手の届く存在

スカーレット

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~Girls side~第12話

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ヘタレこと大輝が二人を選んで早一カ月。
梅雨が近いこともあってジメジメした空気に辟易しつつも、もうすぐ私は十四歳になる。
大輝と朋美は私の誕生日に何かしてくれようとしてくれているらしく、二人で出かけている。 

私は一応、二人が何をしているか知らないことになっている。
よって、家の用事があるからと私は参加を辞退した。
用事なんてものがあるはずもなく、私は部屋で読書を楽しむ。

何回となく読んだ作品なので、ほぼ丸ごと暗記してる様なものなのだが、それでもこの作品は私を楽しませてくれる。
正直誕生日だからって特別なことは望んでいない。

二人が、私の側にいてくれればそれで満足だ。
まぁ、強いて言うなら大輝が覚悟を決めてくれたら尚よし。
……しかし暇だ。

久し振りに神界にでも帰っておこうか。
みんな元気だろうか。
死ぬことがないとは言え、あまりに姿を見せないと忘れられてしまうこともありえる。
仮に二人から連絡がきたとして、寝てたごめん☆とか言っておけば大丈夫だろう。

決めたら行動は早い。
コツはあるが、まだ大丈夫なはず……。
眠りに落ちる瞬間に魂の一部を抜き取る、それだけだ。

ベッドに体を横たえ、目を閉じる。
意識が深い闇に包まれ……今だ。

ふっと体が軽くなった様な感覚に包まれる。
この感覚も久し振り。
さて、誰か残ってるかな。


「久しいな、スルーズ」

ヴァルハラの門番ヘイムダルが、私を迎えてくれる。
門番なのに、ラグナロクの後は門の周辺の掃除をしているところしか見た記憶がない。
ごつい鎧を着て、顔のほぼ全面が兜に覆われているのだが、その格好で掃除って、やりにくくないのかと聞いたことがある。

「運動不足解消に丁度良いんだ」

事も無げに彼は言った。
ラグナロクの時、私がブチキレてヴァルハラを半壊させたときには、珍しくマジ切れして私と殴り合いのケンカをした仲だ。
そのケンカはぶっ通しで二百時間を超え、他の戦女神のスクルドや雷神と呼ばれ恐れられていたトール、豊穣の神フレイが全力で止めに入ったことで終戦を迎えたが、その殴り合いの激しさからヴァルハラは結果として全壊してしまった。

オーディンが後にちょちょいと元通り再建したわけだが、私もヘイムダルもキツくお叱りを受けた。
普段は温厚でまず怒ったりしないが、ヴァルハラやオーディンのこととなると途端にアツい……いや通り越して暑苦しい男になる。

立場としては彼の方が本来上なのだが、私は私以外の誰も敬うことはしない。
オーディンにも、本来様をつけなくてはならないのだが、オーディン本人が様なんかつけなくて良いと言っていたので省いている。

「久し振り。元気そうだね。相変わらず掃除ばっかしてるの?」

つい憎まれ口を利いてしまうが、悪意はない。

「お前こそ相変わらずだな。最近は料理も楽しくなってきてな」
「主婦か(笑)もうそのままオーディンと結婚しちゃえば?」

冗談めかして言うと、ヘイムダルは少し慌てた様子を見せた。
え、何?
尊敬とか主従の関係超えた感情持っちゃってる? 

気持ち悪いんだけど。
挨拶もそこそこに、ヴァルハラの中へ。

「あ、スルーズじゃん。何年ぶりかな?相変わらずっぽくて安心したよ!」

運命の女神ノルンだ。
見た目は十五~十六歳くらいの話好きな女の子の様だが、私はこいつに頭が上がらない。
以前は割とお互い相談しあったりする仲だったが、今は私の魂と元の体の管理を任せてしまっている。

もちろん彼女も神だし大変ってこともないのだろうが、私も人間に染まってきたということだろうか。
こいつが、私に……観測者に選択肢を伝える者の役を負っている。
同時に、観測対象が死亡した際の魂の移動なんかもやってくれてる。

余談ではあるが、以前軽く口ゲンカになったことがあり、その時は丁度、私の条件に合致する体が空かない期間だった。
タイミング悪くケンカしてしまったその時、怒ったノルンは私をハエに転生させた。
コンビニで人間の、中途半端なデコピンをくらって昏倒したハエに転生させられ、目覚めた直後に潰されて絶命するという、恐ろしい体験をさせられたのだ。

