデレーで、妖精の住む処って意味らしい。 なんかとってもメルヘンですねぇ。

 領地に引きこもって、最初にしたのが、領内の確認。 領民がちゃんと生きて行けているのかって所。 大事。とっても大事な所。 だって、領地だけあっても、領民が居なくちゃ、ご飯食べれないでしょ? 必要経費だって、国王様に直接貰う訳にはいかないし。

 でだ、有能な家令のルワンに頼んでみた。 



「ルワン。 お願いがあるの」

「何で御座いましょうか?」

「取り急ぎ、現状確認したいの」

「はい」

「村の規模、住民の数、健康状態、主要な名主、現有の防衛関係、道路、水路、橋の状況、作柄状況、って所かな」

「……何をお始めになるんでしょうか?」

「嫌だなぁ~ ルワン。 私は領主になったんですよ?」

「御見それしました」

「御庭番使って。 暫くは何もしないし、出来ない。 出来る事を探す」
「分かりました。では」



 重厚な作りの執務室の内装は、ちょっと気が重いから、重たいカーテンを取っ払って、レースのカーテンに替えてみた。 モチロン私自身で。 うん、軽やか。 侍女がお茶を持って入って来た時には終わってた。



「お、お嬢様!!」

「あぁ、そのカーテン、洗いに出して」

「いえいえ、なんでお嬢様が自らそんな事を……」

「気分転換。 まだ、やる事決めて無いからねぇ」



 大きな溜息をつかれたよ。 あっちじゃ、部屋か居間にちょこんと座って”なんにも”させてもらえんかったからね。 実は王宮の後宮で御妃様後ろの魔女に、散々いじめられて、この手の事も出来るんだよ。 ” あら、この部屋暗くありません? 貴女みたいね ” とか言われたら、やるでしょ。 こんちくしょう!って。 次にお逢いした時に、絶句させるのが、私のストレス発散方法だし

 一週間かかるかなって思ってたら、三日で報告が来た。 侍女がルワンに苦情を言ってたみたい。 私、耳もいいんだ♪ 密やかに、喋る声聞こえるんだ♪  で、顔に出さない。 割と特技。 ちゃんと猫被らせて下さいってっさ。 体面もあるんだからってさ。 そうだねぇ。 此処は侍女の顔立ててやろうかなって思ってた時に、ルワンが報告書持ってきた。



「差し当たりですが、ご報告申し上げます」

「ありがとう。 まず、貴方の印象から聴きたいわ」

「はい、概ね良好です」

「改善の余地が沢山あるわけね。 それで、資金も余りないと」

「……お嬢様」

「図星ね。 貴方の絶句はいつ見てもいいものね」




 ” からかう ” のは この位にして、早急に対策を立てなければならない処を二人して考え始めた。



 *************



 伯父様が様子見がてら、行啓された。 まだ、全然進んでいないけど、領地の詳細は大体掴んだ所。 時間にして約3週間。 我ながら遅い……ホントに遅い。 ちょっと凹んでいた。 だって、先立つ”モノ”が予想以上に少ないんだもの。 取り敢えず私関係のモノを削るだけ削っている。



「ベルダンディー、体はもう大丈夫なのか?」

「はい、王太子殿下。 此方の気候がよほど合っているのか、大変良くなりました。ご心配かけました」

「はははは! お前、妹そっくりだなぁ」

「はい?」

「周りの空気を読んで、引き際を見ている。 うん、ただ妹と違うのが、やり方が直接的で大胆だ」

「ええ……何のことか、判りかねますが……」

「お前の母の兄だぞ、私は」

「……」

「わざと倒れたのは、父上には内緒にしてやる」

「……ばれてた」

「はははは! やはりな。 見事だったよ。 あのタイミング、場所。 倒れたところを見て、やっぱり妹の娘だと感心したよ」

「申し訳ございません」

「うん、黙っててやる代わりに、俺にもっと甘えろ。 娘がもう一人出来たのと同じだ」

「有り難きお言葉で御座います」

「……その猫、大事に育てろ」

「ちっ……そっちもか」

「あはははは!!! おい、ルワン、困った事が有ったら言ってこい! 力になるぞ!」




 喰えない御人だ。ルワンが思いっきり頭を下げてる。 うん、まぁ有難いしな。 よ~し頑張っちゃうぞ!!


   
            ~~~~~~~~



 伯父様が来られたのには、別の訳が有ったらしい。 やっぱり、グスターボの馬鹿王太子が聖女と結婚する事に成ったようだ。周辺諸国がざわめいているって。 アデレーは協力関係を見直すって。

 そうだよねぇ。 本当の理由を知らなかったら、単にアデレーは”護ってもらってるみたいなもん”だったしな。 この頃あっちが、完全に上から目線で、国王様頭に来てたもんなぁ……。

 馬鹿王太子が国王に即位した時に国交関係の見直しを発布するって。 それまでは ” 今は亡き前国王様 ” と ” 前聖女様 ” に、義理を通すんだってさ。



「それまでは、堪えてくれ」

「 ” 何 ” を、堪えるんですか?」

「えっ? いや…… お前、悔しいとか無いのか?」

「ほほほほほ、ゆっくりと落ちる様を、遠くから眺めるのは、 ”  ” ものですよ?」

「……随分と良い性格してるな」

「ええ、半分は彼方の血が流れておりますゆえ」

「……すまぬ。」



 なにか、嫌なもので思い出されたのでしょうか? とても苦い表情をされていますねぇ。 そんな表情にさせてしまった事、本当に申し訳ございません。 うん、そうね、ちょっと追撃しておきますか。



「本当の事ですもの。変えられません。 ですが……」

「なんだ?」

「この地に豊かな恵みを引き込む為には必要な ”モノ”ですわ」



 割と、マジにそれは思っている。 必要な時に必要なモノを手に入れる為には、民の為にはなんだってやってやるよ! 私には其れしかないからねぇ。 真剣(マジ)な表情で、伯父様を真正面から見詰める。伯父様も、私の瞳に浮かぶ決意と読み取ったみたい。 うん、とっても、いいね!!



「王族の血と教育か……頼もしいな。 俺も気を引き締めて掛かってやるよ」

「有難うございます!!。 伯父様、頼りにしていますね♪」

「……ルワン! 手綱は緩めるなよ。このお嬢様、相当、暴れ馬みたいだからな」



 ルワンがまた、大きく頭を下げてるわ。 何の事でしょうか? ニコリと笑うと、王太子殿下もニッコリ笑ってくれた。 なんか黒いけどね♪ さぁ、お仕事お仕事っと!

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