手の届く存在

スカーレット

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本編

~Girls side~第15話

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大輝からのお願い(意味深)から早くも一週間。
少しは頭が回る様になったなと感心した大輝だったが、単純であるところは変わっていなかったらしく、私に稽古をつけてくれる様に頭を下げてきた。

来るときが来てしまった、と思った。
なるべく大輝に触らない様気をつけなければ。

ちなみに、クリスマスは結局お通夜みたいなムードの中で行われた。
朋美には謝られ、プレゼント交換も何かの儀式を彷彿とさせるものになっていた。
冬休みに入ると、朋美との連絡が少しずつ減ってきていた。

これはこれで、大輝の稽古に費やす時間が増えたのだと、前向きに捉えることにする。
大輝も今回のことで自分がもう少し強ければ、という思いを持った様で、全力で打ってくる。
迷いを捨てた大輝はこんなにも強いのか。

……いや、実力の面では私にも、おそらくタコ坊主にも遠く及ばないことは明白だ。
万に一つの勝機もないと思う。
ノルンの言うことが本当なのだとしたら、強さの次元が違いすぎる。
しかし彼の諦めない心、それが今の状況を作り出している。
それは間違いない。

「大輝、脇が甘い。舐めたらしょっぱいかもしれないけど」
「味覚の話はいいんだよ!」

ツッコミも健在の様で、ツッコミながらも私の攻撃をやっとの思いでかわしているのがわかる。
大輝は一つの作戦を考えていた様だった。
作戦と呼んでいいのか微妙なものではあるが、タコ坊主に再戦を挑むことがその第一歩。

勝てたら大輝の願いを無条件で聞き入れる様提案し、呑んでもらえなかったらその時考える、なんて言っているのを聞いて、少し頭が痛くなりそうだった。

「もしかしたら、どっちも出番こないかもしれない。その時は臨機応変にね」

一応進言はするが、恐らくどっちも出番はない。
だって、タコ坊主はきっと大輝をもう、男として見ている。
腐女子が喜びそうな意味ではなく、一人の男として認めているという意味だ。

ただ、この作戦そのものは効果的かもしれないと思った。
タコ坊主ではなく、朋美にとって有効である可能性が高い。
朋美のことを、私や大輝がどれだけ大事に想っているか。
それを伝えるには非常に有効だと思えた。

「ほら、そこでそんなに大振りな攻撃はダメ」
「わわわっ!!」

腕の神力を限界までゼロにし、大輝の蹴りを受け止める。
これだけでかなりの労力だ。
しかし、それを維持したまま大輝のわき腹にフックを入れる。

私個人は寸止めでやりたかったのだが、それじゃやはり稽古としては不十分だと考え直したのだ。
大輝には危機感を与えて勘の良さを鍛えてもらう。
家に帰ったらクタクタになっていることを覚悟した。

「ごほっ……」

フックは割と手加減したつもりだったが、綺麗に入ってしまったらしく大輝は咳き込んでしまう。

「どうしたの?もう終わり?」
「ま、まだまだ……」

大輝が構え直す。

「そう来なくちゃ」

本音を言うと、少しだけ楽しい。
大輝を痛めつけるのが、ではなく戦いが。

「らあっ!」

大輝が右手を繰り出す。
ストレート……正拳か。
受け止めるべく手を出す。

すると、大輝が手を引っ込めた。
へぇ、やるねぇ。
そのままの勢いで横蹴りを放つ大輝。

ああ、当たると思ってる顔してる。
そこで油断しちゃうのが大輝の悪いところ。
油断を突いて、私が大輝の側面に回り込んだ。

「一回やってみたかったんだ」

前に読んだマンガに出てた中国拳法の技、通背拳。
タイミング、ひねり等々完璧だ。
綺麗に決まる。
あばらが折れたりはしてないはずだが、大輝は一瞬呼吸が止まった様だ。

「かはっ……」

やっと息ができる様になり、大輝が咳き込む。

「おま……鉄拳チ○ミかよ……本格的すぎ……」
「ああ、知ってるんだ鉄拳チン○」
「そこを伏せるんじゃない!!作者に怒られるぞお前!……ごほっごほっ……」

まだ万全でないのに勢いよくツッコミなど入れるから、更に咳き込む。

「喋らないで。今動くのは危険だから」

そう言って稽古を中断した。
あんな大技が綺麗に決まってしまうんじゃ、やっぱり勝負の行方は暗いかな。
何より思ったよりも時間がない。
実戦より筋力なんかを上げるトレーニングした方が良かったかな。

それでも大輝は弱音を吐いたりしなかった。
冗談抜きに血反吐を吐いたりはしたが。
果敢に挑んでくるその様子は、かつての輝きを彷彿とさせる。

私がずっと守りたかったこの輝き。
ここで実戦をやめてしまったらその輝きがくすんでしまう気がして、私は彼を痛めつけ続けた。

更に時が経過し、十二月三十一日になった。
世間はもう大晦日ということもあって、テレビ番組なんかが一斉につまらなくなる日という印象。
稽古を始めた時に比べると、大輝は格段に腕を上げたと思う。