今考えたら職権乱用じゃないのか、なんて思うが、こいつを怒らせるのはやめようと誓ういい機会だったと思うことにした。
多分今神界で一番か二番くらいに忙しいのこいつだろうな。

「今の体、気に入ってるみたいだね。何度もその子やり直してるよね」
「まぁね。久し振りに凄い綺麗な魂見つけちゃってさ。何とかして生存させたまま攻略したいんだ」
「へぇ、君がそこまで入れ込む魂って、興味あるな」

奥から男の声がした。

「ロキ……あんたまだいたんだね」
「これはご挨拶だな。オーディン様から許しを得てここに居るというのに」
「そういう意味じゃない。あんた、一つのところに居る事なんてほぼなかったからさ」

かつての悪神と呼ばれたロキは、見た目は二十歳前後のキザな優男だ。
ラグナロクの時は敵に回ったり味方になったりと忙しいやつだった。
裏切りがやたら目立つやつだったので、今でもきっと心から信用する様なやつはいないはずだ。

「まぁね、けどここは居心地いいからさ。ヘイムダルの作る食事も、とっても美味しいんだ」

割と本心からそう言って見えて、変われば変わるもんだなと思ったりする。

「それは何よりだね」
「それより、その魂って、どんななのさ?良かったら教えてくれよ」

厄介なやつに話を聞かれたと思った。

「一生懸命だよ、色々。エインフェリアの素質もあるかもね」

嘘は通用する気がしなくて、正直に言う。
もうラグナロクは終わってしまっているし、エインフェリアを選定する必要もないが、大輝なら時代が時代ならそうなれたと私は思う。

「へぇ、君のいる時代にそんな素質持ちがねぇ……見てみたいかも」
「一応言っとくけど」
「ん?」
「あの子にほんのちょっとでも、ちょっかいかけたら……こ・ろ・す」

オーラを視覚化し、ロキを威嚇する。
これを本気で人間にやると、大体の人間はショックで死んでしまうこともある。 

「……怖いなぁ。大丈夫だって、どうしても見たくなったらノルンに頼んで見せてもらうから」
「脅しじゃないってことだけ、覚えといてね。死なないっても痛みはあると思うし、向こう三百年程度は転生も復活も出来ないくらいにぶっ壊すくらいは出来るんだから」
「わかったから、そんなにいきり立たないでくれよ。争いにきたんじゃないんだ。かつて力の象徴とまで呼ばれた戦女神スルーズにケンカ売ったりなんか……ヘイムダルくらいでしょ」

降参、と言いたげにロキは苦笑いで両手を掲げる。
何処まで本気なのかわからないだけにやや不安は残るが、とりあえずこの場は収めておく。
私もケンカをしたいわけではない。

「そういえばオーディンは?この奥?」
「あ、うん。さっきお昼寝から起きたみたい」

ノルンが言う。

オーディンは寝起きが悪い。
酷いと起こしに行った相手に裁きの雷を浴びせたりする。
あれをくらうと、最悪三日間は指一つ動かせないほどの衝撃を受けることになるのだ。

スクルドが前に、うっかりオーディンを起こして特大版の直撃を受けてるのを見たときは戦慄した。
とりあえず今はもう起きているのだとわかると一安心する。
一応上司みたいなもんだし、顔くらいは見せていこう。

「おー!スルーズじゃないか!何年ぶりかの!!」

寝起きから元気だなこいつ。
見た目は五、六歳の男の子。
一応主神という肩書き持ちなのでそれらしい服を身にまとっている。
だが丈が合わないのか歩くと裾を引きずってしまう。

「いや、ちょっと人間界で暇になったから、昼寝がてら戻ってみた」
「おお、そうかそうか。どうだ、人間界の様子は?何でも一人の男に入れ込んでるそうじゃないか。ホストクラブに通っておる感覚かの?」
「私をホスト狂いのOLみたいに言うな……。ちゃんと人間の体で交際してるよ。ちょっと珍妙なことにはなってきてるけどね」
「確か、その男を生かす為にはハーレムを作ることが必要なんじゃなかったか?ノルンが笑いながら言っておったよ」

あの女……本当いい性格してるわ。

「まぁね……その第一歩が成されたばっかりだよ」
「ほう、割と順調そうじゃの。今度はリセットしないで行けるといいのう」
「まぁ、無駄に邪魔入れたりするやつがいなきゃ何とかなるでしょ。ロキとか」
「ロキ?あやつはもう、ここ千年近く大したイタズラもせんと大人しくしとるよ」

裁きの雷が降ってきたわけでもないのに、めちゃくちゃな衝撃を受けた。
あのロキが?
とてもじゃないが信用出来ない。

「その顔、信用出来ないか。まぁ、気持ちはわかるわい。けどな、あやつが自らあやつの様子を一日中探ってくれても構わんとまで言ってな。バルドルに監視させておるが、特に変わったことがあったという報告もなく平和なもんじゃよ」

バルドルか……あの堅物が監視してるなら、安心と言えば安心か。
かつて光の神と呼ばれたバルドル。
あいつは冗談は通じないし、正直一緒にいるのが苦痛になるレベルの堅物だった。

しかし、真面目さだけは他のどの神の追従も許さない。
ヘイムダルをして、

「彼の真面目さ、真っ直ぐな考え方は学ぶことが多い」

とさえ言わしめたほどだ。

「そうか……なら、一つだけ頼みたい。ロキに限らずだけど、他に私の邪魔をしようとするやつがいたら教えてくれないか?」
「構わんが……最近は邪魔しようというやつの方が珍しくなっておるぞ?なにしろ、上手く行くことがほぼない上に成果が苦労に見合わんでな」

誰だかがそんなことを、ずいぶん前に言ってたな。
だとしたら、何かしてくるなら私に私怨がある、もしくは人間界で大輝やその周りに拘りを持つやつ……思いつかない。
起こってもないことを心配する意味もない。
出来ることを出来る内にやっておく方が賢明か。

「それもそうだね。ところで、私がこっちきて何時間経ったかわかる?」

うっかり時間をチェックするのを忘れていた。

「ちょっと待っとれ…三時間と四十八分ほどか。そろそろ戻るか?」
「ああ、さっきも言ったけど昼寝がてらの帰郷だからね。またくるよ」
「お前さんは生き方が賑やかで面白いからな、また来るのを楽しみにしとるよ」

目が覚めると人間の体に戻っている。
みんな元気そうだったし、まぁ消滅したりもしないわけだけど。
それでも少し嬉しいし、懐かしい気分になった。
少し沈みがちになっていた気分は、気づけば明るさを少し取り戻した様に思えた。

そして迎えた、私の誕生日当日。
呼び鈴が鳴ったので、自ら迎えに出る。

「いらっしゃい、待ってたよ」

二人が仲良さげに見えるのが微笑ましい。
少し心にゆとりができたのだろうか。

「春海、誕生日おめでとう」
「おめでとう、これでまだ十三歳なの大輝だけだね」
「たった四ヶ月違いだけどな」 

大輝は十月生まれだからこれから誕生日。
朋美は四月生まれなので、もう既に十四歳だった。
大輝が、私にプレゼントと思しき袋を渡してくる。

何が入っているんだろう。
柔らかい様な……おっぱいマウスパッドとかかな。

「ありがとう、開けていい?」
「ああ、どうぞ。そのためのプレゼントだろ?」

言われて、丁寧にプレゼントの包みをほどく。
それを見ていた大輝が、ニヤニヤしている。
一体何がおかしいんだろう? 