並の人間じゃほとんど相手にならないであろう程に。
しかし、それでも私やタコ坊主と肩を並べるほどではない。
圧倒的に経験が足りない。

叩きのめされるのはきっと大輝だろう。
歯がゆい思いがする。
私がぶっ飛ばしてクリアなら、それこそ足腰立たなくなるくらいボコボコにしてやるのに。
運命とはなかなか意地が悪い。

「大分動き、良くなってるよ」

大輝にペットボトルのスポーツドリンクを投げながら言う。
大輝が一口飲み込んで、微笑む。

「ありがとよ。それでも実力差まだまだあるけどな」
「んー、それは仕方ない。それに大輝の敵は私じゃなくてタコ坊主でしょ?」

時間があれば……と思う。
私が不安顔をしたら大輝の士気に関わるので顔には出さないが、正直不安だ。

「まぁな。けど、目の前の壁が高いだけに、超えようって努力だけはしときたい」
「いい心がけだね。こないだまでとは別人ってくらい反応速度も上がってるし、勘も大分良くなってるね」

これは本当にそう思う。
私の訓練の成果が間違いなく出ている。

「俺に刻まれた傷の数々のおかげだな、そりゃ」

いてて、と言いながら自分の体中を見回す。

「いよいよ、だね」
「ああ……ここまできたら、やるしかないな」

大輝の顔に、覚悟の色が浮かぶ。

私は直接関わっていいものか考えた結果、近くの公園で大輝の報告を待つことにした。
何処でやるつもりかわからないけど、生で見ていたら頭に血が上らないとも限らない。

『近くの空き地でやるみたい。二人とも、本気なのかな』

朋美からメールがきた。
空き地……ああ。
近くにあったな、そんなの。
場所を教えられたら、行かない訳にいかない。

気配を押し殺して、空き地の側の大きな木陰に身を潜める。
朋美は二人から少し離れたところで見ている様だ。
あれがタコ坊主か……ああ、こりゃあかん。

前もってタコ坊主見とくべきだった。
象とアリくらい実力に差がある。
前もってタコ坊主見とけば、もう少し差を縮めることは出来たかもしれない。

それでも勝つことは出来ないだろう。
大輝が何やらタコ坊主に言っているのが見える。
唇を読むと、

ともみをくれっていったらおこるか?

ほー、男だな大輝。
親の前でこれは朋美も少し恥ずかしいだろう。

「だが、男なら欲しいものは拳で勝ち取りな。それが出来なきゃ、諦めてもらう。そもそも最初からそのつもりだったんだろ?」

タコ坊主は言う。
ああ、やはりか。
この男はもうとっくに、大輝を認めている。

認めているが、それを簡単に口にはしない。
口にするきっかけとして、大輝の挑戦を受けたのだ。
ハナから勝負は決まってたわけだ。
男としても役者としても、タコ坊主が一枚上手だった。

大輝は自分の体の小ささを活かし、速さでタコ坊主をかき回す作戦に出た様だった。
確かにすばしっこいし、的も小さい。
有効なのは間違いない。

だが、タコ坊主の動体視力も尋常でない様で、老眼でもおかしくないだろうにちゃんと大輝を捉えている。
膝がタコ坊主に入って、朋美も一瞬喜びを見せた。

しかし、効いている様子は全くなかった。
それを見て、息を呑む朋美。
長引けば大輝の危険が増す。

何も出来ない自分への歯がゆさを痛感する、私と朋美。
朋美は半泣きの表情だ。
しかし私は目を逸らさない。

途中からタコ坊主は大輝に付き合うことにしたらしく、一発二発ずつ殴り合うスタイルになっていた。
そして、恐らくこれが最後の一撃になる。

そう思われる拳が交錯した瞬間。
大輝の胸の辺りが光って見えた。
見間違いだろうか。

いや……タコ坊主にも見えていた様で、一瞬目を見開いていた。
朋美には見えていない様だ。
お互いの拳を顔で受け、体重の軽い大輝が吹っ飛ぶ。

光は消えていた。
あれは……まさか。
私の鼓動が早まるのを感じる。

見間違いでなければ、あれは神力だ。
いつだ?
いつ、付与してしまった?