「……わぁ、何これ!可愛い!これ私たち?」

袋から出てきたのは、一人の男の子と二人の女の子がデフォルメされたぬいぐるみだった。

「デザインは、私がしたんだよ」

朋美は絵心があるらしく、とても可愛らしい。

「春海のは俺が縫ったんだ。ちょっと縫い目がちぐはぐになったりしてるかも、ごめん」

さすがに一目でわかる。
朋美とは何て言うか、丁寧さ?が違うのか、縫い目からして違いが見て取れた。

「はは、大輝不器用だからね」

そうは言うが、私は嬉しくてたまらなかった。
思いもかけないプレゼント。
予想もしない、二人の努力の結晶。

「何買うか迷ったんだけどさ、買うものだとありきたりになりそうだったから。なら作っちゃえば世界に一つかなとか」
「もらえるなら何でも嬉しかったけど……本当嬉しい」

正直泣くつもりなんかなかった。
それでも体は言うことを聞かず、涙が零れ落ちてしまう。

「お、おい、春海泣いてるのか?」

雨でも降りそうなんて思ってるんだろうな、大輝は……。

「「今失礼なこと考えてたでしょ」」

私と朋美が二人で声を揃えて大輝を睨む。
やはり私たちは呼吸が合うのかもしれない。

歓談がある程度盛り上がってきたところで、ママからケーキが焼けたと声がかかった。

「秀美さん……ケーキも手作りですか、凄い……」

朋美が感嘆の声を漏らす。
ママの家事スキルは相当なものだから、見ていて勉強になることが多い。
そういえば、朋美が初めてうちに来たとき。

パパもママも変な顔してたっけ。
私は包み隠すことなく、全てを二人に話した。
その上で、この形に落ち着いたことも話した。 

「大輝が二人を愛してくれる様に、私も二人を愛したい。朋美にも二人を愛してほしい」

私が言ったこのセリフが、二人の心を打ったと言っていた。
「春海の決めた事だから、とやかく言うつもりはないけど……簡単なことじゃないと思うよ?」

パパはそう言い、

「型に嵌まらないのが、うちの子だから……それに、新しい恋愛の形として、もしかしたらそのうちスタンダードになったりするかもしれないわね」

ママはこう言った。
スタンダードになったら、日本は一夫多妻とかになったりするんだけど……ないでしょ。

「大輝くん、それに朋美ちゃん。うちの子をこれからも宜しくね」

二人とも、朋美を歓迎してくれたみたいだった。

ケーキを食べて私の部屋へ。
ママもパパもプレゼントをくれて、ママは手作りのハンカチを五枚。
いつものことながら凝ってるなぁ。

パパは……腕時計か。
こんな高いの使う機会ほとんどないんだけどなぁ。

「パパは相変わらずだなぁ」

時計を珍しげに見ている大輝の視線に気付いて、私は言う。

「え?」
「去年、その前もこんな感じにブランドものだったんだよね。もちろん、時間ない人だから手作りなんか期待してないけど」
「くれようって気持ちが嬉しい、だろ?」

まぁ、気持ちは確かに嬉しく思っている。
けど、もう少し普段使い出来るものにしてもらえたら、なんて贅沢だろうか。

「そうだね。だからまだあけないで取ってあるんだ、包みごと」
「そのうち使ってやれよな」

そのうちね。
いつになるかはわからないけど。

「ちなみに、去年その前と大輝がくれたものはここにあるよ」

じゃん、と取り出したのは手紙。

「読む?」

朋美に渡そうとする。
朋美が受け取る。

「や、やめろマジで。その攻撃は俺に効く……」
あわあわとしている大輝が可愛くて、朋美と顔を見合わせて笑った。
こんな時間がずっと続けば、世界って平和になったりしない?

「なんてね、今度大輝がトイレにでも行ってるときに見せてあげるね」

言って朋美から手紙を受け取る。
朋美も本人の目の前で読み上げたりという拷問をするつもりはなかった様だ。

「大輝が春海のことどれだけ想ってたかがわかる内容かな?楽しみ」

朋美はウキウキだ。
ハーレムに誘って良かったと思える笑顔。
一人占めするだけが愛情ではないのだと教えてもらった気がする。

「書いてることが可愛くてねぇ」
必死で書いたであろう文面を思い起こして微笑む。
「やめんか!」

少しして、私と朋美は一緒に入浴することにした。
女の子同士だし遠慮いらないよね、ということで裸のお付き合い。

「春海、スタイルいいね……」
「朋美もいい感じじゃない?多分大輝はどっちも好きだと思うよ?」
「そうかな?だったら嬉しいけど」

会話をしながら私は洗い場へ。
朋美は湯船にいる。

「今カップいくつ?まだ育つよね」

朋美が私の胸を見て言う。

「Dだね。多分まだ大きくなるとは思うけど…朋美もCくらいなんじゃない?」
「Bで、今少しキツく感じてきてるとこ。今度買いに行くの付き合ってくれる?」
「そうだね、一緒にいこっか。私も新しいのほしいし」

完全なガールズトークだ。
大輝はこんなとこに混ざったら一、二回出ちゃうんじゃないかな。
洗い場と湯船を交代し、朋美が念入りに体を洗っている。

「いよいよだね」
「ほ、本当にするの?」
「だって、今日は特別な日、でしょ?」

一番搾りは私が頂くんだけど。

「な、何だかお腹痛くなりそう」
「あれ、まさか初体験でスカ……」
「やだ、やめてよ!そんなことになったら私死んじゃう……」
「ははは、大輝はきっと愛してくれるって」
「そうかもだけど、絶対今と違う目で見てくるよ……」

なんて下らない話に花が咲く。
私は先に上がり、体をタオルで拭う。
朋美は処理したいところがあるとかで、もう少ししたら出ると言っていた。

私も処理は完璧だ。
剃り残しどころか剃り痕すらない。
だって、神だし。

朋美に言ったら羨ましがられるだろうか。
そのときは神式永久脱毛でも施してやろうかな。

部屋に戻ろうとしたとき、廊下でママとすれ違った。

「春海、おやすみなさい。私たち、今日は離れで寝るからね」

準備のいいことで。
娘のためにそこまでする親というのも珍しい。
部屋のドアが開いていたので、中を伺う。

大輝が自家発電でもしてたら、と思ったが近藤さんの箱を握り締めて、一晩でこんなに使う訳ないだろ、みたいな顔をしている。
朋美も頭を拭きながら部屋の前にきた。
大輝が立ち上がったところへ声をかける。

「いつから……一晩で一箱も使う訳がないと錯覚していた……?」
「!?」

驚きのあまり、大輝は一メートルくらいは飛び上がったんじゃないかと思う。

「は、春海……いやこれはだな……」
「ママでしょ?大丈夫、わかってるから。とりあえず、お風呂空いたし入ってきたら?」

朋美も見ていた様で、プルプルしながら笑っている。

大輝が浴室へ行き、ガールズトーク再び。

「大輝の、やっぱり大きいのかな」

朋美が興味津々に言う。

「んー……大きいと思う。こないだ見たけど、通常でもなかなか……」
「そ、そうなんだ……それが膨張して硬くなるんだよね……?」
「そうだね。それに私たちは貫かれちゃうわけだ。覚悟はいい?」
「怖い言い方しないでよ……でも、血とか出るんだよね、きっと」
「そうみたいだね。稀に出ない人とかいるみたいだけど」

多分この体は出血する。
朋美も……多分するかな。

「大丈夫、アフターケアできる様、タイガーバーム……は違うか。オロナインとか用意はしてあるよ」
「タイガーバームなんか塗ったらショック死しそう……」

敏感な場所だし、粘膜だしね。
痛いだろうな、とは思う。

「朋美は自分でしたりするの?」 
「え、それ答えないとダメ?……ってこれもう答えみたいなもんだよね」

案外うっかりさんな朋美が少し可愛く見えてきた。

「そうだね。ちなみに私も自分でするよ。オカズはもちろん大輝」
「実物見てるのはアドバンテージだよね。私なんか想像しか……」

かなりぶっちゃけトークになっている。
ここに大輝が帰ってきたらカオスな空間になる予感がした。

「大輝と、キスくらいした?」
「二回だけ、した」
「ほうほう、どうだった?舌絡めたりは?」
「あー、したよ、二回めだけ」
「あやつ、やりおるな」
 
ついオーディンみたいな口調になってしまう。

「こんな感じだった?」

そう言って私は朋美の唇に吸い付く。

「ん……」

朋美が早くも甘い声を漏らし、体をよじろうとした。
もちろん逃がすつもりはないし、大輝も似た様な感じに行く予定。
あんまりやりすぎると、朋美が昇天してしまうかもしれないので、この辺にしておくことにした。