私は大輝との稽古を思い返す。
ぬかりは……ない……いやあった。
通背拳だ。

あのとき、僅かだが力が籠もってしまっていた。
私の慢心が、大輝に……。
私の行いを悔いていると、向こうは勝負が決まった様だった。

「そうか……俺はな、大輝よ。お前のこと、少し見直したよ。根性あるし、肝も据わってると思う。朋美のことを任せるなら、お前しかいねぇってさえ思う。だからな」
「お父さん……?」
「朋美をここに置いて、ってわけには悪いがいかねぇ。まだ朋美は子どもだしな。だから、お前朋美を迎えにこい。絶対。そしたら、朋美はお前にやるよ」

大輝は予想外と言った顔だ。

「えっ……?」
「何だよ、不満か?認めてやるって言ってんだ」

はっきり言われて唖然としている。
私はそれを予想出来ていたけど、正直それどころではない。

「お前ほど根性ある男なら、渡しても惜しくはねぇよ。だから、必ずこいよ」

大輝はタコ坊主から何やら受け取っていた。

「大人になったお前が、朋美を迎えにくるまで、朋美の虫除けは俺がしてやる。来なかったら、ぶっ殺すぞ」

やれるものならやるがいい。
その時は、お前が地獄を見ることになる。
いや、そうじゃない。
大輝、何処か変なところはないだろうか。

「わかった、必ず行くよ。そのときまで、朋美のことは頼むよ」

大輝は感銘を受けたのか、頭を下げた。

「言われるまでもねぇ。それとそこの嬢ちゃん。もう出てきていいぞ。朋美、年越しは三人でするんだろ?早く支度してこい」

私の気配を察知していただと?
何者だ、あのタコ坊主。
人間ではないのか?

だとすると、血縁であるなら朋美も人間ではない可能性が……。
タコ坊主は笑いながら去る。
その間際、私を見て、軽く口を動かした。

「大輝なら心配ない」

そう言っていた。
本当に何者なのか。
しかし、確かに大輝は神力を受けてから数日、特に変調をきたしている様子もない。

本当に大丈夫なのかもしれない。
今ここで心配していても仕方ない。

「あー、ありゃ相手が悪いね。私でも少し苦戦するかも」
「お前が苦戦とか……」

大輝が青ざめる。

「だってさっきの、大輝に合わせてくれてたよ」
「やっぱそうなのか……」

何となく大輝も感じてはいたのだろう。
実力の差はとてつもなく大きい。

「それがわかっただけでも成長だよ。大輝、お疲れ様」

労う様に、大輝の手をとる。
もう、神力については心配ない。
根拠はないがそう思える。

「バカだよ本当……何でここまでするの……?」

朋美が大輝に抱きついて号泣する。
今は朋美に花を持たせてあげようかな。

「言ったろ、俺は春海も朋美も大事なんだ。離したくない。例え一時期離れることになろうとも、俺はまた必ずお前を迎えに行くからな」

大輝が一言、決めた。
男になったね、大輝。

「うん……うん……!」

涙も鼻水もボロボロ垂らしながら、朋美は頷く。

「ほら、そろそろ支度しようぜ。年越しソバに間に合わなくなっちまうから」

私はコンビニで冷えピタを買ってきて、大輝の痣だらけの患部にそれを一枚ずつ貼ってやった。

「春海は何かトンボ返りみたいになって悪いな」

確かに滞在時間は短かったけど、気になることが出来た。
そう考えれば無駄ではない。

「気にしないで。噂のタコ坊主見れて満足したから」
「タコ坊主って……お父さんのこと?ぷっ…おっかしい!」

自分の父親の悪口を聞いて大笑いする朋美。
あの風貌だったらタコ坊主か海坊主だろう。
ファルコンとかでもいいけど。

「今度言ってみよう」

朋美は楽しそうだ。

「あ、ちなみにタコ坊主って最初に言ったの大輝だから」
「余計なこと言うなよ!殺されたらどーすんだ!!」 

ガタガタと震えが私にも伝わってくる。
どんだけビビってんのよ。

「大丈夫だよ。武骨に見えて、認めてる人には寛大だから。あそこまで気に入られた人、多分今までそんなにいないんじゃないかな」

まぁ、そんな感じなんだろうと想像はできる。

「へ、へぇ……」

恥じらいと恐怖が入り混じった大輝の顔。
それに冷えピタが微妙なコントラストを見せる。

朋美が荷物を取りに行き、私と大輝はエントランスで朋美を待つ。
冷えピタが早くも剥がれかけていたので、新しいのを取り出して貼り直す。

「カッコ悪いけど、カッコ良かったよ、大輝」
「いやぁ、ありゃどう贔屓目に見ても無様だろ」

まぁ、そうなんだけど。
本当に大丈夫なんだとしたら、大輝はやはりエインフェリアの素質があるか、もしくは神の誰かに力を与えられている。
でも、何であんな局面で発動したんだろう。

しかも、効果は特にない様に見えた。
今考えても仕方ないか。
落ち着いたらまた神界で探りを入れてみることにするか。

「お待たせ……本当に痛そう……あとで沢山慰めてあげるからね」

朋美が大輝の頬に手を当てる。

「そうだね、私も沢山慰めてあげる、大輝タラシ
「屈辱のルビありがとう!!」

とりあえず大輝が頑張ったことで、今年最後の日は笑って過ごせる。
今日くらいは大輝を、二人で労ってあげようと密かに誓った。
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