「お待たせ」 

寝間着の大輝が戻ってくる。
少し上気した顔の朋美を見て、不思議そうな顔をしていたので、私が注意を逸らす。

「長かったね。一回くらい抜いてきたの?」
「さすがに人の家でそんなことしねーわ……」

いつもの大輝と違ってツッコミにキレがない。
物理的に突っ込む方に意識が集中しちゃってるんだろうか。

「また暴発しちゃったら大変じゃない?」
「暴発前提とか、やめてもらえませんかね……」

あのときを思い出したのか、何ともいえない顔をする大輝。

「だって、そういうことするつもりだし」

ぷくっと頬を膨らませて、これからやることを匂わせる。

「や、やっぱりか……なぁ、本当にやるのか?」
「往生際悪いよ、大輝。私の誕生日の、何よりのプレゼントだってこと、もうわかってるんじゃないの?」

それに、大輝だって期待はしていたに違いない。
そういう匂いがする。

「春海の胸、結構でかいよ」

朋美が大輝の耳元で囁き、軽くくの字になりかけていた。 

「わかったよ、覚悟決めた。受験とか言い訳にするのもやめるわ」

ズボン苦しそうだし、もうほとんど隠してないもんね。

「良かった、じゃあこっち来て」

ベッドで大輝を手招きした。

「あ、あの、電気つけたまま……?」

は?乙女か。

「消しちゃったら色々見えないじゃん」

戸惑いを隠せない大輝をベッドに誘い、私たちは大輝に襲いかかったのだった。

結局。
そのあと二人とも四回ずつ行為に明け暮れた。
後半なんかは大輝を奮い立たせるのが少し大変だったが、若いだけあってすぐ復活したりした。

近藤さんの出番がないとママが心配するかもしれないから、と思って二回目からは近藤さんに出番をあげた。
さすがにそのあとは、何をしても大輝のそれが反応をしなくなったのでひとまずお開きにする。

色々で汚れまくってしまったので、三人で一緒に手早くシャワーを浴びることにした。
恥じらいも何もないが、実は大輝は一瞬躊躇った。
やっぱり恥ずかしいんじゃん。
ベッドのシーツは色々酷い有り様だったので、軽く水洗いした洗濯機に放り込んだ。


「もう一回くらいしとく?」

私はまだちょっと、興奮覚めやらぬ体を持て余し気味だ。
朋美も恐らく、ちょいとつつけばまた女の顔になるだろう。

「いや、もう無理。さすがにすっからかんだわ」

大輝は勘弁してくれ、と言う様子で手を振った。
まぁ、私の力使えばまたすぐ復活できるけどね。
可哀想だしこの辺にしといてあげよう。

「ケダモノ……」

朋美が恨めしそうな顔で大輝を見た。

「なっ、お前だって途中からあんなに……」

心外だと大輝は慌てた様子だ。

「その先言ったら、学校で大輝に傷物にされたって言いふらすから」

キッと大輝を睨みつけ、朋美は言う。

「はい、すみませんでした」

その場でビシッと直角に頭を下げる大輝がおかしくて、二人で笑った。


「世間的に見ても、やっぱり早いかなぁ……経験」

三人でベッドに川の字で横になる。

「最近じゃそうでもないって聞くけど……どうなんだろうな」

本当に早い人は小学校とかでヤってるから。
私たちなんか平均ちょこっと上げる程度じゃないかな。
さすがに裸で寝ちゃうのは抵抗あるということで、三人とも寝間着を着ている。

「とうとうやっちまったのか……」

感慨深そうな大輝。
余韻にでも浸ってるのだろうか。
これからはいつでも大輝を襲える。

そう考えると少し高揚する。

「年齢的にはまだだけど、半分くらい大人の仲間入りだね」

行為による経験って意味では大人かも?
少し技術磨いておいた方がいいかな。

「何か、まだ入ってる様な気がする……」

奇遇だな、私もだ。
大輝のが中でうねってる様な感覚が残っている。
大輝がもっとタフメンだったら、このあとも乱れまくっていた自信がある。

「だよね、私もそう」
「生々しいな……当事者の俺が言うのもなんだけど」

あんたのが入ってるって話してんだよ。
男は出したらおしまいかもしれないけど、女はそういかないことが多いんだからね。

「責任、取ってね」

優しく笑って大輝に言う。

「わかってるよ……」

まぁ今日のことで妊娠したりはしないから、安心してもらって大丈夫だけどね。

「冗談だって。そんなに重く捉えないで?私、三人でこうできて満足だよ」

結構良かったし。
あんな風に三人でするの、割といいかもしれない。

「まぁ、俺もそうかな……」

大輝なんかはDVDやらでさんざんそういうの見てそうだけどね。

「私も……」

朋美は一番良さそうな顔してた気がする。
一番乱れてたのも朋美だし。

「おい朋美、意味深に下腹さするのやめない?」 

私も無意識で下腹部をさすっていた。
それを見て青くなる大輝。

「お……お前ら……」
「えー?ただ、ご馳走さまでした、おなかいっぱーい、って思ってさすってるだけだよー?」

週一回とかじゃ、満足出来なそうだなぁ。
全力でああいうことできる場所探さないとだな。
大輝も前面にしたい、みたいなことはだして来ないとは思うけど、したくないわけじゃないだろうし。

今度また、これについては相談しよう。
今は余韻に浸りながら、幸せな気分で眠りたい。
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